(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0003】
リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板、通例は基板の目標部分に与える機械である。リソグラフィ装置は例えば、集積回路(IC)の製造に用いられる。その場合、マスク又はレチクルとも称されるパターニングデバイスが、ICの個々の層に回路パターンを生成するために使用されうる。このパターンは、基板(例えばシリコンウェーハ)上の(例えばダイの一部、1つのダイ、又はいくつかのダイを備える)目標部分に転写されることができる。パターンの転写は典型的には基板に設けられた放射感応性材料(レジスト)層への結像により行われる。一般に、一枚の基板にはネットワーク状に隣接する目標部分が含まれ、これらは連続的に露光される。
【0004】
リソグラフィはICや他のデバイス及び/又は構造の製造における主要な工程のひとつとして広く認知されている。しかしながら、リソグラフィを使用して作成されるフィーチャの寸法が小さくなるにつれて、リソグラフィは小型のICや他のデバイス及び/又は構造を製造可能とするためのよりクリティカルな要因となってきている。
パターン印刷の限界の理論推定値は、解像度に関するレイリー基準によって以下に示される式(1)で与えられる。
【数1】
ここでλは使用される放射の波長であり、NAはパターン印刷に使用される投影システムの開口数であり、k1はプロセスに依存する調整係数でありレイリー定数とも呼ばれ、CDは印刷されるフィーチャのフィーチャサイズ(または限界寸法)である。式(1)から導かれるのは、印刷可能なフィーチャサイズの最小値を小さくすることができる3つの方法があるということである。それはすなわち、露光波長λを短くすることによって、又は開口数NAを大きくすることによって、又はk1の値を小さくすることによって、である。
【0005】
露光波長を短くしそれによって印刷可能な最小サイズを小さくするために、極端紫外(EUV)放射源を使用することが提案されている。EUV放射は、5nmから20nmの範囲内、例えば13nmから14nmの範囲内の波長を有する電磁放射である。さらに、10nm未満の波長、例えば6.7nmまたは6.8nmといった5nmから10nmの範囲内の波長を有するEUV放射も使用されうることが提案されている。こうした放射は極紫外放射または軟X線放射と称される。実現可能な光源は例えばレーザ生成プラズマソース、放電プラズマソース、又は電子蓄積リングから供給されるシンクロトロン放射に基づくソースを含む。
【0006】
EUV放射は、プラズマを用いて生成されてもよい。EUV放射を生成するための放射システムは、プラズマを供給する燃料を励起するためのレーザと、プラズマを収容するためのソースコレクタ装置とを含んでもよい。プラズマは例えば、適切な材料(例えばスズ)の粒子、又は、適切な気体又は蒸気(例えばXeガスやLi蒸気など)の流れ等の燃料にレーザビームを向けることにより生成されてもよい。結果として生じるプラズマは、例えばEUV放射などの出力放射を放出し、その出力放射は放射コレクタを用いて集束される。放射コレクタは、放射を受けてその放射をビームへと集束する鏡面垂直入射放射コレクタであってもよい。ソースコレクタ装置は、プラズマを保持するための真空環境を提供するよう構成された包囲構造またはチャンバーを含んでもよい。そのような放射システムは、典型的にレーザ生成プラズマ(LPP)ソースと呼ばれる。
【0007】
プラズマ形成場所から放出される燃料デブリ粒子による汚染からソースコレクタを保護するために、ソースチャンバーにガス流れ様式を構築することが知られている。ガス流れ様式は、ソースコレクタから離れるように出口に向かうガス流れを構築し、それによりコレクタを避けて出口を通じてデブリが運び出される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の特徴及び利点は以下に示される詳細な説明を図面と併せて解することでより明らかとなるであろう。図面において同様の参照符号は全体を通じて対応する要素を特定する。図面において同様の参照番号は概して同一の、機能的に類似の、及び/又は構造的に類似の要素を指し示す。
【0015】
図1は、本発明の1つの実施の形態に係るソースコレクタモジュールSOを含むリソグラフィ装置100を概略的に示す。本装置は、
− 放射ビームB(例えばEUV放射)を調整するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、
− パターニングデバイス(例えばマスク又はレチクル)MAを支持するように構築された支持構造(例えばマスクテーブル)MTであって、パターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1位置決め部PMに接続された支持構造MTと、
− 基板(例えば、レジストで覆われたウェーハ)Wを保持するように構築された基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WTであって、基板を正確に位置決めするように構成された第2位置決め部PWに接続された基板テーブルWTと、
− パターニングデバイスMAにより放射ビームBに付与されたパターンを基板Wの(例えば1つ以上のダイを備える)目標部分Cに投影するように構成された投影システム(例えば反射投影システム)PSと、を備える。
【0016】
照明システムは、放射の方向や形状の調整、又は放射の制御のために、各種の光学素子、例えば屈折光学素子、反射光学素子、磁気的光学素子、電磁気的光学素子、静電的光学素子、又はその他の形式の光学素子、若しくはそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0017】
支持構造MTは、パターニングデバイスの向きやリソグラフィ装置の設計、あるいはパターニングデバイスが真空環境下で保持されるか否か等その他の条件に応じた方式でパターニングデバイスMAを保持する。支持構造は、機械的固定、真空固定、静電固定、又はパターニングデバイスを保持するその他の固定技術を用いることができる。支持構造は例えばフレーム又はテーブルであってよく、固定されていてもよいし必要に応じて移動可能であってもよい。支持構造は、パターニングデバイスが例えば投影システムに対して所望の位置にあることを保証してもよい。
