(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、この発明は、接続端子をハウジングに装着する際に、接続端子に接続される電線が座屈することを抑制できるコネクタ、コネクタの組立方法、コネクタ付ワイヤーハーネス
、及び、ハウジングを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、相手側端子と接続される端子接続部の基端部に、挿入された電線と接続される電線接続部が設けられた接続端子と、前記接続端子が収容されるハウジングとが備えられ、前記電線接続部は、前記電線接続部に挿入された前記電線の露出導体部が配置される電線配置空間の周囲に配置された弾性片を備え、前記ハウジングは、前記接続端子が挿脱方向にスライド移動可能に挿入された端子挿入孔と、前記電線が挿入され、前記端子挿入孔に連通した電線挿入孔と、前記端子挿入孔の内周面に設けられた押付部とを備え、
前記電線挿入孔の孔径の少なくとも出口側の大きさは、前記電線の露出導体部の直径よりも大きく前記電線の被覆部の直径よりも小さく、前記押付部は、前記電線の露出導体部が前記電線挿入孔から前記端子挿入孔内の前記接続端子の前記電線配置空間に配置された状態で、前記端子挿入孔内での前記接続端子のスライド移動に伴って、前記弾性片を前記電線配置空間内の前記露出導体部に押し付けるコネクタである。
【0006】
なお、弾性片が2つ以上ある場合は、それら弾性片で露出導体部を挟み込むことで、接続端子と電線とが電気的及び機械的に相互接続される。なお、弾性片が1つの場合は、弾性片は、露出導体部を反対側の他の部分に押し付けて、当該他の部分との間で露出導体部を挟み込むことで、接続端子と電線とが電気的及び機械的に相互接続される。
また、端子挿入孔内での接続端子のスライド移動は、接続端子を端子挿入孔に挿入する方向と同方向への移動でもよく、その反対方向への移動でもよい。
【0007】
なお、電線挿入孔の孔径の入口側及び出口側の両方の大きさ(即ち電線挿入孔の全体)を電線の露出導体部の直径よりも大きく電線の被覆部の直径よりも小さくしてもよく、電線挿入孔の孔径の入口側及び出口側のうちの出口側だけを、電線の露出導体部の直径よりも大きく電線の被覆部の直径よりも小さくしてもよい。
【0008】
この構成により、ハウジングの端子挿入孔内に接続端子を挿入した状態で電線の露出導体部をハウジング内の接続端子に配置し、この状態で、接続端子をハウジングの端子挿入孔内でスライド移動させることで、ハウジングの押付部によって、弾性片が電線の露出導体部に押し付けられる。この押し付けにより、接続端子と電線とが相互接続される。このように、ハウジング内に接続端子を挿入した後に、接続端子に電線が接続されるため、接続端子をハウジングに装着する際に、接続端子に接続される電線が座屈することを抑制することができる。
【0009】
また、前記電線挿入孔の孔径の少なくとも出口側の大きさは、前記電線の露出導体部の直径よりも大きく前記電線の被覆部の直径よりも小さいため、電線挿入孔から端子挿入孔へは、電線のうちの露出導体部だけを挿入することができる。これにより、端子挿入孔及び接続端子を露出導体部の直径に合わせて細くでき、ハウジングの小型化に寄与することができる。
【0010】
この発明の態様として、前記弾性片は、前記電線配置空間の外周側に張り出した張出部を有し、前記張出部には、前記端子挿入孔内での前記接続端子のスライド移動方向に対して傾斜した傾斜面が設けられ、前記端子挿入孔内での前記接続端子のスライド移動に伴って、前記押付部が前記傾斜面を相対的に摺動することで、前記弾性片が前記電線配置空間内の前記露出導体部に押し付けられてもよい。
【0011】
なお、この構成では、押付部は、端子挿入孔の内周面において凸部の側面を含む形で設けられてもよく、弾性片の張出部が収容可能な凹部の開口縁角部を含む形で設けられてもよく、弾性片の張出部が収容可能な凹部の傾斜した側面を含む形で設けられてもよい。
【0012】
この構成により、弾性片に傾斜面を設け、その傾斜面に押付部を相対的に摺動させることで、簡易な仕組みで、端子挿入孔内での接続端子のスライド移動に伴って、弾性片を電線接続部内の露出導体部に押し付けることができる。また、弾性片に張出部を設けることで、張出部を利用して容易に、弾性片に傾斜面を設けることができる。
【0013】
また、この発明の態様として、前記端子挿入孔の内周面には、前記張出部が収容可能な凹部が設けられ、前記押付部は、前記凹部の開口縁角部を含んで構成されてもよい。
この構成により、押付部を簡易な構成で設けることができる。また、押付部は、端子挿入孔の内周面に凹部として設けられるため、端子挿入孔の内部側に凸出しない。このため、端子挿入孔内に押付部の配置スペースを確保する必要がなく、ハウジングの小型化に寄与することができる。
【0014】
また、この発明の態様として、前記押付部は、前記端子挿入孔内での前記接続端子のスライド移動方向に対して傾斜した傾斜面を有し、前記端子挿入孔内での前記接続端子のスライド移動に伴って、前記弾性片が前記傾斜面を相対的に摺動することで、前記弾性片が前記電線配置空間内の前記露出導体部に押し付けられてもよい。
【0015】
この構成では、押付部は、例えば、端子挿入孔の内周面に設けられた凸部の傾斜した側面として構成されてもよく、端子挿入孔の内周面に設けられた凹部の傾斜した側面として構成されてもよい。凹部の傾斜した側面として設けられる場合は、弾性片には、電線配置空間の外周側に張り出し、前記凹部内に収容可能な張出部が設けられることで、有効に、弾性片を傾斜面(押付部)を摺動させることができる。
この構成により、押付部を傾斜面という簡易な構成で設けることができる。
【0016】
また、この発明の態様として、前記弾性片は、前記電線配置空間の外周側に張り出した張出部を有し、前記端子挿入孔の内周面には、前記張出部が収容可能な凹部が設けられ、前記押付部は、前記凹部における前記スライド移動方向の側の傾斜した側面として構成され、前記端子挿入孔内での前記接続端子のスライド移動に伴って、前記張出部が前記傾斜面を相対的に摺動することで、前記弾性片が前記電線配置空間内の前記露出導体部に押し付けられてもよい。
【0017】
この構成により、押付部を、端子挿入孔の内周面に設けられた凹部の傾斜した側面を利用して簡易に設けることができる。また、押付部は、端子挿入孔の内周面に設けられた凹部の側面として構成されるため、端子挿入孔の内部側に凸出しない。このため、端子挿入孔内に押付部の配置スペースを確保する必要がなく、ハウジングの小型化に寄与することができる。
【0018】
