(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869112
(24)【登録日】2021年4月15日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】ポンプ点検システム
(51)【国際特許分類】
G02B 23/24 20060101AFI20210426BHJP
G01M 99/00 20110101ALI20210426BHJP
F04D 13/00 20060101ALI20210426BHJP
F04B 51/00 20060101ALI20210426BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20210426BHJP
A61B 1/05 20060101ALI20210426BHJP
A61B 1/045 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
G02B23/24 B
G01M99/00 A
F04D13/00 Z
F04B51/00
A61B1/00 552
A61B1/05
A61B1/00 522
A61B1/045 622
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-112460(P2017-112460)
(22)【出願日】2017年6月7日
(65)【公開番号】特開2018-205201(P2018-205201A)
(43)【公開日】2018年12月27日
【審査請求日】2020年3月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230112025
【弁護士】
【氏名又は名称】小林 英了
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【弁理士】
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】能見 基彦
(72)【発明者】
【氏名】関野 夕美子
【審査官】
岡田 弘
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−041503(JP,A)
【文献】
特表2014−528794(JP,A)
【文献】
特開2008−129439(JP,A)
【文献】
特表2015−503258(JP,A)
【文献】
特開2015−230625(JP,A)
【文献】
特開2014−233005(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 1/00−13/16
F04D 17/00−19/02
F04D 21/00−25/16
F04D 29/00−35/00
G02B 23/24−23/26
A61B 1/00−1/32
G03B 19/00−19/16
G06T 1/00
G06T 11/60−13/80
G06T 17/05
G06T 19/00−19/20
G09G 5/00−5/40
G09G 3/18
G09G 3/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプの内部に挿入される内視鏡と、前記内視鏡が接続される点検装置とを備えるポンプ点検システムであって、
前記内視鏡は、
複数のカメラを有する撮影部と、
前記複数のカメラで撮影したカメラ画像を前記点検装置に送信するためのケーブル部と、
を備え、
前記点検装置は、
前記複数のカメラで撮影した前記ポンプの内部のカメラ画像に基づいて、前記ポンプ内における前記内視鏡の先端の位置を求める位置決定部と、
前記複数のカメラで撮影した前記ポンプの内部のカメラ画像に基づいて、前記ポンプ内において前記内視鏡の先端が向いている方向を求める方向決定部と、
を備え、
前記複数のカメラは、それぞれ異なる撮影方向のカメラ画像を撮影するように、前記撮影部の異なる位置に配置され、
前記点検装置は、前記ポンプの内部に設けられた複数の基準マーカーの各々について、前記ポンプ内における前記基準マーカーの位置が記憶されている記憶部を備え、
前記位置決定部は、前記複数のカメラで撮影した前記ポンプの内部のカメラ画像のうち、同一の前記基準マーカーを撮影した2つのカメラ画像に基づいて、前記内視鏡の先端から当該基準マーカーまでの距離を算出し、少なくとも3つの異なる前記基準マーカーまでの距離と前記ポンプ内における当該基準マーカーの位置に基づいて、前記ポンプ内における前記内視鏡の先端の位置を求めることを特徴とするポンプ点検システム。
