(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記二峰性又はより多峰性の粒度分布は、そのより小さな粒子とそのより大きな粒子との質量平均直径の差が少なくとも50nmであることによって特徴付けられている、請求項1に記載の二成分コーティング組成物。
前記二峰性又はより多峰性の粒度分布は、そのより小さな粒子の質量平均直径が20〜300nmの範囲であり、かつそのより大きな粒子の質量平均直径が150〜700nmの範囲であることによって特徴付けられている、請求項1又は2に記載の二成分コーティング組成物。
前記二峰性又はより多峰性の粒度分布は、その大きな粒子とその小さな粒子との質量比が40:60〜85:15の範囲であることによって特徴付けられている、請求項1から3までのいずれか1項に記載の二成分コーティング組成物。
前記水性ポリマー分散液c)の固形分が、その全質量を基準として35〜70質量%の範囲であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の二成分コーティング組成物。
前記ポリイソシアネート成分のイソシアネート基と、前記ポリアクリレート成分のヒドロキシル基とのモル比が、0.2:1〜5:1の範囲であることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の二成分コーティング組成物。
少なくとも1種の前記ヒドロキシ官能性ポリ(メタ)アクリレートが、DIN 53240-2に従って測定して15〜250mgKOH/gのOH価を有することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の二成分コーティング組成物。
請求項1から7までのいずれか1項に記載の二成分コーティング組成物を製造する方法において、前記ポリイソシアネート成分及び前記ポリアクリレート成分を互いに混合することを特徴とする、二成分コーティング組成物を製造する方法。
【技術分野】
【0001】
本発明は、
a)少なくとも1種のポリイソシアネート及び
b)少なくとも1種のポリイソシアネートb1)と、イソシアネートに対して反応性ではない少なくとも1個の親水基(基A)及びイソシアネートに対して反応性の少なくとも1個の基(基B)を有する化合物b2)との少なくとも1種の反応生成物
を含有する水乳化性ポリイソシアネート成分
並びに
二峰性又はより多峰性の粒度分布を有する少なくとも1種のヒドロキシ官能性ポリ(メタ)アクリレートの水性ポリマー分散液c)
を含有するポリアクリレート成分
を含有する二成分コーティング組成物、
並びにそれらの製造方法及びそれらの使用に関する。
【0002】
二峰性又はより多峰性の粒度分布に関する二峰性又はより多峰性とは、該水性ポリマー分散液c)が、それらの粒度分布曲線中で、少なくとも2つの、異なり、かつ互いに分かれた極大値を有する粒子(又はその粒度分布曲線中で、概ね少なくとも2つの、異なり、かつ互いに分かれた極大値にグループ分けされる粒子)(質量%又は強度=縦座標又はy軸、サイズ=横座標又はx軸)を含有することであると理解すべきであり、それに対して、該水性ポリマー分散液c)に関して単峰性は、該水性ポリマー分散液c)が、それらの粒度分布曲線中で唯一の極大値を有する粒子(又はその粒度分布曲線中で概ね唯一の極大値にグループ分けされる粒子)を含有することを意味する。質量平均粒度(Dw)は、該粒子の直径であると理解すべきである、それというのも、該粒子は通例、本質的には球状であり、かつ実用のためには、好ましくは球状とみなされるからである。
【0003】
水乳化性ポリイソシアネート成分は、水性ポリマー分散液に、架橋剤として添加され、かつ文献に多数記載されている。該水乳化性は、該ポリイソシアネートのイソシアネート基の一部を親水性化合物と反応させるか、又はそのように親水性に変性されたポリイソシアネートを従来のポリイソシアネートとブレンドすることによって達成される。
【0004】
国際公開第91/384112号(WO 91/384112 A1)からは、少なくとも二峰性の粒度分布を有するポリマー分散液が知られている。該明細書には、他の多数の変形例に加えて、ヒドロキシ官能化の可能性も挙げられている。さらに、その際に、多数のうちの1つとしてポリイソシアネートとの反応の可能性も示唆される。二成分系におけるこれらのポリマー分散液の、粘度及び塗膜物性に関する利点は記載されていない。
【0005】
米国特許第5744544号明細書(US 5744544)には、極めて高い固形分を達成するための二峰性又は多峰性の分散液が記載されており、ここで、少なくとも1つの粒度母集団は、直径>1μmを有する。二成分系におけるこれらのポリマー分散液の性質は記載されていない。
【0006】
本発明の課題は、粘度、乾燥、(ポリイソシアネート)架橋剤のかき混ぜ挙動及び塗膜外観/光沢に関して利点を示す、二成分コーティング組成物を提供することであった。
【0007】
それに応じて、上記で定義された二成分コーティング組成物、それらのコーティング材料及びペイントにおける使用、並びにそれらの製造方法が見出された。
【0008】
該二成分コーティング組成物は、ポリイソシアネート成分及びポリアクリレート成分を含有する。
【0009】
該水乳化性ポリイソシアネート成分は、成分a)として少なくとも1種のポリイソシアネートを含有する。
【0010】
少なくとも1種のポリイソシアネートは、1種のポリイソシアネート又は異なる組成の2種以上のポリイソシアネートの混合物を意味し、好ましくは、1種のポリイソシアネートである。
表現“1種のポリイソシアネート”が同様に、それらの鎖長及び/又は該ポリマー鎖中の該モノマーの配置のみが異なるポリイソシアネートの混合物を含むことが理解される。
【0011】
少なくとも1種の該ポリイソシアネートは、モノメリックな芳香族、脂肪族及び/又は環式脂肪族のイソシアネート、好ましくは脂肪族及び/又は環式脂肪族(本明細書で(環式)脂肪族と略す)のイソシアネート及び特に好ましくは脂肪族イソシアネートの重合によって製造することができる。
【0012】
芳香族イソシアネートは、少なくとも1つの芳香環系を有するもの、すなわち純芳香族化合物だけでなく芳香脂肪族化合物でもある。前者は、そのイソシアナト基が、芳香環系に直接結合されているイソシアネートであると理解され、それに対して、後者の場合に、そのイソシアナト基が、アルキレン基に結合されているが、しかし該化合物は芳香環系も有し、例えば、α,α,α’,α’−テトラメチル−1,3−キシリレンジイソシアネート(TMXDI)の場合がそうである。
環式脂肪族イソシアネートは、少なくとも1つの環式脂肪族環系を有するものである。
脂肪族イソシアネートは、もっぱら線状又は分岐状の炭素鎖を有するもの、すなわち非環式化合物である。
【0013】
前記のモノメリックな芳香族、脂肪族及び/又は環式脂肪族のイソシアネートは、それぞれ、同じか又は異なるイソシアネートであってよい。
【0014】
前記のモノメリックな芳香族、脂肪族及び/又は環式脂肪族のイソシアネートは、好ましくは、ちょうど2個のイソシアネート基を有するジイソシアネートである。しかし、原則的に、1個のイソシアネート基を有するモノイソシアネートであってもよい。
原則的に、平均して2個よりも多いイソシアネート基を有するより高次のイソシアネートも考慮に値する。このためには、例えばトリイソシアネート、例えばトリイソシアナトノナン、2’−イソシアナトエチル−(2,6−ジイソシアナトヘキサノエート)、2,4,6−トリイソシアナトトルエン、トリフェニルメタントリイソシアネート又は2,4,4’−トリイソシアナトジフェニルエーテルあるいはジイソシアネート、トリイソシアネート及びより高次のポリイソシアネートの混合物が適している。
【0015】
前記のモノメリックな芳香族、脂肪族及び/又は環式脂肪族のイソシアネートは、そのイソシアネート基のそれ自体との反応生成物を実質的に含有していない。
【0016】
前記のモノメリックな芳香族、脂肪族及び/又は環式脂肪族のイソシアネートは、好ましくは、炭素原子4〜20個を有するイソシアネートである。通常のジイソシアネートの例は、脂肪族ジイソシアネート、例えばテトラメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(1,6−ジイソシアナトヘキサン)、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、テトラデカメチレンジイソシアネート、リシンジイソシアネートの誘導体、(例えばメチル−又はエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート)、トリメチルヘキサンジイソシアネート又はテトラメチルヘキサンジイソシアネート、環式脂肪族ジイソシアネート、例えば1,4−、1,3−又は1,2−ジイソシアナトシクロヘキサン、4,4’−又は2,4’−ジ(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート)、1,3−又は1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン又は2,4−又は2,6−ジイソシアナト−1−メチルシクロヘキサン並びに3−(もしくは4−)、8−(もしくは9−)ビス(イソシアナトメチル)−トリシクロ[5.2.1.0
2.6]デカン異性体混合物、並びに芳香族ジイソシアネート、例えば2,4−又は2,6−トルイレンジイソシアネート及びそれらの異性体混合物、m−又はp−キシリレンジイソシアネート、2,4’−又は4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン及びそれらの異性体混合物、1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、1−クロロ−2,4−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、ジフェニレン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメチルジフェニル、3−メチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,4−ジイソシアナトベンゼン又はジフェニルエーテル−4,4’−ジイソシアネートである。