また、この発明の態様として、前記弾性片には、前記電線配置空間の側に突出した突起部が設けられてもよい。
この構成により、弾性片は突起部で露出導体部に接触するため、弾性片(即ち接続端子)と露出導体部とを確実に電気的に接続することができる。
【0019】
また、この発明の態様として、前記弾性片は、電線挿入方向の手前側ほど前記電線配置空間の中心線からの間隔が大きくなってもよい。
なお、弾性片は、電線挿入方向の手前側ほど接続端子の電線配置空間の中心線からの間隔が大きくなるために、傾斜状又は階段状に形成されてもよい。
【0020】
この構成により、複数サイズの露出導体部の太さに対応可能である。即ち、露出導体部が細い場合は、露出導体部を接続端子の電線配置空間内の奧まで挿入し、露出導体部が太い場合は、露出導体部を接続端子の電線配置空間内の手前側まで挿入する。これにより、弾性片を、露出導体部の太さに応じた最適な力で露出導体部に押し付けることができる。
【0021】
また、この発明の態様として、前記弾性片は、電線挿入方向に複数配置され、前記複数の弾性片のうち、電線挿入方向の手前側の弾性片ほど、前記電線配置空間の中心線からの間隔が大きくなってもよい。
【0022】
この構成により、複数サイズの露出導体部の太さに対応可能である。即ち、露出導体部が細い場合は、複数の弾性片のうちの電線挿入方向の奧側の弾性片の所まで挿入し、露出導体部が太い場合は、複数の弾性片のうちの電線挿入方向の手前側の弾性片の所まで挿入する。これにより、弾性片を、露出導体部の太さに応じた最適な力で露出導体部に押し付けることができる。
【0023】
また、この発明の態様として、前記弾性片は、前記電線の被覆部を押圧する被覆押圧部を有してもよい。
この構成により、弾性片は、電線の露出導体部だけでなく電線の被覆部にも押し付けられるため、接続端子と電線との機械的な接続を強化することができる。
【0024】
また、この発明の態様として、前記電線挿入孔の孔径の入口側の大きさは、前記電線の被覆部の外径よりも大きくてもよい。
この発明では、端子挿入孔内での接続端子のスライド移動の際、この移動に伴って電線が電線挿入孔から若干押し出されて、電線の露出導体部が電線挿入孔の外側に露出する場合がある。上記の構成により、電線の被覆部の端部を電線挿入孔内に挿入することができるため、電線が電線挿入孔から若干押し出されても、露出導体部が電線挿入孔から露出することを防止することできる。これにより、ハウジングに複数の端子挿入孔及び電線挿入孔が設けられた場合、各電線挿入孔内の電線の間の絶縁性を確保することができる。
【0025】
また、この発明の態様として、前記接続端子の外周面には、位置決め凸部が設けられ、前記ハウジングの内周面には、前記位置決め凸部が嵌合可能な仮位置決め凹部及び本位置決め凹部のうちの少なくとも一方が設けられ、前記仮位置決め凹部は、前記端子挿入孔内での前記接続端子のスライド移動前の配置位置を規定し、前記本位置決め凹部は、前記端子挿入孔内での前記接続端子のスライド移動後の配置位置を規定してもよい。
【0026】
この構成により、位置決め凸部を仮位置決め凹部又は本位置決め凹部に嵌合させるだけで簡単に、接続端子をスライド移動前の仮配置位置又はスライド移動後の本配置位置に正確に位置決めすることができる。
【0027】
また、この発明の態様として、前記弾性片における前記端子挿入孔から押圧される箇所と、前記弾性片の基端との間の長さを第1の長さとし、前記弾性片における前記露出導体部を押圧する箇所と、前記弾性片の基端との間の長さを第2の長さとし、前記第1の長さは、前記第2の長さよりも長くてもよい。
【0028】
この構成により、テコの原理を利用できるため、押付部から弾性片に作用する押圧力が小さくても、十分大きな押圧力で、弾性片を電線の露出導体部に押し付けることができる。従って、端子挿入孔が弾性片から受ける反力も小さいため、端子挿入孔の傷みを抑制することができる。
【0029】
また、この発明の態様として、前記端子接続部の外周面には、前記端子接続部の入口側の縁部に、前記端子接続部の外周側に突出した移動用リブが設けられてもよい。
なお、移動用リブは、端子接続部の外周面のうち、相手側端子との接点が設けられた側壁部以外の側壁部の外側面に設けられることが望ましい。
この構成により、器具(例えば精密ドライバ)を移動用リブに引っ掛けて移動用リブを引き出すことで、端子挿入孔から接続端子を引き出すことができる。
【0030】
また、この発明の態様として、前記ハウジングに対し、前記端子挿入孔の側から装着されるハウジングケースが備えられ、前記ハウジングケースは、前記ハウジングが収容可能な収容凹部を有し、前記収容凹部の奧壁部には、前記相手側端子は挿通可能で且つ前記端子挿入孔内の前記接続端子は挿通不可能な大きさの開口部が設けられてもよい。
この構成により、ハウジングケースによって、ハウジングに挿入された接続端子がハウジングから抜け落ちることを防止することができる。
【0031】
また、この発明は、上記のコネクタの組立方法であって、前記ハウジングの前記端子挿入孔内に前記接続端子を挿入する工程と、前記ハウジングの前記電線挿入孔から前記電線を挿通して、前記電線の露出導体部を前記接続端子の前記電線配置空間に配置させる工程と、前記端子挿入孔内で前記接続端子を挿脱方向にスライド移動させることで、前記ハウジングの前記押付部によって、前記接続端子の弾性片を押圧して前記電線配置空間に配置された前記露出導体部に押し付ける工程とを含むコネクタの組立方法である。
この構成により、上記のコネクタと同様の効果を得ることができる。
【0032】
また、この発明は、上記のコネクタと、前記コネクタの前記接続端子に接続された前記電線とが備えられたコネクタ付ワイヤーハーネスである。
この構成により、上記の効果を奏するコネクタ付ワイヤーハーネスを提供することができる。
【0033】
また、この発明は、相手側端子と接続される端子接続部の基端部に、挿入された電線と接続される電線接続部が設けられ、ハウジングに収容可能な接続端子であって、前記ハウジングは、前記接続端子が挿脱方向にスライド移動可能に挿入された端子挿入孔と、前記電線が挿入され、前記端子挿入孔に連通した電線挿入孔と、前記端子挿入孔の内周面に設けられた押付部とが備えられ、前記電線接続部は、前記電線接続部に挿入された前記電線の露出導体部が配置される電線配置空間の周囲に配置された弾性片を備え、前記弾性片は、前記電線の露出導体部が前記電線挿入孔から前記端子挿入孔内の前記接続端子の前記電線配置空間に配置された状態で、前記端子挿入孔内での前記接続端子のスライド移動に伴って、前記押付部によって前記電線配置空間内の前記露出導体部に押し付けられる接続端子である。
