特許第6869887号(P6869887)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869887
(24)【登録日】2021年4月16日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】基板保持装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20210426BHJP
   C23C 14/50 20060101ALI20210426BHJP
   C23C 16/458 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   H01L21/68 N
   C23C14/50 Z
   C23C16/458
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-527301(P2017-527301)
(86)(22)【出願日】2015年11月13日
(65)【公表番号】特表2017-539086(P2017-539086A)
(43)【公表日】2017年12月28日
(86)【国際出願番号】EP2015076562
(87)【国際公開番号】WO2016083162
(87)【国際公開日】20160602
【審査請求日】2018年10月30日
【審判番号】不服2020-9786(P2020-9786/J1)
【審判請求日】2020年7月13日
(31)【優先権主張番号】102014117520.4
(32)【優先日】2014年11月28日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102015118215.7
(32)【優先日】2015年10月26日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502010251
【氏名又は名称】アイクストロン、エスイー
(74)【代理人】
【識別番号】100095267
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 高城郎
(72)【発明者】
【氏名】スファン、エドゥアルド・オスマン・ピネイロ
(72)【発明者】
【氏名】クレサン、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ボイド、アダム
【合議体】
【審判長】 辻本 泰隆
【審判官】 加藤 浩一
【審判官】 ▲吉▼澤 雅博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−053355(JP,A)
【文献】 特開平08−070034(JP,A)
【文献】 特開平07−058039(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
CVD又はPVD反応炉のプロセスチャンバで用いるべく、少なくとも1枚の基板を保持するための装置であって、少なくとも1枚の基板(3)を配置するための少なくとも1つの収容場所(2)を設けた平坦な表面を有し、基板(3)の縁(8)の一部を各々位置固定して設置するべく、床面レベルに延在する収容場所床面(14)を囲み基板(3)の輪郭に対応する輪郭線(7)が位置決め側面(5、5’)により寄り添われており、収容場所床面(14)の凹部(20)にそれぞれ起立する支持突起(9)を有し、その支持突起(9)が、収容場所床面(14)より高い位置にあり基板(3)を載置可能な載置面(15)を有し、その載置面上にて基板(3)が、載置面(15)の延在する基板載置レベルに載置可能であり、支持突起(9)の各々が凹部レベルを有する凹部(20)により環状に囲まれ、その凹部レベルは、鉛直方向において床面レベルからよりも基板載置レベルから離れている、装置において、
凹部(20)が、凹部レベルに位置する環状の頂線を有し、その頂線から凹部(20)の床が、段差無く第1の丸みのある断面を形成しつつ支持突起(9)の外壁に繋がっており、その外壁もまた、段差無く第2の丸みのある断面を形成しつつ湾曲した載置面(15)に繋がっていることを特徴とする装置。
【請求項2】
支持突起(9)が、凹部床面又は凹部頂部から載置面(15)までの膨らみの態様にて延在することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
