(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光の検出位置を基準検出位置として測定する工程及び前記光の検出位置を遮光後検出位置として測定する工程において、前記光学素子の上方に、1つの前記レンズ部を通過する光を通す開口部が設けられた第2遮光部材が配置され、前記開口部を通過した光の検出位置を測定することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するためのフローチャートである。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る製造方法により作製された発光装置の上面図である。
【
図3】
図3は、
図2の発光装置において基部の凹部の内側を説明するための図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するための図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するための図である。
【
図6A】
図6Aは、第1実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するための図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するための図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するための図である。
【
図9】
図9は、第1実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するための図である。
【
図10】
図10は、第1実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するための図である。
【
図11】
図11は、遮光部材を設けずに光検出器で測定した場合の図である。
【
図13A】
図13Aは、光源と光学素子との距離が所望の距離である場合における発光装置からの光の行路を示す図である。
【
図14A】
図14Aは、光源と光学素子との距離が所望の距離よりも短い場合における発光装置からの光の行路を示す図である。
【
図15A】
図15Aは、光源と光学素子との距離が所望の距離よりも長い場合における発光装置からの光の行路を示す図である。
【
図16】
図16は、レンズ部のずれ量と調整量とを示すグラフである。
【
図17】
図17は、第2実施形態に係る製造方法により作製された発光装置の斜視図である。
【
図21】
図21は、第2実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するための図である。
【
図22】
図22は、第2実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するための図である。
【
図23A】
図23Aは、第2実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するための図である。
【
図24】
図24は、第2実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するための図である。
【
図25】
図25は、第2実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するための図である。
【
図26】
図26は、第2実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら以下に説明する。ただし、以下に示す形態は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、本発明を限定するものではない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするために誇張していることがある。本明細書では、発光装置300、600の光取出し面側(
図4の上側、
図21の上側)を上方とし、その反対側(
図4の下側、
図21の下側)を下方とする。
【0008】
<第1実施形態>
図1に第1実施形態に係る発光装置300の製造方法のフローチャートを示し、
図2に本実施形態の製造方法により作製された発光装置300の上面図を示し、
図3に光源100の上面図を示す。
図3においては、光源100に含まれる基部110の凹部の内部をわかりやすくするために、蓋部150を透過して視た図を示している。また、
図4〜