【請求項2】
ポンプの内部に挿入される内視鏡と、前記内視鏡が接続される点検装置とを備えるポンプ点検システムであって、
前記内視鏡は、
複数のカメラを有する撮影部と、
前記複数のカメラで撮影したカメラ画像を前記点検装置に送信するためのケーブル部と、
を備え、
前記点検装置は、
前記複数のカメラで撮影した前記ポンプの内部のカメラ画像に基づいて、前記ポンプ内における前記内視鏡の先端の位置を求める位置決定部と、
前記複数のカメラで撮影した前記ポンプの内部のカメラ画像に基づいて、前記ポンプ内において前記内視鏡の先端が向いている方向を求める方向決定部と、
を備え、
前記複数のカメラは、それぞれ異なる撮影方向のカメラ画像を撮影するように、前記撮影部の異なる位置に配置され、
前記点検装置は、前記複数のカメラの各々の撮影方向と前記内視鏡の先端の向きとの方向関係が記憶されている記憶部を備え、
前記方向決定部は、前記複数のカメラで撮影した前記ポンプの内部のカメラ画像のうち、前記基準マーカーを撮影したカメラ画像における当該基準マーカーの画像内位置に基づいて、当該基準マーカーを撮影したカメラの撮影方向を算出し、前記内視鏡の先端の向きと当該カメラの撮影方向との方向関係に基づいて、前記内視鏡の先端が向いている方向を求めることを特徴とするポンプ点検システム。
【請求項3】
前記点検装置は、
前記複数のカメラで撮影した前記ポンプの内部のカメラ画像を複数の画面にそれぞれ表示するマルチ表示部を備える、請求項1または請求項2に記載のポンプ点検システム。
【請求項4】
前記点検装置は、
前記複数のカメラで撮影した前記ポンプの内部のカメラ画像を球面表示画像に変換する球面表示処理部と、
前記球面表示画像を球面状の画面に表示する球面表示部と、
を備える、請求項1または請求項2に記載のポンプ点検システム。
【請求項5】
前記点検装置は、
前記複数のカメラで撮影した前記ポンプの内部のカメラ画像を立体表示画像に変換する立体表示処理部と、
前記立体表示画像を立体表示画面に表示する立体表示部と、
を備える、請求項1または請求項2に記載のポンプ点検システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプの内部に挿入される内視鏡と、内視鏡が接続される点検装置を備えるポンプ点検システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ポンプには、様々な種類のものが存在する。例えば、河川水などの液体を移送する目的では、立軸ポンプが用いられる。立軸ポンプでは、一般に、吊下管が吸込水槽上部のポンプ据付床に設置され、吊下管の下方には羽根車を収容するインペラケーシングが接続される。立軸ポンプは、羽根車や水中軸受が水中に浸漬された状態で運転されるため、運転時間の経過とともに立軸ポンプを構成する部材が徐々に摩耗する。また、吊下管、インペラケーシング、羽根車などに腐食が発生する場合もある。このため、立軸ポンプの内部点検を定期的に行って、羽根車やインペラケーシングなどにおける摩耗状況や腐食の発生状況を把握し、必要に応じて補修または交換を行うことが必要となる。
【0003】
そのため従来から、ポンプの内部を容易に点検するための様々な装置や方法が提案されている。例えば、ポンプケーシング内に水平に配置されるレールと、ポンプケーシングに設けられた点検口にレールを固定するための点検口固定具と、ポンプケーシングの内面にレールを固定するための内面固定具と、レール上を水平方向に移動可能な点検ユニットを備えた点検装置が提案されている。点検口固定具は、レールの一端部に取り付けられ、内面固定具はレールの他端部に取り付けられる。点検ユニットは、例えば、ポンプケーシング内部の画像を撮影する内視鏡であり、ポンプケーシング内を上下方向に移動可能に構成されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−96707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、内視鏡は、ポンプ内を上下方向に移動することができる。また、内視鏡は、先端を屈曲させて様々な方向を撮影できるように構成されている。しかしながら、従来の装置では、ポンプ内における内視鏡の位置と方向を知ることについては、何ら考慮されておらず、内視鏡でポンプ内のどの部分をどの方向から撮影しているのかを把握することが困難であった。