【文献】
Tetrahedron Letters ,1997年,Vol. 38, No. 45,pp. 7947-7950
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の製造方法は、アリルイソシアニド類を製造するためのものである。本発明によって得られるアリルイソシアニド類は、置換若しくは無置換のアリル基とイソシアノ基とを一つの分子内に有する化合物である。本発明によって得られるアリルイソシアニド類としては、例えば、式(II)で表される化合物を挙げることができる。
(式(II)中、R
3〜R
5は、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、または置換若しくは無置換のヘテロアリール基を示す。R
3とR
4またはR
4とR
5は一緒になって二価の有機基を形成してもよい。)
式(II)中のR
3〜R
5における置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、または置換若しくは無置換のヘテロアリール基としては、後述する式(I)中のR
3〜R
5における置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、または置換若しくは無置換のヘテロアリール基と同じものを挙げることができる。
【0012】
なお、本明細書において、「無置換」(unsubstituted)は、母核となる基のみであることを意味する。「置換」との記載がなく母核となる基の名称のみで記載しているときは、別段の断りがない限り「無置換」を意味する。
本明細書において、「置換」(substituted)は、母核となる基のいずれかの水素原子が、母核と同種または異種の構造の基で置換されていること、すなわち「置換基」を有することを意味する。「置換基」は1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。2つ以上の「置換基」は同じでもよいし、異なってもよい。
本明細書において「C1〜6」などの用語は、母核となる基の炭素原子数が1〜6個などであることを表している。この炭素原子数には、置換基の中に在る炭素原子の数を含まない。例えば、置換基としてエトキシ基を有するブチル基は、C2アルコキシC4アルキル基に分類する。
【0013】
「置換基」は化学的に許容され、本発明の効果を有する限りにおいて特に制限されない。「置換基」となり得る基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基などのC1〜8アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのC3〜6シクロアルキル基;
【0014】
メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、t−ブトキシ基などのC1〜6アルコキシ基;フェニル基、ナフチル基などのC6〜10アリール基;フェノキシ基、1−ナフトキシ基などのC6〜10アリールオキシ基;ベンジル基、フェネチル基などのC7〜11アラルキル基;ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基などのC7〜11アラルキルオキシ基;ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基、シクロヘキシルカルボニル基などのC1〜7アシル基;ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、シクロヘキシルカルボニルオキシ基などのC1〜7アシルオキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基などのC1〜6アルコキシカルボニル基;カルボキシル基;
【0015】
水酸基;クロロメチル基、クロロエチル基、トリフルオロメチル基、1,2−ジクロロ−n−プロピル基、1−フルオロ−n−ブチル基、パーフルオロ−n−ペンチル基などのC1〜6ハロアルキル基;2−クロロ−n−プロポキシ基、2,3−ジクロロブトキシ基などのC1〜6ハロアルコキシ基;;4−クロロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基などのC6〜10ハロアリール基;4−フルオロフェニルオキシ基、4−クロロ−1−ナフトキシ基などのC6〜10ハロアリールオキシ基;トリフルオロアセチル基、4−クロロベンゾイル基などのC1〜7ハロアシル基;シアノ基;
【0016】
