(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
【0009】
<自動処理装置の概要>
図1は、本発明の一実施の形態による自動処理装置1を説明する図である。
図1において、自動処理装置1は、空気清浄機31によってクリーン環境が保たれた筐体21内に構成される。自動処理装置1に対する操作は、コントロールパネル30から行われる。
【0010】
筐体21内には、作業対象であるワーク11に対して、所定の調整、検査を行う複数の処理装置71〜処理装置79が並べて配設される。本実施形態では、コンベア23上にあるワーク11をアームロボット24またはアームロボット25によって持ち上げ、アームロボット24またはアームロボット25がワーク11を複数の処理装置71〜処理装置79に対して付け替えることにより、処理装置71〜処理装置79によってワーク11に対する調整、検査処理をそれぞれ行わせる。アームロボット24およびアームロボット25は、ともに筐体21の天井部から吊り下げられた垂直多関節型ロボットである。
【0011】
<ワークの説明>
本実施形態では、光学機器であるカメラボディをワーク11とし、処理装置71〜処理装置79がそれぞれカメラボディに対する調整、検査処理を行う。
図2は、ワーク11(カメラボディ)を例示する図である。
図2において、ワーク11は、一眼レフタイプのカメラボディである。ワーク11(カメラボディ)は、交換レンズ12を装着するためのボディマウント13を備える。交換レンズ12は、ボディマウント13と嵌合するレンズマウント14を備え、ワーク11(カメラボディ)に対して着脱可能に構成される。
【0012】
ワーク11(カメラボディ)に交換レンズ12が装着されると、交換レンズ12を通った被写体からの光束がボディマウント13の開口15からワーク11(カメラボディ)内へ進み、不図示の感光部材(例えばイメージセンサ)へ到達する。ワーク11(カメラボディ)は、イメージセンサで光電変換された信号に基づいて画像データを生成する。
【0013】
一般に、複数台のワーク11(カメラボディ)を生産する場合、個々のワーク11(カメラボディ)で取得される画像が所定の基準を満たすように、個々のワーク11(カメラボディ)に対してそれぞれ調整、検査を行う。調整、検査においては、例えば、ワーク11(カメラボディ)の開口15から所定の色や強さの光を入射したり、開口15の内周部に設けられている不図示の信号端子から所定のデータを入力するなどして、ワーク11(カメラボディ)側で所定の画像、および所定の情報が得られるようにする。
【0014】
<調整、検査装置の説明>
上述した調整、検査処理は、処理装置71〜処理装置79が行う。処理装置71〜処理装置79は、例えばイメージセンサに対する調整を行う処理装置、画像の色温度調整を行う処理装置、自動焦点調節(AF)機能の調整を行う処理装置、自動露出(AE)調節機能の調整を行う処理装置、および所定の機能を調整する処理装置など、それぞれが行う調整、検査項目が決められている。処理装置71〜処理装置79は通常、調整、検査項目が異なる処理装置を1台ずつ筐体21に設ければよいが、調整、検査に要する時間(タクトタイム)が長い処理装置の場合には、同一の処理装置を2台以上筐体21に設けてもよい。
【0015】
筐体21に実装された処理装置71〜処理装置79は、それぞれがワーク11(カメラボディ)を受け入れ可能な状態の時に空き信号を出力する。処理装置71〜処理装置79は、ワーク11(カメラボディ)が装着されたことを確認すると、装着されたワーク11(カメラボディ)に対して調整や検査などの所定の処理を開始する。処理装置71〜処理装置79は、調整や検査などの所定の処理が完了すると、処理完了信号を出力する。そして、ワーク11(カメラボディ)が取り外され、次のワーク11(カメラボディ)を受け入れ可能な状態になると、再び空き信号を出力する。
【0016】
また、処理装置71〜処理装置79は、装着されたワーク11(カメラボディ)に対して異常を発見したときは、異常検知信号を出力する。
【0017】
<パレットの説明>
本実施形態では、ワーク11(カメラボディ)を
図3に例示するパレット51に装着した状態で、パレット51と一体的に搬送する。
図3は、パレット51を例示する図である。
図3において、パレット51は、パレットマウント52と、パレットコネクタ53と、位置決め孔54と、切り欠き55とを有する。
