(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)について詳細に説明する。なお、各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示しているに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0011】
なお、従来の塗布装置には、前記した課題(塗布ヘッドの状態を好適に管理することが望まれているという課題)に加え、以下のような課題があった。本実施形態は、前記した課題に加え、以下のような課題を解決することができる塗布装置を提供することも意図している。
【0012】
(1)塗布装置は、基板が搬送されるラインが複数ある上に、塗布部(塗布ヘッドユニット)が複数あり、1つの塗布部(塗布ヘッドユニット)が複数のラインを受け持つことがある。つまり、ある塗布部が1ラインしか受け持たないときに、別の塗布部が2ライン受け持つことがある。これにより、各塗布部の使用頻度(使用実績)に、バラツキが発生する。また、塗布装置は、塗布材料の異なる何百もの品種を製造する。そのため、塗布装置は、複数の塗布部(特に各塗布部に取り付けられている塗布ヘッド)を同じような状態に調整することが困難であった。
【0013】
(2)また、複数の塗布ヘッドの中には、状態が良い塗布ヘッドと、状態が悪い塗布ヘッドとが存在する。状態が良い塗布ヘッドは長時間使用され、状態が悪い塗布ヘッドは予め用意された保管部で保管されたまま使用されない(放置される)傾向がある。これにより、各塗布部の使用頻度(使用実績)に、バラツキが発生する。したがって、各塗布ヘッドは、基板の処理量が異なっており、負荷が異なっている。しかも、状態が良い塗布ヘッドは、寿命が早く尽き易くなる。また、状態が悪い塗布ヘッドは、長時間放置されることで、内部に付着した塗布材が固化する等の現象が発生し、状態が益々悪化し易くなる。そのため、このような要因によっても、塗布装置は、複数の塗布ヘッドを同じような状態に調整することが困難であった。
【0014】
(3)また、塗布ヘッドの調整は、非常に繊細なものである。そのため、機械的な調整では、塗布ヘッドの調整を短時間で行うことが困難であった。
【0015】
<塗布装置とその塗布装置を含む塗布ヘッド管理システムの構成>
以下、
図1乃至
図4を参照して、本実施形態に係る塗布装置11とその塗布装置11を含む塗布ヘッド管理システム10の構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る塗布装置11の外観図である。
図2は、塗布装置11における塗布ヘッドユニット22(塗布部)の要部概略図である。
図3は、塗布装置11における塗布ヘッドユニット22(塗布部)の分離構造の説明図である。
図4は、塗布装置11を含む塗布ヘッド管理システム10の概略構成図である。
【0016】
図1に示すように、本実施形態に係る塗布装置11は、制御装置12と、保持テーブル21と、塗布ヘッドユニット22と、ガントリ24と、を備えている。
【0017】
制御装置12は、塗布装置11の全体の動作を制御する構成要素である。制御装置12は、
図4に示すように、制御部50の一部を構成している。
保持テーブル21は、基板70を保持する構成要素である。保持テーブル21は、水平に配置されている。
【0018】
塗布ヘッドユニット22は、保持テーブル21に保持されている基板70に塗布材を塗布する塗布部である。塗布装置11は、複数(図示例では、4つ)の塗布ヘッド31を搭載している。本実施形態では、塗布ヘッドユニット22がインクジェット方式で液状の塗布材を射出する構成になっているものとして説明する。塗布ヘッドユニット22の下端部には、基板70に塗布材を塗布するための塗布ヘッド31が着脱自在に取り付けられている。塗布ヘッド31は、平坦な下面を有しており、その下面には塗布材を射出するための複数のノズル32(
図9参照)の射出口が等間隔に設けられている。
【0019】
ガントリ24は、塗布ヘッドユニット22を支持する門型の構造物である。塗布ヘッドユニット22は、支持部27によってガントリ24に取り付けられている。塗布ヘッドユニット22は、ガントリ24に対して着脱自在な構成になっている。
図1に示す例では、4つの塗布ヘッドユニット22がガントリ24に取り付けられている。
【0020】
塗布装置11は、リニアモータ用マグネット26上を走行するリニアモータ用コイル25の上方にガントリ24を配置した構成となっている。
【0021】
リニアモータ用コイル25及びリニアモータ用マグネット26は、ガントリ24を水平方向(白抜き矢印参照)に移動させる移動手段である。なお、本実施形態では、塗布装置11は、リニアモータ用コイル25及びリニアモータ用マグネット26によってガントリ24を水平方向に移動させる構造になっている。しかしながら、塗布装置11は、リニアモータ用コイル25及びリニアモータ用マグネット26に加え(又は、リニアモータ用コイル25及びリニアモータ用マグネット26の代わりに)、基板70を水平方向に移動させるための図示せぬ移動手段を有する構成であってもよい。また、塗布装置11は、ガントリ24を水平方向に移動させるための移動手段として、リニアモータ用コイル25及びリニアモータ用マグネット26とは別の手段(例えば、レールとレールの上を走行する車輪等)を有する構成であってもよい。
【0022】
塗布装置11は、基板70と塗布ヘッドユニット22とを相対的に移動させながら、所定のタイミングで基板70に向けて塗布ヘッド31から塗布材を射出することにより、基板70の所定領域に塗布材を塗布する。
【0023】
なお、塗布装置11は、飛滴検査機構14(
図9参照)と、ドット検査機構16(
図19及び
図20参照)と、を備えている。これらの構成要素については、後記する。
【0024】
図2に示すように、塗布ヘッドユニット22は、塗布材タンク23と、塗布ヘッド31と、パイプ34a,34b,34c,34dと、バルブ35a,35b,35c,35dと、リークバルブ36と、レギュレータ37と、圧力計38と、を有している。
【0025】
塗布材タンク23は、液状の塗布材を貯留する塗布材貯留部である。バルブ35a,35b,35c,35dとリークバルブ36は、電磁弁によって構成され、対応するパイプの経路を開閉する。レギュレータ37は、塗布材タンク23に供給する負圧の調節器である。圧力計38は、塗布材タンク23に供給する負圧を計測する。
【0026】
パイプ34aとバルブ35aとは、外部から塗布材タンク23に大気又は任意の気体を供給する気体供給部を構成している。
パイプ34bとバルブ35bとリークバルブ36とレギュレータ37とは、塗布材タンク23に負圧を供給する負圧供給部を構成している。
パイプ34cとバルブ35cとは、外部から塗布材タンク23に塗布材を供給する塗布材供給部を構成している。
