特許第6869986号(P6869986)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869986
(24)【登録日】2021年4月16日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】麺類の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/109 20160101AFI20210426BHJP
【FI】
   A23L7/109 C
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-530372(P2018-530372)
(86)(22)【出願日】2017年7月27日
(86)【国際出願番号】JP2017027145
(87)【国際公開番号】WO2018021448
(87)【国際公開日】20180201
【審査請求日】2020年1月29日
(31)【優先権主張番号】特願2016-149721(P2016-149721)
(32)【優先日】2016年7月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】398012306
【氏名又は名称】日清フーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鳥井 昭良
(72)【発明者】
【氏名】内田 順也
(72)【発明者】
【氏名】小泉 典夫
(72)【発明者】
【氏名】尾家 麻里子
【審査官】 戸来 幸男
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/094724(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/157309(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/171930(WO,A1)
【文献】 北海道立十勝圏地域食品加工技術センター 平成24年度試験研究成果,,2013年,pp.1-14,URL,http://www.food-tokachi.jp/research/h24result/wheet_h24.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 7/00−7/25
FSTA/CAplus/WPIDS/AGRICOLA/BIOSIS/
MEDLINE/EMBASE(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
日経テレコン
Google
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中力小麦粉、超強力小麦粉及び小麦蛋白質を含む原料粉から調製された生地を80kgf/cm2〜200kgf/cm2の圧力で押出し成形して麺類を得ること、
該麺類を、加熱調理し、冷凍すること、
を含む、冷凍調理済み麺類の製造方法。
【請求項2】
前記中力小麦粉、超強力小麦粉及び小麦蛋白質の合計量に対する該小麦蛋白質の量が1〜15質量%である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記中力小麦粉、超強力小麦粉及び小麦蛋白質の合計量に対する該中力小麦粉の量が5〜94質量%である、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記中力小麦粉、超強力小麦粉及び小麦蛋白質の合計量に対する該超強力小麦粉の量が5〜90質量%である、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記原料粉中における前記中力小麦粉と前記超強力小麦粉との質量比が13:1〜1:2である、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記原料粉が前記中力小麦粉、超強力小麦粉及び小麦蛋白質を合計で87質量%以上含む、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記生地が、前記原料粉100質量部と15〜35質量部の練り水とを混練して調製されている、請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記押出し成形して得られた麺類を、前記加熱調理の前に、乾燥処理又は表面α化処理することをさらに含む、請求項1〜7のいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、麺類の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