この構成により、上記の効果を奏するコネクタに供する接続端子を提供することができる。
【0034】
また、この発明は、電線配置空間の周囲に配置された弾性片を有する接続端子を収容するハウジングであって、前記接続端子が挿脱方向にスライド移動可能に挿入される端子挿入孔と
、電線が挿入され、前記端子挿入孔に連通した電線挿入孔と、前記端子挿入孔の内周面に設けられた押付部とを備え、
前記電線挿入孔の孔径の少なくとも出口側の大きさは、前記電線の露出導体部の直径よりも大きく前記電線の被覆部の直径よりも小さく、前記押付部は、前記電線の露出導体部が前記電線挿入孔から前記端子挿入孔内の前記接続端子の前記電線配置空間に配置された状態で、前記端子挿入孔内での前記接続端子のスライド移動に伴って、前記弾性片を前記電線配置空間内の前記露出導体部に押し付けるハウジングである。
この構成により、上記の効果を奏するコネクタに供するハウジングを提供することができる。
【発明の効果】
【0035】
この発明によれば、接続端子をハウジングに装着する際に、接続端子に接続される電線が座屈することを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
<実施形態>
図1から
図9を参照して、この実施形態に係るコネクタ付ワイヤーハーネス200を説明する。
図1及び
図2に示すように、コネクタ付ワイヤーハーネス200は、電線2が束ねられた電線束の先端部にコネクタ1が接続されて構成されている。コネクタ付ワイヤーハーネス200は、車両(例えば自動車)に搭載して使用可能である。
【0038】
コネクタ1は、相手側コネクタ100と着脱自在に嵌合接続するコネクタであり、電線2の端部に接続されて使用される。この実施形態では、一例として、コネクタ1は、メス型の接続端子3を備えたメス型コネクタであり、相手側コネクタ100は、オス型の接続端子101を備えたオス型コネクタである。
【0039】
コネクタ1は、接続端子3がハウジング4内に挿入された状態で、電線2の露出導体部2aがハウジング4内の接続端子3に配置され、この状態で、接続端子3がハウジング4内で挿脱方向にスライド移動されることで、電線2と接続端子3とを電気的及び機械的に相互接続する点を特徴とするものである。
【0040】
コネクタ1は、電線2に接続される複数の接続端子3と、複数の接続端子3が装着されるハウジング4と、ハウジング4をその前面側から収容するハウジングケース5と、ハウジング4の後面から引き出された電線2の束の端部を収容するようにハウジングケース5に装着されるリアカバー6とを備えている。
【0041】
<接続端子3>
図3及び
図4に示すように、接続端子3は、金属部材で形成されており、細長棒状に形成されている。接続端子3は、相手側接続端子101と接続する端子接続部31と、電線2と接続する電線接続部32とを備えている。
【0042】
端子接続部31は、例えばメス型の端子接続部である。端子接続部31は、相手側コネクタ100の接続端子101のタブ部101aが挿入される筒部311を備えている。筒部311は、例えば断面矩形の細長の筒状に形成されている。筒部311の先端部311aは、開放した開口端である。以後、開口端311aとも記載する。筒部311の内周面には、舌片部(図示省略)と、ビード313とが設けられている。
【0043】
ビード313は、筒部311の内周面の4つの内側面のうちの1つの内側面に例えば断面台形状に凸出して設けられている。ビード313は、筒部311の長手方向の一定範囲に設けられている。
上記の舌片部は、弾性片であり、筒部311の4つの内側面のうち、ビード313と対向する内側面に設けられている。上記の舌片部は、筒部311の内側面の開口端311a側の端部付近から筒部311の奥側に向かって延びると共にビード313側に張り出している。
【0044】
このように構成された端子接続部31では、筒部311内に相手側接続端子101のタブ部101aが挿入されると、タブ部101aは、上記の舌片部とビード313との間に挿入され、上記の舌片部の付勢力で上記の舌片部とビード313とで狭持される。これにより、端子接続部31と相手側接続端子101とが電気的に接続される。
【0045】
電線接続部32は、端子接続部31の基端部に設けられており、端子接続部31の後方に延びている。電線接続部32は、電線2の露出導体部2aが挿入される筒部321を備えている。筒部321は、例えば断面矩形の細長の筒状に形成されている。筒部321は、端子接続部31の筒部311よりも外径が小さく、段差部329を介して各筒部311,321の基端部同士を突き合わせる形で連結されている。筒部321の先端部321aは、開放した開口端(即ち入口)である。以後、開口端321aとも記載する。筒部321の内部空間321bは、筒部321に挿入された電線2が配置する電線配置空間である。以後、電線配置空間321bとも記載する。
【0046】
筒部321には、2つの弾性片322が設けられている。各弾性片322は、筒部321に挿入された(即ち電線配置空間321bに配置された)電線2の露出導体部2aを狭持して露出導体部2aと電気的及び機械的に接続するものである。各弾性片322は、例えば、筒部321の側壁部が舌片状に切り出されて構成されている。
【0047】
各弾性片322は、電線配置空間321bの周囲に配置されると共に、互いに対向するように配置されている。即ち、各弾性片322は、筒部321の4つの側壁部のうちの互いに対向する2つの側壁部に設けられている。各弾性片322は、例えば筒部321の入口側から奥側に向かって、筒部321の中心線Lに沿って延びている。
【0048】
弾性片322の先端部には、筒部321の外周側(即ち電線配置空間321bの外周側)に例えば逆V字状に張り出した張出部323が設けられている。張出部323は、ハウジング4の後述の押付部414aに当接する部分である。張出部323は、例えば、弾性片322の先端部が筒部321の外周側に屈曲されて一定距離離れて筒部321の内側に屈曲されることで、逆V字状に形成されている。張出部323の開口端321a側の傾斜面323aは、開口端321a側ほど電線配置空間321b側に傾斜している。即ち、傾斜面323aは、ハウジング4の後述の端子挿入孔41内での接続端子3のスライド移動方向に対して傾斜している。
【0049】
弾性片322の先端部には、筒部321の内側(即ち電線配置空間321b側)に例えば逆V字に突出した突起部324が設けられている。突起部324は、筒部321内に挿入された電線2の露出導体部2aを押圧する部分(導体押圧部)である。突起部324は、例えば、弾性片322の先端部が筒部321の奥側且つ内側に傾斜した状態で、筒部321の内側を回って筒部321の入口側且つ外周側に折り返されることで、逆V字状に形成されている。