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、内視鏡でポンプ内のどの部分をどの方向から撮影しているのかを容易に把握することのできるポンプ点検システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のポンプ点検システムは、ポンプの内部に挿入される内視鏡と、前記内視鏡が接続される点検装置とを備えるポンプ点検システムであって、前記内視鏡は、複数のカメラを有する撮影部と、前記複数のカメラで撮影したカメラ画像を前記点検装置に送信するためのケーブル部と、を備え、前記点検装置は、前記複数のカメラで撮影した前記ポンプの内部のカメラ画像に基づいて、前記ポンプ内における前記内視鏡の先端の位置を求める位置決定部と、前記複数のカメラで撮影した前記ポンプの内部のカメラ画像に基づいて、前記ポンプ内において前記内視鏡の先端が向いている方向を求める方向決定部と、を備えている。
【0008】
この構成によれば、複数のカメラで撮影したポンプの内部のカメラ画像に基づいて、ポンプ内における内視鏡の先端の位置と、内視鏡の先端が向いている方向を求めることができる。したがって、内視鏡でポンプ内のどの部分をどの方向から撮影しているのかを容易に把握することができる。
【0009】
また、本発明のポンプ点検システムでは、前記複数のカメラは、それぞれ異なる撮影方向のカメラ画像を撮影するように、前記撮影部の異なる位置に配置され、前記点検装置は、前記ポンプの内部に設けられた複数の基準マーカーの各々について、前記ポンプ内における前記基準マーカーの位置が記憶されている記憶部を備え、前記位置決定部は、前記複数のカメラで撮影した前記ポンプの内部のカメラ画像のうち、同一の前記基準マーカーを撮影した2つのカメラ画像に基づいて、前記内視鏡の先端から当該基準マーカーまでの距離を算出し、少なくとも3つの異なる前記基準マーカーまでの距離と前記ポンプ内における当該基準マーカーの位置に基づいて、前記ポンプ内における前記内視鏡の先端の位置を求めてもよい。
【0010】
この構成によれば、複数のカメラで撮影したポンプの内部のカメラ画像のうち、同一の基準マーカーを撮影した2つのカメラ画像に基づいて、内視鏡の先端から当該基準マーカーまでの距離を算出することができる。そして、少なくとも3つの異なる基準マーカーまでの距離とポンプ内における基準マーカーの位置に基づいて、ポンプ内における内視鏡の先端の位置(3次元座標)を求めることができる。
【0011】
また、本発明のポンプ点検システムでは、前記記憶部に、前記複数のカメラの各々の撮影方向と前記内視鏡の先端の向きとの方向関係が記憶されており、前記方向決定部は、前記複数のカメラで撮影した前記ポンプの内部のカメラ画像のうち、前記基準マーカーを撮影したカメラ画像における当該基準マーカーの画像内位置に基づいて、当該基準マーカーを撮影したカメラの撮影方向を算出し、前記内視鏡の先端の向きと当該カメラの撮影方向との方向関係に基づいて、前記内視鏡の先端が向いている方向を求めてもよい。
【0012】
この構成によれば、複数のカメラで撮影したポンプの内部のカメラ画像のうち、基準マーカーを撮影したカメラ画像における基準マーカーの位置(画像内位置)に基づいて、その基準マーカーを撮影したカメラの撮影方向を算出することができる。そして、内視鏡の先端の向きとカメラの撮影方向との方向関係から、内視鏡の先端が向いている方向を求めることができる。
【0013】
また、本発明のポンプ点検システムでは、前記点検装置は、前記複数のカメラで撮影した前記ポンプの内部のカメラ画像を複数の画面にそれぞれ表示するマルチ表示部を備えてもよい。
【0014】
この構成によれば、複数のカメラで撮影したポンプ内の各部のカメラ画像が複数の画面に表示されるので、ポンプ内の複数の箇所の点検を画面ごとに行うことができる。
【0015】
また、本発明のポンプ点検システムでは、前記点検装置は、前記複数のカメラで撮影した前記ポンプの内部のカメラ画像を球面表示画像に変換する球面表示処理部と、前記球面表示画像を球面状の画面に表示する球面表示部と、を備えてもよい。
【0016】
この構成によれば、複数のカメラで撮影したポンプ内のカメラ画像が球面表示画像(例えば、全天周画像)に変換されて球面状の画面(例えば、全天周画面)に表示されるので、ポンプ内の様子を全体的に把握することができる。
【0017】
また、本発明のポンプ点検システムでは、前記点検装置は、前記複数のカメラで撮影した前記ポンプの内部のカメラ画像を立体表示画像に変換する立体表示処理部と、前記立体表示画像を立体表示画面に表示する立体表示部と、を備えてもよい。
【0018】
