(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869123
(24)【登録日】2021年4月15日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】プローブ装置及び針跡転写方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20210426BHJP
G01R 31/28 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
H01L21/66 B
G01R31/28 K
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-123644(P2017-123644)
(22)【出願日】2017年6月23日
(65)【公開番号】特開2019-9282(P2019-9282A)
(43)【公開日】2019年1月17日
【審査請求日】2020年1月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】太田 智浩
(72)【発明者】
【氏名】山県 一美
(72)【発明者】
【氏名】望月 三代
【審査官】
安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−327805(JP,A)
【文献】
特開2005−079253(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/107558(WO,A1)
【文献】
特開2014−130898(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
H01L 21/67−687
G01R 1/02−18
G01R 31/26−3193
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置台に載置される被検査体とプローブとを電気的に接触させて前記被検査体の電気的特性を検査するプローブ装置であって、
前記プローブの針跡を転写する針跡転写部材を上面に有する支持台と、
前記載置台の側方から延伸して形成され、前記支持台を下方から固定支持する固定支持部と、
前記支持台の下方に配設され、前記支持台と接触可能に上下動し、前記支持台を可動支持する可動支持部と、
を有する、プローブ装置。
【請求項2】
前記可動支持部は、前記支持台の下面に接触可能な第1ロック機構と、前記第1ロック機構を上下動させるアクチュエータと、を有する、
請求項1に記載のプローブ装置。
【請求項3】
前記第1ロック機構は、エアロック式のロック機構である、
請求項2に記載のプローブ装置。
【請求項4】
前記載置台を第1の水平方向に移動させる第1ベース部と、
前記第1ベース部の上に設けられ、前記載置台を前記第1の水平方向と直交する第2の水平方向に移動させる第2ベース部と、
を有し、
前記アクチュエータの一端は、前記第2ベース部に固定されている、
請求項2又は3のいずれか一項に記載のプローブ装置。
【請求項5】
前記第2ベース部に対して前記載置台を昇降させる昇降機構を有し、
前記針跡転写部材に前記プローブの針跡を転写する際、前記昇降機構と前記アクチュエータとが同期して前記載置台及び前記可動支持部を上昇させる、
請求項4に記載のプローブ装置。
【請求項6】
載置台に載置される被検査体とプローブとを電気的に接触させて前記被検査体の電気的特性を検査するプローブ装置において、前記プローブと前記被検査体の電極との位置合せのために、前記プローブの針跡を針跡転写部材に転写する針跡転写方法であって、
前記載置台の側方から延伸して形成された固定支持部に固定支持され、上面に前記針跡転写部材を有する支持台の下面に、前記支持台の下方から上下動する可動支持部を接触させる工程と、
前記載置台と前記可動支持部とを同期して上昇させることにより、前記プローブと前記針跡転写部材とを接触させる工程と、
を有する、針跡転写方法。
【請求項7】
前記支持台の下面に前記可動支持部を接触させる前に、前記プローブと前記針跡転写部材の上面との間隔が所定の間隔となるように前記載置台を上昇させる工程を有する、
請求項6に記載の針跡転写方法。
【請求項8】
前記支持台の下面に前記可動支持部を接触させた後に、前記載置台を固定した状態で前記可動支持部を所定距離だけ上昇させる工程を有する、