【0050】
接続端子3の外周面には、位置決め凸部325と、移動用リブ326とが設けられている。
位置決め凸部325は、ハウジング4の後述の位置決め凹部415,416に係合して、ハウジング4の後述の端子挿入孔41内での接続端子3の配置を位置決めするものである。位置決め凸部325は、接続端子3の外周面の例えば長手方向の中央(例えば端子接続部31の基端部付近)に突出状に設けられている。
【0051】
移動用リブ326は、ハウジング4の端子挿入孔41内で接続端子3を移動させるためのものである。移動用リブ326は、接続端子3の外周面の開口端311a側の縁部に突出状に設けられており、接続端子3の長手方向に沿って一定の長さで設けられている。移動用リブ326は、例えば、端子接続部31の外周面のうち、相手側接続端子101との接続に影響しない部分(即ち上記の舌片部及びビード313が設けられていない側壁の外側面)に設けられている。
【0052】
<ハウジング4>
図3及び
図5に示すように、ハウジング4は、例えば平面視矩形の平板状に形成されている。ハウジング4の前面4aには、接続端子3が挿入される端子挿入孔41が複数設けられている。各端子挿入孔41は、ハウジング4の後面4bに向かって延在すると共に、ハウジング4の横幅方向に互いに間隔を空けて並設されている。ハウジング4の後面4bには、電線2が挿入される電線挿入孔42が複数設けられている。各電線挿入孔42は、各端子挿入孔41に対応して、ハウジング4の横幅方向に互いに間隔を空けて並設されており、対応した端子挿入孔41に連通している。
【0053】
端子挿入孔41は、接続端子3の端子接続部31が挿入される拡径孔部411と、接続端子3の電線接続部32が挿入され、拡径孔部411よりも直径が小さい縮径孔部412とを備えている。拡径孔部411と縮径孔部412とは、段差部413を介して連通している。
【0054】
縮径孔部412の内周面には、接続端子3の張出部323が収容可能な凹部414が設けられている。凹部414は、接続端子3の2つの張出部323に対応して、ハウジング4の両主面の各側に1つずつ計2つ設けられている。各凹部414の底面は、例えばハウジング4の主面に貫通して開放されている。なお、凹部414は、端子挿入孔41の内周面に対して凹んでおればよいので、凹部414の底面が外部に貫通して孔状になっていてもよい。
【0055】
凹部414の開口縁角部414aは、接続端子3の傾斜面323aに当接して弾性片322を接続端子3の筒部321の内側に弾性変位させる押付部として機能する。なお、押付部は、凹部414の開口縁角部414aと、凹部414の周縁(即ち電線挿入孔42の内周面のうちの凹部414の周辺)とで構成されている。以後、押付部414aとも記載する。
【0056】
端子挿入孔41の内周面には、接続端子3の位置決め凸部325が嵌合可能な2つの位置決め凹部(仮位置決め凹部415及び本位置決め凹部416)が設けられている。
本位置決め凹部416は、ハウジング4の端子挿入孔41内での接続端子3のスライド移動後の本配置位置(即ち最終的な配置位置)を規定するものであり、例えば、拡径孔部411の内周面の奥側に設けられている。
【0057】
仮位置決め凹部415は、ハウジング4の端子挿入孔41内での接続端子3のスライド移動前の仮配置位置(即ち一時的な配置位置)を規定するものであり、例えば、拡径孔部411の内周面において、本位置決め凹部416の手前側に設けられている。各位置決め凹部415,416は、上記のスライド移動方向に沿って一列に並んでいる。
【0058】
各位置決め凹部415,416は、端子挿入孔41の内周面において、例えば、ハウジング4の両主面のうちの一方主面の側に設けられている。各位置決め凹部415,416の底面は、ハウジング4の上記の一方主面で開放している。各位置決め凹部415,416は、端子挿入孔41の内周面に対して凹んでおればよいので、各位置決め凹部415,416の底面が外部に貫通して孔状になっていてもよい。
【0059】
仮位置決め凹部415と凹部414との間の間隔L1は、本位置決め凹部416と凹部414との間の間隔L2よりも長く、接続端子3の位置決め凸部325と張出部323との間の間隔L3(
図4参照)と同程度の長さである。これにより、位置決め凸部325が仮位置決め凹部415に嵌った状態では、接続端子3の張出部323は、ハウジング4の凹部414に嵌り、位置決め凸部325が本位置決め凹部416に嵌った状態では、接続端子3の張出部323は、ハウジング4の凹部414から外れて凹部414の周縁に乗り上げる。
【0060】
ハウジング4の両主面のうちの一方主面の前面4a側の縁部には、各接続端子3の移動用リブ326が嵌合する複数の切込部417が設けられている。各切込部417は、各端子挿入孔41に重なる位置に設けられており、ハウジング4の前面4aから後面4b側に向かって一定の長さで切り込まれており、端子挿入孔41の内周面と上記の一方主面との間を貫通している。
【0061】
ハウジング4の両主面のうちの一方主面には、例えば、その一方主面の前面4a側の縁部に、ハウジングケース5の後述の案内溝51bに嵌合する案内リブ418が設けられている。案内リブ418は、ハウジング4の前後方向に延びており、ハウジング4の横幅方向に互いに間隔を空けて複数設けられている。
【0062】
電線挿入孔42は、電線2の露出導体部2aが挿入される縮径孔部421と、電線2の被覆部2bが挿入される拡径孔部422と、縮径孔部421と拡径孔部422との間に設けられ、拡径孔部422側から縮径孔部421側に行くほど縮径したテーパ孔部423とを備えている。
【0063】
縮径孔部421は、電線挿入孔42の奥側を構成しており、縮径孔部421の孔径は、電線2のうち露出導体部2aのみが挿入可能となるように、電線2の露出導体部2aの外径よりも大きく、電線2の被覆部2bの外径よりも小さい。拡径孔部422は、電線挿入孔42の入口側を構成しており、拡径孔部422の孔径は、電線2の被覆部2bが挿入可能となるように、電線2の被覆部2bの外径よりも大きい。
【0064】
<ハウジングケース5>
図6及び
図7に示すように、ハウジングケース5は、例えば偏平な略直方体状に形成されている。ハウジングケース5の後面5bには、複数のハウジング4が収容可能な収容凹部51が設けられている。収容凹部51は、例えば偏平な略直方体形である。収容凹部51の内周面の両主面のうちの一方主面には、その横幅方向の中央に、収容凹部51の入口側から奥側まで、内側に凸出した凸部51aが設けられている。