図10に発光装置300の製造方法を説明するための図を示す。
【0009】
図4〜
図10に示すように、発光装置300の製造方法は、ステージ710の上方に、1以上の半導体レーザ素子を含む光源100を配置する工程S1と、光源100の上方に、1以上のレンズ部を含む光学素子200を配置する工程S2と、半導体レーザ素子を発光させ、レンズ部を通過した後に集光レンズ714を通過した光を光検出器715で検出して、光検出器715における光の検出位置を基準検出位置として測定する工程S3と、光学素子200と集光レンズ714との間に、遮光部材712を配置する工程S4と、レンズ部を通過した光の一部を遮光部材712で遮光し、レンズ部及び集光レンズ714を通過した残りの一部の光を光検出器715で検出して、光検出器715における光の検出位置を遮光後検出位置として測定する工程S5と、基準検出位置と遮光後検出位置とに基づいて、光検出器715における遮光部材712で遮光された後の光の検出位置が基準検出位置に近づくように光源100と光学素子200との距離を調整する工程S6と、光源100の上方に光学素子200を固定する工程S7と、を順に含む。
【0010】
発光装置300の製造方法によれば、光学素子200を通過した後の光源100からの光の広がり角を比較的短い時間で所望の角度に調整することができる。以下で、詳述する。
【0011】
各部材の実装誤差や公差があるため、例えば、複数の発光装置において、光学素子を通過した光を平行光により近づけるためには、光源と光学素子との間の距離(以下では「光学素子の高さ」ともいう)を発光装置ごとに調整する必要がある。光源と光学素子との間の距離を調整する場合は、半導体レーザ素子を発光させてレンズ部を通過した光を光検出器で検出して検出された光の輝度を測定する工程を、光学素子の高さを変えながら複数回行い、得られた結果から光学素子の高さを調整することが考えられる。しかしながら、この場合は、光検出器で複数回測定を行う必要があるため、光学素子の高さの調整に時間がかかる。
【0012】
そこで、発光装置300の製造方法では、レンズ部を通過した光の一部を遮光部材712で遮光し、遮光されていない残りの光を光検出器715で検出し、光の位置を確認している。そして、基準検出位置と遮光後検出位置とのずれ量に基づいて光学素子の高さを調整している。これにより、ずれ量から光学素子を上方又は下方にどの程度移動させればよいかを直接求めることができるため、比較的短い時間で光学素子の高さ調整を行うことができる。
【0013】
以下において、発光装置300の製造方法について説明する。
【0014】
(光源100を準備する工程)
まず、
図3に示すように、1以上の半導体レーザ素子を含む光源100を準備する。なお、ここでは3つの半導体レーザ素子を含む光源100を準備しているが、1つの半導体レーザ素子を含む光源を準備してもよい。光源100としては、実装基板100Bの上面にパッケージ100Aが実装されたものを用いている。実装基板100Bへのパッケージ100Aの実装は、例えば、共晶半田等を用いて行うことが考えられるが、パッケージ100Aの実装時に共晶半田の厚みにばらつきが生じることから、光源ごとに、高さにばらつきが生じる場合がある。そこで、実装基板100Bと、実装基板100Bに実装されたパッケージ100Aと、を含む光源100をステージ710の上方に配置して光学素子200の高さ(Z方向)の調整を行うことにより、実装基板100Bの下面に対して光を所望の方向に出射するように光学素子200の調整を行うことができる。なお、実装基板100Bは省略してもよい。
【0015】
パッケージ100Aは、
図3及び
図4に示すように、凹部が設けられた基部110と、凹部の底面に配置された1以上の半導体レーザ素子121〜123と、凹部の底面に配置された1つの光反射部130と、凹部を塞ぐように基部110の上面に固定された、透光性の領域を含む蓋部150と、を含む。
【0016】
ここでは、パッケージ100Aは、一列に配置された3つの半導体レーザ素子121〜123を含む。3つの半導体レーザ素子は、それぞれ、青色発光の第1半導体レーザ素子121と、赤色発光の第2半導体レーザ素子122と、緑色発光の第3半導体レーザ素子123と、からなる。第1半導体レーザ素子121及び第3半導体レーザ素子123は窒化物半導体であるGaN系の半導体を含み、第2半導体レーザ素子122はGaAs系の半導体を含む。また、第1半導体レーザ素子121と第3半導体レーザ素子123は1つの発光点から光が出射されるが、第2半導体レーザ素子122は2つの発光点から光が出射される。なお、各半導体レーザ素子を構成する材料、発光点の数などはこれらに限定されない。