【0018】
パレットマウント52は、交換レンズ12(
図2)のレンズマウント14と同様の締結部を有しており、ワーク11(カメラボディ)のボディマウント13と嵌合する。パレットマウント52の周の内側には、パレット51を貫通する貫通孔56が設けられる。パレットコネクタ53は、アームロボット24およびアームロボット25がパレット51を(紙面手前側から)持ち上げる際に用いるコネクタである。本実施形態では、アームロボット24またはアームロボット25をパレットコネクタ53と結合させてパレット51を持ち上げるが、アームロボット24またはアームロボット25によりパレット51を把持してパレット51を持ち上げるように構成してもよい。
【0019】
位置決め孔54は、ワーク11(カメラボディ)が装着されたパレット51を処理装置71〜処理装置79へ取り付けられる際のパレット51の位置決め用に用いられる貫通孔である。切り欠き部55は、処理装置71〜処理装置79に設けられている不図示のキャッチャが、パレット51を受け止めて固定するために設けられる。
【0020】
図4は、
図3のパレット51にワーク11(カメラボディ)が装着された状態を例示する図である。パレットマウント52とワーク11(カメラボディ)のボディマウント13とが締結されることにより、パレット51にワーク11(カメラボディ)が固定される。
【0021】
図5は、
図4に例示した状態のワーク11(カメラボディ)を、パレット51と一体で処理装置72の着脱部80に装着した状態を例示する側面図である。ワーク11(カメラボディ)が固定されているパレット51が、アームロボット24またはアームロボット25によって図の左側から処理装置72に装着される。具体的には、ワーク11(カメラボディ)の開口15を処理装置72(着脱部80)に対向させる向きに合わせ、パレット51を介してワーク11(カメラボディ)を処理装置72に装着する。上述した位置決め孔54に不図示のガイドピンが挿入され、処理装置72のキャッチャ(不図示)がパレット51を受け止めると、着脱部80の中心とワーク11(カメラボディ)の開口15の中心とが位置合わせされるように構成されている。処理装置72内には、あらかじめ決められた調整、検査を行うための機器(不図示)が収容されている。
【0022】
<自動処理装置の説明>
図1の自動処理装置1において、投入口22の外に位置する不図示の作業者Xは、前工程から調整、検査前のワーク11(カメラボディ)を受け取り、パレット51に締結する。作業者Xは、
図4に例示した状態のワーク11(カメラボディ)を、パレット51と一体で投入口22から筐体21内へ投入する。コンベア23は、不図示のモータによって駆動され、ワーク11(カメラボディ)をパレット51と一体で矢印A方向に搬送する。コンベア23は、ワーク11(カメラボディ)をアームロボット24の可動範囲まで搬送すると、一旦停止する。
【0023】
上述したように、アームロボット24およびアームロボット25は、垂直多関節型ロボットである。アームロボット24は、コンベア23上に載置されているワーク11(カメラボディ)をパレット51と一体で持ち上げ、該ワーク11(カメラボディ)をパレット51と一体で処理装置71〜処理装置79のいずれかに装着する。
【0024】
ここで、
図1においては処理装置71〜処理装置79を図示しているが、本実施形態では、筐体21やアームロボット25の陰に位置する処理装置を含め、縦4列×横4列からなる計16台の処理装置を収容可能である。これら16台の処理装置は、それぞれの縦サイズおよび横サイズが共通に構成されており、処理装置の入れ替えが容易である。また、これら16台の処理装置は、筐体21の背面側から個別に装填できる。このため、ワーク11(カメラボディ)で必要とする調整、検査項目に応じて、装置の組み替えを自由に行うことが可能である。例えば、自動処理装置1を別の製品の生産ラインで用いる場合に、必要な処理装置を容易に入れ替えられる。なお、上述したように、調整、検査項目が重複する処理装置を上記16台の中に2台以上含めてもよい。
【0025】
アームロボット24は、16台の処理装置(
図1では処理装置71〜処理装置79)のいずれかから空き信号を受けると、ワーク11(カメラボディ)が固定されているパレット51をコンベア23上から持ち上げ、空き信号を出した処理装置へパレット51と一体で装着する。ここで、アームロボット24は、16台の処理装置(
