(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記積層体において、前記粘着剤層が積層された面と反対側の表面同士を、23℃、2kgのローラーを使用して重ね合わせた後、重ね合わせた積層体を剥離する際の強度が5N/25mm以上30N/25mm以下であることを特徴とする請求項1記載の家畜の乳頭口用当て物。
前記積層体から前記保護フィルムを剥離する際の剥離強度に対して、前記積層体から前記離型シートを剥離する際の剥離強度が0.1倍以上0.9倍以下であることを特徴とする請求項5記載の家畜の乳頭口用当て物組品。
前記積層体から前記保護フィルムを剥離する際の剥離強度が25mN/25mm以上250mN/25mm以下であることを特徴とする請求項5記載の家畜の乳頭口用当て物組品。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明に係る家畜の乳頭口用当て物及び家畜の乳頭口用当て物組品を、実施形態に基づいて説明する。なお、本発明がこの実施形態に限定されないことはもちろんである。また、本明細書に添付した図面では特徴的な部分を分かり易く示すために実際のものとは異なった比率で構成要素を示す場合がある。
【0041】
(家畜の乳頭口用当て物組品、及び家畜の乳頭口用当て物の第1の実施形態)
(全体的な構成及び作用)
図1は本発明に係る家畜の乳頭口用当て物組品、及び家畜の乳頭口用当て物のそれぞれの一実施形態を示している。
図2は
図1の矢印Aに従ってその当て物組品の平面構造を示している。
図1は
図2のG−G線に従った断面図である。これらの図において、当て物組品1Aは当て物としての積層体2を有している。積層体2は、弾性シート3と、粘着剤層4との2層構造を有している。粘着剤層4は弾性シート3の一方の面(
図1の下側の面)の全体にわたって積層されている。
【0042】
積層体2における粘着剤層4と反対側の表面に保護フィルム5が貼付けられている。一方、粘着剤層4の表面に離型シート6が貼付けられている。
図2は保護フィルム5を取り外した状態の構成を示しており、保護フィルム5を鎖線で示している。積層体2の平面形状は円形状である。保護フィルム5及び離型シート6の平面形状は矩形状である。矩形状は長方形状又は正方形状である。
図3は家畜の乳頭口用当て物の変形例を示している。
図3に示す当て物組品1Bのように、積層体2の平面形状を楕円形状とすることもできる。なお、以降の説明で当て物組品1Aと言った場合には、当て物組品1Bも含むものとする。
図1において、保護フィルム5は弾性シート3の外側へ張り出している張出し部5aを有している。離型シート6の中央部分には切込み線6aが設けられている。
【0043】
図4は家畜の一例である乳牛10を示している。乳牛10は乳房11を有しており、乳房11から乳頭12が垂下している。
図5に示すように、乳頭12の内部に乳管13が存在する。符号Uは乳頭12の上部を示している。符号Lは乳頭12の下部を示している。乳管13は乳頭12の上下方向へ延びている。乳管13の下端は乳頭12の下端の外部へ開口している。この開口が乳頭口14である。作業者が搾乳を行うと、すなわち乳頭12を絞ると、乳牛の乳が乳管13を流下して乳頭口14から外部へ取り出される。
【0044】
乳牛10に対して搾乳を行う期間である搾乳期においては半日程度の間、また、細菌等により感染し易い乾乳期(例えば、乾乳初期、及び分娩前の乾乳後期)においては1週間程度の間、乳牛10の乳頭口14を覆うように、当て物としての積層体2が乳頭12の先端に貼付けられる。また、家畜の個体差によらず、乾乳期の感染を確実に防ぐために、10日以上、好ましくは2週間程度の間、当て物としての積層体2が乳頭12の先端に貼付けられる。
【0045】
より具体的には、
図5に示すように、積層体2が乳頭口14を覆うように、粘着剤層4によって乳頭12の先端に積層体2が貼付けられる。こうして積層体2によって乳頭口14を塞ぐことにより、乳頭口14からの細菌等による感染を防止する。
【0046】
乳頭12の先端に積層体2を貼付ける際には、作業者は、まず、
図1の当て物組品1Aを
図4の乳牛10の所まで持ち運ぶ。そして、
図1の切込み線6aの所で離型シート6を粘着剤層4から剥がして、粘着剤層4を外部に露出させる。作業者は次に、露出した粘着剤層4を
図4の乳牛10の乳頭12の先端に貼付けて、積層体2を乳頭12の先端に貼付ける。その後、
図1の保護フィルム5を積層体2の弾性シート3から剥がす。こうして、
図5に示すように、当て物としての積層体2だけが乳頭12の先端に貼付けられて乳頭口14を塞ぐ状態となる。
【0047】
本実施形態において積層体2、すなわち当て物、をそれ自身の単体で存在させるのではなく、保護フィルム5と離型シート6とによって挟持するのは、積層体2のそれ自身は非常に柔らかくてそれ自身で平板シートとしての形状を維持することが難しくて、作業者にとって取り扱いが難しいからである。つまり、積層体2を製造する間及び積層体2が市場で流通する間、保護フィルム5と離型シート6とによって積層体2の平板シート形状が維持される。
