(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記長手方向の中央部において、前記吸収体の前記幅方向における頭側端から前記第1接合部までの距離と、前記第1接合部から前記第1起立部の端までの距離との和は、前記吸収体の前記幅方向における尻側端から前記第2接合部までの距離と、前記第2接合部から前記第2起立部の端までの距離との和よりも長い請求項1から7のいずれか1項に記載のペット用吸収性物品。
前記中央部において、前記第1接合部から前記第1起立部の端までの距離は、前記第2接合部から前記第2起立部の端までの距離よりも長い請求項8に記載のペット用吸収性物品。
前記中央部において、前記吸収体の前記幅方向の頭側端から前記第1接合部までの距離は、前記吸収体の前記幅方向の尻側端から前記第2接合部までの距離よりも長い請求項8又は9に記載のペット用吸収性物品。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[第1実施形態]
以下、
図1〜
図14を参照しながら、本発明の第1実施形態に係るペット用吸収性物品について説明する。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法や比率などは適宜異ならせてある。また、以下の説明においては、ペット用吸収性物品を単に「吸収性物品」と称することがある。
【0029】
図1は、本実施形態のペット用吸収性物品1の装着状態を示す模式図である。吸収性物品1は、オスのペットに好適に用いられる。吸収性物品1は、内部にペットPから排出される液を吸収して保持する。吸収する対象となる液は、ペットPの体内から排出される液状物を指し、典型的にはペットPが排出する尿が挙げられる。その他、血液や精液も挙げられる。以下、吸収する液として尿を例に挙げ、吸収性物品1を説明する。
【0030】
以下の説明では、吸収性物品1を装着するペットが犬である例を示すが、他のペットに吸収性物品1を装着させてもよい。例えば、吸収性物品1は猫に装着させてもよい。
【0031】
本実施形態の吸収性物品1は、帯状の形状を有し、互いに直交する長手方向、幅方向及び厚さ方向を有する。
図1に示すように、吸収性物品1は、長手方向がペットPの胴回り方向に沿うように装着され、ペットPの大腿部Tの前方(頭側)でペットPの腰Hに巻き付けられる。
【0032】
本実施形態において「帯状」とは、一方向に長く伸びる様子を示す表現である。この意味において、「帯状の形状」とは数学的な矩形に限らず、辺の形状が直線でなくてもよい。
【0033】
このような姿勢で吸収性物品1を装着すると、吸収性物品1は、ペットPの尿道口を覆い、ペットPが排泄した尿を吸収して保持することができる。
【0034】
以下の説明では、吸収性物品1において装着時にペットPと対向する面を「おもて面」、装着時にペットPとは反対である外側を向く面を「裏面」と称する。
【0035】
図2は、本実施形態の吸収性物品1を示す概略斜視図である。
図3は、
図2の線分III−IIIで示す断面視野における分解断面図である。
図4は、吸収性物品1の平面図である。
【0036】
以下の説明においては、xyz直交座標系を設定し、このxyz直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。ここでは、水平面内の所定方向をx軸方向、水平面内においてx軸方向と直交する方向をy軸方向、x軸方向及びy軸方向のそれぞれと直交する方向(すなわち鉛直方向)をz軸方向とする。
【0037】
図2,3に示すように、本実施形態の吸収性物品1は、本体部10と、一対の第1漏れ抑制部20及び第2漏れ抑制部30と、を有する。
【0038】
吸収性物品1において、
図1に示す装着状態でペットPの頭側を符号A、装着状態でペットPの尻側を符号Bで示す。
【0039】
(本体部)
本体部10は、x軸方向に延在する帯状の外見を有する。本体部10のy軸方向の長さは、x軸方向の長さよりも短い。x軸方向は、本発明における「長手方向」に該当する。また、y軸方向は、本発明における「幅方向」に該当する。また、z軸方向は、本発明における「厚さ方向」に該当する。
【0040】
本体部10の長手方向は符号Xで表し、本体部10の幅方向は符号Yで表す。
【0041】
本体部10は、表面シート11と、裏面層12と、吸収体13とを有する。表面シート11と、裏面層12と、吸収体13とは、厚さ方向(z軸方向)に積層している。
【0042】
表面シート11は、本体部10のおもて面10aの側に位置し、本体部10のおもて面10aを構成する。
【0043】
表面シート11は、液(ペットPの尿)を透過させる。表面シート11は、例えば不織布を材料とする。
【0044】
裏面層12は、本体部10の裏面10bの側に位置し、本体部10の裏面10bを構成する。裏面層12は、液(ペットPの尿)を透過させない。
【0045】
裏面層12は、ペットPの尿を透過させない防水フィルム121と、防水フィルム121よりも外側に設けられる不織布122とを有する。防水フィルム121の裏面側の面121aには、印刷が施されていてもよい。また、不織布122にも印刷が施されていてもよい。
【0046】