図1では処理装置71〜処理装置79)のうち、あらかじめ決められた処理装置に対してワーク11(カメラボディ)をパレット51と一体で装着する。ワーク11(カメラボディ)を装着する処理装置は、16台中16台の処理装置でもよいし、16台中5台の処理装置でもよい。すなわち、全部の処理装置に装着しても良いし、数台の一部の処理装置に装着するようにしても良い。本実施形態では、いずれかの処理装置に装着したワーク11(カメラボディ)を全16台のうち他の15台の処理装置に対して付け替えることができるものとして構成されている。
【0026】
アームロボット24は、ワーク11(カメラボディ)を装着した処理装置(
図1では処理装置71〜処理装置79)から処理完了信号を受けると、当該処理装置からワーク11(カメラボディ)をパレット51と一体で取り外す。アームロボット24は、取り外したワーク11(カメラボディ)を、上記15台の処理装置のうち当該ワーク11(カメラボディ)を未だ装着していない処理装置であって、空き信号を出力している処理装置へパレット51と一体で装着する。アームロボット24は、未だ装着しておらず、かつ空き信号を出力している処理装置が存在しない場合は、取り外したワーク11(カメラボディ)をパレット51と一体でコンベア23上へ戻す。ワーク11(カメラボディ)をコンベア23上へ戻す位置は、ワーク11(カメラボディ)をコンベア23上から持ち上げる前の位置と異なっていてもよい。
【0027】
アームロボット25は、アームロボット24と同様の作業をアームロボット24と分担して行う。すなわち、ワーク11(カメラボディ)をパレット51と一体で持ち上げ、該ワーク11(カメラボディ)をパレット51と一体で処理装置71〜処理装置79のいずれかに装着する。アームロボット25は、処理装置(
図1では処理装置71〜処理装置79)から処理完了信号を受けると、当該装置からワーク11(カメラボディ)をパレット51と一体で取り外す。アームロボット25は、取り外したワーク11(カメラボディ)を、上記15台の処理装置のうち当該ワーク11(カメラボディ)を未だ装着していない処理装置であって、空き信号を出力している処理装置へパレット51と一体で装着するか、コンベア23上へパレット51と一体で戻す。
【0028】
このように、アームロボット25によってアームロボット24と異なるワーク11(カメラボディ)を対象に作業させることで、アームロボット24のみで作業させる場合に比べて、自動処理装置1として処理速度が向上する。なお、
図1においてはコンベア23上に1台のワーク11(カメラボディ)のみを図示したが、実際は複数のワーク11(カメラボディ)が載置される。アームロボット24(25)は、複数のワーク11(カメラボディ)を対象に作業を行う。
【0029】
コンベア23は、ワーク11(カメラボディ)がアームロボット25の可動範囲に存在しない場合は、ワーク11(カメラボディ)をアームロボット25の可動範囲まで搬送し、一旦停止する。
【0030】
コンベア23上にパレット51と一体で載置されているワーク11(カメラボディ)に対し、あらかじめ決められた15台の処理装置の全てで調整、検査が完了すると、コンベア23は、当該ワーク11(カメラボディ)のパレット51を送出口26まで搬送する。送出口26の外に位置する不図示の作業者Yは、搬送されたパレット51からワーク11(カメラボディ)を取り外すと、パレット51のみをパレット返送口32から筐体21内へ投入する。なお、調整、検査済みのワーク11(カメラボディ)は、作業者Yが次工程へ送る。
【0031】
コンベア28は、不図示のモータによって駆動され、パレット51を矢印B方向に搬送する。コンベア28は、パレット51を排出口29まで搬送する。上記作業者Xは、排出口29からパレット51を取り出す。作業者Xは、取り出したパレット51に新たなワーク11(カメラボディ)を締結する。
【0032】
アームロボット24またはアームロボット25は、ワーク11(カメラボディ)をパレット51と一体で装着した処理装置(
図1では処理装置71〜処理装置79)から異常検知信号を受けると、当該処理装置からワーク11(カメラボディ)をパレット51と一体で取り外す。アームロボット24またはアームロボット25は、取り外したワーク11(カメラボディ)をパレット51と一体でコンベア27上に載置する。
