【実施例】
【0172】
実施例1:式Iの化合物の合成
式Iの化合物は、スキーム1〜12において後述される工程によって、式XIIIの化合物(スコポラミン[51−34−3])((2S)−(1R,2R,4S,5S)−9−メチル−3−オキサ−9−アザトリシクロ[3.3.1.02,4]ノナン−7−イル−3−ヒドロキシ−2−フェニルプロパノエート臭化水素酸三水和物)から合成した。
【0173】
第1の工程をスキーム1に例示する。
【0174】
【化37】
【0175】
10リットルの4首丸底フラスコの中に、水素化ホウ素ナトリウム(172g、4558mmol)を、氷浴中3リットルの絶対エタノール中の式XIIIの化合物(333g、760mmol)の機械的に撹拌された懸濁液に、約2時間にわたって少量ずつ添加した。この時間の間にガス形成が生じ、懸濁液を一晩、周囲温度に加温しながら撹拌した。およそ10℃で加熱している間に、突然の追加のガス形成及び発泡が生じた。
【0176】
次いで、白濁した懸濁液を、その元の量の約半分(すなわち、約3Lから1.5L)に濃縮して、追加の沈殿物が観測され、これがバッチをもたらした。一方で、イソプロピルアルコール(IPA)(5318mmol、1.064L)中の5M HClを、2Lの技術的ジエチルエーテル(Et
2O)で希釈した。次いで、得られた塩酸(HCl)溶液を、撹拌しながら、氷冷したバッチに滴下添加した。白色懸濁液を、一晩機械的に撹拌して、ホウ酸塩を完全に加水分解させた。
【0177】
反応混合物を濾過し、得られた固体を500mL分量のEt
2Oで2回濯いだ。乾燥した固体(いくらかのEt
2Oを含有した)を、透明な溶液が得られるまで、最小量の10%水性炭酸カリウム(K
2CO
3)溶液(約1.5L)に溶解した。200mLの塩水及び約50gの固体NaClを、溶液に添加した。次いで、水相を、クロロホルム/メタノール(MeOH)/[MeOH中の7N NH
3](85:14:1)で完全に抽出した。この手順を、各々1.0L分量のこの溶媒混合物で5回行った。合わせた有機抽出物を乾燥させ(硫酸ナトリウム(Na
2SO
4))、濾過し、溶媒を減圧下で除去して、102.2g(659mmol)の式XIIの化合物((1R,2R,4S,5S)−9−メチル−3−オキサ−9−アザトリシクロ[3.3.1.02,4]ノナン−7−オル)を、わずかに茶褐色の油として87%収率で得た。
1HNMR(CDCl
3)(
図1)は、少量の不純物と共に、式XIIの化合物との構造的一致を示した。
1HNMR(400MHz,クロロホルム−d)δ4.03〜4.00(m,1H),3.67(s,2H),3.20〜3.18(m,2H),2.52(s,3H),2.14〜2.08(m,2H),1.69〜1.37(m,3H)。
【0178】
次の工程は、スキーム2により例示されるように進めた。
【0179】
【化38】
【0180】
1000mLの乾燥テトラヒドロフラン(THF)中の式XIIの化合物(102.2g、659mmol)、安息香酸(BzOH)(97g、790mmol)、及びトリフェニルホスフィン(PPh
3)(207g、790mmol)の溶液に、100mLの乾燥THF中のジイソプロピルアゾジカルボキシレート(DIAD)(160g、790mmol、154mL)の溶液を、4時間の期間にわたって滴下添加した。添加の間、アセトン/ドライアイスを使用して、溶液を−35℃〜−25℃で保持した。次いで、透明な無色の溶液を氷浴から取り出し、室温で一晩撹拌した。
【0181】
試料を採取及び分析し、この分析は、反応が完了に至ったことを示した。反応混合物を濃縮し、1Lの酢酸エチル(EtOAc)に溶解し、1Lの飽和重炭酸ナトリウム(NaHCO
3)で、その後水性2M HCl(1Lで1回、0.5Lで2回)で抽出した。合わせた酸性水性画分を、1LのEtOAcでもう1度洗浄した。およそ400gの炭酸カリウム(K
2CO
3)を、ガス形成が観測されなくなるまで、撹拌しながら酸性水層に滴下添加した。得られた溶液のpHは、わずかに塩基性であり、わずかに混濁した黄色であった。次いで、水相を9:1のジクロロメタン(DCM)/MeOH(各々1Lで3回)溶液で抽出し、合わせた有機画分を硫酸ナトリウム(Na
2SO
4)で乾燥させ、濾過し、濃縮して118.3g(447mmol)の式XIの化合物((1R,2R,4S,5S,7r)−9−メチル−3−オキサ−9−アザトリシクロ[3.3.1.02,4]ノナン−7−イル安息香酸塩)を得た後、MS(
図2)により67.9%収率で98%純度を有することが確認された。
1HNMR(400MHz,クロロホルム−d)δ8.07〜7.93(m,2H),7.59〜7.48(m,1H),7.44〜7.40(m,2H),5.39〜5.30(m,1H),3.63(s,2H),3.42〜3.25(m,2H),2.57(s,3H),2.10〜2.04(m,2H),1.92〜1.86(m,2H)。
【0182】
次の工程を、スキーム3に例示されるように進めた。
【0183】
【化39】
【0184】
クロロホルム(350mL)中の式XIの化合物(201.9g、779mmol)の溶液に、窒素雰囲気下(ストリームではない)、K
2CO
3(452g、3270mmol)及びクロロギ酸エチル(279g、2569mmol、247mL)を添加して、淡黄色の懸濁液を形成し、次いでこれを還流下で一晩撹拌した。
【0185】
次いで、試料を採取及び分析して、反応が、生成物である式Xの化合物(1R,2R,4S,5S,7r)−エチル7−(ベンゾイルオキシ)−3−オキサ−9−アザトリシクロ[3.3.1.02,4]ノナン−9−カルボキシレート)への74%変換に達していたことを示した。混合物を、還流温度で更に24時間にわたって更に撹拌した。
【0186】
次いで、別の試料を採取及び分析して、反応が生成物への75%変換に達していたことを示した。反応を完了させるために、追加のK
2CO
3(53.8g、389mmol)及びクロロギ酸エチル(85g、779mmol、74.8mL)を反応溶液に添加し、混合物を還流温度で一晩撹拌した。
【0187】
一晩撹拌及び還流させた後、別の試料を採取し、これを分析して、反応が式Xの化合物への81%変換に達していたことを示した。
【0188】
次いで、反応混合物を500mLのDCMで希釈し、有機層を750mLの半飽和水性NaHCO
3溶液、750mLの0.4M水性HCl、及び750mLの塩水で洗浄した。次に、混合物をNa
2SO
4上で乾燥させ、次いで濾過し、減圧下で濃縮した後、黄色の油を得た。300mLのヘプタンを添加し、混合物を一晩激しく撹拌した。
【0189】
白色の懸濁液が形成されており、大きな白色の塊を含有していたため、スパチュラで押しつぶした。懸濁液をガラスフィルタで濾過し、およそ250mLのヘプタン及びおよそ200mLのペンタンで濯いだ。次いで、懸濁液を、真空オーブンを使用して3時間乾燥させ、式Xの化合物を白色の固体(219.6g、692mmol、89%収率)として得た。生成物のLCMSは、95%超の収率%を示し、MS(
