(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記被覆部材は、トリアジン誘導体エポキシ樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステルからなる群から選択される1種または2種以上の樹脂を含む、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の発光装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施形態1に係る複合基板1]
図1Aは実施形態1に係る複合基板の模式的上面図であり、
図1Bは実施形態1に係る複合基板の模式的下面図であり、
図1Cは
図1A中のA−A断面図である。
図1Aから
図1Cに示すように、実施形態1に係る複合基板1は、基板12と被覆部材30とを備えている。基板12は、セラミックからなる基体14と、基体14の上面に設けられた第1配線18と、基体14の下面に設けられ第1配線18に電気的に接続される第2配線24と、を有する。被覆部材30は、第1配線18及び第2配線24が露出するよう基体14を被覆する。以下、順に説明する。
【0012】
(基板12:セラミックからなる基体14)
基体14は基板12の母材となる部材である。基体14は、セラミックからなり、絶縁性を有している。具体的には、例えば、アルミナ、窒化アルミ、ジルコニア、窒化シリコン、炭化シリコン、アルミノケイ酸塩等の他、LTCC(low Temperature Co-fired Ceramics)、またはこれらの組み合わせからなる部材が基体14の一例となる。基体14は、単層からなるものであってもよいし、複数の層からなるものであってもよい。基体14が複数の層からなる場合、各層の間には内層配線を設けてもよい。
【0013】
(基板12:第1配線18、第2配線24)
基体14の上面(最上面)には第1配線18が設けられ、基体14の下面(最下面)には第1配線18に電気的に接続される第2配線24が設けられる。第1配線18には後述する発光素子34が実装され、第2配線24は外部電極などに接続される。第1配線18は互いに離間する第1領域20及び第2領域22を有しており、第1領域20及び第2領域22は正負一対の電極として機能する。同様に、第2配線24は互いに離間する第1領域26及び第2領域28を有しており、第1領域26及び第2領域28は正負一対の電極として機能する。第1配線18の第1領域20と第2配線24の第1領域26は、例えばスルーホール(ビア)16を介して電気的に接続される。同様に、第1配線18の第2領域22と第2配線24の第2領域28も、例えばスルーホール(ビア)16を介して電気的に接続される。なお、これらの領域は、スルーホール(ビア)16以外の方法により(例えば、基体14の側面に第1領域20と第1領域26とを接合する金属と、第2領域22と第2領域28とを接合する金属と、を設けることにより)、電気的に接続することもできる。
【0014】
第1配線18や第2配線24は各種の金属材料を用いて形成することができる。一例を挙げると、第1配線18や第2配線24は、例えば、WやCuなどを基体14に設けた後、基体14を焼成し、その後、WやCuなどの表面を、Au、Ag、Pt、Pd、Rh、Ni、Cu、W、Mo、Cr、Ti、Alなどの金属およびその合金の1種または2種以上でメッキすることにより形成することができる。なお、WやCuの表面に形成されるメッキは単層で形成することもできるし、複数の層で形成することもできる。
【0015】
複合基板1の下面には、例えば、
図1Dに示すように、第2配線24と電気的に接続される導電部材(以下、延伸部32という。)を設けてもよい。延伸部32は複合基板1の配線の一部として機能する。第2配線24の下面から被覆部材30の下面へと延伸部32を延伸(例:
図1Dでは横方向に延伸)させることで、複合基板1の下面に設けられる配線の面積を第2配線24の下面の面積よりも大きくすることができる。このようにすれば、複合基板1の下面に設けられる配線の外部電極に対する接合面積を大きくすることができるため、半田実装性を向上させることができる。また、複合基板1の放熱性を向上させることもできる。延伸部32は、例えば、第2配線24上にメッキやスパッタ等を施すことなどにより設けることができる。
