特許第6867548号(P6867548)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6867548基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6867548
(24)【登録日】2021年4月12日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20210419BHJP
   H01L 21/318 20060101ALI20210419BHJP
   C23C 16/52 20060101ALI20210419BHJP
【FI】
   H01L21/31 C
   H01L21/318 B
   C23C16/52
【請求項の数】9
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2020-508186(P2020-508186)
(86)(22)【出願日】2019年3月7日
(86)【国際出願番号】JP2019009121
(87)【国際公開番号】WO2019181539
(87)【国際公開日】20190926
【審査請求日】2020年7月7日
(31)【優先権主張番号】特願2018-54103(P2018-54103)
(32)【優先日】2018年3月22日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】山崎 一彦
(72)【発明者】
【氏名】八幡 橘
(72)【発明者】
【氏名】原 大介
(72)【発明者】
【氏名】篠崎 賢次
【審査官】 長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−220263(JP,A)
【文献】 特開2010−080657(JP,A)
【文献】 特開2012−038962(JP,A)
【文献】 特開平09−000909(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205、21/285、21/31−21/32、
21/365、21/469−21/475、21/86、
C23C 16/00−16/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する処理室と、
前記処理室内へ原料ガスを供給するガス供給系と、
真空ポンプに接続され、前記処理室内を排気する排気管と、
前記真空ポンプの前段における前記排気管内を通過する前記原料ガスの濃度を測定するガス濃度測定器と、
前記真空ポンプの後段における前記排気管内の圧力を測定する圧力測定器と、
前記真空ポンプ内もしくは前記真空ポンプの前段における前記排気管内に希釈ガスを供給する希釈ガス供給系と、
前記測定した前記原料ガスの濃度及び前記真空ポンプの後段における前記排気管内の圧力に応じた流量の希釈ガスを前記真空ポンプ内もしくは前記真空ポンプの前段における前記排気管内に供給するように前記希釈ガス供給系を制御することが可能なよう構成される制御部と、
を備える基板処理装置。
【請求項2】
前記真空ポンプの前段における前記排気管内を通過する前記原料ガスの濃度を測定するガス濃度測定器を、第1のガス濃度測定器とし、
前記真空ポンプ内に供給される希釈ガスの流量に対する前記真空ポンプの後段の前記排気管の前記原料ガスのガス濃度を測定する第2のガス濃度測定器と、
予め、前記第1のガス濃度測定器で測定した前記真空ポンプの前段の前記排気管の前記原料ガスの濃度と、前記第2のガス濃度測定器で測定した前記真空ポンプ内に供給される前記希釈ガスの流量に対する前記真空ポンプの後段の前記排気管の前記原料ガスのガス濃度と、前記圧力測定器で測定した前記真空ポンプの後段の排気管の圧力との相関関係を取得して記憶する記憶部と、を備え、
前記制御部は、前記原料ガスを排気する際には、前記原料ガスの濃度を前記第1のガス濃度測定器で測定し、真空ポンプの後段の前記排気管の圧力を測定し、前記記憶部に記憶した前記相関関係に基づき、前記第1のガス濃度測定器で測定した前記原料ガスの濃度および前記圧力測定器で測定した圧力に応じた流量で前記希釈ガスを前記真空ポンプ内もしくは前記真空ポンプの前段における前記排気管内に供給するよう前記希釈ガス供給系を制御することが可能なよう構成される請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記原料ガスはDCSガスであって、
前記制御部は、前記真空ポンプ内もしくは前記真空ポンプの前段における前記排気管内に前記希釈ガスを供給して、前記真空ポンプの後段の前記排気管内における前記DCSガスのガス濃度が4.0%以下になるように、前記希釈ガス供給系を制御することが可能なよう構成される請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項4】
基板を処理する処理室と、前記処理室内へ原料ガスを供給するガス供給系と、真空ポンプに接続され、前記処理室内を排気する排気管と、前記真空ポンプの前段における前記排気管内を通過する前記原料ガスの濃度を測定するガス濃度測定器と、前記真空ポンプの後段における前記排気管内の圧力を測定する圧力測定器と、前記真空ポンプ内もしくは前記真空ポンプの前段における前記排気管内に希釈ガスを供給する希釈ガス供給系と、を有する基板処理装置の前記処理室内へ前記基板を搬入する工程と、
前記ガス供給系から前記処理室内の前記基板に対して前記原料ガスを供給する工程と、
前記ガス濃度測定器で前記測定した前記原料ガスの濃度及び前記圧力測定器で測定した前記真空ポンプの後段における前記排気管内の圧力に応じた流量の希釈ガスを前記真空ポンプ内もしくは前記真空ポンプの前段における前記排気管内に供給しながら前記処理室内の前記原料ガスを排気する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記真空ポンプの前段における前記排気管内を通過する前記原料ガスの濃度を測定するガス濃度測定器を、第1のガス濃度測定器とし、前記真空ポンプ内に供給される希釈ガスの流量に対する前記真空ポンプの後段の前記排気管の前記原料ガスのガス濃度を測定する第2のガス濃度測定器と、を前記基板処理装置が備え、
予め、前記第1のガス濃度測定器で測定した前記真空ポンプの前段の前記排気管の前記原料ガスの濃度と、前記第2のガス濃度測定器で測定した前記真空ポンプ内に供給される前記希釈ガスの流量に対する前記真空ポンプの後段の前記排気管の前記原料ガスのガス濃度と、前記圧力測定器で測定した前記真空ポンプの後段の前記排気管の圧力との相関関係を取得して記憶する工程と、
前記原料ガスを排気する工程では、前記原料ガスの濃度を前記第1のガス濃度測定器で測定し、前記真空ポンプの後段の前記排気管の圧力を測定し、前記記憶した前記相関関係に基づき、前記第1のガス濃度測定器で測定した前記原料ガスの濃度および前記圧力測定器で測定した圧力に応じた流量で前記希釈ガスを前記真空ポンプ内もしくは前記真空ポンプの前段における前記排気管内に供給する請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記原料ガスがDCSガスであって、
前記原料ガスを排気する工程では、前記真空ポンプの後段の前記排気管内における前記DCSガスのガス濃度が4.0%以下となるように、前記真空ポンプ内もしくは前記真空ポンプの前段における前記排気管内に前記希釈ガスを供給する請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
基板を処理する処理室と、前記処理室内へ原料ガスを供給するガス供給系と、真空ポンプに接続され、前記処理室内を排気する排気管と、前記真空ポンプの前段における前記排気管内を通過する前記原料ガスの濃度を測定するガス濃度測定器と、前記真空ポンプの後段における前記排気管内の圧力を測定する圧力測定器と、前記真空ポンプ内もしくは前記真空ポンプの前段における前記排気管内に希釈ガスを供給する希釈ガス供給系と、を有する基板処理装置の前記処理室内へ前記基板を搬入する手順と、
前記ガス供給系から前記処理室内の前記基板に対して前記原料ガスを供給する手順と、
前記ガス濃度測定器で前記測定した前記原料ガスの濃度及び前記圧力測定器で測定した前記真空ポンプの後段における前記排気管内の圧力に応じた流量の希釈ガスを前記真空ポンプ内もしくは前記真空ポンプの前段における前記排気管内に供給しながら前記原料ガスを排気する手順と、
をコンピュータによって前記基板処理装置に実行させるプログラム。
【請求項8】
前記真空ポンプの前段における前記排気管内を通過する前記原料ガスの濃度を測定するガス濃度測定器を、第1のガス濃度測定器とし、前記真空ポンプ内に供給される希釈ガスの流量に対する前記真空ポンプの後段の前記排気管の前記原料ガスのガス濃度を測定する第2のガス濃度測定器と、を前記基板処理装置が備え、
予め、前記第1のガス濃度測定器で測定した前記真空ポンプの前段の前記排気管の前記原料ガスの濃度と、前記第2のガス濃度測定器で測定した前記真空ポンプ内に供給される前記希釈ガスの流量に対する前記真空ポンプの後段の前記排気管の前記原料ガスのガス濃度と、前記圧力測定器で測定した前記真空ポンプの後段の前記排気管の圧力との相関関係を取得して記憶する手順と、
前記原料ガスを排気する手順では、前記原料ガスの濃度を前記第1のガス濃度測定器で測定し、前記真空ポンプの後段の前記排気管の圧力を測定し、前記記憶した前記相関関係に基づき、前記第1のガス濃度測定器で測定した前記原料ガスの濃度および前記圧力測定器で測定した圧力に応じた流量で前記希釈ガスを前記真空ポンプ内もしくは前記真空ポンプの前段における前記排気管内に供給する請求項7に記載のプログラム。
【請求項9】
前記原料ガスがDCSガスであって、