支持突起(9)及び支持突起(9)を囲む凹部(20)の縁が、輪郭線(7)により囲まれた収容場所(2)の内側に位置するか、又は、輪郭線(7)が載置面(15)と交差することを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
位置決め側面(5、5’)に沿って延在して溝(10)を形成する、収容場所床面(14)の凹部を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
凹部(20)が溝(10)の一部であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
2つの隣り合う位置決め側面(5、5’)の間に配置された窪み(11)を特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
窪み(11)の側壁(11’)と支持突起(9)の側壁(9’)との間に部分溝(12)が延在することを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
窪み(11)が、平面視にて半円形であることを特徴とする請求項6又は7に記載の装置。
【請求項9】
支持突起(9)が、2つの互いに反対側に位置する半円形の側壁(9’、9”)を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
支持突起(9)が、2つの隣り合う台座(4)の間に位置しかつ平坦な載置面(15)を有し、その上を2つの輪郭線(7)が通ることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
長尺の凹部(22)が、2つの隣り合う台座(4)の間に延在することを特徴とする請求項10に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CVD又はPVD反応炉のプロセスチャンバ内で用いるべく、少なくとも1枚の基板を保持するために、少なくとも1枚の基板のための少なくとも1つの収容場所をその上に具備する平坦な表面を有し、その場合、基板の縁の一部を各々位置固定し設置するために、基板の輪郭に対応する輪郭線が位置決め側面により寄り添われており、さらに、その輪郭線により囲まれた収容場所の収容場所床面から突出する支持突起を有し、その支持突起が、収容場所床面より高い位置にあり基板を載置可能な載置面を具備する、装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この技術の装置は特許文献1により知られている。この文献は、基板を載置するための収容場所を有するサセプタを開示しており、収容場所が、基板の輪郭に対応する輪郭線を囲む位置決め側面により区切られることにより、基板が、位置決め側面の縁の僅かな距離を用いて収容場所に収容可能である。収容場所の収容場所床面から複数の支持突起が起立し、その上に基板の縁近傍の基板下面の領域が支持されることで、基板が収容場所床面上に空洞を介して載置される。
【0003】
特許文献2は、上面と下面を具備するフラットディスクからなるCVD装置の基板ホルダを記載している。上面は、各円形基板のための収容場所を有するポケット状構造を有する。上面の台座の縁領域は、基板ホルダの上面に配置された複数の基板の各々の位置固定のための位置決め側面を形成する。基板の縁は、位置決め側面に結合している分離した支持突起の上に載置される。支持突起における収容場所の収容面から起立する部分は、溝により囲まれている。台座は、三角形のベース外郭を有し、基板を六角形の配置に位置付けることができる。
【0004】
さらに、基板の点支持のために、収容場所と、収容場所の収容面領域に配置された鉛直の構造物とを具備する基板ホルダが、特許文献3及び特許文献4に示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,645,646号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第10 2012 108 986号公報
【特許文献3】米国特許第6,840,767号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2013/0109192号公報