麺類は、主に小麦粉を原料として製造されている。これは、小麦粉が、含有する小麦蛋白質と澱粉により麺生地に特徴的な粘弾性を付与することから、麺類の原料として適しているためである。一方で、小麦粉に含まれる小麦蛋白質や澱粉は、小麦の品種や産地により性質が異なる。そのため、従来、製造する麺類の種類に応じて原料の小麦粉の種類を使い分けるのが一般的である。例えば、パスタ類は、艶のある外観と弾力のある食感を特徴とする。また最近では、よりモチモチとして弾力とコシがある食感を特徴とする生パスタも人気である。これらのパスタ類は、主にデュラム小麦粉から製造されている。
【0003】
現在日本国内に流通する麺用小麦粉の多くは外国産小麦の粉であり、特にパスタ用のデュラム小麦粉の日本国内生産量は極めて低い。その一方で、食料自給及び食品のトレーサビリティの観点から、近年では国内産小麦への関心が高まっており、国産小麦を原料とした麺類への要望は高い。しかしながら、日本産の普通小麦(6倍体小麦)を原料とする麺類は、特にパスタ類の場合、必ずしも充分な品質を有していないのが実情である。
【0004】
普通小麦を主原料として高品質の麺類を製造する方法が開発されている。例えば、特許文献1には、超強力小麦粉と馬鈴薯澱粉との混合粉を用いることで、デュラム小麦粉を使用しなくとも、高品質の生パスタが得られたことが記載されている。特許文献2には、日本産小麦粉にアスコルビン酸を配合すると、外国産小麦粉で製造したものと同等の色調に優れたうどんが得られることが記載されている。特許文献3には、普通小麦粉を70%以上含む原料粉と植物性蛋白質を含む生地を高圧押出しして得た生麺類を調理、冷凍することで、冷凍後にも粘りと弾力ある食感を有する麺類が得られることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−157320号公報
【特許文献2】特開2009−201390号公報
【特許文献3】国際公開公報第2014/203991号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、普通小麦を主原料として、艶のある良好な外観、及び弾力とコシのある好ましい食感を有する麺類を製造する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、中力粉、超強力小麦粉及び小麦蛋白質を含む原料粉から調製した生地を、高圧押出しすることにより、艶のある滑らかな外観、及び弾力とコシのある良好な食感を有する麺類を製造することができることを見出した。
【0008】
したがって、本発明は、中力小麦粉、超強力小麦粉及び小麦蛋白質を含む原料粉から調製された生地を80kgf/cm2〜200kgf/cm2の圧力で押出し成形することを含む、麺類の製造方法を提供する。
また本発明は、上記麺類を加熱調理し、冷凍することを含む、冷凍調理済み麺類の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、普通小麦を主原料として、艶のある滑らかな外観、及び弾力とコシのある好ましい食感を有する麺類を製造することができる。また本発明により得られた麺類は、冷凍耐性が高く、冷凍で長期保存が可能であり、且つ解凍後には、上記の好ましい外観及び食感を有することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の麺類の製造方法により製造される麺類としては、スパゲティ等のロングパスタ、マカロニ等のショートパスタ、ラザニア等の平打ちパスタを含むパスタ類や、うどん、冷麦、そうめん、きしめん、中華麺等を含む麺線類、ギョーザの皮等の麺皮類、などが挙げられる。
【0011】
本発明の麺類の製造方法において使用される麺類用の生地は、中力小麦粉、超強力小麦粉及び小麦蛋白質を含む原料粉を、練り水とともに混練して調製された生地である。
【0012】