図3B)及び
1HNMR(
図3A)に示される所望の生成物と、質量及び構造が一致した。
1HNMR(400MHz,クロロホルム−d)δ8.01〜7.97(m,2H),7.61〜7.53(m,1H),7.48〜7.42(m,2H),5.48〜5.39(m,1H),4.58(m,1H),4.48(m,1H),4.16(q,J=7.1Hz,2H),3.56〜3.53(m,2H),2.34〜2.21(m,2H),1.98〜1.86(m,2H),1.27(t,J=7.1Hz,3H)。
【0190】
次の工程を、スキーム4に例示されるように進めた。
【0191】
【化40】
【0192】
6Lの3首フラスコ内で、水素化ホウ素ナトリウム(157g、4152mmol)を、室温の1.5Lの絶対エタノール中の式Xの化合物(219.6g、692mmol)の懸濁液に添加した。反応は発熱性であり、およそ4時間の期間にわたって60℃超の内部温度を有しており、反応中、極度のガス/発泡体形成が観測された。懸濁液を、50℃で一晩磁気的に撹拌した。
【0193】
次いで、試料を採取し、TLCにより分析して、反応が完了に至ったことを示した。得られた生成物は、白色の固体であり、これが夜間に磁気撹拌器を停止させた。混合物を減圧下で濃縮し、白色の固体残渣を、1Lのクロロホルムと3.5Lの半飽和水性NaHCO
3溶液とに分割した。次に層を分離し、水層を追加のクロロホルム(各々1Lで2回)で抽出した。合わせた有機層を、1Lの塩水で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、およそ220gの生成物を白色の固体として得て、これを0.6Lのヘプタン中で一晩、磁気撹拌器で撹拌した。
【0194】
次いで、混合物を濾過し、生成物は、球体を形成していたため押しつぶし、500mLのヘプタンをそれらに添加した。混合物を、磁気撹拌器で一晩激しく撹拌した。
【0195】
混合物を一晩撹拌した後、オフホワイトの懸濁液は、依然として球体を含有していたため、次いでそれらをスパチュラで押しつぶした。懸濁液を濾過し、残渣を、およそ300mLのヘプタンで濯ぎ、真空により乾燥させて、およそ148gの生成物を得た。試料を採取し、
1HNMRにより分析して、構造が、式IXの化合物(1R,2R,4S,5S,7r)−エチル7−ヒドロキシ−3−オキサ−9−アザトリシクロ[3.3.1.02,4]ノナン−9−カルボキシレート)と一致していることを示した(
図4)。
【0196】
残渣を、およそ300mLのEt
2O中で1時間撹拌した。白色の懸濁液を濾過し、残渣を、およそ300mLのEt
2Oで再度濯いだ後、真空により(N
2流下で)乾燥させて、式IXの化合物(122g、572mmol、82%収率)を得た。
1HNMR(400MHz,クロロホルム−d)δ4.50(m,1H),4.41(m,1H),4.23〜4.09(m,3H),3.42〜3.39(m,2H),2.15〜2.08(m,2H),1.73〜1.62(m,2H),1.44(d,J=5.9Hz,1H),1.26(t,J=7.1Hz,3H)。
【0197】
次の工程を、スキーム5に例示されるように進めた。
【0198】
【化41】
【0199】
トリエチルアミン(22.78g、225mmol、31.4mL)及びメシル−Cl(23.64g、206mmol、16.08mL)を、0℃のDCM(500mL)中の式IXの化合物(40g、188mmol)の溶液に滴下添加した。添加が完了すると、氷浴を除去し、わずかに白濁した懸濁液を、室温に加温しながら撹拌した。
【0200】
1時間後に試料を採取し、TLCにより分析して、完全な変換が生じたことを示した。次いで、反応混合物を、500mLの水で2回洗浄した。DCM層は白濁しているように見え、Na
2SO
4上で乾燥させ(これが層をより透明にした)、次いで濾過し、減圧下で濃縮して、粘性の油を得た。油をトルエンで2回揮散させて、54.2gの淡茶褐色の固体を得、これは、21重量%のトルエンを含有していた。
【0201】
重量が43.2g(148mmol、78.9%収率)で一定するまで、固体を真空下、50℃で更に乾燥させ、式VIIIの化合物((1R,2R,4S,5S,7r)−エチル7−((メチルスルホニル)オキシ)−3−オキサ−9−アザトリシクロ[3.3.1.02,4]ノナン−9−カルボキシレート)を得た。試料を採取し、構造を
1HNMRにより確認した(
図5)。
1HNMR(400MHz,クロロホルム−d)δ5.11〜5.02(m,1H),4.54〜4.53(m,1H),4.44〜4.43(m,1H),4.13(q,J=7.1Hz,2H),3.47〜3.45(m,2H),3.00(s,3H),2.28〜2.23(m,2H),2.00〜1.90(m,2H),1.25(t,J=7.1Hz,3H)。
【0202】
次の工程を、スキーム6に例示されるように進めた。
【0203】
【化42】
【0204】
シアン化カリウム(12.14g、186mmol)及び18−クラウン−6(1,4,7,10,13,16−ヘキサオキサシクロオクタデカン)(0.493g、1.864mmol)を、300mLの乾燥ジメチルスルホキシド中の式VIIIの化合物(19.89g、62.1mmol、91%)の溶液に添加して、薄黄色の溶液を得て、これを65℃で2日半、又はおよそ65時間撹拌し、淡茶色の溶液を得た。試料を採取し、TLCにより分析して(1:1のヘプタン/DME、モリブデン酸染色を必要とした)、所望の生成物へのクリーンな変換を示したが(exo−エピマー副生成物は観測されなかった)、出発材料も観測されたため、反応は完了していなかった。
【0205】
撹拌を計118時間にわたって続け、その後、茶色の溶液を室温に冷却し、追加のバッチと合わせた後、2LのEtOAcと、2Lの水とに分割した。層を分離し、有機層を1Lの塩水で2回洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、粗生成物である式VIIの化合物((1R,2R,4S,5S,7s)−エチル7−シアノ−3−オキサ−9−アザトリシクロ[3.3.1.02,4]ノナン−9−カルボキシレート)を得た。
【0206】
得られた生成物を、重力カラムクロマトグラフィ(750gシリカ、ヘプタン/[5−>50% EtOAc])により精製して、15.1gの白色の固体、又は式VIIの化合物を得た。試料を採取し、
1HNMR(
図6)により分析して、生成物が、式VIIの構造と一致しているが、この生成物は、10重量%のexo−副生成物(これはフォローアップ反応に対して問題ではなかった)及び7.5重量%のヘプタンを含有していたことを示した。全ての実験からの合わせた収率は、溶媒及び副生成物含有量の補正後、7.55g、又は45%収率であった。
1HNMR(400MHz,クロロホルム−d)δ4.53〜4.52(m,1H),4.43〜4.41(m,1H),4.12(q,J=7.1Hz,2H),3.70〜3.68(m,2H),2.93〜2.89(m,1H),2.22〜2.12(m,2H),2.04〜1.98(m,2H),1.24(t,J=7.1Hz,3H)。