図3に示す吸収性物品1では、表面シート11の幅方向の長さと、防水フィルム121の幅方向の長さとが一致している。また、不織布122の幅方向の長さは、表面シート11の幅方向の長さ、及び防水フィルム121の幅方向の長さよりも長い。不織布122は、裏面からの視野において、表面シート11及び防水フィルム121を完全に覆っている。
【0047】
吸収体13は、表面シート11と裏面層12との間に配置されている。吸収体13は、液(ペットPの尿)を吸収する。
図2に示すように、吸収体13は、吸収性物品1の長手方向Xに延在し、吸収性物品の長手方向Xの中央に配置されている。吸収体13の幅方向Yの長さは、吸収体13の長手方向Xの長さよりも短い。
【0048】
吸収体13は、ペット用の吸収性物品の吸収体として公知の構成を採用することができる。例えば、吸収体13は、吸収性素材を材料とするコアと、コアを包むラップ材とを有し、平面視矩形の部材である。
【0049】
吸収性素材としては、フラッフ状パルプと、高吸収性ポリマーとが挙げられる。フラッフ状パルプとしては例えば、化学パルプ、セルロース繊維、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維が挙げられる。高吸収性ポリマーとしては、デンプン系、アクリル酸系、アミノ酸系の粒子状又は繊維状のポリマーが挙げられる。
【0050】
ラップ材としては、不織布ラップとティッシュラップとが挙げられる。
【0051】
(第1漏れ抑制部)
第1漏れ抑制部20は、本体部10の表面シート11側に設けられる。第1漏れ抑制部20は、本体部10の長手方向Xに沿って延在する帯状の部材である。
【0052】
第1漏れ抑制部20は、疎水性不織布を材料とし、長手方向Xに伸びる第1抑制部本体200と、第1抑制部本体200の長手方向に沿って取り付けられた弾性部材201と、を有する。第1漏れ抑制部20の材料である不織布は、撥水加工されていてもよい。
【0053】
なお、以下の説明において、「端部」とは、物品の端縁を含む一定の範囲を含む領域を指す。
また、「端」とは、物品の端縁を指す。「一端」「他端」も同様とする。
【0054】
第1漏れ抑制部20は、本体部10と接合されている領域である第1接合部20Xと、本体部10と接合されていない領域である第1起立部20Yとを有する。
【0055】
第1接合部20Xは、第1漏れ抑制部20の幅方向Yにおける頭側Aの端部であって、本体部10(表面シート11及び裏面層12)と接合している領域である。第1接合部20Xは、第1漏れ抑制部20の頭側Aの端部において、長手方向Xに沿って設けられている。接合の方法は、融着であってもよく、接着であってもよい。
【0056】
第1起立部20Yは、第1漏れ抑制部20の幅方向Yにおける尻側Bの端部であって、本体部10と接合していない領域である。第1起立部20Yは、第1漏れ抑制部20の尻側Bの端部において、長手方向Xに沿って設けられている。
【0057】
さらに、
図4に示すように、第1漏れ抑制部20は、表面シート11と接合する第3接合部20Zが設けられていてもよい。本実施形態においては、第3接合部20Zは、第1漏れ抑制部20の幅方向Yにおける尻側Bの端部であって、且つ長手方向Xの両端部に設けられている。
【0058】
第1漏れ抑制部20が第3接合部20Zにおいて表面シート11と接合する場合、第1起立部20Yの範囲は、第1漏れ抑制部20の幅方向Yにおける尻側Bの端部であって、且つ第3接合部20Zが設けられていない領域を指す。
【0059】
第1起立部20Yにおいて、第1抑制部本体200の幅方向Yの内側の端部は、弾性部材201を巻き込みながら長手方向Xに沿って折り返されている。
図2に示すように、弾性部材201は、本体部10の長手方向Xの中央付近に設けられ、製造時に長手方向Xに伸長された状態で一部が固定されている。弾性部材201は、製造時に弾性部材201を伸長させるために加えられた力から開放されており、弾性部材201の収縮力(弾性力)に基づいて長手方向Xに収縮している。
【0060】
弾性部材201の材料は、細長く、伸び縮みする材料であればよい。弾性部材201の材料は、具体的には、天然ゴムからなる糸状ゴム、平ゴム等や、ウレタン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、PE等の熱可塑性エラストマーを用いることができる。熱可塑性エラストマーとしては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、ポリウレタン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−αオレフィン共重合体等を糸状に成形するか又はフィルムに成型し細幅にスリットしたものが挙げられる。
【0061】
第1抑制部本体200の内側の端部であって、折り返された帯状の領域は、対向する第1抑制部本体200と接合している。第1起立部20Yにおいて、第1抑制部本体200が弾性部材201を巻き込んで接合した部分は、ギャザー部25を構成する。ギャザー部25は、立体ギャザーとして知られた構成である。
【0062】