以下、各要素について説明する。
【0048】
(積層体2)
[引張弾性率]
本実施形態において、当て物としての積層体2の引張弾性率は0.05MPa以上1MPa未満、好ましくは0.07〜0.50MPa、より好ましくは0.07〜0.25MPaに設定される。引張弾性率は、弾性係数とかヤング率とか呼ばれることがある。引張弾性率は物質の変形のし易さ又は変形のし難さを示す物性値である。
【0049】
引張弾性率が0.05MPaより小さいと、積層体2が柔らかくなり過ぎるので、積層体2を乳頭12へ貼付ける際の作業者にとっての積層体2の操作性が低下する。一方、引張弾性率が1MPa以上になると、積層体2が硬くなり過ぎるので、乳頭形状にフィットできず、積層体2の密着性が損なわれる。さらには、乾乳期の乳頭サイズの変化、乳頭表面の凹凸等に追随することができない。乳牛10の乳頭12は柔らかくて変形し易いので、積層体2が適切な柔らかさを持っていないと乳頭12の変形に追従させることができない。このことに関し、本実施形態のように積層体2の引張弾性率を0.05MPa以上1MPa未満に設定すれば、積層体2を乳頭12に常時、密着状態で追従させることができる。
【0050】
なお、この引張弾性率は、積層体2自身で測定するのが最も良いが、該積層体2は薄くて柔らかく、かつ粘着剤層4を有するため、測定が難しい場合がある。この場合には、2枚の同じ組成、層構成、および厚みの積層体2を準備し、粘着剤層4同士を接合させ、2枚の積層体2の引張弾性率を求め、1枚分の積層体2の引張弾性率に換算することもできる。
【0051】
[粘着力]
本実施形態において、当て物としての積層体2の25mm幅の粘着力は5N/25mm以上である。該粘着力が5N/25mm以上であることにより、乳頭において、経時で角質が古くなっても、安定して、長期間、積層体2を乳頭に貼付できる。
【0052】
乳頭12は皮膚であるので、一般的に、物が貼付き難い。積層体2の粘着力が5N/25mmより小さいと、積層体2が乳頭12に適正に貼付かず、剥がれてしまう。さらには、貼付できたとしても(例えば、下記に詳述する重なり部H(
図15参照)を有する積層体2を使用して貼付したとしても)、乳頭の角質が古くなることにより、長期間の貼り付けることが困難となる。また、保護フィルム5の分離時に積層体2が保護フィルム5に付着して、乳頭から一部剥がれる場合があり、好ましくない。
【0053】
一方、積層体2の粘着力の上限は、特に制限される訳ではないが、50N/25mm以下とすることが好ましい。家畜は生き物であるため、不測の事態が生じる場合があり、このような場合には、乳頭に貼付した積層体2を取り除く必要がある。粘着力を50N/25mm以下とすることにより、予定よりも短い期間で該積層体2を取り除いたとしても、該積層体2を乳頭から容易に取り除くことができる。つまり、粘着力を50N/25mm以下とすることにより、柔らかい積層体2を使用しているにも拘らず、比較的短期間で乳頭から積層体2を除去する場合があっても、該積層体2が破れにくく、容易に除去することが可能となる。
【0054】
例えば、乳牛の場合、乾乳期と考えていた時期に急に出産に至る場合がある。この場合、生まれた子牛に与える乳汁を採取するために、乳頭に貼付した積層体2を、例えば、3日以内に取り除く必要が生じることがある。この場合、本発明の積層体2は、柔らかいため、乳頭に古い角質が多く生成されない場合には、乳頭から取り除く際に積層体2が破れ、除去に手間がかかってしまう。このような場合に対応するため、積層体2の粘着力を50N/25mm以下とすることにより、比較的短期間で乳頭から除去する場合でもあっても、積層体2が破れない状態で乳頭から除去できるようになる。
【0055】
そのため、長期間の安定した乳頭への貼付と、それとは相対する比較的短期間での乳頭からの除去の両方の性能を高度に達成するためには、積層体2の粘着力は、以下の範囲であることが好ましい。具体的には、5N/25mm以上50N/25mm以下であることが好ましく、10N/25mm以上45N/25mm以下とすることがより好ましく、15N/25mm以上45N/25mm以下とすることがさらに好ましく、15N/25mm以上40N/25mm以下とすることが特に好ましい。
【0056】
[タック性]
本実施形態において、
図1の積層体2の粘着剤層4のボールタックナンバーは3以上であることが好ましく、5以上30以下であることがより好ましく、10以上20以下であることがさらに好ましい。
【0057】
タック性は瞬間的な接着性の指針と考えられている。タック性はいわゆるベタツキの程度である。タック性すなわちベタツキと粘着力とは全く別の要素である。例えば付箋紙は、ベタツキが大きくても粘着力が低い品物である。
【0058】
ボールタックナンバーが3より小さいと、積層体2の瞬間的な接着力が小さくなるので、積層体2が乳頭12への貼付け直後に剥がれてしまうおそれがある。ボールタックナンバーを3以上に設定すれば、積層体2を乳頭12に貼付けた直後、又は貼付けてから短時間の間において、積層体2の接着状態を安定に保持できる。乳牛10のような家畜は動き回ることが多いので、瞬間的に安定した接着状態を確立できるということは、家畜を対象とする当て物にとっては大きな利点である。