本発明で使用される中力小麦粉は、一般的に麺用に好ましいとされている中間質小麦や軟質小麦から得られるものであればよい。麺用に好ましい中間質小麦や軟質小麦を産生する小麦品種の例としては、日本産小麦の品種である、さとのそら、きたほなみ、さぬきの夢2009、きたもえ、ふくさやか、あやひかり、きぬの波、ホクシン、農林61号、シロガネコムギ、チクゴイズミ、タイセツコムギ、シラネコムギ、ナンブコムギ、ホロシリコムギ、つるぴかり、ニシホナミ、タクネコムギ、ネバリゴシ、さぬきの夢2000、キタカミコムギ、タマイズミ、ふくほのか、シラサギコムギ、チホクコムギ、イワイノダイチ、ダイチノミノリ、バンドウワセ、きぬあずま、春のかがやき、アブクマワセ、コユキコムギ、しゅんよう、キヌヒメ、きぬいろは、農林26号等に由来する小麦粉や、オーストラリア産スタンダードホワイト品種である、Eradu、Cadoux、Arrino、Calingiri、Aroona、Binnu等が挙げられるが、麺用、特にうどん用に好適な中力小麦粉となる小麦を産生する品種であれば、これらに限定されない。本発明において、中力小麦粉は、一種の小麦から得られたものを単独で使用してもよく、又は2種以上の小麦から得られたものを組み合わせて用いることもできる。例えば、市販の麺用中力小麦粉を1種で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0013】
超強力小麦粉は、強力小麦粉と同様に蛋白質含量が高い小麦粉であって、且つ強力小麦粉と比べてグルテンの質が強靭な小麦粉である。超強力小麦粉は、強力小麦粉と比べて強いグルテンネットワークを形成するので、より弾性の高い生地となる。超強力小麦粉の形成する強靭なグルテンは、グルテンを構成するグルテニン蛋白質間のS−S結合が強力小麦粉よりも密であることによると考えられている。超強力小麦粉のグルテンの強靭さに貢献する因子として高分子量グルテニンサブユニットGlu−D1d、ならびに低分子量グルテニンサブユニットGlu−B3gやGlu−B3bが報告されている(池田達哉、「小麦の品質に関わるグルテンの遺伝的素質について」、作成日;2015年8月7日、修正日;2015年10月16日、[nihonnomugi.com/assets/151016ikeda.pdf])。これまでに育成されている超強力小麦品種としては、Glennlea、Bluesky、ゆめちから、北海259号、みのりのちから、銀河のちから、ハナマンテン、こしちから、Windcat、Victoria INTA、カンザス州立大学育成系統KS831957、北海道農業試験場育成系統PC−338、ホクレン農業協同組合連合会育成系統HW−2号、独立行政法人農業技術研究機構北海道農業研究センター育成系統の勝系12、勝系14、勝系33等が挙げられ、これらはGlu−D1dと、Glu−B3g又はGlu−B3bとを有している。但し、本発明で利用できる超強力小麦品種はこれらに限定されない。
【0014】
本発明で使用される超強力小麦粉の例としては、上述した超強力小麦品種又はそれらから派生した超強力小麦品種の産生した小麦から得られた小麦粉、ならびにGlu−D1d遺伝子由来の高分子量グルテニンサブユニットと、Glu−B3g又はGlu−B3b遺伝子由来の低分子量グルテニンサブユニットとを有する硬質小麦から得られた小麦粉が挙げられる。
【0015】
好ましくは、本発明で使用される超強力小麦粉は、American Association of Cereal Chemists法(AACC法)のミキソグラフ試験法(Approved Methods of the AACC,Method 54−40A,TheAssociation,St.Paul,MN,1991)により測定されるミキシングピークタイムの3回の測定の平均値が、市販の強力小麦粉の1.2倍以上、より好ましくは1.4倍以上を示す小麦粉であって、且つ、Glu−D1d遺伝子由来の高分子量グルテニンサブユニットと、Glu−B3g又はGlu−B3b遺伝子由来の低分子量グルテニンサブユニットとを有する小麦粉である。
【0016】
本発明において、超強力小麦粉は、1種の小麦から得られたものを単独で使用してもよく、又は2種以上の小麦から得られたものを組み合わせて用いることもできる。例えば、市販の超強力小麦粉を1種で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0017】
本発明で使用される小麦蛋白質としては、一般に小麦蛋白質やグルテンとして流通しているものを利用することができる。
【0018】
本発明で使用される麺類用の生地の原料粉中における中力小麦粉、超強力小麦粉及び小麦蛋白質の合計含有量は、好ましくは約87〜100質量%である。該中力小麦粉、超強力小麦粉及び小麦蛋白質の合計量中、該中力小麦粉の量は、好ましくは5〜94質量%、より好ましくは30〜90質量%、さらに好ましくは30〜80質量%であり、該超強力小麦粉の量は、好ましくは5〜90質量%、より好ましくは7〜68質量%、さらに好ましくは10〜68質量%、さらに好ましくは15〜65質量%であり、該小麦蛋白質の量は、好ましくは1〜15質量%、より好ましくは2〜10質量%、さらに好ましくは2〜6質量%である。該原料粉中における中力小麦粉と超強力小麦粉の含有比は、質量比で、好ましくは13:1〜1:2、より好ましくは7:1〜1:2、さらに好ましくは7:1〜1:1である。