パイプ34dとバルブ35dとは、塗布材タンク23から塗布ヘッド31に塗布材を供給する塗布材供給部を構成している。
【0027】
塗布ヘッド31は、記憶部33と、ヒータ40と、を有している。本実施形態では、記憶部33とヒータ40とが塗布ヘッド31に内蔵されているものとして説明する。
【0028】
記憶部33は、塗布ヘッド31に関する各種の情報を記憶する構成要素である。記憶部33は、半導体メモリによって構成されている。記憶部33は、塗布ヘッド31の固有情報D10が記憶される第1記憶領域33aと、塗布ヘッド31の来歴情報D20が記憶される第2記憶領域33bと、を含んでいる(
図5参照)。
ヒータ40は、塗布ヘッド31を加熱して塗布材を射出し易くするための構成要素である。
【0029】
図3に示すように、塗布装置11は、支持部27から塗布ヘッドユニット22を取り外すことができる。また、塗布装置11は、塗布ヘッドユニット22から塗布ヘッド31を取り外すことができる。取り外された塗布ヘッドユニット22や塗布ヘッド31は、予め用意された所定の保管部18(
図4参照)で保管される。
【0030】
図4に示すように、塗布装置11は、塗布ヘッドユニット22の内部に、熱電対41を有するとともに、制御装置12の内部に、ソリッド・ステート・リレー42と、温調器43と、メインPC51と、モータコントローラ52と、アンプ53と、インクジェットコントローラ54と、を有している。
【0031】
熱電対41は、ヒータ40の温度を検知する構成要素である。
ソリッド・ステート・リレー42は、機械的な動きで信号を伝える構成要素である。
温調器43は、温度を調節する構成要素である。
【0032】
メインPC51は、塗布装置11全体の動作を制御する構成要素である。
モータコントローラ52は、リニアモータ用コイル25及びリニアモータ用マグネット26等の移動手段の動作を制御する構成要素である。
アンプ53は、信号を増幅する構成要素である。
インクジェットコントローラ54は、塗布ヘッド31の動作を制御する構成要素である。
【0033】
図4に示すように、塗布装置11は、塗布ヘッド管理システム10の一部を構成している。
図4に示す例では、塗布ヘッド管理システム10は、塗布装置11と、計量検査機構13と、保管部18と、塗布ヘッド管理装置19と、を備えている。ただし、計量検査機構13と塗布ヘッド管理装置19は、塗布装置11に組み込むことができる。
【0034】
計量検査機構13は、塗布材の量を計量する機構である。計量検査機構13は、塗布材の量を計量するための電子天秤13aを有している。電子天秤13aは、制御装置12に接続されており、制御装置12からの指示に基づいて塗布材の量を計測する。計量検査機構13の詳細については、後記する。
保管部18は、塗布装置11から取り外された塗布ヘッドユニット22等を保管する構成要素である。
塗布ヘッド管理装置19は、塗布ヘッドユニット22や塗布ヘッド31を管理する装置である。塗布ヘッド管理装置19は、パーソナルコンピュータ(PC)によって構成されている。なお、塗布ヘッド管理装置19は、制御装置12のメインPC51と統合(一体化)することができる。
【0035】
制御装置12は、制御部50の一部を構成している。
図4に示す例では、制御部50は、メインPC51とモータコントローラ52とアンプ53とインクジェットコントローラ54と塗布ヘッド管理装置19とを含む構成になっている。
制御部50は、任意のタイミングで格納情報Dst(
図5参照)を記憶部33に格納する。
【0036】
<格納情報の一例>
以下、
図5を参照して、塗布ヘッド31に設けられた記憶部33の格納情報Dstの一例について説明する。
図5は、塗布ヘッド31に設けられた記憶部33の格納情報Dstの説明図である。
【0037】
図5に示すように、本実施形態では、格納情報Dstは、塗布ヘッド31に関する情報として、塗布ヘッド31に固有な固有情報D10と、塗布ヘッド31の来歴を表す来歴情報D20と、を含む構成になっている。
【0038】
固有情報D10は、記憶部33の第1記憶領域33aに記憶され、来歴情報D20は、記憶部33の第2記憶領域33bに記憶される。制御部50は、記憶部33の第1記憶領域33aから固有情報D10を読み取ると共に、塗布ヘッド31の塗布動作に応じて来歴情報D20を記憶部33の第2記憶領域33bに格納する。
【0039】
塗布装置11は、固有情報D10と来歴情報D20とを塗布ヘッド31の記憶部33に記憶する。これにより、塗布装置11は、塗布ヘッド31の駆動条件(例えば、塗布ヘッド31の駆動電圧やヒータ40の温度等)、塗布材の塗布条件、環境条件、材料条件等の運転条件、並びに、製品の生産に使用した時間、塗布材の滴下数、塗布材の累積塗布量等の来歴情報D20(使用実績情報)を塗布ヘッド31毎に管理することができる。
【0040】
図5に示す例では、固有情報D10は、シリアルナンバー情報D1aと、メーカ検査日情報D1bと、検査時基準電圧情報D1cと、を含む構成になっている。これらの情報は、主にヘッドメーカによって記憶部33に記憶される。
【0041】
シリアルナンバー情報D1aは、塗布ヘッド31に付された固有の番号(符号を含む)を表している。シリアルナンバー情報D1aを書き込むタイミングは、製造時である。シリアルナンバー情報D1aの使用目的は、機種の特定である。
【0042】
メーカ検査日情報D1bは、塗布ヘッド31のメーカ検査日を表している。メーカ検査日情報D1bを書き込むタイミングは、メーカ検査時である。メーカ検査日情報D1bの使用目的は、メーカ検査日の特定である。
【0043】
検査時基準電圧情報D1cは、メーカ検査時の基準電圧(値)を表している。検査時基準電圧情報D1cを書き込むタイミングは、メーカ検査時である。検査時基準電圧情報D1cの使用目的は、メーカ検査時の基準電圧の特定である。
【0044】
なお、
図5に示す例では、固有情報D10と来歴情報D20とに加え、現地での初通電日情報DAが記憶部33に記憶されている。現地での初通電日情報DAは、現地で初めて通電された日を表している。
図5に示す例では、現地での初通電日情報DAは、「年」と「月日」とに分割されて格納されている。現地での初通電日情報DAを書き込むタイミングは、塗布ヘッドユニット22への塗布ヘッド31の取り付け時である。現地での初通電日情報DAの使用目的は、使用開始日の特定である。なお、現地での初通電日情報DAは、来歴情報D20の一種として取り扱うようにしてもよい。この場合、現地での初通電日情報DAは、記憶部33の第2記憶領域33bに格納される。
【0045】
また、
図5に示す例では、来歴情報D20は、塗布ヘッド31の動作経過に関する動作経過情報D21と、塗布ヘッド31の駆動に関する駆動情報D22と、エラーに関するエラー情報D23と、に大別されている。
【0046】
動作経過情報D21は、総通電時間情報D2aと、総射出時間情報D2bと、連続使用時間情報D2cと、最終ヘッド取付日時情報D2dと、最終搭載機ナンバー情報D2eと、最終搭載ラインナンバー情報D2fと、最終搭載ヘッドナンバー情報D2gと、を含む構成になっている。