【0018】
「パターニングデバイス」なる用語は、基板の目標部分にパターンを生成するよう放射ビームの断面にパターンを付与するのに使用可能な何らかのデバイスを指し示すものと広義に解釈されるべきである。放射ビームに付与されたパターンは、目標部分に生成される集積回路等のデバイスにおける特定の機能層に対応してもよい。
【0019】
パターニングデバイスは透過型であっても反射型であってもよい。パターニングデバイスには例えば、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルが含まれる。マスクはリソグラフィの分野では周知であり、バイナリマスクやレベンソン型位相シフトマスク、ハーフトーン型位相シフトマスク、更に各種のハイブリッド型マスクといったマスク形式が含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例としては、小型のミラーがマトリックス状に配列され、各ミラーが入射してくる放射ビームを異なる方向に反射するように個別に傾斜されるというものがある。傾斜されたミラーは、ミラーマトリックスにより反射された放射ビームにパターンを付与する。
【0020】
照明システムと同様に、投影システムは、使用される露光放射に関して又は真空の使用等その他の要因に関して適切とされる各種の光学素子、例えば屈折光学素子、反射光学素子、磁気的光学素子、電磁気的光学素子、静電的光学素子、又はその他の形式の光学素子、若しくはそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。他のガスは放射を吸収しすぎるかもしれないので、EUV放射については真空を使用することが望ましい。したがって、真空壁および真空ポンプによってビーム経路の全体に真空環境が提供されてもよい。
【0021】
図示されるように、本装置は、(例えば反射型マスクを採用する)反射型である。
【0022】
リソグラフィ装置は2つ(デュアルステージ)又はそれより多数の基板テーブル(及び/又は2つ以上のマスクテーブル)を有する形式のものであってもよい。このような「多重ステージ」型の装置においては、追加的なテーブルが並行して使用されてもよく、あるいは1つ以上のテーブルが露光に使用されている間に1以上の他のテーブルで準備工程が実行されてもよい。
【0023】
図1を参照すると、イルミネータILはソースコレクタモジュールSOから極端紫外線放射ビームを受け取る。EUV光を生成する方法は、必ずしもそれに限定されるわけではないものの、EUV範囲に1つ以上の輝線を有する例えばキセノン、リチウム、又はスズなどの少なくともひとつの元素を有するプラズマ状態に物質を変換することを含む。こうしたひとつの方法(これは多くの場合レーザ生成プラズマ(「LPP」)と称される)においては、要求される輝線を放出する元素を有する物質の滴、流、又はクラスタなどの燃料にレーザビームを照射することによって、要求されるプラズマを生成することができる。ソースコレクタモジュールSOは、燃料を励起するレーザビームを提供するためのレーザ(
図1に図示せず)を含むEUV放射システムの一部であってもよい。結果として得られるプラズマは出力放射、例えばEUV放射を放出する。この出力放射は、ソースコレクタモジュール内に設けられる放射コレクタを使用して収集される。例えば燃料励起のためのレーザビームを提供するのにCO
2レーザが使用される場合には、レーザとソースコレクタモジュールとは別体であってもよい。
【0024】
こうした場合、レーザはリソグラフィ装置の一部を形成するとはみなされず、放射ビームはレーザからビーム搬送システムを介してソースコレクタモジュールへと通過していく。ビーム搬送システムは例えば適切な方向変更用ミラー及び/又はビームエキスパンダを備える。他の場合においては、ソースは、例えばDPPソースとも称される放電生成プラズマEUV生成器のように、ソースコレクタモジュールの一体部分であってもよい。
【0025】
イルミネータILは放射ビームの角強度分布を調整するアジャスタを備えてもよい。一般には、イルミネータの瞳面における強度分布の少なくとも外側半径範囲及び/又は内側半径範囲(通常それぞれ「シグマ−アウタ(σ−outer)」、「シグマ−インナ(σ−inner)」と呼ばれる)が調整されうる。加えてイルミネータILは、ファセットフィールド及び瞳ミラーデバイスなどの種々の他の構成要素を備えてもよい。イルミネータはビーム断面における所望の均一性及び強度分布を得るべく放射ビームを調整するために用いられてもよい。
【0026】
放射ビームBは、支持構造(例えばマスクテーブル)MTに保持されているパターニングデバイス(例えばマスク)MAに入射して、パターニングデバイスによりパターンが付与される。パターニングデバイス(例えばマスク)MAから反射された後、放射ビームBは投影システムPSを通過する。投影システムPSはビームを基板Wの目標部分Cに合焦させる。第2位置決め部PWと位置センサPS2(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、静電容量センサなど)とにより基板テーブルWTは、例えば放射ビームBの経路に異なる複数の目標部分Cを位置決めするように、正確に移動されることができる。同様に、第1位置決め部PMと別の位置センサPS1を使用して、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイス(例えばマスク)MAを正確に位置決めできる。パターニングデバイス(例えばマスク)MA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせされてもよい。
【0027】
図2は、ソースコレクタモジュールSO、照明システムIL、及び投影システムPSを含む装置100をより詳細に示す。ソースコレクタモジュールSOは、ソースコレクタモジュールSOの囲み構造またはソースチャンバー220に真空環境が維持されることができるように構築され構成される。システムILおよびPSについても同様にそれら自身の真空環境内に収容される。EUV放射放出プラズマ2がレーザ生成プラズマ(LPP)ソースによって形成されうる。ソースコレクタモジュールSOの機能は、プラズマ2からEUV放射ビーム20を仮想ソース点に集束させるように送出することにある。仮想ソース点は多くの場合中間焦点(IF)と称され、ソースコレクタモジュールは、中間焦点IFがソースチャンバー220の開口221又はその近くに配置されるように、構成される。仮想ソース点IFは放射放出プラズマ2の像である。