一方、ボールタックナンバーの上限は、特に制限されるものではない。ただし、ボールタックナンバーが30よりも大きいと、粘着剤層の厚みを厚くしなければならず、工業的な生産が難しくなったり、乳頭へ貼付する際の操作性が低下する傾向にある。そのため、ボールタックナンバーは30以下とすることがより好ましい。
【0059】
[保持力]
本実施形態において、
図1の積層体2の粘着剤層4の40℃における保持力は0mm以上10mm以下とすることが好ましく、0mm以上5mm以下とすることがより好ましく、0mm以上3mm以下とすることがさらに好ましい。粘着材料についての保持力とは、粘着材料が一定の場所に留まろうとする力を示すものである。換言すれば、保持力とは荷重に対する抵抗力である。さらに換言すれば、保持力は粘着剤のズレに耐え得る力である。
【0060】
積層体2の保持力が10mmよりも大きいと、積層体2のズレ量が大きくなり、積層体2が剥がれ易くなる傾向にある。本実施形態によれば、粘着剤層の保持力を0mm以上10mm以下に設定したので、乳頭に対する積層体のズレを長期にわたって防止できる。
【0061】
[裏面剥離強度]
本発明においては、前記積層体2において、前記粘着剤層4が積層された面と反対側の表面同士を、23℃、2kgのローラーを使用して重ね合わせた後、重ね合わせた積層体2を剥離する際の強度(以下、単に「裏面剥離強度」とする場合もある。)が5N/25mm以上30N/25mm以下となることが好ましい。この測定条件も、前記の通り、JIS Z0237に従う。
【0062】
該裏面剥離強度が前記範囲を満足することにより、積層体2が下記に詳述する重なり部Hを有する形状である場合に、優れた効果を発揮する。すなわち、積層体2における粘着剤層4と反対側の表面同士が適正な接着強度の下に互いに接着する。これにより、乳頭に貼り付けられた積層体2において、仮に浮きが生じたとしても、該表面同士が密着するため、浮きをなくすことができる。その結果、積層体2が乳頭に対して剥がれ難くなり、乳頭と積層体2との間から細菌等が侵入し難くなる。また、該裏面剥離強度が上記範囲であれば、操作性よく、乳頭に積層体2を貼付できる。上記効果をより顕著にするためには、該裏面剥離強度は、10N/25mm以上25N/25mm以下とすることがより好ましく、10N/25mm以上20N/25mm以下とすることがさらに好ましい。
【0063】
[厚み]
積層体2の厚みは11〜150μm内の値であることが好ましい。この厚みが薄過ぎると、乳頭12への貼付け作業を行い難くなり、さらに使用済みの積層体2を乳頭12から剥がす作業が困難になるおそれもある。一方、積層体2の厚みが過度に厚いと、乳頭12の変形、および乳頭表面の凹凸に対する追随性が低下し、剥がれ易くなる傾向がある。
【0064】
(弾性シート3)
当て物としての上記の積層体2を構成する弾性シート3は、この上に粘着剤層4を設けて積層体2としたときに、引張弾性率、粘着力、ボールタックナンバー及び保持力の各値が上記範囲となるような弾性材料によって形成される。
【0065】
このような弾性材料としては、これに限定されるものではないが、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、酢酸ビニル系エラストマー、軟質塩化ビニル系エラストマー、ウレタン系エラストマー等が挙げられる。これらのエラストマーの中でも、保護フィルム5に対する粘着保持性に優れ、さらには、上記範囲の引張弾性率及び粘着力が得られるように物性を調整することが容易であることから、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマーが好適である
【0066】
すなわち、所定範囲の引張弾性率及び粘着力を確保するためには、上記ポリマーについて、そのモノマー組成(共重合比)、結晶性、分子量、可塑剤含量、等を適宜の範囲に調整し、且つ物性に応じてシートの厚みを調整すればよい。このような物性調整や厚み調整により引張弾性率及び粘着力を調整した場合、ポリウレタンにより弾性シート3を形成したときには、厚みを過度に薄くせずに、所定の引張弾性率及び粘着力を得ることができる。例えば、積層体2の厚みを前述した範囲内として引張弾性率及び粘着力を所定の範囲内とするためには、ポリウレタンを用いて弾性シート3を形成することが最も好適である。このようなポリウレタン製の弾性シート3は、粘着剤等を使用せずに保護フィルム5を、直接、粘着固定し得るという点でも有利である。
【0067】
また、ポリウレタン製の弾性シート3を用いることにより、以下の利点もある。乳頭へ貼付した積層体2の最外面にある弾性シート3は、それ自体に粘着性があり、弾性シート3の面同士が接着し易い。そのため、積層体2に浮きやシワが入ったとしても、浮きやシワが入った部分の弾性シート3を、弾性シート3の乳頭12に密着している部分に押圧する等して接着させることにより、弾性シート3と乳頭12とが強固に接着して、浮きやシワを低減できる。その結果、弾性シート3の乳頭12からの剥がれを少なくできるものと考えられる。