【0017】
光反射部130は、半導体レーザ素子からの光を上方に反射させるものである。光反射部130としては、例えば、ガラスに、金属膜及び誘電体多層膜の少なくとも一方が設けられたものを用いる。光反射部130が設けられていることにより、各半導体レーザ素子の光出射端面から光学素子200の光入射面(下面)までの光の行路を長くすることができる。これにより、光反射部130で反射された光の光軸とレンズ部とのずれが一定であれば、光の行路が短い場合に比べて、レンズ部を通過した後の光の進行方向のずれを低減しやすい。
【0018】
蓋部150はサファイアからなる。サファイアは、比較的、高透過率で且つ高硬度な材料であるため、各半導体レーザ素子からの光を透過させやすく、且つ、蓋部150が破損する可能性も少ない。蓋部150と基部110とは、Au−Snからなる共晶半田等により接合されている。このとき、半導体レーザ素子として、窒化物半導体を含むものを用いる場合は、半導体レーザ素子への集塵を抑制するために、基部110と蓋部150とにより構成される空間は気密封止された空間とすることが好ましい。蓋部150は、サファイアの他に、ガラス等の透光性を有する材料からなってもよい。また、蓋部150は、透光性の材料からなる透光部と金属等の材料からなる支持部とを含んでいてもよい。なお、蓋部が、金属の支持部と透光部とからなる場合は、基部110における、蓋部150の支持部が固定される領域は金属から構成される。
【0019】
各半導体レーザ素子は、ワイヤ140により基部110と電気的に接続されている。基部110は、各半導体レーザ素子に対応する配線を有しており、配線は基部110の上面及び下面に達している。そして、基部110は、その下面において、実装基板100Bと電気的に接続されている。ここでは、各半導体レーザ素子が個別に発光できるように、複数の配線が設けられている。
【0020】
(ステージ710の上方に光源100を配置する工程S1)
次に、
図4に示すように、光測定システム700に含まれるステージ710の上方に、光源100を配置する。光測定システム700は、ステージ710と、光源100の上方に配置する光学素子200の位置調整を行う支持部711と、レンズ部を通過した光の一部を遮光する遮光部材712と、遮光部材712の上方に配置された集光レンズ714と、集光レンズ714を通過した光であって遮光部材712で遮光されない光を検出する光検出器715と、光検出器715で検出した光の検出位置を測定する解析装置716と、を含む。ステージ710、支持部711、集光レンズ714、光検出器715、及び解析装置716を含むシステムとしては、例えば、オートコリメータを使うことができる。ここでは、光測定システム700は、支持部711と集光レンズ714との間に、1つのレンズ部を通過する光を通す開口部が設けられた第2遮光部材713を含む。後述するように半導体レーザ素子からの光にある程度広がりがある場合は迷光が出やすくなるため、レンズ部を通過した光以外の光の影響を受けやすくなるが、第2遮光部材713が配置されていることにより、1つのレンズ部を通る光を正確に測定しやすくなる。なお、この工程では遮光部材712は光源100の直上に位置しないように配置されている。
【0021】
(光源100の上方に光学素子200を配置する工程S2)
次に、
図4に示すように、支持部711で光学素子200を支持しながら、光源100の上方に、1以上のレンズ部を含む光学素子200を配置する。光学素子200としては、例えば、コリメートレンズを用いる。ここでいうコリメートレンズは、各レンズ部を通過した光が完全に平行になるものだけでなく、平行に近づけるものも含まれることとする。光学素子200には、例えば、ショット製の「B270」や「BK7」(硼珪酸ガラス)などのガラス等を用いることができる。光学素子200は、光源100に含まれる半導体レーザ素子の数に対応する数のレンズ部を含むことが好ましい。ここでは、1以上のレンズ部を含む光学素子200として、第1半導体レーザ素子121からの光が通過する第1レンズ部211と、第2半導体レーザ素子122からの光が通過する第2レンズ部212と、第3半導体レーザ素子123からの光が通過する第3レンズ部213と、が一列に配置されたものを用いている。そして、
図2に示すように各レンズ部は一方向に繋がって設けられている。
【0022】
光学素子200としては、