【0016】
(被覆部材30:被覆部材30の材料)
被覆部材30には、基体14よりも強度が低く、且つ、基体14よりも切断時(個片化時)に割れや欠けが生じにくい性質を有する樹脂を用いる。このような性質を有する樹脂としては、例えば、トリアジン誘導体エポキシ樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステルからなる群から選択される1種または2種以上の樹脂を一例として挙げることができる。
【0017】
被覆部材30は、その樹脂中に、添加材として、酸無水物、酸化防止剤、離型材、光反射部材、無機充填材、硬化触媒、光安定剤、及び/又は滑剤等を有していてもよい。添加材の総添加量は、樹脂に対して20〜90wt%であることが好ましいが、特に限定されるものではない。なお、樹脂中に添加材として酸化チタン(TiO
2)を40〜70wt%含有させれば、複合基板1の反射率を向上させることができる。また、樹脂中に無機充填材としてガラス繊維を20〜70wt%含有させれば、複合基板1の強度を向上させることができる。なお、添加材として用いる光反射部材の一例としては、酸化チタン、二酸化ケイ素、二酸化ジルコニウム、チタン酸カリウム、アルミナ、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、窒化ホウ素、ムライトなどを挙げることができる。
【0018】
(被覆部材30:被覆部材30による被覆)
被覆部材30は、第1配線18と第2配線24とがそれぞれ露出するように基体14を被覆する。換言すると、被覆部材30は、第1配線18と第2配線24の全てを被覆しないように基体14を被覆する。被覆部材30は、少なくとも基体14の一つの側面を被覆すればよく、全側面を被覆してもよい。例えば、基体14が4つの側面を有する場合においては、そのうちの一つの側面を被覆部材30で被覆し、その他の3つの側面を露出させることができる。この場合、露出する3つの側面の下方に凹部を設ければ、当該凹部が複合基板1のキャスタレーションとなる。この場合、キャスタレーションの内壁などに第1配線18などと電気的に繋がる導電部材を配置すれば、複合基板1を備えた発光装置を二次基板に半田を用いて実装する際に半田フィレットを容易に形成することが可能となり、発光装置を信頼性よく二次基板に実装することができる。
【0019】
被覆部材30は、基体14の上面の全域または一部、下面の全域または一部、あるいは上面の全域または一部と下面の全域または一部とを被覆していていることが好ましい。このようにすれば、被覆部材30と基体14の密着性が向上するため、複合基板1の強度が向上する。また、複合基板1の反射率が向上するため、複合基板1を備える発光装置において光出力が向上する。
【0020】
被覆部材30は、例えば、複合基板1の上面において第1配線18の表面と被覆部材30の表面が同じ高さ(ほぼ同じ高さを含む。)になるよう設けることができる。換言すると、被覆部材30は、基体14の上面における第1配線18間の空隙を埋めるように設けることができる。
【0021】
もっとも、被覆部材30は第1配線18の表面が被覆部材30の表面より高くなるよう設けることもでき、この場合は、後述する発光素子34を第1配線18に実装する際に、被覆部材30が発光素子34に緩衝することがないため、発光素子34を第1配線18に対して安定して接着・接合させることが可能となる。また、この場合は、第1配線18の表面が被覆部材30の表面と同じ高さである場合よりも発光素子34の高さが被覆部材30の上面に対して高くなるため、面光源等としての用途に適した広配光の発光装置を提供することが可能となる。
【0022】
また、被覆部材30は第1配線18の表面が被覆部材30の表面より低くなるよう設けることもでき、この場合は、後述する発光素子34が傾かないよう発光素子34の側面を被覆部材30で支持することが可能となる。また、この場合は、第1配線18の表面が被覆部材30の表面と同じ高さである場合よりも発光素子34の高さが被覆部材30の上面に対して低くなるため、レンズやリフレクターに組み合わせて使用される点光源としての用途に適した狭配光の発光装置を提供することが可能となる。