【0028】
中間焦点IFがある開口221から、放射は照明システムILを横断する。本例では照明システムILはファセットフィールドミラーデバイス22とファセット瞳ミラーデバイス24とを含む。これらのデバイスは、いわゆる「フライアイ」イルミネータを形成し、パターニングデバイスMAにて放射ビーム21に所望の角度分布を提供するとともに、パターニングデバイスMAにて所望の放射強度の一様性を提供するよう構成される。支持構造(マスクテーブル)MTによって保持されるパターニングデバイスMAにてビーム21が反射されると、パターンが付与されたビーム26が形成され、そのパターンが付与されたビーム26は、投影システムPSによって反射性要素28、30を介して、ウェーハステージ又は基板テーブルWTによって保持される基板W上に結像される。基板Wの目標部分Cを露光するために、放射のパルスが生成され基板テーブルWTとマスクテーブルMTがパターニングデバイスMAのパターンを照明のスリットを通じて走査するように同期された移動266、268を実行する。
【0029】
各システムILおよびPSは、ソースチャンバー220と同様の囲み構造によって定められるそれら自身の真空または近真空環境内に配置されている。図示されるよりも多くの要素が一般に照明システムILおよび投影システムPSに存在しうる。さらに、図面に示すよりも多くのミラーが存在する場合があり、例えば、照明システムIL及び/または投影システムPSには、
図2に示すものに比べて1つから6つの追加の反射要素が存在することがある。
【0030】
ソースコレクタモジュールSOをより詳しく考察すると、レーザエネルギーソースは、レーザエネルギー224をキセノン(Xe)、スズ(Si)、リチウム(Li)などの燃料に与えて数十eVの電子温度をもつ高度にイオン化されたプラズマ2を生成するように構成されたレーザ223を備える。より高いエネルギーのEUV放射は、例えばTb、Gdなどの他の燃料材料を用いることで生成されうる。これらのイオンの脱励起及び再結合の間に発生した高エネルギ放射がプラズマから放出され、近垂直入射コレクタ3によって収集され開口221に集束される。プラズマ2および開口221はそれぞれ、コレクタCOの第1焦点および第2焦点に位置する。
【0031】
図2に示されるコレクタ3は単一の湾曲ミラーであるが、コレクタは他の形式をとってもよい。例えば、コレクタは、2つの放射集光面を有するシュワルツシルト型コレクタであってもよい。ある実施の形態においては、コレクタは、互いに入れ子とされた複数の実質的に円筒のリフレクタを備えるかすめ入射コレクタであってもよい。
【0032】
燃料たとえば液体スズを送出するために、滴生成器226がソースチャンバー220内に設けられ、高周波数の滴流れ228をプラズマ2の所望の場所に向けて発するように構成されている。動作中、レーザエネルギー224が滴生成器226の動作と同期して送出され、燃料滴をプラズマ2へと変化させる放射のインパルスが送出される。滴の送出の周波数は数十キロヘルツ例えば50kHzであってもよい。実際には、レーザエネルギー224は、少なくとも2つのパルスとして送出される。すなわち、制限されたエネルギーを有するプレパルスが燃料材料を微小な雲へと気化させるために滴がプラズマ位置に到達する前に送出される。その次に、レーザエネルギー224のメインパルスが所望の位置にある雲へとプラズマ2を生成すべく送出される。トラップ230が何らかの理由でプラズマに変化していない燃料を捕捉するためにソースチャンバー220の反対側に設けられている。オブスキュレーション235は、レーザ放射が中間焦点IFを通過するのを防止するように働く。もし通過すれば、照明システムILおよび投影システムPS内のミラーおよびその他の光学構成要素を不所望に加熱し及び/または損傷させうるからである。レーザ放射をプラズマ生成場所に集束する光学構成要素は、プラズマ生成場所から例えば0.5メートルまたはそれより長い距離だけ離れていてもよい。
【0033】
当業者には理解されるように、基準軸X、Y、およびZが本装置および種々の構成要素並びに放射ビーム20、21、26の形状および挙動を測定し記述するために定義されうる。本装置の各部分においてX、Y、Zの局所的な基準フレームが定められてもよい。Z軸は、システムの所与の位置で光軸O方向に広義に一致し、一般にパターニングデバイス(レチクル)MAの平面に垂直でありかつ基板Wの平面に垂直である。ソースコレクタモジュールにおいて、X軸は、燃料流れ228の方向に広義に一致し、Y軸は、これと直交しており、
図2に示されるように紙面外を指している。一方、レチクルMAを保持する支持構造MTの近くでは、X軸は一般に走査方向を横断し、Y軸は走査方向に一致している。便宜のため、
図2の概略図においてこの領域では表記されるようにX軸が紙面外を指す。このように指定するのは本分野で従来からであり、本書でも便利のためにそのようにしている。原理的には、本装置およびその挙動を説明するのにいかなる基準フレームを選択することも可能である。
【0034】
ソースコレクタモジュールおよびリソグラフィ装置全体の動作に重要な多数の追加の構成要素が典型的な装置には存在するが、ここでは図示していない。これには、包囲された真空内での汚染作用を低減しまたは緩和する構成、例えばコレクタ3および他の光学系の性能を損なわせる燃料材料の堆積を防止する構成が含まれる。存在するが詳述しない他の特徴には、リソグラフィ装置の各種構成要素およびサブシステムの制御に関与するすべてのセンサ、コントローラ、およびアクチュエータがある。
【0035】
燃料滴がレーザ放射によって励起されるとき、ひとつの望まれない副作用は、イオンや中性の燃料デブリが作られることである。高エネルギーのイオンデブリは、コレクタ表面を損傷させうる。低エネルギーのイオンデブリおよび中性デブリは、コレクタ表面に堆積しうる。これらの作用の両方がコレクタ反射効率の低下、ひいてはコレクタ寿命の低下につながる。