【0065】
収容凹部51には、例えば5個のハウジング4が収容可能である。より詳細には、収容凹部51の内周面の一方主面側には、凸部51aの両側に1つずつハウジング4が収容可能であり、収容凹部51の内周面の他方主面側には、横一列に3つのハウジング4が収容可能である。
【0066】
収容凹部51の内周面の両主面には、ハウジング4の案内リブ418が嵌合する案内溝51bが設けられている。各案内溝51bは、ハウジングケース5の前面5aで開放しており、収容凹部51の入口側から奥側に延びており、収容凹部51の横幅方向に間隔を空けて並んでいる。案内溝51bには、ハウジング4の案内リブ418の後端に係止可能な抜け防止用の突起部(図示省略)が設けられている。
【0067】
ハウジングケース5の前面5aには、相手側コネクタ100の接続端子101が挿入可能な開口部52が複数設けられている。各開口部52は、収容凹部51の奧壁部で収容凹部51に連通している。各開口部52は、相手側コネクタ100の接続端子101のタブ部101aは挿通可能であるが、ハウジング4の端子挿入孔41に挿入された接続端子3の端子接続部31は、挿通不可能な大きさに形成されている。
【0068】
<リアカバー6>
図1及び
図2に示すように、リアカバー6は、例えば、前面開放で内部が中空の箱状に形成されている。リアカバー6は、例えば、前半側が幅広で、後半が幅細で、中間がテーパ状に形成されている。リアカバー6の前面6aには、開口部61が設けられている。リアカバー6の開口部61に、コネクタ1のハウジングケース5の後面5b側が組み付けられている。リアカバー6の後面6bには、コネクタ1に接続された電線2の束が引き出される開口部62が設けられている。
【0069】
<コネクタの組立方法>
図6から
図9を参照して、コネクタ1の組立方法を説明する。
図8(a)に示すように、まず、接続端子3がハウジング4の端子挿入孔41内の仮配置位置まで挿入される。この挿入状態では、接続端子3の位置決め凸部325が端子挿入孔41内の仮位置決め凹部415に係合することで、接続端子3が端子挿入孔41内の仮配置位置に仮固定される。また、この挿入状態では、接続端子3の弾性片322の張出部323が、端子挿入孔41の凹部414に嵌り、接続端子3の電線接続部32内(即ち電線配置空間321b)に電線2の露出導体部2aが挿入可能になる。
【0070】
そして、
図8(b)に示すように、ハウジング4の電線挿入孔42内に電線2が挿入される。この挿入状態では、電線2の露出導体部2aが電線挿入孔42を介して端子挿入孔41の奧側から端子挿入孔41内に挿入され、端子挿入孔41内の接続端子3の電線接続部32内に挿入され、2つの弾性片322の間に配置される。また、電線2の被覆部2bの端部が端子挿入孔41の拡径孔部422内に挿入されている。
【0071】
この挿入状態で、
図8(c)に示すように、接続端子3がハウジング4の端子挿入孔41内の本配置位置までスライド移動される。即ち、接続端子3が端子挿入孔41の更に奧まで挿入される。この挿入状態では、接続端子3の位置決め凸部325が端子挿入孔41の本位置決め凹部416に係合することで、接続端子3が本配置位置に固定される。
【0072】
なお、その挿入の際、
図9(a)に示すように、接続端子3の弾性片322の張出部323の傾斜面323aが端子挿入孔41の押付部414aに当接して、接続端子3のスライド移動に伴って押付部414aが傾斜面323aを摺動することで、押付部414aが弾性片322を電線接続部32内の露出導体部2aに押し付ける。
【0073】
そして、
図8(c)及び
図9(b)に示すように、接続端子3が本配置位置までスライド移動すると、弾性片322の張出部323は、端子挿入孔41の凹部414から外れて凹部414の周縁(即ち端子挿入孔41の内周面)に乗り上げて、端子挿入孔41の内周面によって露出導体部2aに常時押し付けられる。即ち、弾性片322による露出導体部2aへの押し付けが固定される。
【0074】
この結果、露出導体部2aが2つの弾性片322で狭持される。これにより、接続端子3と電線2の露出導体部2aとが電気的及び機械的に接続される。なお、弾性片322が露出導体部2aに押し付けられた状態では、弾性片322の突起部324が露出導体部2aに押圧される。これにより、より一層確実に、接続端子3と電線2の露出導体部2aとが電気的に接続される。
【0075】
なお、
図9(b)に示すように、上記の押し付け状態では、弾性片322の基端P1と、弾性片322における端子挿入孔41の内周面(凹部414の周縁)から押圧される箇所P2との間の長さをL1とし、弾性片322の基端P1と、弾性片322における露出導体部2aを押圧する箇所P3との間の長さをL2とすると、長さL1は長さL2よりも長くなる。このため、テコの原理を利用して、効果的に、弾性片322で露出導体部2aが押し付けられる。
【0076】
このように、各端子挿入孔41に接続端子3が挿入されると共に各電線挿入孔42に電線2が挿入されて、接続端子3と電線2とが接続される。
【0077】
なお、上記のように接続端子3をスライド移動させる際、接続端子3の移動用リブ326を、図示省略の器具で当接して接続端子3をスライド移動させてもよい。これにより、接続端子3を手で触れないでスライド移動させることができる。接続端子3を端子挿入孔41内に挿入する際は、例えば自動機(電線接続装置)で行うことができる。その際、各端子挿入孔41で順番に接続端子3をスライド移動させてもよく、全ての端子挿入孔41で同時に接続端子3をスライド移動させてもよい。
【0078】
そして、このように接続端子3と電線2とがセットされたハウジング4が5つ準備される。そして、各ハウジング4がその前面4a側からハウジングケース5の収容凹部51に収容される(
図7参照)。即ち、ハウジングケース5が、ハウジング4に対して端子挿入孔41の側から装着される。この際、各ハウジング4の案内リブ418がハウジングケース5の内周面の案内溝51bに沿って挿入されることで、各ハウジング4は、ハウジングケース5内の決められた配置に収容される。
【0079】
この収容状態では、ハウジングケース5の案内溝51b内の上記の突起部がハウジング4の案内リブ418の後端面に係合することで、ハウジング4がハウジングケース5内から抜けることが防止される。また、ハウジングケース5によって、ハウジング4に挿入された接続端子3がハウジング4から抜けることが防止される。なお、各ハウジング4に挿入された電線2は、結束バンド7で束ねられている。
【0080】