【0019】
本発明で使用される麺類用の生地の原料粉には、上記中力小麦粉、超強力小麦粉及び小麦蛋白質に加えて、必要に応じて、麺類の製造に通常用いられ得る他の原料を含有させることができる。当該他の原料としては、例えば、強力小麦粉、薄力小麦粉、澱粉、糖類、卵、食塩、油脂、乳化剤、増粘剤等が挙げられる。あるいは、当該他の原料は、後述する原料粉と練り水との混練の際に添加してもよい。中力小麦粉、超強力小麦粉及び小麦蛋白質の合計量と当該他の原料との使用比率は、好ましくは質量比で100:0〜87:23である。
【0020】
上記原料粉を練り水と混練することで、麺類用の生地を調製することができる。練り水としては、水、食塩水、かん水など、麺生地の製造に通常用いられるものを使用することができる。該原料粉への練り水の添加量は、得られた生地が後述する高い押出し圧にかけられることを考慮すると、原料粉100質量部に対して15〜35質量部が好ましく、18〜35質量部がより好ましく、20〜30質量部がさらに好ましく、24〜27質量部がなお好ましい。練り水の添加量が15質量部未満であると、押出した麺類が崩れやすくなり、他方35質量部を超えると、生地が弱くダメージを受けやすいものとなることにより、得られた麺類に所望の外観及び食感が付与されないことがある。
【0021】
本発明の方法においては、上述の生地を高い圧力下で押出し成形することによって、麺類を得る。すなわち、本発明の方法においては、該生地を、好ましくは80kgf/cm2〜200kgf/cm2、より好ましくは120kgf/cm2〜200kgf/cm2、さらに好ましくは120kgf/cm2〜160kgf/cm2の圧力で押出し成形して麺類を製造する。押出しの際の減圧度は−200mmHg〜−760mmHg、好ましくは−600mmHg〜−760mmHgであり得る。生地の押出しには、乾パスタの製造に用いられる押出製麺機等を用いることができる。本発明における麺類の製造過程においては、原料粉と練り水とを混練して得られた生地を押出して生麺類を製造すればよく、該混練工程と押出工程の回数には、特に制限はない。
【0022】
本発明において、製造される麺類の形状は特に限定されず、例えば、上記生地を押出して麺帯を得た後、これを圧延、切り出し等の常法により麺線、麺皮等の所望の形状に成形してもよく、又は適当な形状の孔を有するダイスを用いて所望の形状の麺類を押出成形してもよい。斯くして得られた生麺類は、乾燥処理して乾燥麺類又は半乾燥麺類としたり、表面α化等の処理を施してもよいが、好ましくは、乾燥、表面α化等の処理を経ずに、そのまま製品として提供されるか、又は次に述べる加熱調理に供される。
【0023】
上記手順で得られた本発明の麺類は、沸騰した水で茹で上げる方法や、蒸気で蒸し煮する方法、電子レンジで水とともに加熱する方法など、通常の麺類の調理方法を用いて加熱調理することができる。例えば、生麺類であれば、沸騰水中2〜8分間茹で調理することが好ましい。加熱調理に供する麺類は、乾燥もしくは半乾燥麺類、又は表面α化等の処理を施された麺類であってもよいが、調理後の麺類の外観や食感の観点からは、生麺類が好ましい。
【0024】
好ましくは、上記加熱調理された麺類は、凍結され、冷凍保存される。したがって、本発明によれば冷凍調理済み麺類が製造される。麺類の凍結には、麺類に対して通常行われる手順を採用することができる。例えば、上記の加熱調理した麺類を、必要に応じて湯切りや、水冷、風冷等の手段で粗熱を取った後、所定の分量、例えば、一人分として150〜300g程度取り分け、トレイ等に盛り付けた後、凍結処理に付すことが好ましい。凍結処理としては、急速冷凍及び緩慢冷凍のいずれも採用できるが、急速冷凍が好ましい。一旦急速冷凍で凍結させた後は、通常の冷凍保存条件で保存すればよい。
【0025】
上記凍結処理では、加熱調理した麺類はソースとともに凍結されてもよい。例えば、上述のように加熱調理した麺類をトレイ等に取り分けた後、ソースをかけて凍結させてもよいし、加熱調理した麺類をソースに絡めた後、トレイに盛り付けて凍結させてもよい。ソースとしては、麺類に使用できるソースであればいずれを用いてもよく、例えば、そばつゆ、焼きそば用ソース、あん、ウスターソース、カレーソース、クリームソース、オイルソース、塩だれ、醤油だれ、味噌だれ、ミートソース、ナポリタンソース、トマトソース、カルボナーラソース、ブラウンソース、ホワイトソース等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