【0036】
燃料デブリのコレクタへの影響を緩和するために、保護バッファガス流れがコレクタ内部でコレクタから離れた距離にある出口へとコレクタから離れる方向に構築されてもよい。このガス流れは、ソースチャンバー内部に構築されたバッファガス密度とともに、燃料デブリを阻止するように働き、燃料デブリを熱運動化し、燃料デブリをコレクタからソースチャンバーの外に運び出す。使用される保護ガスは水素ガス(H
2)であってもよい。
【0037】
図3は、
図2に示されるようなソースコレクタモジュールSO内部のバッファガス流れ様式を概略的に示す。既に説明したソースチャンバー220、コレクタ3、滴生成器226、トラップ230、プラズマ2、オブスキュレーション235、および中間焦点IFが示されている。加えて示されているのは、コレクタ3にある開口300であり、これは主要バッファガス入口として機能し、これを通じてバッファガス流れ310、315がソースチャンバー220に生成される。また、開口300は、プラズマ2を発生させるべく燃料を励起するようにソースチャンバー220へとレーザ放射が導入される進入場所であってもよい。このバッファガス流れ310、315は、いかなる燃料デブリもコレクタ3から離れ出口320に向かうように運ぶ。出口320はソースチャンバー220の壁に配置され、バッファガス流れ310、315の排気口として働く。このようにして、燃料デブリは、コレクタ3から出口320を通じてソースチャンバー220の外に運び出される。追加のバッファガス入口330が設けられてもよく、これらを周縁ガス入口330と称する。これは追加のガス流れ340をコレクタ3の表面を横断する方向に提供し、それによりプラズマ2とコレクタ3との間の追加の障壁として働く。
【0038】
上述のガス流れ様式にはいろいろな問題がある。主な問題は、プラズマ2によって生成された圧力が開口300を通じて導入されるバッファガス流れ310に抗するように働くことである。このプラズマ圧力は、プラズマ2(イオンデブリ)によりコレクタ3の方向に生成されたイオンの運動量の結果である。生成された高エネルギーのイオンの大半はプラズマ2からコレクタ3へと方向付けられる傾向があることが実証されている。とくに、高エネルギーのイオンデブリは、コレクタ3および開口300に向かうように方向付けられる傾向がある。これが意味するのは、このプラズマ圧力を克服するために非常に高いバッファ圧力が必要となるということである。たとえ非常に高いバッファ圧力だったとしても、プラズマ圧力は依然として出口320に向かうガス流れ経路を妨げる原因となりうる。もうひとつの問題は、顕著な量の燃料デブリが実際には出口320を通じて輸送されるのではなく、むしろ出口320の周囲または近傍のソース壁に堆積することである。この燃料デブリは、重力の影響により合体してコレクタ表面に落下しうる。様々な汚染メカニズム(例えば翼構造)がこれを解決することを目指して設計されているが、そのようにしてもコレクタ3の汚染防止に完全に有効となるものは無い。
【0039】
バッファガスのもつ阻止力に関するもうひとつの問題は、とくにEUVパワー(およびイオン燃料デブリのパワー)の増加に伴う。このイオン燃料デブリは、プラズマ2とコレクタ3の間のバッファガスを加熱し、その密度を減少させ、従って阻止力を減少させる。また、プラズマからの熱放出は、指定されたガス流れパターンに影響し、コレクタ3の保護の有効性を低下させる。こうしたバッファガス様式を高EUVパワーに対し見積もると、プラズマ2とコレクタ3の間の領域での高温バッファガスの形成のためにますます困難となる。そうすると、イオン燃料デブリがバッファガスをコレクタへと直接貫通することでコレクタ表面へのイオン打ち込みまたはスパッタリングがもたらされ、あるいは、コレクタに非常に近接した位置でイオン燃料デブリを阻止することとなりコレクタ表面に汚染がもたらされる。
【0040】
図4は、
図3に比べて改良されたバッファガス流れ様式を有するソースモジュールSOを概略的に示す。主な相違は、ガス流れの方向が概ね反転しており、コレクタ400に向かうことである。こうして、バッファガス流れ415、430をソースチャンバー435へと導入する主要ガス入口410がプラズマ2に対してコレクタ400とは反対側に設けられている。コレクタ400の中心にある開口420が今度はバッファガス出口として働く(上述のようにレーザ放射はプラズマ2を生成すべく燃料を励起するためにこの開口420を通じて導入される)。こうして、コレクタ中心にある開口420を通じてソースチャンバー435から出る基本バッファガス流れ415、430が存在している。
【0041】
ある実施の形態においては、この主要ガス入口410は、オブスキュレ−ション437の影の中に配置されていてもよい。このようにすれば、主要ガス入口410は生成されたEUV放射と干渉しない。主要ガス入口410は、ソースモジュールSOの光軸O上またはその近傍にあってもよい。
結果として生じるガス流れ様式では、バッファガス流れ415、430がもはやプラズマ圧力に抗するように作用せず、プラズマ圧力によって実際にくみ上げられ(すなわち、押され)、それによりコレクタ400の中心に向かうガス流れが強化されている。基本バッファガス入口とバッファガス出口は、好ましくは、基本バッファガス流れがプラズマ圧力によって放射コレクタに向けて押されるように配置されている。
【0042】
これは、より小さいガス圧力が主要ガス入口410に必要となることを意味する。加えて、燃料デブリが今度は開口420とプラズマ2の間にある容積の内部に大きく収容されている。こうして、ソースチャンバー440の壁に接触したり、プラズマ2と中間焦点IFの間のソースチャンバー440の容積に進入したりする燃料デブリはほぼ皆無となる。これはソースチャンバー440の壁に汚染構造を設ける必要がほとんど無いか全く無いことを意味する。これによる望ましい結果として、ソースモジュールSOは、コレクタを下方に向けて鉛直に方向付けられる。現在はこれが可能ではなく、こうした姿勢はソースチャンバー440の壁で集められた燃料デブリを汚染構造が収容するのを妨げるので、それらはコレクタ400の表面に落下し汚染してしまうことになる。
【0043】
コレクタ表面の汚染を防ぐために、開口420は、