【0033】
コンベア27は、不図示のモータによって駆動され、パレット51を矢印C方向に搬送する。コンベア27は、異常が検知されたワーク11(カメラボディ)をパレット51と一体でコンベア28上まで搬送する。コンベア28は、異常が検知されたワーク11(カメラボディ)をパレット51と一体で排出口29まで搬送する。上記作業者Xは、排出口29から異常が検知されたワーク11(カメラボディ)をパレット51と一体で取り出して、生産ラインから除外する。
【0034】
<自動処理装置の直列運転>
上述した自動処理装置1は、直列に並べて運転可能に構成される。
図6は、3台の自動処理装置1を連結した状態を説明する図である。1つのワーク11(カメラボディ)に対して調整、検査を行う処理装置数が多い場合(例えば、必要とする処理装置数が筐体21に収容可能な16台を超える)や、ワーク11(カメラボディ)の生産数を増やしたい場合において、直列運転が好適である。
【0035】
3台の自動処理装置1は、
図1を参照して説明したように、それぞれ投入口22、排出口29、送出口26、およびパレット返送口32を有する。投入口22および送出口26は、上流側の自動処理装置1の送出口26が下流側の自動処理装置1の投入口22と対向する位置に設けられている。同様に、パレット返却口32および排出口29は、下流側の自動処理装置1の排出口29が上流側の自動処理装置1のパレット返送口32と対向する位置に設けられている。
【0036】
図6によれば、自動処理装置1を複数台で直列運転する場合でも、自動処理装置1を1台で単独運転する場合から作業者を増員する必要はなく、上流側の自動処理装置1の投入口22の外に位置する作業者Xと、下流側の自動処理装置1の送出口26の外に位置する作業者Yとの2名でよい。
【0037】
<1つのワーク11(カメラボディ)を調整、検査する処理装置数が多い場合>
例えば、調整、検査に使用する処理装置数が30台の場合には、上流側の自動処理装置1において10台の処理装置で調整、検査を完了させ、次の自動処理装置1において他の10台の処理装置で調整、検査を完了させ、さらに下流側の自動処理装置1において残り10台の処理装置で調整、検査を完了させるというように、複数台の自動処理装置1の間で役割分担させる。
【0038】
同じ自動処理装置1を組み合わせて役割分担させることにより、自動処理装置1より大型(30台の処理装置を収容する)の自動処理装置を新たに導入しなくてよいので、コストを抑えることができる。
【0039】
<ワーク11(カメラボディ)の生産数を増やしたい場合>
例えば、調整、検査に使用する処理装置数が15台の場合には、上流側の自動処理装置1において5台の処理装置で調整、検査を完了させ、次の自動処理装置1において他の5台の処理装置で調整、検査を完了させ、さらに下流側の自動処理装置1において残り5台の処理装置で調整、検査を完了させるというように、複数台の自動処理装置1の間で役割分担させる。
【0040】
同じ自動処理装置1を組み合わせて役割分担させることにより、自動処理装置1より大型(例えばアームロボットを6台備える)の自動処理装置を新たに導入しなくてよいので、コストを抑えることができる。
【0041】
以上説明した実施形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)自動処理装置1において、光束が進入する開口15を有するワーク11(カメラボディ)は、そのワーク11(カメラボディ)が固定されるパレット51と一体でコンベア23に載置される。アームロボット24またはアームロボット25は、コンベア23からワーク11(カメラボディ)をパレット51と一体で持ち上げ、ワーク11(カメラボディ)に対して調整処理および検査処理を行う複数の処理装置71〜79に対してワーク11(カメラボディ)をパレット51と一体で順次付け替え、調整処理および検査処理が終了したワーク11(カメラボディ)をパレット51と一体でコンベア23へ戻す。これにより、使い勝手のよい自動処理装置1が得られる。また、ワーク11(カメラボディ)が、パレット51に固定されることなく、直にコンベアへ載置され、コンベアから持ち上げられ、コンベアへ戻される場合に比べて、自動処理装置1では、アームロボット24またはアームロボット25がワーク11(カメラボディ)を間接的につかんで搬送するため、ワーク11(カメラボディ)に傷や汚れをつけるおそれを低減することができる。