【0023】
被覆部材30は、例えば、複合基板1の下面において第2配線24の表面と被覆部材30の表面が同じ高さ(ほぼ同じ高さを含む。)になるよう設けることができる。換言すると、被覆部材30は、基体14の下面における第2配線24間の空隙を埋めるようにして設けることができる。このようにすれば、第2配線24と外部電極とを半田接合する際に、半田が第2配線24の側面に濡れ広がることを抑制できるため、第2配線24の第1領域26と第2領域28とが半田の漏れに起因して短絡することを防止できる。
【0024】
もっとも、被覆部材30は第2配線24の表面が被覆部材30の表面より高くなるよう設けることもでき、この場合は、第2配線24の側面に半田フィレットを形成して半田接合の接合強度を向上させることができる。
【0025】
また、被覆部材30は、第2配線24の表面が被覆部材30の表面より低くなるよう設けることもでき、この場合は、第2配線24と外部電極とを半田接合する際に、発光素子100の傾きを抑制することができる。
【0026】
(被覆部材30:被覆部材30の厚み)
基体14の側面における被覆部材30の厚みは、例えば100μm〜1000μm程度である。基体14の側面における被覆部材30は、基体14より厚くてもよいし、薄くてもよいし、同じ厚み(ほぼ同じ厚みを含む。)であってもよい。ただし、複合基板1を平板状に構成する場合は、基体14の側面における被覆部材30を基体14と同じ厚み(ほぼ同じ厚みを含む。)にすることが好ましい。
【0027】
以上説明した実施形態1によれば、後述するように、被覆部材30を切断することにより複合基板集合体を個片化できるため、セラミック基板と同等の強度を有するがセラミック基板よりも短時間且つ低コストで製造可能な複合基板1を提供することができる。また、実施形態1によれば、被覆部材30が緩衝材となり基体14の反りが抑制されるため、当該反りに起因して複合基板1に実装される各種部品(例:後述する発光素子34や封止部材36など)が破損(ひび割れ等)してしまうことを防止できる。さらに、実施形態1によれば、基板14の幅や奥行きではなく、被覆部材30の幅や奥行きを基体14の側方において拡大することにより、複合基板1全体の上面面積を拡大して、大型の封止部材36であってもこれを複合基板1上に配置することが可能となる。したがって、大型の封止部材36を備えた発光装置であっても低コストで提供できるようになる。一般に、被覆部材30は基体14よりも安価だからである。
【0028】
[実施形態1に係る発光装置100]
図2Aは実施形態1に係る発光装置の模式的上面図であり、
図2Bは実施形態1に係る発光装置の模式的下面図であり、
図2Cは
図2A中のB−B断面図である。
図2Aから
図2Cに示すように、実施形態1に係る発光装置100は、実施形態1に係る複合基板1と、第1配線18に実装された少なくとも1つの発光素子34と、を備える発光装置である。
【0029】
(発光素子34)
発光素子34は第1配線18に実装される。発光素子34には、例えば、成長用基板(例えばサファイア基板)上に半導体積層体(n側半導体層、活性層、及びp側半導体層を順次積層したもの)を備えたものを用いることができるほか、成長用基板がレーザーリフトオフ、ケミカルリフトオフ、またはグラインディング等によりを除去されたものを用いることもできる。発光素子34の第1配線18への実装は、例えば、ワイヤボンディングやバンプを用いたフリップチップ実装などにより行うことができるが、特に限定されるものではない。
【0030】
(封止部材36)
発光装置100は、発光素子34を封止する封止部材36を備えていてもよい。封止部材36は、特に限定されるものではないが、例えば、発光素子34から出射した光を集光するレンズ形状(例えば凸レンズ状)に形成することができる。
【0031】
(保護素子38)