前記原料ガスを排気する手順では、前記真空ポンプの後段の前記排気管内における前記DCSガスのガス濃度が4.0%以下となるように、前記真空ポンプ内もしくは前記真空ポンプの前段における前記排気管内に前記希釈ガスを供給する請求項7に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程の1つに、基板処理装置の処理室内に基板を搬入し、処理室内に供給した原料ガスや反応ガスなどをプラズマを用いて活性化させ、基板上に絶縁膜や半導体膜、導体膜等の各種薄膜を形成したり、各種薄膜を除去したりする基板処理が行われることがある。プラズマは、薄膜を形成するための反応を促進させたり、薄膜中から不純物を除去したり、あるいは成膜原料の化学反応を補助したりする為などに用いられる。この種の基板処理装置において、真空ポンプの出口側で排ガスの燃焼を未然に防ぐ技術が提案されている。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09−909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
可燃性ガスの濃度を計測するガス濃度計測計が真空ポンプの後段に設置されていると、急激に、可燃性ガスの濃度が上昇した場合、希釈ガスの供給が間に合わず真空ポンプの後段において、可燃性ガスの濃度が高くなり燃焼してしまう濃度の下限に達する可能性があるという問題がある。
【0005】
本開示の目的は、真空ポンプの後段における可燃性ガスの燃焼を確実に抑制することが可能な技術を提供することにある。
【0006】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様によれば、
基板を処理する処理室と、
前記処理室内へ原料ガスを供給するガス供給系と、
真空ポンプに接続され、前記処理室内を排気する排気管と、
前記真空ポンプの前段における前記排気管を通過する前記原料ガスの濃度を測定するガス濃度測定器と、
前記真空ポンプの後段における前記排気管内の圧力を測定する圧力測定器と、
前記真空ポンプもしくは前記真空ポンプの前段における前記排気管内に希釈ガスを供給する希釈ガス供給系と、
前記測定した原料ガスの濃度及び前記真空ポンプの後段の圧力に応じた流量の希釈ガスを前記真空ポンプもしくは前記真空ポンプの前段における前記排気管に供給するように前記希釈ガス供給系を制御することが可能なよう構成された制御部と、を備える技術が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、真空ポンプの後段における可燃性ガスの燃焼を確実に抑制することが可能となる技術が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施形態で好適に用いられる基板処理装置の縦型処理炉の概略構成図であり、処理炉部分を縦断面図で示す図である。
図2】本開示の実施形態で好適に用いられる基板処理装置の縦型処理炉の概略構成図であり、処理炉部分を図1のA−A線断面図で示す図である。
図3A】本開示の実施形態で好適に用いられる基板処理装置のバッファ構造を説明するための横断面拡大図である。
図3B】本開示の実施形態で好適に用いられる基板処理装置のバッファ構造を説明するための模式図である。
図4】本開示の実施形態で好適に用いられる基板処理装置のコントローラの概略構成図であり、コントローラの制御系をブロック図で示す図である。
図5】本開示の実施形態に係る基板処理工程のフローチャートである。
図6】本開示の実施形態に係る基板処理工程におけるガス供給のタイミングを示す図である。
図7A】本開示の実施形態で好適に用いられる希釈コントローラの初期値設定時におけるフローを示す図である。
図7B】本開示の実施形態で好適に用いられる希釈コントローラの初期設定データの算出例を説明する図である。
図8A】本開示の実施形態で好適に用いられる希釈コントローラの運用時における制御フローを示す図である。
図8B】本開示の実施形態で好適に用いられる希釈コントローラの運用時の希釈ガスの流入量の算出例を説明する図である。
図9】本実施形態の変形例で好適に用いられる基板処理装置の縦型処理炉の概略構成図であり、処理炉部分を縦断面図で示す図である。
図10】本実施形態の変形例で好適に用いられる初期値設定時におけるフローを示す図である。
図11A】本実施形態の変形例で好適に用いられる希釈コントローラの運用時における制御フローを示す図である。
図11B】本実施形態の変形例で好適に用いられる希釈コントローラの運用時の希釈ガスの流入量の算出例を説明する図である。
図12】本開示の実施形態で好適に用いられる基板処理装置の縦型処理炉の概略構成図であり、処理炉部分を縦断面図で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<本開示の実施形態>
以下、本開示の一実施形態について図1から図6を参照しながら説明する。
【0011】
(1)基板処理装置の構成(加熱装置)
図1は実施形態に係る半導体装置を説明するための図である。
【0012】
図1に示すように、処理炉202は基板を垂直方向多段に収容することが可能な、いわゆる縦型炉であり、加熱装置(加熱機構)としてのヒータ207を有する。ヒータ207は円筒形状であり、保持板としてのヒータベース(図示せず)に支持されることにより垂直に据え付けられている。ヒータ207は、後述するようにガスを熱で活性化(励起)させる活性化機構(励起部)としても機能する。
【0013】
(処理室)
ヒータ207の内側には、ヒータ207と同心円状に反応管203が配設されている。反応管203は、例えば石英(SiO2)または炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料により構成され、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。反応管203の下方には、反応管203と同心円状に、マニホールド(インレットフランジ)209が配設されている。マニホールド209は、例えばステンレス(SUS)等の金属により構成され、上端および下端が開口した円筒形状に形成されている。マニホールド209の上端部は、反応管203の下端部に係合しており、反応管203を支持するように構成されている。マニホールド209と反応管203との間には、シール部材としてのOリング220aが設けられている。マニホールド209がヒータベースに支持されることにより、反応管203は垂直に据え付けられた状態となる。主に、反応管203とマニホールド209とにより処理容器(反応容器)が構成されている。処理容器の内側である筒中空部には処理室201が形成されている。処理室201は、複数枚の基板としてのウエハ200を収容可能に構成されている。なお、処理容器は上記の構成に限らず、反応管203のみを処理容器と称する場合もある。
【0014】
処理室201内には、ノズル249a,249bが、マニホールド209の側壁を貫通するように設けられている。ノズル249a,249bには、ガス供給管232a,232bが、それぞれ接続されている。
【0015】
ガス供給管232a,232bには、ガス流の上流側から順に、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)241a,241bおよび開閉弁であるバルブ243a,243bがそれぞれ設けられている。ガス供給管232a,232bのバルブ243a,243bよりも下流側には、不活性ガスを供給するガス供給管232c,232dがそれぞれ接続されている。ガス供給管232c,232dには、ガス流の上流側から順に、MFC241c,241dおよびバルブ243c,243dがそれぞれ設けられている。
【0016】
ノズル249aは、図2に示すように、反応管203の内壁とウエハ200との間における空間に、反応管203の内壁の下部より上部に沿って、ウエハ200の積載方向上方に向かって立ち上がるように設けられている。すなわち、ノズル249aは、ウエハ200が配列(載置)されるウエハ配列領域(載置領域)の側方の、ウエハ配列領域を水平に取り囲む領域に、ウエハ配列領域に沿うように設けられている。すなわち、ノズル249aは、処理室201内へ搬入された各ウエハ200の端部(周縁部)の側方にウエハ200の表面(平坦面)と垂直となる方向に設けられている。ノズル249aの側面には、ガスを供給するガス供給孔250aが設けられている。ガス供給孔250aは、反応管203の中心を向くように開口しており、ウエハ200に向けてガスを供給することが可能となっている。ガス供給孔250aは、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられ、それぞれが同一の開口面積を有し、更に同じ開口ピッチで設けられている。
【0017】
ガス供給管232bの先端部には、ノズル249bが接続されている。ノズル249bは、ガス分散空間であるバッファ室237内に設けられている。バッファ室237は、図2に示すように、反応管203の内壁とウエハ200との間における平面視において円環状の空間に、また、反応管203の内壁の下部より上部にわたる部分に、ウエハ200の積載方向に沿って設けられている。すなわち、バッファ室237は、ウエハ配列領域の側方のウエハ配列領域を水平に取り囲む領域に、ウエハ配列領域に沿うようにバッファ構造300によって形成されている。バッファ構造300は、石英またはSiC等の耐熱性材料である絶縁物によって構成されており、バッファ構造300の円弧状に形成された壁面には、ガスを供給するガス供給口302,304が形成されている。ガス供給口302,304は、図2図3A及び図3Bに示すように、後述する棒状電極269,270間、棒状電極270,271間のプラズマ生成領域224a,224bに対向する位置にそれぞれ反応管203の中心を向くように開口しており、ウエハ200に向けてガスを供給することが可能となっている。ガス供給口302,304は、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられ、それぞれが同一の開口面積を有し、更に同じ開口ピッチで設けられている。
【0018】