【0068】
このような弾性シート3の厚みは、粘着剤層4が積層された積層体2の厚みが前述した範囲(すなわち11〜150μm)となるような厚みに設定されるのが良い。具体的には、粘着剤層4の厚みが薄いことを考慮して、弾性シート3の厚みは、通常、10〜100μmの範囲とするのが良い。
【0069】
また、弾性シート3は、着色されていることが好適である。この着色により、積層体2が貼付けられたことを、暗い牛舎内でも容易に視認することができる。その結果、貼付け作業や貼付け後の状態の確認が容易になる。
【0070】
さらに、弾性シート3の色が違う複数の積層体2を準備することにより、以下のような使い方も可能となる。牛等については、通常、1頭に4つの乳頭12が存在する。例えば、それらの乳頭12のうちで細菌等に感染して治療が必要と思われる乳頭12に貼付する積層体2と、正常な乳頭12に貼付される積層体2との色を変えることにより、効率の良い治療が可能になる。また、治療が必要と思われる家畜と、健常な家畜とで、乳頭12に貼付する積層体2の色を変えることもできる。
さらに、家畜の乳頭12に積層体2を貼付した日によって積層体2の色を変えれば、例えば、乳牛等の家畜であれば、乾乳期に入ってから何日たったか等の管理がし易くなる。
つまり、色分けした積層体2を使用することにより、各家畜の状態を把握できるようになる。
【0071】
(粘着剤層4)
粘着剤層4は、上述した弾性シート3の一方の面に積層され、乳頭12に対する貼付け面となるものである。このような粘着剤層4は、第1に、弾性シート3に加え、乳頭12に対しても接着性を示すことが必要である。粘着剤層4は、第2に、使用後には乳頭12から速やかに剥がすことが可能な粘着力を示すことが必要である。上記第1及び第2の要件が満たされる限り、粘着剤層4は公知の粘着剤により形成することができる。
【0072】
このような粘着剤は、絆創膏等に使用されているものであり、ゴム系、(メタ)アクリル系、シリコーン系、ウレタン系のものがある。しかしながら、特に家畜の乳頭12に対して安全であり、且つかぶれ等が生じないという点で、シリコーン系、(メタ)アクリル系の粘着剤が好適である。
【0073】
このような粘着剤層4は、乳頭12への十分な接着性を確保できる程度の厚みを有する。粘着剤層4は、通常、積層体2の厚み(すなわち、弾性シート3と粘着剤層4との合計厚み)が前述した11〜150μmの範囲となることを条件として、1〜50μm程度の厚みを有することが好適である。
【0074】
以上説明した弾性シート3、粘着剤層4の材質、厚み等を調整することにより、本発明で規定した引張弾性率、粘着力、ボールタックナンバー、保持力、裏面剥離強度を満足する積層体2を製造することができる。
【0075】
(保護フィルム5)
図1において弾性シート3における粘着剤層4と反対側の面に保護フィルム5が積層されている。この保護フィルム5は、保管時における弾性シート3の変形を防止する。また、保護フィルム5は、当て物としての積層体2を乳頭12に貼付ける作業時において、弾性シート3同士が接着することを防止することにより、貼付け作業を容易に行えるようにするために設けられるものである。
【0076】
現場においては、まず、当て物組品1A(
図1)の離型シート6を粘着剤層4から剥がす。次に、保護フィルム5が付いたままの状態で粘着剤層4の少なくとも一部を乳頭12に貼付ける。次に、乳頭12に貼付いている当て物組品1Aの保護フィルム5を積層体2の弾性シート3から剥がす。次に、作業者の手での押圧等により、粘着剤層4の全体が乳頭12に粘着され固定される。もちろん、積層体2の大きさによっては、粘着剤層4の全体を乳頭12に貼付けた後、保護フィルム5が積層体2から剥がされる。
【0077】
従って、保護フィルム5は腰のあるフィルムであり、さらに弾性シート3よりも引張弾性率が大きいものでなければならない。このような観点から、保護フィルム5としては、各種熱可塑性樹脂のフィルム、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)等といったポリエステル製フィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン等といったオレフィン系樹脂フィルム等が使用される。特に、透明性を有するフィルムが、弾性シート3の存在、すなわち積層体2の存在を認識できるという点で好適である。
【0078】
透明性が優れているという点で、保護フィルム5としては、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルムが特に好適である。なお、このようなフィルムは、無延伸フィルム、一軸延伸フィルム、及び二軸延伸フィルムのいずれのフィルムであって良い。中でも、積層体2から剥離を考えると、引張弾性率の高いフィルムが好ましいため、一軸、又は二軸延伸フィルムであることが好ましい。
【0079】