図2に示すように、上面視においてレンズ部の周囲に設けられた非レンズ部240を備えるものを用いることが好ましい。これにより、後述する光学素子200を固定する工程において、非レンズ部240に接着剤160を介在させて、基部110に固定することができ、半導体レーザ素子からの光が接着剤160に当たることを抑制しやすくなる。非レンズ部240の上面及び下面は平面とすることができる。非レンズ部240の上面が平面であれば、光学素子200を支持部711で支持しやすい。なお、工程S1と工程S2の順番は逆であってもよい。つまり、光学素子200を配置した後に、光源100を光学素子200の下方に配置してもよい。
【0023】
(基準検出位置を測定する工程S3)
次に、半導体レーザ素子を発光させ、レンズ部を通過した後に集光レンズ714を通過した光を光検出器715で検出して、光検出器715における光の検出位置を基準検出位置として測定する。ここでは、
図5に示すように、平面方向(X方向、Y方向)における光学素子200のレンズ部の位置を第1半導体レーザ素子121からの光が第1レンズ部211の中心を通るように調整し、調整後の位置で基準検出位置を測定している。これにより、レンズ部における光の進行方向のばらつきを低減することができるため、Z方向におけるレンズ部の位置の調整が容易となる。
【0024】
平面方向における光学素子200のレンズ部の調整では、レンズ部を通った後の光が基部110の下面に対して垂直な方向に進行するように調整する。なお、平面方向における光学素子200の位置を調整せずに、半導体レーザ素子を発光させて光検出器で検出した位置で基準検出位置を測定してもよい。
【0025】
ここでは、光検出器715として、オートコリメータに含まれるCCDイメージセンサを用いており、CCDイメージセンサからのデータを表示する表示画面における光の位置を確認して位置を測定している。具体的には、まず、第1半導体レーザ素子121を発光させて、第1レンズ部211を通過し、集光レンズ714を通過した光を検出してCCDイメージセンサにおける光の位置(調整前位置)を検出する。そして、調整前位置が所定の値からずれている場合は、光検出器715における光の検出位置が所定の位置になるように、平面方向における光学素子200の位置を調整する。そして、調整後の所定の位置を基準検出位置として測定する。なお、平面方向における光学素子200の位置の調整を行わない場合は、表示画面に写る光の位置を基準測定位置として測定し、後述する光学素子200と光源100との距離を調整する工程を行う。また、調整前位置が所定の位置と一致する場合は、平面方向における光学素子200の調整は行わない。光検出器715としては、CCDイメージセンサの他に、CMOSイメージセンサ等の撮像素子を用いることができる。
【0026】
光検出器715として、オートコリメータに含まれるCCDイメージセンサを用いる場合は、光検出器715で測定可能な発光強度の範囲が比較的狭い。言い換えると、光検出器715で検出される光の強度が高すぎると光検出器715のダイナミックレンジを超えてしまい、白く写る(白飛びして写る)ことにより輝度分布を測定できない可能性があり、光検出器715で検出される光の強度が低すぎると光検出器715で検出できない可能性がある。また、半導体レーザ素子ごとの性能ばらつきにより、一定の電流値で測定できない可能性がある。そこで、本実施形態では、閾値よりも低い電流値を流し、測定可能な電流値まで少しずつ電流値を上げながら測定している。例えば、5mA以上300mA以下の範囲内の電流値を流しながら測定する。前述の下限値以上の電流を流すことにより、光検出器715で光の位置を検出しやすくなり、前述の上限値以下の電流を流すことにより、測定可能な輝度の範囲を超えることを防ぐことができる。なお、オートコリメータを使って測定する場合は、光検出器715にND(Neutral Density)フィルタを設け、半導体レーザ素子を発振させてレーザ光により基準検出位置の測定を行ってもよい。また、光検出器715が、発光強度に耐えられるものであれば、閾値電流以上の電流値を流して測定を行ってもよい。
【0027】
閾値よりも低い電流値で発光させる場合は、本実施形態に示すように、第2遮光部材713が配置されていることが特に好ましい。閾値よりも低い電流値で発光させる場合は、レンズ部を通る光が広がりやすいため迷光が出やすくなるが、第2遮光部材713を配置することにより迷光の影響をある程度小さくすることができるため、光学素子200の高さを正確に調整しやすくなる。
【0028】
光源100が複数の半導体レーザ素子を含む場合は、上述のように、測定する半導体レーザ素子のみを発光させることが好ましい。これにより、隣り合う半導体レーザ素子からの光が検出されることを抑制しやすくなる。なお、複数の半導体レーザ素子のすべてを発光させてもよいし、直列に接続されている複数の半導体レーザ素子を発光させてもよい。この場合は、第2遮光部材713を設けることによる遮光の効果がより顕著となる。