メルカプト基;メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、i−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、i−ブチルチオ基、s−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基などのC1〜6アルキルチオ基;フェニルチオ基、ナフチルチオ基などのC6〜10アリールチオ基;チアゾリルチオ基、ピリジルチオ基などのヘテロアリールチオ基;ベンジルチオ基、フェネチルチオ基などのC7〜11アラルキルチオ基;(メチルチオ)カルボニル基、(エチルチオ)カルボニル基、(n−プロピルチオ)カルボニル基、(i−プロピルチオ)カルボニル基、(n−ブチルチオ)カルボニル基、(i−ブチルチオ)カルボニル基、(s−ブチルチオ)カルボニル基、(t−ブチルチオ)カルボニル基などの(C1〜6アルキルチオ)カルボニル基;
【0017】
メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、t−ブチルスルホニル基などのC1〜6アルキルスルホニル基;フェニルスルホニル基などのC6〜10アリールスルホニル基;チアゾリルスルホニル基、ピリジルスルホニル基などのヘテロアリールスルホニル基;ベンジルスルホニル基、フェネチルスルホニル基などのC7〜11アラルキルスルホニル基;
【0018】
ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダニジル基、トリアジニル基などの6員ヘテロアリール基;アジリジニル基、エポキシ基、ピロリジニル基、テトラヒドロフラニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、モルホリニル基などの飽和ヘテロ環基;などを挙げることができる。
【0019】
また、これらの「置換基」はそれの中にさらに別の「置換基」を有するものであってもよい。例えば、置換基としてのブチル基に、別の置換基としてエトキシ基を有するもの、すなわち、エトキシブチル基のようなものであってもよい。
【0020】
本発明の製造方法は、遷移金属触媒の存在下に、シアン化物と、置換若しくは無置換のアリル基を有するリン酸トリエステル(以下、アリルリン酸トリエステルということがある。)を反応させることを含む。
【0021】
(置換若しくは無置換のアリル基を有するリン酸トリエステル)
本発明に用いられる「置換若しくは無置換のアリル基を有するリン酸トリエステル」は、三つのエステル部位のうち少なくとも一つが置換若しくは無置換のアリル基である。残りのエステル部位はシアン化物との反応を阻害しないものであれば、特に制限されない。
無置換アリル基は2−プロペニル基である。置換アリル基として、好ましくは、2−置換2−プロペニル基、3−置換2−プロペニル基、3,3−ジ置換2−プロペニル基、2,3−ジ置換2−プロペニル基、または2,3,3−トリ置換2−プロペニル基を挙げることができる。
【0022】
アリルリン酸トリエステルとして、例えば、式(I)で表される化合物(以下、リン酸トリエステル(I)ということがある。)を挙げることができる。
【0023】
式(I)中、R
1およびR
2は、それぞれ独立に置換若しくは無置換のアルキル基、または置換若しくは無置換のアリール基を示す。
R
1およびR
2におけるアルキル基はC1〜6アルキル基が好ましい。C1〜6アルキル基として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基などを挙げることができる。
R
1およびR
2におけるアリール基はC6〜10アリール基が好ましい。C6〜10アリール基として、フェニル基、ナフチル基などを挙げることができる。
【0024】
式(I)中、R
3〜R
5は、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、または置換若しくは無置換のヘテロアリール基を示す。R
3とR
4またはR
4とR
5は一緒になって二価の有機基を形成してもよい。
R
3〜R
5におけるアルキル基はC1〜6アルキル基が好ましい。C1〜6アルキル基として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基などを挙げることができる。
R
3〜R
5におけるのアリール基はC6〜10アリール基が好ましい。C6〜10アリール基として、フェニル基、ナフチル基などを挙げることができる。
R
3〜R
5におけるのヘテロアリール基は5〜6員ヘテロアリール基が好ましい。5員ヘテロアリール基として、ピロリル基、フリル基、チエニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、トリアゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、テトラゾリル基などを挙げることができる。6員ヘテロアリール基としては、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダニジル基、トリアジニル基などを挙げることができる。