ノズル249bは、反応管203の内壁の下部より上部に沿って、ウエハ200の積載方向上方に向かって立ち上がるように設けられている。すなわち、ノズル249bは、バッファ構造300の内側であって、ウエハ200が配列されるウエハ配列領域の側方の、ウエハ配列領域を水平に取り囲む領域に、ウエハ配列領域に沿うように設けられている。すなわち、ノズル249bは、処理室201内へ搬入されたウエハ200の端部の側方にウエハ200の表面と垂直となる方向に設けられている。ノズル249bの側面には、ガスを供給するガス供給孔250bが設けられている。ガス供給孔250bは、バッファ構造300の円弧状に形成された壁面に対して径方向に形成された壁面に向くように開口しており、壁面に向けてガスを供給することが可能となっている。これにより、反応ガスがバッファ室237内で分散され、棒状電極269〜271に直接吹き付けることがなくなり、パーティクルの発生が抑制される。ガス供給孔250bは、ガス供給孔250aと同様に、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられている。
【0019】
このように、本実施形態では、反応管203の側壁の内壁と、反応管203内に配列された複数枚のウエハ200の端部で定義される平面視において円環状の縦長の空間内、すなわち、円筒状の空間内に配置したノズル249a,249bおよびバッファ室237を経由してガスを搬送している。そして、ノズル249a,249bおよびバッファ室237にそれぞれ開口されたガス供給孔250a,250b,ガス供給口302,304から、ウエハ200の近傍で初めて反応管203内にガスを噴出させている。そして、反応管203内におけるガスの主たる流れを、ウエハ200の表面と平行な方向、すなわち、水平方向としている。このような構成とすることで、各ウエハ200に均一にガスを供給でき、各ウエハ200に形成される膜の膜厚の均一性を向上させることが可能となる。ウエハ200の表面上を流れたガス、すなわち、反応後の残ガスは、排気口、すなわち、後述する排気管231の方向に向かって流れる。但し、この残ガスの流れの方向は、排気口の位置によって適宜特定され、垂直方向に限ったものではない。
【0020】
ガス供給管232aからは、所定元素を含む原料として、例えば、所定元素としてのシリコン(Si)を含むシラン原料ガスが、MFC241a、バルブ243a、ノズル249aを介して処理室201内へ供給される。
【0021】
原料ガス(第1の原料ガス)とは、気体状態の原料、例えば、常温常圧下で液体状態である原料を気化することで得られるガスや、常温常圧下で気体状態である原料等のことである。本明細書において「原料」という言葉を用いた場合は、「液体状態である液体原料」を意味する場合、「気体状態である原料ガス」を意味する場合、または、それらの両方を意味する場合がある。
【0022】
シラン原料ガスとしては、例えば、Siおよびハロゲン元素を含む原料ガス、すなわち、ハロシラン原料ガスを用いることができる。ハロシラン原料とは、ハロゲン基を有するシラン原料のことである。ハロゲン元素は、塩素(Cl)、フッ素(F)、臭素(Br)、ヨウ素(I)からなる群より選択される少なくとも1つを含む。すなわち、ハロシラン原料は、クロロ基、フルオロ基、ブロモ基、ヨード基からなる群より選択される少なくとも1つのハロゲン基を含む。ハロシラン原料は、ハロゲン化物の一種ともいえる。
【0023】
ハロシラン原料ガスとしては、例えば、SiおよびClを含む原料ガス、すなわち、クロロシラン原料ガスを用いることができる。クロロシラン原料ガスとしては、例えば、ジクロロシラン(SiH2Cl2 、略称:DCS)ガスを用いることができる。
【0024】
ガス供給管232bからは、上述の所定元素とは異なる元素を含むリアクタント(反応体)として、例えば、反応ガス(第2の原料ガス)としての窒素(N)含有ガスが、MFC241b、バルブ243b、ノズル249bを介して処理室201内へ供給されるように構成されている。N含有ガスとしては、例えば、窒化水素系ガスを用いることができる。窒化水素系ガスは、NおよびHの2元素のみで構成される物質ともいえ、窒化ガス、すなわち、Nソースとして作用する。窒化水素系ガスとしては、例えば、アンモニア(NH3)ガスを用いることができる。
【0025】
ガス供給管232c,232dからは、不活性ガスとして、例えば、窒素(N2)ガスが、それぞれMFC241c,241d、バルブ243c,243d、ガス供給管232a,232b、ノズル249a,249bを介して処理室201内へ供給される。
【0026】
主に、ガス供給管232a、MFC241a、バルブ243aにより、第1のガス供給系としての原料供給系が構成される。主に、ガス供給管232b、MFC241b、バルブ243bにより、第2のガス供給系としての反応体供給系(リアクタント供給系)が構成される。主に、ガス供給管232c,232d、MFC241c,241d、バルブ243c,243dにより、不活性ガス供給系が構成される。原料供給系、反応体供給系および不活性ガス供給系を総称して単にガス供給系(ガス供給部)とも称する。
【0027】
(プラズマ生成部)
バッファ室237内には、図2図3A及び図3Bに示すように、導電体により構成され、細長い構造を有する3本の棒状電極269,270,271が、反応管203の下部より上部にわたりウエハ200の積載方向に沿って配設されている。棒状電極269,270,271のそれぞれは、ノズル249bと平行に設けられている。棒状電極269,270,271のそれぞれは、上部より下部にわたって電極保護管275により覆われることで保護されている。棒状電極269,270,271のうち両端に配置される棒状電極269,271は、整合器272を介して高周波電源273に接続され、棒状電極270は、基準電位であるアースに接続され、接地されている。すなわち、高周波電源273に接続される棒状電極と、接地される棒状電極と、が交互に配置され、高周波電源273に接続された棒状電極269,271の間に配置された棒状電極270は、接地された棒状電極として、棒状電極269,271に対して共通して用いられている。換言すると、接地された棒状電極270は、隣り合う高周波電源273に接続された棒状電極269,271に挟まれるように配置され、棒状電極269と棒状電極270、同じく、棒状電極271と棒状電極270がそれぞれ対となるように構成されてプラズマを生成する。つまり、接地された棒状電極270は、棒状電極270に隣り合う2本の高周波電源273に接続された棒状電極269,271に対して共通して用いられている。そして、高周波電源273から棒状電極269,271に高周波(RF)電力を印加することで、棒状電極269,270間のプラズマ生成領域224a、棒状電極270,271間のプラズマ生成領域224bにプラズマが生成される。主に、棒状電極269,270,271、電極保護管275によりプラズマ源としてのプラズマ生成部(プラズマ生成装置)が構成される。整合器272、高周波電源273をプラズマ源に含めて考えてもよい。プラズマ源は、後述するように、ガスをプラズマ励起、すなわち、プラズマ状態に励起(活性化)させるプラズマ励起部(活性化機構)として機能する。
【0028】
電極保護管275は、棒状電極269,270,271のそれぞれをバッファ室237内の雰囲気と隔離した状態でバッファ室237内へ挿入できる構造となっている。電極保護管275の内部のO2濃度が外気(大気)のO2濃度と同程度であると、電極保護管275内へそれぞれ挿入された棒状電極269,270,271は、ヒータ207による熱で酸化されてしまう。このため、電極保護管275の内部にN2ガス等の不活性ガスを充填しておくか、不活性ガスパージ機構を用いて電極保護管275の内部をN2ガス等の不活性ガスでパージすることで、電極保護管275の内部のO2濃度を低減させ、棒状電極269,270,271の酸化を防止することができる。
【0029】
(排気部)
反応管203には、処理室201内の雰囲気を排気する排気管231が設けられている。排気管231には、処理室201内の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ245および排気バルブ(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ244が設けられ、真空排気装置としての真空ポンプ246、および、除害装置280に接続される。APCバルブ244は、真空ポンプ246を作動させた状態で弁を開閉することで、処理室201内の真空排気および真空排気停止を行うことができ、更に、真空ポンプ246を作動させた状態で、圧力センサ245により検出された圧力情報に基づいて弁開度を調節することで、処理室201内の圧力を調整することができるように構成されているバルブである。
【0030】
除害装置280は、たとえば乾式の除害装置であり、真空ポンプ246により回収された排気ガスに含まれる有害成分(DCSガス)を化学処理剤と反応させて、安全な化合物にして処理剤に固定するように構成されている。
【0031】
APCバルブ244の出口と真空ポンプ246の入口との間の排気管231aには、第1のガス濃度計測器(第1のガス濃度測定器)281が設けられる。真空ポンプ246の出口と除害装置280の入口との間の排気管231bには、圧力測定器(圧力センサ)282と、第2のガス濃度計測器(第2のガス濃度測定器)283とが設けられる。また、真空ポンプ246には、ガス供給管284が流量制御器(流量制御部)であるMFC285、バルブ286を介して接続される。ガス供給管284には、例えば、希釈ガスとして窒素(N)ガスの様な不活性ガスが供給される。すなわち、ガス供給管284は、真空ポンプ246に接続され、真空ポンプ246内に希釈ガスを供給するように構成される。なお、ガス供給管284を、真空ポンプ246に接続するのではなく、図12に示すように、排気管231aに接続し、真空ポンプ246の前段における排気管231a内に希釈ガスを供給するように構成してもよい。ガス供給管284、MFC285およびバルブ286により、希釈ガスを供給する希釈ガス供給系が構成される。
【0032】