【特許文献5】独国特許出願公開第10 2011 055 061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明による基板ホルダの目的は、それをCVD又はPVDコーティング装置のサセプタとして用いることである。このようなコーティング装置は、プロセスチャンバを有する反応炉を備え、その床は基板ホルダの表面から形成されている。基板ホルダは、冷却されるか、又は、下方からプロセス温度に加熱される。ガス入口部材を通してプロセスガスがプロセスチャンバに導入される。CVD反応炉の場合、プロセスガスは気相にてサセプタの上方若しくはサセプタの表面上又はサセプタ上に載置された基板の表面上で反応する。表面反応が生じる。それにより、基板表面上に層が形成される。そこに堆積される層の品質及び層厚は、基板の表面温度に大きく依存する。従って、基板上での横方向の温度勾配を最小限とすることを実現することが望ましい。このために、本発明による基板ホルダでは、基板が点でのみ支持されている。基板は、その基板が占める面の僅かだけ外側に位置する輪郭線を有する収容場所に載置される。位置決め側面は、基板を収容場所に位置固定するために基板の縁に沿って僅かな隙間をもって延在している。基板の縁のみが支持突起上に載置される。これらの支持突起を介してサセプタから基板への接触熱伝導を生じる。一方、基板の面領域の大部分は、空洞すなわち、収容場所の床の上方に鉛直方向の距離をもって載置されることにより、収容場所床面から基板の下面への熱伝導は、実質的に熱放射又は、プロセスチャンバに存在する搬送ガスによる対流を介して生じる。基板が、支持突起上のその支持点の領域において、それ以外の領域よりもやや強く加熱されることは不利益である。そのために基板の表面温度が、支持点の領域において、基板のそれ以外の領域よりも高くなる。
【0007】
本発明は、基板の表面温度の温度均一性を向上させることができる手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、請求項に記載された本発明により実現され、従属項は主請求項の更なる進展に有利であるのみでなく、従来技術に対する独立した進展でもある。
【0009】
最初にそして実質的に、支持突起が凹部に起立していることが提示される。その凹部は、平坦な底面又は湾曲した底面を有する。凹部の平坦底面又は曲面頂部は、凹部レベルを規定する。好適には、少なくとも3つの支持突起が収容場所の領域に配置され、その場合、各支持突起は凹部に起立しており、かつ全ての凹部底面又は凹部頂部は同じ凹部レベルに位置している。凹部は、床面レベルに延在する収容場所床面の縁と繋がっている。収容場所床面は平面とすることができる。急峻な壁を具備する支持突起は、いわば円筒状の態様で凹部に起立している。しかしながら好適には、支持突起が曲面として形成されている。
支持突起の載置面又は複数の支持突起の複数の載置面は、基板載置レベルに位置する。床面レベルは、鉛直方向において凹部レベルに対する距離よりも基板載置レベルに対する距離の方が近い。少なくとも1つの支持突起が、環状の凹部により囲まれることができる。好適には、1つの凹部に1つの支持突起のみがそれぞれ配置される。従って、支持突起及びその周囲の凹部が完全に輪郭線の内側に位置するように設けることができる。それにより輪郭線は、凹部の縁もまた囲い込む。
しかしながら、複数の支持突起又は少なくとも1つの支持突起及び特にその載置面が輪郭線と交差するように設けることもできる。その場合、輪郭線は凹部と交差する。凹部の縁は、位置決め側面から離間することができる。位置決め側面に沿って、溝として形成された凹部又は窪みが延在することができる。支持突起を囲む凹部は、これらの部分溝とすることができる。それにより凹部の縁は、位置決め側面に隣接するか又は位置決め側面から離間することができる。
本発明のさらに別の進展においては、支持突起を、2つの隣り合う台座の間の領域にも配置することができる、このような支持突起は、2つの隣り合う基板の各縁を支持するように構成することもできる。その際、その支持突起は、機能的に2つの隣り合う収容場所に割り当てられ、その場合、2つの収容場所に割り当てられた輪郭線の各々が同じ載置面と交差する。