【0017】
特に好ましいのは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート及び4,4’−又は2,4’−ジ(イソシアナトシクロヘキシル)メタンであり、極めて特に好ましいのは、イソホロンジイソシアネート及び1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートであり、殊に好ましいのは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートである。
【0018】
挙げたイソシアネートの混合物も存在していてよい。
【0019】
イソホロンジイソシアネートはたいてい、混合物として、それもシス及びトランス異性体の混合物として、通例、約60:40〜90:10(質量/質量)、好ましくは70:30〜90:10の比で、存在する。
【0020】
ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネートは同様に、多様なシス及びトランス異性体の混合物として存在していてよい。
【0021】
ジイソシアネートとして、対応するアミンのホスゲン化により得られるジイソシアネートだけでなく、ホスゲンを使用せずに、すなわちホスゲンフリー法により製造されるものを使用することができる。欧州特許出願公開第126299号明細書(EP-A-126 299)(米国特許第4596678号明細書(US 4 596 678))、欧州特許出願公開第126300号明細書(EP-A-126 300)(米国特許第4596679号明細書(US 4 596 679))及び欧州特許出願公開第355443号明細書(EP-A-355 443)(米国特許第5087739号明細書(US 5 087 739))の記載によれば例えば、(環式)脂肪族ジイソシアネート、例えば1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、アルキレン基中に炭素原子6個を有する異性体脂肪族ジイソシアネート、4,4’−又は2,4’−ジ(イソシアナトシクロヘキシル)メタン及び1−イソシアナト−3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネートもしくはIPDI)は、その(環式)脂肪族ジアミンを例えば尿素及びアルコールと反応させて(環式)脂肪族ビスカルバミン酸エステルを得て、それらを熱解離させて対応するジイソシアネート及びアルコールにすることにより製造することができる。その合成は、たいてい連続的に、循環法において及び任意にN−非置換カルバミン酸エステル、ジアルキルカーボネート及びその反応プロセスから返送される他の副生物の存在下で行われる。こうして得られたジイソシアネートは、通例、ごく僅かな又はそれどころか測定不能な割合の塩素化反応生成物を有し、このことは、例えばエレクトロニクス産業における用途において有利であるが、しかしこれらに限定されるものではない。
【0022】
使用される該イソシアネートが、200ppm未満、好ましくは120ppm未満、特に好ましくは80ppm未満、極めて特に好ましくは50ppm未満、殊に15ppm未満及びとりわけ10ppm未満の加水分解性塩素の全含量を有する場合が有利でありうる。これは例えば、ASTM規格D4663-98により測定することができる。しかしもちろん、より高い塩素含量、例えば500ppmまでを有するモノメリックなイソシアネートも使用することができる。
【0023】
もちろん、その(環式)脂肪族ジアミンを例えば尿素及びアルコールと反応させ、得られた(環式)脂肪族ビスカルバミン酸エステルを解離させることにより得られているモノメリックなイソシアネートと、対応するアミンのホスゲン化により得られているジイソシアネートとの混合物も、使用することができる。
【0024】
前記のモノメリックなイソシアネートを重合して得ることができる、少なくとも1種の該ポリイソシアネートは、通例、次のように特徴付けられている:
少なくとも1種の該ポリイソシアネートの平均NCO官能価は、通例、少なくとも1.8であり、かつ8まで、例えば6まで、好ましくは2〜5及び特に好ましくは2.4〜4であってよい。
【0025】
該重合後のイソシアネート基の含有率は、NCO=42g/モルとして計算して、他に示されない限り、通例、5〜30質量%である。
【0026】
好ましくは、少なくとも1種の該ポリイソシアネートは、次の化合物である:
1)芳香族、脂肪族及び/又は環式脂肪族のジイソシアネートからのイソシアヌレート基を有する1種以上のポリイソシアネート。特に好ましいのは、この際に、対応する脂肪族及び/又は環式脂肪族のイソシアナトイソシアヌレート及び殊にヘキサメチレンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネートをベースとするものである。その際に存在するイソシアヌレートは、殊に、該ジイソシアネートの環状三量体であるトリス−イソシアナトアルキルイソシアヌレートもしくはトリス−イソシアナトシクロアルキルイソシアヌレート又は1個を上回るイソシアヌレート環を有するそれらのより高次の同族体との混合物である。該イソシアナトイソシアヌレートは一般に、10〜30質量%、殊に15〜25質量%のNCO含有率及び2.6〜8の平均NCO官能価を有する。イソシアヌレート基を有する該ポリイソシアネートは、より少ない程度でウレタン基及び/又はアロファネート基も、好ましくは該ポリイソシアネートを基準として2質量%未満の結合アルコールの含有率で、含有していてよい。
【0027】
2)ウレトジオン基を有し、かつ芳香族、脂肪族及び/又は環式脂肪族基に結合したイソシアネート基を有する1種以上のポリイソシアネート、好ましくは脂肪族及び/又は環式脂肪族基に結合したイソシアネート基を有するもの及び殊にヘキサメチレンジイソシアネート又はイソホロンジイソシアネートから誘導されるもの。ウレトジオンジイソシアネートは、ジイソシアネートの環状二量化生成物である。
【0028】
ウレトジオン基を有するポリイソシアネートは、しばしば、他のポリイソシアネート、殊に1)の項で挙げたものとの混合物で得られる。ウレトジオン基を有するポリイソシアネートは通常、2〜3のNCO官能価を有する。
【0029】
そのためには、該ジイソシアネートは、ウレトジオン基だけでなく他のポリイソシアネートも形成される反応条件下で反応させてよく、又はまず最初に該ウレトジオン基を形成し、これらを引き続き他のポリイソシアネートへ変換してよく、又は該ジイソシアネートをまず最初に、他のポリイソシアネートへ変換し、これらを引き続きウレトジオン基含有生成物へ変換してよい。
【0030】
3)ビウレット基を有し、かつ芳香族、環式脂肪族又は脂肪族基に結合した、好ましくは環式脂肪族又は脂肪族基に結合したイソシアネート基を有する1種以上のポリイソシアネート、殊にトリス−(6−イソシアナトヘキシル)ビウレット又はそれと、そのより高次の同族体との混合物。ビウレット基を有するこれらのポリイソシアネートは一般に、18〜24質量%のNCO含有率及び2.8〜6の平均NCO官能価を有する。
【0031】
4)ウレタン基及び/又はアロファネート基を有し、かつ芳香族、脂肪族又は環式脂肪族基に結合した、好ましくは脂肪族又は環式脂肪族基に結合したイソシアネート基を有する1種以上のポリイソシアネート、例えば、過剰量のジイソシアネート、例えばヘキサメチレンジイソシアネート又はイソホロンジイソシアネートと、一価又は多価アルコールとの反応によるもの。ウレタン基及び/又はアロファネート基を有するこれらのポリイソシアネートは一般に、12〜24質量%のNCO含有率及び2.0〜4.5の平均NCO官能価を有する。
【0032】
ウレタン基及び/又はアロファネート基を有するそのようなポリイソシアネートは、無触媒で又は好ましくは、触媒、例えばカルボン酸アンモニウム又は水酸化アンモニウム、又はアロファネート化触媒、例えばビスマス化合物、コバルト化合物、セシウム化合物、Zn(II)又はZr(IV)化合物の存在下で、それぞれ一価、二価又はより多価の、好ましくは一価のアルコールの存在下で、製造することができる。
【0033】
ウレタン基及び/又はアロファネート基を有するポリイソシアネートは、しばしば、1)の項で挙げたポリイソシアネートとの混合形で生じる。
【0034】
5)オキサジアジントリオン基を有する1種以上のポリイソシアネート、好ましくはヘキサメチレンジイソシアネート又はイソホロンジイソシアネートから誘導されるもの。オキサジアジントリオン基を有するそのようなポリイソシアネートは、ジイソシアネート及び二酸化炭素から入手可能でありうる。
【0035】
6)イミノオキサジアジンジオン基を有する1種以上のポリイソシアネート、好ましくはヘキサメチレンジイソシアネート又はイソホロンジイソシアネートから誘導されるもの。イミノオキサジアジンジオン基を有するそのようなポリイソシアネートは、例えば、ジイソシアネートから、特殊な触媒を用いて製造できる。
【0036】
7)1種以上のウレトンイミン変性ポリイソシアネート。
【0037】
8)1種以上のカルボジイミド変性ポリイソシアネート。
【0038】
9)1種以上のハイパーブランチポリイソシアネート、これらは例えば、独国特許出願公開第10013186号明細書(DE-A 10013186)又は独国特許出願公開第10013187号明細書(DE-A 10013187)から公知である。
【0039】
10)前記の項で記載されたポリイソシアネート1)〜9)、好ましくは1)、2)、3)、4)及び6)は、それらの製造後に、ビウレット基又はウレタン/アロファネート基を有し、かつ芳香族、環式脂肪族又は脂肪族基に結合した、好ましくは(環式)脂肪族基に結合したイソシアネート基を有するポリイソシアネートへ変換することができる。ビウレット基の形成は、例えば、水の添加又はアミンとの反応により行われる。ウレタン基及び/又はアロファネート基の形成は、任意に適した触媒の存在下での、一価、二価又は多価の、好ましくは一価のアルコールとの反応により行われる。ビウレット基又はウレタン/アロファネート基を有するこれらのポリイソシアネートは一般に、10〜25質量%のNCO含有率及び3〜8の平均NCO官能価を有する。