そして、リアカバー6がハウジングケース5の前面5aに装着される。この状態では、リアカバー6の開口部62から電線2が引き出されている(
図1参照)。
【0081】
<主要な効果>
以上のように、この実施形態に係るコネクタによれば、相手側接続端子101と接続する端子接続部31の基端部に、挿入された電線2と接続する電線接続部32が設けられた接続端子3と、接続端子3を収容するハウジング4とを備え、電線接続部32は、電線接続部32に挿入された電線2の露出導体部2aが配置する電線配置空間321bの周囲に配置された弾性片322を備え、ハウジング4は、接続端子3が挿脱方向にスライド移動可能に挿入された端子挿入孔41と、電線2が挿入され、端子挿入孔41に連通した電線挿入孔42と、端子挿入孔41の内周面に設けられた押付部414aとを備え、押付部414aは、電線2の露出導体部2aが電線挿入孔42から端子挿入孔41内の接続端子3の電線配置空間321bに配置された状態で、端子挿入孔41内での接続端子3のスライド移動に伴って、弾性片322を電線配置空間321b内の露出導体部2aに押し付ける。
【0082】
この構成により、ハウジング4の端子挿入孔41内に接続端子3を挿入した状態で電線2の露出導体部2aをハウジング4内の接続端子3に配置し、この状態で、接続端子3をハウジング4の端子挿入孔41内で移動させることで、ハウジング4の押付部414aによって、弾性片322が電線の露出導体部2aに押し付けられる。この押し付けにより、接続端子3と電線2とが相互接続される。このように、ハウジング4内に接続端子3を挿入した後に、接続端子3に電線2が接続されるため、接続端子3をハウジング4に装着する際に、接続端子3に接続される電線2が座屈することを抑制することができる。
【0083】
なお、この実施形態では、弾性片322は2つであるが、弾性片322は2つ以上でも1つでもよい。弾性片322が2つ以上ある場合は、それら弾性片322で露出導体部2aを挟み込むことで、接続端子3と電線2とが電気的及び機械的に相互接続されるが、弾性片322が1つの場合は、弾性片322は、露出導体部2aを反対側の他の部分(例えば電線接続部32の側壁部)に押し付けることで、当該他の部分との間で露出導体部2aを挟み込むことができる。
また、この実施形態では、端子挿入孔41内での接続端子3のスライド移動は、接続端子3を端子挿入孔41に挿入する挿入方向と同方向への移動であるが、その挿入方向とは反対の方向に設定してもよい。
【0084】
また、弾性片322は、電線配置空間321bの外周側に張り出した張出部323を有し、張出部323には、端子挿入孔41内での接続端子3のスライド移動方向に対して傾斜した傾斜面323aが設けられ、端子挿入孔41内での接続端子3のスライド移動に伴って、押付部414aが傾斜面323aを相対的に摺動することで、弾性片322が電線配置空間321b内の露出導体部2aに押し付けられる。このため、弾性片322に傾斜面323aを設け、その傾斜面323aに押付部414aを相対的に摺動させることで、簡易な仕組みで、端子挿入孔41内での接続端子3のスライド移動に伴って、弾性片322を電線配置空間321b内の露出導体部2aに押し付けることができる。また、弾性片322に張出部323を設けることで、張出部323を利用して容易に、弾性片322に傾斜面323aを設けることができる。
【0085】
なお、この実施形態では、押付部414aは、弾性片322の張出部323が収容可能な凹部414の開口縁角部414aを含み形で設けられたが、端子挿入孔41の内周面において凸部の側面として設けられてもよい。
【0086】
また、端子挿入孔41の内周面には、張出部323が収容可能な凹部414が設けられ、押付部414aは、凹部414の開口縁角部414aを含む形で構成されるため、押付部414aを簡易な構成で設けることができる。また、押付部414aは、端子挿入孔41の内周面に凹部の開口縁角部414aで設けられるため、端子挿入孔41の内部側に凸出しない。このため、端子挿入孔41内に押付部414aの配置スペースを確保する必要がなく、ハウジング4の小型化に寄与することができる。
【0087】
また、弾性片322には、電線配置空間321bの側に突出した突起部324が設けられ、弾性片322の突起部324で露出導体部2aを押圧するため、弾性片322(即ち接続端子3)と露出導体部2aとを確実に電気的に接続することができる。
【0088】
また、電線挿入孔42の孔径の少なくとも出口側の大きさ(即ち縮径孔部421の孔径)は、電線2の露出導体部2aの直径よりも大きく電線2の被覆部2bの直径よりも小さいため、電線挿入孔42から端子挿入孔41へは、電線2のうちの露出導体部2aだけを挿入することができる。これにより、端子挿入孔41及び接続端子3を露出導体部2aの直径に合わせて細くでき、ハウジング4の小型化に寄与することができる。
【0089】
また、電線挿入孔42の孔径の入口側の大きさ(即ち拡径孔部422の孔径)は、電線2の被覆部2bの外径よりも大きいため、電線2の被覆部2bの端部を電線挿入孔42内に挿入することができる。このため、端子挿入孔41内での接続端子3のスライド移動の際に、電線2が電線挿入孔42から若干押し出されても、露出導体部2aが電線挿入孔42から露出することを防止することできる。これにより、ハウジング4に複数の端子挿入孔41及び複数の電線挿入孔42が設けられた場合、各電線挿入孔42内の電線2の間の絶縁性を確保することができる。
【0090】
また、接続端子3の外周面には、位置決め凸部325が設けられ、ハウジング4の内周面には、位置決め凸部325が嵌合可能な仮位置決め凹部415及び本位置決め凹部416のうちの少なくとも一方が設けられ、仮位置決め凹部415は、端子挿入孔41内での接続端子3のスライド移動前の配置位置を規定し、本位置決め凹部416は、端子挿入孔41内での接続端子3のスライド移動後の配置位置を規定しているため、位置決め凸部325を仮位置決め凹部415又は本位置決め凹部416に嵌合させるだけで簡単に、接続端子3をスライド移動前の仮配置位置又はスライド移動後の本配置位置に正確に位置決めすることができる。
【0091】
また、弾性片322における端子挿入孔41の内周面(即ち端子挿入孔41を有するハウジング4)から押圧される箇所P2と、弾性片322の基端P1との間の長さを第1の長さL1とし、弾性片322における露出導体部2aを押圧する箇所P3と、弾性片322の基端P1との間の長さを第2の長さL2とすると、第1の長さL1は、第2の長さL2よりも長い。このため、端子挿入孔41の例えば内周面から弾性片322に作用する押圧力が小さくても、十分大きな押圧力で、弾性片322を電線2の露出導体部2aに押し付けることができる。従って、端子挿入孔41の内周面が弾性片322から受ける反力も小さいため、端子挿入孔41の内周面の傷みを抑制することができる。