【0207】
次の工程を、スキーム7に例示されるように進めた。
【0208】
【化43】
【0209】
水中のラネーニッケルの50%スラリーを、350mLのMeOH/200mLのアンモニア(MeOH中7N)中の式VIIの化合物(18.20g、82mmol)の溶液に添加した。この溶液を窒素雰囲気下で保持し、ラネーニッケルスラリーを、激しく撹拌しながら、暗黒色の懸濁液が得られるまで添加した。反応容器を空にし、H
2バルーンで再充填し、これを2回繰り返した後、バルーンにより作成されたH
2雰囲気下、45℃で撹拌した。3時間後に試料を採取し、1:1のヘプタン/ジメトキシエタン(DME)を使用してTLCにより分析して、反応が完了したことを示した。
【0210】
反応混合物を、MeOHで事前に濯いだセライトの短いパッドで濾過した。残渣もまた、追加のMeOHで濯いだ。濾液を減圧下で濃縮して、淡黄色の油を得た。この粗生成物は、主に式VI.aの化合物(1R,2R,4S,5S,7s)−エチル7−(アミノメチル)−3−オキサ−9−アザトリシクロ[3.3.1.02,4]ノナン−9−カルボキシレートの開環アミン、及びより少ない程度で、式VIの化合物(rac−(2R,3S,6S,7aS)−エチル3−ヒドロキシオクタヒドロ−1H−2,6−メタノピロロ[3,2−b]ピリジン−1−カルボキシレート)の(所望の)環化アミンで構成されていた。
【0211】
主なendo−異性体の環化を完了させるために、中間体を、500mLの絶対エタノールに溶解し、これが淡黄色の溶液をもたらし、次いで、一晩撹拌及び還流させた。試料を採取し、減圧下で濃縮し、CDCl
3に溶解し、
1HNMR(
図7)により分析して、中間体である開環endo−異性体が環化していたことを示した。およそ9%の生成物は、開環exo−アミンであり、いくらかの溶媒が残っていたことを更に示した。
1HNMR(400MHz,クロロホルム−d)δ4.46〜4.01(m,5H),3.50〜3.44(m,1H),3.16〜3.11(m,1H),3.96〜2.93(m,1H),2.10〜1.66(m,5H),1.47(d,J=13.3Hz,1H),1.26(t,J=7.1Hz,3H)。
【0212】
主なバッチである黄色の溶液を、減圧下で濃縮し、残渣を500mLのCHCl
3に再溶解し、Na
2SO
4上で乾燥させた。溶液を濾過し、濃縮して21.7gの式VIの化合物を、溶媒及び開環exo−アミンを含有する粘性の黄色の油として得て、これを次の工程で使用した。
【0213】
次の工程を、スキーム8に例示されるように進めた。
【0214】
【化44】
【0215】
ベンズアルデヒド(22.74g、214mmol、21.72mL)を、1000mLのジクロロメタン中の式VIの化合物(37.3g、165mmol)の溶液に添加した。15分後にSTAB(55.9g、264mmol)を添加した。次いで、懸濁液を室温で一晩撹拌した。
【0216】
反応混合物を、1Lの水及び1LのNaHCO
3で洗浄した。有機層をNa
2SO4
2で乾燥させ、濃縮乾燥させて、55gの反応生成物を得て、次にこれを重力カラムクロマトグラフィにより精製して(約600g、Hep/5〜60% EtOAc)、
1HNMR(
図8B)及びMS(
図8A)により分析及び確認されるように、2.2gのexo−Bn2N−付加物、及び35.3gの式Vの化合物(rac−(2R,3S,6S,7aS)−エチル3−ヒドロキシオクタヒドロ−1H−2,6−メタノピロロ[3,2−b]ピリジン−1−カルボキシレート)を得た。
1HNMR(400MHz,クロロホルム−d)δ7.35〜7.30(m,4H),7.26〜7.22(m,2H),4.41〜4.02(m,5H),3.83〜3.78(m,1H),3.66(d,J=13.3Hz,1H),3.30〜3.26(m,1H),3.11〜3.06(m,1H),2.35〜2.31(m,1H),2.07〜1.88(m,3H),1.77〜1.65(m,2H),1.44(d,J=13.9Hz,1H),1.25(t,J=7.1Hz,3H)。
【0217】
次の工程を、スキーム9に例示されるように進めた。
【0218】
【化45】
【0219】
イミダゾール(15.19g、223mmol)及びtert−ブチルジフェニルクロロシラン(30.7g、112mmol、28.7mL)を、100mLの乾燥N,N−ジメチルホルムアミド中の式Vの化合物(35.3g、112mmol)の溶液に添加して、薄黄色の溶液を形成し、これを室温で一晩撹拌した。
【0220】
撹拌が完了した後、試料を採取し、LCMSにより分析して、反応が完了したことを示した。
【0221】
次いで、この溶液を減圧下で濃縮して油性の残渣を得て、これを750mLのDCMで希釈し、750mLの1:1飽和水性NaHCO
3溶液及び水で洗浄した。次に、溶液を750mLの塩水で洗浄した。有機層をNa
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、濃縮して、TLCにより確認されるように、およそ65gの反応生成物を得た。
【0222】
反応生成物を、重力カラムクロマトグラフィにより精製して(およそ600g、Hep/5〜15% EtOAc)、59.5g又は90%収率の式IVの化合物(rac−(2R,3R,6S,7aS)−エチル4−ベンジル−3−((tert−ブチルジフェニルシリル)オキシ)オクタヒドロ−1H−2,6−メタノピロロ[3,2−b]ピリジン−1−カルボキシレート)を、非常に粘性の無色の油として得た。試料を採取し、
1HNMR(
図9B)及びLCMS(
図9A)により分析して、生成物が、式IVの構造と一致し、かつ6w/w%ヘプタンを含有していることを示した。
1HNMR(400MHz,クロロホルム−d)δ7.72〜7.66(m,4H),7.47〜7.36(m,6H),7.26〜7.16(m,3H),7.12〜7.09(m,2H),4.62〜4.48(m,1H),4.26(s,1H),4.22〜4.03(m,3H),3.40〜3.29(m,2H),2.89〜2.78(m,2H),1.92〜1.76(m,4H),1.62〜1.52(m,1H),1.31〜1.23(m,3H),1.17〜1.11(m,1H),1.02(s,9H)。
【0223】
次の工程を、スキーム10に例示されるように進めた。
【0224】
【化46】
【0225】
ヨードトリメチルシラン(75.0g、375mmol、51mL)を、1.2Lの乾燥トルエン中の式IVの化合物(73.9g、124mmol、93%)の溶液に添加して、黄色の反応混合物を作製し、これを85℃で一晩撹拌した。
【0226】
次いで、試料を採取し、TLCにより分析して、反応が完了に至ったことを示した。得られた反応混合物は、暗色の溶液であり、室温に冷却して(懸濁)、250mLのMeOHで反応停止させた。次に、混合物をおよそ250mLに濃縮した。この後、750mLのDCMを添加し、混合物を750mLの1:1飽和水性NaHCO