MFC285は、制御部(コントローラ)としての希釈コントローラ286により、その流量が制御される。希釈コントローラ286には、第1のガス濃度計測器281、第2のガス濃度計測器283および圧力測定器282のおのおのの計測値(測定値)が入力可能にされる。
【0033】
第1のガス濃度計測器281は、初期値設定時および運用時(基板処理工程の実施時)において、真空ポンプ246の前段における排気管231a内を通過する排気ガス内のDCSガス(第1の原料ガス)のガス濃度を常時計測するために設けられており、その計測結果を希釈コントローラ286へ供給する。
【0034】
第2のガス濃度計測器283は、初期値設定のために設けられており、初期値設定を行う時、真空ポンプ246の後段における排気管231b内を通過する排気ガス内のDCSガスのガス濃度を計測し、その計測結果を希釈コントローラ286へ供給する。
【0035】
圧力測定器282は、初期値設定時および運用時において、排気管231bの圧力を計測し、その計測結果を希釈コントローラ286へ供給する。
【0036】
希釈コントローラ286は、MFC285を制御し、真空ポンプ246内(または、真空ポンプ246の前段の排気管231a)に希釈ガスを供給して、排気管231bにおけるDCSガスの濃度が4.0%以下になるように、不活性ガスの供給量を制御する。これにより、真空ポンプ246の後段における可燃性ガスの燃焼を確実に抑制すること可能となる。
【0037】
希釈コントローラ286は、基板処理工程を実施する前の準備段階で行う初期値設定時において、予め、真空ポンプ246の前段の排気管231aのDCSガス濃度(第1のガス濃度計測器281で測定)と、真空ポンプ246内に供給される希釈ガスの流量に対する真空ポンプ246の後段の排気管231bのDCSガスのガス濃度(第2のガス濃度計測器283で測定)と、真空ポンプ246の後段の排気管231bの圧力(圧力測定器282で測定)との相関関係を取得している。この相関関係は、たとえば、後述されるRAM121b、記憶装置121c、または、外部記憶装置123等の記憶部に記憶されている。
【0038】
希釈コントローラ286は、運用時(基板処理工程)において、真空ポンプ246の前段の排気管231aのDCSガスの濃度を第1のガス濃度計測器281で測定し、また、真空ポンプ246の後段の排気管231bの圧力を圧力測定器282で測定し、初期値設定時において取得した相関関係に基づき、第1のガス濃度計測器281で測定したDCSガスの濃度および圧力測定器282で測定した圧力に応じた流量で希釈ガスを真空ポンプ246内に流入する様にMFC285を制御する。
【0039】
(初期値設定手順)
図7A図7Bを用いて、希釈コントローラ286における初期値設定手順について説明する。図7Aは、本開示の実施形態で好適に用いられる希釈コントローラの初期値設定時におけるフローを示す図である。図7Bは、本開示の実施形態で好適に用いられる希釈コントローラの初期設定データの算出例を説明する図である。
【0040】
図7Aに示されるように、まず、第1のガス濃度計測器281の計測濃度m1と、MFC285の流量に対する第2のガス濃度計測器283の計測濃度m2との相関を測定する(ステップS70)。
【0041】
次に、真空ポンプ246の前段の排気管231aのDCSガスの濃度mlと、真空ポンプ246の後段の排気管231bの圧力P1に対する希釈ガスの流量を決定する(ステップS71)。
【0042】
初期設定データの算出は、以下の様に行う。
【0043】
1)まず、希釈コントローラ286によってMFC285を制御し、希釈ガス(Nガス)の流入量をα(slm)に設定する。
【0044】
2)次に、真空ポンプ246の前段の排気管231aのDCSガスの濃度を第1のガス濃度計測器281で測定する。また、真空ポンプ246の後段の排気管231bのDCSガスの濃度を第2のガス濃度計測器283で測定する。測定結果は、以下であったとする。
排気管231aのDCSガスの濃度(1次側):m1(%)
排気管231bのDCSガスの濃度(2次側):m2(%)
この測定は、ステップS70で行われる。
【0045】
3)α、m1、m2を用いて流入したDCSガスの流量X(slm)を算出する。
X/(X+Y)=m1/100 式1
X/(α+X+Y)=m2/100 式2
ここで、Xは、DCSガスの流量(slm)であり、Yは、その他ガスの流量(slm)とする。
【0046】
4)DCSガスの流量Xは、圧力測定器282により測定した測定圧力P1(Pa)に比例(DCSガスの流入量X∝測定圧力P1)するとして、係数ηを算出し、相関関係(P1=ηX)を、図7Bに示されるように、グラフ上にプロットする。図7Bのグラフにおいて、縦軸は測定圧力P1(Pa)を示し、横軸はDCSガスの流量X(slm)を示す。
【0047】
これにより、第1のガス濃度計測器281の計測濃度m1と、第2のガス濃度計測器283の計測濃度m2と、圧力測定器282により測定した測定圧力P1に対するDCSガスの流入量Xの相関関係を初期値設定データとして得ることが出来る。なお、得られた相関関係は、後述されるRAM121b、記憶装置121c、または、外部記憶装置123等の記憶部に記憶される。したがって、初期値設定手順は、相関関係を取得して記憶部へ記憶する工程ないし手順と言うこともできる。相関関係を取得して記憶部へ記憶する工程ないし手順では、予め、第1のガス濃度測定器281で測定した真空ポンプ246の前段の排気管231aのDCSガスの濃度と、第2のガス濃度測定器283で測定した真空ポンプ246内に供給される希釈ガスの流量に対する真空ポンプ246の後段の排気管231bのDCSガスのガス濃度と、圧力測定器282で測定した真空ポンプ246の後段の排気管231bの圧力との相関関係を取得してRAM121bに記憶する。
【0048】
(運用時手順)
図8A図8Bを用いて、希釈コントローラ286における運用時手順について説明する。図8Aは、本開示の実施形態で好適に用いられる希釈コントローラの運用時における制御フローを示す図である。図8Bは、本開示の実施形態で好適に用いられる希釈コントローラの運用時の希釈ガス(N)の流入量の算出例を説明する図である。
【0049】
図8Aに示されるように、まず、第1のガス濃度計測器281にて真空ポンプ246の前段の排気管231aのDCSガスの濃度を測定する(ステップS80)。第1のガス濃度計測器281にて測定された排気管231aのDCSガスの濃度m1は、希釈コントローラ286へ供給される。
【0050】
次に、真空ポンプ246の後段の排気管231bの圧力を圧力測定器282で測定する(ステップS81)。圧力測定器282で測定された圧力P1は、希釈コントローラ286へ供給される。
【0051】
そして、希釈コントローラ286は、測定したDCSガスの濃度m1、測定した圧力P1に応じた希釈ガスの流入量Xを、MFC285を制御し、バルブ286を開くことで、真空ポンプ246(または、真空ポンプ246の前段の排気管231a)に流入する(ステップS82)。なお、DCSガスの排気が完了するとバルブ286を閉じて希釈ガスの供給を停止する。
【0052】
以上のステップ(S80、S81、S82)を繰り返し実行し、基板処理工程が実施されることになる。
【0053】
運用時(基板処理工程の実施時)における希釈ガス(N)の流入量Xの算出は、以下の様に行うことが出来る。
【0054】
1)圧力測定器282で計測された圧力P1、および、第1のガス濃度計測器281で測定された排気管231aのDCSガスの濃度m1より、図7Bに示される相関関係(P1=ηX)のプロットされたグラフおよび式1を用いて、DCSガスの流量X、および、その他のガスの流量Yの値を算出する。
X=P1/η 式3
Y=((100−m1)X)/m1=((100−m1)P1/η)/m1 式4
2)算出されたDCSガスの流量X、および、その他のガスの流量Yを用いて、以下の式5より必要となる希釈ガス(N)の流入量α(slm)を算出する。
X/(α+X+Y)=4/100 式5
α=24X−Y 式6
ここで、式5は、式2のm2の値に、m2=4(%)として代入したものである。式5を変形すると、式6を得ることが出来る。図8Bのグラフには、式6が示される。図8Bのグラフにおいて、縦軸は希釈ガス(N)の流入量α(slm)を示し、横軸はDCSガスの流量X(slm)を示す。
【0055】
したがって、式6に、式3および式4の値を代入することで、希釈ガス(N)の流入量α(slm)が算出できる。希釈コントローラ286は、式6で得られた希釈ガス(N)の流入量α(slm)に基づいて、MFC285を制御する。
【0056】
これにより、希釈コントローラ286は、MFC285を制御し、真空ポンプ246(または、真空ポンプ246の前段の排気管231a)に希釈ガスを供給して、排気管231bにおけるDCSガスの濃度が4.0%以下になるように、不活性ガスの供給量を制御することが出来るので、真空ポンプの後段における可燃性ガス(DCSガス)の燃焼を確実に抑制することが出来る。
【0057】
主に、排気管231、231a、231b、APCバルブ244、圧力センサ245、第1のガス濃度計測器281、圧力測定器282により、排気系が構成される。真空ポンプ246、第2のガス濃度計測器283、ガス供給管284、MFC285、希釈コントローラ286を排気系に含めて考えてもよい。ガス供給管284、MFC285により、希釈ガス供給系が構成される。真空ポンプ246、希釈コントローラ286、第1のガス濃度計測器281、圧力測定器282、第2のガス濃度計測器283を希釈ガス供給系に含めて考えてもよい。
【0058】
排気管231は、反応管203に設ける場合に限らず、ノズル249a,249bと同様にマニホールド209に設けてもよい。
【0059】