【0047】
駆動情報D22は、レシピナンバー情報D2hと、内部ヒータ温度情報D2iと、駆動電圧情報D2jと、駆動電圧傾き情報D2kと、を含む構成になっている。
【0048】
エラー情報D23は、計量エラー回数情報D2lと、射出抜けエラー回数情報D2mと、通信エラー回数情報D2nと、を含む構成になっている。
【0049】
総通電時間情報D2aは、塗布ヘッド31の総通電時間を表している。総通電時間情報D2aを書き込むタイミングは、塗布ヘッド31の取り外し時である。総通電時間情報D2aの使用目的は、塗布ヘッド31の使用期間の把握である。
【0050】
総射出時間情報D2bは、塗布ヘッド31の総射出時間を表している。総射出時間情報D2bを書き込むタイミングは、塗布ヘッド31の射出終了時である。総射出時間情報D2bの使用目的は、塗布ヘッド31の射出使用時間の把握である。
【0051】
連続使用時間情報D2cは、塗布ヘッド31の連続使用時間を表している。連続使用時間情報D2cを書き込むタイミングは、塗布ヘッド31の取り外し時である。連続使用時間情報D2cの使用目的は、塗布ヘッド31の使用期間の把握である。
【0052】
最終ヘッド取付日時情報D2dは、最終的に塗布ヘッド31を取り付けた日時を表している。
図5に示す例では、最終ヘッド取付日時情報D2dは、「年」と「月日」と「時分」とに分割されて格納されている。最終ヘッド取付日時情報D2dを書き込むタイミングは、塗布ヘッド31の取り外し時である。最終ヘッド取付日時情報D2dの使用目的は、塗布ヘッド31の未使用期間の把握である。
【0053】
最終搭載機ナンバー情報D2eは、最終的に塗布ヘッド31を搭載した号機のナンバーを表している。最終搭載機ナンバー情報D2eを書き込むタイミングは、塗布ヘッド31の取り外し時である。最終搭載機ナンバー情報D2eの使用目的は、塗布ヘッド31を使用していた搭載ヘッド(塗布ヘッドユニット)の把握である。
【0054】
最終搭載ラインナンバー情報D2fは、最終的に塗布ヘッド31を搭載したラインのナンバーを表している。最終搭載ラインナンバー情報D2fを書き込むタイミングは、塗布ヘッド31の取り外し時である。最終搭載ラインナンバー情報D2fの使用目的は、塗布ヘッド31を使用していた搭載ヘッド(塗布ヘッドユニット)の把握である。
【0055】
最終搭載ヘッドナンバー情報D2gは、最終的に塗布ヘッド31を搭載した塗布ヘッドユニットのナンバーを表している。最終搭載ヘッドナンバー情報D2gを書き込むタイミングは、塗布ヘッド31の取り外し時である。最終搭載ヘッドナンバー情報D2gの使用目的は、塗布ヘッド31を使用していた搭載ヘッド(塗布ヘッドユニット)の把握である。
【0056】
レシピナンバー情報D2hは、レシピナンバー(材料の型式)を表している。レシピナンバー情報D2hを書き込むタイミングは、塗布ヘッド31の取り外し時である。レシピナンバー情報D2hの使用目的は、塗布ヘッド31での使用材料の把握である。
【0057】
内部ヒータ温度情報D2iは、ヒータ40の制御温度を表している。内部ヒータ温度情報D2iを書き込むタイミングは、塗布ヘッド31の取り外し時である。内部ヒータ温度情報D2iの使用目的は、塗布ヘッド31の射出条件の引き継ぎである。
【0058】
駆動電圧情報D2jは、塗布ヘッド31の駆動電圧(値)を表している。駆動電圧情報D2jを書き込むタイミングは、塗布ヘッド31の取り外し時である。駆動電圧情報D2jの使用目的は、塗布ヘッド31の射出条件の引き継ぎである。
【0059】
駆動電圧傾き情報D2kは、塗布ヘッド31の駆動電圧(値)の傾きの程度を表している。ここで、「駆動電圧の傾きの程度」とは、例えば
図17に示すように、塗布ヘッド31の駆動電圧(V)の変化量に対する塗布材の射出量(mg)の変化量の特性を表す線の傾きが理想的な線の傾きに対してどの程度相違しているのかを意味している。駆動電圧傾き情報D2kを書き込むタイミングは、塗布材の計量検査の終了時である。駆動電圧傾き情報D2kの使用目的は、検量線(駆動電圧の傾きを表す線)の補正である。
【0060】
計量エラー回数情報D2lは、計量エラーの発生回数を表している。計量エラー回数情報D2lを書き込むタイミングは、塗布材の計量検査の終了時である。計量エラー回数情報D2lの使用目的は、計量エラーの発生回数の把握である。
【0061】
射出抜けエラー回数情報D2mは、射出抜けエラーの発生回数を表している。射出抜けエラー回数情報D2mを書き込むタイミングは、塗布ヘッド31の塗布抜け検査終了時である。射出抜けエラー回数情報D2mの使用目的は、射出抜けエラーの発生回数の把握である。
【0062】
通信エラー回数情報D2nは、制御装置12の内部及び制御装置12と他の装置との間での通信エラーの発生回数を表している。通信エラー回数情報D2nを書き込むタイミングは、通信エラーの発生時である。通信エラー回数情報D2nの使用目的は、通信エラーの発生回数の把握である。
【0063】
このような格納情報Dstに対し、塗布装置11の制御部50は、塗布装置11の稼働中に運転条件並びに来歴情報D20(使用実績情報)を自動的に書き込む。塗布ヘッド31は、洗浄を行うために、定期的に塗布装置11から取り外される。塗布装置11は、洗浄された塗布ヘッド31が再度取り付けられたときに、取り付けられた塗布ヘッド31の来歴情報D20(使用実績情報)を塗布ヘッド31の記憶部33から自動的に取得することができる。
【0064】
また、このような格納情報Dstに対し、塗布ヘッド管理装置19は、各塗布ヘッド31の来歴情報D20(使用実績情報)を参照して、稼働実績の少ない塗布ヘッド31が使用頻度の高いヘッドポジションに取り付けられるように、塗布ヘッド31の交換を使用者に指示することができる。この指示は、例えば、塗布ヘッド31の交換を指示するための画面を塗布ヘッド管理装置19の図示せぬ表示部に表示することで行われる。これにより、塗布ヘッド管理装置19は、複数の塗布ヘッド31に対し、全体で状態の最適化を行うことができる。
【0065】
<製品の一例>
以下、
図6を参照して、塗布装置11によって生産される製品の一例について説明する。
図6は、製品の一例としての液晶画像表示装置60の断面構造図である。ここでは、液晶画像表示装置60が高精細フラットパネルディスプレイである場合を想定して説明する。また、ここでは、塗布装置11は、液晶画像表示装置60の一部分を構成する基板70に、塗布材として液晶材料を塗布するものとして説明する。
【0066】
図6に示すように、液晶画像表示装置60は、使用者の視認側(表面側)から順に、偏光フィルタ61、ガラス基板62、カラーフィルタ63、透明電極64、配光膜65、液晶層66、配光膜67、透明電極68、及びガラス基板69が積層された構成になっている。