【0092】
また、端子接続部31の外周面には、端子接続部31の入口側の縁部に、端子接続部31の外周側に突出した移動用リブ326が設けられるため、器具(例えば精密ドライバ)を移動用リブ326に引っ掛けて移動用リブ326を引き出すことで、端子挿入孔41から接続端子3を引き出すことができる。
【0093】
また、ハウジング4に対し、端子挿入孔41側から装着されるハウジングケース5を備え、ハウジングケース5は、ハウジング4が収容可能な収容凹部51を有し、収容凹部51の奧壁部には、相手側接続端子101が挿通可能で且つ端子挿入孔41内の接続端子3は挿通不可能な大きさの開口部52が設けられるため、ハウジングケース5によって、ハウジング4に挿入された接続端子3がハウジング4から抜け落ちることを防止することができる。
【0094】
また、この実施形態に係るコネクタの組立方法によれば、ハウジング4の端子挿入孔41内に接続端子3を挿入する工程と、ハウジング4の電線挿入孔42から電線2を挿通して、電線2の露出導体部2aを接続端子3の電線配置空間321bに配置させる工程と、端子挿入孔41内で接続端子3を挿脱方向にスライド移動させることで、ハウジング4の押付部414aで接続端子3の弾性片322を押圧して電線配置空間321bに配置された露出導体部2aに押し付ける工程とを含むため、ハウジング4内に接続端子3を挿入した後に、接続端子3に電線2が接続されるため、接続端子3をハウジング4に装着する際に、接続端子3に接続される電線2が座屈することを抑制することができる。
【0095】
また、この実施形態に係るコネクタ付ワイヤーハーネス200によれば、コネクタ1と、コネクタ1の接続端子3に接続された電線2とが備えられるため、上記の効果を奏するコネクタ付ワイヤーハーネスを提供することができる。
【0096】
また、この実施形態に係る接続端子3によれば、相手側接続端子101と接続される端子接続部31の基端部に、挿入された電線2と接続される電線接続部32が設けられ、ハウジング4に収容可能な接続端子3であって、ハウジング4は、接続端子3が挿脱方向にスライド移動可能に挿入された端子挿入孔41と、電線2が挿入され、端子挿入孔41に連通した電線挿入孔42と、端子挿入孔41の内周面に設けられた押付部414aとが備えられ、電線接続部32は、電線接続部32に挿入された電線2の露出導体部2aが配置される電線配置空間321bの周囲に配置された弾性片322を備え、弾性片322は、電線2の露出導体部2aが電線挿入孔42から端子挿入孔41内の接続端子3の電線配置空間321bに配置された状態で、端子挿入孔41内での接続端子3のスライド移動に伴って、押付部414aによって電線配置空間321b内の露出導体部2aに押し付けられるため、上記の効果を奏するコネクタ1に供する接続端子3を提供することができる。
【0097】
また、この実施形態に係るハウジング4によれば、電線配置空間321bの周囲に弾性片322を有する接続端子3を収容するハウジング4であって、接続端子3が挿入された端子挿入孔41と、電線2が挿入され、端子挿入孔41に連通した電線挿入孔42と、端子挿入孔41の内周面に設けられた押付部414aとを備え、押付部414aは、電線2の露出導体部2aが電線挿入孔42から端子挿入孔41内の接続端子3の電線配置空間321bに配置された状態で、端子挿入孔41内での接続端子3のスライド移動に伴って、弾性片322を電線配置空間321b内の露出導体部2aに押し付けるため、上記の効果を奏するコネクタ1に供するハウジング4を提供することができる。
【0098】
<変形例1>
上記の実施形態では、ハウジング4の押付部414aと接続端子3の張出部323のうち、張出部323に傾斜面323aが設けられたが、この変形例1では、
図10に示すように、押付部414aが傾斜面を含む形で設けられる。以下、この変形例1について、上記の実施形態と同じ部分には同一符号を付して説明を省略して、異なる部分を中心に説明する。
【0099】
図10(a)(b)に示すように、この変形例1のハウジング4の内周面には、上記の実施形態と同様に、接続端子3の弾性片322の張出部323が収容可能な凹部414が設けられている。凹部414におけるスライド移動方向の側(即ち端子挿入孔41の奧側)の側面414bは、端子挿入孔41の奧側ほど端子挿入孔41の内部側に傾斜している。即ち、側面414bは、接続端子3のスライド移動方向に傾斜している。押付部414aは、凹部414の傾斜面414bで構成されている。
【0100】
この変形例1の各弾性片322は、上記の実施形態と同様に、電線配置空間321bの外周側に張り出した張出部323を有する。各弾性片322は、電線接続部32の基端部側から先端部側に向かって延びている。張出部323は、弾性片322の先端部の側が電線配置空間321bの外周側に湾曲(第1湾曲部322a)し、その第1湾曲部322aから弾性片322の先端側ほど内側に湾曲(第2湾曲部322b)することで略S字状に形成されている。このように形成された弾性片322では、第1湾曲部322aが電線の露出導体部2aを押圧する導体押圧部になっている。以後、導体押圧部322aとも記載する。
【0101】
この変形例1では、下記のように、接続端子3と電線2とが接続される。即ち、
図10(a)(b)に示すように、ハウジング4の端子挿入孔41の仮配置位置まで接続端子3が挿入される。そして、この挿入状態で、ハウジング4の電線挿入孔42に電線2が挿入され、その電線2の露出導体部2aが端子挿入孔41の奧側から端子挿入孔41内の接続端子3の電線接続部32内に挿入される。この状態では、接続端子3の弾性片322の張出部323は、端子挿入孔41の凹部414内に収容されている。そして、
図10(c)に示すように、端子挿入孔41内で接続端子3が本配置位置までスライド移動される。
【0102】
このスライド移動に伴って、接続端子3の弾性片322の張出部323が端子挿入孔41の傾斜面414bを相対的に摺動することで、弾性片322の導体押圧部が電線接続部32内の露出導体部2aに押し付けられる。そして、張出部323が凹部414から外れて端子挿入孔41の内周面(凹部414の周縁)に乗り上げることで、接続端子3による露出導体部2aの押し付けが固定される。
【0103】