【0025】
リン酸トリエステル(I)として、市販品を用いてもよいし、公知の方法で合成したものを用いてもよい。リン酸トリエステル(I)は、例えば、置換若しくは無置換のアリルアルコールとリンオキソ酸化合物とのエステル化反応によって合成することができる。このエステル化反応は塩基の存在下で行うことが好ましい。
【0026】
エステル化反応に使用される置換若しくは無置換のアリルアルコールとして、式(IV)で表される化合物を挙げることができる。
式(IV)中、R
3〜R
5は、式(I)中のR
3〜R
5と同じものである。
【0027】
エステル化反応に使用されるリンオキソ酸化合物として、好ましくはハロホスホン酸ジエステル、より好ましくは式(V)で表される化合物を挙げることができる。
式(V)中、R
1およびR
2は、式(I)中のR
1およびR
2と同じものである。
式(V)中、Xはハロゲノ基を示す。
【0028】
(遷移金属触媒)
本発明に用いられる遷移金属触媒は、周期表で第3〜12族に属する元素を含む触媒、好ましくはニッケル、パラジウム、白金、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、またはコバルトを含む触媒、より好ましくはパラジウムを含む触媒である。遷移金属触媒は、系外で触媒活性種を生成させてそれを系内に添加するものでもよいし、触媒前駆物質を系内に添加して系内で触媒活性種を生成させるものでもよい。本発明に用いられる遷移金属触媒は、触媒活性種が、遷移金属錯体と配位子とを含有するものが好ましく、遷移金属錯体1モルと配位子0.001〜100モルとを含有するものがより好ましく、遷移金属錯体1モルと配位子0.001〜5モルとを含有するものがさらに好ましい。
【0029】
触媒活性種を構成する配位子は、特に制限はない。配位子として、例えば、トリエチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ(tert−ブチル)ホスフィン、トリフェニルホスフィン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン[別称:dppf]、ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン[別称:XANTphos]などのリン系化合物、2,2’−ビピリジル、1,10−フェナントロリンなどの窒素系化合物、1,5−シクロオクタジエン[別称:COD]などのオレフィン系化合物などを挙げることができる。
【0030】
触媒活性種を構成する遷移金属錯体として、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス[トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン]パラジウム、パラジウム[テトラキス(トリフェニルホスフィン)]、[トリス(ジベンジリデンアセトン)]ジパラジウム、ジクロロビス[ジシクロペンチル(2−メトキシフェニル)ホスフィン]パラジウム、ジクロロビス[ジシクロペンチル(2、6−ジメトキシフェニル)ホスフィン]パラジウム、ビス[ジtert−ブチル(3、5−ジtert-ブチルフェニル)ホスフィン]ジクロロパラジウム、酢酸パラジウム、トリフルオロ酢酸パラジウム、メタンスルホン酸パラジウム、トルエンスルホン酸パラジウム、塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウム、ビス(アセトニトリル)パラジウム(II)ジクロリド、ビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)ジクロリド、テトラフルオロほう酸テトラキス(アセトニトリル)パラジウム(II)、1,10−フェナントロリンパラジウムジクロリド、1,10−フェナントロリンパラジウムジアセテート、2,2'−ビピリジンパラジウムジクロリド、2,2'−ビピリジンパラジウムジアセテートなどを挙げることができる。
【0031】
遷移金属触媒は、アリルリン酸トリエステル1モルに対して、遷移元素が好ましくは0.0001〜100モル、より好ましくは0.0001〜5モル、さらに好ましくは0.0001〜1モルとなる量で、シアン化物とアリルリン酸トリエステルとの反応において存在させる。
【0032】
(シアン化物)