ギャザー部25が形成された領域は、弾性部材201の収縮に伴って収縮している。そのため、第1起立部20Yは、第1起立部20Yの長手方向Xに収縮する。
【0063】
また、第1漏れ抑制部20は、第1漏れ抑制部20の幅方向Yにおける頭側Aの端部において、間に弾性部材181を挟み込んだ状態で本体部10の不織布122と接合している。弾性部材181は、本体部10の長手方向Xに沿って設けられ、長手方向Xに伸長された状態で固定されている。第1漏れ抑制部20において、弾性部材181を挟み込み、本体部10の不織布122と接合された部分は、第1フラップ部18を構成する。第1フラップ部18は、本体部10の幅方向Yにおける頭側Aの最外側に位置し、長手方向Xに延在している。
【0064】
弾性部材181の材料は、弾性部材201の材料と同様の材料を用いることができる。
【0065】
(第2漏れ抑制部)
第2漏れ抑制部30は、本体部10の表面シート11側に設けられる。第2漏れ抑制部30は、本体部10の長手方向Xに沿って延在する帯状の部材である。また、第2漏れ抑制部30の幅は、第1漏れ抑制部20の幅よりも狭い。
【0066】
第2漏れ抑制部30は、疎水性不織布を材料とし、長手方向Xに伸びる第2抑制部本体300を有する。第2漏れ抑制部30の材料である不織布は、撥水加工されていてもよい。
【0067】
第2漏れ抑制部30は、本体部10と接合されている領域である第2接合部30Xと、本体部10と接合されていない領域である第2起立部30Yとを有する。
【0068】
第2接合部30Xは、第2漏れ抑制部30の幅方向Yにおける尻側Bの端部であって、本体部10(表面シート11及び裏面層12)と接合している領域である。第2接合部30Xは、第2漏れ抑制部30の尻側Bの端部において、長手方向Xに沿って設けられている。接合の方法は、融着であってもよく、接着であってもよい。
【0069】
第2起立部30Yは、第2漏れ抑制部30の幅方向Yにおける頭側Aの端部であって、本体部10と接合していない領域である。第2起立部30Yは、第2漏れ抑制部30の頭側Aの端部において、長手方向Xに沿って設けられている。
【0070】
第2起立部30Yは、第1起立部20Yと異なり、第2起立部30Yを長手方向に収縮させる弾性部材を有さない。
【0071】
第2起立部30Yの長手方向Xの両端部は、表面シート11と弱接合されていてもよい。
図2では、弱接合された部分を符号HMで示している。
【0072】
弱接合とは、接合部分に加えられる力が弱い場合(例えば、折り畳まれたペット用吸収性物品1を展開する程度の力が、間接的に接合部分に伝わった場合)には、接合状態は維持されるが、接合部分に所定以上の力が加えられた場合(例えば、接合部分が装着対象のペットに当接した状態で、このペットの身体の動きにより接合部分に対して接合を解除する方向の力が加えられた場合)には、接合状態が解除される程度の強さでの接合を表す。
【0073】
また、第2漏れ抑制部30は、第2漏れ抑制部30の幅方向Yにおける尻側Bの端部において、間に弾性部材191を挟み込んだ状態で本体部10の不織布122と接合している。弾性部材191は、本体部10の長手方向Xに沿って設けられ、長手方向Xに伸長された状態で固定されている。第2漏れ抑制部30において、弾性部材191を挟み込み、本体部10の不織布122と接合された部分は、第2フラップ部19を構成する。第2フラップ部19は、本体部10(表面シート11及び裏面層12)の幅方向Yの最外側に位置し、長手方向Xに延在している。
【0074】
弾性部材191の材料は、上述の弾性部材201の材料と同様の材料を用いることができる。
【0075】
上述したように、第1起立部20Yは弾性部材201を有し長手方向に収縮する一方、第2起立部30Yは弾性部材を有さず長手方向に収縮しない。すなわち、第2起立部30Yにおける長手方向Xの収縮力は、第1起立部20Yにおける長手方向Xの収縮力よりも小さい。
【0076】
第1起立部20Y及び第2起立部30Yの収縮力は、第1起立部20Y及び第2起立部30Yから、長手方向Xに沿って短冊状の試験片を切り取り、引張荷重を測定して求める。
【0077】
試験片は、以下のように作製する。
まず、吸収性物品1を展開し、第1起立部20Yの表面に弾性部材181の収縮作用による皺(ギャザー)が無くなる程度にまで長手方向Xに伸長させる。次いで、伸長させた状態の吸収性物品1の第1起立部20Y及び第2起立部30Yから、短冊状の試験片を切り取る。
【0078】
第1起立部20Yから試験片を切り出す際には、試験片の長手方向の全域にギャザー部25が含まれるように試験片を作製する。すなわち、第1起立部20Yの長手方向Xにおいて、ギャザー部25が存在しない領域を含む場合には、上記「ギャザー部25が存在しない領域」が含まれないように試験片を切り出す。
【0079】
試験片を切り取る際の状態、すなわち吸収性物品1を長手方向Xに皺(ギャザー)が無くなる程度に伸長させた状態の試験片の寸法を、試験片の初期寸法とする。
【0080】
作製した試験片について、オートグラフ型引張試験機(株式会社島津製作所製、型番AG−1KN1)を用いて引張荷重(N)を測定する。
