(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基板に塗布液を用いてレジスト膜を形成するためのモジュールと、パターン露光後の基板を現像するモジュールと、モジュール間の基板の搬送を行う搬送機構と、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の光処理装置と、を備えたことを特徴とする塗布、現像装置。
1個または互いに直列に接続された複数個の発光ダイオードからなる発光ブロックの複数が左右方向に直線状に配列され、帯状の照射領域を形成するための光照射ユニットと、
前記発光ブロックの各々について、照射領域における左右方向の位置と各位置における単位電流あたりの照度の変化量とを対応付けた照度分布パターンの変化量を記憶した記憶部と、を備え、被処理体に対して光を照射して処理を行う装置に使用されるコンピュータプログラムを記憶した記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、請求項8または9に記載の光処理方法を実行するようにステップ群が組まれたことを特徴とする記憶媒体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような事情の下になされたものであり、その目的は、発光ダイオードからなる複数の発光ブロックを直線状に配列した光源部により帯状の照射領域を形成して被処理体に対して光処理を行うにあたって、照射領域の長さ方向の照度分布パターンを目的とする照度分布パターンに容易に高精度に調整することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の光処理装置は、光により処理される被処理体を載置するための載置部と、
1個または互いに直列に接続された複数個の発光ダイオードからなる発光ブロックの複数が左右方向に直線状に配列され、左右方向に伸びる帯状の照射領域を形成するための光照射ユニットと、
前記載置部と光照射ユニットとを前後方向に互いに相対的に移動させるための移動機構と、
前記発光ブロックの各々について、照射領域における左右方向の位置と各位置における電流の変化分に対する照度の変化量とを対応付けた照度分布パターンの変化量を記憶した記憶部と、
前記照射領域における現在の長さ方向の照度分布パターンを、目標とする照度分布パターンに近づけるために、前記発光ブロックの各々の現在の電流指令値と前記記憶部に記憶されている各発光ブロックの前記照度分布パターンの変化量とに基づいて各発光ブロックの電流指令値を求める演算処理部と、を備え
、
前記電流の変化分に対する照度の変化量は、各位置における面照度に基づいて求めた、左右方向の線照度の変化量であることを特徴とする。
また本発明の光処理装置は、光により処理される被処理体を載置するための載置部と、
1個または互いに直列に接続された複数個の発光ダイオードからなる発光ブロックの複数が左右方向に直線状に配列され、左右方向に伸びる帯状の照射領域を形成するための光照射ユニットと、
前記載置部と光照射ユニットとを前後方向に互いに相対的に移動させるための移動機構と、
前記発光ブロックの各々について、照射領域における左右方向の位置と各位置における単位電流あたりの照度の変化量とを対応付けた照度分布パターンの変化量を記憶した記憶部と、
前記照射領域における現在の長さ方向の照度分布パターンを、目標とする照度分布パターンに近づけるために、前記発光ブロックの各々の現在の電流指令値と前記記憶部に記憶されている各発光ブロックの前記照度分布パターンの変化量とに基づいて各発光ブロックの電流指令値を求める演算処理部と、
発光ブロックの動作状態を監視するLED監視部と、
発光量が異常に低下するかまたは発光しなくなった発光ダイオードを含む異常発光ブロックを前記LED監視部が検出したときには、前記光照射ユニットにより形成される照射領域の照度を照度測定部により検出して長さ方向の照度分布パターンを取得するステップと、当該ステップにより得られた照度分布パターンを目標とする照度分布パターンに近づけるために、前記演算処理部により、前記発光ブロックの各々の現在の電流指令値と前記記憶部に記憶されている各発光ブロックの前記照度分布パターンの変化量とに基づいて各発光ブロックの電流指令値を求めるステップと、を実行する実行処理部と、を備えたことを特徴とする。
他の発明は、基板に塗布液を用いてレジスト膜を形成するためのモジュールと、パターン露光後の基板を現像するモジュールと、モジュール間の基板の搬送を行う搬送機構と、本発明の光処理装置と、を備えたことを特徴とする塗布、現像装置である。
【0008】
更に他の発明は、被処理体を光により処理する方法において、
1個または互いに直列に接続された複数個の発光ダイオードからなる発光ブロックの複数が左右方向に直線状に配列され、帯状の照射領域を形成するための光照射ユニットと、
前記発光ブロックの各々について、照射領域における左右方向の位置と各位置における単位電流あたりの照度の変化量とを対応付けた照度分布パターンの変化量を記憶した記憶部と、を用い、