本発明に用いられるシアン化物は、シアン化物イオンまたはシアノ基を有する化合物である。シアン化物としては、シアン化水素;シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、シアン化銅、シアン化亜鉛、シアン化銀などの金属シアン化物; シアノ水素化ホウ素ナトリウム、シアノホスホン酸ジエチル、シアノリン酸ジエチル;フェリシアン化カリウム; 置換若しくは無置換のシリルシアニドなどを挙げることができる。これらのうち、式(III)で表される化合物が好ましい。
式(III)中、R
6〜R
8は、それぞれ独立に、置換若しくは無置換のアルキル基、または置換若しくは無置換のアリール基を示す。
R
6〜R
8におけるアルキル基はC1〜6アルキル基が好ましい。C1〜6アルキル基として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基などを挙げることができる。
R
6〜R
8におけるアリール基はC6〜10アリール基が好ましい。C6〜10アリール基として、フェニル基、ナフチル基などを挙げることができる。
【0033】
シアン化物の使用量は、アリルリン酸トリエステル1モルに対して、好ましくは1〜100モル、より好ましくは1〜5モルである。
【0034】
シアン化物とアリルリン酸トリエステルとの反応は、溶媒中で、または無溶媒でおこなうことができる。この反応で使用し得る溶媒としては、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン系溶媒などを挙げることができる。
反応時の温度は、好ましくは−20〜200℃、より好ましくは0〜150℃である。反応に掛ける時間は、触媒の使用量や反応スケールなどによって異なるが、好ましくは0.1〜200時間、より好ましくは0.1〜50時間である。
【0035】
シアン化物とアリルリン酸トリエステルとの反応を完了した後、蒸留、抽出、吸着、クロマトグラフィー、晶析などの公知の分離または精製の操作を行うことができる。
【0036】
次に、実施例を示し、本発明をより詳しく説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0037】
実施例1
攪拌装置付きの反応器に、酢酸パラジウム1.0モル部のトルエン溶液と、2,2’−ビピリジル1.1モル部のトルエン溶液とを入れて混ぜ合わせた。これにシンナミルリン酸ジエチル470モル部を加え、100℃にて30分間撹拌した。得られた液にトリメチルシリルシアニド1000モル部を加え、100℃にて17時間攪拌した。その後、常温に戻し、これに飽和重曹水を加え、撹拌した。その後、酢酸エチル、飽和食塩水で抽出を行った。次いで、硫酸マグネシウムを加え脱水処理を行った。残った有機層から減圧下で溶媒を除去した。1,4−ピラジンを内部標準とした
1H−NMR収率は88%であった。カラムクロマトグラフィーによって黄色の固体(収率66%)を得た。
1H NMR (400MHz, CDCl
3):δ=4.21-4.23 (m, 2H, CH
2), 6.07-6.15 (m, 1H, CHCH
2), 6.71 (d, J = 16.0 Hz, 1H, PhCH), 7.28-7.30 (m, 1H, ArH), 7.32-7.35 (m, 2H, ArH), 7.37-7.39 (m, 2H, ArH) ppm;
13C NMR (100 MHz, CDCl
3): δ = 29.7, 43.5 (t, J = 6.7 Hz), 119.4, 126.6, 128.3, 128.7, 133.0, 135.4 ppm
【0038】
実施例2
撹拌機付きの反応器に、酢酸パラジウム10モル部のトルエン溶液と、2,2’−ビピリジン11モル部のトルエン溶液を入れて混ぜ合わせた。これに3−(3−メチルフェニル)−2−プロペニルリン酸ジエチル520モル部を加え100℃にて30分間撹拌した。得られた液にシアン化トリメチルシラン1000モル部を加え、100℃にて2.5時間撹拌した。その後、常温に戻し、これに飽和重曹水を加え、撹拌した。その後、酢酸エチル、飽和食塩水で抽出を行った。次いで、硫酸マグネシウムを加え脱水処理を行った。残った有機層から減圧下で溶媒を除去した。1,4−ピラジンを内部標準とした
1H NMR収率は81%であった。カラムクロマトグラフィーによって黄色のオイル(収率73%)を得た。
1H NMR (400MHz, CDCl
3):δ=2.34 (s, 3H, CH
3), 4.20-4.22 (m, 2H, CH
2), 6.07-6.13 (m, 1H, CHCH
2), 6.68 (d, J = 16.0 Hz, 1H, ArCH), 7.09-7.10 (d, J = 6.8 Hz, 1H, ArH), 7.17-7.23 (m, 3H, ArH) ppm
【0039】
実施例3