3溶液/H
2Oで洗浄した。次いで、有機層を750mLの塩水で洗浄し、Na−
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、およそ72g又は92%収率の式IIIの化合物(rac−(2R,3R,6S,7aS)−4−ベンジル−3−((tert−ブチルジフェニルシリル)オキシ)オクタヒドロ−1H−2,6−メタノピロロ[3,2−b]ピリジン)を、暗黄色/橙色の油として得た。
【0227】
試料を採取し、LCMS(
図10)により分析して、正しい質量を示し、また生成物が約80%の純度を有し、0.448でのピークはトルエンであったことを示した。
1HNMR(400MHz,クロロホルム−d)δ7.69〜7.63(m,4H),7.47〜7.37(m,6H),7.26〜7.12(m,5H),4.36(s,1H),3.73〜3.70(m,1H),3.39(d,J=13.7Hz,1H),3.26(d,J=7.6Hz,1H),3.06(s,1H),2.90(d,J=13.7Hz,1H),2.79〜2.74(m,1H),2.41(bs,1H),1.90〜1.80(m,4H),1.67〜1.64(m,1H),1.11〜0.99(m,10H)。
【0228】
次の工程を、スキーム11に例示されるように進めた。
【0229】
【化47】
【0230】
Et
3N(48.3g、477mmol、0.067L)及びジ−tert−ブチルジカルボネート(Boc
2O)(39.1g、179mmol)を、1Lのジクロロメタン中の式IIIの化合物(72g、119mmol、80%)の溶液に添加して、淡黄色の溶液を形成し、これを室温で週末にわたって撹拌した。
【0231】
試料を採取し、TLCにより分析して、反応が完了したことを示した。溶液を250mLのDCMで希釈し、1Lの飽和水性NaHCO
3溶液及び1Lの塩水で洗浄した。次いで、有機層をNa
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、濃縮して、およそ80gの粗生成物を得た。重力カラムクロマトグラフィにより精製して(800g、ヘプタン/[EtOAc1−>10%])、68.4g又は94%収率の式IIの化合物(rac−(2R,3R,6S,7aS)−tert−ブチル4−ベンジル−3−((tert−ブチルジフェニルシリル)オキシ)オクタヒドロ−1H−2,6−メタノピロロ[3,2−b]ピリジン−1−カルボキシレート)を、無色のガラスとして得た。試料を採取し、
1HNMR(
図11A)及びLCMS(
図11B)により分析して、生成物と式IIの構造との一致を示し、生成物が4w/w%ヘプタンを含有していたことを更に示す。
1HNMR(400MHz,クロロホルム−d)δ7.73〜7.65(m,4H),7.47〜7.35(m,6H),7.24〜7.10(m,5H),4.53〜4.40(m,1H),4.24(d,J=3.8Hz,1H),4.10〜3.92(m,1H),3.44〜3.32(m,2H),2.87(d,J=13.6Hz,1H),2.33〜2.77(m,1H),1.93〜1.72(m,4H),1.65〜1.54(m,1H),1.50〜1.47(m,9H),1.10〜1.02(m,10H)。
【0232】
次の工程を、スキーム12に例示されるように進めた。
【0233】
【化48】
【0234】
窒素流下で、活性炭素(7g、125mmol)上の10%パラジウムを、600mLの酢酸中の式IIの化合物(72.9g、125mmol)の溶液に添加した。容器を閉じ、得られた混合物を50℃で2時間、バルーンにより作成された水素雰囲気下で撹拌した。
【0235】
次いで、混合物を50℃で一晩撹拌した。黒色の懸濁液を、EtOHで濯いだセライトで濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣を0.5Lのトルエンで2回揮散させ、この後、それを1Lのジエチルエーテルに溶解した。有機層を1Lの10%(w/v)水性K
2CO
3溶液、1Lの塩水で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した後、ペンタンで再度揮散させて、58.5gの濃い茶褐色のシロップ、式Iの化合物(rac−(2R,3S,6S,7aS)−tert−ブチル3−((tert−ブチルジフェニルシリル)オキシ)オクタヒドロ−1H−2,6−メタノピロロ[3,2−b]ピリジン−1−カルボキシレート)を得た。試料を採取し、
1HNMR(
図12B)及びLCMS(
図12A)により分析して、生成物が、式Iの構造と一致しており、5.1重量%のトルエン及び1.3重量%のn−ペンタンを含有していることを示した。
1HNMR(400MHz,クロロホルム−d)δ7.68〜7.63(m,4H),7.45〜7.35(m,6H),4.40〜4.25(m,1H),4.13〜3.93(m,2H),3.41〜3.36(m,1H),2.97〜2.92(m,1H),2.62(d,J=11.5Hz,1H),1.96〜1.78(m,2H),1.67(s,1H),1.64〜1.56(m,1H),1.49〜1.47(m,9H),1.16〜1.13(m,1H),1.05〜1.04(m,9H)。
【0236】
式Iの化合物を、スキーム13に例示されるように、90/10 scCO
2/iPrOH+0.2%イソプロピルアミン溶出液を用いるWelkho−1カラム上の超臨界流体クロマトグラフィ(SFC)を介して、そのそれぞれのエナンチオマーに分離した。
【0237】
【化49】
【0238】
出発反応物質を式Iの化合物に転換させるためのこれらの合成工程の概要を、スキーム14に提供する。
【0239】
【化50】
【0240】
実施例2:式Iの化合物の治療的誘導体の合成
以下は、式XVIIIの化合物を、式I.aの化合物から合成するための工程を説明する。
【0241】
スキーム15で下に例示されるように、最初に、式XIVの化合物((2R
*,3R
*,3aS
*,6S
*,7aS
*)−tert−ブチル3−((tert−ブチルジフェニルシリル)オキシ)−4−(5−フルオロピコリノイル)オクタヒドロ−1H−2,6−メタノピロロ[3,2−b]ピリジン−1−カルボキシレート)を、式I.aの化合物から合成した。
【0242】
【化51】
【0243】
11.58g(30.4mmol)の1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−1H−1,2,3−トリアゾロ[4,5−b]ピリジニウム3−オキシドヘキサフルオロホスフェート(HATU)を、125mLのDCM中の5−フルオロピコリン酸(4.30g、30.4mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(3.93g、30.4mmol、5.32mL)の溶液に添加した。次いで、反応混合物を室温で2時間撹拌した。125mLのDCM中の式I.aの化合物(12.5g、25.4mmol)の溶液を添加し、反応混合物を室温で一晩撹拌した。