前記照射領域における現在の長さ方向の照度分布パターンを、目標とする照度分布パターンに近づけるために、前記発光ブロックの各々の現在の電流指令値と記憶部に記憶されている各発光ブロックの照度分布パターンの変化量とに基づいて各発光ブロックの電流指令値を求める工程と、
前記工程で求めた電流指令値により各発光ブロックを発光する工程と、
次いで被処理体が載置された載置部と光照射ユニットとを前後方向に互いに相対的に移動させる工程と、
発光ブロックの動作状態を監視する工程と、
前記工程にて、発光量が異常に低下するかまたは発光しなくなった発光ダイオードを含む異常発光ブロックを検出したときには、前記光照射ユニットにより形成される照射領域の照度を検出して長さ方向の照度分布パターンを取得する工程と、
前記工程により得られた照度分布パターンを、目標とする照度分布パターンに近づけるために、前記発光ブロックの各々の現在の電流指令値と前記記憶部に記憶されている各発光ブロックの前記照度分布パターンの変化量とに基づいて各発光ブロックの電流指令値を求める工程と、を含むことを特徴とする。
更にまた他の発明は、1個または互いに直列に接続された複数個の発光ダイオードからなる発光ブロックの複数が左右方向に直線状に配列され、帯状の照射領域を形成するための光照射ユニットと、
前記発光ブロックの各々について、照射領域における左右方向の位置と各位置における単位電流あたりの照度の変化量とを対応付けた照度分布パターンの変化量を記憶した記憶部と、を備え、被処理体に対して光を照射して処理を行う装置に使用されるコンピュータプログラムを記憶した記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、本発明の光処理方法を実行するようにステップ群が組まれたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、LEDを用いた複数の発光ブロックを直線状に配列した光照射ユニットにおいて、発光ブロックごとに、照射領域における長さ方向の位置と、電流(駆動電流)の変化分に対する照度の変化量と、を対応付けた照度分布パターン(照度プロファイル)の変化量(応答)を事前に取得している。そして各発光ブロックの電流を変えたときにおいて、この照度分布パターンの変化量(実施形態の説明では「照度分布応答量」という用語を用いている)を用いて各発光ブロックの照度分布パターンを求め、これらの和を求めて発光ブロック群全体の長さ方向の照度分布パターンを推定している。従って、現在の長さ方向全体の照度分布パターンを取得し、照度分布応答量を用いてこの照度分布パターンを目標とする照度分布パターンに近づけることができるので、照射領域の長さ方向の照度分布パターンを、目的とする照度分布パターンに容易に高精度に調整することができ、また機器間(複数の光処理装置の間)における照度分布パターンの差異が抑えられる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係る光処理装置の外観図であり、光処理装置は、前面側に搬入出口31が形成された筐体30を備えている。
図1では、筐体30の内部も見えるように筐体30を透明として描いている。筐体30の底面には、光処理である例えば露光が行われる被処理体としてのウエハWを載置する載置台32が設けられている。載置台32は、搬入出口31側のウエハWの受け渡し位置(
図1に記載されている位置)から筐体30の奥側の待機位置まで伸びるガイドレール33に沿って移動自在であって、載置台31に載置されたウエハWを鉛直軸周りに回転させるための駆動部34に回転軸を介して接続されている。なお駆動部34は、載置台31を回転させるモータや、モータを保持し、ガイドレール33に沿って移動する移動機構が組み合わされたものとして記載している。
【0012】
筐体30の奥側の待機位置には、図示しない周知の位置合わせ機構(ウエハWの周縁部を挟んで上下に対向する発光部及び受光部を備えた機構)が設けられ、ウエハWの周縁に形成された位置合わせ部分であるノッチの向きを検出し、駆動部34による載置台31の回転により、露光処理を行うウエハWの向きが一定になるように制御される。
【0013】
またウエハWの移動する領域におけるウエハWの受け渡し位置と既述の待機位置との間の上方には、ウエハWに紫外線を照射する光照射ユニット4が設けられている。ウエハWの移動方向を前後方向とすると、光照射ユニット4は、
図1、
図2に示すようにウエハWの移動領域の左右の幅よりも横幅が長い矩形のケース体40を備え、
図3及び
図4にも示すようにケース体40の内部には、光源部であるLED光源群400が設けられている。LED光源群400は、前後方向に複数、例えば「4個」のLED41を並べて構成された発光ブロック42を左右方向に複数例えば88個並べて構成されている。なおLEDの配列は図面では、作図の困難性と構造の把握の容易性を優先するために便宜上の個数として記載してある。
【0014】