【0040】
11) 1)〜10)で記載された基に加えてさらに、NCO反応性基及びUV線又は化学線により架橋性の基を有する分子の、前記の分子のイソシアネート基への付加により形式的に生じる基を有するポリイソシアネート。これらの分子は、例えば、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート及び他のヒドロキシ−ビニル化合物である。
【0041】
上記で挙げたジイソシアネート又はポリイソシアネートは、少なくとも部分的に、ブロックされた形態で存在していてもよい。
【0042】
そのブロッキングに使用される種類の化合物は、D. A. Wicks, Z. W. Wicks, Progress in Organic Coatings, 36, 148-172 (1999), 41, 1-83 (2001)並びに43, 131-140(2001)に記載されている。
【0043】
そのブロッキングに使用される種類の化合物の例は、フェノール類、イミダゾール類、トリアゾール類、ピラゾール類、オキシム、N−ヒドロキシイミド、ヒドロキシ安息香酸エステル、第二級アミン、ラクタム、CH−酸性環状ケトン、マロン酸エステル又はアルキルアセトアセテートである。
【0044】
少なくとも1種の該ポリイソシアネートが、イソシアヌレート、ビウレット、ウレタン及びアロファネートからなる群から、好ましくはイソシアヌレート、ウレタン及びアロファネートからなる群から選択されている場合が有利であってよく、特に好ましくは、イソシアヌレート基含有ポリイソシアネートである。
【0045】
特に好ましくは、少なくとも1種の該ポリイソシアネートは、脂肪族ジイソシアネートをベースとする、極めて特に好ましくは1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートをベースとする、ポリイソシアネートである。
【0046】
さらに特に好ましくは、少なくとも1種の該ポリイソシアネートは、ポリイソシアネートの混合物、極めて特に好ましくは1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートをベースとするものと、イソホロンジイソシアネートをベースとするものとの混合物である。
【0047】
特に好ましい実施態様において、少なくとも1種の該ポリイソシアネートは、低粘度のポリイソシアネート、好ましくは600〜3500mPa・s、殊に1500mPa・s未満の粘度を有するイソシアヌレート基を有する低粘度のポリイソシアネート、200〜1600mPa・s、殊に500〜1500mPa・sの粘度を有する低粘度のウレタン及び/又はアロファネート、及び/又は400〜2000mPa・s、殊に500〜1500mPa・sの粘度を有するイミノオキサジアジンジオン基を有するポリイソシアネートを含有する混合物である。
【0048】
本明細書に示された粘度値は、他に示されない限り、DIN EN ISO 3219/A.3(1994年10月)に従って、23℃で、コーン−プレート系を用いて1000s
−1の速度勾配で測定される。
少なくとも1種の該ポリイソシアネートは、例えば、当業者に公知である方法により製造することができる。
【0049】
少なくとも1種の該ポリイソシアネートの製造方法は、国際公開第2008/68198号(WO 2008/68198)、特に該明細書の20頁21行〜27頁15行に記載されたように行うことができ、該開示はこれにより参照により本明細書に援用される。
【0050】
その反応は、例えば該明細書の31頁19行〜31頁31行に記載されたように、停止することができ、かつその後処理は、例えば該明細書の31頁33行〜32頁40行に記載されたように行うことができ、該開示はこれによりそれぞれ参照により本明細書に援用される。
【0051】
該反応は、選択的に、国際公開第2005/087828号(WO 2005/087828)の11頁12行〜12頁5行に記載されたように、停止することもでき、該開示はこれにより参照により本明細書に援用される。
【0052】
少なくとも1種の該ポリイソシアネートの製造方法において、熱的に不安定でない触媒だけでなく熱的に不安定な触媒も使用することができる。
【0053】
少なくとも1種の該ポリイソシアネートの製造方法において、熱的に不安定な触媒が使用される場合には、その反応混合物を少なくとも80℃、好ましくは少なくとも100℃、特に好ましくは少なくとも120℃を上回る温度に加熱することにより該反応を停止することもさらに可能である。そのためには、通例、該後処理における蒸留による未反応イソシアネートの分離のために必要であるような、該反応混合物の加熱で既に十分である。
【0054】
熱的に不安定でない触媒だけでなく熱的に不安定な触媒の場合も、不活性化剤の添加により該反応をより低い温度で停止する可能性が存在する。適した不活性化剤は、例えば、塩化水素、リン酸、有機ホスフェート、例えばジブチルホスフェート又はジエチルヘキシルホスフェート、カルバメート、例えばヒドロキシアルキルカルバメート又は有機カルボン酸である。
【0055】
これらの化合物は、純品で又は希釈して、その反応停止に必要である適した濃度で添加される。
ジイソシアネート、トリイソシアネート及びより高次のポリイソシアネートは、例えば、対応するアニリン/ホルムアルデヒド縮合物のホスゲン化により、得ることができ、かつメチレン架橋を有するポリフェニルポリイソシアネートであってよい。
【0056】
該水乳化性ポリイソシアネート成分は、成分b)として、少なくとも1種のポリイソシアネートb1)と少なくとも1種の化合物b2)との少なくとも1種の反応生成物を含有する。
少なくとも1種の反応生成物は、1種の反応生成物あるいは該成分b1)及び/又はb2)が異なる2種以上の反応生成物の混合物を意味し、好ましくは、1種の反応生成物である。
【0057】
少なくとも1種の該ポリイソシアネートは、a)で記載された少なくとも1種の該ポリイソシアネートと、同じか又は異なっていてよい。好ましくは、b1)で使用される少なくとも1種の該ポリイソシアネートは、a)での少なくとも1種の該ポリイソシアネートと同じである。
【0058】
少なくとも1種の化合物b2)は、2種以上の異なる化合物b2)の混合物を意味し、好ましいのは、1種の化合物b2)である。
【0059】
少なくとも1種の該化合物b2)は、モノマー、オリゴマー又はポリマーであってよい。
【0060】
少なくとも1種の該化合物b2)は、イソシアネートに対して反応性の少なくとも1個の基(基B)を有する。
【0061】
イソシアネートと反応性の基(基B)とは、本発明の範囲内で、NCO基と反応性の水素原子を有するか、又はNCO基とその反応の際の標準のプロセス条件下で付加化合物を形成できる基であると理解すべきである。これらのプロセス条件は、当業者にそれ自体として公知である。
【0062】
例えば、この基Bは、ヒドロキシ基、メルカプト基、第一級若しくは第二級アミノ基(NH基と略す)、エポキシド、酸無水物基又はカルボジイミド基である。好ましいのは、ヒドロキシ基、メルカプト基又は第一級若しくは第二級アミノ基(NH基と略す)である。特に好ましいのは、ヒドロキシ基である。
【0063】
少なくとも1種の該化合物b2)は、イソシアネートに対して反応性ではない少なくとも1個の親水基(基A)を有する。
【0064】
イソシアネートに対して反応性ではない基(基A)とは、本発明の範囲内で、NCO基と、その反応の際の標準のプロセス条件下で、付加化合物を形成できない基であると理解すべきである。これらのプロセス条件は、当業者にそれ自体として公知である。
【0065】
該基Aは、例えば、イオン性基又はイオン性基へ変換できる基であってよい。
【0066】
アニオン性基もしくはアニオン性基へ変換できる基は、例えば、カルボン酸基又はスルホン酸基である。
カチオン性基もしくはカチオン性基へ変換できる基は、例えば、第四級アンモニウム基もしくは(第三級)アミノ基である。
【0067】
イオン性基へ変換できる基は、好ましくは、本発明による混合物の水中への分散前又は分散中に、イオン性基へ変換される。特に好ましくは、イオン性基へ変換できる該基は、該ポリイソシアネートとの反応の前に既にイオン性基へ変換される。
【0068】
例えばカルボン酸基又はスルホン酸基をアニオン性基へ変換するために、無機塩基及び/又は有機塩基、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、アンモニア又は第一級、第二級及び特に第三級のアミン、例えばトリエチルアミン又はジメチルアミノプロパノールを使用することができる。
【0069】
第三級アミノ基を対応するカチオン、例えばアンモニウム基へ変換するために、中和剤として、無機酸又は有機酸、例えば塩酸、酢酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸又はリン酸が、又は四級化剤として、例えば塩化メチル、ヨウ化メチル、硫酸ジメチル、塩化ベンジル、クロロ酢酸エチルエステル又はブロモアセトアミドが、適している。さらに適した中和剤及び四級化剤は、例えば、米国特許第3479310号明細書(US-PS 3 479 310)の第6欄に記載されている。
【0070】
該イオン性基もしくはイオン性基へ変換できる基の含有率は、該成分a)及びb)の合計1kgあたり、好ましくは0.5〜30モル、特に好ましくはkgあたり2〜15モルである。
【0071】
該基Aは、例えば、ノニオン性の親水基であってよい。
【0072】
ノニオン性基は、例えばポリアルキレンエーテル基、殊にアルキレンオキシド単位を3〜80個有するもの、特に好ましくは5〜25個有するもの、極めて特に好ましくは5〜15個有するものである。
【0073】
好ましいのは、ポリエチレンエーテル基又は他のアルキレンオキシド単位、例えばプロピレンオキシドに加えて、少なくとも5個のエチレンオキシド単位を含有するポリアルキレンエーテル基である。
【0074】
前記の親水性のノニオン性基、殊に該ポリアルキレンエーテル基の含有率は、該成分a)及びb)の合計を基準として、好ましくは0.5〜20質量%、特に好ましくは1〜30質量%である。