この構成によれば、複数のカメラで撮影したポンプ内のカメラ画像が立体表示画像(3次元表示画像)に変換されて立体表示画面(3次元表示画面)に表示されるので、ポンプ内の様子を立体的に(3次元的に)把握することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、内視鏡でポンプ内のどの部分をどの方向から撮影しているのかを容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施の形態におけるポンプ点検システムの構成を示す説明図である。
【
図2】本発明の実施の形態における内視鏡の構成を示す説明図である。
【
図3】本発明の実施の形態における検査装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】他の実施の形態における検査装置の構成を示すブロック図である。
【
図5】他の実施の形態における検査装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態のポンプ点検システムについて、図面を用いて説明する。本実施の形態では、立軸ポンプのメンテナンス等に用いられるポンプ点検システムの場合を例示する。
【0022】
図1は、立軸ポンプの全体構成を概略的に示した説明図(断面図)である。
図1に示すように、立軸ポンプ1のポンプケーシング2は、インペラケーシング3と吊下管4と吐出曲管5で構成されている。インペラケーシング3は、吊下管4によって吸込水槽6内に吊り下げられている。吊下管4の上端には、吐出曲管5が接続されている。ポンプケーシング2は、吸込水槽6の上部のポンプ据付床7に据付ベース8を介して固定されている。
【0023】
インペラケーシング3の下端には、下方に向けて開口する吸込ベルマウス17が接続されている。インペラケーシング3の内部には、羽根車9が収容されている。羽根車9の上方には、複数のガイドベーン10が設けられている。ガイドベーン10は、インペラケーシング3の内周面に固定されている。
【0024】
羽根車9は、回転軸11(主軸)に固定されており、羽根車9と回転軸11は一体的に回転する。回転軸11は、鉛直方向に延びており、中間軸受12により回転自在に支持されている。回転軸11は、吐出曲管5から上方に突出して、駆動源13に連結されている。駆動源13を運転することにより、回転軸11を介して羽根車9を回転させると、吸込水槽6内の水(河川から引き込まれた水など)が吸込ベルマウス17から吸い込まれ、インペラケーシング3、吊下管4、吐出曲管5を通って、吐出配管14に移送される。
【0025】
吐出曲管5には、点検箇所の上方に点検口15(ハンドホール)が設けられている。点検箇所は、例えば、ガイドベーン10や羽根車9の隙間などである。点検口15からポンプケーシング2の内部に内視鏡21(後述する)が挿入され、立軸ポンプ1の点検が行われる。また、ポンプケーシング2の内面(例えば、点検箇所の近傍の内面)には、複数の基準マーカー16が設けられている。基準マーカー16は、例えば、その基準マーカー16が設けられている位置(ポンプケーシング2内における位置)を識別するための識別情報(例えば、文字、数字、図形など)である。
【0026】
つぎに、立軸ポンプ1の点検に用いられるポンプ点検システム20の構成を、図面を参照して説明する。ポンプ点検システム20は、ポンプケーシング2の内部に挿入される内視鏡21と、内視鏡21が接続される点検装置22を備えている。
【0027】
図2は、内視鏡21の構成を示す説明図である。
図2に示すように、内視鏡21の先端には、複数のカメラ23(カメラA、カメラB、・・・)を有する撮影部24が設けられている。撮影部24からは、複数のカメラ23で撮影したカメラ画像を点検装置22に送信するためのケーブル部25が延設されている。この場合、複数のカメラ23は、それぞれ異なる撮影方向のカメラ画像を撮影するように、撮影部24の異なる位置に配置されている。例えば、撮影部24の前面部に、前方を撮影するカメラ23が配置されており、撮影部24の側面部に、斜め前方、側方、斜め後方などを撮影するカメラ23が配置されている。また、ケーブル部25は、柔軟性を有しており、任意に屈曲させることができる。ケーブル部25を屈曲させることにより、撮影部24の向き(内視鏡21の先端が向いている方向)を変えることができる。
【0028】
図3は、点検装置22の構成を示すブロック図である。
図3に示すように、点検装置22は、CPUなどで構成される制御部26と、複数の画面(モニタA、モニタB、・・・)で構成されるマルチ表示部27と、メモリなどで構成される記憶部28を備えている。