【0244】
反応混合物を200mLのDCMで希釈し、水性飽和NaHCO
3(300mL)、1M KHSO
4(300mL)及び塩水(400mL)で洗浄した。有機層を、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、LCMS(
図13)により確認されるように、22.0g(141%)の式XIVの化合物を得た。
【0245】
次いで、スキーム16で下に例示されるように、式XVの化合物((2R
*,3R
*,3aS
*,6S
*,7aS
*)−tert−ブチル4−(5−フルオロピコリノイル)−3−ヒドロキシオクタヒドロ−1H−2,6−メタノピロロ[3,2−b]ピリジン−1−カルボキシレート)を、式XIVの化合物から合成した。
【0246】
【化52】
【0247】
100mLの乾燥テトラヒドロフラン中の式XIVの化合物(15.64g、25.4mmol)の溶液に、76mL(76mmol)のフッ化テトラブチルアンモニウム(TBAF)を添加し、反応混合物を50℃で一晩撹拌した。反応混合物を濃縮乾燥し、重力カラムクロマトグラフィにより精製して(500mLシリカ、DCM対5% MeOH/DCM)、副生成物で汚染された11.4gの所望の材料を得た。残渣を0.25LのEtOAcに溶解し、0.5Lの塩水で2回洗浄して、LCMS分析(
図14)により示されるように、未特定の不純物で汚染された9.50g(99%)の式XVの化合物を得た。この材料をそのまま次の反応で使用した。
【0248】
次いで、スキーム17で下に例示されるように、式XVIの化合物((2R
*,3R
*,3aS
*,6S
*,7aS
*)−tert−ブチル3−((シクロプロパンカルボニル)オキシ)−4−(5−フルオロピコリノイル)オクタヒドロ−1H−2,6−メタノピロロ[3,2−b]ピリジン−1−カルボキシレート)を、式XVの化合物から合成した。
【0249】
【化53】
【0250】
式XVの化合物(3.5g、9.27mmol)を、40mLのピリジンに溶解し、続いて1.133g(9.27mmol)の4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)及び20.16mL(23.18mmol)の塩化シクロプロパンカルボニルを添加した。反応混合物を60℃で3時間撹拌した。その後、反応混合物を250mLの酢酸エチルで希釈し、KHSO
4(0.5M、200mL)、NaHCO
3(飽和、水性、200mL)及び塩水(200mL)で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を蒸発させた。粗残渣を、重力カラムクロマトグラフィにより精製して(シリカ、50% EtOAc/ヘプタン対100% EtOAc)、LCMS(
図15)により確認されるように、3.40g(82%)の式XVIの化合物を得た。
【0251】
次いで、スキーム18で下に例示されるように、式XVIIの化合物((2R
*,3R
*,3aS
*,6S
*,7aS
*)−4−(5−フルオロピコリノイル)オクタヒドロ−1H−2,6−メタノピロロ[3,2−b]ピリジン−3−イルシクロプロパンカルボキシレート)を、式XVIの化合物から合成した。
【0252】
【化54】
【0253】
250mLの丸底フラスコ内で、3.40g(7.63mmol)の式XVIの化合物を、30mLのDCMに溶解した。トリフルオロ酢酸(46.1g、404mmol、30mL)を添加し、反応混合物を室温で90分間撹拌した。反応混合物を蒸発乾燥させ、トルエンで2回同時蒸発させた。この残渣を、150mLのCHCl
3と、150mLの飽和Na
2CO
3(水性)とに分割し、有機相を分離した。水層を、100mLのChCl
3で2回抽出した。合わせた有機層を、100mLの塩水で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、蒸発乾燥させ、DCMで1回同時蒸発させて、LCMS分析(
図16)により確認されるように、2.791g(106%)の式XVIIの化合物を得た。
【0254】
スキーム19で下に例示されるように、式XVIIIの化合物を、式XVIIの化合物から合成した。
【0255】
【化55】
【0256】
式XVIIの化合物を、2mLのDCMに溶解し、続いてピペロナール(1.3等量:36.17mg、0.24mmol)を添加した。室温で2時間撹拌した後、64.80mg(0.31mmol)のSTABを添加した。反応混合物を、室温で一晩撹拌し、蒸発乾燥させ、分取HPLCにより精製して、LCMS(
図17A)及び
1HNMR(
図17B)により確認されるように、68.4mg(77%)の式XVIIIの化合物を得た。
【0257】
実施例3:式Iの化合物の第2の治療的誘導体の合成
以下は、式XXIIの化合物を、式I.bの化合物から合成するための工程を説明する。
【0258】
スキーム20で下に例示されるように、最初に、式XIXの化合物((2S
*,3S
*,6R
*,7aR
*)−tert−ブチル3−((tert−ブチルジフェニルシリル)オキシ)−4−(2−メトキシアセチル)オクタヒドロ−1H−2,6−メタノピロロ[3,2−b]ピリジン−1−カルボキシレート)を、式I.bの化合物から合成した。
【0259】
【化56】
【0260】
3.17g(35.2mmol、2.70mL)の2−メトキシ酢酸を、124mLのDCM及び4.55g(35.2mmol、6.14mL)のDIPEAに溶解した。次いで、13.40g(35.2mmol)のHATUを添加し、混合物を周囲温度で2時間撹拌した。125mLのDCM中の12.4g(25.2mmol)の式I.bの化合物の溶液を添加し、周囲温度で一晩撹拌した。
【0261】
反応混合物を、水性飽和NaHCO
3(200mL)、1M水性KHSO
4(200mL)、水(200mL)、及び塩水(200mL)で洗浄し、有機相を、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、溶媒を蒸発させて、23.40gの粗生成物、式XIXの化合物を得た。HPLC/MS分析(
図18)は、所望の材料が、残余DIPEAで汚染されていたことを示す。
【0262】
次いで、スキーム21で下に例示されるように、式XXの化合物((2S
*,3S
*,3aS
*,6R
*,7aR
*)−tert−ブチル3−ヒドロキシ−4−(2−メトキシアセチル)オクタヒドロ−1H−2,6−メタノピロロ[3,2−b]ピリジン−1−カルボキシレート)を、式XIXの化合物から合成した。
【0263】
【化57】
【0264】