各試験片の長手方向の一方の端部を固定チャックに挟み、長手方向の他方の端部を可動チャックに挟んだ状態で可動チャックを300mm/分の速度で移動させ、試験片の長手方向の寸法が初期寸法の75%となったときの引張荷重を、求める収縮力とする。
【0081】
吸収性物品1を装着したペットPの性器は、第2起立部30Yと重なる位置にある。第2起立部30Yは、皺を形成しながら胴や性器に沿ってペットPに接触する。
【0082】
ここで、第2起立部30Yは、弾性部材を有さず長手方向に収縮していないため、長手方向に収縮する第1起立部20Yよりも形成される皺が少ない。また、弾性部材を有さない第2起立部30Yでは、皺が生じたとしても、皺の形成位置が変化しやすく、皺の稜が性器に当たる位置が変わりやすい。
【0083】
そのため、ペットPの性器が第2起立部30Yと重なる位置にあったとしても、第2起立部30Yから性器が受ける擦過刺激が分散しやすく、皮膚の炎症を生じにくい。
【0084】
また、吸収性物品1は、第1起立部20Y及び第2起立部30Yの存在により尿漏れが抑制されている。
【0085】
そのため、吸収性物品1は、尿漏れを抑制しつつ、装着時における性器とのこすれを抑制することができる。
【0086】
図4に示すように、吸収性物品1における各構成の詳細な配置は、次のようになっている。吸収性物品1において、幅方向Yの中心軸をCL1とし、長手方向Xの中心軸をCL2とする。吸収性物品1の長手方向Xの中央部とは、中心軸CL2近傍を指す。
【0087】
まず、吸収性物品1は、幅方向Yの中心軸CL1に対し、多くの構成が線対称の配置となっている。中心軸CL1から第1接合部20Xまでの距離A3は、中心軸CL1から第2接合部30Xまでの距離B3と等しい。また、第1接合部20Xから本体部10の幅方向Yにおける頭側Aの端10xまでの距離A4は、第2接合部30Xから本体部10の幅方向Yにおける尻側Bの端10yまでの距離B4と等しい。
【0088】
なお、
図4に示すように、第1接合部20Xとの距離を測定する際には、第1接合部20Xの端20aを基準とする。端20aは、第1漏れ抑制部20の幅方向において、本体部10と接合された領域(第1接合部20X)と、本体部10と接合されていない領域(第1起立部20Y)との間に形成される境界である。
【0089】
また、第2接合部30Xとの距離を測定する際には、第2接合部30Xの端30aを基準とする。端30aは、第2漏れ抑制部30の幅方向において、本体部10と接合された領域(第2接合部30X)と、本体部10と接合されていない領域(第2起立部30Y)との間に形成される境界である。
【0090】
また、本体部10の幅方向Yの中心軸CL1に対し、吸収体13は線対称の配置となっている。すなわち、吸収体13の幅方向の両端から中心軸CL1までの距離はそれぞれ等しい(A5=B5)。また、吸収体13の長手方向の両端から中心軸CL2までの距離も、それぞれ等しい(C1=D1)。
【0091】
しかし、第1起立部20Yと第2起立部30Yとは、中心軸CL1に対して線対称になっていない。詳しくは、本体部10の長手方向Xの中央部において、吸収体13の幅方向Yにおける頭側端から第1接合部20Xまでの距離A1と、第1接合部20Xから第1起立部20Yの内側の端20bまでの距離A2との和は、吸収体13の幅方向Yにおける尻側端から第2接合部30Xまでの距離B1と、第2接合部30Xから第2起立部30Yの内側の端30bまでの距離B2との和よりも長い。すなわち、関係式(A1+A2)>(B1+B2)が成り立つ。
【0092】
吸収性物品1では、本体部10の長手方向Xの中央部において、距離A1は距離B1と等しく、距離A2は距離B2よりも長い(A2>B2)。
【0093】
さらに、吸収性物品1では、本体部10の長手方向Xの中央部において、距離A1は距離A2より短く、第1起立部20Yの内側の端20bは、平面視で吸収体13と重なっている(A2>A1)。また、吸収性物品1では、距離B1は距離B2より長く、第2起立部30Yの内側の端30bは、平面視で吸収体13と重なっていない(B1>B2)。
【0094】
このとき、本体部10の長手方向Xの中央部において、距離A1は、距離B1よりも長くてもよい(A1>B1)。すなわち、吸収体13は、本体部10において尻側Bにずれて配置されていてもよい。
【0095】
また、吸収性物品1では、本体部10の幅方向Yにおいて、第3接合部20Zの外側の端から第1起立部20Yの内側の端までの距離A6は、距離B2よりも短くてもよい(B2>A6)。第3接合部20Zは、第1接合部20Xと連続していてもよい。この場合、距離A6は0である。
【0096】
距離A6が距離B2よりも短く作製されていると、吸収性物品1の廃棄時に吸収性物品1を小さく畳んだ際、第3接合部20Zと第1起立部20Yとの間の隙間から尿が漏れ出にくい。
【0097】
図5は、吸収性物品1の他の効果を説明する説明図であり、吸収性物品1をペットPが装着した時の中心軸CL2における概略断面図である。吸収性物品1を装着したペットPの尿道口UMは、例えば吸収体13と重なる位置にある。ペットPは、頭側Aに向けて排泄する。
【0098】
このとき、排尿される方向には、第1起立部20Yと本体部10とで囲まれた空間が形成されており尿Uを遮る。第1起立部20Yと本体部10とで囲まれた空間で遮られた尿Uは、後方(尻側B)に戻る過程で吸収体13の上を通過するため、効果的に吸収体13に吸収される。仮に吸収体13で吸収されない少量の尿Uが吸収体13を超えたとしても、第2起立部30Yにより遮られる。