保護フィルム5は、粘着剤を用いて弾性シート3に積層することもできるし、粘着剤をもちいることなく弾性シート3に直接に貼付けることもできる。粘着剤層4が乳頭12に接着された状態の当て物組品1Aに関しては、粘着剤層4が乳頭12から剥がれない状態で保護フィルム5を積層体2から剥がさなければならない。このため、粘着剤を用いて保護フィルム5を弾性シート3に積層する場合には、その粘着剤の粘着力を適切に調整することが必要である。このことに鑑み、粘着剤を用いることなく保護フィルム5を弾性シート3に直接に貼付けることにすれば、粘着剤の粘着力の調整が必要なくなるという点において、望ましい。
【0080】
保護フィルム5を直接に弾性シート3に貼付けることを考えれば、保護フィルム5は、PET等といったポリエステルフィルムや、ポリプロピレン等といったオレフィン系樹脂フィルムであることが好適である。なお、保護フィルム5は、コロナ処理等といった表面処理が施されたものであっても良いし、このような表面処理が施されていないものであっても良い。このような保護フィルム5への表面処理は、保護フィルム5と弾性シート3との密着性を勘案して適宜に実施すれば良い。
【0081】
上記の通り、保護フィルム5は粘着剤を介さずに弾性シート3と接合しているのが好ましい。また、保護フィルム5のうちの弾性シート3の外側へ張り出している張出し部5aは、粘着剤を介さずに離型シート6と接合していることが好ましい。積層体2を乳頭12に貼付ける際には、まず離型シート6を剥がし、次に粘着剤層4を乳頭12へ直接に貼付ける。その後、保護フィルム5を弾性シート3から剥がすのであるが、この際、剥がそうとしている保護フィルム5に粘着剤が付着していないことにより、保護フィルム5の剥離が容易になり、作業者の手等に保護フィルム5が付くことがなく、その結果、操作性をより向上できる。
【0082】
保護フィルム5の平面的な大きさは、
図1に示すように、弾性シート3よりも若干大きいことが好ましい。弾性シート3からの保護フィルム5の剥がし処理が容易になるからである。具体的には、弾性シート3から張り出している張出し部5aを摘むことにより、保護フィルム5を弾性シート3から容易に剥がすことができる。
【0083】
保護フィルム5の厚みは、保護フィルム5の弾性シート3からの剥がし作業を損なわない程度の適宜の厚みとなっていれば良い。保護フィルム5の厚みは弾性シート3の厚みを勘案して決定する。実際には、操作性を考慮して、保護フィルム5の厚みは、30μm以上であることが好ましく、40μm以上であることがより好ましい。なお、保護フィルム5の厚みの上限は、特に制限されない。しかしながら、保護フィルム5の厚みは、操作性及び経済性を考慮すると、300μm以下であることが好ましい。
【0084】
(離型シート6)
図1の離型シート6は、製造時や保管時において、粘着剤層4同士、および粘着剤層4と保護フィルム5が接着することを防止する。離型シート6は当て物としての積層体2を乳頭12へ貼付ける際に、その貼付け作業に先立って積層体2から剥がされる。従って、この離型シート6は、未使用時に粘着剤層4に保持されているが、容易に剥がすことができる材料によって形成されることが好ましい。この点に鑑み、離型シート6は、例えばシリコーンペーパ等といった離型紙である。
【0085】
離型シート6の平面形状は、粘着剤層4を確実に覆うために、粘着剤層4と同サイズ或いは若干大きいものであることが好ましい。さらに、剥がし作業を容易に行うために、
図1に示されているように、中央部分に設けられた切込み線6aの働きにより、離型シート6が中央部分で分断或いは折り曲げられることが望ましい。離型シート6が中央部分で分断或いは折り曲げられることにより、以下のような貼付けの仕方が可能となる。
【0086】
以下に離型シート6が中央で分断できる場合(切込み線6aの位置で分断できる場合)の貼付方法を記載する。まず、切込み線6aを挟んだ左右の離型シート6の一方を、保護フィルム5付きの積層体2から剥がす。そして、剥がした部分の粘着剤層4を乳頭12に貼付ける。次に、左右のもう一方の離型シート6を積層体2から剥がす。そして、剥がした部分の粘着剤層4を乳頭12に貼付ける。このような多段階での貼付けが可能となる。切込み線6aの無い大きな離型シート6の全体を1回の作業で剥がす場合には、家畜が動いたときに、粘着剤層4同士が互いに貼付いてしまうおそれが高くなる。これに対し、粘着剤層4を多段階で貼付けることにすれば、粘着剤層4同士が貼付いてしまうおそれを低減できる。この多段階での貼付け処理は、柔らかくて一定のシート形状を維持し難い弾性シート3を使用する本実施形態の積層体2を用いる場合に、特に適している。そして、このような多段階の処理を行う場合であっても、保護フィルム5が粘着剤を有さないときには、保護フィルム5の剥離が容易になり、保護フィルム5の操作性を向上できる。なお、下記に詳述する実施例・比較例においては、この方法を採用して乳頭に積層体2を貼付した。
【0087】