このような支持突起もまた凹部により囲まれており、その凹部は楕円環状を具備することができかつ載置面は長く延びており、載置面の長手方向は、円形の輪郭線の中心に向かう方向に延在する。本発明の好適例においては、収容場所床面が、凹部の丸みのある壁に段差無く繋がっている。凹部の丸みのある壁は、互いに隣接する部分円弧により形成された断面輪郭を有する。凹部は、段差の無い曲線の断面を形成しつつ支持突起の外壁へと繋がる環状の頂線又は頂面を具備する。支持突起の壁も同様に、段差の無い曲線の断面を形成しつつ平坦な載置面へと繋がることができる。
本発明の更なる進展では、支持突起が位置決め側面に直接繋がっておらず、支持突起が溝により全周囲を囲まれるように設けられている。位置決め側面は、輪郭線の延在方向において支持突起から離間している。その結果、位置決め側面から支持突起への熱流が低減される。このことは、位置決め側面が、基板ホルダの平坦表面から起立している台座の側壁であるときに特に有用である。
収容場所の輪郭線に沿って延在する直接隣り合う2つの位置決め側面の間に、窪みが形成されることが好適である。この窪みは、壁により形成される位置決め側面に隣接する窪み壁を有することができる。窪みの縁上に延びるこの壁は、半円弧線上に延在することが好適である。窪み壁の半円弧線と、1つの半円弧に沿って延在する支持突起の側壁との間に、半円形の部分溝が延在する。窪み壁の方に向いた支持突起の壁は、好適には半円弧線上に延在することが好適である。支持突起のこの壁の反対側に向いた支持突起の壁も同様に半円弧線上に延びることにより、支持突起が実質的に楕円形の外郭を有する。収容場所の床に平行な面に延在する支持突起の載置面は、輪郭線により切り取られる。それにより、好適には円形の輪郭線が支持突起の載置面を通っている。好適には円形の基板の縁は、収容場所の輪郭線のほんの僅かだけ径方向内側に延在し、基板の縁端も支持突起の載置面を通っている。
支持突起を囲む溝は、平坦面に延在する床を有する。それは、収容場所の床に平行な面又は載置面に平行な面である。溝は、窪みに寄り添う2つの位置決め側面に沿った均一な底面レベルをもって延在する。従って、溝は、互いに反対向きに延びる2つの部分を有し、位置決め側面のほぼ全長に延在している。この手法もまた、位置決め側面から基板への熱伝導の低減に寄与する。位置決め側面は、収容場所の輪郭線すなわち円弧線に正確に沿ってはいないことが好適である。位置決め側面は、やや逸れて延在できる。すなわち、輪郭線に対して距離を有することができる。窪みから位置決め側面への2つの移行領域は、好適には輪郭線上にあるべきである。収容場所の床面は、溝の床面に対して鉛直方向に離間している。支持突起の載置面が収容場所の床面に対して離間していることにより、基板は空洞上に位置することになる。
【0010】
基板ホルダの下面には、円形の収容場所の中心周りに同心状に円形凹部がある。凹部の縁領域は、第1の凹部レベルで延在する底面を有する。凹部の中心領域は、より低いレベルで延在する底面を有する。
【0011】
本発明の実施形態の例は、以下に示す添付の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、基板ホルダ1の平面視である。
図2図2は、図1のII−IIの部分図である。
図3図3は、図2の部分図の背面側の図である。
図4図4は、図2のIV−IVの拡大部分図である。
図5図5は、図4の部分図の斜視図である。
図6図6は、図2のラインVI−VIの断面図である。
図7図7は、図6のVII−VIIの拡大部分図である。
図8図8は、第2の実施例の図2と同様の図である。
図9図9は、図8のラインIX−IXの断面図である。
図10図10は、図9のX−Xの拡大部分図である。
図11図11は、図8のXI−XIの拡大部分図である。
図12図12は、図8のXII−XIIの拡大部分図である。
図13図13は、本発明の第3の実施例の図4と同様の図である。