図6に示す例では、偏光フィルタ61、ガラス基板62、カラーフィルタ63、透明電極64、配光膜65、及び液晶層66によって基板70が構成されている。塗布装置11は、基板70に、塗布材99として、液中に液晶体が混入された液晶材料を塗布することで、液晶画像表示装置60の部品を製造する。
【0067】
<塗布ヘッド管理システムの動作>
以下、
図7を参照して、塗布ヘッド管理システム10(
図4参照)の動作について説明する。
図7は、塗布ヘッド管理システム10の動作を示すフローチャートである。
【0068】
塗布ヘッド管理システム10(
図4参照)は、例えば、使用者によって塗布ヘッド31の状態監視の指示を受けることで、動作を開始する。塗布ヘッド管理システム10(
図4参照)の動作は、主に制御部50(特に塗布ヘッド管理装置19)によって実現される。
【0069】
図7に示すように、塗布ヘッド管理システム10は、各塗布ヘッド31の記憶部33から固有情報D10と来歴情報D20とを取得して図示せぬ記憶部に登録する(ステップS105)。ここでいう「各塗布ヘッド31」とは、塗布装置11に搭載された塗布ヘッドユニット22に取り付けられている塗布ヘッド31と、保管部18(
図4参照)に保管されている塗布ヘッドユニット22に取り付けられている塗布ヘッド31と、保管部18(
図4参照)に単体で保管されている塗布ヘッド31等を意味している。なお、保管部18(
図4参照)に保管されている塗布ヘッド31としては、塗布ヘッドユニット22から取り外されたものもあれば、未使用のものもある。
【0070】
塗布ヘッド管理システム10は、各塗布ヘッド31の固有情報D10と来歴情報D20とに基づいて、各塗布ヘッド31の動作状態の監視を開始する(ステップS110)。
【0071】
塗布ヘッド管理システム10は、好ましくない状態の塗布ヘッド31があるか否かを判定する(ステップS115)。ここで、「好ましくない状態の塗布ヘッド31」とは、他のものよりも比較的長期間に亘って塗布装置11に取り付けられている塗布ヘッド31や、他のものよりも比較的長期間に亘って保管部18(
図4参照)に保管されている塗布ヘッド31等がある。他のものよりも比較的長期間に亘って塗布装置11に取り付けられている塗布ヘッド31は、他のものよりも劣化している可能性がある。また、他のものよりも比較的長期間に亘って保管部18(
図4参照)に保管されている塗布ヘッド31は、内部に付着した塗布材が固化している可能性がある。これらの塗布ヘッド31は、塗布材を射出するための駆動電圧の特性が初期時(メーカ検査時)から比較的大きく変化している可能性がある。
【0072】
ステップS115の判定で、好ましくない状態の塗布ヘッド31がないと判定された場合(“No”の場合)に、処理はステップS135に進む。一方、ステップS115の判定で、好ましくない状態の塗布ヘッド31があると判定された場合(“Yes”の場合)に、塗布ヘッド管理システム10は、塗布ヘッド31(又は、塗布ヘッド31が取り付けられている塗布ヘッドユニット22)の交換を使用者に指示する(ステップS120)。
【0073】
ステップS120の後、使用者が塗布ヘッド31(又は、塗布ヘッド31が取り付けられている塗布ヘッドユニット22)を交換すると、塗布ヘッド管理システム10は、図示せぬセンサで塗布ヘッド31の交換を検知する(ステップS125)。
【0074】
ステップS125の後、塗布ヘッド管理システム10は、交換された塗布ヘッド31の記憶部33から固有情報D10と来歴情報D20とを取得して図示せぬ記憶部に更新登録する(ステップS130)。
【0075】
ステップS115の判定で好ましくない状態の塗布ヘッド31がないと判定された場合(“No”の場合)、又は、ステップS130の後に、塗布ヘッド管理システム10は、塗布ヘッド31の状態監視の終了指示があったか否かを判定する(ステップS135)。
【0076】
ステップS135の判定で、塗布ヘッド31の状態監視の終了指示がなかったと判定された場合(“No”の場合)に、塗布ヘッド31の状態監視を継続する(ステップS140)。この後、処理はステップS115に戻る。一方、ステップS135の判定で、塗布ヘッド31の状態監視の終了指示があったと判定された場合(“Yes”の場合)に、一連のルーチンの処理が終了する。
【0077】
<塗布装置の動作>
以下、
図8を参照して、塗布装置11の動作について説明する。
図8は、塗布装置11の動作を示すフローチャートである。
【0078】
塗布装置11は、例えば、使用者によって電源が投入されたり生産運転の指示を受けたりすることで、動作を開始する。塗布装置11の動作は、主に制御部50(特に制御装置12)によって実現される。
【0079】
図8に示すように、塗布装置11は、図示せぬ入力部から使用者による生産運転の実行指示を受け付ける(ステップS605)。すると、塗布装置11は、塗布装置11に搭載された各塗布ヘッドユニット22に取り付けられている塗布ヘッド31の記憶部33から固有情報D10(例えばシリアルナンバー)を読み取る(ステップS610)。
【0080】
そして、塗布装置11は、塗布ヘッド31の交換があったか否かを判定する(ステップS615)。この判定は、塗布装置11の図示せぬ記憶部に各塗布ヘッドユニット22に対応して予め登録された塗布ヘッド31の固有情報D10とステップS610で読み取られた塗布ヘッド31の固有情報D10とを比較することによって行われる。両者が異なる場合に、塗布ヘッド31の交換があったと判定され、一方、両者が一致する場合に、塗布ヘッド31の交換がなかったと判定される。
【0081】
ステップS615の判定で、塗布ヘッド31の交換があったと判定された場合(“Yes”の場合)に、塗布装置11は、交換された塗布ヘッド31の記憶部33から来歴情報D20を読み取る(ステップS620)。そして、塗布装置11は、交換された塗布ヘッド31に対して、予め用意された制御プログラムに従って、来歴情報D20に基づいて塗布ヘッド31の駆動条件(例えば、塗布ヘッド31の駆動電圧やヒータ40の温度等)を決定する(ステップS625)。
【0082】
一方、ステップS615の判定で、塗布ヘッド31の交換がなかったと判定された場合(“No”の場合)に、塗布装置11は、塗布ヘッド31の駆動条件(例えば、前回の塗布ヘッド31の駆動電圧やヒータ40の温度等)として前回の塗布ヘッド31の駆動条件に決定する(ステップS630)。
【0083】
ステップS625又はステップS630の後、ステップS625又はステップS630で決定された駆動条件で塗布ヘッド31を駆動して、塗布材の飛滴検査を実行し(ステップS635)、さらに、塗布材の計量検査を実行する(ステップS640)。飛滴検査と計量検査とについては、後記する。
【0084】
ステップS640の後、各塗布ヘッド31の中で、駆動条件(例えば、前回の塗布ヘッド31の駆動電圧等)の補正を要する塗布ヘッド31があるか否かを判定する(ステップS645)。
【0085】