本発明においては、前記のような切込み線6aを有する家畜の乳頭口用当て物組品1Aであってもよいが、以下の態様とすることもできる。すなわち、離型シート6の平面形状が粘着剤層4、および弾性シート3と同じ大きさの同一形状であり、該離型シート6は切込み線6aを有していても、有していなくてもよい乳頭口用当て物組品の態様である。この乳頭口用当て物組品の場合、保護フィルム5の平面形状は、前記の通り、粘着剤層4、および弾性シート3よりも若干大きいことが好ましい。さらに、この場合、保護フィルム5が延伸されたフィルムである場合には、十分な硬さを有するため、切込み線6aを有していない離型シート6であっても、容易に粘着剤層4から離型シート6を分離することができる。離型シート6を分離した後の操作は、上記の方法と同様の操作を実施すればよい。
【0088】
(好適な家畜の乳頭口用当て物組品の特性)
前記の通り、本発明の家畜の乳頭口用当て物組品1A(
図1)、1B(
図3)は、前記積層体2と、前記積層体2における前記粘着剤層4と反対側の表面に積層された剥離性の保護フィルム5と、前記粘着剤層4の表面に貼り付けられた離型シート6と、を有することが好ましい。
【0089】
そして、この家畜の乳頭口用当て物組品1A、1Bにおいては、前記積層体2から前記保護フィルム5を剥離する際の剥離強度に対して、前記積層体2から前記離型シート6を剥離する際の剥離強度が0.1倍以上0.9倍以下(以下、単に「剥離強度比」とする場合もある。)であることが好ましい。乳頭は柔らかく、また家畜は動くため、貼付が困難な場合があるが、該剥離強度比が0.1倍以上0.9倍以下であることにより、操作性よく、乳頭に積層体2を貼付できる。柔らかい前記積層体2を使用した場合に、より操作性を向上するためには、該剥離強度比は、0.3倍以上0.8倍以下とすることが好ましく、0.4倍以上0.7倍以下とすることがより好ましい。
【0090】
この場合、前記積層体2から前記保護フィルム5を剥離する際の剥離強度は、柔らかい前記積層体2を使用するため、25mN/25mm(25×10
−3N/25mm)以上250mN/25mm(250×10
−3N/25mm)以下であることが好ましい。該剥離強度がこの範囲を満足することにより、屋外であっても、操作性よく、乳頭に積層体2を貼付できる。柔らかい前記積層体2を使用した場合に、より操作性を向上するためには、該剥離強度は、35m/25mm以上200mN/25mm以下とすることがより好ましく、50mN/25mm以上150mN/25mm以下とすることがさらに好ましい。
【0091】
さらには、前記積層体2から前記保護フィルム5を剥離する際の剥離強度をP1とし、前記積層体2から前記離型シート6を剥離する際の剥離強度をP2とし、前記家畜の乳頭口を含む部分に前記積層体2の粘着剤層4を貼付し、該粘着剤層4を該部分から剥離する際の剥離強度をP3としたとき、
P2<P1<P3
となることが好ましい。各剥離強度がこの範囲を満足することにより、乳頭口を含む乳頭に、操作性がよい状態で前記積層体を貼付できる。
【0092】
(積層体の機能性)
上述した構造を有する本実施形態の当て物組品1A、1Bは、殺菌消毒剤、保湿剤、漏乳検査剤、忌避剤等といった薬剤により、所定の追加の機能を持つことができる。この薬剤は、弾性シート3の機能や粘着剤層4の機能を損なわない限りにおいて、弾性シート3の中や粘着剤層4の中に配合しても良いし、弾性シート3の表面や粘着剤層4の表面にコートしても良い。さらに、粘着剤層4がブリーディング性を有していることから、弾性シート3と粘着剤層4との界面に、これらの薬剤を塗布することもできる。
【0093】
上記の殺菌消毒剤としては、例えば、ヨウ素化合物、銀、胴、亜鉛、チタン、鉄等といった金属、及び金属塩、茶葉粉末、ヒノキ粉末、キトサン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、カプリル酸モノグリセリド等といった脂肪酸エステル、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、塩化セチルピリジニウム、レゾルシン、トリクロロカルバニド、ハロカルバン、クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、アクリノール、次亜塩素酸ソーダ、過酸化水素、等を例示できる。
【0094】
これらの中でも、人あるいは家畜に対する皮膚刺激性や、殺菌消毒効果の持続性や、コスト面等、における観点から、ヨウ素化合物及び銀が好適である。
【0095】
ヨウ素化合物としては、例えば、ヨウ素、ポピドンヨウ素、ヨウ素酸ナトリウム、ヨウ素酸カリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨードホルム等が上げられる。
【0096】
保湿剤としては、ワセリン、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ソルビトール等といった多価アルコール類や、キトサン、ピロリドンカルボン酸塩や乳酸塩、尿素やヒアルロン酸ナトリウム等といった天然保湿成分が挙げられる。
【0097】
漏乳検査剤としては、タンパク質や糖と反応し呈色する一般的な試薬を用いることができる。機能性付与剤層は、前記殺菌消毒剤、保湿剤、漏乳検査剤それぞれ単独の薬剤から形成されても良いし、複数の薬剤から形成されても良い。