100mLの乾燥テトラヒドロフラン(THF)中の式XIXの化合物(14.23g、25.2mmol)の溶液に、周囲温度で、THF(76mmol、76mL)中のフッ化テトラブチルアンモニウム(TBAF)の1.0M溶液を、この溶液に添加した。次いで、反応混合物を、50℃に加熱し、一晩撹拌した。粗反応混合物を、濃縮乾燥し、酢酸エチル/ヘプタンの1:1溶液で2回揮散させて、23.40gの粗材料を得た。ヘプタン中の50〜100%酢酸エチルで重力カラムクロマトグラフィにより精製して、LCMS分析(
図19)により確認されるように、8.21g(定量的に)の式XXの化合物を得た。
【0265】
次いで、スキーム22で下に例示されるように、式XXIの化合物(1−(2S
*,3S
*,3aS
*,6R
*,7aR
*)−3−ヒドロキシヘキサヒドロ−1H−2,6−メタノピロロ[3,2−b]ピリジン−4(2H)−イル)−2−メトキシエタノン)を、式XXの化合物から合成した。
【0266】
【化58】
【0267】
35mLのDCM中の式XXの化合物(1.89g、5.79mmol)の溶液に、51.8g(454mmol、35mL)のトリフルオロ酢酸(TFA)を添加し、反応混合物を、室温で1.5時間撹拌した。反応混合物を、減圧下で蒸発乾燥させ、トルエンで2回同時蒸発させた。得られた粘着性の油を、35mLのクロロホルムに溶解し、水性飽和Na
2CO
3で洗浄した。有機相において所望の材料を単離する試みは、成功しなかった。次いで、水相を減圧下で蒸発乾燥させた。
【0268】
この固体に、クロロホルム/MeOHの9:1混合物を添加し、懸濁液を室温で一晩撹拌した。濾過後、濾液を減圧下で蒸発乾燥させた。得られた固体を、クロロホルムに溶解し、濾過し(40ミクロンLCMSフィルタを使用する)、減圧下で蒸発乾燥させて、0.91g又は69.5%収率の式XXIの化合物を、白色の発泡体として得て、これはLCMS(
図20)により確認された。次いで、この生成物をそのまま次の反応で使用した。
【0269】
次いで、スキーム23で下に例示されるように、式XXIIの化合物(3−(((2S
*,3S
*,6R
*,7aR
*)−3−ヒドロキシ−4−(2−メトキシアセチル)オクタヒドロ−1H−2,6−メタノピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル)メチル)ベンズアミドを、式XXIの化合物から合成した。
【0270】
【化59】
【0271】
2mLのDCM中の式XXIの化合物(193mg、0.85mmol)の溶液に、165.4mg(1.11mmol)の3−ホルミルベンズアミドを添加し、反応混合物を一晩撹拌した。次に、反応混合物に、298.3mg(1.141mmol)のトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムを添加し、反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を、Genevacを使用して減圧下で蒸発乾燥させた。分取LCMSによる精製に続いて、減圧下での溶媒の蒸発(Genevac)によって、LCMS(
図21A)及び
1HNMR(
図21B)により確認されるように、244mg、79.6%収率の所望の生成物、式XXIIの化合物を得た。
【0272】
実施例4:式XVIII及びXXIIの化合物の治療的評価
1% β−カラギーナンの足底内注射を使用して、試験対象のマウスの足に局所炎症を誘発させることができる。一般に、局所炎症は、足の膨張として発現され、熱刺激に対する感度を増加させる。したがって、熱過敏性の変化に対する試験項目の効果が評価され得る。記載されるプロトコルを使用して、式XVIII及びXXIIの化合物の治療的効果を評価した。
【0273】
動物に、ゼロ時点で(対照にはビヒクルのみを与えた)、試験化合物を10mg/kg ipで投与した(試験項目を20% λ−ヒドロキシプロピルシクロデキストリン溶液に溶解した)。30分後、動物にイソフルランで軽く麻酔をかけ、蒸留水中0.1mLの1% λ−カラギーナン懸濁液を、マウスの右後足の足底側に注射した。3.5時間後、λ−カラギーナン投与後に、動物を57℃で維持されたホットプレート装置上に、最初の応答が記録されるまで置いた。
【0274】
式XVIIIの化合物及び式XXIIの化合物を、上記のように試験したとき(n=5匹)、平均応答時間は、下に示されるように、前処置ベースライン応答時間を超えた。
【0275】
対照的に、ビヒクル処置した動物は、前処置よりも低減した応答時間を示した。
【0276】
【表1】
【0277】
本明細書において例示及び考察される実施形態は、本発明を製造及び使用するための発明者らに既知の最良の方法を、当業者に教示することのみを意図する。本明細書において、いかなるものも、本発明の範囲を限定すると考慮されてはならない。提示される全ての実施例は、代表的かつ非限定的である。本発明の上述される実施形態は、上記の教示に照らして、当業者により理解されるように、本発明から逸脱することなく修正又は変更することができる。したがって、特許請求の範囲及びそれらの等価物において、本発明は、具体的に記載されるものとは別の方法で実施されてもよいことが理解されるものとする。
【0278】
式II〜XXIIIの化合物は、簡略性の目的で特定のキラル性で描かれ得るが、当業者であれば、これらの様々な異性体の製造及び分離方法を認識するであろうことを理解すべきである。したがって、式II〜XXIIIの化合物の全ての異性体は、本出願の範囲内であることが理解され得る。
以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 式XXIIIの化合物又はその立体異性体、薬学的に許容される塩、混合物、若しくは誘導体:
【化60】
[式中、
R1は、水素、アルキル基、アシル基、及びシリル基からなる群から選択され、
R2は、水素、アルキル基、ベンジル基、アシル基、及びエステル基からなる群から選択され、
R3は、水素、アルキル基、芳香族基、アザ環式基、炭素環基、アリール基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、複素環基、ヘテロアリール基、ヘテロアルキル基、アシル基、及びエステル基からなる群から選択される]。
[2] R1が、ハロ、=O、=N−CN、=N−OR’、=NR’、OR’、N(R’)2、SR’、SO2R’、SO2NR’2、NR’SO2R’、NR’CONR’2、NR’COOR’、NR’COR’、CN、COOR’、CON(R’)2、OOCR’、COR’、及びNO2から選択される1つ又は2つ以上の置換基で任意に置換されているアルキル基、アシル基、又はシリル基である(ここで、各R’は独立して、H、C1〜C6アルキル、C2〜C6ヘテロアルキル、C1〜C6アシル、C2〜C6ヘテロアシル、C6〜C10アリール、C5〜C10ヘテロアリール、C7〜C12アリールアルキル、又はC6〜C12ヘテロアリールアルキルであり、これらの各々が、ハロ、C1〜C4アルキル、C1〜C4ヘテロアルキル、C1〜C6アシル、C1〜C6ヘテロアシル、ヒドロキシ、アミノ、及び=Oから選択される1つ又は2つ以上の基で任意に置換されており、2つのR’が結合して、3個以下のヘテロ原子を任意に含有する3〜7員環を形成していてもよい)、[1]に記載の化合物。