発光装置100は保護素子を備えていてもよい。保護素子は、例えば、第1配線18上に実装される。保護素子が正電極と負電極を備える場合、保護素子の正電極は、例えば、AgペーストやAuSnなどの導電性ボンディング剤で第1配線18の第1領域20に接着・接合され、保護素子の負電極は、例えば、第1配線18の第2領域22にワイヤボンディングで接着・接合される。保護素子は、保護素子での光吸収が低減されるよう、被覆部材30によってその一部が覆われていることが好ましく、その全部が覆われていることがさらに好ましい。
【0032】
[実施形態2に係る複合基板2]
図3は実施形態2に係る複合基板の模式的断面図である。
図3に示すように、実施形態2に係る複合基板2は、基体14が凹部Xを有する点で、基体14が平板状である実施形態1に係る複合基板1と相違する。このように、基体14としては、平板状の部材だけではなく、様々な形状の部材を用いることができる。なお、凹部Xの内側面(内側壁)は、凹部Xの底面に垂直であってもよいし、傾斜していてもよい。ただし、傾斜させる場合は、上面に近づくにつれて凹部Xの内径が広がるように傾斜させることが好ましい。このようにすれば、凹部Xの底面に発光素子34を載置する場合において、発光素子34からの光を凹部Xの内側面(内側壁)にて上方向に反射させやすくなるため、当該内側面(内側壁)の傾斜角度を調整することにより発光装置の配光を調整することが可能となる。なお、被覆部材30は、被覆部材30と基材14との密着性を向上させるべく、凹部Xが形成されている部分において特に厚く設けられていることが好ましい。
【0033】
[実施形態2に係る発光装置200]
図4は実施形態2に係る発光装置の模式的断面図である。
図4に示すように、実施形態2に係る発光装置200は、実施形態2に係る複合基板2を備える点で、実施形態1に係る発光装置100と相違する。実施形態2に係る発光装置200において、発光素子34は基体14が有する凹部Xの底面に載置される。
【0034】
[実施形態3に係る複合基板3]
図5は実施形態3に係る複合基板の模式的断面図である。
図5に示すように、実施形態3に係る複合基板3は、基体14の上面上に被覆部材30と同一の材料からなる枠体Yが被覆部材30と一体的に形成される点で、実施形態1に係る複合基板1と相違する。このように、平板状の基体14を用いつつ、被覆部材30を利用して複合基板1に凹部X(枠体Yに囲まれる領域)を設けることもできる。なお、枠体Yの形成方法の一例としては、例えば、貼り付け、描画、圧縮成形、トランスファーモールドなどを挙げることができる。
【0035】
[実施形態3に係る発光装置300]
図6は実施形態3に係る発光装置の模式的断面図である。
図6に示すように、実施形態3に係る発光装置300は、実施形態3に係る複合基板3を備える点で、実施形態1に係る発光装置100と相違する。実施形態3に係る発光装置300において、発光素子34は凹部X(枠体Yに囲まれる領域)の底面に載置される。
【0036】
[実施形態4に係る複合基板4]
図7は実施形態4に係る複合基板の模式的断面図である。
図7に示すように、実施形態4に係る複合基板4は、基体14の上面上に被覆部材30と異なる材料50からなる枠体Yが被覆部材30と別体に形成される点で、実施形態1に係る複合基板1と相違する。このように、平板状の基体14を用いつつ、被覆部材30とは異なる材料50を用いて複合基板4に凹部X(枠体Yに囲まれる領域)を設けることもできる。なお、枠体Yの形成方法の一例としては、例えば、貼り付け、描画、圧縮成形、トランスファーモールドなどを挙げることができる。
【0037】
[実施形態4に係る発光装置400]
図8は実施形態4に係る発光装置の模式的断面図である。
図8に示すように、実施形態4に係る発光装置400は、実施形態4に係る複合基板4を備える点で、実施形態1に係る発光装置400と相違する。実施形態4に係る発光装置400において、発光素子34は凹部X(枠体Yに囲まれる領域)の底面に載置される。
【0038】
[実施形態5に係る複合基板5]
図9は実施形態5に係る複合基板の模式的断面図である。