【0075】
少なくとも1種の化合物b2)として適しているのは、例えば、脂肪族、環式脂肪族、芳香脂肪族又は芳香族のヒドロキシカルボン酸、例えばヒドロキシピバル酸、又はヒドロキシスルホン酸もしくはアミノスルホン酸である。
【0076】
好ましくは、少なくとも1種の該化合物b2)は、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、チオ乳酸、メルカプトコハク酸、グリシン、イミノ二酢酸、サルコシン、アラニン、β−アラニン、ロイシン、イソロイシン、アミノ酪酸、ヒドロキシ酢酸、ヒドロキシピバル酸、乳酸、ヒドロキシコハク酸、ヒドロキシデカン酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸、エチレンジアミン三酢酸、ヒドロキシドデカン酸、ヒドロキシヘキサデカン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、アミノナフタレンカルボン酸、ヒドロキシエタンスルホン酸、ヒドロキシプロパンスルホン酸、メルカプトエタンスルホン酸、メルカプトプロパンスルホン酸、アミノメタンスルホン酸、タウリン、アミノプロパンスルホン酸、N−シクロヘキシルアミノプロパンスルホン酸、N−シクロヘキシルアミノエタンスルホン酸並びにそれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又はアンモニウム塩であり、かつ特に好ましくは、挙げたモノヒドロキシカルボン酸及びモノヒドロキシスルホン酸並びにモノアミノカルボン酸及びモノアミノスルホン酸である。
【0077】
同様に好ましくは、少なくとも1種の該化合物b2)は、ポリアルキレンエーテルアルコール、特に好ましくは、ポリエチレンエーテルアルコールである。
【0078】
該ポリアルキレンエーテルアルコール及びポリエチレンエーテルアルコールは、好ましくは、少なくとも250g/モル、特に好ましくは少なくとも300g/モルの分子量M
nを有する。該分子量M
nは、原則的に上限を有していなくてよく、好ましくは5000g/モルまで、特に好ましくは1200g/モルまで及び極めて特に好ましくは800g/モルまでであってよい。
該ポリアルキレンエーテルアルコール及びポリエチレンエーテルアルコールの好ましいOH価は、DIN 53240-2(2007年11月)(電位差滴定による)に従って測定して、40〜200mgKOH/g固体樹脂、好ましくは50〜160mgKOH/g固体樹脂である。
【0079】
該成分b)を製造するために、少なくとも1種の該ポリイソシアネートb1)は、少なくとも1種の化合物b2)と反応される。
【0080】
該成分b)の製造は、例えば、独国特許出願公開第3521618号明細書(DE-A-35 21 618)、独国特許出願公開第4001783号明細書(DE-A-40 01 783)及び独国特許出願公開第4203510号明細書(DE-A-42 03 510)から公知である。
【0081】
該製造の際に、少なくとも1種の該化合物b2)を該成分a)の一部と反応させ、引き続き該成分a)の残部と混合することができる。
しかし、該製造は、少なくとも1種の該化合物b2)が、該成分a)の全量に添加され、ついで該反応が同じ反応容器中で実施されるように行うこともできる。
【0082】
好ましい成分b)は、親水性のノニオン性基、殊にポリアルキレンエーテル基を有するものである。好ましくは、その際に、該水乳化性は、前記の親水性のノニオン性基により単独で達成される。
【0083】
該ポリアクリレート成分は、二峰性又はより多峰性の粒度分布を有する少なくとも1種のヒドロキシ官能性ポリ(メタ)アクリレートの水性ポリマー分散液c)を含有する。
【0084】
好ましくは、該水性ポリマー分散液c)は、異なるDw値を有する2種以上のヒドロキシ官能性ポリ(メタ)アクリレートと、水とから本質的になる。
【0085】
少なくとも1種の該ヒドロキシ官能性ポリ(メタ)アクリレートのDw値が、これらが同じと言われる場合でも、ちょうど同じである必要はなく、幾分異なっていてよく、例えば±45nm、好ましくは
±40nm、特に好ましくは±30nm及び殊に±20nmだけ異なっていることが理解される。
【0086】
該粒度に関して以下に使用される概念である大きい及び小さいが、相対的な意味でのみ解釈されるべきであることが理解される(双方とも、これらがポリマー分散液を提供する意味では小さい)。
【0087】
少なくとも1種の該ヒドロキシ官能性ポリ(メタ)アクリレートに関して、(極大値の数から独立して)20〜300nmのサイズを有する粒子の寄与が、ポリ(メタ)アクリレートの全質量を基準として、2〜85質量%及び特に好ましくは15〜60質量%の範囲であることが好ましい。さらに、150〜700nmのサイズを有する粒子の寄与が、その小さな粒子が数的に支配的である場合でも、ポリ(メタ)アクリレートの全質量を基準として、好ましくは15〜98質量%及び特に好ましくは40〜85質量%の範囲である。したがって、その大きな粒子とその小さな粒子との質量比は、好ましくは15:85〜98:2、好ましくは30:70〜98:2及び特に好ましくは40:60〜85:15の範囲である。
【0088】
少なくとも1種の該ヒドロキシ官能性ポリ(メタ)アクリレートが、2つの極大値が優勢である(すなわち二峰性である)粒度分布を有する場合が有利でありうる。好ましくは、その小さな粒子の質量平均粒径Dwは、好ましくは20〜300nm及び特に好ましくは30〜180nmである。その大きな粒子の質量平均粒径Dwは、好ましくは150〜700nm及び特に好ましくは180〜500nmである。その小さな粒子とその大きな粒子との質量平均直径Dwの差は、好ましくは少なくとも50nm、好ましくは少なくとも80nm及び特に好ましくは100nmである。
【0089】
少なくとも1種の該ヒドロキシ官能性ポリ(メタ)アクリレートの好ましいOH価は、DIN 53240-2(2007年11月)(電位差滴定による)に従って測定して、15〜250mgKOH/gポリメタクリレート、好ましくは40〜120mgKOH/gである。
【0090】
少なくとも1種の該ヒドロキシ官能性ポリ(メタ)アクリレートは、好ましくは、少なくとも1種のヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートと、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ビニル芳香族化合物、α,β−不飽和カルボン酸及び他のモノマーからなる群から選択される少なくとも1種のさらなる重合性コモノマーとのヒドロキシ基含有コポリマーである。
【0091】
少なくとも1種の該ヒドロキシ官能性ポリ(メタ)アクリレートは、通常の方法による重合により、例えば乳化重合を通じて、製造することができる。
好ましくは、ヒドロキシ官能性モノマーは、重合性の、好ましくはラジカル重合性の他のモノマーとの混合物で共重合される。
【0092】
該ヒドロキシ官能性モノマーは、好ましくは、少なくとも1種の該ヒドロキシ官能性ポリ(メタ)アクリレートの上記のヒドロキシル価を生じるような量で該共重合の際に併用することができ、該ヒドロキシル価は一般に、0.5〜8、好ましくは1.2〜3.8質量%の少なくとも1種の該ヒドロキシ官能性ポリ(メタ)アクリレートのヒドロキシ基含有率に相当する。
【0093】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして挙げられるのは、例えばC
1〜C
20−アルキル(メタ)アクリレートであり、ビニル芳香族化合物は、20個までの炭素原子を有するものであり、α,β−不飽和カルボン酸は、それらの無水物も含み、かつ他のモノマーは、例えば、20個までの炭素原子を有するカルボン酸のビニルエステル、エチレン性不飽和ニトリル、炭素原子1〜10個を有するアルコールのビニルエーテルであり、かつ炭素原子2〜8個及び二重結合1又は2個を有する脂肪族炭化水素はあまり好ましくない。
【0094】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルの例として挙げられるのは、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸n−プロピルエステル、(メタ)アクリル酸n−ブチルエステル、(メタ)アクリル酸イソブチルエステル、(メタ)アクリル酸sec−ブチルエステル、(メタ)アクリル酸n−ペンチルエステル、(メタ)アクリル酸イソペンチルエステル、(メタ)アクリル酸−2−メチルブチルエステル、(メタ)アクリル酸アミルエステル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルブチルエステル、(メタ)アクリル酸ペンチルエステル、(メタ)アクリル酸n−ヘプチルエステル、(メタ)アクリル酸n−オクチルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸2−プロピルヘプチルエステル、(メタ)アクリル酸n−デシルエステル、(メタ)アクリル酸ウンデシルエステル及び/又は(メタ)アクリル酸n−ドデシルエステルである。
【0095】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして好ましいのは、C
1〜C
10−アルキル基を有するものであり、特に好ましいのは、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、n−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート及び/又は3−プロピルヘプチルアクリレートである。
【0096】
殊に、該(メタ)アクリル酸アルキルエステルの混合物も適している。
【0097】
炭素原子1〜20個を有するカルボン酸のビニルエステルは、例えばラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、プロピオン酸ビニル及び酢酸ビニルである。
【0098】