図14図14は、本発明の第4の実施例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図示された基板1は、CVD反応炉でサセプタとして用いられている。CVD反応炉は、外部に対して気密性をもって閉じたハウジングを有し、それは特許文献5に記載のようなものである。ハウジング内部には、低い高さレベルに加熱装置があり、それは抵抗加熱装置とすることができる。この加熱装置により、加熱装置の上方に配置されたサセプタ1が所定の表面温度とされる。サセプタ1の表面上には、円形ディスク形状の基板をそれぞれ収容するための複数の収容場所2がある。各々の収容場所2は、全部で6個の略三角形の台座により囲まれている。各々の台座は、3つの個別の位置決め側面5又は3対の位置決め側面5、5’を形成することができる。従って、各々の収容場所2の輪郭線7に沿って縁が延在する基板3をそれぞれ載置するために、六角形状の配置により円形の収容場所2がそれぞれ形成されている。各輪郭線7に沿って全部で6個の単一の位置決め側面5又は6対の位置決め側面5、5’が延在し、それらの各々が異なる台座4から形成されている。サセプタ1(基板ホルダ)の縁には、より長い円弧状の位置決め側面6が延在する。円弧線上に延在する輪郭線7は、円形の基板3を載置するための収容場所を包囲している。実施例である実施形態においては、位置決め側面5、5’は、輪郭線7の経路に正確に沿っていない。輪郭線7は、実質的には、位置決め側面5、5’の各々に対して1つの接点でのみ接している。
【0014】
基板3により覆われるサセプタ1の表面の上方には、基板3の直径よりも小さくかつ円形のサセプタ1の直径よりも遙かに小さい高さをもつプロセスチャンバが延在する。サセプタ1は30cmの直径、そしてそれより大きい直径を有する一方、プロセスチャンバの高さは僅か1〜5cmである。
【0015】
プロセスチャンバの天井は、シャワーヘッドの形状を有するガス入口部材により形成されている。ガス入口部材は、プロセスチャンバの方に向きかつ篩い状に配置された複数のガス出口孔を具備して冷却されるガス出口面を有し、これを通ってプロセスガスがプロセスチャンバに流れ込む。プロセスガスの熱分解を避けるために、ガス入口部材のガス出口面は能動的に冷却される。このことは、プロセスチャンバ内に鉛直方向の大きな温度勾配をもたらし、それによりサセプタ1の加熱された表面から冷却されたガス出口面への大きな熱流を生じさせる。この熱伝導経路を介して流出する熱は、加熱装置により連続的に供給されなければならない。これもまた、サセプタ1の内部に鉛直方向の大きな温度勾配をもたらす。台座4は、位置決め側面5、5’を形成し、サセプタ1と一体のユニットを構成しかつ固体熱伝導を介して加熱されるので、位置決め側面5、5’と基板3の縁8との間の間隙を介して基板へ望ましくない熱流が生じる傾向がある。
【0016】
基板3は、その縁8の全部で6箇所において、サセプタ1の表面に起立している支持突起9上に載置される。従って基板は、収容場所2の収容場所床面14の上方の空洞の上に位置する。よってサセプタ1から基板3への熱伝導は、収容場所2の収容場所床面14から基板3の下面への熱放射又は対流により実質的に影響を受ける。基板3の縁8の端縁が支持突起9の載置面15上に載置されている、その支持突起9の領域でのみ、固体熱伝導による接触熱伝導が生じる。
【0017】
本発明においては、位置決め側面5、5’は、支持突起9から横方向に離間しており、特に位置決め側面5、5’が沿いつつ延在する輪郭線7の方に離間している。
【0018】
2つの位置決め側面5、5’は、それらを合わせて台座4の凹状に湾曲した三角形の辺を形成することができる。しかしながら、台座4の湾曲した三角形の辺は、1つの位置決め側縁5のみから形成することもできる。もっとも、位置決め側面5、5’の曲率半径は、輪郭線7の曲率半径よりも僅かに大きくする。図2図7に示した実施例では、凹状に湾曲した三角形の辺の中央に、半円弧上に延在する縁を具備する窪み11がある。 半円弧を規定する円の中心は、支持突起9内に位置する。支持突起9は、収容場所2の表面から輪郭線7を跨いで窪み11内まで延在している。窪みの方を向いた支持突起9の壁9’は円弧線上に延在する。それとは反対の方を向いた壁9”もまた円弧線上に延在する。台座端面16に対して垂直に延在する壁11”は半円弧線上に延在し、そして台座端面16に対して同じく垂直に延在する位置決め側面5、5’へと繋がっている。
【0019】
支持突起9は、載置面15に対して垂直に延在する壁を有する。よって支持突起9は、略楕円形の円筒底面をもつ円筒形状を有する。円筒形の支持突起9は、支持突起9の全周囲を囲む溝10の底面に起立している。溝10は、窪み11の底面を構成する半円形の部分溝12を形成している。更に別の半円形の部分溝20が支持突起9を超えた側に延在していることにより、双方の半円形の部分溝12、20を合わせて1つの楕円環状の溝部を形成することができる。膨らみを形成する部分溝20は、収容場所2の中心に対して径方向に延在する。双方の部分溝12、20は、支持突起9の全周囲を囲む均一な凹部を形成する。