【0029】
記憶部28には、ポンプケーシング2の内面に設けられた複数の基準マーカー16(基準マーカーA、基準マーカーB、・・・)の各々について、ポンプケーシング2内における基準マーカー16の位置が記憶されている。例えば、基準マーカーAの座標(X
A,Y
A,Z
A)、基準マーカーBの座標(X
B,Y
B,Z
B)、・・・などが記憶されている。なお、(X,Y,Z)は、直交直線座標系の3つの座標である。
【0030】
また、記憶部28には、複数のカメラ23の各々の撮影方向と内視鏡21の先端の向き(基準方向)との方向関係が記憶されている。例えば、内視鏡21の先端の向き(基準方向)に対するカメラAの撮影方向の角度(θ
A,φ
A)、内視鏡21の先端の向き(基準方向)に対するカメラBの撮影方向の角度(θ
B,φ
B)、・・・などが記憶されている。なお、(θ,φ)は、球面座標系の2つの角度座標である。
【0031】
制御部26は、位置決定部29と方向決定部30とマルチ表示処理部31を備えている。位置決定部29は、複数のカメラ23で撮影したポンプケーシング2の内部のカメラ画像に基づいて、ポンプケーシング2内における内視鏡21の先端の位置を求める機能を備えている。より具体的には、位置決定部29は、複数のカメラ23で撮影したポンプケーシング2の内部のカメラ画像のうち、同一の基準マーカー16を撮影した2つのカメラ画像に基づいて、内視鏡21の先端から当該基準マーカー16までの距離を算出し、少なくとも3つの異なる基準マーカー16までの距離とポンプケーシング2内におけるその基準マーカー16の位置に基づいて、ポンプケーシング2内における内視鏡21の先端の位置を求める。
【0032】
また、方向決定部30は、複数のカメラ23で撮影したポンプケーシング2の内部のカメラ画像に基づいて、ポンプケーシング2内において内視鏡21の先端が向いている方向を求める機能を備えている。より具体的には、方向決定部30は、複数のカメラ23で撮影したポンプケーシング2の内部のカメラ画像のうち、基準マーカー16を撮影したカメラ画像における基準マーカー16の位置(画像内位置)に基づいて、その基準マーカー16を撮影したカメラ23の撮影方向を算出し、内視鏡21の先端の向きとそのカメラ23の撮影方向との方向関係に基づいて、内視鏡21の先端が向いている方向を求める。
【0033】
マルチ表示部27は、複数のカメラ23(カメラA、カメラB、・・・)で撮影したポンプケーシング2の内部のカメラ画像を、複数の画面(モニタA、モニタB、・・・)にそれぞれ表示する機能を備えている。例えば、カメラAで撮影したポンプケーシング2内部のカメラ画像が、モニタAに表示され、カメラBで撮影したポンプケーシング2内部のカメラ画像が、モニタBに表示される。
【0034】
なお、マルチ表示部27は、必ずしもすべての画面にすべてのカメラ画像を表示しなくてもよい。例えば、一部の画面(例えば、モニタAのみ)に一部のカメラ画像(例えば、所定の水平方向の画像のみ)を表示してもよい。本実施の形態では、方向決定部30によって、内視鏡21の先端が向いている方向が求められるので、どのカメラ画像が所定の水平方向を映している画像かがわかる。したがって、複数のカメラ画像の中から、所定の水平方向を映しているカメラ画像(画面に映すべきカメラ画像)を選択することができる。
【0035】
このような本実施の形態のポンプ点検システム20によれば、複数のカメラ23で撮影したポンプケーシング2の内部のカメラ画像に基づいて、ポンプケーシング2内における内視鏡21の先端の位置と、内視鏡21の先端が向いている方向を求めることができる。したがって、内視鏡21でポンプケーシング2内のどの部分をどの方向から撮影しているのかを容易に把握することができる。
【0036】
本実施の形態では、複数のカメラ23で撮影したポンプケーシング2の内部のカメラ画像のうち、同一の基準マーカー16を撮影した2つのカメラ画像に基づいて、内視鏡21の先端から当該基準マーカー16までの距離を算出することができる。そして、少なくとも3つの異なる基準マーカー16までの距離とポンプケーシング2内における基準マーカー16の位置に基づいて、ポンプケーシング2内における内視鏡21の先端の位置(3次元座標)を求めることができる。
【0037】
また、本実施の形態では、複数のカメラ23で撮影したポンプケーシング2の内部のカメラ画像のうち、基準マーカー16を撮影したカメラ画像における基準マーカー16の位置(画像内位置)に基づいて、その基準マーカー16を撮影したカメラ23の撮影方向を算出することができる。そして、内視鏡21の先端の向きとカメラ23の撮影方向との方向関係から、内視鏡21の先端が向いている方向を求めることができる。