【0042】
(2)アームロボット24(25)は、ワーク11(カメラボディ)の開口15を処理装置71〜79の各々に対向させるとともに、ワーク11(カメラボディ)を処理装置71〜79に対して順次付け替える際にパレット51を介してワーク11(カメラボディ)を複数の処理装置71〜79の各処理装置へ装着する。そして、複数の処理装置71〜79は、順次装着されたワーク11(カメラボディ)に対してパレット51が有する開口である貫通孔56を介して調整処理および検査処理を行う。アームロボット24(25)がパレット51を介してワーク11(カメラボディ)を処理装置71〜79へ装着することにより、ワーク11(カメラボディ)をパレット51を介さずに直に複数の処理装置71〜79の各処理装置へ装着する場合に比べて、ワーク11(カメラボディ)に傷や汚れをつけるおそれを排除できる。
【0043】
(3)複数の処理装置71〜79に対してワーク11(カメラボディ)をパレット51と一体で順次付け替える処理を、アームロボット24および25の各アームロボットが複数のワーク11(カメラボディ)の各々について行うことによって、各アームロボットは、複数の処理装置71〜79の各々に対して複数のワーク11(カメラボディ)の各々をパレット51と一体で移動する作業および着脱する作業を行う。すなわち、複数の処理装置71〜79に対して複数のワーク11(カメラボディ)を移動する作業および着脱する作業が、アームロボット24(25)によって行われる。したがって、例えば、1つの処理装置に対して1つのワーク11(カメラボディ)を着脱する作業を複数の作業者で並行して行う場合と同様の作業量を、1台の自動処理装置1で実現できる。
【0044】
(4)ワーク11(カメラボディ)がパレット51と一体で載置されるコンベア23によって、投入口22からアームロボット24(25)の可動範囲を経て送出口26へ向けて搬送するようにしたので、使い勝手のよい自動処理装置1が得られる。また、アームロボット24(25)の可動範囲を必要以上に広げなくてよいので、アームロボット24(25)のコスト低減にもつながる
【0045】
(5)アームロボット25は、アームロボット24が処理装置へ移動して装着するワーク11(カメラボディ)とは異なるワーク11(カメラボディ)を他の処理装置へ移動して装着する。具体的には、
図8に示すように、アームロボット24が複数の処理装置71〜79に対して複数のワーク11(カメラボディ)のうちの1つであるワーク11Aをパレット51と一体で順次付け替える処理を行った後、ワーク11Aがコンベア23によってアームロボット25の可動範囲に搬送される。それととともに、複数のワーク11(カメラボディ)のうちのワーク11Bがコンベア23によってアームロボット24の可動範囲に搬送される。このとき、アームロボット25が複数の処理装置71〜79に対してワーク11Aをパレット51と一体で順次付け替える処理を行うととともに、アームロボット24が複数の処理装置71〜79に対してワーク11Bをパレット51と一体で順次付け替える処理を行う。したがって、1台のアームロボットのみで複数のワークを複数の処理装置へ移動して装着する場合に比べて、自動処理装置1の処理速度が向上する。
【0046】
(6)複数台の自動処理装置1を並べた場合において、互いに隣接する2つの自動処理装置1のうちの一方の自動処理装置1、すなわち上流側の自動処理装置1の送出口26が、他方の自動処理装置1、すなわち下流側の自動処理装置1の投入口22と対向するように、互いに隣接する2つの自動処理装置1が配置される。したがって、上流側の自動処理装置1から下流側の自動処理装置1に向けて、ワーク11(カメラボディ)を自動で搬送することができる。
【0047】
(7)パレット51は、ワーク11(カメラボディ)のボディマウント13に嵌合して締結されるパレットマウント52を含む。パレットマウント52とワーク11(カメラボディ)のボディマウント13とが締結されることにより、パレット51にワーク11(カメラボディ)が固定される。したがって、共通のボディマウント13を有する様々な種類のワーク11(カメラボディ)に対して、共通の処理装置による調整処理および/または検査処理が可能となる。
【0048】