α,β−不飽和カルボン酸及びそれらの無水物は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸又は無水マレイン酸、好ましくはアクリル酸であってよい。
【0099】
ヒドロキシ官能性モノマーとして、α,β−不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸(本明細書において“(メタ)アクリル酸”と略して呼ぶ)と、好ましくは炭素原子2〜20個及び少なくとも2個のヒドロキシ基を有するジオール又はポリオールとのモノエステルが挙げられ、該ジオール又はポリオールは、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,1−ジメチル−1,2−エタンジオール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバル酸ネオペンチルグリコールエステル、2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,4−ブタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,4−ジエチルオクタン−1,3−ジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−、1,2−、1,3−及び1,4−ビス(ヒドロキシメチル)−シクロヘキサン、1,2−、1,3−又は1,4−シクロヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ペンタエリトリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリトリトール、ソルビトール、マンニトール、ジグリセリン、トレイトール、エリトリトール、アドニトール(リビトール)、アラビトール(リキシトール)、キシリトール、ズルシトール(ガラクチトール)、マルチトール、イソマルト、162〜4500、好ましくは250〜2000の分子量を有するポリ−THF、ポリ−1,3−プロパンジオール又は134〜2000の分子量を有するポリプロピレングリコール又は238〜2000の分子量を有するポリエチレングリコールである。
【0100】
好ましいのは、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−又は3−ヒドロキシプロピルアクリレート、1,4−ブタンジオールモノアクリレート又は3−(アクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルアクリレートであり、かつ特に好ましいのは2−ヒドロキシエチルアクリレート及び/又は2−ヒドロキシエチルメタクリレートである。
【0101】
ビニル芳香族化合物として、例えばビニルトルエン、α−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、4−n−ブチルスチレン、4−n−デシルスチレン及び好ましくはスチレンが考慮に値する。
【0102】
ニトリルの例は、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルである。
【0103】
適したビニルエーテルは、例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルヘキシルエーテル及びビニルオクチルエーテルである。
【0104】
炭素原子2〜8個及びオレフィン性二重結合1又は2個を有する非芳香族炭化水素として、ブタジエン、イソプレン、並びにエチレン、プロピレン及びイソブチレンが挙げられる。
【0105】
さらに、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルピロリドン並びにN−ビニルカプロラクタム、さらに、エチレン性不飽和酸、殊にカルボン酸、酸無水物又は酸アミド、並びにビニルイミダゾールが使用できる。エポキシ基を有するコモノマー、例えばグリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレート又はN−メトキシメチルアクリルアミド又はN−メトキシメチルメタクリルアミドのようなモノマーも、少量で併用することができる。
【0106】
好ましいのは、アルコール基中に炭素原子1〜18個、好ましくは1〜8個を有するアクリル酸もしくはメタクリル酸のエステル、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、イソプロピルアクリレート、n−プロピルアクリレート、アクリル酸n−ブチル、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ステアリルアクリレート、これらのアクリレートに対応するメタクリレート、スチレン、アルキル置換スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル又はステアリン酸ビニルもしくはそのようなモノマーの任意の混合物である。
【0107】
該ヒドロキシ官能性モノマーは、ヒドロキシ基を有する該(メタ)アクリレートの共重合において、他の重合性の、好ましくはラジカル重合性のモノマー、好ましくは、50質量%超がC
1〜C
20−、好ましくはC
1〜C
4−アルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、20個までの炭素原子を有するビニル芳香族化合物、20個までの炭素原子を有するカルボン酸のビニルエステル、ビニルハロゲン化物、炭素原子4〜8個及び二重結合1又は2個を有する非芳香族炭化水素、不飽和ニトリル及びそれらの混合物からなるものとの混合物で、使用される。特に好ましいのは、ヒドロキシ基を有する該モノマーに加えて、60質量%超が、C
1〜C
10−アルキル(メタ)アクリレート、スチレン及びその誘導体又はそれらの混合物からなるポリマーである。
【0108】
少なくとも1種の該ヒドロキシ官能性ポリ(メタ)アクリレートの共重合は通例、ラジカル開始水性乳化重合により行われる。
【0109】
ラジカル開始水性乳化重合の実施は、既に多数記載されており、したがって、当業者に十分に公知である[これに関して、Emulsion Polymerization, Encyclopedia of Polymer Science and Engineering中, Vol. 8, 659頁以降ff. (1987);D.C. Blackley, High Polymer Latices中, Vol. 1, 35頁以降 (1966);H. Warson, The Applications of Synthetic Resin Emulsions, 第5章, 246頁以降 (1972);D. Diederich, Chemie in unserer Zeit 24, 135〜142頁 (1990);Emulsion Polymerisation, Interscience Publishers, New York (1965);独国特許出願公開第4003422号明細書(DE-A 40 03 422)及びDispersionen synthetischer Hochpolymerer, F. Hoelscher, Springer-Verlag, Berlin (1969)参照]。該ラジカル開始水性乳化重合は通常、該モノマーを、通例、分散助剤、例えば乳化剤及び/又は保護コロイドの併用下で、水性媒体中に分散させ、かつ少なくとも1種の水溶性ラジカル重合開始剤を用いて重合されるようにして行われる。しばしば、得られる水性ポリマー分散液の場合に、未反応モノマーの残留含分が、当業者に同様に公知の化学的及び/又は物理的な方法[例えば、欧州特許出願公開第771328号明細書(EP-A 771328)、独国特許出願公開第19624299号明細書(DE-A 19624299)、独国特許出願公開第19621027号明細書(DE-A 19621027)、独国特許出願公開第19741184号明細書(DE-A 19741184)、独国特許出願公開第19741187号明細書(DE-A 19741187)、独国特許出願公開第19805122号明細書(DE-A 19805122)、独国特許出願公開第19828183号明細書(DE-A 19828183)、独国特許出願公開第19839199号明細書(DE-A 19839199)、独国特許出願公開第19840586号及び同第19847115号明細書(DE-A 19840586及び19847115)参照]により低下されるか、そのポリマー固形分が、希釈又は濃縮により所望の値に調節されるか、又は該水性ポリマー分散液に、さらなる通常の添加剤、例えば発泡又は粘度を調整する添加剤が添加される。
【0110】
該ラジカル開始水性乳化重合は、多段階の重合方法において行うことができる。多段階の重合方法とは、2つ以上の別個の作業工程における2つ以上の互いに別個のモノマー混合物のシーケンシャル重合であると理解すべきである。
【0111】