図3の構成の開口300よりも大きくする必要があるかもしれない。この場合、小さい開口と比較してEUV放射の損失がもたらされるが、こうした構成が提供する他の利点によってこれは相殺されうる。
【0044】
図示される構成のもうひとつの顕著な利点は、アルゴンのようなより重いガスをバッファガスとして(とくに、従来と比べて大きい比率及び/または大きい密度で)使用可能にすることである。アルゴンは水素に比べて粒子を阻止する力が大きく、また安価である。また、水素とアルゴンのガス混合物は、純粋な水素よりも取り扱いが安全である。図示される構成によれば、プラズマ2と中間焦点IFの間のソース容積にはバッファガスがほぼ皆無となる(これに対し前述のものはこの領域にバッファガス出口が配置されていた)。アルゴンはEUV放射を吸収するから、ソース容積における存在は最小に維持されるべきである。バッファガスをコレクタ400の近傍に閉じ込めるためにさらに、周縁ガス入口450が設けられ、これを通じて周縁ガス流れ455が導入されてもよい。もし周縁流れがアルゴンを備える場合には、アルゴンがプラズマとコレクタの間、すなわちEUV放射の経路に存在する。しかし、バッファガスは(
図3の構成に比べて)小さい容積に主に閉じ込められているから、結果として生じるEUVの吸収はプラズマ2と中間焦点IFとの距離に対して短い距離のみ(例えば、EUV放射の経路の距離の約10%のみ)で生じることになる。したがって、EUV出力への全体的な影響は最小限である。あるいは、ある他の実施の形態においては、周縁流れ455のバッファガスは、EUV放射に透明なガスのみ(例えば、水素のみ)を備え、バッファガスに含まれるより重いガスはすべて基本バッファガス流れ415、430のみに閉じ込められる。ある他の代案においては、基本ガス流れ415、430と周縁ガス455の両方がより重いガスを含み、周縁ガス流れ455がより重いガスを基本ガス流れ415、430に比べて小さい比率で含む。
【0045】
前述のように、開口420は、プラズマを生成すべく燃料を励起するためにレーザ放射の進入を許容する開口であってもよい。バッファガスはレーザ放射を吸収しないので、バッファガスの密度増加及び/または水素以外のバッファガスの使用はレーザ放射の燃料への伝搬に悪影響を及ぼさない。実際、これの利点は、イオン燃料デブリを阻止するための距離を既存の設計に比べて非常に大きくできることにある。現在は、こうしたイオン燃料デブリは出口(例えば出口320)を通じて輸送される前にソースチャンバ内部で阻止されなければならない。
図4の構成においては、レーザ光学系とプラズマとの間に大きな距離(例えば、0.5mより大きく、または1m程度)あり、高エネルギーのイオン燃料デブリ(例えば50keVを超える)を阻止することができる長い距離が提供される。こうして、イオン燃料デブリはもはやソースチャンバー435の内部で阻止される必要が無く、開口420を通じてソースチャンバー435を出てから阻止されてもよい。
【0046】
また、この阻止距離に沿う壁のスパッタリングは、問題を引き起こすべきではなく、イオン燃料デブリがレーザの集束光学系を損傷しないのであれば許容されてもよい。よって、バッファガス流れ(及び/または他の要素)は、いかなるスパッタリング生成物もミラー(例えばレーザビーム搬送システム)を備えるシステムの部分に入射することを防止すべきである。開口420に方向付けられたイオン燃料デブリは、内壁に衝突して顕著に運動量を低下させうる。
図4に示されるバッファガス流れは、最小量のスパッタリング生成物を除いてプラズマの背後(中間焦点IFに向かう側)のソースチャンバー容積に進入することを防止するので、この領域におけるソースチャンバー壁のスパッタリングは効果的に防止される。こうしたスパッタリングは、ソースチャンバー内部での他の汚染物質の解放をもたらしうる。
【0047】
提案される構成によれば、高速のイオン燃料デブリは、コレクタ400に向かってレーザ軸から±30度の角度以内の領域に閉じ込められることが実証されることができる。開口420を十分に大きくすることによって、この領域は、前述のような、高速のイオン燃料デブリが、主要ガス入口と開口420との間にあり開口420の直径により定まる直径を有する実質的に円柱状の容積内に閉じ込められるというものになりうる。低速のイオン燃料デブリおよび中性の燃料デブリは基本的に、コレクタ400から離れて主要ガス入口410へと向かうように方向付けられる。ある実施の形態においては、この低速のイオン燃料デブリおよび中性の燃料デブリを捕集するために、加熱された燃料捕集器460が主要ガス入口410に設けられてもよい。加熱された燃料捕集器は、燃料を気化するのに十分な温度に維持され、それがガス流れ415、430によって開口420から運び出されるのを許容してもよい。これに代えてまたはこれとともに、主要ガス入口410の中心壁は、いかなる燃料デブリもこの中心壁に付着するように加熱されてもよい。これにより、追加の閉じ込めアセンブリ(例えば翼)の必要性が無くなりうる。
【0048】
プラズマ2と中間焦点IFの間にあるいかなる(水素)バッファガスも、高エネルギーのイオン燃料デブリは大半がプラズマ2とコレクタ400の間に閉じ込められているので、高エネルギーのイオン燃料デブリによって加熱されない。これは、毎回の爆発初期の過渡的なEUV放射の低減をもたらす。
【0049】
ある実施の形態においては、主要ガス入口410及び/または周縁ガス入口450は、バッファガスを超音速で放出してもよい。ある実施の形態においては、入口410、450は、環状のバッファガスプロファイルを放出する超音速噴射器を備えてもよい。
【0050】
提案した構成は、滴の軌道を本質的に、より安定化しうる。ある実施の形態においては、燃料滴は主要ガス入口410の領域内からバッファガス流れ415とともに供給されてもよい。こうして、滴の経路はバッファガス流れの経路とほとんど平行となりうる(例えば、経路間に定まる角度は、30度より小さく、20度より小さく、または10度より小さい)。これは、牽引力を低減する効果がある。これは
図4に示されており、滴生成器470が主要ガス入口410の近傍に示されている。
【0051】