【0099】
ここで、上述のように関係式(A1+A2)>(B1+B2)が成り立つことにより、吸収体13よりも頭側Aでは尻側Bよりも相対的に大きな空間が形成され、排泄された尿Uを広く受け止めて遮ることができる。また、吸収体13に尿Uが吸収されるまで、短い時間でも第1起立部20Yと本体部10とで囲まれた空間で尿Uを保持することができる。そのため、仮に勢いよく尿Uが排泄されたとしても、頭側Aからの尿漏れを抑制することができる。また、尿Uを効果的に吸収体13に導き、吸収させることができる。
【0100】
(係止部)
図6は、吸収性物品1の裏面図である。
図6に示すように、吸収性物品1は、本体部10の長手方向の一端側に、係止部40を有する。係止部40は、メカニカルファスナである。係止部40は、本体部10の長手方向Xの両端において表面シート11と裏面層12とを接続し、吸収性物品1を筒状に固定する。これにより、吸収性物品1はペットPの胴回りに固定される。
【0101】
本実施形態においては、係止部40は、裏面層12の幅方向に設けられている。そのため、吸収性物品1は、本体部10の長手方向Xの一端側の裏面に長手方向Xの他端側のおもて面を重ねることで、係止部40が表面シート11に接続され筒状に固定される。このように、係止部40が裏面層12に設けられていると、ペットPへの装着時に係止部40が外側に露出するため、作業者は係止部40を認識しやすく、ペットPへの装着が容易となる。
【0102】
係止部40は、表面シート11に設けられていてもよい。この場合、吸収性物品1は、本体部10の長手方向Xの一端側のおもて面に長手方向Xの他端側の裏面を重ねることで、係止部40が裏面層12に接続され筒状に固定される。
【0103】
吸収性物品1においては、係止部40の幅方向Yの中心軸CL3は、第1接合部20Xと第2接合部30Xとの中心位置(中心軸CL1)よりも第2接合部30Xの側に位置する。すなわち、吸収性物品1においては、係止部40は相対的に尻側Bにずれて設けられている。これにより、吸収性物品1は、より臀部に近い側で固定されることとなり、第2起立部30Y(
図4参照)が配置された側を相対的にきつく締めることで、後方からの尿漏れが抑制できる。
【0104】
係止部40が設けられた領域は、一様に形成されていてもよいが、厚さ方向(z方向)の構成が領域によって異なっていてもよい。このような構成の吸収性物品1は、係止部40が設けられた領域の剛性が場所によって異なり、相対的に剛性が高い高剛性領域を有する。
【0105】
例えば、係止部40が頭側Aにずれて設けられている場合、係止部40の頭側Aの一部は第1漏れ抑制部20と平面的に重なり、残りは第1漏れ抑制部20と重ならない。同様に、係止部40が尻側Bにずれて設けられている場合、係止部40の尻側Bの一部は第2漏れ抑制部30と平面的に重なり、残りは第2漏れ抑制部30と平面的に重ならない。このような厚み方向の構成の違いにより、係止部40が設けられた領域においては、剛性の違いが生じる。
【0106】
上記例では、係止部40と第1漏れ抑制部20又は第2漏れ抑制部30とが重なる領域は、他の重ならない領域と相対的に剛性が高くなる。このような剛性が高い領域は、本発明における「高剛性領域」に該当する。
【0107】
吸収性物品1を装着したペットPが動く場合、吸収性物品1には複数の方向から力が加わり、引っ張られて位置ずれしたり、端部がめくれたりすることがある。係止部40が高剛性領域を有していると、高剛性領域は、相対的に剛性が低い領域(低剛性領域)よりも変形しにくく、吸収性物品1の位置ずれや、高剛性領域の周辺における端部のめくれを抑制できる。
【0108】
さらに、高剛性領域は、係止部40の構成そのものを変更することで形成してもよい。すなわち、係止部が、一様に形成されているのではなく、相対的に剛性の異なる部分を有していてもよい。
【0109】
図7〜9は、係止部の変形例を示す説明図である。以下の説明では、係止部において、相対的に剛性が高い部分を高剛性部とする。また、以下の説明では、係止部が設けられた領域において、吸収性物品1の厚さ方向の構成は、一様であることとする。すなわち、係止部の高剛性部が位置する領域が高剛性領域に該当する。
【0110】
図7に示す係止部40Aは、高剛性部40xが幅方向Yの頭側Aに位置し、相対的に剛性が低い低剛性部40yが尻側Bに位置する。吸収性物品1を装着したペットPの歩行時には、吸収性物品1の頭側Aは尻側Bよりも動きにくい。そのため、頭側Aに高剛性部40xを設けることで、吸収性物品1の位置ずれを抑制し、体にしっかり固定できる。
【0111】
一方、ペットPは、歩行時に尻部を左右に振りながら動く。この場合、尻側Bに低剛性部40yを設けることで、ペットPが装着した吸収性物品1は、しなやかに体の動きに追従し、位置ずれを抑制できる。
【0112】