【0029】
(遮光部材712を配置する工程S4)
次に、
図6Aに示すように、光学素子200と集光レンズ714との間に、遮光部材712を配置する。つまり、光源100の一部を覆うように、光源100の直上に遮光部材712を配置する。このとき、
図6Bに示すように、上面視において、遮光部材712が、レンズ部を通過した光の半分以上を遮光するように配置されることが好ましい。これにより、後述する工程S5において、所定の広がり角からのずれ量を検出しやすくなる。したがって、工程S6において、光学素子200におけるレンズ部の位置の補正の精度を高くすることができる。遮光部材712としては、例えば、アルミニウム、等の金属材料を用いることができる。遮光部材712の形状は、集光レンズ714を通過した後の光の一部を遮ることができる形状であればよい。なお、理解を容易にするため、
図6Bでは第2遮光部材713及び支持部711を示していない。
【0030】
(遮光後検出位置を測定する工程S5)
次に、
図6A及び
図6Bに示すように、レンズ部を通過した光の一部を遮光部材712で遮光し、レンズ部及び集光レンズ714を通過した残りの一部の光を光検出器715で検出して、光検出器715における光の検出位置を遮光後検出位置として測定する。ここでは、遮光後検出位置は輝度分布における重心(以下「輝度重心」という。)の位置である。これにより、レンズ部の高さをより正確に調整しやすくできる。なお、遮光後検出位置は、輝度重心の位置のほかに、輝度検出面積における重心の位置であってもよい。
【0031】
輝度重心の位置は、光検出器715で検出される光のデータのX方向、Y方向の画素列ごとに算出する。ある画素列Yにおいて、X方向の輝度重心を以下の式(a)で算出する。
(a)…X=(Σ(Ki×xi)/ΣKi)
そして、求められたX方向の輝度重心をY方向で平均化し、輝度重心のX座標とする。同様に、Y方向の輝度重心を以下の式(b)で算出する。
(b)…Y=(Σ(Ki×yi)/ΣKi)
そして、求められたY方向の輝度重心をX方向で平均化し、輝度重心のY座標とする。
以上の方法により、輝度重心の位置を測定することができる。
【0032】
なお、遮光後検出位置を測定する方法はこの方法に限定されるものではなく、輝度検出面積における重心の位置(単純2値化重心計算方法)などの別の方法を用いてもよい。
【0033】
遮光部材を配置せずに輝度重心の位置をCCDイメージセンサで撮影した結果を
図11に示し、遮光部材を配置して輝度重心の位置をCCDイメージセンサで撮影した結果を
図12に示す。遮光部材を配置しなかった場合は、レンズ部を通過した光が所望の光(ここでは平行光)になっていなくても、光検出器で検出された光の中心は所定の位置となった。これは、レーザ光の配光は一般的にガウシアン分布であるため、XY方向の位置合わせができていれば、平行光でなくても輝度重心の位置は0になるためである。一方で、同じものに対して遮光部材を配置して測定すると、
図12に示すように、光の広がり角がずれていることを確認することができた。なお、遮光部材712を配置する場合であっても、平行光になっていれば
図11のように、輝度重心の位置は基準検出位置Cに一致するため、正しく認識することができる。このように、本実施形態の製造方法によれば、光の広がり角のずれを正確に認識することができるため、光学素子200と光源100との間の距離を正確に調整することができる。
【0035】
レンズ部の高さが所望の高さである場合(レンズ部を通過した後の光が平行光になる場合)は、輝度重心のX座標及びY座標が0になるため、
図13Bに示すように基準検出位置Cと遮光後検出位置Pとが一致する。レンズ部の高さが所望の高さよりも低い場合は、
図14Aに示すように、レンズ部を通る光が広がるため、集光レンズ714で集光しきらないまま光検出器715で測定される。このときは輝度重心のX座標が0よりも大きい値になるため、例えば
図14Bに示すように、遮光後検出位置Pは基準検出位置Cよりも右側に位置する。この場合は、基準検出位置Cと遮光後検出位置Pとのずれ量からレンズ部の高さのずれ量を求め、求めたずれ量に基づいてレンズ部の高さを高くする。レンズ部の高さが所望の高さよりも高い場合は、
図15Aに示すようにレンズ部を通る光は集光され、遮光部材712で遮光されていない集光レンズ714を通る光は遮光部材712と重なる位置で検出される。このときは輝度重心のX座標は0よりも小さい値になるため、例えば
