【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)一実施形態に係る骨付き肢肉の処理システムは、
右肢の骨付き肢肉の筋入れを行うための右肢用筋入れ部と、
左肢の骨付き肢肉の筋入れを行うための左肢用筋入れ部と、
前記右肢用筋入れ部及び前記左肢用筋入れ部で筋入れされた前記骨付き肢肉の骨部と肉部とを分離するための複数の処理ステーションを有する処理ラインと、
前記処理ラインの最上流部に設けられ、前記右肢用筋入れ部で筋入れされた前記右肢の骨付き肢肉及び前記左肢用筋入れ部で筋入れされた前記左肢の骨付き肢肉を受け取る投入部と、
を備える。
【0007】
上記処理システムにおいては、筋入れ部を右肢用と左肢用とに分けることで、筋入れ位置や筋入れ刃の構成を夫々の骨付き肢肉の形状に合ったものとすることができる。従って、右肢又は左肢毎に筋入れ刃の位置や構成を変える必要がなくなるため、夫々の筋入れ部を簡素化できると共に、処理数を増加できる。また、筋入れ後の処理は、右肢及び左肢とも単一の処理ラインで行うことで、処理ラインの設置スペースをコンパクト化できる。
【0008】
(2)一実施形態では、前記(1)の構成において、
前記右肢用筋入れ部及び前記左肢用筋入れ部の各々は、
水平方向に沿って設けられた搬送路と、
前記搬送路で搬送される前記骨付き肢肉の筋入れを行うための第1切断刃と、
を備え、
前記右肢用筋入れ部と前記左肢用筋入れ部とは、前記搬送路及び前記第1切断刃を含め、前記搬送路間の中心線に対して対称に配置される。
【0009】
上記(2)の構成によれば、右肢用筋入れ部及び左肢用筋入れ部が搬送路間の中心線に対して対称に配置されるため、左右骨付き肢肉を同じ向きで搬送路に投入したとき、左右骨付き肢肉に対し両者とも内側又は外側の同じ側から第1切断刃を挿入したとき、両者とも皮のない内側面から筋入れできる。そのため、皮を切らない商品価値が高い正肉を得ることができる。
【0010】
(3)一実施形態では、前記(2)の構成において、
前記右肢用筋入れ部の前記搬送路と前記左肢用筋入れ部の前記搬送路とは並列に配置され、かつ、前記骨付き肢肉の搬送方向が同一方向となるように配置される。
上記(3)の構成によれば、左右筋入れ部の搬送路が並列に配置されることで、筋入れ部のスペースをコンパクト化できる。また、骨付き肢肉の搬送方向が同一方向に配置されるので、両搬送路の各々へ骨付き肢肉を投入する投入部を互いに近接配置でき、これによって、1人の作業員で投入作業が可能になる。
【0011】
(4)一実施形態では、前記(2)又は(3)の構成において、
前記搬送路は、前記骨付き肢肉の骨部が水平方向に沿いかつ前記骨付き肢肉の内側面及び外側面が上下方向に沿って搬送可能に構成される。
上記(4)の構成によれば、左右骨付き肢肉を上記姿勢で搬送することで、左右骨付き肢肉を搬送しながら固定された第1切断刃で骨部と肉部との間を骨部に沿って切断できる。従って、筋入れのために骨付き肢肉を停止させる必要がないため、処理効率を向上できる。また、第1切断刃が固定刃でよいため、第1切断刃の駆動部が不要となり低コスト化できる。
【0012】
(5)一実施形態では、前記(2)〜(4)の何れかの構成において、
前記右肢用筋入れ部及び前記左肢用筋入れ部の各々は、前記骨付き肢肉を把持し前記搬送路に沿って移動可能な複数の第1クランプ具を備え、
前記処理ラインは、前記複数の第1クランプ具から受け取った前記骨付き肢肉を前記複数の処理ステーションに搬送する複数の第2クランプ具を備え、
前記投入部は、前記右肢用筋入れ部から前記右肢の骨付き肢肉を受け取る第1受取り部と、前記左肢用筋入れ部から前記左肢の骨付き肢肉を受け取る第2受取り部と、を有し、前記第1受取り部と前記第2受取り部との間の間隔と、前記複数の第2クランプ具間の間隔とは同一に構成され、
前記第1受取り部における前記右肢の骨付き肢肉の受取りと前記第2受取り部における前記左肢の骨付き肢肉の受取りとが同時に行われるように構成される。
【0013】
上記(5)の構成によれば、左右骨付き肢肉を上記第1クランプ具から第2クランプ具に受け渡すときの第1クランプ具の動作と第2クランプ具の動作との同期制御が容易になる。
【0014】
(6)一実施形態では、前記(5)の構成において、
前記複数の第1クランプ具の間隔と前記複数の第2クランプ具の間隔とが同一であり、