(8)パレット51は、アームロボット24または25によってワーク11(カメラボディ)が複数の処理装置71〜79のうちのいずれか1つに取り付けられる際に、アームロボット24または25によって持ち上げられるためにアームロボット24または25と結合するパレットコネクタ53を含む。パレットコネクタ53は、パレットマウント52と同一面上に設けられる。アームロボット24または25がワーク11(カメラボディ)を処理装置71〜79へ装着する際に、アームロボット24または25はワーク11(カメラボディ)に接触することが無い。したがって、共通のアームロボット24または25が、様々な種類のワーク11(カメラボディ)を、傷つけたり汚したりすること無く、共通の処理装置へ移動して着脱することができる。
【0049】
(9)パレット51には、アームロボット24または25によってワーク11(カメラボディ)が複数の処理装置71〜79のうちのいずれか1つに取り付けられる際に、処理装置のキャッチャがパレット51を受け止めて固定するために設けられる切り欠き55がパレットマウント52と同一面上に形成されるとともに、アームロボット24または25によってワーク11(カメラボディ)が処理装置に取り付けられる際の位置決めのために処理装置のガイドピンが挿入される位置決め孔が形成される。したがって、様々な種類のワーク11(カメラボディ)が、共通のアームロボット24または25によって、共通の処理装置に接触して傷ついたり汚れたりすること無く装着される。
【0050】
(10)
図9は、本実施形態による自動処理装置1において、複数の処理装置71〜79によるワーク11(カメラボディ)に対する調整処理および検査処理等の所定の処理の際に、アームロボット24および25の各々によって、ワーク11(カメラボディ)に対して行われる上述した自動処理の処理方法を、フローチャートとして表した図である。本自動処理が開始されると、ステップS910において、アームロボット24および25の各々は、光束が進入する開口15を有するワーク11(カメラボディ)を、そのワーク11(カメラボディ)が固定されるパレット51と一体的に、コンベア23から持ち上げる。ステップS920において、アームロボット24および25の各々は、ワーク11(カメラボディ)に対して調整処理および検査処理等の所定の処理を行う複数の処理装置71〜79に対して、ワーク11(カメラボディ)をパレット51と一体で順次付け替える。ステップS930において、アームロボット24および25の各々は、上記所定の処理が終了したワーク11(カメラボディ)を、パレット51と一体で、コンベア23へ戻す。
【0051】
(第1変形例)
上述した説明では、ワーク11として一眼レフタイプのカメラボディを例示したが、レフレックスタイプでない一眼タイプのカメラボディであってもよい。
【0052】
(第2変形例)
交換レンズ12をワーク11としてもよい。この場合の調整、検査においては、例えば、レンズマウント14内に設けられている不図示の信号端子から所定のデータを入力するなどして、交換レンズ12側で所定の情報が得られるようにする。
【0053】
(第3変形例)
さらにまた、レンズ交換可能なカメラボディの代わりに、レンズ一体型カメラをワーク11としてもよい。この場合は、組立工程の途中段階にあるレンズ一体型カメラをパレットに固定し、該パレットと一体で処理装置71〜処理装置79へ装着させる。なお、カメラは記録用でも監視用でもよく、電子機器にモジュールとして搭載されるカメラユニットでもよい。
【0054】
(第4変形例)
上記実施形態においては、2台のアームロボット24、25を備える自動処理装置1を例示したが、アームロボットは1台のみでもよい。
図7は、1台のアームロボット25のみを備える自動処理装置1Bを例示する図である。アームロボット25以外の他の構成は、自動処理装置1と同様である。
【0055】
(第5変形例)
1台の自動処理装置に備えるアームロボットの数量は、上述した1台や2台に限られず、3台でも4台でも、それ以上であってもよい。また、1台の自動処理装置に実装可能な処理装置の数量は、上述した16台に限られず、4台でも10台でも、20台でも30台でも、それ以上であってもよい。
【0056】
以上の説明はあくまで例であり、上記の実施形態の構成に何ら限定されるものではない。
【0057】
次の優先権基礎出願の開示内容は引用文としてここに組み込まれる。
日本国特許出願2013年第63385号(2013年3月26日出願)