LED光源群400は、ケース体40内に設けられた共通のLED基板43に固定され、下方に向けて紫外線を照射するように配置されている。ケース体40の底面には、左右方向に伸び、ウエハWの移動領域の左右方向の幅よりも長い照射口であるスリット44が形成されており、LED光源群400から発せられる紫外線は、スリット44を介して、光照射ユニット4の下方に向けて照射される。LED基板43の上面側には、LED制御部をなす制御回路部45が設けられており、制御回路部45は、後述のように発光ブロック42ごとに光強度を制御するように構成されている。
図1に戻って、光処理装置の外装体である筐体30の外には、信号ケーブル60aを介してコントローラ60が接続されている。コントローラ60は操作画面を備えており、操作画面は、装置の使用開始時において後述の発光ブロック42ごとの照度分布パターンを取得するときやキャリブレーション時にオペレータが操作するときに使用される。
【0015】
図2〜
図4に示すようにケース体40の下端部には、ウエハWの移動領域の左右方向に伸びる金属製のシャッター46及びシャッター46を収納するシャッター収納部47(
図3参照)が設けられている。シャッター46は、図示しない駆動部によりスリット44を塞ぐ位置と、シャッター収納部47に収納されてスリット44の下方が開放される位置と、の間で移動する。
【0016】
また光処理装置は、
図2〜
図4に示すようにLED光源群400から照射される紫外線(光)の照度を測定するための照度測定部5を備えている。照度測定部5は、ケース体40の背面側にて移動機構51により左右方向に移動自在に設けられた照度センサー52と、照度センサー52に光を伝送する光ファイバー53と、光ファイバー53の先端部に設けられた集光部54と、を備えている。集光部54は、LED光源群400から照射される光を集光するために、光照射ユニット4の下方側を照射領域の長さ方向の一端から他端に亘って照度センサー52の移動に伴って移動できるように構成されている。集光部54は、照射領域における測定時以外には、ウエハWの移動領域から左右方向に外れた位置に待機している。
【0017】
集光部54は前後方向に伸びる角筒状の筐体55を備え、筐体55には、
図4に示すようにスリット56が、集光部54の長さ方向に、即ち前後方向に伸びている。このスリット56は、LED光源群400により形成される帯状の照射領域の幅方向の寸法よりも長く形成されている。
【0018】
集光部54の筐体55の内部には、直方体の蛍光ガラスからなる集光体57(
図2、
図3参照)が設けられ、集光体57はスリット56を通して進入した光の照度に対応する照度で発光する。集光体57は、吸収した光の総照度、即ち各発光ブロック42を構成する4つのLED41(既述のように
図5では便宜上「2個」として記載している)の合計の照度に応じて発光する。集光体57の受光面である上面は、この例では、載置台32上のウエハWの表面の高さに一致させているが、一致させなくてもよい。
【0019】
集光体57で集光した光を光ファイバー53を介して照度センサー52に導き、光強度を測定することで、発光ブロック42を構成する4つのLED41の総照度を測定することができる。即ち、照度センサー52により取得しようとしている照度は、発光ブロック42の群により形成される、左右方向に伸びる帯状の照射領域(ウエハW上の照射領域)について、左右方向の各位置における照度と対応している。発光ブロック42の各々により形成される照射領域は、左右方向だけでなく前後方向にも伸びており、集光部54を用いて、前後方向に伸びる照射領域における光を集光して照度センサー52にて照度を測定することにより、既述の左右方向の各位置における照度を評価できる。
【0020】
具体的には、照度センサー52により測定された照度は、面照度(単位はW/cm
2)であるが、予め基準となる照度センサーを用いて測定した結果から得られた係数を、上記の面照度の測定値に掛け算することにより、線照度(単位はW/cm)に変換される。この係数の単位は(cm)であり、単位長さは、左右方向(上記の照射領域の長さ方向)の長さである。線照度を求める理由は、ウエハWの直径に対応する帯状の照射領域に対してウエハWを当該照射領域と直交方向に移動させる(照射領域をウエハWに対して相対的にスキャンする)手法では、光量を累積した線照度が重要になるからである。
なお
図2中に実線で示す照度測定部5の位置は、ウエハWに光処理例えば一括露光処理を行うときに照度測定部5が待機する位置を示している。
【0021】
次に光処理装置の制御系に関して
図5を参照しながら説明する。これ以降の説明においては、説明の便宜上、発光ブロックの符号として発光ブロックの並びの一端側から他端側に向かってB1、B2…Bn(nは発光ブロックの配列個数に相当する整数)を割り当てることとするが、符号「42」を割り当てる場合もある。
図5において61はLED41を駆動するための駆動回路であり、各駆動回路61に複数例えば4個(
図5では2個としている)のLED41が直列に接続されている。即ち駆動回路61は、発光ブロック42ごとに設けられている。駆動回路61は例えば位相制御回路を備えており、電流指令値に対応する制御信号によりスイッチング素子の点弧角を制御して交流波形の導通角をコントロールし、直流電流の大きさを電流指令値となるように調整している。各駆動回路61は