該ラジカル開始水性乳化重合は通例、その全モノマー量を基準としてそれぞれ、ラジカル重合開始剤(ラジカル開始剤)0.1〜5質量%、好ましくは0.1〜4質量%及び殊に0.1〜3質量%の存在下で実施される。ラジカル開始剤として、ラジカル水性乳化重合を開始することができる全てのものが考慮に値する。その際に、原則的に、過酸化物だけでなくアゾ化合物であってもよい。もちろん、レドックス開始剤系も考慮に値する。過酸化物として、原則的に、無機過酸化物、例えば過酸化水素又はペルオキソ二硫酸塩、例えばペルオキソ二硫酸のモノ−又はジ−アルカリ金属又はアンモニウム塩、例えばそのモノ−及びジ−ナトリウム、カリウム又はアンモニウム塩又は有機過酸化物、例えばアルキルヒドロペルオキシド、例えばtert−ブチルヒドロペルオキシド、p−メンチルヒドロペルオキシド又はクミルヒドロペルオキシド、並びにジアルキルペルオキシド又はジアリールペルオキシド、例えばジ−tert−ブチルペルオキシド又はジクミルペルオキシドを使用することができる。アゾ化合物として、本質的には2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)及び2,2’−アゾビス(アミジノプロピル)ジヒドロクロリド(AIBA、Wako ChemicalsのV-50に相当)が使用される。もちろん、いわゆるレドックス開始剤系もラジカル開始剤として使用することができる。レドックス開始剤系のための酸化剤として、本質的には、上記の過酸化物が考慮に値する。対応する還元剤として、低い酸化状態を有する硫黄化合物、例えばアルカリ金属亜硫酸塩、例えば亜硫酸カリウム及び/又はナトリウム、アルカリ金属亜硫酸水素塩、例えば亜硫酸水素カリウム及び/又はナトリウム、アルカリ金属メタ重亜硫酸塩、例えばメタ重亜硫酸カリウム及び/又はナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシル酸塩、例えばホルムアルデヒドスルホキシル酸カリウム及び/又はナトリウム、脂肪族スルフィン酸のアルカリ金属塩、殊にカリウム及び/又はナトリウム塩及びアルカリ金属水素硫化物、例えばカリウム及び/又はナトリウム水素硫化物、多価金属の塩、例えば硫酸鉄(II)、鉄(II)アンモニウムスルフェート、リン酸鉄(II)、エンジオール、例えばジヒドロキシマレイン酸、ベンゾイン及び/又はアスコルビン酸並びに還元糖、例えばソルボース、グルコース、フルクトース及び/又はジヒドロキシアセトンを使用することができる。
【0112】
該重合反応の開始とは、該ラジカル開始剤のラジカル形成後の、該重合容器中に存在するモノマーの重合反応のスタートであると理解される。その際に、該重合反応の開始は、該重合容器中で重合条件下で水性重合混合物へのラジカル開始剤の添加により行うことができる。しかし、該ラジカル開始剤の部分量又は全量が、装入されたモノマーを含有する該水性重合混合物に、該重合容器中で、重合反応を引き起こすのに適していない条件下で、例えば低い温度で、添加され、その後、該水性重合混合物中で、重合条件に調節されることも可能である。重合条件とは、その際に、一般に、該ラジカル開始水性乳化重合が十分な重合速度で進行する温度及び圧力であると理解すべきである。これらは殊に、使用されるラジカル開始剤に依存している。有利に、該ラジカル開始剤の種類及び量、該重合温度及び該重合圧力は、該ラジカル開始剤が、<3時間及び殊に有利に<1時間の半減期を有し、かつその際に、該重合反応を開始及び維持するのに常に十分に開始ラジカルが利用できるように選択される。
【0113】
該ラジカル開始水性乳化重合のための反応温度として、0〜170℃の全範囲が考慮に値する。その際に、通例、50〜120℃、好ましくは60〜110℃及び殊に好ましくは60〜100℃の温度が使用される。該ラジカル開始水性乳化重合は、1atm[1.013bar(絶対)、大気圧]未満、1atm又は1atm超の圧力で実施することができるので、該重合温度は、100℃を超えてよく、かつ170℃までであってよい。低い沸点を有するモノマーの存在の場合に、該乳化重合は、好ましくは高められた圧力下で実施される。その際に、該圧力は、1.2、1.5、2、5、10、15bar(絶対)又はよりいっそう高い値を取ることができる。該乳化重合が減圧下で実施される場合には、950mbar、しばしば900mbar及び頻繁に850mbar(絶対)の圧力に調節される。有利に、該ラジカル水性乳化重合は、1atmで酸素排除下で、殊に不活性ガス雰囲気下で、例えば窒素又はアルゴン下で、実施される。
【0114】
本発明によれば、該ラジカル開始剤の全量を、該水性反応媒体中に、該重合反応の開始前に装入することができる。しかし、場合により該ラジカル開始剤の部分量のみを、該水性反応媒体中に、該重合反応の開始前に装入し、ついで重合条件下で該ラジカル開始乳化重合中にその全量もしくは場合により残っている残量を、その消費に応じて連続的に又は不連続に添加することも可能である。好ましい実施態様において、該ラジカル開始剤の全量が、該水性反応媒体中に、該重合反応の開始前に装入される。
【0115】
通例、ラジカル開始剤の全量は、その全モノマー量を基準としてそれぞれ、≧0.05及び≦5質量%、好ましくは≧0.1及び≦3質量%及び特に好ましくは≧0.1及び≦1.5質量%である。
【0116】
任意に、その質量平均分子量の調節のために、ラジカル連鎖移動化合物(ラジカル連鎖調節剤)が使用される。その際に、本質的には、脂肪族及び/又は芳香脂肪族のハロゲン化合物、例えば塩化n−ブチル、臭化n−ブチル、ヨウ化n−ブチル、塩化メチレン、二塩化エチレン、クロロホルム、ブロモホルム、ブロモトリクロロメタン、ジブロモジクロロメタン、四塩化炭素、四臭化炭素、塩化ベンジル、臭化ベンジル、有機チオ化合物、例えば第一級、第二級又は第三級の脂肪族チオール、例えばエタンチオール、n−プロパンチオール、2−プロパンチオール、n−ブタンチオール、2−ブタンチオール、2−メチル−2−プロパンチオール、n−ペンタンチオール、2−ペンタンチオール、3−ペンタンチオール、2−メチル−2−ブタンチオール、3−メチル−2−ブタンチオール、n−ヘキサンチオール、2−ヘキサンチオール、3−ヘキサンチオール、2−メチル−2−ペンタンチオール、3−メチル−2−ペンタンチオール、4−メチル−2−ペンタンチオール、2−メチル−3−ペンタン−チオール、3−メチル−3−ペンタンチオール、2−エチルブタンチオール、2−エチル−2−ブタンチオール、n−ヘプタンチオール及びその異性体化合物、n−オクタンチオール及びその異性体化合物、n−ノナンチオール及びその異性体化合物、n−デカンチオール及びその異性体化合物、n−ウンデカンチオール及びその異性体化合物、n−ドデカンチオール及びその異性体化合物、n−トリデカンチオール及びその異性体化合物、置換チオール、例えば2−ヒドロキシエタンチオール、芳香族チオール、例えばベンゼンチオール、オルト−、メタ−、又はパラ−メチルベンゼンチオール、メルカプトアルカン酸及びそれらの誘導体、例えば3−メルカプトプロピオン酸−6−メチルヘプチルエステル又は2−メルカプトエタン酸−2−エチルヘキシルエステル並びにさらにPolymerhandbook 第3版, 1989, J. Brandrup及びE.H. Immergut, John Weley & Sons, 第II節, 133〜141頁に記載された全ての硫黄化合物、しかしまた脂肪族及び/又は芳香族のアルデヒド、例えばアセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド及び/又はベンズアルデヒド、不飽和脂肪酸、例えばオレイン酸、非共役二重結合を有するジエン、例えばジビニルメタン又はビニルシクロヘキサン又は容易に引抜き可能な水素原子を有する炭化水素、例えばトルエンが、使用される。しかし、互いに妨害しない前記のラジカル連鎖調節剤の混合物を使用することも可能である。
【0117】
該ラジカル連鎖調節剤の全量を、該水性反応媒体中に、該重合反応の開始前に装入することができる。しかし、場合により該ラジカル連鎖調節剤の部分量のみを、該水性反応媒体中に、該重合反応の開始前に装入し、ついで重合条件下で、該ラジカル開始乳化重合中にその全量もしくは場合により残っている残量を、必要に応じて連続的に又は不連続に添加することも可能である。しかしながら本質的であるのは、該ラジカル連鎖調節剤の種類及び量が、示された質量平均分子量が得られるように選択されることである。
【0118】
通例、ラジカル連鎖調節剤の量は、その全モノマー量を基準としてそれぞれ、0〜20質量%、好ましくは0.05〜10質量%及び特に好ましくは0.1〜1質量%である。
【0119】
任意に、該乳化重合は、その水相中の該モノマー滴だけでなく、ポリマー粒子も分散して保持し、こうしてその分散ポリマーの生じた水性分散液の安定性を保証する、分散助剤の存在下でも実施することができる。そのようなものとして、ラジカル水性乳化重合の実施に通常使用される保護コロイドだけでなく乳化剤も考慮に値する。
【0120】
適した保護コロイドは、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体又はビニルピロリドンを含有するコポリマーである。さらなる適した保護コロイドの詳細な説明は、Houben-Weyl, Methoden der organischen Chemie, XIV/1巻, Makromolekulare Stoffe, 411〜420頁, Georg-Thieme-Verlag, Stuttgart, 1961に見出される。もちろん、乳化剤及び/又は保護コロイドの混合物も使用することができる。好ましくは、分散助剤として、相対分子量が、該保護コロイドとは異なり、通常1000g/モル未満である乳化剤がもっぱら使用される。これらは、アニオン性、カチオン性又はノニオン性のものであってよい。もちろん、界面活性物質の混合物の使用の場合にその個々の成分は互いに相溶性でなければならず、これは、疑わしい場合には、少しの予備実験に基づいて調べることができる。一般に、アニオン性乳化剤は、互いに及びノニオン性乳化剤と相溶性である。同じことは、カチオン性乳化剤にも当てはまるのに対し、アニオン性乳化剤とカチオン性乳化剤とはたいてい互いに相溶性ではない。常用の乳化剤は、例えばエトキシル化モノ−、ジ−及びトリ−アルキルフェノール(EO度:3〜50、アルキル基:C
4〜C
12)、エトキシル化脂肪アルコール(EO度:3〜50;アルキル基:C
8〜C
36)並びに以下のもののアルカリ金属塩及びアンモニウム塩:アルキルスルフェート(アルキル基:C
8〜C
12)、エトキシル化アルカノール(EO度:4〜30、アルキル基:C
12〜C
18)及びエトキシル化アルキルフェノール(EO度:3〜50、アルキル基:C
4〜C
12)の硫酸モノエステル、アルキルスルホン酸(アルキル基:C
12〜C
18)及びアルキルアリールスルホン酸(アルキル基:C
9〜C
18)である。さらに適した乳化剤は、Houben-Weyl, Methoden der organischen Chemie, XIV/1巻, Makromolekulare Stoffe, 192〜208頁, Georg-Thieme-Verlag, Stuttgart, 1961に見出される。
【0121】
界面活性物質として、さらに、一般式I
【化1】
[式中、R
1及びR
2は、水素原子又はC
4〜C
24−アルキルを意味し、かつ同時に水素原子ではなく、かつM
1及びM