上記説明におけるコレクタ3またはコレクタ400のような放射コレクタは、反射性コーティング(1つ又は複数の材料層)、例えばEUV放射の反射に最適化されたコーティングにより被覆された基板材料を備える。しかしながら、コレクタは反射性コーティングのブリスタリングに悩まされることが知られている。このブリスタリングは、バッファガスとくに水素に(少なくとも部分的に)起因しうる。水素原子は大きさが小さいのでコレクタのコーティング内で数層の深さまで拡散しうるものと理解される。原子の水素がコレクタの本体に一度進入すると、基板に接合し、層の境界および界面に捕捉され、またはその両方となりうる。これはとりわけ、基板構造に欠陥がある場合に起こりうる。影響の大きさはこの領域での水素の照射量および濃度に依存する。もし水素濃度があるしきい値を上回ると、H
2分子への再結合またはおそらくはSiH
4の形成により、気体水素の化合物の気泡が形成されうる。気泡が形成されると、追加的な水素の存在のもとで成長する可能性が高い。こうした気泡が形成されればその内部ガス圧力が気泡の上方の層を変形させ、時間経過とともにブリスタ(膨らみ)を形成することになる。
【0052】
ブリスタが生じたコーティングにはいくつかの問題が発生する。ブリスタはEUV放射を中間焦点へと反射することにより収集するのではなくEUV放射を散乱する傾向がある。ブリスタが生じたコーティングは表面積が大きくなり、酸化や他の汚染および目標材料の堆積による劣化が起こりやすくなる。吸着性が高まり、これは一般にはEUV反射率の低下をもたらす。
【0053】
ブリスタを生じたコレクタを修理するために、ブリスタは検出され破裂されてもよい。これは特別な道具を用いてブリスタに穴(例えば直径が0.1mmで深さが300μmの穴)を開けることによって行われうる。この穴開けを現場で行うには特別な困難があり、適する道具を開発しなければならない。
【0054】
図5は、ある実施の形態に係り、ブリスタリング問題を緩和することを指向する放射コレクタ500を概略的に示す。放射コレクタ500は、(上述の)中心開口5
20を有し、さらに、コーティング層の内部に複数の予め穿設された穴または穿孔510を備える。穿孔510間の間隔は、例えば、50mmより小さく、30mmより小さく、20mmより小さく、15mmより小さく、または10mmより小さくてもよい。ある具体例においては、この間隔は、10mm程度であってもよい。穿孔510の直径は、例えば、0.05mmから0.2mmの間であってもよく、具体例として0.1mm程度であってもよい。
【0055】
穿孔510は、積極的な介入(ブリスタの穴開け)の必要なくブリスタの形成を防止し及び/またはブリスタを収縮させるように働く。ブリスタは穿孔510の上には作られず、また穿孔間に作られたブリスタは最終的に1つの穿孔510に達するまで膨らみ、その穿孔によって収縮される。こうしてブリスタの最大サイズは穿孔の間隔距離に制限される。反射面積の損失に関する犠牲は無視できると考えられるほどに小さい。10mmの穿孔間隔で0.1mmの穿孔直径という例を用いた場合、面積の損失は0.08%程度である。
【0056】
「穴」または「穿孔」との用語は、コレクタの基板厚さ全体を貫通する穴開けを意味するものではないと理解すべきである。必要な穴開けの深さは反射性コーティングを構成する1つ又は複数の層のみに穴を開ける程度で十分である。例えば、穿孔510の深さは、100μmから500μmの間、200μmから400μmの間、またはおよそ300μmであってもよい。
【0057】
図5における穿孔510は、規則的な二次元グリッドを形成するように規則的な間隔で示されている。しかしながら、システム内の光学系の均質性に小さな一様性擾乱を意図せずに付加することのないように周期性を壊すことが望ましいかもしれない。また、周期性を壊すことによって、周波数のうなり及び干渉作用を防止することができる。したがって、(例えば、ランダムまたは擬似ランダムに)変化する摂動を穿孔510の配列に付加することが提案される。変化する摂動は、穿孔が実質的に規則的なグリッドを基準として(
図2のソースSOの軸を基準として(すなわち光軸Oに垂直な平面において)X及びY方向に)配列されるが、各穿孔が規則的なパターンの対応する位置から(例えばランダムまたは擬似ランダムに)可変の間隔で(X及びY方向に)配置されるというものであってもよい。この配列は、可変の間隔が規則的なグリッドの間隔の1/10以内に制限されるというものであってもよい。こうした実施の形態においては、上述の例で挙げたグリッド間隔は、基準グリッドのグリッド間隔または穿孔配列の平均間隔を表してもよい。
【0058】
図6は、このような配列を示す。規則的なグリッド位置600(点)と穿孔510(星)が示されている。各穿孔510は、対応する規則的なグリッド位置600から(ある制限以内で)ランダムの距離にある。
【0059】
上記の原理はEUV放射コレクタに関して説明されているが、同様の環境にさらされブリスタリングが問題となりうる任意の多層ミラーに適用することができる。この実施の形態の放射コレクタは、本書に説明したいずれかの他の実施の形態のコレクタに適用されてもよい。
【0060】
本書ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用について具体的な言及がなされているが、ここに説明したリソグラフィ装置は、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用案内パターン及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造といった他の用途を有しうるものと理解されたい。当業者であればこれらの他の適用に際して、本明細書における「ウェーハ」あるいは「ダイ」という用語がそれぞれ「基板」あるいは「目標部分」という、より一般的な用語と同義であるとみなされると理解することができるであろう。本書に言及された基板は露光前または露光後において、例えばトラック(典型的にはレジスト層を基板に塗布し、露光後のレジストを現像する装置)、メトロロジツール、及び/又はインスペクションツールにより処理されてもよい。適用可能であれば、本明細書の開示はこれらの又は他の基板処理装置にも適用され得る。また、基板は例えば多層ICを製造するために複数回処理されてもよく、その場合には本明細書における基板という用語は、処理された多数の層を既に含む基板をも意味し得る。
【0061】
「レンズ」という用語は、文脈が許す場合、屈折光学部品、反射光学部品、磁気的光学部品、電磁気的光学部品、静電的光学部品を含む各種の光学部品のうちいずれか1つ、又はこれらの組み合わせを指し示してもよい。