請求項6又は7に記載の針跡転写方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プローブ装置及び針跡転写方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、載置台に載置される被検査体とプローブとを電気的に接触させて被検査体の電気的特性を検査するプローブ装置が知られており(例えば、特許文献1参照)、特許文献1のプローブ装置では、載置台に片持ち支持された支持台の上に取り付けられた針跡転写部材にプローブを接触させ、プローブの針先位置を針跡転写部材に転写させた後、転写したプローブの針跡の位置座標と、被検査体の基準電極パッドの位置座標をカメラで検出し、それらの位置座標に基づいて、プローブと被検査体の電極パッドとの位置合せを行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4156968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のプローブ装置では、プローブと針跡転写部材とを接触させた際に針跡転写部材に大きな荷重が加わるため、針跡転写部材を支持する支持台が下方に傾く場合がある。支持台が下方に傾くと、針跡転写部材に転写される針跡の形状にムラが生じたり、針跡の位置にズレが生じたりする等、プローブの針跡の転写精度が低下する。その結果、プローブと電極パッドとの位置合せ精度が低下する。
【0005】
そこで、上記課題に鑑み、本発明ではプローブの針跡の転写精度を向上させることを可能とするプローブ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係るプローブ装置は、載置台に載置される被検査体とプローブとを電気的に接触させて前記被検査体の電気的特性を検査するプローブ装置であって、前記プローブの針跡を転写する針跡転写部材を上面に有する支持台と、前記載置台の側方から延伸して形成され、前記支持台を下部から固定支持する固定支持部と、前記支持台の下方に配設され、前記支持台と接触可能に上下動し、前記支持台を可動支持する可動支持部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
開示のプローブ装置によれば、プローブの針跡の転写精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係るプローブ装置の概略図
【
図3】本発明の実施形態に係る針跡転写方法の一例を説明するための図
【
図4】
図1のプローブ装置を用いたときの効果の説明図(1)
【
図5】
図1のプローブ装置を用いたときの効果の説明図(2)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く。
【0010】
〔プローブ装置〕
本発明の実施形態に係るプローブ装置について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るプローブ装置の概略図である。
図2は、
図1のプローブ装置の要部を示す概略断面図である。
【0011】
図1に示されるように、プローブ装置1は、被検査体である半導体ウエハWを搬送するローダ室10と、ローダ室10に隣接して配置され、半導体ウエハWの電気的特性の検査を行うプローバ室20と、を有する。プローブ装置1は、制御装置の制御下で、ローダ室10からプローバ室20へ半導体ウエハWを搬送し、プローバ室20において半導体ウエハWの電気的特性を検査する。
【0012】
ローダ室10には、カセット収納部11、ウエハ搬送機構(図示せず)、及びプリアライメント機構(図示せず)が設けられている。ウエハ搬送機構は、カセット収納部11のカセットC、プリアライメント機構、及びプローバ室20の間で半導体ウエハWを搬送する。プリアライメント機構は、半導体ウエハWのオリフラ、ノッチ等を基準にして、半導体ウエハWの位置合せ(プリアライメント)を行う。
【0013】
プローバ室20には、
図2に示されるように、載置台21、昇降機構22、XYステージ23、プローブカード24、アライメント機構25、固定支持部26、支持台27、及び可動支持部28が設けられている。プローバ室20では、制御装置30の制御下でアライメント機構25が駆動して、載置台21上の半導体ウエハWの電極パッドとプローブカード24の複数のプローブ24aとの位置合せ(アライメント)が行われる。その後、複数のプローブ24aを対応する電極パッドに電気的に接触させて半導体ウエハWの電気的特性の検査が行われる。
【0014】
載置台21は、上面に半導体ウエハWを載置する。載置台21は、例えばバキュームチャックや静電チャックを含む。載置台21は、XYステージ23の上に、昇降機構22を介してXYステージ23に対して昇降が可能に設けられている。
【0015】
昇降機構22は、軸部22aと、ガイド部22bと、を有する。駆動機構(図示せず)により軸部22aを回転させることで、載置台21がガイド部22bに沿ってXYステージ23に対して昇降する。また、載置台21内には回転駆動機構(図示せず)が配設されており、載置台21を回転させることもできる。