図9に示すように、実施形態5に係る複合基板5は、被覆部材30とは別体に形成された枠体Yが複合基板5の外縁よりも内側に設けられる点で、枠体Yが複合基板4の外縁に沿って設けられ枠体Yの側面が複合基板4全体の側面になる実施形態4に係る複合基板4と相違する。このようにしても、平板状の基体14を用いつつ、被覆部材30とは異なる材料を用いて複合基板1に凹部X(枠体Yに囲まれる領域)を設けることができる。
【0039】
[実施形態5に係る発光装置500]
図10は実施形態5に係る発光装置の模式的断面図である。
図10に示すように、実施形態5に係る発光装置500は、実施形態5に係る複合基板5を備える点で、実施形態4に係る発光装置400と相違する。実施形態5に係る発光装置500において、発光素子34は凹部X(枠体Yに囲まれる領域)の底面に載置される。
【0040】
[実施形態6に係る複合基板6]
図11は実施形態6に係る複合基板の模式的断面図である。
図11に示すように、実施形態6に係る複合基板6は、凹部X1を有する基体14と枠体Yを有する被覆部材30とを備える点で、実施形態1に係る複合基板1と相違する。実施形態6に係る複合基板6によれば、基体14の凹部X1と被覆部材30の枠体Yが組み合わされることによって、基体14の凹部X1を含む基体14の凹部X1よりも大きな凹部X2が形成される(以下、基体14の凹部X1を第1凹部X1といい、基体14の凹部X1と被覆部材30の枠体Yが組み合わされることによって形成される凹部X2を第2凹部X2という。)。第2凹部X2の側壁は、下側が基体14(セラミック)から構成され、上側が被覆部材30(樹脂)から構成される。したがって、第2凹部X2の側壁は上側と下側が異なる部材からなる。なお、第2凹部X2の内側壁は、断面視において、第2凹部X2の底面側から上面側まで段差がない連続した直線状又は曲面状でもよいが、段差を有していてもよく、また、下側の内側壁(基体14部分の内側壁)と上側の内側壁(被覆部材30部分の内側壁)とで異なる角度の面を有していてもよい。
【0041】
[実施形態6に係る発光装置600]
図12は実施形態6に係る発光装置600の模式的断面図である。
図12に示すように、実施形態6に係る発光装置600は、実施形態6に係る複合基板6を備える点で、他の実施形態に係る発光装置と相違する。実施形態6に係る発光装置600において、発光素子34は第2凹部X2の底面(第1凹部X1の底面でもある。)に載置される。
【0042】
[実施形態7に係る複合基板7]
図13は実施形態7に係る複合基板の模式的断面図である。
図13に示すように、実施形態7に係る複合基板7は、複数の基板12(基体14)を備える点で、1つの基板12(基体14)を備える実施形態1に係る複合基板1と相違する。複数の基板12(基体14)は被覆部材30により一体化されている。
【0043】
[実施形態7に係る発光装置700]
図14は実施形態7に係る発光装置の模式的断面図である。
図14に示すように、実施形態7に係る発光装置700は、複数の基板12(基体14)と複数の発光素子34とを備える点で、1つの基板12(基体14)と1つの発光素子34を備える実施形態1に係る発光装置100と相違する。実施形態7に係る発光装置700によれば、複数の基板12(基体14)が、1つの複合基板7内で分離されているため、基板12(基体14)の反りなどを被覆部材30で緩和させることができる。そのため、複合基板7の幅や奥行きを拡大しても基板12(基体14)に割れなどが発生しにくく、製造工程内における作業性が向上する。
【0044】
[実施形態1に係る発光装置100の製造方法]
図15Aから
図15Hは、実施形態1に係る発光装置の製造方法を示す模式断面図である。以下、
図15Aから
図15Hを参照しつつ説明する。
【0045】
(第1工程)
まず、
図15Aに示すように、基板集合体L1を準備する。基板集合体L1は、複数の基板12が連結してなる板状の部材であり、セラミックからなる基体14と第1配線18及び第2配線24とを有する。第1配線18及び第2配線24は、基体14の上面及び下面にそれぞれ形成される。基体14としては、例えば、セラミックグリーンシートを互いに積層したものを焼成することにより作製されたものを用いることができる。なお、図示は省略するが、第1配線18の第1領域20と第2配線24の第1領域26は、例えばスルーホール(ビア)16を介して電気的に接続される。同様に、第1配線18の第2領域22と第2配線24の第2領域28も、例えばスルーホール(ビア)16を介して電気的に接続される。