2は、アルカリ金属イオン及び/又はアンモニウムイオンであってよい]の化合物が適していると判明している。一般式(I)中で、R
1及びR
2は好ましくは、炭素原子6〜18個、殊に炭素原子6、12及び16個を有する線状又は分岐状のアルキル基又は水素を意味し、ここで、R
1及びR
2は、双方とも同時に水素原子ではない。M
1及びM
2は、好ましくはナトリウム、カリウム又はアンモニウムであり、ここで、ナトリウムが特に好ましい。特に有利であるのは、M
1及びM
2が、ナトリウムであり、R
1が、炭素原子12個を有する分岐状アルキル基であり、かつR
2が、水素原子又はR
1である化合物(I)である。しばしば、そのモノアルキル化製品50〜90質量%の割合を有する工業用混合物、例えばDowfax
(登録商標) 2A1(Dow Chemical Companyの商標名)が使用される。該化合物(I)は、例えば米国特許第4269749号明細書(US-A 4269749)から、一般に公知であり、かつ商業的に入手可能である。
【0122】
本発明により分散助剤が使用される場合には、有利にアニオン性及び/又はノニオン性及び殊に有利にアニオン性の界面活性剤が使用される。
【0123】
乳化剤として、該ラジカル乳化重合の際に該ポリマー中へ組み込まれるものが使用される場合に有利でありうる。それらは、通例、好ましくはアリル、アクリレート、メタクリレート及びビニルエーテルからなる群から選択される、少なくとも1個のラジカル重合性基と、好ましくは上記の基から選択される、少なくとも1個の乳化作用のある基とを有する化合物である。
【0124】
これらは、例えば、Laporte社の商標名Bisomer
(登録商標) MPEG 350 MA、Dai-Ichi Kogyo Seiyaku Co., Ltd.社のHitenol
(登録商標) BC-20 (APEO)、Hitenol
(登録商標) BC-2020、Hitenol
(登録商標) KH-10又はNoigen
(登録商標) RN-50 (APEO)、Croda社のMaxemul
(登録商標) 6106、Maxemul
(登録商標) 6112、Maxemul
(登録商標) 5010、Maxemul
(登録商標) 5011、Rhodia社のSipomer
(登録商標) PAM 100、Sipomer
(登録商標) PAM 200、Sipomer
(登録商標) PAM 300、Sipomer
(登録商標) PAM 4000、Sipomer
(登録商標) PAM 5000、Adeka社のAdeka
(登録商標) Reasoap
(登録商標) PP-70、Adeka
(登録商標) Reasoap
(登録商標) NE-10、Adeka
(登録商標) Reasoap
(登録商標) NE-20、Adeka
(登録商標) Reasoap
(登録商標) NE-30、Adeka
(登録商標) Reasoap
(登録商標) NE-40、Adeka
(登録商標) Reasoap
(登録商標) SE-10N、Adeka
(登録商標) Reasoap
(登録商標) SE-1025A、Adeka
(登録商標) Reasoap
(登録商標) SR-10、Adeka
(登録商標) Reasoap
(登録商標) SR-1025、Adeka
(登録商標) Reasoap
(登録商標) SR-20、Adeka
(登録商標) Reasoap
(登録商標) ER-10、Adeka
(登録商標) Reasoap
(登録商標) ER-20、Adeka
(登録商標) Reasoap
(登録商標) ER-30、Adeka
(登録商標) Reasoap
(登録商標) ER-40、BASF SE社のPluriol
(登録商標) A 010 R、Pluriol
(登録商標) A 12 R、Pluriol
(登録商標) A 23 R、Pluriol
(登録商標) A 46 R、Pluriol
(登録商標) A 750 R、Pluriol
(登録商標) A 950 R、Pluriol
(登録商標) A 590 I、Pluriol
(登録商標) A 1190 I、Pluriol
(登録商標) A 590 V、Pluriol
(登録商標) A 1190 V、Pluriol
(登録商標) A 5890 V、Pluriol
(登録商標) A 308 R及びDAA ES 8761、Kao社のLatemul
(登録商標) S 180 A及びLatemul
(登録商標) S 180、Sanyou Kasei社のEleminol
(登録商標) JS-2、Daiichi Kogyou Seiyaku社のAquaron
(登録商標) HS-1025並びにLubrizol社のC12-AMPSの組み込み可能な乳化剤である。
【0125】
該水性反応媒体中の任意に使用される該分散助剤の全量を、該重合反応の開始前に装入することができる。しかし、場合により該分散助剤の部分量のみを、水性反応媒体中に、該重合反応の開始前に装入し、ついで、重合条件下で該ラジカル開始乳化重合中に、その全量もしくは場合により残っている残量を、必要に応じて、連続的に又は不連続に添加することも可能である。場合により、該分散助剤の部分量(≦50質量%)が、該反応容器中に装入され、かつ残っている残量(≧50質量%)が連続的に計量供給される。
【0126】
しかしながら本質的であるのは、該ラジカル開始水性乳化重合が有利に、ポリマーシードの存在下でも、例えばその全モノマー量を基準としてそれぞれ、ポリマーシード0.01〜10質量%、しばしば0.05〜7.0質量%及び頻繁に0.1〜4.0質量%の存在下で、実施することができることである。
【0127】
ポリマーシードは殊に、ラジカル開始水性乳化重合により製造すべきポリマー粒子の粒度が意図的に調節される場合に使用される(これに関して例えば米国特許第2520959号明細書(US-A 2520959)及び米国特許第3397165号明細書(US-A 3397165)参照)。
【0128】
殊に、ポリマーシード粒子が質量平均直径Dw ≦100nm、しばしば≧5nm〜≦50nm及び頻繁に≧15nm〜≦35nmを有するポリマーシードが使用される。該質量平均粒径Dwの測定は、一般にISO 13321に従い、Malvern社のHigh Performance Particle Sizerを用いて、22℃及び633nmの波長で行われる。
【0129】
通常、該ポリマーシードは、水性ポリマー分散液の形態で使用される。
【0130】
ポリマーシードが使用される場合には、有利に、異種ポリマーシードが使用される。本来の乳化重合の開始前に反応容器中で製造され、通例、その後のラジカル開始水性乳化重合により製造されるポリマーと同じモノマー組成を有する、いわゆるin situポリマーシードとは異なり、異種ポリマーシードは、別個の反応工程において製造されたものであり、かつそれらのモノマー組成が、該ラジカル開始水性乳化重合により製造されるポリマーとは異なる、ポリマーシードであると理解されるが、しかしながらこれは、まさしく、該異種ポリマーシードの製造及び該水性ポリマー分散液の製造に、異なる組成を有する異なるモノマーもしくはモノマー混合物が使用されることを意味する。異種ポリマーシードの製造は、当業者に周知であり、通常、相対的に少ない量のモノマー並びに相対的に多い量の乳化剤が反応容器中に装入され、かつ反応温度で十分な量の重合開始剤が添加されるようにして行われる。
【0131】
本発明によれば好ましくは、ガラス転移温度≧50℃、しばしば≧60℃又は≧70℃及び頻繁に≧80℃又は≧90℃を有するポリマー異種シードが使用される。殊に好ましいのは、ポリスチレンポリマーシード又はポリメタクリル酸メチルポリマーシードである。
【0132】
異種ポリマーシードの全量を、該重合容器中に装入することができる。しかし、該異種ポリマーシードの部分量のみを該重合容器中に装入し、かつ残っている残量を、該重合中に該モノマーと一緒に添加することも可能である。しかし、必要である場合には、全ポリマーシード量を該重合の過程で添加することもできる。好ましくは、異種ポリマーシードの全量が、該重合反応の開始前に、該重合容器中に装入される。
【0133】
該水性ポリマー分散液c)は通例、該水性ポリマー分散液c)を基準としてそれぞれ、≧35及び≦70質量%及び有利に≧40及び≦60質量%の範囲の固形分を有する。その際に、該固形分の測定は、該水性ポリマー分散液c)の部分量(約1g)が、約5cmの内径を有するアルミニウムパン中で、120℃の温度で恒量まで乾燥されるようにして行われる。
【0134】
該水性ポリマー分散液c)の製造のために、原則的に、二峰性又はより多峰性のポリマー粒子の粒度分布を有するポリマー分散液を製造する従来技術から公知の方法を使用して行うことができる。挙げられるのは、例えば、単峰性の粒度分布を有する少なくとも2つの異なるポリマー分散液の混合であり、その際に、それらのポリマー分散液はそれらの平均粒度の点で、例えば欧州特許出願公開第81083号明細書(EP 81083)及び国際公開第84/04491号(WO 84/04491)に記載されたように、相違する。さらに、該水性ポリマー分散液c)を、平均粒度の点で相違する2つの異なるシードラテックスの存在下でのエチレン性不飽和モノマーのラジカル開始水性乳化重合により、製造することが可能である。そのような方法は、欧州特許出願公開第81083号明細書(EP 81083)に同様に記載されている。該水性ポリマー分散液c)の製造には、該モノマーのラジカル開始水性乳化重合を、モノマーフィード法により実施するようにして行うこともでき、該法の場合に、該重合の過程で、既に該モノマーの一部が重合されている時に、新しい粒子発生の形成を開始する、より多い量の乳化剤を添加する。そのような方法は、例えば、欧州特許出願公開第8775号明細書(EP 8775)から公知である。
【0135】
該水性ポリマー分散液c)のためには、該ポリマーを構成するモノマーのラジカル開始水性乳化重合の以下に記載された方法を使用することも可能である。この方法の場合に、該モノマーのラジカル開始水性乳化重合をモノマーフィード法より実施し、その際に、該重合容器中に少なくとも1つのポリマーシード1を装入し、かつ該重合の過程で、少なくとも1つのさらなるポリマーシード2を水性分散液の形態で添加する。
【0136】