【0016】
XYステージ23は、プローバ室20の底部に取り付けられている。XYステージ23は、第1ベース部23aと、第2ベース部23bと、を有する。第1ベース部23aは、プローバ室20の底部に取り付けられており、載置台21を第1の水平方向であるY方向に移動させる。第2ベース部23bは、第1ベース部23aの上に設けられ、載置台21をY方向と直交する第2の水平方向であるX方向に移動させる。この構成により、載置台21を2軸方向(X方向及びY方向)に移動可能となっている。
【0017】
プローブカード24は、載置台21の上方に配置されている。プローブカード24の載置台21側には、複数のプローブ24aが形成されている。プローブカード24は、ヘッドプレート24bに着脱可能に取り付けられている。プローブカード24には、テストヘッドTを介してテスタ(図示せず)が接続されている。プローブ装置1では、テスタからの検査用信号をテストヘッドT及びプローブカード24の複数のプローブ24aを介して半導体ウエハWに印加することで、半導体ウエハWの電気的特性の検査が行われる。
【0018】
アライメント機構25は、第1撮像手段25aと、第2撮像手段25bと、アライメントブリッジ25cと、を有する。第1撮像手段25aは、アライメントブリッジ25cの中央に下向きに取り付けられており、半導体ウエハW及び針跡転写部材27dを撮像する。第2撮像手段25bは、載置台21の側方に上向きに取り付けられており、プローブカード24のプローブ24aを下方から撮像する。第1撮像手段25a及び第2撮像手段25bは、例えばCCDカメラである。アライメントブリッジ25cは、第1撮像手段25aを支持した状態で水平方向(例えばY方向)に移動可能に構成されている。これにより、第1撮像手段25aは、制御装置30の制御下でアライメントブリッジ25cを介して待機位置とプローブカード24の中心の真下(以下「プローブセンタ」という。)との間を移動し得る。プローブセンタに位置する第1撮像手段25aは、アライメントの際、載置台21がXY方向に移動する間に載置台21上の半導体ウエハWの電極パッドを上方から撮像し、画像処理して表示装置40に撮像画像を表示する。第2撮像手段25bは、アライメントの際、載置台21がXY方向へ移動する間にプローブカード24の所定のプローブ24aを下方から撮像し、画像処理して表示装置40に撮像画像を表示する。また、第1撮像手段25aは、後述する針跡転写部材27dを撮像し、画像処理して表示装置40に撮像画像を表示する。
【0019】
固定支持部26は、載置台21の側方から外側に向かって延伸し、固定支持部26の先端には支持台27が取り付けられている。固定支持部26は、載置台21と別体で構成されていてもよく、載置台21と一体的に構成されていてもよい。
【0020】
支持台27は、固定支持部26の先端に取り付けられて固定支持されている。言い換えると、支持台27は、固定支持部26により下方から片持ち支持されている。これにより、支持台27は、載置台21と共に上下方向(Z方向)、水平方向(XY方向)、及び回転方向に移動可能となっている。支持台27は、固定部27aと、可動部27bと、昇降機構27cと、針跡転写部材27dと、を有する。固定部27aは、下面の一部が固定支持部26の先端に取り付けられている。可動部27bは、固定部27aの上に、シリンダ等の昇降機構27cを介して固定部27aに対して昇降可能に取り付けられている。針跡転写部材27dは、可動部27bの上面に取り付けられている。針跡転写部材27dは、プローブ24aの針先を接触させることで、針跡が転写される部材である。針跡転写部材27dの材料としては、プローブ24aの針跡が付く硬さを有し、且つ針跡が容易に消失しない材料により形成されていればよく、例えばポリイミド(PI)、ポリオレフィン(PO)、ポリ塩化ビニル(PVC)等の合成樹脂を用いることができる。
【0021】
係る構成により、可動部27bが昇降することで、針跡転写部材27dの上面が載置台21の上面よりも低い位置から載置台21上に載置される半導体ウエハWの上面よりも高い位置まで昇降し得る。例えば、針跡転写部材27dにプローブ24aの針跡を転写する場合、可動部27bは、針跡転写部材27dの上面が載置台21上の半導体ウエハWの上面と同じ高さ、又は載置台21上の半導体ウエハWの上面よりも僅かに上方の位置となるように上昇する。これにより、半導体ウエハWの電極にプローブ24aを接触させるときの高さと略同じ高さで針跡転写部材27dにプローブ24aの針跡を転写することができる。また、例えばXYステージ23により載置台21を水平方向に移動させる場合、可動部27bは、針跡転写部材27dの上面の高さが載置台21の上面よりも低い位置となるように下降する。これにより、載置台21が移動する際、針跡転写部材27dがプローブ24aやアライメント機構25等に接触することを防止できる。