前記複数の第2クランプ具の移動速度は前記複数の第1クランプ具の移動速度より速くなるように構成される。
上記(6)の構成によれば、左右骨付き肢肉を上記第1クランプ具から第2クランプ具に受け渡すときの第1クランプ具の動作と第2クランプ具の動作との同期制御が容易になると共に、処理ラインにおける骨付き肢肉の処理速度が筋入れ部と比べて速くなるため、処理ラインにおける処理効率を向上できる。
【0015】
(7)一実施形態では、前記(5)又は(6)の構成において、
前記複数の処理ステーションの少なくとも1つは、前記骨部の周囲を切断するための第2切断刃を備えると共に、
前記複数の処理ステーションの少なくとも1つは、前記第2切断刃で切断された前記骨付き肢肉の肉部に係止可能であって、前記第2クランプ具との間隔を広げることで前記骨部から前記肉部を剥離可能な分離部材を備え、
前記分離部材は前記第2クランプ具の搬送方向に沿って前記第2クランプ具と同期して前記第2クランプ具の搬送速度と同一の速度で移動可能に構成される。
【0016】
上記(7)の構成によれば、分離部材は第2クランプ具の搬送方向に沿って第2クランプ具の搬送速度と同一の速度で移動することで、骨付き肢肉を搬送しながら停止させずに骨肉分離が可能になり、解体処理効率を向上できる。
【0017】
(8)一実施形態では、前記(7)の構成において、
前記複数の処理ステーションは、
前記骨付き肢肉の肢首部の周囲に付着した腱を切断するための前記第2切断刃を備える肢首カットステーションと、
前記肢首カットステーションより前記骨付き肢肉の搬送方向下流側に設けられ、前記肢首部の腱を切断した前記骨付き肢肉の切断部の肉部を骨部から分離するための前記分離部材と、前記肉部が分離された前記骨部に付着する白膜を切断する前記第2切断刃と、を備える白膜カットステーションと、
を含む。
【0018】
上記(8)の構成によれば、上記肢首カットステーションで白膜を切断せずに、上記白膜カットステーションで白膜を切断するようにしているので、白膜の内側でひざ関節部に付着した腓骨が骨部から分離するのを防止できる。そのため、腓骨が正肉に混じることで正肉の価値を下げるのを防止できる。
【0019】
(9)一実施形態に係る分離肉の製造方法は、
右肢の骨付き肢肉及び左肢の骨付き肢肉の筋入れを夫々別の筋入れ部で行う筋入れステップと、
筋入れされた前記右肢の骨付き肢肉及び前記左肢の骨付き肢肉を、前記骨付き肢肉の骨部と肉部とを分離するための単一の処理ラインに投入する投入ステップと、
前記処理ラインに投入された前記右肢の骨付き肢肉及び前記左肢の骨付き肢肉の前記骨部と前記肉部とを分離する処理ステップと、
を備える。
【0020】
上記(9)の方法によれば、筋入れ部を右肢用と左肢用とに分けることで、筋入れ位置や筋入れ刃の構成を夫々の骨付き肢肉の形状に合ったものとすることができる。従って、右肢又は左肢毎に筋入れ刃の位置や構成を変える必要がなくなるため、夫々の筋入れ部を簡素化できると共に、処理数を増加できる。また、筋入れ後の処理は、右肢及び左肢とも単一の処理ラインで行うことで、処理ラインの設置スペースをコンパクト化できる。
【0021】
(10)一実施形態では、前記(9)の方法において、
前記筋入れステップにおける前記右肢の骨付き肢肉及び前記左肢の骨付き肢肉の単位時間当たりの処理数を同一とし、
前記処理ステップにおける前記骨付き肢肉の単位時間当たりの処理数を前記処理数より多くする。
上記(10)の方法によれば、筋入れステップにおける右肢の骨付き肢肉及び左肢の骨付き肢肉の単位時間当たりの処理数を同一とすることで、左右筋入れ部における筋入れ刃の動作を容易に同期でき、筋入れ動作の制御が容易になる。
また、筋入れ後の処理ステップにおける骨付き肢肉の単位時間当たりの処理数を筋入れステップにおける処理数より多くすることで、第1クランプ具と第2クランプ具との動作の同期制御が容易になり、かつ筋入れステップにおける処理数を低下させることなく、筋入れ後の処理効率を向上できる。
【0022】
(11)一実施形態では、前記(9)又は(10)の方法において、
前記投入ステップにおいて、複数の前記骨付き肢肉の関節部が前記処理ラインに常に同一方向を向いて投入される。
上記(11)の方法によれば、複数の骨付き肢肉の関節部が常に同一方向を向いて処理ラインに投入されるため、処理ラインに設けられた機器類は左右骨付き肢肉の処理を共通の処理動作で解体処理が可能になる。従って、処理効率を向上できる。