マニホールド209の下方には、マニホールド209の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ219が設けられている。シールキャップ219は、マニホールド209の下端に垂直方向下側から当接されるように構成されている。シールキャップ219は、例えばSUS等の金属により構成され、円盤状に形成されている。シールキャップ219の上面には、マニホールド209の下端と当接するシール部材としてのOリング220bが設けられている。シールキャップ219の処理室201と反対側には、後述するボート217を回転させる回転機構267が設置されている。回転機構267の回転軸255は、シールキャップ219を貫通してボート217に接続されている。回転機構267は、ボート217を回転させることでウエハ200を回転させるように構成されている。シールキャップ219は、反応管203の外部に垂直に設置された昇降機構としてのボートエレベータ115によって垂直方向に昇降されるように構成されている。ボートエレベータ115は、シールキャップ219を昇降させることで、ボート217を処理室201内外に搬入および搬出することが可能なように構成されている。ボートエレベータ115は、ボート217すなわちウエハ200を、処理室201内外に搬送する搬送装置(搬送機構)として構成されている。また、マニホールド209の下方には、ボートエレベータ115によりシールキャップ219を降下させている間、マニホールド209の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシャッタ219sが設けられている。シャッタ219sは、例えばSUS等の金属により構成され、円盤状に形成されている。シャッタ219sの上面には、マニホールド209の下端と当接するシール部材としてのOリング220cが設けられている。シャッタ219sの開閉動作(昇降動作や回動動作等)は、シャッタ開閉機構115sにより制御される。
【0060】
(基板支持具)
図1に示すように基板支持具としてのボート217は、複数枚、例えば25〜200枚のウエハ200を、水平姿勢で、かつ、互いに中心を揃えた状態で垂直方向に整列させて多段に支持するように、すなわち、所定の間隔を空けて配列させるように構成されている。ボート217は、例えば石英やSiC等の耐熱性材料により構成される。ボート217の下部には、例えば石英やSiC等の耐熱性材料により構成される断熱板218が多段に支持されている。
【0061】
図2に示すように反応管203の内部には、温度検出器としての温度センサ263が設置されている。温度センサ263により検出された温度情報に基づきヒータ207への通電具合を調整することで、処理室201内の温度を所望の温度分布とする。温度センサ263は、ノズル249a,249bと同様に反応管203の内壁に沿って設けられている。
【0062】
(制御装置)
次に制御装置について図4を用いて説明する。図4に示すように、制御部(制御装置)であるコントローラ121は、CPU(Central Processing Unit)121a、RAM(Random Access Memory)121b、記憶装置121c、I/Oポート121dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM121b、記憶装置121c、I/Oポート121dは、内部バス121eを介して、CPU121aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ121には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置122が接続されている。
【0063】
記憶装置121cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置121c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、前述した相関関係や、後述する成膜処理の手順や条件等が記載されたプロセスレシピ等が、読み出し可能に格納されている。プロセスレシピは、後述する各種処理(成膜処理)における各手順をコントローラ121に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、プロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単に、プログラムともいう。また、プロセスレシピを、単に、レシピともいう。本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、レシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。RAM121bは、CPU121aによって読み出されたプログラムや、前述した相関関係や、データ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0064】
I/Oポート121dは、上述のMFC241a〜241d、285、バルブ243a〜243d、圧力センサ245、282、APCバルブ244、真空ポンプ246、ヒータ207、温度センサ263、整合器272、高周波電源273、回転機構267、ボートエレベータ115、シャッタ開閉機構115s、希釈コントローラ286、濃度計測器281,283等に接続されている。
【0065】
CPU121aは、記憶装置121cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置122からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置121cからレシピを読み出すように構成されている。CPU121aは、読み出したレシピの内容に沿うように、回転機構267の制御、MFC241a〜241dによる各種ガスの流量調整動作、バルブ243a〜243dの開閉動作、インピーダンス監視に基づく高周波電源273の調整動作、APCバルブ244の開閉動作および圧力センサ245に基づくAPCバルブ244による圧力調整動作、真空ポンプ246の起動および停止、温度センサ263に基づくヒータ207の温度調整動作、濃度計測器281,283の濃度計測動作および濃度計測器281、圧力センサ282の計測動作に基づく希釈コントローラ286のMFC285によるガスの流量調整動作、回転機構267によるボート217の正逆回転、回転角度および回転速度調節動作、ボートエレベータ115によるボート217の昇降動作等を制御するように構成されている。
【0066】
コントローラ121は、外部記憶装置(例えば、ハードディスク等の磁気ディスク、CD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリ等の半導体メモリ)123に格納された上述のプログラムを、コンピュータにインストールすることにより構成することができる。記憶装置121cや外部記憶装置123は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成されている。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置121c単体のみを含む場合、外部記憶装置123単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。なお、コンピュータへのプログラムの提供は、外部記憶装置123を用いず、インターネットや専用回線等の通信手段を用いて行ってもよい。
【0067】
(2)基板処理工程
次に、基板処理装置100を使用して、半導体装置の製造工程(製造方法)の一工程として、ウエハ200上に薄膜を形成する工程について、図5及び図6を参照しながら説明する。以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作はコントローラ121により制御される。
【0068】
ここでは、原料ガス(第1の原料ガス)としてDCSガスを供給するステップと、反応ガス(第2の原料ガス)としてプラズマ励起させたNH3ガスを供給するステップとを非同時に、すなわち同期させることなく所定回数(1回以上)行うことで、ウエハ200上に、SiおよびNを含む膜として、シリコン窒化膜(SiN膜)を形成する例について説明する。また、例えば、ウエハ200上には、予め所定の膜が形成されていてもよい。また、ウエハ200または所定の膜には予め所定のパターンが形成されていてもよい。
【0069】
本明細書では、図6に示す成膜処理のプロセスフローを、便宜上、以下のように示すこともある。以下の変形例や他の実施形態の説明においても、同様の表記を用いることとする。
【0070】
(DCS→NH3*)×n ⇒ SiN
本明細書において「ウエハ」という言葉を用いた場合は、ウエハそのものを意味する場合や、ウエハとその表面に形成された所定の層や膜との積層体を意味する場合がある。本明細書において「ウエハの表面」という言葉を用いた場合は、ウエハそのものの表面を意味する場合や、ウエハ上に形成された所定の層等の表面を意味する場合がある。本明細書において「ウエハ上に所定の層を形成する」と記載した場合は、ウエハそのものの表面上に所定の層を直接形成することを意味する場合や、ウエハ上に形成されている層等の上に所定の層を形成することを意味する場合がある。本明細書において「基板」という言葉を用いた場合も、「ウエハ」という言葉を用いた場合と同義である。
【0071】
(搬入ステップ:S1)
複数枚のウエハ200がボート217に装填(ウエハチャージ)されると、シャッタ開閉機構115sによりシャッタ219sが移動させられて、マニホールド209の下端開口が開放される(シャッタオープン)。その後、図1に示すように、複数枚のウエハ200を支持したボート217は、ボートエレベータ115によって持ち上げられて処理室201内へ搬入(ボートロード)される。この状態で、シールキャップ219は、Oリング220bを介してマニホールド209の下端をシールした状態となる。
【0072】
(圧力・温度調整ステップ:S2)
処理室201の内部、すなわち、ウエハ200が存在する空間が所望の圧力(真空度)となるように、真空ポンプ246によって真空排気(減圧排気)される。この際、処理室201内の圧力は圧力センサ245で測定され、この測定された圧力情報に基づきAPCバルブ244がフィードバック制御される。真空ポンプ246は、少なくとも後述する成膜ステップが終了するまでの間は常時作動させた状態を維持する。