【0022】
可動支持部28は、支持台27の下方に配設され、支持台27と接触可能に上下動し、支持台27を可動支持する。可動支持部28は、アクチュエータ28aと、第3ベース部28bと、第1ロック機構28cと、第2ロック機構28dと、第4ベース部28eと、を有する。アクチュエータ28aは、例えば、ねじ軸281aとナット282aとの間でボールが転がり運動をすることによりナット282aを昇降させるボールねじである。ねじ軸281aの一端(下端)は、第3ベース部28bの上面に固定されている。第3ベース部28bは、第2ベース部23bから外側に向かって延伸して形成されている。第3ベース部28bは、第2ベース部23bと別体で構成されていてもよく、第2ベース部23bと一体的に構成されていてもよい。第1ロック機構28cは、ナット282a上に設けられている。第1ロック機構28cは、ナット282aの昇降に伴って昇降し、支持台27の固定部27aの下面と接触することで、支持台27を下方から支持する。これにより、針跡転写部材27dに複数のプローブ24aの針先を接触させることで針跡転写部材27dに大きな荷重が加わった場合であっても、支持台27が下方に傾くことを抑制できる。そのため、針跡転写部材27dに対して垂直に複数のプローブ24aの針先が接触するので、針跡転写部材27dに転写される針跡の形状にムラが生じたり、針跡の位置にズレが生じたりすることを防止できる。その結果、プローブ24aの針跡の転写精度が低下することを抑制でき、プローブ24aと半導体ウエハWの電極パッドとの位置合せ精度が向上する。また、第1ロック機構28cは、弾性的に固定部27aの下面に接触するバネ等の接触部を有し、接触部が固定部27aの下面に接触した際に固定(ロック)されるロック機構であることが好ましい。これにより、固定部27aの下面との間に隙間を作ることなく、第1ロック機構28cを固定部27aの下面に確実に接触させた状態で支持台27を支持できる。このようなロック機構としては、エア等により接触部が動作するエアロック式のロック機構を用いることができ、例えばコスメック社製のワークサポートを用いることができる。第2ロック機構28dは、第3ベース部28bの下面に取り付けられており、第3ベース部28bのねじ軸281aが固定されている部分が下方に傾こうとすると、第4ベース部28eの上面と接触して第3ベース部28bが下方に傾くことを防止する。第2ロック機構28dは、弾性的に第4ベース部28eの上面に接触する接触部を有し、接触部が第4ベース部28eの上面に接触した際に固定(ロック)されるロック機構であることが好ましい。これにより、第4ベース部28eの上面との間に隙間を作ることなく、第2ロック機構28dを第4ベース部28eの上面に確実に接触させた状態で第3ベース部28bを支持できる。第2ロック機構28dとしては、第1ロック機構28cと同様のものを用いることができる。第4ベース部28eは、第1ベース部23aの側方から外側に向かって延伸するように設けられている。第4ベース部28eは、第1ベース部23aと別体で構成されていてもよく、第1ベース部23aと一体的に構成されていてもよい。
【0023】
〔針跡転写方法〕
前述したプローブ装置1を用いた針跡転写方法について説明する。
図3は、本発明の実施形態に係る針跡転写方法の一例を説明するための図である。
【0024】
最初に、
図3(a)に示されるように、XYステージ23により、プローブカード24の真下に支持台27(針跡転写部材27d)が位置するように載置台21を水平方向に移動させる。
【0025】
続いて、
図3(b)に示されるように、昇降機構22により、プローブカード24のプローブ24aの針先と針跡転写部材27dの上面との間隔が所定の間隔(例えば500μm)となるように載置台21を上昇させる。また、アクチュエータ28aにより、第1ロック機構28cの接触部の上端と固定部27aの下面との間隔が所定の間隔(例えば3mm)となるように第1ロック機構28cを上昇させる。なお、載置台21と第1ロック機構28cとは、同時に上昇させてもよく、一方を上昇させた後に他方を上昇させてもよい。
【0026】
続いて、
図3(c)に示されるように、第1ロック機構28cの接触部を上昇させることで接触部の上端を固定部27aの下面に接触させてロックさせる。また、第1ロック機構28cがロックした後、載置台21を固定した状態で、アクチュエータ28aにより、第1ロック機構28cを所定距離(例えば10μm)だけ上昇させることが好ましい。
【0027】
続いて、