ステップS645の判定で、駆動条件の補正を要する塗布ヘッド31があると判定された場合(“Yes”の場合)に、塗布装置11は、その塗布ヘッド31に対して、予め用意された制御プログラムに従って、駆動条件(例えば、前回の塗布ヘッド31の駆動電圧等)の補正を実行する(ステップS650)。この補正については、後記する。この後、処理はステップS635に戻る。
【0086】
一方、ステップS645の判定で、駆動条件の補正を要する塗布ヘッド31がないと判定された場合(“No”の場合)に、塗布装置11は、生産運転を開始して、基板70への塗布材の塗布を実行する(ステップS655)。
【0087】
ステップS655の後、塗布装置11は、基板70に塗布された塗布材のドット検査(塗布抜け検査)を実行する(ステップS660)。ドット検査(塗布抜け検査)については、後記する。
【0088】
ステップS660の後、塗布装置11は、生産運転が終了したか否かを判定する(ステップS665)。ステップS665の判定で、生産運転が終了していないと判定された場合(“No”の場合)に、処理はステップS655に戻る。一方、ステップS665の判定で、生産運転が終了したと判定された場合(“Yes”の場合)に、塗布装置11は、塗布ヘッド31の塗布動作に応じて来歴情報D20を記憶部33の第2記憶領域33bに格納する(ステップS670)。また、塗布装置11は、各塗布ヘッドユニット22に対応して塗布ヘッド31の固有情報D10(例えばシリアルナンバー)を図示せぬ記憶部に格納する。これにより、一連のルーチンの処理が終了する。
【0089】
<飛滴検査>
以下、
図9乃至
図13Eを参照して、飛滴検査について説明する。
図9は、飛滴検査機構の概略構成図である。
図10は、飛滴検査において良好な場合の一例を概略的に示す説明図である。
図11A及び
図11Bは、それぞれ、飛滴検査において不適切な場合の一例を概略的に示す説明図である。
図12は、飛滴検査において良好な場合の一例を詳細に示す説明図である。
図13A乃至
図13Eは、それぞれ、飛滴検査において不適切な場合の一例を詳細に示す説明図である。
【0090】
飛滴検査は、塗布ヘッド31によって射出された飛行中の塗布材の状態を確認する検査である。飛滴検査は、生産運転開始前に行われる。飛滴検査では、例えば、
図9に示す飛滴検査機構14が用いられる。飛滴検査機構14は、保持テーブル21(
図1参照)の周囲に設けられている。
図9に示すように、飛滴検査機構は、ストロボ照明15aと、高解像度カメラによって構成された飛滴検査カメラ15bと、を有している。飛滴検査時において、ストロボ照明15aと飛滴検査カメラ15bとは、塗布ヘッド31のノズル32から射出される塗布材を挟んで対向するように配置される。そして、ストロボ照明15aは、塗布材に向けて瞬間的に明滅する照明光を連続して発する。一方、飛滴検査カメラ15bは、塗布材の写真を連続して撮影する。これにより、飛滴検査機構14は、塗布ヘッド31のノズル32から射出された飛行中の塗布材の写真を取得する。塗布装置11は、飛滴検査機構14によって取得された塗布材の写真に基づいて、塗布材の状態を識別して、塗布材の飛滴検査を行う。
【0091】
図10は、飛滴検査において良好な場合の一例を概略的に示している。
図10に示す例では、塗布材99の形状がほぼ球状になっている。
【0092】
一方、
図11A及び
図11Bは、飛滴検査において不適切な場合の一例を概略的に示している。
図11Aに示す例では、塗布材99の形状が崩れた球状になっている。また、本来単体であるはずの塗布材99が複数個に分裂している。また、
図11Bに示す例では、塗布ヘッド31のノズル32の周囲に塗布材99の液溜まり91が発生している。また、意図せぬ塗布材99の落下が発生している。
【0093】
また、
図12は、飛滴検査において良好な場合の一例を詳細に示している。
図12に示す例では、塗布ヘッド31の各ノズル32から射出された塗布材が上から下に向けて進行している。そして、塗布装置11は、以下の特徴点A1乃至特徴点A5に基づいて、塗布材99の飛滴状態が良好であると判定している。
(特徴点A1)指定した全てのノズル32から塗布材99を射出している。
(特徴点A2)塗布材99の1滴1滴がきれいな球状になっている。
(特徴点A3)塗布材99の飛滴間隔が均一になっている。
(特徴点A4)塗布材99の飛び散りが少ない。つまり、塗布材99の飛滴が存在する空間がきれいな状態になっている。
(特徴点A5)塗布ヘッド31の下面(ノズル32の射出口が設けられた面)に塗布材99の液溜まり91(
図11B参照)が無い。
【0094】
また、
図13A乃至
図13Eは、飛滴検査において不適切な場合の一例を詳細に示している。
図13A乃至
図13Eに示す例では、塗布ヘッド31の各ノズル32から射出された塗布材が上から下に向けて進行している。そして、塗布装置11は、以下の特徴点B1乃至特徴点B5に基づいて、塗布材99の飛滴状態が不適切であると判定している。
(特徴点B1)指定した全てのノズル32から塗布材99を射出していない。つまり、塗布材99の射出抜けが発生している(
図13A及び
図13E参照)。
(特徴点B2)塗布材99が崩れた球状になっている(
図13B参照)。
(特徴点B3)塗布材99の飛滴間隔が不均一になっている(
図13B乃至
図13E参照)。
(特徴点B4)塗布材99の飛び散りが多い(
図13B及び
図13C参照)。つまり、塗布材99の飛滴が存在する空間が汚れた状態になっている。
(特徴点B5)塗布ヘッド31の下面(ノズル32の射出口が設けられた面)に塗布材99の液溜まり91(
図11B参照)が有る(
図13D参照)。
【0095】
前記した特徴点B1乃至特徴点B5の発生原因としては、例えば以下のものがある。
(特徴点B1)塗布ヘッド31及びパイプ34dの空気抜きが不足している。
(特徴点B2)塗布ヘッド31及びパイプ34dの空気抜きが不足している。射出される塗布材99の温度が低い。
(特徴点B3)塗布ヘッド31及びパイプ34dの空気抜きが不足している。
(特徴点B4)塗布ヘッド31の駆動電圧(射出電圧)が高い。射出される塗布材99の温度が高い。
(特徴点B5)塗布ヘッド31及びパイプ34dの空気抜きが不足している。
【0096】
塗布装置11は、飛滴検査を行い、塗布材99の飛滴状態が不適切である場合に、例えば、レギュレータ37で空気の負圧を増加させたり、ヒータ40の温度を変更したり、塗布ヘッド31の駆動電圧を補正したりする。レギュレータ37で負圧を増加させる処理は、塗布ヘッド31及びパイプ34dの空気抜き不足を解消するために行われる。ヒータ40の温度を変更する処理は、塗布ヘッド31から射出される塗布材99の温度を変更するために行われる。塗布ヘッド31の駆動電圧を補正する処理は、塗布ヘッド31から射出される塗布材99の射出量を変更するために行われる。なお、塗布材99の飛滴状態が悪い場合に、塗布ヘッド管理システム10(特に塗布ヘッド管理装置)は、図示せぬ表示部で、塗布ヘッド31(又は、塗布ヘッド31が取り付けられている塗布ヘッドユニット22)の交換や洗浄を使用者に指示する。