[3] R2が、ハロ、=O、=N−CN、=N−OR’、=NR’、OR’、N(R’)2、SR’、SO2R’、SO2NR’2、NR’SO2R’、NR’CONR’2、NR’COOR’、NR’COR’、CN、COOR’、CON(R’)2、OOCR’、COR’、及びNO2から選択される1つ又は2つ以上の置換基で任意に置換されているアルキル基、ベンジル基、アシル基、又はエステル基である(ここで、各R’は独立して、H、C1〜C6アルキル、C2〜C6ヘテロアルキル、C1〜C6アシル、C2〜C6ヘテロアシル、C6〜C10アリール、C5〜C10ヘテロアリール、C7〜C12アリールアルキル、又はC6〜C12ヘテロアリールアルキルであり、これらの各々が、ハロ、C1〜C4アルキル、C1〜C4ヘテロアルキル、C1〜C6アシル、C1〜C6ヘテロアシル、ヒドロキシ、アミノ、及び=Oから選択される1つ又は2つ以上の基で任意に置換されており、2つのR’が結合して、3個以下のヘテロ原子を任意に含有する3〜7員環を形成していてもよい)、[1]に記載の化合物。
[4] R3が、ハロ、=O、=N−CN、=N−OR’、=NR’、OR’、N(R’)2、SR’、SO2R’、SO2NR’2、NR’SO2R’、NR’CONR’2、NR’COOR’、NR’COR’、CN、COOR’、CON(R’)2、OOCR’、COR’、及びNO2から選択される1つ又は2つ以上の置換基で任意に置換されているアルキル基、芳香族基、アザ環式基、炭素環基、アリール基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、複素環基、ヘテロアリール基、ヘテロアルキル基、アシル基、又はエステル基である(ここで、各R’は独立して、H、C1〜C6アルキル、C2〜C6ヘテロアルキル、C1〜C6アシル、C2〜C6ヘテロアシル、C6〜C10アリール、C5〜C10ヘテロアリール、C7〜C12アリールアルキル、又はC6〜C12ヘテロアリールアルキルであり、これらの各々が、ハロ、C1〜C4アルキル、C1〜C4ヘテロアルキル、C1〜C6アシル、C1〜C6ヘテロアシル、ヒドロキシ、アミノ、及び=Oから選択される1つ又は2つ以上の基で任意に置換されており、2つのR’が結合して、3個以下のヘテロ原子を任意に含有する3〜7員環を形成していてもよい)、[1]に記載の化合物。
[5] 式XXIII(A)を有する
【化61】
(式中、R4は、水素、アルキル基、芳香族基、アザ環式基、炭素環基、アリール基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、複素環基、ヘテロアリール基、ヘテロアルキル基、アシル基、若しくはエステル基である)、[1]に記載の化合物、又はその立体異性体、薬学的に許容される塩、混合物、若しくは誘導体。
[6] R4が、ハロ、=O、=N−CN、=N−OR’、=NR’、OR’、N(R’)2、SR’、SO2R’、SO2NR’2、NR’SO2R’、NR’CONR’2、NR’COOR’、NR’COR’、CN、COOR’、CON(R’)2、OOCR’、COR’、及びNO2から選択される1つ又は2つ以上の置換基で任意に置換されているアルキル基、芳香族基、アザ環式基、炭素環基、アリール基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、複素環基、ヘテロアリール基、ヘテロアルキル基、アシル基、又はエステル基である(ここで、各R’は独立して、H、C1〜C6アルキル、C2〜C6ヘテロアルキル、C1〜C6アシル、C2〜C6ヘテロアシル、C6〜C10アリール、C5〜C10ヘテロアリール、C7〜C12アリールアルキル、又はC6〜C12ヘテロアリールアルキルであり、これらの各々が、ハロ、C1〜C4アルキル、C1〜C4ヘテロアルキル、C1〜C6アシル、C1〜C6ヘテロアシル、ヒドロキシ、アミノ、及び=Oから選択される1つ又は2つ以上の基で任意に置換されており、2つのR’が結合して、3個以下のヘテロ原子を任意に含有する3〜7員環を形成していてもよい)、[5]に記載の化合物。
[7] 式XXIII(B)を有する
【化62】
(式中、R5は、水素、アルキル基、芳香族基、アザ環式基、炭素環基、アリール基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、複素環基、ヘテロアリール基、ヘテロアルキル基、アシル基、若しくはエステル基である)、[1]に記載の化合物、又はその立体異性体、薬学的に許容される塩、混合物、若しくは誘導体。
[8] R5が、ハロ、=O、=N−CN、=N−OR’、=NR’、OR’、N(R’)2、SR’、SO2R’、SO2NR’2、NR’SO2R’、NR’CONR’2、NR’COOR’、NR’COR’、CN、COOR’、CON(R’)2、OOCR’、COR’、及びNO2から選択される1つ又は2つ以上の置換基で任意に置換されているアルキル基、芳香族基、アザ環式基、炭素環基、アリール基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、複素環基、ヘテロアリール基、ヘテロアルキル基、アシル基、又はエステル基である(ここで、各R’は独立して、H、C1〜C6アルキル、C2〜C6ヘテロアルキル、C1〜C6アシル、C2〜C6ヘテロアシル、C6〜C10アリール、C5〜C10ヘテロアリール、C7〜C12アリールアルキル、又はC6〜C12ヘテロアリールアルキルであり、これらの各々が、ハロ、C1〜C4アルキル、C1〜C4ヘテロアルキル、C1〜C6アシル、C1〜C6ヘテロアシル、ヒドロキシ、アミノ、及び=Oから選択される1つ又は2つ以上の基で任意に置換されており、2つのR’が結合して、3個以下のヘテロ原子を任意に含有する3〜7員環を形成していてもよい)、[7]に記載の化合物。
[9] 式XXIII(C)を有する
【化63】
(式中、R4は、水素、アルキル基、芳香族基、アザ環式基、炭素環基、アリール基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、複素環基、ヘテロアリール基、ヘテロアルキル基、アシル基、若しくはエステル基である)、[7]に記載の化合物、又はその立体異性体、薬学的に許容される塩、混合物、若しくは誘導体。
[10] R4が、ハロ、=O、=N−CN、=N−OR’、=NR’、OR’、N(R’)2、SR’、SO2R’、SO2NR’2、NR’SO2R’、NR’CONR’2、NR’COOR’、NR’COR’、CN、COOR’、CON(R’)2、OOCR’、COR’、及びNO2から選択される1つ又は2つ以上の置換基で任意に置換されているアルキル基、芳香族基、アザ環式基、炭素環基、アリール基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、複素環基、ヘテロアリール基、ヘテロアルキル基、アシル基、又はエステル基である(ここで、各R’は独立して、H、C1〜C6アルキル、C2〜C6ヘテロアルキル、C1〜C6アシル、C2〜C6ヘテロアシル、C6〜C10アリール、C5〜C10ヘテロアリール、C7〜C12アリールアルキル、又はC6〜C12ヘテロアリールアルキルであり、これらの各々が、ハロ、C1〜C4アルキル、C1〜C4ヘテロアルキル、C1〜C6アシル、C1〜C6ヘテロアシル、ヒドロキシ、アミノ、及び=Oから選択される1つ又は2つ以上の基で任意に置換されており、2つのR’が結合して、3個以下のヘテロ原子を任意に含有する3〜7員環を形成していてもよい)、[9]に記載の化合物。