図8に示す係止部40Bは、高剛性部40xが幅方向Yの尻側Bに位置し、相対的に剛性が低い低剛性部40yが頭側Aに位置する。吸収性物品1を装着する際は、まず吸収性物品1の後端部をペットPの尻尾に押し当てて位置決めをし、その後、第1フラップ部18、第2フラップ部19を広げてフィットさせる。その際、尻側Bに高剛性部40xがあると、フラップ部を広げて吸収性物品1をフィットさせる際に、位置ずれを抑制できる。
【0113】
図9に示す係止部40Cは、高剛性部40xが幅方向Yの中央近傍に位置し、高剛性部40xの頭側A、尻側Bの両方に低剛性部40yが位置する。吸収性物品1を装着する際にペットPの性器の先端付近に高剛性部40xが位置すると、高剛性部40xにて性器を固定することができ、吸収性物品1が尻側Bにずれたとしても、性器が露出し難い。
【0114】
(変色部)
図6に示すように、吸収性物品1は、尿と反応して変色する変色部50を有する。変色部50は、裏面層12に設けられている。変色部50は、長手方向Xに延在する帯状の領域としているが、これに限らず種々のデザインを施すことができる。変色部50の変色を確認することで、使用者は吸収性物品1の交換時期の目安を認識することができる。
【0115】
変色部50は、第1接合部20Xと第2接合部30Xとの中心位置(中心軸CL1)よりも、第2接合部30Xの側に位置するとよい。上述のように、吸収性物品1を装着したペットPが尿Uを排泄すると、尿Uはまず頭側Aの第1起立部20Y(
図4参照)でせき止められた後、尻側Bに戻りながら吸収体13に吸収される。すなわち、吸収体13は、当初は頭側Aで尿Uを吸収しやすく、後に尻側Bで尿Uを吸収しやすい。そのため、中心軸CL1よりも第2接合部30Xの側に位置する変色部50が変色すると、変色部50よりも頭側Aの吸収体13でも尿Uの吸収が行われていると判断でき、交換すべきとの妥当な判断をしやすくなる。
【0116】
(目印部)
吸収性物品1は、目印部60を有する。目印部60は、裏面層12に設けられた帯状の印刷模様である。目印部60は、係止部40により本体部10が固定された状態における、本体部10の端の位置を指標する。吸収性物品1では、係止部40に本体部10の長手方向Xの他端10zの表面シート11を重ね筒状に固定するが、目印部60は他端10zの位置を指標する。
【0117】
使用者は、ペットPに吸収性物品1を装着する際、他端10zを目印部60に沿わせて位置決めすることにより、適切な姿勢で吸収性物品1を用いることができる。
【0118】
目印部60は、裏面層12の幅方向Yの頭側Aに位置する第1目印部60aと、尻側Bに位置する第2目印部60bとを有する。本実施形態においては、第1目印部60aと第2目印部60bとは帯状に連続し、目印部60を形成している。第1目印部60aと第2目印部60bとは離間していてもよい。
【0119】
第2目印部60bは、第1目印部60aよりも長手方向Xにおいて本体部10の内側に位置する。すなわち、帯状の目印部60は、中心軸CL1と斜めに交差している。
【0120】
吸収性物品1において、上述のような目印部60に本体部10の他端10zを沿わせ、係止部40により固定することにより、吸収性物品1は頭側Aよりも尻側Bを締め付ける錘状となる。これにより、第2起立部30Yが配置された尻側Bを締め付けた状態で吸収性物品1をペットPに装着させやすく、尻側Bからの尿漏れを抑制しやすくなる。
【0121】
(吸収性物品の折りたたみ方)
図10〜13は、第2起立部30Yの周辺の概略構造を示す拡大断面図である。吸収性物品1は、保存時や販売時には、おもて面10aを内側に巻き込む姿勢で長辺方向及び短辺方向に折りたたまれる。その際、第2起立部30Yの周辺では、折り方により、次のような効果が得られる。
【0122】
図10,12は、吸収性物品1を折りたたんだ様子を示す拡大断面図である。まず、
図10,12に共通して、表面シート11及び裏面層12は、第2起立部30Yを内側に巻き込む姿勢で、第2フラップ部19がおもて面10aに面するように折り返されている。その結果、吸収性物品1には、表面シート11及び裏面層12の長手方向Xに折れ線Lが付けられている。第2フラップ部19は、本発明における「フラップ部」に該当する。
【0123】
一つの方法としては、
図10に示すように、折れ線Lが第2起立部30Yと重なる姿勢で吸収性物品1を折りたたむことが考えられる。この場合、第2起立部30Yには、折れ線Lによる折り癖が付く。
【0124】
このように折りたたんだ吸収性物品1を使用時に展開すると、
図11に示すように、第2起立部30Yは、折り癖により内側の端30bが持ち上がりやすい。そのため、
図10のように折りたたんだ吸収性物品1は、第2起立部30Yが尿をせき止めやすく、尿漏れを抑制しやすい効果が期待できる。
【0125】
他の方法としては、
図12に示すように、折れ線Lが第2起立部30Yと重ならず、第2起立部30Yよりも本体部10の内周側に位置する姿勢で吸収性物品1を折りたたむことが考えられる。この場合、第2起立部30Yには、折れ線Lによる折り癖が付かない。
【0126】
このように折りたたんだ吸収性物品1を使用時に展開すると、
図13に示すように、第2起立部30Yは、相対的に
図8に示した状態と比べて端30bが持ち上がりにくい。そのため、
図9のように折りたたんだ吸収性物品1は、第2起立部30YがペットPの性器と触れにくく、また触れたとしても、第2起立部30Yが性器におしつけられる力が弱くなる。そのため、