図2及び
図3に示す制御回路部45に含まれている。
【0022】
制御回路部45は、バス62、CPU63、及び作業用のメモリ64を備えている。更に制御回路部45は、各発光ブロック42(B1〜Bn)を駆動する電流の指令値を記憶した第1の記憶部65、後述する単位電流あたりの照度変化量を記憶した第2の記憶部66、後述のプログラムを格納したプログラム格納部67及び目的とする照度分布パターンを記憶する第3の記憶部68を備えている。なお便宜上、記憶データごとに記憶部を分けているが、実際には各記憶部65、66、68は例えば同じメモリ素子の中の互いに異なるアドレスに対応する記憶領域として構成される。またバス62には、
図1に示した、操作画面を備えたコントローラ60が接続されている。
【0023】
図6は、横軸にウエハWの表面の通過領域における左右方向の位置をとり、縦軸に既述の線照度をとったグラフであり、「0」はウエハWの中心が通過する位置である。グラフ下側の波形の線の各々は、発光ブロック42(B1〜Bn)の各々に対応する線照度の分布のパターンであり、グラフ上側の横長の偏平状の台形形状の線(ウエハの直径の範囲では直線状の線)は、発光ブロック42(B1〜Bn)の線照度の全部を足し合わせた照度分布パターンである。
図6から分かるように、各発光ブロック42(B1〜Bn)の光強度を調整することで、即ち各発光ブロック42(B1〜Bn)の電流(駆動)の電流値を調整することで、各発光ブロック42(B1〜Bn)に対応するウエハW面上での照度分布パターンを調整することができることが分かる。従って、各発光ブロック42(B1〜Bn)の電流値を調整することにより、各発光ブロック42(B1〜Bn)の線照度の全部を足し合わせた照度分布パターンを調整することができる。
【0024】
LEDに関して述べておくと、LEDの特性は製造誤差などにより個々の間で若干のばらつきがあることから、各LEDに同じ電流を流しても、各LEDの照度分布パターンは同じになるとは限らない。またLEDの経時変化により、LEDに流す電流の値が同じであっても、発光強度が徐々に低下していく。このため、使用開始時においては、LEDに流すことのできる許容最大電流値よりも小さい電流、例えば許容最大電流値の70%の電流を流したときに必要な照度分布が得られるように、LEDの選定を含めて、全体の構造の設計をすることが好ましい。このようにすれば、LEDの発光強度が低下していっても、電流値を増加することで必要な発光強度を確保することができ、使用寿命の長期化を図ることができる。
【0025】
第2の記憶部66には、各発光ブロック42に流す電流(駆動電流)の許容最大電流値の例えば70%〜100%の範囲で電流値を例えば大きくしていったときの各位置における照度変化量を記憶させている。照度変化量とは、電流を変化させたときの各位置における電流の変化分に対する照度の変化量(単位電流値あたりの照度の変化量ともいえる)であり、「位置」とはウエハW上の左右方向の位置である。従って、各位置と照度変化量とを対応付けたデータは、
図5の第2の記憶部66の横に模式的に示すように、照度のプロファイル(照度分布パターン)として表される。第2の記憶部66には、各各発光ブロックB1〜Bnの照度分布応答量をP1〜Pnとして記載している。
【0026】
この照度のプロファイルである照度分布パターンは、単位電流あたり、例えば単位電流を0.1mAとして決めるとこの単位電流あたり、各位置の照度がどのくらい変化するかを表しており、電流の変化に対する照度分布パターンの「応答」、あるいは照度分布パターンの電流値に対する「傾き」ということができる。以下の説明では、この「応答(傾き)」を「照度分布応答量」という用語を用いることとする。
照度変化量は、既述の線照度の変化量に対応することから、単位は、エネルギー(W)を単位長さ(cm)と単位電流値Aとで割った次元(W/cm・A)となる。しかし第2の記憶部66に書きこまれる照度分布応答量のデータとしては、例えば0.1mA変化させたときの照度変化量そのものの値であるとして、照度変化量の単位を(W/cm)としてもよい。即ち、
図5にて第2の記憶部66の横に示したグラフの縦軸は、(W/cm・A)に電流値(A)を掛けて(W/cm)の次元としてもよい。
【0027】
各発光ブロック42(B1〜Bn)の照度分布応答量が分かれば、現在の駆動電流をどのくらい変化させれば、現在得られる各発光ブロック42(B1〜Bn)の照度分布パターン(発光ブロックB1〜Bn毎の照度分布パターン)がどのくらい変化するかが分かる。LED光源群400によりウエハWの通過領域全体に形成される照度分布パターンは、個々の発光ブロックB1〜Bnの照度分布パターンの和で表されることから、結局全体の照度分布パターンがどのくらい変化するかを把握できる。
本実施形態では、光処理装置の使用開始時の光量調整や定期的あるいは不定期のキャリブレーションに上述の作用を利用している。
【0028】