本発明により製造された冷凍調理済み麺類は、従来の麺類やその茹で麺の冷凍品と比べて冷凍耐性が向上しており、冷凍で長期間保存しても、艶のある滑らかな外観、及び弾力とコシのある好ましい食感を維持することができる。したがって、当該冷凍調理済み麺類は、解凍又は再加熱後にも、加熱調理直後と同等の極めて良好な外観及び食感を有する。また、当該冷凍調理済み麺類は、冷凍保存しても艶のある滑らかな麺の表面が維持されているため、ソースと共に冷凍保存しても、ソースが麺類に過剰に染み込むことによる麺類の食感や外観の質の低下を防止する。
【実施例】
【0027】
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
【0028】
製造例1
中力小麦粉(麺八州:日清製粉製)70質量部、超強力小麦粉(ゆめちから:日清製粉製)25質量部、及び小麦蛋白質(スーパーグル85H:日本コロイド製)5質量部を混合して原料粉を得た。この原料粉100質量部に対して水26質量部を添加し、混練して麺生地を調製した。該生地を、製麺機を用いて、−600mmHgの減圧条件下、120kgf/cm2の圧力条件で押出し成形して生麺類(スパゲティ;太さ1.8mm)を得た。
得られた生麺類を、熱湯で5分間茹で、水冷し、調理済み麺類を製造した。該調理済み麺類を180gずつトレイ(160mm×120mm;ポリプロピレン製)に取り分け、半数のトレイには、さらに麺塊上部に市販の缶詰ミートソース(日清フーズ製)100gをのせた。これらを−35℃で急速凍結し、冷凍調理済み麺類(ソースなし及びソース付き)を製造した。
【0029】
比較例1〜3
原料粉中の超強力小麦粉を、デュラム小麦粉(比較例1)、強力小麦粉(比較例2)又は薄力小麦粉(比較例3)に変えた以外は、製造例1と同様の手順で冷凍調理済み麺類(それぞれ、ソースなし及びソース付き)を製造した。
【0030】
比較例4
原料粉に小麦蛋白質を添加しなかった以外は、製造例1と同様の手順で冷凍調理済み麺(それぞれ、ソースなし及びソース付き)を製造した。
【0031】
試験例1
製造例1及び比較例1〜4の冷凍調理済み麺類を、トレイから外してポリプロピレン製の袋に包装し、−18℃で保存した。1週間後、凍結した麺類を袋から取り出し、電子レンジ(600W)で加熱解凍した。加熱時間はソースなしのものは3分間、ソース付きのものは4分30秒間とした。解凍後の麺類の外観及び食感を評価した。ソース付きのものは、加熱後に軽くかき混ぜ、麺類とソースの外観及び食感を評価した。評価は、10名のパネルにより下記評価基準で行い、平均点を求めた。
【0032】
<麺類の外観>
5 滑らかな艶が全体にある極めて良好な外観
4 艶がある良好な外観
3 やや艶がある外観
2 表面がやや荒れていてやや不良な外観
1 表面がざらざらとしているか、又は表面が溶け出している不良な外観
<麺類の食感>
5 噛みはじめの弾力と内部のコシのバランスが極めてよく、非常に良好な食感
4 噛みはじめの弾力と内部のコシのバランスがよく、良好な食感
3 噛みはじめの弾力と内部の硬さのバランスがやや悪く、やや不良な食感
2 噛みはじめの弾力と内部のコシのバランスが悪く、不良な食感
1 柔らかすぎるか又は硬すぎ、不良な食感
【0033】
<麺類とソースの外観>
5 麺へのソースののりが均一でかなりよい
4 麺へのソースののりがよい
3 麺へのソースののりが普通
2 麺へのソースののりが悪いかむらがある
1 麺へのソースののりがかなり悪くむらがある
<麺類とソースの食感>
5 麺とソースがよく調和して非常に良好な食感
4 麺とソースの調和感があり良好な食感
3 麺とソースそれぞれに味わいがあり、普通の食感
2 麺とソースいずれかの食感が弱く、やや不良な食感
1 麺とソースいずれかの食感が弱すぎ、不良な食感
【0034】
結果を表1に示す。中力小麦粉、超強力小麦粉及び小麦蛋白質を用いた麺類(製造例1)は、超強力小麦粉を含まない麺類(比較例1〜3)及び小麦蛋白質を含まない麺類(比較例4)と比べて、艶のある滑らかな外観、及び弾力とコシのある食感の点でより高評価であった。
【0035】
【表1】
【0036】
試験例2
押出し圧力を表2のとおりに変更した以外は、製造例1と同様の手順で製造例2〜7の冷凍調理済み麺類(それぞれ、ソースなし及びソース付き)を製造し、試験例1と同様の手順で外観と食感を評価した。その結果を表2に示す。なお表2には製造例1の結果を再掲する。
【0037】
【表2】
【0038】
試験例3
中力小麦粉、超強力小麦粉及び小麦蛋白質の配合量を表3のとおりに変更した以外は、製造例1と同様の手順で、製造例8〜15の冷凍調理済み麺類(それぞれ、ソースなし及びソース付き)を製造し、試験例1と同様の手順で外観と食感を評価した。その結果を表3に示す。なお表3には製造例1の結果を再掲する。
【0039】
【表3】