下記の番号付けられた節によっても実施の形態が与えられる。
1.放射を生成するプラズマをプラズマ形成場所に燃料を励起することによって生成するように動作可能な放射ソースモジュールであって、
ソースチャンバーと、
前記ソースチャンバー内にあり、前記放射を収集して集束するための放射コレクタと、
前記ソースチャンバーへの基本バッファガスの進入を許容するための基本バッファガス入口と、
前記放射コレクタの近傍にあり、前記基本バッファガスを前記ソースチャンバーから排気するためのバッファガス出口と、を備える放射ソースモジュール。
2.前記バッファガス出口は、前記放射コレクタの表面にある開口に配置されている項1に記載の放射ソースモジュール。
3.前記バッファガス出口は、前記放射コレクタの中心にある開口に配置されている項1または2に記載の放射ソースモジュール。
4.前記燃料デブリの一部が高速イオンを備え、前記放射ソースモジュールは、前記高速イオンが主要ガス入口と前記開口との間の実質的に円柱状の容積内に実質的に閉じ込められるように動作可能であり、前記円柱状の容積は前記開口の直径に等しくまたはそれより小さい直径を有する項3に記載の放射ソースモジュール。
5.前記基本バッファガス入口と前記バッファガス出口は、前記基本バッファガスが前記プラズマによって生成される圧力によって前記放射コレクタに向けて押されるように配置されている項1から4のいずれかに記載の放射ソースモジュール。
6.前記基本バッファガス入口と前記バッファガス出口は、前記プラズマ形成場所のそれぞれ反対側に配置されている項1から5のいずれかに記載の放射ソースモジュール。
7.前記基本バッファガス入口は、オブスキュレーションの影の中に配置され、前記オブスキュレーションは、前記放射コレクタと前記放射コレクタの中間焦点との間に配置され、前記中間焦点で前記ソースチャンバーを出るレーザ放射を遮るように動作可能である項1から6のいずれかに記載の放射ソースモジュール。
8.前記基本バッファガス入口と前記バッファガス出口は、前記基本バッファガス入口から前記バッファガス出口への基本バッファガス流れを定めるように動作可能であり、前記基本バッファガス流れは、前記燃料の励起の結果として生成された燃料デブリを前記基本バッファガスとともに前記バッファガス出口を通じて運び出すように動作可能である項1から7のいずれかに記載の放射ソースモジュール。
9.前記基本バッファガス流れは、前記基本バッファガス入口と前記放射コレクタとの間にある前記ソースチャンバー内の容積の中に実質的に閉じ込められている項8に記載の放射ソースモジュール。
10.前記プラズマによって生成されたイオンの運動量が、燃料デブリを前記バッファガスとともに前記バッファガス出口を通じて運び出すのを支援する項8または9に記載の放射ソースモジュール。
11.前記基本バッファガス流れは、前記燃料デブリを阻止する前に前記燃料デブリを前記ソースチャンバーから運び出すように動作可能である項8から10のいずれかに記載の放射ソースモジュール。
12.前記ソースは、前記プラズマ生成場所に向けて前記基本バッファガス流れに実質的に平行な方向に前記燃料の滴を生成するように構成された滴生成器を備える項8から11のいずれかに記載の放射ソースモジュール。
13.前記コレクタの周縁に配置され、前記バッファガス出口に向けて周縁バッファガス流れを生成するように構成された少なくとも1つの周縁ガス入口を備える項1から12のいずれかに記載の放射ソースモジュール。
14.前記周縁バッファガス流れは、EUV放射に実質的に透明な周縁バッファガスのみを備える項13に記載の放射ソースモジュール。
15.前記基本バッファガス入口及び/またはいずれかの周縁ガス入口は、超音速バッファガス噴射器を備える項1から14のいずれかに記載の放射ソースモジュール。
16.前記基本バッファガス入口に近接して燃料捕集器が設けられている項1から15のいずれかに記載の放射ソースモジュール。
17.前記燃料捕集器は、その表面に捕集された燃料を気化させるのに十分な温度に加熱されている項16に記載の放射ソースモジュール。
18.前記基本バッファガス入口の内壁は、前記内壁に到達するいかなる燃料デブリも前記中心壁に付着するように加熱されている項17に記載の放射ソースモジュール。
19.前記基本バッファガスは少なくとも一部に、水素より重いガスを備える項1から18のいずれかに記載の放射ソースモジュール。
20.前記基本バッファガスは、水素とアルゴンの混合物を備える項1から19のいずれかに記載の放射ソースモジュール。
21.前記放射ソースは、極紫外放射を生成するように構成されている項1から20のいずれかに記載の放射ソースモジュール。
22.前記放射コレクタは、少なくとも1つの反射層で被覆された基板を備え、前記少なくとも1つの反射層は、複数の穿孔を備える項1から21のいずれかに記載の放射ソースモジュール。
23.前記穿孔は、実質的に等間隔である項22に記載の放射ソースモジュール。
24.前記穿孔は、不規則なグリッドに配置され、前記不規則なグリッドは、実質的に規則的なグリッドを基準として前記不規則なグリッドの穿孔の位置がそれぞれ前記規則的なグリッドの対応する位置から可変距離だけ離れるように定められている項22に記載の放射ソースモジュール。
25.前記可変距離は、前記規則的なグリッドの間隔距離の10%以内に制限されている項24に記載の放射ソースモジュール。
26.前記可変距離は、ランダムに、または擬似ランダムに変化する項24または25に記載の放射ソースモジュール。
27.穿孔間の平均間隔は、50mmより小さい項22から26のいずれかに記載の放射ソースモジュール。
28.穿孔間の平均間隔は、30mmより小さい項22から26のいずれかに記載の放射ソースモジュール。
29.穿孔間の平均間隔は、15mmより小さい項22から26のいずれかに記載の放射ソースモジュール。
30.穿孔間の平均間隔は、5mmから15mmの間にある項22から26のいずれかに記載の放射ソースモジュール。
31.前記穿孔の各々の直径は、0.05mmから0.2mmの間にある項22から30のいずれかに記載の放射ソースモジュール。
32.前記穿孔の各々は、200μmから400μmの間の深さを有する項22から31のいずれかに記載の放射ソースモジュール。