図15Bに示すように基準検出位置Cよりも左側に遮光後検出位置Pが検出される。この場合も、遮光後検出位置Pと基準検出位置Cとのずれ量からレンズ部の高さのずれ量を求め、求めたずれ量に基づいてレンズ部の高さを低くする。
【0036】
ここでは、レンズ部を通過した光のファーフィールドパターンは一方向に長い形状であり、
図6Bに示すように、遮光部材712で、レンズ部を通過した光のうちの、一方向に長い形状の長手方向の一部を遮光している。半導体レーザ素子から照射されるレーザ光のファーフィールドパターンは一方向に長い形状となり、その形状の長手方向において光の広がりによる影響が大きくなりやすい。つまり、
図6BのX方向における光の広がりよりもY方向における光の広がりが顕著となる。X方向における広がり角よりもY方向における広がり角が大きくなりやすいため、Y方向において光を遮光することにより、広がり角を調整しやすくなる。ここでいう「ファーフィールドパターン」とは、半導体レーザ素子の光出射面とからある程度離れており且つ光出射面と平行な面において放射光の光強度分布を測定したものであり、例えば、ピーク強度値から1/e
2等の任意の強度に落ちたときの強度における形状として特定される。
【0037】
(光源100と光学素子200との距離を調整する工程S6)
次に、
図7に示すように、基準検出位置と遮光後検出位置とに基づいて、光検出器715における遮光部材712で遮光された後の光の検出位置が基準検出位置に近づくように光源100と光学素子200との距離を調整する。具体的には、基準検出位置と遮光後検出位置との差に基づいて、レンズ部を通って光検出器715で検出される光の位置が基準検出位置と同じ位置となるように、光学素子200のレンズ部の高さを調整する。
【0038】
光学素子200のレンズ部の高さの調整は、事前に、基準検出位置と遮光後検出位置とのずれ量に基づく光学素子200のずれ量を測定し、光学素子200の高さを調整する量を求めたテーブルを作り、そのテーブルに基づいて調整して行うことができる。
図16に、基準検出位置と遮光後検出位置との複数のずれ量(レンズ部のずれ量)と、複数のずれ量それぞれにおける調整量(レンズ部を透過した後の光を平行光にするためにZ方向においてどの程度レンズ部を移動させるべきかを示す値)と、を示すテーブルに基づいて作成したグラフを示す。このグラフは、1つの光学素子に含まれる4つのレンズ部(レンズ1〜レンズ4)において、レンズ部のずれ量と位置のずれ量との関係を示している。
図16において各レンズ部の挙動がよく近似していることから、個別のレンズ部それぞれにおいてこのグラフに基づいてレンズ部の高さ補正ができることが分かる。なお、正確には、
図16に示すグラフから補正量だけでなく、レンズ部を高くすべきか又は低くすべきかについても理解できる。
【0039】
光学素子200ごとにテーブルを作成することにより、より正確にレンズ部の高さを調整することができる。しかし、同じ条件で作製された光学素子200であれば、個体ごとの差が大きくないため、同じテーブルを使って調整することが好ましい。これにより、光学素子200の調整に要する手間と時間を減らすことができるため、発光装置300を量産しやすくなる。
【0040】
次に、
図8に示すように、第3レンズ部213において、基準検出位置を測定する。基準検出位置の測定は上述した基準検出位置の測定と同様に行う。このときは、遮光部材712は測定するレンズ部の直上には位置しないように配置する。そして、
図9に示すように、遮光部材712を改めて配置し、基準検出位置と遮光後検出位置とを測定し、基準検出位置と遮光後検出位置とに基づいて、光検出器715における遮光部材712で遮光された後の光の検出位置が基準検出位置に近づくように光源100と光学素子200との距離を調整する。
【0041】
上述のように、1以上の半導体レーザ素子として、一列に配置された2以上の半導体レーザ素子を用い、1以上のレンズ部を含む光学素子として、一列に配置された2以上のレンズ部を含む光学素子200を用いる場合は、一列に配置された2以上のレンズ部のうちの一端及び他端の2つのレンズ部において、基準検出位置を測定する工程と遮光検出位置を測定する工程と、を行うことが好ましい。これにより、測定にかかる時間を減らしながら、各レンズ部から出射される光を、所定の広がり角にある程度近づけることができる。また、本実施形態のように第2半導体レーザ素子122が2つの発光点を有する場合は、光の広がり角を検出しにくくなるため、発光点が1つの青色発光の半導体レーザ素子121や、緑色発光の半導体レーザ素子123により検出することが好ましい。なお、すべてのレンズ部において、基準検出位置の測定から光学素子200の高さの調整までを行ってもよい。この場合は、光源100の下面(ステージ710の上面)と光学素子200の下面とが平行な状態で、各レンズ部で測定した高さの平均の高さになるように光学素子200の位置を調整する。