【0097】
<計量検査>
以下、
図14乃至
図16Bを参照して、計量検査について説明する。
図14は、計量検査機構の概略構成図である。
図15は、各塗布ヘッド31の駆動電圧と塗布材の射出量との関係の違いを示すグラフ図である。
図16Aは、塗布材の滴下数と塗布材の総射出量との関係を示すグラフ図である。
図16Bは、塗布ヘッド31の駆動電圧と塗布材の総射出量との関係を示すグラフ図である。
【0098】
計量検査は、塗布ヘッド31によって射出された塗布材の射出量を計測する検査である。計量検査は、飛滴検査とともに、生産運転開始前に行われる。飛滴検査では、例えば、
図14に示す計量検査機構13が用いられる。計量検査機構13は、電子天秤13aを有している。電子天秤13aは、塗布ヘッド31から射出される塗布材の射出量を計量して、基板70に対する塗布材の塗布量を調整するために使用される。
【0099】
塗布装置11は、制御装置12の制御下において図示せぬ搬送手段を稼働させることによって保持テーブル21上の所定位置に電子天秤13aを配置する。塗布装置11は、駆動電圧を塗布ヘッド31に印加することで、塗布ヘッド31から電子天秤13aに向けて塗布材を射出する。塗布装置11は、塗布ヘッド31から射出された塗布材の射出量を電子天秤13aで計量する。塗布装置11は、複数の塗布ヘッド31を搭載している。塗布装置11は、全ての塗布ヘッド31に対して、塗布材の射出量を計量して、各塗布ヘッド31の塗布材の射出量を管理する。
【0100】
図15に示すように、塗布ヘッド31の駆動電圧に対する塗布材の射出量は、各塗布ヘッド31でバラツキがある。そこで、塗布装置11は、各塗布ヘッド31での塗布材の射出量が均一になるように、各塗布ヘッド31を制御する。塗布ヘッド31の制御は、以下のようにして行われる。
【0101】
例えば、塗布材の総射出量(mg)の目標値に対する調整は、塗布材の滴下数(射出数)により制御する。
図16Aは、塗布材の総射出量(mg)の目標値に対する塗布材の滴下数を示している。つまり、
図16Aは、電子天秤13aで計量された塗布材の総射出量(mg)が目標値と一致したときの塗布材の滴下数が何滴であったのかを示している。塗布装置11は、各塗布ヘッド31での塗布材の総射出量が均一になるように、各塗布ヘッド31で塗布材の滴下数(射出数)を制御する。
【0102】
また、例えば、塗布ヘッド31の機差(個体差)に対する塗布材の滴下量(射出量)の調整は、塗布ヘッド31の駆動電圧(射出電圧)により制御する。
図16Bは、第2ヘッドの総射出量が第1ヘッドの総射出量よりも多いため、第2ヘッドの総射出量が第1ヘッドの総射出量と同じになるように、白抜き矢印のように第2ヘッドの駆動電圧を調整(変更)することを示している。なお、調整前の各塗布ヘッド31の駆動電圧は、各塗布ヘッド31の記憶部33に記憶された駆動電圧情報D2j(
図5参照)によって示された電圧値になっている。塗布装置11は、各塗布ヘッド31での塗布材の総射出量が均一になるように、各塗布ヘッド31の駆動電圧(射出電圧)に対して、駆動電圧情報D2j(
図5参照)によって示された電圧値を維持したり変更したりして調整する。なお、電圧値を変更した場合に、塗布装置11は、塗布ヘッド31の記憶部33に記憶されている駆動電圧情報D2j(
図5参照)を変更後の電圧値に更新登録する。
【0103】
<塗布ヘッドの駆動電圧の補正>
塗布装置11は、塗布材の射出量を変更するために塗布ヘッド31の駆動電圧を補正した場合に、塗布ヘッド31の特性の違いによって、駆動電圧の補正の仕方や補正回数に違いが発生する。そこで、本実施形態では、塗布装置11は、塗布ヘッド31の特性を表す情報として駆動電圧傾き情報D2kを各塗布ヘッド31の記憶部33に記憶する。そして、塗布装置11は、塗布材の射出量を変更するために駆動電圧を補正する場合に、駆動電圧傾き情報D2kに応じた駆動電圧の補正の仕方や補正回数で、駆動電圧を補正する。
【0104】
以下、
図17乃至
図18Cを参照して、塗布ヘッド31の駆動条件の補正の一例としての塗布ヘッド31の駆動電圧の補正について説明する。
図17は、塗布ヘッド31の駆動電圧の傾きの違いを示すグラフ図である。
図18A乃至
図18Cは、それぞれ、塗布ヘッド31の駆動電圧の傾きの違いによる補正の違いを示す説明図である。
【0105】
図17に示す例では、塗布ヘッド31の駆動電圧(V)に対する塗布材の射出量(mg)の特性を表す線として線L11,L12,L13が示されている。線L11は、塗布ヘッド31の駆動電圧の変化量に対して塗布材の射出量の変化量が理想的な状態になっている例を示している。線L12は、塗布ヘッド31の駆動電圧の変化量に対して塗布材の射出量の変化量が過剰な状態になっている例を示している。線L13は、塗布ヘッド31の駆動電圧の変化量に対して塗布材の射出量の変化量が過少な状態になっている例を示している。
【0106】
図18A乃至
図18Cに示すように、塗布装置11は、塗布材の射出量を変更するために駆動電圧を補正する場合に、線L11,L12,L13の特性(すなわち、駆動電圧傾き情報D2k)に応じた駆動電圧の補正の仕方や補正回数で駆動電圧を補正する。
【0107】
例えば、
図18Aに示すように、線L11(
図17参照)の特性を有する塗布ヘッド31は、駆動電圧の変化量に対して塗布材の射出量の変化量が理想的な状態になっている。そのため、線L11の特性を有する塗布ヘッド31は、目標値から塗布材の射出量がズレている場合において、塗布材の射出量が目標値に一致するように塗布ヘッド31の駆動電圧を補正することで、1回の駆動電圧の補正で塗布材の射出量を目標値に設定することができる。つまり、例えば
図18Aに示すように、目標値からの塗布材の射出量のズレを表す偏差が+3側にズレている状態において、線L11の特性を有する塗布ヘッド31は、1回の駆動電圧の補正で偏差がゼロの状態にすることができる。
【0108】
これに対して、
図18Bに示すように、線L12(
図17参照)の特性を有する塗布ヘッド31は、駆動電圧の変化量に対して塗布材の射出量の変化量が過剰な状態になっている。そのため、線L12の特性を有する塗布ヘッド31は、目標値から塗布材の射出量がズレている場合において、塗布材の射出量が目標値に一致するように塗布ヘッド31の駆動電圧を補正しても、塗布材の射出量の変化量が過剰になってしまう。つまり、例えば
図18Bに示すように、偏差が+3側にズレている状態において、線L12の特性を有する塗布ヘッド31は、1回目の駆動電圧の補正を行っても、偏差がマイナス側にズレた状態になってしまう。そのため、線L12の特性を有する塗布ヘッド31は、偏差をゼロに近づけるための追加の補正を複数回行う。
【0109】
なお、追加の補正を行う回数は、線L11の傾きに対する線L12の傾きのズレ量によって変化する。ズレ量が大きければ(つまり、