照度分布応答量の取得の手法について述べておく。例えば光処理装置の使用開始時に、発光ブロックB1〜Bnを1個だけ点灯して、駆動電流を最大許容電流値の例えば70%に設定し、駆動電流を例えば0.1mA刻みに増加させ、各電流値ごとに照度センサー52により各位置の照度を測定して照度分布パターンを取得する。この操作を全ての発光ブロックB1〜Bnについて順次行う。駆動電流を例えば0.1mA刻みに増加させた場合、駆動電流のいずれの値においても照度変化量は同じである。しかし測定誤差などを考慮してより精度の高い照度変化量を取得するために、電流値の変化ごとに取得した照度変化量を平均化して、その発光ブロック42の照度変化量として第2の記憶部66に記憶する。
【0029】
またLED41をオンにして発光が安定するまでにしばらく時間がかかることから、全ての発光ブロックB1〜Bnを最大許容電流値の例えば90%に設定し、この状態で1個づつ駆動電流を最大許容電流値の例えば70%まで0.1mA刻みに順次減少させ、各電流値ごとに照度センサー52により各位置の照度を測定して照度分布パターンを取得するようにしてもよい。駆動電流を減少させることにより、測定対象となる発光ブロック42に対応する領域の照度が減少するが、この減少分は、駆動電流を増加させたときの増加分に相当することから、同様にして各発光ブロックB1〜Bnの照度分布応答量を取得することができる。この手法によれば、LED41をオフにしなくて済むので、作業時間を短縮することができる。
【0030】
図5に戻って、プログラム格納部67には、既述の照度分布応答量を取得するためのデータ取得プログラム67a、装置の使用開始時に各発光ブロックB1〜Bnの光量(光強度)を調整するための照度調整プログラム67b、定期的または不定期で行うキャリブレーションを事項するためのキャリブレーションプログラム67cなどが格納されている。データ取得プログラム67aは、発光ブロックB1〜Bnの照度変化量を取得する時に駆動電流の増減、照度センサー52の移動制御、各位置の照度変化量のデータの書き込みなどのステップを実行して照度分布応答量を取得するためのプログラムである。
【0031】
照度調整プログラム67b及びキャリブレーションプログラム67cは、後述のように、照射領域における現在の長さ方向の照度分布パターンを、目標とする照度分布パターンに近づけるためのステップ群を備えている。ステップ群は、発光ブロックB1〜Bnの各々の現在の電流指令値及び照度分布パターンの変化量に基づいて新たな電流指令値を求めるためのものであるが、これらのステップ群は本発明の構成要素の演算処理部に相当する。なお、プログラム格納部67には、ウエハWが筐体30内に搬入されてから搬出されるまでの載置台32などの一連の動作を制御するプログラムも含まれている。
上述のプログラムは、例えばフレキシブルディスク、コンパクトディスク、ハードディスク、MO(光磁気ディスク)、メモリーカードなどの記憶媒体に格納されており、記憶媒体からコントローラ60を介してプログラム格納部67にインストールされる。
【0032】
次に上述実施形態の作用について説明する。今、新規な光処理装置を組み立てて、これから装置の運転を開始しようとする場合、先ずウエハW上に形成される照射領域(全体)における長さ方向の照度分布パターンを、目標とする照度分布パターンに一致させるための光量調整作業を行う。「一致」させるとは、完全に一致させることだけを意味するのではなく、光処理が良好に行われる程度に照度分布パターン同士が近づける場合も含む。
【0033】
光量調整作業は、各発光ブロックB1〜Bnをオンにし(駆動して発光状態とし)、発光が安定する時間が経過した後、データ取得プログラム67aにより各発光ブロックB1〜Bnの照度分布応答量を取得する(ステップS1)。照度分布応答量の取得動作については既に詳述していることから省略する。次いで
図7に示すように照射領域(全体)における長さ方向の照度分布パターンについて、目的とする照度分布パターンのデータを
図1及び
図5に示すコントローラ60から制御回路部45の第3の記憶部68に入力する(ステップS2)。
【0034】
しかる後、各発光ブロックB1〜Bnの駆動電流を最大許容電流値よりも小さい電流値、例えば最大許容電流値の70%の電流値に仮設定する(ステップS3)。具体的には第1の記憶部65に当該電流値を各発光ブロックB1〜Bnの電流指令値として書き込む。そして照度測定部5を照射領域の一端から他端まで移動させて各位置における照度を測定し、測定された照度を既述のように線照度に変換して照射領域の長さ方向の全体の照度分布パターンを取得する(ステップS4)。
そしてステップS2で入力した、目的とする照度分布パターンとステップS4で取得した照度分布パターンとの差分を求め、この差分がゼロに近づくように、即ち各位置における照度の差分がゼロに近づくように、各発光ブロックB1〜Bnの電流指令値を調整する(ステップS5)。
【0035】
各発光ブロックB1〜Bnの現在の電流指令値を増減させると、その増減分と各発光ブロックB1〜Bnの照度分布応答量とに応じて各発光ブロックB1〜Bnの照度分布パターンが決まり、これら各照度分布パターンの和を求めることにより照射領域全体の照度分布パターンが得られる。従って電流指令値の調整作業は、各発光ブロックB1〜Bnの電流値の増減量を種々変えて上記の差分がゼロになる増減量を探る処理であり、演算処理部に相当する照度調整プログラム67bにより実行される。