33.前記穿孔の合計面積は、前記放射コレクタの反射表面の合計面積の0.1%未満である項22から32のいずれかに記載の放射ソースモジュール。
34.EUV放射ビームを生成するように構成された項1から33のいずれかに記載の放射ソースを備えるリソグラフィ装置。
35.前記EUV放射ビームを調節するように構成された照明システムと、
前記EUV放射ビームの断面にパターンを与えてパターン付き放射ビームを形成可能なパターニングデバイスを支持するように構成された支持部と、
基板を保持するように構成された基板テーブルと、
前記パターン付き放射ビームを前記基板の目標部分に投影するように構成された投影システムと、を備える項34に記載のリソグラフィ装置。
36.前記放射ソースは、前記プラズマ生成場所の下方で前記放射コレクタに実質的に垂直に方向付けられている項34または35に記載のリソグラフィ装置。
37.燃料の励起によってプラズマ形成場所にプラズマを生成して放射を生成する間に放射ソースのソースチャンバーから燃料デブリを運び出す方法であって、
前記ソースチャンバーへの基本バッファガスの進入を許容することと、
前記放射を収集して集束するための前記ソースチャンバー内の放射コレクタの近傍において前記ソースチャンバーから前記基本バッファガスを排気し、それにより前記燃料デブリを前記ソースチャンバーから運び出す基本バッファガス流れを前記ソースチャンバー内に生成することと、を備える方法。
38.前記基本バッファガスは、前記放射コレクタの表面にある開口を通じて前記ソースチャンバーから排気される項37に記載の方法。
39.前記基本バッファガスは、前記放射コレクタの中心にある開口を通じて排気される項37に記載の方法。
40.前記基本バッファガスが進入を許容された場所と前記開口との間の実質的に円柱状の容積内に前記燃料デブリ内の高速イオンを閉じ込めることを備え、前記円柱状の容積は前記開口の直径に等しい直径を有する項39に記載の方法。
41.前記基本バッファガスは、前記プラズマ形成場所に対し前記放射コレクタとは反対側にある場所から進入を許容されている項37から39のいずれかに記載の方法。
42.前記基本バッファガスは、オブスキュレーションの影の中から進入を許容され、前記オブスキュレーションは、前記放射コレクタと前記放射コレクタの中間焦点との間に配置され、前記中間焦点で前記ソースチャンバーを出るレーザ放射を遮るように動作可能である項37から41のいずれかに記載の方法。
43.前記基本バッファガス流れは、前記燃料の励起の結果として生成された燃料デブリを前記ソースチャンバーから運び出す項37から42のいずれかに記載の方法。
44.前記基本バッファガス流れは、前記バッファガスが進入を許容された場所と前記放射コレクタとの間にある前記ソースチャンバー内の容積の中に実質的に閉じ込められている項37から43のいずれかに記載の方法。
45.前記プラズマによって生成されたイオンの運動量が、燃料デブリを前記基本バッファガスとともに前記バッファガス出口を通じて運び出すのを支援する項37から44のいずれかに記載の方法。
46.前記放射コレクタの中心に向けて周縁バッファガス流れを生成するように前記コレクタの周縁にも周縁バッファガスの進入を許容することを備える項37から45のいずれかに記載の方法。
47.前記周縁バッファガスは、EUV放射に実質的に透明である項46に記載の方法。
48.前記プラズマ生成場所に向けて前記基本バッファガス流れに実質的に平行な方向に前記燃料の滴を生成することを備える項37から46のいずれかに記載の方法。
49.前記基本バッファガス及び/または周縁バッファガスは、超音速での進入を許容されている項37から48のいずれかに記載の方法。
50.前記燃料デブリを阻止する前に前記燃料デブリを前記ソースチャンバーから運び出すことを備える項37から49のいずれかに記載の方法。
51.前記基本バッファガスは少なくとも一部に、水素より重いガスを備える項37から50のいずれかに記載の方法。
52.前記基本バッファガスは、水素とアルゴンの混合物を備える項51に記載の方法。
53.少なくとも1つの反射層で被覆された基板を備え、前記少なくとも1つの反射層は、複数の穿孔を備える多層ミラー。
54.前記穿孔は、実質的に等間隔である項53に記載の多層ミラー。
55.前記穿孔は、不規則なグリッドに配置され、前記不規則なグリッドは、実質的に規則的なグリッドを基準として前記不規則なグリッドの穿孔の位置がそれぞれ前記規則的なグリッドの対応する位置から可変距離だけ離れるように定められている項53に記載の多層ミラー。
56.前記可変距離は、前記規則的なグリッドの間隔距離の10%以内に制限されている項55に記載の多層ミラー。
57.前記可変距離は、ランダムに、または擬似ランダムに変化する項55または56に記載の多層ミラー。
58.穿孔間の平均間隔は、50mmより小さい項53から57のいずれかに記載の多層ミラー。
59.穿孔間の平均間隔は、30mmより小さい項53から57のいずれかに記載の多層ミラー。
60.穿孔間の平均間隔は、15mmより小さい項53から57のいずれかに記載の多層ミラー。
61.穿孔間の平均間隔は、5mmから15mmの間にある項53から57のいずれかに記載の多層ミラー。
62.前記穿孔の各々の直径は、0.05mmから0.2mmの間にある項53から61のいずれかに記載の多層ミラー。
63.前記穿孔の各々は、200μmから400μmの間の深さを有する項53から62のいずれかに記載の多層ミラー。
64.前記穿孔の合計面積は、前記多層ミラーの反射表面の合計面積の0.1%未満である項53から63のいずれかに記載の多層ミラー。
65.放射コレクタとして構成されている項53から64のいずれかに記載の多層ミラー。
66.放射を生成するプラズマをプラズマ形成場所に燃料を励起することによって生成するように動作可能な放射ソースモジュールであって、
前記プラズマにより発せられる放射を収集するための項65に記載の放射コレクタとして構成された多層ミラーを備える放射ソースモジュール。
【0062】
本発明の特定の実施形態が上述されたが、説明したもの以外の態様で本発明が実施されてもよい。上述の説明は例示であり、限定を意図しない。よって、後述の特許請求の範囲から逸脱することなく既述の本発明に変更を加えることができるということは、関連技術の当業者には明らかなことである。