撹拌機付きの反応器に、酢酸パラジウム10モル部のトルエン溶液と、2,2’−ビピリジン11モル部のトルエン溶液を入れて混ぜ合わせた。これに3−(2−メチルフェニル)−2−プロペニルリン酸ジエチル(E/Z = 13:1)520モル部を加え100℃にて30分間撹拌した。得られた液にシアン化トリメチルシラン1000モル部を加え、100℃にて3時間撹拌した。その後、常温に戻し、これに飽和重曹水を加え、撹拌した。その後、酢酸エチル、飽和食塩水で抽出を行った。次いで、硫酸マグネシウムを加え脱水処理を行った。残った有機層から減圧下で溶媒を除去した。1,4−ピラジンを内部標準とした
1H NMR収率は84%(E体)および2%(Z体)であった。カラムクロマトグラフィーによって黄色の液体(E体収率79%,Z体収率2%)を得た。
1H NMR (400MHz, CDCl
3):δ=2.36 (s, 3H, CH
3), 4.22-4.23 (m, 2H, CH
2), 5.96-6.02 (m, 1H, CHCH
2), 6.94 (d, J = 15.6 Hz, 1H, ArCH), 7.15-7.21 (m, 3H, ArH), 7.38-7.40 (m, 1H, ArH) ppm (E isomer)
【0040】
実施例4
撹拌機付きの反応器に、酢酸パラジウム10モル部のトルエン溶液と、2,2’−ビピリジンのトルエン溶液11モル部を入れて混ぜ合わせた。これに3−(4−ブロモフェニル)−2−プロペニルリン酸ジエチル540モル部を加え100℃にて30分間撹拌した。得られた液にシアン化トリメチルシラン1000モル部を加え、100℃にて3時間撹拌した。その後、常温に戻し、これに飽和重曹水を加え、撹拌した。その後、酢酸エチル、飽和食塩水で抽出を行った。次いで、硫酸マグネシウムを加え脱水処理を行った。残った有機層から減圧下で溶媒を除去した。1,4−ピラジンを内部標準とした
1H NMR収率は92%であった。カラムクロマトグラフィーによって黄色の固体(収率74%)を得た。
1H NMR (400MHz, CDCl
3):δ=4.21 (m, 2H, CH
2), 6.08-6.12 (m, 1H, CHCH
2), 6.66 (d, J = 15.6 Hz, 1H, ArCH), 7.24 (d, J = 8.4 Hz, 2H, ArH), 7.46 (d, J = 8.0 Hz 2H, ArH) ppm
【0041】
実施例5
撹拌機付きの反応器に、酢酸パラジウム10モル部のトルエン溶液と、2,2’−ビピリジン11モル部のトルエン溶液を入れて混ぜ合わせた。これに3−(3−メトキシフェニル)−2−プロペニルリン酸ジエチル520モル部を加え100℃にて30分間撹拌した。得られた液にシアン化トリメチルシラン1000モル部を加え、100℃にて6時間撹拌した。その後、常温に戻し、これに飽和重曹水を加え、撹拌した。その後、酢酸エチル、飽和食塩水で抽出を行った。次いで、硫酸マグネシウムを加え脱水処理を行った。残った有機層から減圧下で溶媒を除去した。1,4−ピラジンを内部標準とした
1H NMR収率は61%であった。
1H NMR (400MHz, CDCl
3):δ=3.79 (s, 3H, OCH
3), 4.16-4.17 (m, 2H, CH
2), 6.03-6.10 (m, 1H, CHCH
2), 6.65 (d, J = 15.6 Hz, 1H, ArCH), 6.82 (dd, J = 2.4, 8.4 Hz, 1H, ArH), 6.89 (s, 1H, ArH), 6.96 (d, J = 8.0 Hz, 1H, ArH), 7.23 (t, J = 8.0 Hz, 1H, ArH) ppm
【0042】
実施例6
撹拌機付きの反応器に、酢酸パラジウム10モル部のトルエン溶液と、2,2’−ビピリジン11モル部のトルエン溶液を入れて混ぜ合わせた。これに2−ヘキセニルリン酸ジエチル500モル部を加え100℃にて30分間撹拌した。得られた液にシアン化トリメチルシラン1000モル部を加え、100℃にて1時間撹拌した。その後、常温に戻し、これに飽和重曹水を加え、撹拌した。その後、酢酸エチル、飽和食塩水で抽出を行った。次いで、硫酸マグネシウムを加え脱水処理を行った。残った有機層から減圧下で溶媒を除去した。1,4−ピラジンを内部標準とした
1H NMR収率は53%であった。
1H NMR (400MHz, CDCl
3):δ=0.88 (t, J = 7.2 Hz, 3H, CH
3), 1.34-1.44 (m, 2H, CH
2CH
3), 1.99-2.05 (m, 2H, CH
2CH
2CH
3), 3.95 (br s, 1H, CH
2NC), 5.36-5.42 (m, 1H, CHCH
2NC), 5.77 (dt, J = 6.8, 17.2 Hz, 1H, CH=CHCH
2NC) ppm