【0036】
ここで電流指令値により照度分布パターンを調整する様子を直感的に把握するための模式図を
図8に示しておく。連続的に並ぶ3つの発光ブロックBk、B(k+1)、B(k+2)によりウエハW上に形成される照射領域の照度分布パターンを夫々Ak、A(k+1)、A(k+2)により表している。これら発光ブロックBk、B(k+1)、B(k+2)の並びの両側の発光ブロックによる照度分布パターンは省略されている。500は目的とする照度分布パターンであり、600は、各発光ブロックにより形成される照度分布パターンである。照度分布パターンA(k+1)が特に低いために、全体の照度分布パターンにおける発光ブロックB(k+1)に対応する部位が特に低くなっている。
【0037】
このため発光ブロックBk、B(k+1)、B(k+2)の夫々の照度分布応答量Pk、P(k+1)、P(k+2)を用い、現在の発光ブロックBk、B(k+1)、B(k+2)の電流指令値を増減させて各照度分布パターンAk、A(k+1)、A(k+2)を増減させる。この例の場合には、発光ブロックBk、B(k+1)、B(k+2)の電流指令値を増加させて各照度分布パターンAk、A(k+1)、A(k+2)を点線で示すように増加させる。このため全体の照度分布パターン600が押し上げられて、目的とする照度分布パターン500に近似した照度分布パターンとなる。
この電流指令値の調整作業は、例えば最小自乗法により行われ、目的とする照度分布パターンにおける各位置の照度と現在の照度分布パターンにおける各位置の照度とにおいて、同じ位置の照度の差分を二乗し、各位置における二乗した値の合計値が最小になる各発光ブロックB1〜Bnの電流指令値の組み合わせを求めることにより行われる。
【0038】
各発光ブロックB1〜Bnの電流指令値が求まると、各電流指令値が第1の記憶部65に記憶される(ステップS6)。
図5の第1の記憶部65においては、各電流指令値をI1〜Inで記載している。そして光処理装置を運転するときには、第1の記憶部65から読み出された電流指令値が各駆動回路61に送られ、電流指令値に対応する電流により各発光ブロックB1〜Bnが駆動される。
光処理装置の動作について述べると、被処理体である基板をなすウエハWは、外部の搬送アームにより
図1に示す搬入出口31を介して筐体30内の受け渡し位置にある載置台32に受け渡される。そして例えば光照射ユニット4のシャッター46を閉じた状態で載置台32を受け渡し位置に移動させ、ウエハWの位置合わせを行う。これにより例えばウエハW上の回路チップ領域の並びの方向と照射領域の長さ方向とが一致する。
【0039】
次いで光照射ユニット4のシャッター46を開き、載置台32を待機位置から受け渡し位置に向かって(前方に向かって)移動させ、これによりウエハWが光照射ユニット4の下方の帯状の照射領域を通過していく。即ち、帯状の照射領域がウエハWの表面を相対的にスキャンしていくことになる。帯状の照射領域のうちウエハWの移動領域内においては、目的とする照度分布パターン例えば長さ方向に高い精度で均一である照度分布パターンに調整されているので、ウエハW全体の露光量が均一になる。そして待機位置に戻ったウエハWは、外部の搬送アームにより取り出される。
【0040】
光処理装置の運転を開始した後、例えば定期的にLED光源群400のキャリブレーションを行う。既述のようにLEDは使用を続けていくと発光量が低下するため、駆動電流を増加させる必要があるからである。キャリブレーションは、装置の開始時に行う光量調整作業と同様にして行われるが、各発光ブロック42の照度分布応答量及び目的とする照度分布パターンは既に入力されており、また電流指令値は設定されていることから、
図7に示すフローのステップS4〜S6が行われることになる。即ち、照度センサー52により現在の照射領域の長さ方向の照度を測定して照度分布パターンを取得し、この照度分布パターンが目的とする照度分布パターンにできるだけ近くなる電流値を求め、この電流値を新たな電流指令値とする。
【0041】
上述の実施形態では、発光ブロック42ごとに、照射領域における長さ方向の位置と、電流(駆動電流)の変化分に対する照度の変化量と、を対応付けた照度分布パターン(照度プロファイル)の変化量である照度分布応答量を事前に取得している。そして照度分布応答量を用いて各発光ブロック42の照度分布パターンを求め、これらの和を求めて発光ブロック群全体の長さ方向の照度分布パターンを推定している。従って、照度センサー52を用いて現在の長さ方向全体の照度分布パターンを取得し、照度分布応答量を用いてこの照度分布パターンを目標とする照度分布パターンに近づけることができるので、照射領域の長さ方向の照度分布パターンを、目的とする照度分布パターンに容易に高精度に調整することができ、また複数の光処理装置の間の照度分布パターンの差異が抑えられる。
【0042】