【0046】
(第2工程)
次に、
図15Bに示すように、レーザーダイシングやブレードダイシングなどにより基体14を切断することにより基板集合体L1を個片化し複数の基板12とする。基体14上には発光素子34や樹脂材料(例:波長変換層、レンズ)などがまだ実装されていないため、基体14はレーザーダイシングやブレードダイシングなどの方法を利用して比較的短時間で簡単に切断することができる。すなわち、発光素子34や樹脂材料が実装された状態で基体14をレーザーダイシングで切断すると、樹脂材料の焦げやヒュームにより基板12が汚れたりなどするため切断後に個々の基板12を洗浄などする必要が生じるが、発光素子34や樹脂材料などの実装前に基体14を切断すれば、そのような洗浄などを行う必要がない。また、発光素子34や樹脂材料が実装された状態で基体14をブレードダイシングにより切断すると、ブレードが樹脂材料で目詰まりしたり基体14を被覆する樹脂材料が基体14から剥離したりなどするため、まず基体14上の樹脂材料をダイシングし、その後、基体14自体を別途ダイシングするなどの必要があるが、発光素子34や樹脂材料などの実装前に基体14を切断すれば、そのような2段階のダイシングを行う必要がない。したがって、レーザーダイシングとブレードダイシングのいずれの場合においても、基板集合体L1の個片化に要する時間とコストを削減することができる。なお、レーザーダイシングとブレードダイシングは一例であり、発光素子34や樹脂材料などの実装前であれば、他の方法により基体14を切断する場合であっても、基板集合体L1の個片化に要する時間とコストを削減することができる。
【0047】
(第3工程)
次に、
図15Cに示すように、基板集合体L1を個片化することにより得られた複数の基板12をシート40上に所定の間隔をあけて載置するとともに粘着剤を用いてシート40に接着する。シート40は、例えば、ポリイミドやガラスクロス、ポリエステル、ポリプロピレンなどであるが、好ましくは耐熱性の高いポリイミドやガラスクロスなどである。粘着剤は、例えば、アクリル系やシリコーン系などの粘着剤である。載置はマウンターやソーターなどを用いて行うことができる。なお、基板12と基板12と間の間隔は、基板12をシート40に転写などにより載置した後、エキスパンドを用いて拡大することができる。
【0048】
(第4工程)
次に、
図15Dに示すように、複数の基板12の上面側において各第1配線18が露出するようシート40上に被覆部材30を設けて複数の基板12を一体化する。被覆部材30はトランスファーモールドや圧縮成形などにより設けることができる。なお、被覆部材30は基体14の全側面を被覆するよう設けることが好ましい。このようにすれば、後述するように、基体14と基体14の間に設けられた被覆部材30を切断することにより、つまり、基体14を切断することなく複合基板1を個片化することが可能となるため、複合基板1の個片化に要する時間とコストを削減することができる。
【0049】
(第5工程)
次に、
図15Eに示すように、一体化された複数の基板12からシート40を除去して複数の基板12の下面側において各第2配線24を露出させ複合基板集合体L2とする。
【0050】
(第6工程)
次に、
図15Fに示すように、複合基板集合体L2の上面側における各第1配線18に発光素子34をそれぞれ実装する。なお、必要に応じて、
図15Gに示すように、複合基板集合体L2上の各発光素子34を封止部材36でそれぞれ封止してもよい。
【0051】
(第7工程)
次に、
図15Hに示すように、レーザーダイシングやブレードダイシングなどによって被覆部材30を切断することにより複合基板集合体L2を個片化し複数の発光装置100とする。具体的に説明すると、例えば、基体14をまったく切断することなく、あるいは、基体14をほとんど切断することなく、基体14と基体14の間に設けられている被覆部材30を切断する。基体14ではなく基体14より強度が低い被覆部材30を切断するため、基体14を切断する場合よりも複合基板集合体L2の個片化に要する時間とコストを削減することができる。