【0098】
また、忌避剤は、いわゆる防虫剤であり、例えばユーカリオイル、菊酸、シトロネラ等といった天然物由来成分、ピレトリン等といった天然ピレスロイド、アレスリン等といった合成ピレスロイドが挙げられる。このような忌避剤は、一般に、粘着剤層4とは反対側の弾性シート3の表面に塗布される。このような忌避剤の使用により、アブやハチ等といった牛に危害を加える昆虫から乳頭12を保護できる。
【0099】
(積層体の形状)
図2において、積層体2の平面形状は
図5の乳頭口14を完全に覆うために必要な最小限の大きさを有する円形状である。また、
図3において、積層体2の平面形状は
図5の乳頭口14を完全に覆うために必要な最小限の大きさを有する楕円形状である。これらの円形状及び楕円形状は最もシンプルな形状であり、これらの結果、乳頭12に貼付けられた状態の積層体2にはシワが入り難いという利点がある。
【0100】
例えば、これらの積層体2において、円の直径dの長さ及び楕円の長軸dの長さは、5〜40mm、特に10〜40mmの長さとなっている。また、
図3に示す楕円形の場合には、その短軸d’の長さは、長軸dの長さの50〜90%程度の長さであることが好ましい。絶対値であれば、短軸d’の長さは2.5mm以上であることが好ましく、さらには4mm以上であることが好ましい。
【0101】
(積層体の変形例)
なお、これまでに当て物組品1A(
図2)及び1B(
図3)に関して成された特性の説明はこれ以降の当て物組品の実施形態に関しても同様に適用される。
図6は本発明に係る家畜の乳頭口用当て物組品の他の実施形態を示している。ここに示す当て物組品1Cにおいては、円形状の積層体2、従って弾性シート3及び粘着剤層4に複数(実施形態では4個)の切込み17が設けられている。これらの切込み17は、それぞれ、積層体2の周縁から円の中心に向かって延びている。
【0102】
複数の切込み17を設けたことにより、乳頭12の側面に対する積層体2の貼付け面積が小さくなるものの、乳頭12の変形に対する積層体2の追随性を高めることができる。また、複数の切込み17を設けたことにより、弾性シート3を捲り(めくり)易くすることができ、乳頭12への貼付け作業性や乳頭12からの剥がし作業性を高めることができる。なお、同様の切込み17は
図3の楕円形状の積層体2に対しても設けることができる。
【0103】
上記のような切込み17は積層体2が乳頭12に貼付けられたとき、切込み17の部分に乳頭口14(
図5参照)が露出しない程度の大きさとすべきである。例えば、切込み17は
図2の円の直径d又は
図3の楕円の長軸dの10〜40%程度とすることが好適である。
【0104】
切込み17を設けたことにより、積層体2の乳頭12に対する粘着力が低下しないように、切込み17の各々の大きさ、すなわち面積、を適宜の大きさに設定する。さらに、乳頭12に対する積層体2の粘着力にムラが生じないように、複数の切込み17は、積層体2の横中心線X0及び/又は縦中心線X1に対して線対称であることが望ましい。また、複数の切込み17は、積層体2の中心点P0に対して点対称に配置されることが望ましい。
【0105】
図2、
図3に示した円形状、楕円状の積層体2を使用した場合には、乳頭に貼付して1週間程度、安定に貼付することができる。また、操作も比較的簡単である。ただし、1週間以上、貼付したい場合には、例えば、以下に説明する
図7、
図9、
図10〜15に例示したような形状の積層体2を使用することが好ましい。すなわち、乳頭口覆い部18、乳頭側面覆い部19を有し、乳頭に貼付した際に、該乳頭側面覆い部19同士が重なり合う構造(重なり部分H/
図15参照)を有するような積層体2の構造とすることが好ましい。以下に、具体例について説明するが、本発明の積層体2は、これら形状に限定されるものではない。
【0106】
(家畜の乳頭口用当て物組品、及び家畜の乳頭口用当て物の第2の実施形態)
図7及び
図8は当て物組品の第2の実施形態を示している。
図7は平面図であり、
図8は
図7のC−C線に従った断面図である。ここに示す当て物組品1Dは、積層体2、保護フィルム5及び離型シート6を有している。本実施形態の積層体2が弾性シート3と粘着剤層4との2層構造であることはこれまでの実施形態と同じである。
図7では、積層体2を分かり易く示すために、保護フィルム5を仮想の鎖線によって示している。本実施形態の積層体2は、機能的に考えた場合、乳頭口覆い部18と乳頭側面覆い部19とを有している。
【0107】
乳頭口覆い部18は
図5の乳頭口14を覆う部分である。乳頭口覆い部18の領域の形状は
図2の積層体2の円形領域の形状と同じである。また、この領域は
図3の積層体2の楕円形領域の形状と同じとすることもできる。乳頭側面覆い部19は乳頭口覆い部18に連続していて乳頭口覆い部18の外側へ延びている部分である。乳頭側面覆い部19は中心部が乳頭口覆い部18の幅と同じ幅であり、中心部から離れた先端部が横方向へ広がった幅広部Eとなっている。乳頭側面覆い部19は横中心線X0及び縦中心線X1の両方に関して線対称の平面形状となっている。乳頭口覆い部18と乳頭側面覆い部19は構造的には弾性シート3と粘着剤層4との2層構造によって一体のものとして形成されている。