また上述の光処理装置は、各発光ブロック42ごとに動作状態を監視するLED監視部を設け、発光量が異常に低下するかまたは発光しなくなった発光ダイオードを含む異常発光ブロックを検出するようにしてもよい。LED監視部としては、例えば発光ブロック42の各々の電流を監視し、電流がしきい値以下になったときに異常検出信号を出力する回路であってもよいし、あるいは、照度センサー52を利用してもよい。照度センサー52を利用する場合には、ウエハWを処理する度毎に、またはロット(各キャリアC単位のウエハ群)の処理を開始する前などのタイミングに、照度センサー52を移動させて照度を測定する。そして測定結果に基づいて各発光ブロック42に対応する位置、例えば各発光ブロックのLEDの中心に対応する位置の照度をがしきい値以下に低下しているか否かを判断することで、異常な発光ブロック42を検出することができる。
【0043】
そしてLED監視部が検出したときには、異常検出信号が出力され、例えばこの出力に基づいて実行処理部に相当するキャリブレーションプログラム67cが起動されて
図7に示すステップS4以降のフローが行われる。LED監視部として照度センサー52を利用するときには、異常発光ブロックを検出するための照度の測定において、現在の照度分布パターンを取得するようにしてもよい。
このような構成を採用すれば、いずれかの発光ブロック42に異常が発生しても光処理を継続することができるため、装置のダウンタイムの発生を避けることができると共に、装置の使用寿命を長期化することができる利点がある。
【0044】
上述の実施形態では、目的とする照度分布パターンがウエハWの移動領域において均一である場合を例にとっているが、目的とする照度分布パターンは、装置に要求される役割りに応じて設定することができる。例えば前処理の段階でウエハWの片面のパターンの線幅が狭い傾向にある場合には、当該片面に対応する照射領域の照度を反対の片面よりも小さくするなどの設定をするようにしてもよい。
またレンズアレイ、フライアイレンズあるいはプリズムなどを用いたホモジナイザーを用いてLED光源群400の光束を重ね合わせて均一化し、照射領域の長さ方向(左右方向)及び短手方向(前後方向)の照度分布の均一化を図るようにしてもよい。このような構成によれば、短手方向(前後方向)の照度分布をより一層均一化することができる。
【0045】
上述の例では照度検出部5を左右方向に移動自在に構成して照度センサー52により各位置の照度をスキャンするようにしていたが、照度検出部を固定型として、照射領域の照度を一括して測定するようにしてもよい。
また光処理装置は、光増感化学増幅型のレジストに限らず、通常のレジストを塗布したウエハWの増感や線幅の調整を行う装置でもよい。また例えば光を照射して、塗布膜である、ドライエッチング時の保護膜となるカーボン膜中の架橋反応を進行させて、耐エッチング耐性を向上させる装置や、レジスト膜の硬化を促進する装置であってもよい。また有機膜を硬化させるための装置、あるいはウエハWに光を照射することにより塗布膜中の下層膜の膜厚を調整する装置であってもよい。
【0046】
次に、本発明の実施の形態に係る塗布、現像装置として、光増感化学増幅型レジストをウエハWに塗布し、露光後のウエハWを現像してレジストパターンを形成する塗布、現像装置に光処理装置を適用した例について説明する。
図1に示すように塗布、現像装置は、キャリアブロックD1と、検査ブロックD2と、処理ブロックD3と、インターフェイスブロックD4と、を横方向に直線状に接続することで構成されている。またインターフェイスブロックD4には露光装置D5が接続されている。キャリアブロックD1は、円形の基板であるウエハWを格納するキャリアCが載置される載置ステージ11を備えている。図中12は開閉部、図中13はキャリアCと検査ブロックD2との間でウエハWを搬送するための移載機構である。
【0047】
検査ブロックD2には、キャリアブロックD1側から見て左右に並ぶように2台の検査装置23が設けられ、検査装置23の間における、キャリアブロックD1側には、ウエハWを一時載置する受け渡しステージ10が設けられ、処理ブロックD3側には、受け渡しステージ10と、検査装置23と、処理ブロックD3との間でウエハWの受け渡しを行うための移載機構19が設けられている。検査装置23においては、現像処理後においてウエハWに形成されたパターンの線幅の検査が行われる。具体的には、ウエハWを径方向に分割し、各分割領域におけるパターンの線幅を検出し、ウエハW内の分割領域の位置とパターンの線幅とを対応付けてパターン情報として制御部100に記憶する。
【0048】
処理ブロックD3は、
図2に示すようにウエハWに液処理を行う単位ブロックE1〜E6が下方から順番に積層されて構成されており、これらの単位ブロックE1〜E6では互いに並行してウエハWの搬送及び処理が行われる。単位ブロックE1、E2が互いに同様に構成され、単位ブロックE3、E4が互いに同様に構成され、単位ブロックE5、E6が互いに同様に構成されている。
【0049】
ここでは単位ブロックのうち代表してE5を、