【0020】
支持突起9を直接囲む部分溝12、20は、位置決め側面5、5’に沿って延在する2つの長い部分溝13と繋がっている。従って位置決め側面5、5’は、長い部分溝13の底面に起立している。長い部分溝13は、台座部4の丸みのある縁端部21まで延在している。
【0021】
窪み11は窪みの壁11’を有し、その壁は丸みを形成しつつ2つの位置決め側面5、5’の各々に繋がっている。これらの丸みのある移行領域において、輪郭線7が位置決め側面5、5’に接している。窪み11からの距離が大きくなるにつれて、位置決め側面5、5’は輪郭線7から離れていく。窪み11の壁11’と位置決め側面5、5’は、収容場所床面14若しくは溝10の底面又は台座端面16に対して垂直に延在する。位置決め側面5、5’及び窪みの壁11’は、面取りを形成しつつ台座端面16へと繋がっている。支持突起9の載置面15は、収容場所床面14から計測した溝10の深さを超えて突出している。台座4は、三回対称でありかつ曲線にほぼ沿って延在する3つの位置決め側面5、5’を有し、それらの位置決め側面はそれらの中間で窪み11により分断されており、窪み11は台座4にほぼ半円形の窪みを形成する。台座4の隅は丸みを有する。
【0022】
サセプタ1の下面には複数の円形凹部がある。それらは収容場所2の中心を中心とする凹部17である。中央の最も深い部分凹部19は、傾斜して延在する縁面19’を形成して凹部17の縁領域18に繋がっており、その縁領域もまた傾斜した部分縁18’を形成してサセプタ1の下面へと繋がっている。
【0023】
図4図7に示した支持突起9の場合、支持突起9を環状に囲む凹部12、20が、一定の凹部レベルに延在する平坦な底面を有する。平坦な底面は、長い部分溝13に繋がっている。載置面15は、基板載置レベルに位置し、かつ鉛直方向において、収容場所床面14が延在する床面レベルに対する距離よりも凹部レベルに対する距離の方が大きい。収容場所床面14は、溝10又は凹部12、20に対し段差を形成して繋がっている
【0024】
図8図12は、本発明の第2の実施例を示す。この場合も、台座4は3つの同じ構成の側面を有し、それらは各々位置決め側面5を形成する。好適には、窪みで分断されていない位置決め側面5に沿って材料凹部により形成された溝10が延在している。溝10は、長い形状であり、位置決め側面5の中央領域にのみ延在している。台座4の隅は、円弧線上に延在する。2つの隣り合う台座の隅の間に、凹部22が設けられている。
【0025】
輪郭線7は円弧線である。輪郭線7は、支持突起9により支持される基板3によって占められる1つの面を区切る。基板の縁8は、輪郭線7に沿って延在する。
【0026】
支持突起9は、溝10に対して輪郭線7の中心の方向に位置し、それは基板3の面中心の方に溝10から離れて位置することである。支持突起は、溝10のほぼ中央のレベルに位置する。
【0027】
各収容場所2における全部で6個の支持突起9の各々は、円形凹部20により囲まれている。環状の凹部20の幅は、実質的に円形ベースを有する支持突起9の直径にほぼ対応する。凹部20の縁は、支持突起9の載置面15が位置する基板載置レベルより下方に位置する床面レベルに延在する収容場所床面14にある。図8図12に示した実施例においては、凹部20の底面は曲線から構成され、基板載置レベルに対して、床面レベルに対する距離よりも大きな距離をもって延在している。
【0028】
凹部20は丸みのある底面を有する。底面の断面はほぼ半円に対応しているので、凹部20は支持突起9を囲む溝として形成されている。支持突起9の側壁は、凹部20の壁から、円形面であり収容場所床面14に対して平行な面に延在する載置面15へと段差無く繋がっている。
【0029】
図13に示した第3の実施例の場合、凹部20が第1の実施例のように溝10の領域にあり、かつ2つの位置決め側面5、5’の間の窪み11の中へと延在している。この場合、第1の実施例とは異なり、支持突起9を環状に囲む凹部20、12の床面が、平面内になく丸みのある壁を有し、その壁は楕円形の頂線又は頂面へと繋がっている。凹部20、12の外側の壁は、エッジを形成して、しかしながらなお丸みも形成して、収容場所床面14へと繋がることができる。