【0042】
ここでは、第1レンズ部211において、基準検出位置の測定から光学素子200の高さの調整までを行い、その後第3レンズ部において同様の工程を行っている。つまり、レンズ部ごとに測定から調整までを行っている。これにより、2つ目以降のレンズ部を測定する場合に所定の位置からのずれ量を少なくすることができるため、調整を行いやすくなる。このほかに、基準検出位置の測定から遮光後検出位置の測定までを、測定するレンズ部ごとにまとめて行い、その後に光源100と光学素子200との距離を調整してもよい。この場合は、光源100と光学素子200との距離をまとめて調整することができるため時間を短縮することができる。
【0043】
2つ以上のレンズ部において測定を行う場合は、光学素子200の傾きも調整することが好ましい。具体的には、各レンズ部からの光が所望の高さになるように調整することが好ましい。これにより、各半導体レーザ素子からの光を所望の広がり角にしやすくなる。
【0044】
(光学素子200を固定する工程S7)
次に、調整後の位置で光学素子200を光源100に固定する。ここでは、光源100の4角において、光硬化性の接着剤160により光学素子200を透光部材に固定している。
【0045】
<第2実施形態>
図17に第2実施形態に係る製造方法により作製された発光装置600の斜視図を示し、
図18に発光装置600の上面図を示す。また、
図19に光源400の上面図を示し、
図20に基部410の凹部の内部を説明するための図を示す。発光装置600の製造方法は、以下で説明する事項以外は、第1実施形態で説明した事項と実質的に同一である。
【0046】
まず、光源を準備する工程において、実装基板を含まない光源400を準備する。基部410は、銅や鉄等の金属材料を含む。
図20に示すように、基部410の凹部の内側には、20個の半導体レーザ素子が配置されている。半導体レーザ素子121はGaN系の半導体を含む青色発光の半導体レーザ素子である。また、基部410の凹部の内側には、半導体レーザ素子の数に対応する光反射部130が配置されている。さらに、
図19に示すように、蓋部として、金属からなる支持部421と、ガラスからなる透光部422と、を含むものを用いている。ここでは、蓋部420は、半導体レーザ素子からの光に対応する数の透光部422を有するが、1つの透光部422であってもよい。基部410と蓋部420とは溶接により固定されており、基部410と蓋部420とにより構成される空間は気密封止された空間である。
【0047】
そして、工程S2において、光測定システムとして、第2遮光部材713が設けられていないものを用いている。なお、本実施形態において第2遮光部材を含む光測定システムにより調整を行ってもよい。
【0048】
そして、工程S3において、リードピン411に直列に接続された複数の半導体レーザ素子を発光させながら、1つのレンズ部を通る光を検出している。
【0049】
そして、
図21〜
図24に示すように、第1レンズ部211において、基準検出位置の測定から第1レンズ部211と光源400との距離の調整までを行い、その後、第5レンズ部215、第20レンズ部230においても同様に基準検出位置の測定から調整までを行う。そして、
図25に示すように、第1レンズ部211と、第5レンズ部215、及び第20レンズ部230において測定した所定の高さとなるように、光学素子200の傾きを調整する。
図25では、Y方向の傾きの調整しか図示していないが、X方向においても傾きの調整を行っている。これにより、各レンズ部からの光を所望の広がり角にある程度近づけることができる。そして、
図20に示すように基部410に光学素子200を固定する。このとき、接着剤160は、
図16及び
図17に示すように、上面視において、光学素子200の外縁の対向する2辺に設けられている。
【0050】
上述のように、1以上の半導体レーザ素子として、2行以上及び2列以上に配置された4以上の半導体レーザ素子を用い、
図17に示す光学素子200のように、1以上のレンズ部を含む光学素子として、2行以上及び2列以上に配置された4以上のレンズ部を含む光学素子を用いる場合は、4以上のレンズ部のうちの角に位置する4つのレンズ部のうちの少なくとも3つのレンズ部で、基準検出位置を測定する工程及び遮光後検出位置を測定する工程を行うことが好ましい。これにより、レンズ部の傾きを調整する場合に、各レンズ部から取り出される光の広がり角をある程度所定の広がり角に近づけることができる。