【0073】
また、処理室201内のウエハ200が所望の温度となるようにヒータ207によって加熱される。この際、処理室201内が所望の温度分布となるように、温度センサ263が検出した温度情報に基づきヒータ207への通電具合がフィードバック制御される。ヒータ207による処理室201内の加熱は、少なくとも後述する成膜ステップが終了するまでの間は継続して行われる。ただし、成膜ステップを室温以下の温度条件下で行う場合は、ヒータ207による処理室201内の加熱は行わなくてもよい。なお、このような温度下での処理だけを行う場合には、ヒータ207は不要となり、ヒータ207を基板処理装置に設置しなくてもよい。この場合、基板処理装置の構成を簡素化することができる。
【0074】
続いて、回転機構267によるボート217およびウエハ200の回転を開始する。回転機構267によるボート217およびウエハ200の回転は、少なくとも成膜ステップが終了するまでの間は継続して行われる。
【0075】
(成膜ステップ:S3,S4,S5,S6)
その後、ステップS3,S4,S5,S6を順次実行することで成膜ステップを行う。
【0076】
(原料ガス供給ステップ:S3,S4)
ステップS3では、処理室201内のウエハ200に対して第1の原料ガスとしてDCSガスを供給する。
【0077】
バルブ243aを開き、ガス供給管232a内へDCSガスを流す。DCSガスは、MFC241aにより流量調整され、ノズル249aを介してガス供給孔250aから処理室201内へ供給され、排気管231,231a,231bから排気される。このとき同時にバルブ243cを開き、ガス供給管232c内へN2ガスを流す。N2ガスは、MFC241cにより流量調整され、DCSガスと一緒に処理室201内へ供給され、排気管231,231a,231bから排気される。この時、図8Aで説明された希釈コントローラ286の制御フロー(ステップS80,S81,S82)が実施される。したがって、ステップS3は、第1のガス供給系(ガス供給管232a、MFC241a、バルブ243a)から処理室201内の基板200に対してDCSガスを供給する工程または手順と、処理室201内のDCSガスを排気する工程または手順と、を含む。処理室201内のDCSガスを排気する工程または手順は、第1のガス濃度測定器281で測定したDCSガスの濃度及び圧力測定器282で測定した真空ポンプ246の後段における排気管231b内の圧力に応じた流量の希釈ガスを真空ポンプ246内もしくは真空ポンプ246の前段における排気管231a内に供給しながら処理室201内のDCSガスを排気する。処理室201内のDCSガスを排気する工程または手順では、DCSガスの濃度を第1のガス濃度測定器281で測定し、真空ポンプ246の後段の排気管231bの圧力を測定し、RAM121bに記憶した相関関係に基づき、第1のガス濃度測定器281で測定したDCSガスの濃度および圧力測定器282で測定した圧力に応じた流量で希釈ガスを真空ポンプ246内もしくは真空ポンプ246の前段における排気管231a内に供給する。
【0078】
また、ノズル249b内へのDCSガスの侵入を抑制するため、バルブ243dを開き、ガス供給管232d内へN2ガスを流す。N2ガスは、ガス供給管232b、ノズル249bを介して処理室201内へ供給され、排気管231から排気される。
【0079】
MFC241aで制御するDCSガスの供給流量は、例えば1sccm以上、6000sccm以下、好ましくは2000sccm以上、3000sccm以下の範囲内の流量とする。MFC241c,241dで制御するN2ガスの供給流量は、それぞれ例えば100sccm以上、10000sccm以下の範囲内の流量とする。処理室201内の圧力は、例えば1Pa以上、2666Pa以下、好ましくは665Pa以上、1333Paの範囲内の圧力とする。DCSガスにウエハ200を晒す時間は、例えば1秒以上、10秒以下、好ましくは1秒以上、3秒以下の範囲内の時間とする。なお、DCSガスをウエハに晒す時間は、膜厚によって異なる。
【0080】
ヒータ207の温度は、ウエハ200の温度が、例えば0℃以上700℃以下、好ましくは室温(25℃)以上550℃以下、より好ましくは40℃以上500℃以下の範囲内の温度となるような温度に設定する。本実施形態のように、ウエハ200の温度を700℃以下、さらには550℃以下、さらには500℃以下とすることで、ウエハ200に加わる熱量を低減させることができ、ウエハ200が受ける熱履歴の制御を良好に行うことができる。
【0081】
上述の条件下でウエハ200に対してDCSガスを供給することにより、ウエハ200(表面の下地膜)上に、Si含有層が形成される。Si含有層はSi層の他、ClやHを含み得る。Si含有層は、ウエハ200の最表面に、DCSが物理吸着したり、DCSの一部が分解した物質が化学吸着したり、DCSが熱分解することでSiが堆積したりすること等により形成される。すなわち、Si含有層は、DCSやDCSの一部が分解した物質の吸着層(物理吸着層や化学吸着層)であってもよく、Siの堆積層(Si層)であってもよい。
【0082】
Si含有層が形成された後、バルブ243aを閉じ、処理室201内へのDCSガスの供給を停止する。このとき、APCバルブ244を開いたままとし、真空ポンプ246により処理室201内を真空排気し、処理室201内に残留する未反応もしくはSi含有層の形成に寄与した後のDCSガスや反応副生成物等を処理室201内から排除する(S4)。また、バルブ243c,243dは開いたままとして、処理室201内へのN2ガスの供給を維持する。N2ガスはパージガスとして作用する。この時、図8Aで説明された希釈コントローラ286の制御フロー(ステップS80,S81,S82)を実施しても良い。なお、このステップS4を省略してもよい。
【0083】
原料ガスとしては、DCSガスのほか、テトラキスジメチルアミノシラン(Si[N(CH324、略称:4DMAS)ガス、トリスジメチルアミノシラン(Si[N(CH323H、略称:3DMAS)ガス、ビスジメチルアミノシラン(Si[N(CH3222、略称:BDMAS)ガス、ビスジエチルアミノシラン(Si[N(C25222、略称:BDEAS)、ビスターシャリーブチルアミノシラン(SiH2[NH(C49)]2 、略称:BTBAS)ガス、ジメチルアミノシラン(DMAS)ガス、ジエチルアミノシラン(DEAS)ガス、ジプロピルアミノシラン(DPAS)ガス、ジイソプロピルアミノシラン(DIPAS)ガス、ブチルアミノシラン(BAS)ガス、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)ガス等の各種アミノシラン原料ガスや、モノクロロシラン(SiH3Cl、略称:MCS)ガス、トリクロロシラン(SiHCl3、略称:TCS)ガス、テトラクロロシラン(SiCl4、略称:STC)ガス、ヘキサクロロジシラン(Si2Cl6、略称:HCDS)ガス、オクタクロロトリシラン(Si3Cl8、略称:OCTS)ガス等の無機系ハロシラン原料ガスや、モノシラン(SiH4、略称:MS)ガス、ジシラン(Si26、略称:DS)ガス、トリシラン(Si38、略称:TS)ガス等のハロゲン基非含有の無機系シラン原料ガスを好適に用いることができる。
【0084】
不活性ガスとしては、N2ガスの他、Arガス、Heガス、Neガス、Xeガス等の希ガスを用いることができる。
【0085】
(反応ガス供給ステップ:S5,S6)
成膜処理が終了した後、処理室201内のウエハ200に対して反応ガスとしてのプラズマ励起させたNH3ガスを供給する(S5)。つまり、反応ガス供給ステップS5は、第2のガス供給系(ガス供給管232b、MFC241b、バルブ243b)から処理室201内の基板200に対して第2の原料ガス(NH3ガス)を供給する工程ないし手順と言うことができる。
【0086】
このステップでは、バルブ243b〜243dの開閉制御を、ステップS3におけるバルブ243a,243c,243dの開閉制御と同様の手順で行う。NH3ガスは、MFC 241bにより流量調整され、ノズル249bを介してバッファ室237内へ供給される。このとき、棒状電極269,270,271間に高周波電力を供給する。バッファ室237内へ供給されたNH3ガスはプラズマ状態に励起され(プラズマ化して活性化され)、活性種(NH3*)として処理室201内へ供給され、排気管231から排気される。
【0087】
MFC241bで制御するNH3ガスの供給流量は、例えば100sccm以上、10000sccm以下、好ましくは1000sccm以上、2000sccm以下の範囲内の流量とする。棒状電極269,270,271に印加する高周波電力は、例えば50W以上、600W以下の範囲内の電力とする。処理室201内の圧力は、例えば1Pa以上、500Pa以下の範囲内の圧力とする。プラズマを用いることで、処理室201内の圧力をこのような比較的低い圧力帯としても、NH3ガスを活性化させることが可能となる。NH3ガスをプラズマ励起することにより得られた活性種をウエハ200に対して供給する時間、すなわち、ガス供給時間(照射時間)は、例えば1秒以上、180秒以下、好ましくは1秒以上、60秒以下の範囲内の時間とする。その他の処理条件は、上述のS3と同様な処理条件とする。
【0088】
上述の条件下でウエハ200に対してNH3ガスを供給することにより、ウエハ200上に形成されたSi含有層がプラズマ窒化される。この際、プラズマ励起されたNH3ガスのエネルギーにより、Si含有層が有するSi−Cl結合、Si−H結合が切断される。Siとの結合を切り離されたCl、Hは、Si含有層から脱離することとなる。そして、Cl等が脱離することで未結合手(ダングリングボンド)を有することとなったSi含有層中のSiが、NH3ガスに含まれるNと結合し、Si−N結合が形成されることとなる。この反応が進行することにより、Si含有層は、SiおよびNを含む層、すなわち、シリコン窒化層(SiN層)へと変化させられる(改質される)。
【0089】