【0052】
以上説明したように、本実施形態では、発光素子34や樹脂材料(例:波長変換層、レンズ)などがまだ実装されていない段階で基体14を切断することにより基板集合体L1を個片化する。また、基体14ではなく、基体14と基体14の間に設けられている被覆部材30を切断することにより、複合基板集合体L2を個片化する。したがって、本実施形態によれば、複合基板1を備えた発光装置100の製造に要する時間とコストを削減することができる。
【0053】
[実施形態2に係る発光装置200の製造方法]
実施形態2に係る発光装置200の製造方法は、前述した第1工程において凹部Xを有する基体14を準備する点で、実施形態1に係る発光装置100の製造方法と相違する。その他の点は実施形態1に係る発光装置100の製造方法と同じであるため説明を省略する。
【0054】
[実施形態3に係る発光装置300の製造方法]
実施形態3に係る発光装置300の製造方法は、前述した第4工程において、枠体Yを形成可能なキャビティを備えた金型を準備し、被覆部材30と同一の材料を用いて基体14の上面上に被覆部材30と一体的に枠体Yを形成する点で、実施形態1に係る発光装置100の製造方法と相違する。その他の点は実施形態1に係る発光装置100の製造方法と同じであるため説明を省略する。
【0055】
[実施形態4に係る発光装置400の製造方法]
実施形態4に係る発光装置400の製造方法は、前述した第4工程において、基体14の上面上に被覆部材30とは異なる材料50を用いて被覆部材30とは別体の枠体Yを形成する点で、実施形態1に係る発光装置100の製造方法と相違する。その他の点は実施形態1に係る発光装置100の製造方法と同じであるため説明を省略する。
【0056】
[実施形態5に係る発光装置500の製造方法]
実施形態5に係る発光装置500の製造方法は、前述した第4工程において、被覆部材30とは異なる材料を用いて基体14の上面上に被覆部材30とは別体の枠体Yを複合基板5の外縁よりも内側に形成する点で、実施形態1に係る発光装置100の製造方法と相違する。その他の点は実施形態1に係る発光装置100の製造方法と同じであるため説明を省略する。
【0057】
[実施形態6に係る発光装置600の製造方法]
実施形態6に係る発光装置600は、前述した第1工程において凹部X1を有する基体14を準備するとともに、前述した第4工程においてに被覆部材30と同一の材料を用いて基体14の上面上に被覆部材30と一体的に枠体Yを形成する点で、実施形態1に係る発光装置100の製造方法と相違する。ここで、被覆部材30は、被覆部材30の枠体Yが基体14の凹部X1と組み合わせられることで基体14の凹部X1よりも大きな凹部X2(凹部X2は基体14の凹部X1を含む。)が形成されるよう設けられる。その他の点は実施形態1に係る発光装置100の製造方法と同じであるため説明を省略する。
【0058】
[実施形態7に係る発光装置700の製造方法]
実施形態7に係る発光装置700の製造方法は、(1)前述した第2工程において複数の基板12を一単位として基板集合体L1を個片化することにより複数の基板12が連結してなる部材(以下、「基板連結体」という。)を得る点、(2)前述した第4工程において、基板集合体L1の個片化により得られた個々の基板連結体の全側面をそれぞれ被覆部材30で覆う点、(3)前述した第7工程において基板連結体と基板連結体との間に設けられている被覆部材30を切断することにより複合基板集合体L2を個片化することにより複数の発光装置700を得る点で、実施形態1に係る発光装置100の製造方法と相違する。その他の点は実施形態1に係る発光装置100の製造方法と同じであるため説明を省略する。なお、実施形態7に係る発光装置700のところで説明したとおり、個々の発光装置700は複数の基板12(14)と複数の発光素子34を有している。
【0059】
以上、実施形態について説明したが、これらの説明は、一例に関するものであり、特許請求の範囲に記載された構成を何ら限定するものではない。