モノマーフィード法とは、ここで及び以下で、重合すべきモノマーの少なくとも95%及び殊に少なくとも99%を、重合条件下で重合容器中へ添加し、該重合容器中に、既に第一のポリマーシードが、典型的には水性分散液の形態で、存在することであると理解される。
【0137】
該ポリマーシード2の添加は通例、早くても、重合すべきモノマーの少なくとも10質量%及び殊に少なくとも20質量%が既に該重合容器中に存在する際に行われる。該ポリマーシード2の添加は、通例、遅くても、重合すべきモノマーの90%、殊に80%、特に好ましくは70%又はとりわけ60%が該反応容器中に存在する際に終了される。該ポリマーシード2の添加は、一度に、複数の部分で又は連続的に行うことができる。特に好ましくは、いわゆる“シードショット”、すなわち該ポリマーシードは、通例5分を超えない短い期間で、重合条件下で該重合容器中へ添加される。該シードショットは典型的には、重合すべきモノマーの10〜90質量%、殊に10〜80質量%、特に好ましくは15〜70質量%及びとりわけ20〜60質量%が、該重合容器中に存在する際に行われる。
【0138】
二成分コーティング組成物の製造のためには、該ポリイソシアネート成分及び該ポリアクリレート成分が、互いに混合される。
【0139】
該混合は、通常、該ポリイソシアネート成分を該ポリアクリレート成分中へ、又は該ポリアクリレート成分を該ポリイソシアネート成分中へ、かき混ぜることにより行われる。
【0140】
原則的に、該ポリイソシアネート成分及び該ポリアクリレート成分の混合は、多様な方法により、例えば手でのかき混ぜにより、振盪により、特定の回転数での実験室用撹拌機でのかき混ぜにより並びに噴霧適用の際にその噴霧ノズル内での該二成分の合一及び混合により、行うことができる。好ましくは、該混合は、手でのかき混ぜによって行われる。前記の多様な方法は、せん断に関して相違し、かつ特定の混合方法には、十分な安定化及び適切なレオロジー的挙動を有する系(イソシアネート及び配合される分散液)のみが適している。
【0141】
該ポリイソシアネート成分のイソシアネート基及び該ポリアクリレート成分のヒドロキシル基のモル比は、通例、0.2:1〜5:1、好ましくは0.8:1〜1.6:1及びとりわけ0.9:1〜1.1:1である。
【0142】
該二成分コーティング組成物は、殊に、コーティング材料及びペイントにおける使用に適している。
【0143】
前記の二成分コーティング組成物が、コーティング材料及びペイントの製造に使用される場合には、該二成分コーティング組成物は、さらに付加的に顔料、充填剤、分散剤、増粘剤、防腐剤、塗膜形成助剤、流れ調整助剤及び湿潤助剤、溶剤、中和剤、脱泡剤、光安定剤及び/又は防食剤を含有していてよい。
【0144】
その際に、顔料として、粒度≦10000nmを有する当業者に周知の原則的にあらゆる有機及び/又は無機の白色顔料もしくは有彩色顔料(Brock, Groteklaes, Mischke, Lehrbuch der Lacktechnologie 第2版, U. Zorll編, Vincentz Verlag 1998, p.113)を使用することができる。
【0145】
最も重要な白色顔料として、その高い屈折率(ルチル:2.70及びアナターゼ:2.55)及びその良好な隠ぺい力に基づいて、その多様な変態の二酸化チタンが挙げられる。しかし酸化亜鉛及び硫化亜鉛も、白色顔料として使用される。その際に、これらの白色顔料は、表面被覆された(すなわちコーティングされた)もしくは被覆されていない(すなわちコーティングされていない)形態で使用することができる。しかし、それに加えて、有機白色顔料、例えば、約300〜400nmの粒度を有するスチレン基及びカルボキシル基に富み、塗膜形成性ではない中空ポリマー粒子(いわゆる不透明粒子)も使用される。
【0146】
白色顔料に加えて、色構成のために、当業者に周知の多種多様な有彩色顔料、例えば比較的安価な無機の鉄、カドミウム、クロム及び鉛の酸化物もしくは硫化物、モリブデン酸鉛、コバルトブルー又はカーボンブラック並びに比較的高価な有機顔料、例えばフタロシアニン類、アゾ顔料、キナクリドン類、ペリレン類又はカルバゾール類を使用することができる。
【0147】
もちろん、該二成分コーティング組成物は、該顔料に加えてさらに、当業者に周知のいわゆる充填剤を含有していてよい。充填剤として、本質的に、該顔料に比較してより低い屈折率を有する、粒度≦10000nmを有する粉末状の無機材料(Brock, Groteklaes, Mischke, Lehrbuch der Lacktechnologie 第2版, U. Zorll編, Vincentz Verlag 1998, p.113)であると理解される(白色充填剤は、DIN 55943及びDIN 55945によれば、屈折率値<1.7を有する)。該粉末状充填剤は、その際に、しばしば天然に存在する鉱物、例えばカルサイト、チョーク、ドロマイト、カオリン、タルク、雲母、けいそう土、バライト、石英又はタルク/クロライト連晶であるが、しかし合成的に製造される無機化合物、例えば沈降炭酸カルシウム、焼成カオリン又は硫酸バリウム並びにヒュームドシリカでもある。好ましくは、充填剤として炭酸カルシウムは、結晶質カルサイト又は非晶質チョークの形態で使用される。
【0148】
防食剤として、本発明によれば、殊に腐食抑制剤又は防食顔料が考慮に値する。
【0149】
腐食抑制剤の例は、“Corrosion lnhibitors.2nd Edition. An industrial Guide”, Ernest W. Flick, Ed: William Andrew Inc ISBN: 978-0-8155-1330-8に列挙されている。好ましい腐食抑制剤は、ヘキサミン、ベンゾトリアゾール、フェニレンジアミン、ジメチルエタノールアミン、ポリアニリン、亜硝酸ナトリウム、シンナムアルデヒド、アルデヒドとアミン(イミン)との縮合生成物、クロム酸塩、ニトリット、ホスフェート、ヒドラジン及びアスコルビン酸である。
【0150】
防食顔料の例は、変性亜鉛オルトホスフェート(例えばHEUCOPHOS
(登録商標) ZPA、ZPO及びZMP)、ポリホスフェート(例えばHEUCOPHOS
(登録商標) ZAPP、SAPP、SRPP及びCAPP)、WSA - Wide Spectrum Anticorrosives(例えばHEUCOPHOS
(登録商標) ZAMPLUS及びZCPPLUS)及び変性シリケート顔料(例えばHEUCOSIL
(登録商標) CTF、Halox
(登録商標) 750)、例えばHeubach GmbH社製のもの、並びにHalox
(登録商標)社の、ホウリン酸バリウム(例えばHalox
(登録商標) 400)、ホスホケイ酸バリウム(例えばHalox
(登録商標) BW-111、Halox
(登録商標) BW-191)、ホウケイ酸カルシウム(例えばHalox
(登録商標) CW-291、CW-22/221、CW-2230)、ホスホケイ酸カルシウム(例えばHalox
(登録商標) CW-491)、ホスホケイ酸ストロンチウム(例えばHalox
(登録商標) SW-111)又はホスホケイ酸ストロンチウム亜鉛(例えばHalox
(登録商標) SZP-391)である。
【0151】
その乾燥は、当業者に周知であり、例えばトンネル炉中で又はフラッシュオフにより行われる。該乾燥は、NIR線によっても行うことができ、ここでNIR線とは、ここでは760nm〜2.5μm、好ましくは900〜1500nmの波長域における電磁放射線のことを呼ぶ。該乾燥は、周囲温度ないし100℃の温度で、数分ないし数日の期間にわたって行うことができる。
【0152】
該二成分コーティング組成物は、殊にコーティング材料及びペイントにおける使用のためには、基材、例えば木材、ベニヤ単板、紙、板紙、厚紙、テキスタイル、シート若しくはフィルム、皮革、不織布、プラスチック表面、ガラス、セラミック、鉱物質建材、例えばセメント異形れんが及びファイバーセメント板又は金属のコーティングに適しており、これらは、それぞれ任意に予めコーティングもしくは前処理されていてよい。
【0153】
そのようなコーティング組成物は、屋内又は屋外コーティングとして又は屋内又は屋外コーティング中で、すなわち、日光に曝されている用途、好ましくは建造物部材、(大型)車両及び航空機上でのコーティングの用途及び産業用途、例えば農業及び建築分野における営業用車両、装飾表面コーティング、橋、建造物、送電塔、タンク、コンテナ、パイプライン、発電所、化学プラント、船、クレーン、柱、矢板壁、付属品、管、取付物、フランジ、継手、ホール、屋根及び構造用鋼、家具、窓、ドア、パーケットフローリング、缶コーティング及びコイルコーティングの用途、例えば駐車場での又は病院における、フロアカバリングのため、OEM及び補修用途としての自動車用塗料において、適している。
殊に、本発明によるコーティング組成物は、クリアコートとして、又は顔料添加されて、もしくは充填剤を備えて、プライマー材料、ベースコート材料、インターコート材料又はトップコート材料中で、使用される。
【0154】
好ましくは、そのようなコーティング組成物は、周囲温度ないし80℃まで、好ましくは60℃まで、特に好ましくは40℃までの温度で使用される。好ましくは、それらは、高い温度で硬化させることができない物品、例えば大型機械、航空機、大型宇宙船及び補修用途並びに木材上の用途(床、家具)もしくはフロアコーティングである。
該基材のコーティングは、当業者に公知の通常の方法により行われ、その際に、少なくとも1つのコーティング組成物を、コーティングすべき基材上へ所望の厚さで適用し、かつ該コーティング組成物の任意に含まれる揮発性成分を、任意に加熱しながら、除去する。この工程は、所望の場合には1回又は複数回繰り返すことができる。該基材への適用は、公知の方法で、例えば吹付け、こて塗、ナイフ塗、刷毛塗、ローラー塗、ロールコーティング、キャスティング、ラミネーション、バックモールディング又は共押出により、行うことができる。
【0155】
そのような硬化すべき層の厚さは、0.1μmから数mmまで、好ましくは1〜2000μm、特に好ましくは5〜200μm、極めて特に好ましくは5〜60μmであってよい(溶剤が該コーティング材料から除去されている状態のコーティング材料を基準とする)。