図1を参照しながら説明する。キャリアブロックD1からインターフェイスブロックD4へ向かう搬送領域F5の左右の一方側には棚ユニットUが前後方向に複数配置され、他方側には2つの現像モジュール21が前後方向に並べて設けられている。現像モジュール21は、ウエハWの表面に形成されたレジスト膜に現像液を供給する。棚ユニットUは、ウエハWを加熱する加熱モジュール22と、光処理装置である一括露光装置3と、を備えている。また、上記の搬送領域F5には、ウエハWの搬送機構である搬送アーム14が設けられており、この単位ブロックE5に設けられる各モジュール及び後述のタワーT1、T2において単位ブロックE5と同じ高さに設けられるモジュール間でウエハWが搬送される。
【0050】
単位ブロックE1〜E4は、ウエハWに供給する薬液が異なることを除き、単位ブロックE5、E6と同様に構成される。単位ブロックE1、E2は、現像モジュール21の代わりにウエハWに反射防止膜形成用の薬液を供給する反射防止膜形成モジュールを備えている、単位ブロックE3、E4は、現像モジュール21の代わりにウエハWに薬液として化学増幅型のレジストを供給してレジスト膜を形成するレジスト膜形成モジュールを備える。
【0051】
処理ブロックD3における検査ブロックD2側には、各単位ブロックE1〜E6に跨って上下に伸びるタワーT1と、タワーT1に対してウエハWの受け渡しを行うための昇降自在な受け渡し機構である受け渡しアーム15とが設けられている。タワーT1は互いに積層された複数のモジュールにより構成されており、ウエハWが載置される受け渡しモジュールを備えている。
インターフェイスブロックD4は、単位ブロックE1〜E6に跨って上下に伸びるタワーT2、T3、T4を備えており、タワーT2とタワーT3に対してウエハWの受け渡しを行うための昇降自在な受け渡し機構であるインターフェイスアーム16と、タワーT2とタワーT4に対してウエハWの受け渡しを行うための昇降自在な受け渡し機構であるインターフェイスアーム17と、タワーT2と露光装置D5の間でウエハWの受け渡しを行うためのインターフェイスアーム18が設けられている。露光装置D5はパターンマスクを用いてウエハWの表面を露光する。タワーT2は、受け渡しモジュール、露光処理前の複数枚のウエハWを格納して滞留させるバッファモジュール、露光処理後の複数枚のウエハWを格納するバッファモジュール、及びウエハWの温度調整を行う温度調整モジュールなどが互いに積層されて構成されている。
図1において100は、制御部であり、制御部100は、塗布、現像装置内におけるウエハWの搬送制御やプロセスレシピの管理などを行う。
【0052】
上述の塗布、現像装置及び露光装置D5からなるシステムにおけるウエハWの処理について説明するが、まず塗布、現像装置及び露光装置D5の全体的なウエハWの流れについて説明する。ウエハWは、キャリア11から移載機構13により、検査ブロックD2における受け渡しステージ10に載置され、次いで移載機構19により処理ブロックD3におけるタワーT1の受け渡しモジュールに搬送される。この受け渡しモジュールからウエハWは、タワーT1における単位ブロックE1、E2に各々対応する受け渡しモジュールに夫々振り分けられて搬送される。
【0053】
このように振り分けられたウエハWは、受け渡しモジュール→反射防止膜形成モジュール→加熱モジュール→受け渡しモジュールの順に搬送され、続いて受け渡しアーム15により単位ブロックE3、E4に夫々対応する受け渡しモジュールに振り分けられる。このように受け渡しモジュールに振り分けられたウエハWは、夫々対応するレジスト膜形成モジュールに搬送されて、表面全体に光増感化学増幅型のレジストが塗布され、レジスト膜が形成される。その後、ウエハWは、加熱モジュール→タワーT2の受け渡しモジュールの順で搬送され、タワーT3を介して露光装置D5へ搬入され、パターンマスクを用いて露光処理が行われる。これによりウエハWにおける露光処理によりパターン露光された領域に酸と光増感剤とが発生する。
【0054】
パターン露光後のウエハWは、単位ブロックE5、E6に夫々搬送される。然る後、光処理装置である一括露光装置3にてウエハWの表面全体が露光され、既述の光増感剤が光を吸収し、パターン露光された領域において更に酸と光増感剤とが発生する。このように一括露光が行われることによりレジスト膜においてパターン露光された領域において酸が増殖する。その後、ウエハWは加熱モジュール22に搬送されて加熱される。この加熱モジュール22によってパターン露光された領域が、酸によって変質し現像液に可溶となる。続いてウエハWは、現像モジュール21に搬送されて現像液が供給されて、変質した領域が現像液に溶解してレジストパターンが形成される。その後、ウエハWはタワーT1に搬送された後、検査ブロックD2を通過してキャリアブロックD1に搬入され、移載機構13を介してキャリア11に戻される。
上述の塗布、現像装置及び露光装置D5からなるシステムにおいては、例えば製品であるウエハWの処理の前に検査用ウエハを用いて成膜を行い、検査装置23にて取得された検査用ウエハのパターン情報に基づいて一括露光装置3におけるLED光源群400の各セルごとの照度が決定される。