図3(d)に示されるように、昇降機構22及びアクチュエータ28aにより、載置台21と第1ロック機構28cとを同期して上昇させることにより、プローブ24aを針跡転写部材27dに接触させる。これにより、プローブ24aの針跡を針跡転写部材27dに転写することができる。このとき、本発明の実施形態では、針跡転写部材27dを有する支持台27の下面が可動支持部28によって支持されているので、支持台27が下方に傾くことが抑制される。そのため、針跡転写部材27dに対して垂直に複数のプローブ24aの針先を接触させることができるので、針跡転写部材27dに転写される針跡の形状にムラが生じたり、針跡の位置にズレが生じたりすることを防止できる。その結果、プローブ24aの針跡の転写精度が低下することを抑制でき、プローブ24aと半導体ウエハWの電極パッドとの位置合せ精度が向上する。
【0028】
〔効果〕
前述したプローブ装置1を用いたときの効果について説明する。
【0029】
最初に、前述したプローブ装置1において、支持台27を可動支持部28で支持した状態及び支持していない状態で、針跡転写部材27dに対して上方から下方に50kgの荷重を加えたときの、針跡転写部材27dの水平方向(Y方向)への移動距離を測定した。
【0030】
図4は、
図1のプローブ装置を用いたときの効果の説明図である。
図4は、支持台27を可動支持部28で支持した状態及び支持していない状態で針跡転写部材27dに対して50kgの荷重を加えたときの針跡転写部材27dが載置されている可動部27bのY方向への移動距離を示している。
【0031】
図4に示されるように、支持台27を可動支持部28で支持した状態では、可動部27bのY方向への移動量は12μmであった。これに対し、支持台27を可動支持部28で支持していない状態では、可動部27bのY方向への移動量は53.3μmであった。即ち、支持台27を可動支持部28で支持することで、可動部27bの水平方向における移動量を抑制することができ、しいては針跡転写部材27dの水平方向における移動量を抑制することができることが確認できた。
【0032】
次に、前述したプローブ装置1において、支持台27を可動支持部28で支持した状態及び支持していない状態で、針跡転写部材27dに複数のプローブ24aの針跡を転写したときの、針跡転写部材27dに転写された針跡の位置を評価した。
【0033】
図5は、
図1のプローブ装置を用いたときの効果の説明図である。
図5(a)及び
図5(b)は、それぞれ支持台27を可動支持部28で支持した状態及び支持していない状態で、針跡転写部材27dに複数のプローブ24aの針跡を転写したときの、針跡転写部材27dに転写された針跡の位置を示す。
図5(a)及び
図5(b)において、横軸及び縦軸は、それぞれX方向及びY方向における支持台27が下方に傾いていない状態での針跡の位置を原点とする相対位置を示している。
【0034】
図5(a)に示されるように、支持台27を可動支持部28で支持した状態では、針跡転写部材27dに転写された針跡の位置が、支持台27が下方に傾いていない水平状態での針跡の位置に対してほとんど変位していないことが分かる。本実施例では、複数のプローブ24aの針跡のうちY方向において最も変位した針跡の変位量は3.4μmであった。また、複数のプローブ24aの針跡のY方向における変位量の平均値は−1.0μmであり、標準偏差(σ)は1.8μmであった。
【0035】
これに対し、
図5(b)に示されるように、支持台27を可動支持部28で支持していない状態では、針跡転写部材27dに転写された針跡の位置が、支持台27が下方に傾いていない水平状態での針跡の位置に対してY方向に大きく変位していることが分かる。本実施例では、複数のプローブ24aの針跡のうちY方向において最も変位した針跡の変位量は20.9μmであった。また、複数のプローブ24aの針跡のY方向における変位量の平均値は8.8μmであり、標準偏差(σ)は6.4μmであった。
【0036】
以上のことから、本発明の実施形態に係るプローブ装置1では、プローブ24aの針跡の転写精度を向上させることができ、プローブ24aと半導体ウエハWの電極パッドとの位置合せ精度が向上する。
【0037】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、上記内容は、発明の内容を限定するものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 プローブ装置
10 ローダ室
20 プローバ室
21 載置台
22 昇降機構
22a 軸部
22b ガイド部
23 XYステージ
23a 第1ベース部
23b 第2ベース部
24 プローブカード
24a プローブ
24b ヘッドプレート
25 アライメント機構
25a 第1撮像手段
25b 第2撮像手段
25c アライメントブリッジ
26 固定支持部
27 支持台
27a 固定部
27b 可動部
27c 昇降機構
27d 針跡転写部材
28 可動支持部
28a アクチュエータ
28b 第3ベース部
28c 第1ロック機構
28d 第2ロック機構
28e 第4ベース部
281a 軸
282a ナット