図17において線L12の傾きが縦軸に近くなれば)、駆動電圧の変化量に対する塗布材の射出量の変化量が大きくなる。そのため、
図18Bにおいて、1回当たりの駆動電圧の補正における偏差の変化量が大きくなる。その結果、偏差がゼロに収束し難くなる。そのため、追加の補正を行う回数は増加する。一方、ズレ量が小さければ(つまり、
図17において線L12の傾きが線L11に近くなれば)、駆動電圧の変化量に対する塗布材の射出量の変化量が小さくなる。そのため、
図18Bにおいて、1回当たりの駆動電圧の補正における偏差の変化量が小さくなる。その結果、偏差がゼロに収束し易くなる。そのため、追加の補正を行う回数は減少する。
【0110】
また、
図18Cに示すように、線L13(
図17参照)の特性を有する塗布ヘッド31は、駆動電圧の変化量に対して塗布材の射出量の変化量が過少な状態になっている。そのため、線L13の特性を有する塗布ヘッド31は、目標値から塗布材の射出量がズレている場合において、塗布材の射出量が目標値に一致するように塗布ヘッド31の駆動電圧を補正しても、塗布材の射出量の変化量が過少になってしまう。つまり、例えば
図18Cに示すように、偏差が+3側にズレている状態において、線L12の特性を有する塗布ヘッド31は、1回目の駆動電圧の補正を行っても、偏差がまだプラス側にズレた状態になってしまう。そのため、線L13の特性を有する塗布ヘッド31は、偏差をゼロに近づけるための追加の補正を複数回行う。
【0111】
なお、追加の補正を行う回数は、線L11の傾きに対する線L13の傾きのズレ量によって変化する。ズレ量が大きければ(つまり、
図17において線L13の傾きが横軸に近くなれば)、駆動電圧の変化量に対する塗布材の射出量の変化量が小さくなる。そのため、
図18Cにおいて、1回当たりの駆動電圧の補正における偏差の変化量が小さくなる。その結果、偏差がゼロに収束し難くなる。そのため、追加の補正を行う回数は増加する。一方、ズレ量が小さければ(つまり、
図17において線L13の傾きが線L11に近くなれば)、駆動電圧の変化量に対する塗布材の射出量の変化量が大きくなる。そのため、
図18Cにおいて、1回当たりの駆動電圧の補正における偏差の変化量が大きくなる。その結果、偏差がゼロに収束し易くなる。そのため、追加の補正を行う回数は減少する。
【0112】
このような塗布装置11は、駆動電圧傾き情報D2kに応じた駆動電圧の補正の仕方や補正回数で駆動電圧を補正することにより、塗布材の射出量を効率よく変更することができる。
【0113】
<ドット検査(塗布抜け検査)>
以下、
図19乃至
図21を参照して、ドット検査(塗布抜け検査)について説明する。
図19及び
図20は、それぞれ、ドット検査機構の説明図である。
図21は、ドット検査において不適切な場合の一例を示す説明図である。
【0114】
ドット検査(塗布抜け検査)は、基板70に塗布された塗布材の状態を確認する検査である。ドット検査(塗布抜け検査)は、生産運転中において、塗布ヘッド31からの塗布材の射出後に行われる。ドット検査(塗布抜け検査)では、基板70に塗布された塗布材の位置が悪かったり、射出不良があったりした場合に、その件数がカウントされる。
【0115】
図19及び
図20に示すように、ドット検査機構16は、複数のドット検査カメラ(図示例では、2つのドット検査カメラ17a,17b)を有している。ドット検査カメラ17a,17bは、基板70の上面(塗布材の塗布面)を撮影するカメラである。ドット検査カメラ17a,17bは、撮影部が基板70の上面(塗布材の塗布面)に対向するように配置されている。ドット検査カメラ17a,17bは、横方向に一列に配置されている。塗布装置11は、基板70とドット検査カメラ17a,17bとを相対的に移動することにより、ドット検査カメラ17a,17bで基板70の上面(塗布材の塗布面)を撮影する。
【0116】
図19は、部分検査モードでドット検査(塗布抜け検査)を行う場合の動作を示している。「部分検査モード」は、基板70の特定部分を指定し、特定部分を検査するモードである。部分検査モードでは、1台のドット検査カメラにつきドット検査カメラが撮影可能な範囲を検査範囲とすることができる。
【0117】
図19に示す部分検査モードの例では、ドット検査カメラ17a,17bで撮影する部分として検査範囲71a,71bが指定されている。塗布装置11は、所定位置で基板70を停止した後、ドット検査カメラ17aで検査範囲71aを撮影し、ドット検査カメラ17bで検査範囲71aを撮影する。そして塗布装置11は、撮影された写真に基づいて、検査範囲71a,71bに対して基板70の上面(塗布材の塗布面)の縦方向に延在する部分における塗布材の塗布状態を識別する。なお、
図19に示す例では、前記した「特定部分」とは、検査範囲71a,71bに対して基板70の上面(塗布材の塗布面)の縦方向に延在する部分である。
【0118】
図20は、全スキャンモードでドット検査(塗布抜け検査)を行う場合の動作を示している。「全スキャンモード」は、基板70の上面(塗布材の塗布面)の全面を検査するモードである。全スキャンモードでは、基板70の上面(塗布材の塗布面)の全面を検査範囲としている。
【0119】
図20に示す全スキャンモードの例では、ドット検査カメラ17a,17bで撮影する部分として検査範囲71cが指定されている。検査範囲71cは、基板70の上面(塗布材の塗布面)に対して横一列の範囲である。塗布装置11は、縦方向(ドット検査カメラ17a,17bの配置方向に対して直交方向)に基板70を搬送するとともに、ドット検査カメラ17a,17bを横方向に往復移動しながら、ドット検査カメラ17a,17bで検査範囲71cを撮影する。そして塗布装置11は、撮影された写真に基づいて、検査範囲71cの上面(塗布材の塗布面)の縦方向に延在する部分(すなわち、基板70の上面(塗布材の塗布面)の全面)における塗布材の塗布状態を識別する。
【0120】
図21は、ドット検査において不適切な場合の一例を示している。基板70には、射出抜け箇所72(塗布抜け箇所)が形成されている。射出抜け箇所72は、縦方向にライン状に形成されている。塗布装置11は、撮影された写真に基づいて、ドット検査(塗布抜け検査)で射出抜け箇所72を検知することができる。
【0121】
射出抜け箇所72は、例えば、塗布ヘッド31及びパイプ34dの空気抜きが不足していて、塗布ヘッド31から射出された塗布材の中に空気が混入していることによって発生する。射出抜け箇所72が発生した場合は、レギュレータ37で空気の負圧を増加させて、塗布ヘッド31及びパイプ34dから空気を抜くとともに、射出抜け箇所72に対して塗布材のリペア塗布(修復用の塗布)を行うことで対処することができる。
【0122】
<塗布装置と塗布ヘッド管理システムの主な特徴>
(1)