図9のように折りたたんだ吸収性物品1は、装着時における性器とのこすれを抑制しやすい効果が期待できる。
【0127】
以上のような構成の吸収性物品1によれば、装着時における性器とのこすれを抑制することができる。
【0128】
(変形例)
図14は、本実施形態の変形例を示す模式図であり、平面視における吸収性物品の長手方向の中央部を示す概略平面図である。
【0129】
図14に示す吸収性物品2は、吸収体15を有している、吸収体15は、本体部10の長手方向Xの中央部において、第2漏れ抑制部30の方向に凸である。すなわち、吸収体15は、平面視矩形の第1部分151と、第2漏れ抑制部30の方向に凸となる第2部分152とを有する。
【0130】
吸収性物品2では、第2起立部30Yの内側の端30bは、平面視で吸収体15の第2部分152と重なっている。
【0131】
上述したように、吸収性物品を装着したペットPが頭側Aに向けて排尿すると、尿Uは第1起立部20Yで遮られ後方(尻側B)に戻る過程で吸収体13に吸収される。ここで、排泄される尿Uの量が多い、または排泄の勢いが強いと、吸収体13で吸収しきれない尿Uが多量に吸収体13を超えるおそれがある。
【0132】
このような場合でも、吸収性物品2のように、吸収体15が第2起立部30Yの近傍にまで延在していると、吸収体15が尿Uを吸収する機会が増え、尿Uを吸収しやすく、尻側Bからの尿漏れを抑制しやすい。
【0133】
[第2実施形態]
図15は、本発明の第2実施形態の吸収性物品3を示す説明図であり、第1実施形態の
図3に対応する視野における断面図である。本実施形態において第1実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0134】
第1実施形態の吸収性物品1では、第1起立部20Yが長手方向に収縮し、第2起立部30Yが長手方向に収縮しないこととしたが、本実施形態の吸収性物品3は、第1起立部及び第2起立部が長手方向に収縮する。すなわち、本発明においては、第1起立部は第1起立部の長手方向に収縮し、第2起立部は、第2起立部の長手方向に収縮してもよい。
【0135】
図15に示すように、本実施形態の吸収性物品3は、本体部10と、第1漏れ抑制部21と、第2漏れ抑制部31と、を有する。
【0136】
吸収性物品3の第1漏れ抑制部21は、帯状の疎水性不織布を材料とする第1抑制部本体200と、第1抑制部本体200の長手方向に取り付けられた第1弾性部材201と、を有する。第1漏れ抑制部21のギャザー部25は、第1弾性部材201を2本有する。
【0137】
第1漏れ抑制部21は、本体部10と接合されている領域である第1接合部21Xと、本体部10と接合されていない領域である第1起立部21Yとを有する。
第1接合部21Xは、第1実施形態の吸収性物品1における第1接合部20Xと同様の領域を指す。第1起立部21Yは、第1実施形態の吸収性物品1における第1起立部20Yと同様の領域を指す。
【0138】
第2漏れ抑制部31は、帯状の疎水性不織布を材料とする第2抑制部本体300と、第2抑制部本体の長手方向に取り付けられた第2弾性部材301と、を有する。吸収性物品3は、第2弾性部材301を1本有する。すなわち、第2弾性部材301の本数は、第1弾性部材201の本数よりも少ない。
【0139】
第2漏れ抑制部31は、本体部10と接合されている領域である第2接合部31Xと、本体部10と接合されていない領域である第2起立部31Yとを有する。
【0140】
第2漏れ抑制部31は、本体部10と接合されている領域である第2接合部31Xと、本体部10と接合されていない領域である第2起立部31Yとを有する。
第1接合部21Xは、第1実施形態の吸収性物品1における第2接合部30Xと同様の領域を指す。第2起立部31Yは、第1実施形態の吸収性物品1における第2起立部30Yと同様の領域を指す。
【0141】
第2起立部30Yにおいて、第2抑制部本体300の幅方向Yにおける頭側Aの端部は、第2弾性部材301を巻き込みながら長手方向Xに沿って折り返されている。第2弾性部材301は、例えば、第1起立部21Yの第1弾性部材201に対向して、第2起立部31Yの長手方向Xの中央付近に設けられ、製造時に長手方向Xに伸長された状態で一部が固定されている。第2弾性部材301は、製造時に第2弾性部材301を伸長させるために加えられた力から開放されており、長手方向Xに収縮している。
【0142】
第2抑制部本体300の内側の端部であって、折り返された帯状の領域は、対向する第2抑制部本体300と接合している。第2起立部31Yにおいて、第2抑制部本体300が第2弾性部材301を巻き込んで接合した部分は、ギャザー部35を構成する。ギャザー部35は、立体ギャザーとして知られた構成である。
【0143】
ギャザー部35が形成された領域は、第2弾性部材301の収縮に伴って収縮している。そのため、第2漏れ抑制部31は、第2漏れ抑制部31の長手方向Xに収縮する。
【0144】
第2弾性部材301の材料は、上述した弾性部材201の材料と同様の材料を用いることができる。
【0145】