[11] 式XXIII(E)を有する
【化64】
(式中、R6は、水素、アルキル基、芳香族基、アザ環式基、炭素環基、アリール基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、複素環基、ヘテロアリール基、ヘテロアルキル基、アシル基、若しくはエステル基である)、[9]に記載の化合物、又はその立体異性体、薬学的に許容される塩、混合物、若しくは誘導体。
[12] R6が、ハロ、=O、=N−CN、=N−OR’、=NR’、OR’、N(R’)2、SR’、SO2R’、SO2NR’2、NR’SO2R’、NR’CONR’2、NR’COOR’、NR’COR’、CN、COOR’、CON(R’)2、OOCR’、COR’、及びNO2から選択される1つ又は2つ以上の置換基で任意に置換されているアルキル基、芳香族基、アザ環式基、炭素環基、アリール基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、複素環基、ヘテロアリール基、ヘテロアルキル基、アシル基、又はエステル基である(ここで、各R’は独立して、H、C1〜C6アルキル、C2〜C6ヘテロアルキル、C1〜C6アシル、C2〜C6ヘテロアシル、C6〜C10アリール、C5〜C10ヘテロアリール、C7〜C12アリールアルキル、又はC6〜C12ヘテロアリールアルキルであり、これらの各々が、ハロ、C1〜C4アルキル、C1〜C4ヘテロアルキル、C1〜C6アシル、C1〜C6ヘテロアシル、ヒドロキシ、アミノ、及び=Oから選択される1つ又は2つ以上の基で任意に置換されており、2つのR’が結合して、3個以下のヘテロ原子を任意に含有する3〜7員環を形成していてもよい)、[11]に記載の化合物。
[13] 式XXIII(D)を有する
【化65】
(式中、R6は、水素、アルキル基、芳香族基、アザ環式基、炭素環基、アリール基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、複素環基、ヘテロアリール基、ヘテロアルキル基、アシル基、若しくはエステル基である)、[1]に記載の化合物、又はその立体異性体、薬学的に許容される塩、混合物、若しくは誘導体。
[14] R6が、ハロ、=O、=N−CN、=N−OR’、=NR’、OR’、N(R’)2、SR’、SO2R’、SO2NR’2、NR’SO2R’、NR’CONR’2、NR’COOR’、NR’COR’、CN、COOR’、CON(R’)2、OOCR’、COR’、及びNO2から選択される1つ又は2つ以上の置換基で任意に置換されているアルキル基、芳香族基、アザ環式基、炭素環基、アリール基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、複素環基、ヘテロアリール基、ヘテロアルキル基、アシル基、又はエステル基である(ここで、各R’は独立して、H、C1〜C6アルキル、C2〜C6ヘテロアルキル、C1〜C6アシル、C2〜C6ヘテロアシル、C6〜C10アリール、C5〜C10ヘテロアリール、C7〜C12アリールアルキル、又はC6〜C12ヘテロアリールアルキルであり、これらの各々が、ハロ、C1〜C4アルキル、C1〜C4ヘテロアルキル、C1〜C6アシル、C1〜C6ヘテロアシル、ヒドロキシ、アミノ、及び=Oから選択される1つ又は2つ以上の基で任意に置換されており、2つのR’が結合して、3個以下のヘテロ原子を任意に含有する3〜7員環を形成していてもよい)、[13]に記載の化合物。
[15] R3が、トリフルオロアシルである、[1]に記載の化合物。
[16] R3が、任意に置換されたアリールメチル基である、[1]に記載の化合物。
[17] R3が、任意に置換されたヘテロアリールメチル基である、[1]に記載の化合物。
[18] R1が、tert−ブチルジフェニルシリルであり、
R2が、水素であり、
R3が、−COOR4である(ここで、R4は、アルキル及びベンジルからなる群から選択される)、[1]に記載の化合物。
[19] R4が、ベンジルである、[18]に記載の化合物。
[20] R4が、1〜8個の炭素原子を有するアルキルである、[18]に記載の化合物。
[21] R4が、エチルである、[18]に記載の化合物。
[22] R4が、tert−ブチルである、[18]に記載の化合物。
[23] 式XVIIIの化合物、
【化66】
又はその立体異性体、薬学的に許容される塩、若しくは混合物。
[24] 式XXIIの化合物、
【化67】
又はその立体異性体、薬学的に許容される塩、若しくは混合物。
[25] 式Iの化合物、
【化68】
又はその立体異性体、薬学的に許容される塩、若しくは混合物。
[26] 式IIの化合物、
【化69】
又はその立体異性体、薬学的に許容される塩、若しくは混合物。
[27] 式IIIの化合物、
【化70】
又はその立体異性体、薬学的に許容される塩、若しくは混合物。
[28] 式IVの化合物、
【化71】
又はその立体異性体、薬学的に許容される塩、若しくは混合物。
[29] 式Vの化合物、
【化72】
又はその立体異性体、薬学的に許容される塩、若しくは混合物。
[30] 式VIの化合物、
【化73】
又はその立体異性体、薬学的に許容される塩、若しくは混合物。
[31] 式VIIの化合物、
【化74】
又はその立体異性体、薬学的に許容される塩、若しくは混合物。
[32] 式VIIIの化合物、
【化75】
又はその立体異性体、薬学的に許容される塩、若しくは混合物。
[33] 式IXの化合物、
【化76】
又はその立体異性体、薬学的に許容される塩、若しくは混合物。
[34] 式Xの化合物、
【化77】
又はその立体異性体、薬学的に許容される塩、若しくは混合物。
[35] 式XIの化合物、
【化78】
又はその立体異性体、薬学的に許容される塩、若しくは混合物。
[36] [1]に記載の化合物と、薬学的に許容される担体又は希釈剤と、を含む、薬学的組成物。
[37] 病態、疾患、又は障害に罹患している対象を治療するための方法であって、前記対象に、有効量の[1]に記載の化合物を投与することを含む、方法。
[38] 前記化合物が投与されて、前記対象に局所送達をもたらす、[37]に記載の方法。
[39] 前記化合物が投与されて、前記対象に全身送達をもたらす、[37]に記載の方法。
[40] 前記病態又は障害が、疼痛である、[37]に記載の方法。
[41] 前記疼痛が、神経因性疼痛又は慢性疼痛である、[40]に記載の方法。