図1に示すように、本実施形態に係る塗布装置11は、基板70を保持する保持テーブル21と、保持テーブル21に保持されている基板70に塗布材を塗布する塗布ヘッドユニット22(塗布部)と、基板70と塗布ヘッドユニット22(塗布部)とを相対的に移動することにより基板70の所定領域に塗布材を塗布するように制御する制御部50と、を備えている。塗布ヘッドユニット22(塗布部)には、基板70に塗布材を塗布するための塗布ヘッド31が着脱自在に取り付けられている。
図2及び
図5に示すように、塗布ヘッド31は、塗布ヘッド31の固有情報D10が記憶される第1記憶領域33aと、塗布ヘッド31の来歴情報D20が記憶される第2記憶領域33bと、を含む記憶部33を有している。そして、
図8に示すように、本実施形態に係る塗布装置11は、塗布ヘッド31に設けられた記憶部33から塗布ヘッド31の固有情報D10を読み取る固有情報読取工程(ステップS610参照)と、基板70と塗布ヘッドユニット22(塗布部)とを相対的に移動することにより基板70の所定領域に塗布材を塗布する塗布材塗布工程(ステップS660参照)と、塗布ヘッド31の塗布動作に応じて塗布ヘッド31の来歴情報D20を記憶部33に格納する来歴情報格納工程(ステップS670参照)と、を実行する。つまり、
図8に示すように、制御部50は、第1記憶領域33aから固有情報D10を読み取る(ステップS610)と共に、塗布ヘッド31の塗布動作に応じて来歴情報D20を第2記憶領域33bに格納する(ステップS670)。
【0123】
このような本実施形態に係る塗布装置11は、第2記憶領域33bに格納された来歴情報D20に基づいて塗布ヘッド31の塗布動作を把握することができるため、塗布ヘッド31の状態を好適に管理することができる。そのため、本実施形態に係る塗布装置11は、複数の塗布ヘッドユニット22(塗布部)において、各塗布ヘッドユニット22に取り付けられている塗布ヘッド31を同じような状態に容易に調整することができる。また、塗布ヘッド31の調整は、非常に繊細なものであるが、本実施形態に係る塗布装置11は、塗布ヘッド31の記憶部33に記憶されている来歴情報D20を利用することができるため、塗布ヘッドの調整を短時間で行うことができる。
【0124】
(2)
図8に示すように、本実施形態に係る塗布装置11の制御部50は、第1記憶領域33aから固有情報D10を読み取ることで、塗布ヘッドユニット22(塗布部)に取り付けられた塗布ヘッド31の交換の有無を検知することができる(ステップS610,S615)。
【0125】
このような本実施形態に係る塗布装置11は、塗布ヘッド31の交換の有無を検知することができるため、塗布ヘッド31の交換があった場合に、新たな塗布ヘッド31の駆動条件を決定することができる。
【0126】
(3)
図8に示すように、本実施形態に係る塗布装置11の制御部50は、第2記憶領域33bから来歴情報D20を読み取り、来歴情報D20に基づいて塗布ヘッド31の駆動条件を決定することができる(ステップS620,S625)。
【0127】
このような本実施形態に係る塗布装置11は、第2記憶領域33bに格納された来歴情報D20に基づいて塗布ヘッド31の駆動条件(例えば、塗布ヘッド31の駆動電圧やヒータ40の温度等)を決定することができる。
【0128】
(4)
図5に示すように、本実施形態に係る塗布装置11において、来歴情報D20は、塗布ヘッド31を駆動させる駆動電圧の傾きを表す駆動電圧傾き情報D2kを含んでいる。制御部50は、駆動電圧傾き情報D2kに基づいて塗布ヘッド31の駆動電圧を補正することができる。
【0129】
このような本実施形態に係る塗布装置11は、塗布材の射出量を変更するために駆動電圧を補正する場合に、
図18A乃至
図18Cに示すように、駆動電圧傾き情報D2kに応じた駆動電圧の補正の仕方や少ない補正回数で、駆動電圧を補正することができる。
【0130】
(5)
図4及び
図7に示すように、塗布ヘッド管理システム10の塗布ヘッド管理装置19は、塗布ヘッド31に設けられた記憶部33に格納されている来歴情報D20に基づいて塗布ヘッドユニット22(塗布部)に取り付けられた塗布ヘッド31の状態を監視することができる。なお、塗布ヘッド管理装置19は、制御装置12のメインPC51と統合(一体化)することができる。
【0131】
このような本実施形態に係る塗布装置11を含む塗布ヘッド管理システム10は、交換が必要な塗布ヘッド31に対して、塗布ヘッド31(又は、塗布ヘッド31が取り付けられている塗布ヘッドユニット22)の交換を使用者に指示することができる。
【0132】
(6)
図7に示すように、塗布ヘッド管理システム10の塗布ヘッド管理装置19は、複数の塗布ヘッド31に対し、各塗布ヘッド31の記憶部33に格納されている来歴情報D20に基づいて状態を監視することができる。
【0133】
このような本実施形態に係る塗布装置11を含む塗布ヘッド管理システム10は、複数の塗布ヘッド31に対して、塗布ヘッド31の状態を監視することができる。
【0134】
以上の通り、本実施形態に係る塗布装置11によれば、塗布ヘッド31の状態を好適に管理することができる。
【0135】
なお、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更や変形を行うことができる。
【0136】
例えば、前記した実施形態は、本発明の要旨を分かり易く説明するために詳細に説明したものである。そのため、本発明は、必ずしも説明した全ての構成要素を備えるものに限定されるものではない。また、本発明は、ある構成要素に他の構成要素を追加したり、一部の構成要素を他の構成要素に変更したりすることができる。また、本発明は、一部の構成要素を削除することもできる。
【0137】
また、例えば、前記した実施形態では、メインPC51が塗布装置11の内部に設けられている(
図4参照)。しかしながら、メインPC51は、塗布装置11の外部に設けられていてもよい。
【0138】
また、例えば、前記した実施形態では、制御部50が制御装置12と塗布ヘッド管理装置19とに分断された構成になっている(
図4参照)。しかしながら、制御部50は、制御装置12と塗布ヘッド管理装置19とが統合された構成にしてもよい。
【0139】
例えば、電子天秤13aは、塗布材タンク23に収納される塗布材の収納量の計量に利用するようにしてもよい。
【0140】
例えば、塗布装置11は、1つの支持部27に対して複数の塗布ヘッド31が取り付けられる構成にしてもよい。
【解決手段】塗布装置11は、基板70を保持する保持テーブル21と、保持テーブルに保持されている基板に塗布材を塗布する塗布部(塗布ヘッドユニット22)と、基板と塗布部とを相対的に移動することにより基板の所定領域に塗布材を塗布するように制御する制御部50と、を備えている。塗布部には、基板に塗布材を塗布するための塗布ヘッド31が着脱自在に取り付けられている。塗布ヘッドは、塗布ヘッドの固有情報が記憶される第1記憶領域と、塗布ヘッドの来歴情報