このような構成の吸収性物品3では、第2起立部31Yが有する第2弾性部材301は、第1起立部21Yが有する第1弾性部材201よりも少ない。すなわち、吸収性物品3において、第2起立部31Yの長手方向の収縮力は、第1起立部21Yの長手方向の収縮力よりも小さい。
【0146】
収縮力の相対比較の基準である第1起立部21Yの収縮力については、従来の吸収性物品に通常採用されている立体ギャザーの収縮力と、同等とすることができる。すなわち、第2起立部31Yの収縮力は、従来の吸収性物品に通常採用されている立体ギャザーの収縮力よりも弱い。
【0147】
このような構成の吸収性物品3において、第2起立部31Yは、相対的に第1起立部21Yよりも形成される皺が少ない。または、第2起立部31Yでは、皺が生じたとしても、皺が変形しやすく、皺が無くなるまで第2起立部31Yが伸長しやすい。
【0148】
そのため、ペットPの性器が第2起立部31Yと重なる位置にあったとしても、第2起立部31Yから性器が受ける擦過刺激が分散しやすく、皮膚の炎症を生じにくい。
【0149】
また、吸収性物品3では、第1起立部21Y及び第2起立部31Yの収縮力を、弾性部材の数の違いで制御している。そのため、第2起立部31Yの長手方向の収縮力を、第1起立部21Yの長手方向の収縮力より小さく制御しやすい。
【0150】
以上のような構成の吸収性物品3であっても、装着時における性器とのこすれを抑制することができる。
【0151】
なお、第2起立部31Yの収縮力を制御する方法は、上述した弾性部材の数の他にも次のような方法を採用できる。
図16,17は、第2漏れ抑制部の第2起立部の変形例を示す平面図である。
【0152】
まず、
図16に示す第2漏れ抑制部32のように、第2起立部32Yの内側の端32bに複数のスリットSを設けて、スリットSの部分で第2弾性部材301を切断してもよい。スリットSの数を増やし、第2弾性部材301の切断箇所を増やすと、収縮力が低下する傾向にある。
【0153】
また、
図17に示す第2漏れ抑制部33のように、第2起立部33Yの長手方向の中央部において、第2起立部33Yが有する第2弾性部材301を、外側(尻側)に凸となるように引き回してもよい。第2弾性部材301が外側に凸となる部分を符号331で示す。
【0154】
第2起立部33Yは、第2弾性部材301を凸状に引き回さず長手方向に直線的に設けたものと比べると、第2起立部33Yの端32bから第2弾性部材301までの距離が長い。そのため、第2起立部33YがペットPの性器に接触する場合には、第2弾性部材301を長手方向に直線的に設けた第2起立部と比べると、相対的に多くの不織布と性器との接触面積が増えることとなる。そのため、第2起立部33Yは、性器に与える力が分散しやすく、性器を痛めにくくなる。
【0155】
上記第2起立部33Yの効果と同様の効果を得るために、第2弾性部材301の位置を変更してもよい。具体的には、第2起立部において、第2弾性部材301の位置を、幅方向Yの外側(尻側)に移動させてもよい。
【0156】
また、第1弾性部材201と第2弾性部材301との収縮力を変更するため、第1弾性部材201と第2弾性部材301との材料、太さ及び織り方の少なくとも一つを変更してもよい。
【0157】
また、第1抑制部本体200と第2抑制部本体300との材料である不織布の種類を変更してもよい。
【0158】
その他、第1起立部と第2起立部との収縮力を制御する方法としては、製造時に第1弾性部材201と第2弾性部材301との伸ばし方を変更してもよい。同じ弾性部材を用いたとしても、製造時により伸長させた状態で固定すると、収縮力が大きくなる傾向にある。
【0159】
図18は、第2漏れ抑制部の変形例を示す平面図である。
図18に示す第2漏れ抑制部34は、第2起立部34Yの長手方向の中央部において、幅が狭くなる狭幅部341を有する。狭幅部341は、長手方向の中央部において、内側の端34bに設けられた凹部である。
【0160】
第2漏れ抑制部34を有する吸収性物品は、ペットPに装着させた場合、ペットPの性器が狭幅部341と重なる。そのため、第2起立部34YがペットPの性器と触れにくく、また触れたとしても、第2起立部34Yが性器におしつけられる力が弱くなる。そのため、第2漏れ抑制部34を有する吸収性物品は、装着時における性器とのこすれを抑制しやすい効果が期待できる。
【0161】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【解決手段】互いに直交する長手方向、幅方向及び厚さ方向を有し、長手方向がペットの胴回り方向に沿うように装着される、オスのペット用吸収性物品であって、表面シートと、裏面層と、表面シートと裏面層との間に配置され液を吸収する吸収体と、表面シート側に設けられる一対の第1漏れ抑制部及び第2漏れ抑制部と、を備え、第1漏れ抑制部及び第2漏れ抑制部は、幅方向の両側において長手方向に沿って設けられ、前記第1漏れ抑制部は、前記表面シートに接合する第1接合部と、前記表面シートに接合していない第1起立部を有し、前記第2漏れ抑制部は、前記表面シートに接合する第2接合部と、前記表面シートに接合していない第2起立部を有し、前記第2起立部における前記長手方向の収縮力は、前記第1起立部における前記長手方向の収縮力より小さいペット用吸収性物品。