この変形例1によれば、押付部414aを傾斜面414bという簡易な構成で設けることができる。押付部414aを、端子挿入孔41の内周面に設けられた凹部414の傾斜した側面414bを利用して簡易に設けることができる。また、押付部414aは、端子挿入孔41の内周面に設けられた凹部414の側面414bを含む形で構成されるため、端子挿入孔41の内部側に凸出しない。このため、端子挿入孔41内に押付部414aの配置スペースを確保する必要がなく、ハウジング4の小型化に寄与することができる。
【0104】
なお、この変形例1では、押付部414aは、端子挿入孔41の内周面に設けられた凹部414の傾斜した側面414bを含む形で構成されたが、例えば、端子挿入孔41の内周面に凸部を設け、押付部414aは、上記の凸部の傾斜した側面を含む形で構成されてもよい。押付部414aが凸部の傾斜した側面を含む形で設けられる場合は、弾性片322の張出部323は無くてもよい。
【0105】
<変形例2>
図11(a)に示すように、上記の変形例1において、更に、弾性片322は、電線2の被覆部2bを押圧する被覆押圧部322cを備えてもよい。即ち、この変形例2の弾性片322は、上記の弾性片322と同様に略S字形に曲げられており、更に、弾性片322の先端部は、電線配置空間321bの外周側に湾曲(第3湾曲部322c)している。この第3湾曲部322cが被覆押圧部になっている。以後、被覆押圧部322cとも記載する。
【0106】
なお、この変形例2では、電線2の被覆部2bを電線挿入孔42から端子挿入孔41内に挿入でき、端子挿入孔41内の電線接続部32内に挿入することが可能になっている。この変形例2では、電線2の露出導体部2aが2つの弾性片322の間に配置されると共に、電線2の被覆部2bの端部が2つの弾性片322の被覆部2bの間に配置される。
【0107】
この配置状態で、上記の実施形態と同様に、接続端子3がハウジング4の端子挿入孔41内でスライド移動されることで、弾性片322の導体押圧部322aが電線2の露出導体部2aに押し付けられると共に弾性片322の被覆押圧部322cが電線2の被覆部2bに押し付けられる(
図11(b)参照)。これにより、2つの弾性片322の導体押圧部322aで電線2の露出導体部2aが狭持されると共に、2つの弾性片322の被覆押圧部322cで電線2の被覆部2bも狭持される。このようにして、接続端子3と電線2とが接続される。
この変形例2によれば、弾性片322は、電線2の露出導体部2aだけでなく電線2の被覆部2bにも押し付けられるため、接続端子3と電線2との機械的な接続を強化することができる。
【0108】
<変形例3>
図12に示すように、この変形例3は、上記の実施形態において、2つの弾性片322の間隔を電線挿入方向の手前側ほど広がるように、各弾性片322を傾斜させたものである。換言すれば、各弾性片322を、電線挿入方向の手前側ほど電線配置空間321bの中心線からの間隔が大きくなるようにしたものである。
【0109】
この変形例3では、電線2の露出導体部2aを、電線挿入孔42から端子挿入孔41内に挿入し、端子挿入孔41内の接続端子3の電線接続部32内に挿入する際、電線2の露出導体部2a(2T)が比較的に細い場合は、電線2の露出導体部2aは、2つの弾性片322の間の奥側まで挿入される。他方、電線2の露出導体部2a(2S)が比較的に太い場合は、電線2の露出導体部2aは、2つの弾性片322の間の手前側まで挿入される。そして、このように挿入された状態で、上記の実施形態と同様に、接続端子3が端子挿入孔41内でスライド移動され、接続端子3と電線2とが接続される。
【0110】
この変形例3によれば、弾性片322で電線2の露出導体部2aを狭持するにあたり、複数サイズの露出導体部2aの太さに対応可能である。これにより、弾性片322を、露出導体部2aの太さに応じた最適な力で露出導体部2aに押し付けることができる。
【0111】
なお、この変形例3では、弾性片322は、電線挿入方向の手前側ほど接続端子3の電線接続部32の中心線(即ち電線配置空間321bの中心線)からの間隔が大きくなるために、傾斜状に形成れたが、階段状に形成されてもよい。
【0112】
<変形例4>
変形例3では、2つの弾性片322(即ち1組の弾性片322)の間の間隔をテーパ状に広げることで、複数サイズの太さの電線2に対応したが、
図13に示すように、変形例4では、それぞれ異なる電線2の太さに対応した複数組(例えば2組)の弾性片322(322S,322T)を設けることで、複数サイズの太さの電線2に対応する。
【0113】
より詳細には、電線接続部32には、弾性片322の組が電線挿入方向に複数設けられる。各組内の各弾性片322は、電線配置空間321bの周囲を周方向に等間隔に配置している。弾性片322の各組のうち、電線挿入方向の手前側の弾性片322の組ほど、同じ組内の各弾性片322の間隔Rは大きくなっている。即ち、電線接続部32には、電線挿入方向に複数の弾性片322S,322Tが設けられ、各弾性片322S,322Tと電線接続部32の中心線Lとの間隔は、電線挿入方向の手前側ほど広くなっている。
【0114】
また、ハウジング4の端子挿入孔41の内周面には、凹部414が電線挿入方向に複数設けられている。各凹部414は、各組の各弾性片322の張出部323が収容可能である。
【0115】
この変形例4では、電線2の露出導体部2aは、ハウジング4の電線挿入孔42から端子挿入孔41内に挿入されて、端子挿入孔41内の接続端子3の電線接続部32内に挿入される際、その電線2の太さに対応した組内の弾性片322の間に挿入される。具体的には、電線2の露出導体部2a(2T)が比較的に細い場合は、電線2の露出導体部2aは、弾性片322の各組のうち、電線挿入方向の奥側に設けられた組内の弾性片322Tの間に挿入される。他方、電線2の露出導体部2a(2S)が比較的に太い場合は、電線2の露出導体部2aは、電線挿入方向の手前の組内の弾性片322Sの間に挿入される。そして、このように弾性片322の間に挿入された状態で、上記の実施形態と同様に、接続端子3が端子挿入孔41内でスライド移動され、接続端子3と電線2とが接続される。
【0116】
この変形例4によれば、弾性片322で電線2の露出導体部2aを狭持するにあたり、複数サイズの露出導体部2aの太さに対応可能である。これにより、弾性片322を、露出導体部2aの太さに応じた最適な力で露出導体部2aに押し付けることができる。
【0117】
この変形例では、各組の弾性片322は、2つの弾性片322で構成されるが、3つ以上の弾性片322で構成されても、1つの弾性片322で構成されてもよい。
【0118】
この発明は、上述の実施形態及び変形例の構成のみに限定されるものではなく、上述の実施形態及び変形例の組み合わせも含み、多くの実施の形態を得ることができる。