なお、Si含有層をSiN層へと改質させるには、NH3ガスをプラズマ励起させて供給する必要がある。NH3ガスをノンプラズマの雰囲気下で供給しても、上述の温度帯では、Si含有層を窒化させるのに必要なエネルギーが不足しており、Si含有層からClやHを充分に脱離させたり、Si含有層を充分に窒化させてSi−N結合を増加させたりすることは、困難なためである。
【0090】
Si含有層をSiN層へ変化させた後、バルブ243bを閉じ、NH3ガスの供給を停止する。また、棒状電極269,270,271間への高周波電力の供給を停止する。そして、ステップS4と同様の処理手順、処理条件により、処理室201内に残留するNH3ガスや反応副生成物を処理室201内から排除する(S6)。ステップS6は、処理室201内の第2の原料ガス(NH3ガス)を排気する工程ないし手順と言うことができる。なお、このステップS6を省略してもよい。
【0091】
窒化剤、すなわち、プラズマ励起させるNH3含有ガスとしては、NH3ガスの他、ジアゼン(N22)ガス、ヒドラジン(N24)ガス、N38ガス等を用いてもよい。
【0092】
不活性ガスとしては、N2ガスの他、例えば、ステップS4で例示した各種希ガスを用いることができる。
【0093】
(所定回数実施:S7)
上述したS3,S4,S5,S6をこの順番に沿って非同時に、すなわち、同期させることなく行うことを1サイクルとし、このサイクルを所定回数(n回)、すなわち、1回以上行う(S7)ことにより、ウエハ200上に、所定組成および所定膜厚のSiN膜を形成することができる。上述のサイクルは、複数回繰り返すことが好ましい。すなわち、1サイクルあたりに形成されるSiN層の厚さを所望の膜厚よりも小さくし、SiN層を積層することで形成されるSiN膜の膜厚が所望の膜厚になるまで、上述のサイクルを複数回繰り返すことが好ましい。
【0094】
(大気圧復帰ステップ:S8)
上述の成膜処理が完了したら、ガス供給管232c,232dのそれぞれから不活性ガスとしてのN2ガスを処理室201内へ供給し、排気管231から排気する。これにより、処理室201内が不活性ガスでパージされ、処理室201内に残留するガス等が処理室201内から除去される(不活性ガスパージ)。その後、処理室201内の雰囲気が不活性ガスに置換され(不活性ガス置換)、処理室201内の圧力が常圧に復帰される(S8)。この時、図8Aで説明された希釈コントローラ286の制御フロー(ステップS80,S81,S82)を実施しても良い。
【0095】
(搬出ステップ:S9)
その後、ボートエレベータ115によりシールキャップ219が下降されて、マニホールド209の下端が開口されるとともに、処理済のウエハ200が、ボート217に支持された状態でマニホールド209の下端から反応管203の外部に搬出(ボートアンロード)される(S9)。ボートアンロードの後は、シャッタ219sが移動させられ、マニホールド209の下端開口がOリング220cを介してシャッタ219sによりシールされる(シャッタクローズ)。処理済のウエハ200は、反応管203の外部に搬出された後、ボート217より取り出されることとなる(ウエハディスチャージ)。なお、ウエハディスチャージの後は、処理室201内へ空のボート217を搬入するようにしてもよい。
【0096】
(3)本実施形態による効果
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果が得られる。
【0097】
(a)基板処理装置の排気系は、真空ポンプ246の前段の排気管231aの第1の原料ガス(DCSガス)の濃度を測定するガス濃度測定器281と、真空ポンプ246の後段の排気管231bの圧力を測定する圧力測定器282とを備える。測定した第1の原料ガスの濃度及び真空ポンプ246の後段の排気管231bの圧力に応じた流量で希釈ガスを真空ポンプ246に供給して、前記第1の原料ガスを希釈してから排気する。これにより、真空ポンプの後段における可燃性ガスの燃焼を確実に抑制すること可能となる。
【0098】
(b)予め、真空ポンプ246に前段の排気管231aのDCSガスの濃度と、真空ポンプ246内に供給される希釈ガスの流量に対する真空ポンプ246の後段の排気管231bのDCSガスの濃度と、真空ポンプ246の後段の排気管231bの圧力との相関関係を取得する(図7A図7B参照)。真空ポンプ246の前段の排気管231aのDCSガスの濃度および真空ポンプ246の後段の排気管231bの圧力を測定して、測定したDCSガスの濃度および測定した圧力に応じた流量で希釈ガスを真空ポンプ246に流入する。これにより、真空ポンプの後段における可燃性ガスの燃焼を確実に抑制すること可能となる。
【0099】
(c)真空ポンプ246またはその前段の排気管231aに希釈ガスを供給して、真空ポンプ246の後段の排気管231bにおけるDCSガスの濃度が4.0%以下になるように、不活性ガスの供給量を制御することが出来る。これにより、真空ポンプ246の後段における可燃性ガスの燃焼を確実に抑制すること可能となる。
【0100】
(変形例)
次に、本実施形態の変形例を図9に基づいて説明する。本変形例において、上述した実施形態と異なる部分のみ以下に説明し、同じ部分は説明を省略する。上述した実施形態では、真空ポンプ246の後段の排気管231bに、圧力測定器282を設けた構成について詳述したが、本変形例では、圧力測定器282を設けずに、真空ポンプ246の前段の排気管231aに、流量を計測する流量測定器287を設ける。流量測定器287の計測結果は、希釈コントローラ286へ供給される。他の構成は、図1と同様であるので、その説明は省略する。
【0101】
(初期値設定手順)
図10は、本実施形態の変形例で好適に用いられる初期値設定時におけるフローを示す図である。図10に示されるように、まず、希釈ガスの流入量を仮定として、真空ポンプ246の前段の排気管231aにおいて、第1のガス濃度計測器281によりDCSガスの濃度m1を計測し、流量測定器287よりガスの流量Qを計測する。また、真空ポンプ246の後段の排気管231bにおいて、第2のガス濃度計測器283によりDCSガスの濃度m2を計測する(ステップS100)。
【0102】
次に、真空ポンプ246の前段の排気管231aのDCSガスの流量Xを算出する(ステップS101)。
【0103】
次に、真空ポンプ246の後段の排気管231bの予測濃度m2’(計算値)を算出する(ステップS102)。
【0104】
そして、真空ポンプ246の後段の排気管231bにおけるDCSガスの濃度の“測定値m2”と“計算値m2’”とを比較し、“測定値m2”と“計算値m2’”との差異を補填するための“補正係数ζ”を算出する(ステップS103)。
【0105】
初期設定データの算出は、以下の様に行う。
【0106】
1)まず、希釈コントローラ286によってMFC285を制御し、希釈ガスの流入量をα(slm)に設定する。次に、真空ポンプ246の前段の排気管231aのDCSガスの濃度を第1のガス濃度計測器281で測定する。また、真空ポンプ246の前段の排気管231aのガスの流量を流量測定器287で測定する。さらに、真空ポンプ246の後段の排気管231bのDCSガスの濃度を第2のガス濃度計測器283で測定する(ステップS100)。測定結果は、以下であったとする。
排気管231aのDCSガスの濃度(1次側):m1(%)
排気管231bのDCSガスの濃度(2次側):m2(%)
排気管231aのガスの流量:Q(slm)
2)上記1)の測定結果より、真空ポンプ246の前段の排気管231aに流れるDCSガスの実ガス流量Xは、以下の式7により算出する。
X=Q・(m1/100) 式7
この計算は、ステップS101で行われる。
【0107】
3)次に、希釈ガスの流入量をα(slm)として、真空ポンプ246の後段の排気管231bに流れるDCSガスの予測濃度m2’(計算値)を、以下の式8により算出する(ステップS102)。
X/(α+Q)=m2’/100 式8
m2’=(100X)/(α+Q)
ここで、DCSガスの予測濃度m2’は、DCSガスと全ガスの体積流量比より算出できる。
【0108】
4)次に、真空ポンプ246の後段の排気管231bに流れるDCSガスの濃度について、測定値m2と予測濃度m2’(計算値)とを比較し、補正係数ζを算出する。この補正係数ζは、真空ポンプ246の前段の排気管231aのDCSガスの濃度の測定値から真空ポンプ246の後段の排気管231bのDCSガスの濃度の算出する時に必要となる希釈ガスの流入量α(slm)を推測するために利用される。補正係数ζは、以下の式9により算出する。
ζ=m2/m2’ 式9
この計算は、ステップS103で行われる。
【0109】
(運用時手順)
図11Aは、本実施形態の変形例で好適に用いられる希釈コントローラ286の運用時における制御フローを示す図である。図11Bは、本実施形態の変形例で好適に用いられる希釈コントローラの運用時の希釈ガスの流入量の算出例を説明する図である。
【0110】
まず、第1のガス濃度計測器281により真空ポンプ246の前段の排気管231aのDCSガスの濃度を測定する。また、流量測定器287により真空ポンプ246の前段の排気管231aのガス流量を測定する(ステップS110)。第1のガス濃度計測器281にて測定された排気管231aのDCSガスの濃度、および、流量測定器287にて測定されたガス流量は、希釈コントローラ286へ供給される。
【0111】
次に、真空ポンプ246の前段の排気管231aのDCSガスの濃度を希釈コントローラ286によって算出する(ステップS111)。
【0112】
そして、希釈コントローラ286は、ステップS110で測定したDCSガスの濃度および測定した流量、およびステップ103で求めた補正係数ζより、必要となるDCSガスの流入量を算出し、希釈コントローラ286のMFC285の制御へフィードバックする(ステップS112)。これにより、希釈コントローラ286は、MFC285を制御することで、真空ポンプ246(または、真空ポンプ246の前段の排気管231a)に算出された希釈ガスの流入量を流入する。
【0113】
以上のステップ(S110、S111、S112)を繰り返し実行し、基板処理工程が実施されることになる。