【0030】
輪郭線7上に延在する基板3の縁8は、載置面15と交差する。
【0031】
図8図12に示した第2の実施例は、台座4の隅部と隅部の間に長い凹部22を有し、それらの凹部は輪郭線7の下方の所々に延在している。その箇所では、さらに別の凹部23も配置することができ、それにより台座4の隅部と隅部の間に延在する凹部が2つの異なるレベルを有することになる。
【0032】
図14に示した第4の実施例の場合、台座4の隅と隅の間の領域に配置することができる支持突起15を示している。この楕円形の支持突起9は、隣り合う2つの輪郭線7と交差することができる載置面15を有する。従って支持突起9の載置面15は、2つの基板3の縁を支持することができる。この実施例でも、支持突起9の側壁と、支持突起9が起立している凹部20は丸みを有する。図14から、凹部20の外縁が丸みを形成され、それは段差無く凹部20の頂部領域を形成する丸みへと繋がっていることが見てとれる。この丸みは、支持突起9の側壁領域の上部を形成する反対側に湾曲した丸みへと繋がっている。後者の丸みは段差無く載置面15へと繋がっている。
【0033】
上述した説明は、本願により集約的に包括される発明を説明するためのものであり、少なくとも以下の特徴の組合せにより従来技術をそれぞれさらに進展させる。すなわち:
【0034】
支持突起9が収容場所床面14の凹部20に起立していることを特徴とする装置。
【0035】
支持突起9の各々は凹部20により環状に囲まれており、その凹部床面又は凹部頂部は、凹部レベルに位置しかつ段差又は丸みを形成しつつ床面レベルに位置する収容場所床面14へと繋がっており、載置面15が延在する基板載置レベルは、鉛直方向において凹部レベルよりも床面レベルに近い位置にあることを特徴とする装置。
【0036】
支持突起9が、円筒の態様にて延在するか、又は、凹部床面若しくは凹部頂部から載置面15までの膨らみの態様にて延在することを特徴とする装置。
【0037】
支持突起9及び支持突起9を囲む凹部20の縁が、輪郭線7により囲まれた収容場所2の内側に位置し、輪郭線7が載置面15と交差しないことを特徴とする装置。
【0038】
位置決め側面5、5’に沿って延在して溝10を形成する、収容場所床面14の凹部を特徴とする装置。
【0039】
凹部20が溝10の一部であることを特徴とする装置。
【0040】
2つの隣り合う位置決め側面5、5’の間に配置された窪み11を特徴とする装置。
【0041】
窪み11の側壁11’と支持突起9の側壁9’との間に部分溝12が延在することを特徴とする装置。
【0042】
窪み11が、平面視にて半円形であることを特徴とする装置。
【0043】
支持突起9が、2つの互いに反対側に位置する半円形の側壁9’、9”を有することを特徴とする装置。
【0044】
支持突起9が、輪郭線7がその上を通る、実質的に平坦な載置面15を有することを特徴とする装置。
【0045】
位置決め側面5、5’に沿って長尺の部分溝13が延在することを特徴とする装置。
【0046】
開示された全ての特徴(それ自体もまた互いの組合せにおいても)本発明の本質である。本願の開示には、関係する優先権書類(先願の複写)もまたその全体が、それらの書類の特徴を本願の請求の範囲に組み込む目的も含め、ここに包含される。従属項はその構成により特徴付けられ、従来技術に対する独立した進歩性ある改良であり、特にこれらの請求項に基づく分割出願を行うためである。
【符号の説明】
【0047】
1 基板ホルダ
2 収容場所
3 基板
4 台座
5、5、6 位置決め側面
7 輪郭線
8 基板の縁
9 支持突起
10 溝
11 窪み
11’ 壁、側壁
12、13 部分溝
14 収容場所床面
15 載置面
16 台座端面
17 凹部
18 縁領域
18’ 縁側面
19 部分凹部
20 部分溝/凹部
21 縁端部
22 凹部
23 凹部
図1
図2
図3
図4
図5
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図8
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図10
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図14