【0038】
この場合、複数のカメラ23(カメラA、カメラB、・・・)で撮影したポンプケーシング2内の各部のカメラ画像が、マルチ表示部27の複数の画面(モニタA、モニタB、・・・)に表示されるので、ポンプケーシング2内の複数の箇所の点検を画面ごとに行うことができる。
【0039】
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
【0040】
例えば、上記の実施の形態では、検査装置が、複数のカメラ23で撮影したポンプケーシング2の内部のカメラ画像を複数の画面にそれぞれ表示するマルチ表示部27を備えていたが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。
【0041】
図4には、検査装置の他の実施の形態が示される。
図4に示すように、検査装置は、複数のカメラ23で撮影したポンプケーシング2の内部のカメラ画像を球面表示画像に変換する球面表示処理部32と、球面表示画像を球面状の画面に表示する球面表示部33を備えてもよい。例えば、球面表示画像は全天周画像であり、球面表示部33は全天周モニタである。なお、球面表示画像は部分球面画像であり、球面表示部33は部分球面モニタであってもよい。
【0042】
このような検査装置によれば、複数のカメラ23で撮影したポンプケーシング2内のカメラ画像が球面表示画像(例えば、全天周画像)に変換されて球面状の画面(例えば、全天周画面)に表示されるので、ポンプケーシング2内の様子を全体的に把握することができる。
【0043】
また、
図5には、検査装置の他の実施の形態が示される。
図5に示すように、検査装置は、複数のカメラ23で撮影したポンプケーシング2の内部のカメラ画像を立体表示画像(3次元表示画面)に変換する立体表示処理部34と、立体表示画像を立体表示画面に表示する立体表示部35を備えてもよい。なお、立体表示画面は、裸眼式の3次元表示画面であってもよく、メガネ式の3次元表示画面であってもよい。
【0044】
このような検査装置によれば、複数のカメラ23で撮影したポンプケーシング2内のカメラ画像が立体表示画像(3次元表示画像)に変換されて立体表示画面(3次元表示画面)に表示されるので、ポンプケーシング2内の様子を立体的に(3次元的に)把握することができる。
【0045】
なお、基準マーカー16は、点ではなく、非対称な二次元図形であっても良い。この場合、対象物上の二次元図形の位置、方向、大きさの情報をあらかじめ記憶しておけば、光学特性の既知である一つのカメラ23で、一つの基準マーカー16を撮影するだけで、撮影画像の解析によって内視鏡21の対象物に対する位置と方向を特定することができる。二次元図形は、任意な図形でよく、文字や数字等であってもよい。ただし非対称性を必要とするため、例えばアルファベットでは「O」、「o」、「l」、「I」、「X」、「x」などは望ましくない。しかしながら、複数を組み合わせで対称性を崩せば使用することができる。例えば「Xx」などであれば使用することができる。カメラ23は単眼でも良いが、このような方式をとれば、カメラ23を複数にすることにより、位置決めと方向決めのロバスト性と精度を上げることができる。例えば、一つのカメラ23の場合、全ての基準マーカー16が視野からはずれると位置方向解析が不可能になるが、複数のカメラ23の場合、どれか一つのカメラ23がどれか一つの基準マーカー16を撮影できれば位置方向解析が可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上のように、本発明にかかるポンプ点検システムは、内視鏡でポンプ内のどの部分をどの方向から撮影しているのかを容易に把握することができるという効果を有し、立軸ポンプのメンテナンス等に用いられ、有用である。
【符号の説明】
【0047】
1 立軸ポンプ
2 ポンプケーシング
3 インペラケーシング
4 吊下管
5 吐出曲管
6 吸込水槽
7 ポンプ据付床
8 据付ベース
9 羽根車
10 ガイドベーン
11 回転軸
12 中間軸受
13 駆動源
14 吐出配管
15 点検口
16 基準マーカー
17 吸込ベルマウス
20 ポンプ点検システム
21 内視鏡
22 点検装置
23 カメラ
24 撮影部
25 ケーブル部
26 制御部
27 マルチ表示部
28 記憶部
29 位置決定部
30 方向決定部
31 マルチ表示処理部
32 球面表示処理部
33 球面表示部
34 立体表示処理部
35 立体表示部