【0114】
運用時(基板処理工程の実施時)における希釈ガス(N)の流入量の算出は、以下の様に行うことが出来る。
【0115】
1)第1のガス濃度計測器281により真空ポンプ246の前段の排気管231aのDCSガスの濃度を測定する。また、流量測定器287により真空ポンプ246の前段の排気管231aのガス流量を測定する(ステップS110)。測定結果は、以下であったとする。
排気管231aのDCSガスの濃度(1次側):m1(%)
排気管231aのガスの流量:Q(slm)
なお、流量測定器287を流速計測器とした場合は、排気管231aの配管内径を与えることで流量を算出できる。
【0116】
2)上記1)の測定結果より、真空ポンプ246の前段の排気管231aに流れるDCSガスの実ガス流量Xは、以下の式により算出する。
X=Q・(m1/100)
この計算は、ステップS111により行われる。
【0117】
3)上記1)、2)に加え初期設定にて算出した補正係数ζを用いて、希釈ガスの流入量α(slm)を、以下の式10により算出する。
X/(α+Q)=ζ(4/100) 式10
α=(25X/ζ)−Q 式11
ここで、式10は、式8の予測濃度m2’の値に、m2’=4(%)として代入したものである。式10を変形すると、上記の式11を得ることが出来る。図11Bのグラフには、式11が示される。図11Bのグラフにおいて、縦軸は希釈ガス(N)の流入量α(slm)を示し、横軸はDCSガスの流量X(slm)を示す。
【0118】
式11により得られた希釈ガスの流入量α(slm)の値を、希釈ガスコントローラ286へフィードバックする(ステップS112)。希釈コントローラ286は、式11で得られた希釈ガス(N)の流入量α(slm)に基づいて、MFC285を制御する。
【0119】
これにより、希釈コントローラ286は、MFC285を制御し、真空ポンプ246(または、真空ポンプ246の前段の排気管231a)に希釈ガスを供給して、排気管231bにおけるDCSガスの濃度が4.0%以下になるように、不活性ガスの供給量を制御することが出来るので、真空ポンプの後段における可燃性ガス(DCSガス)の燃焼を確実に抑制することが出来る。
【0120】
本変形例によっても、上述した実施形態と同様の効果が得られる。
【0121】
以上、本開示の実施形態について具体的に説明した。しかしながら、本開示は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0122】
例えば、上述の実施形態では、プラズマ生成部として3本の電極を用いる例について説明したが、これに限らず、5本や7本などの3本以上の奇数本の電極を用いる場合に適用することもできる。例えば5本の電極を用いてプラズマ生成部を構成する場合、最外位置に配置される2本の電極と、中央位置に配置される1本の電極の合計3本の電極を高周波電源に接続し、高周波電源に挟まれる形で配置される2本の電極を接地するように接続することで構成することができる。
【0123】
また、上述の実施形態では、高周波電源側の電極の本数を接地側の電極の本数よりも多くして、接地側の電極を高周波電源側の電極に対して共通にする例について説明したが、これに限らず、接地側の電極の本数を高周波電源側の電極の本数よりも多くして、高周波電源側の電極を接地側の電極に対して共通にするようにしてもよい。ただし、接地側の電極の本数を高周波電源側の電極の本数より多くすると、高周波電源側の電極に印加する電力を大きくする必要が生じ、パーティクルが多く発生してしまう。このため、高周波電源側の電極の本数を接地側の電極の本数より多くなるように設定する方が望ましい。
【0124】
また、上述の実施形態では、バッファ構造に形成されたガス供給口302,304について、同一の開口面積を有し、同じ開口ピッチで設けられている例について説明したが、これに限らず、ガス供給口302の開口面積をガス供給口304の開口面積に比べて大きくするようにしてもよい。バッファ室237内の電極の本数が増えることによってノズル249bから遠い位置の棒状電極269,270間で生じるプラズマは、近い位置の棒状電極270,271間で生じるプラズマに比べて少なくなる可能性が高い。このため、ノズル249bから遠い位置に設けられたガス供給口302の開口面積を、ノズル249bに近い位置に設けられたガス供給口304の開口面積に比較して大きくするようにしてもよい。
【0125】
また、上述の実施形態では、複数のバッファ構造を設けた場合に、同一の反応ガスをプラズマ励起してウエハに供給する構成について説明したが、これに限らず、バッファ構造ごとに異なる反応ガスをプラズマ励起してウエハに供給するようにしてもよい。これにより、バッファ室ごとのプラズマ制御が可能となり、バッファ室ごとに異なる反応ガスを供給することが可能となるとともに、1つのバッファ構造で複数種類の反応ガスを供給する場合に比べて、パージ工程等の不要な工程を削減することが可能となり、スループットの向上を図ることが可能となる。
【0126】
上述の実施形態では、原料を供給した後に反応ガスを供給する例について説明した。本開示はこのような態様に限定されず、原料、反応ガスの供給順序は逆でもよい。すなわち、反応ガスを供給した後に原料を供給するようにしてもよい。供給順序を変えることにより、形成される膜の膜質や組成比を変化させることが可能となる。
【0127】
上述の実施形態等では、ウエハ200上にSiN膜を形成する例について説明した。本開示はこのような態様に限定されず、ウエハ200上に、シリコン酸化膜(SiO膜)、シリコン酸炭化膜(SiOC膜)、シリコン酸炭窒化膜(SiOCN膜)、シリコン酸窒化膜(SiON膜)等のSi系酸化膜を形成する場合や、ウエハ200上にシリコン炭窒化膜(SiCN膜)、シリコン硼窒化膜(SiBN膜)、シリコン硼炭窒化膜(SiBCN膜)等のSi系窒化膜を形成する場合にも、好適に適用可能である。これらの場合、反応ガスとしては、O含有ガスの他、C36等のC含有ガスや、NH3等のN含有ガスや、BCl3等のB含有ガスを用いることができる。
【0128】
また、本開示は、ウエハ200上に、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)等の金属元素を含む酸化膜や窒化膜、すなわち、金属系酸化膜や金属系窒化膜を形成する場合においても、好適に適用可能である。すなわち、本開示は、ウエハ200上に、TiO膜、TiN膜、TiOC膜、TiOCN膜、TiON膜、TiBN膜、TiBCN膜、ZrO膜、ZrN膜、ZrOC膜、ZrOCN膜、ZrON膜、ZrBN膜、ZrBCN膜、HfO膜、HfN膜、HfOC膜、HfOCN膜、HfON膜、HfBN膜、HfBCN膜、TaO膜、TaOC膜、TaOCN膜、TaON膜、TaBN膜、TaBCN膜、NbO膜、NbN膜、NbOC膜、NbOCN膜、NbON膜、NbBN膜、NbBCN膜、AlO膜、AlN膜、AlOC膜、AlOCN膜、AlON膜、AlBN膜、AlBCN膜、MoO膜、MoN膜、MoOC膜、MoOCN膜、MoON膜、MoBN膜、MoBCN膜、WO膜、WN膜、WOC膜、WOCN膜、WON膜、MWBN膜、WBCN膜等を形成する場合にも、好適に適用することが可能となる。
【0129】
これらの場合、例えば、原料ガスとして、テトラキス(ジメチルアミノ)チタン(Ti[N(CH324、略称:TDMAT)ガス、テトラキス(エチルメチルアミノ)ハフニウム(Hf[N(C25)(CH3)]4、略称:TEMAH)ガス、テトラキス(エチルメチルアミノ)ジルコニウム(Zr[N(C25)(CH3)]4、略称:TEMAZ)ガス、トリメチルアルミニウム(Al(CH33、略称:TMA)ガス、チタニウムテトラクロライド(TiCl4)ガス、ハフニウムテトラクロライド(HfCl4)ガス等を用いることができる。反応ガスとしては、上述の反応ガスを用いることができる。
【0130】
すなわち、本開示は、半金属元素を含む半金属系膜や金属元素を含む金属系膜を形成する場合に、好適に適用することができる。これらの成膜処理の処理手順、処理条件は、上述の実施形態や変形例に示す成膜処理と同様な処理手順、処理条件とすることができる。これらの場合においても、上述の実施形態や変形例と同様の効果が得られる。
【0131】
成膜処理に用いられるレシピは、処理内容に応じて個別に用意し、電気通信回線や外部記憶装置123を介して記憶装置121c内に格納しておくことが好ましい。そして、各種処理を開始する際、CPU121aが、記憶装置121c内に格納された複数のレシピの中から、処理内容に応じて適正なレシピを適宜選択することが好ましい。これにより、1台の基板処理装置で様々な膜種、組成比、膜質、膜厚の薄膜を汎用的に、かつ、再現性よく形成することができるようになる。また、オペレータの負担を低減でき、操作ミスを回避しつつ、各種処理を迅速に開始できるようになる。
【0132】
上述のレシピは、新たに作成する場合に限らず、例えば、基板処理装置に既にインストールされていた既存のレシピを変更することで用意してもよい。レシピを変更する場合は、変更後のレシピを、電気通信回線や当該レシピを記録した記録媒体を介して、基板処理装置にインストールしてもよい。また、既存の基板処理装置が備える入出力装置122を操作し、基板処理装置に既にインストールされていた既存のレシピを直接変更するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0133】
以上述べたように、本開示によれば、真空ポンプの後段における可燃性ガスの燃焼を確実に抑制することが可能な技術を提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0134】
200:ウエハ、201:処理室、231,231a,231b:排気管、246:真空ポンプ、281,283:ガス濃度計測器、282:圧力計測器、284:ガス供給管、285:MFC、286:希釈コントローラ
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10
図11A
図11B
図12