【0108】
本実施形態の積層体2においては、乳頭口覆い部18が
図5の乳頭口14を覆うように乳頭12の先端部に貼り付けられ、乳頭側面覆い部19が
図5の乳頭12の側面部分に貼り付けられる。このように本実施形態では、積層体2が乳頭12の側面部分にもしっかりと粘着し固定されるので、乳頭12が変形する場合でもその変形に追従して自由に動くことができ、乳頭12から外れることも無い。
【0109】
本実施形態の積層体2を
図4の乳牛10の乳頭12に貼付ける際には、
図7及び
図8において、まず、粘着剤層4から離型シート6を剥がし、その粘着剤層4の乳頭口覆い部18が
図5の乳頭口14を覆うように乳頭12の先端部に貼付けられる。そして、乳頭口覆い部18が乳頭12の先端部に貼付けられた状態で、
図7及び
図8の保護フィルム5を剥がしながら、乳頭側面覆い部19が乳頭12の側面に粘着され固定される。この粘着の際、乳頭側面覆い部19は乳頭口覆い部18との境界線部分Dを中心として折り曲げられながら乳頭12の側面に粘着される。このように積層体2が乳頭12の側面部分にも貼付けられるので、積層体2はしっかりと乳頭12に貼付けられる。
【0110】
本実施形態において、乳頭側面覆い部19の外周縁は滑らかな曲線の連続によって形成されていて、一対の直線辺が交差して形成されるような尖った部分が存在しない。従って、乳頭12の側面部分に粘着された乳頭側面覆い部19の外周縁には尖った部分が存在しない。仮に乳頭側面覆い部19の外周縁に尖った部分が存在すると、その尖った部分を基点として乳頭側面覆い部19に剥がれが生じ易いが、本実施形態ではそのような尖った部分が存在しないので、乳頭側面貼付け部19の剥がれが生じ難い。
【0111】
本実施形態においては、
図7に示すように、乳頭側面覆い部19が外側の幅広部Eへ向かって広がる形状となっている。従って、乳頭12の側面に粘着によって固定される部分の積層体2の面積が大きい。幅広部Eの寸法を大きくすれば、乳頭12の側面全体を乳頭側面覆い部19によって覆うこともできる。さらに、
図7において横中心線X0を境とした両側に存在する一対の乳頭側面覆い部19を乳頭12の側面に沿って折り曲げたとき、これらの乳頭側面覆い部19が互いに重なった状態で乳頭12の側面にしっかりと固定されるという構造を実現することもできる。
【0112】
本実施形態において、積層体2の縦方向長さL1は30〜200mmの範囲にあることが好ましく、50〜150mmの範囲にあることがさらに好ましい。また、横方向長さL2は20〜150mmの範囲にあることが好ましく、30〜100mmの範囲にあることがさらに好ましい。L1とL2は等しくなっても良い。
【0113】
(積層体の変形例)
図9は
図7の積層体2に関する変形例を説明するための図である。
図9に示す家畜の乳頭口用当て物組品1Eに関しては、積層体2に外接する仮想の四辺形Qを考える。この仮想外接四辺形Qの縦方向長さL1は30〜200mmの範囲にあることが好ましく、50〜150mmの範囲にあることがさらに好ましい。また、横方向長さL2は20〜150mmの範囲にあることが好ましく、30〜100mmの範囲にあることがさらに好ましい。L1とL2は等しくなっても良い。
【0114】
図7の実施形態では、積層体2の平面形状を次のように、すなわち、乳頭側面覆い部19の両端部が幅広部Eであり、中央の乳頭口覆い部18の幅が狭く、中央の乳頭口覆い部18から両端部の幅広部Eに向かって積層体2の幅が広がっており、横縦の中心線X0及びX1の両方に関して線対称であり、外周縁が滑らかな曲線でつなげられた形状とした。以下、この平面形状を「両端幅広湾曲対称形状」と言うことがある。
【0115】
積層体2の平面形状は、上記の「両端幅広湾曲対称形状」に外接する仮想外接四辺形Qに内接する任意の平面形状とすることができる。場合によっては、仮想外接四辺形Qのそれ自体を積層体2の平面形状とすることができる。但し、この場合においても、仮想外接四辺形Qの4つの角部は尖った形状ではなく、円弧形状等といった湾曲形状に設定することが望ましい。
【0116】
家畜の乳頭口用当て物としての積層体2の平面形状を仮想外接四辺形Qに内接する形状にするということは、この積層体2は乳頭12の側面に巻き付けられて粘着されて固定されるものではなく、
図5の乳頭口14に乳頭口覆い部18を貼付けた状態で乳頭側面覆い部19を折り曲げて乳頭12の側面に粘着するものであることを意味している。巻き付けて固定するタイプのものは、いわゆる長尺形状となるため、上記のような大きさの仮想外接四辺形Qを形成することはできない。
【0117】
本実施形態のように仮想外接四辺形Qに内接する任意形状の積層体2は、乳頭12の側面に巻き付けられて固定されるものでははいので、積層体2のうちの乳頭口14に貼付けられている部分にシワ等といった密着不良部分が発生し難く、乳頭口14と積層体2の粘着剤層4との間に空隙が形成されることを有効に抑制できる。その結果、乳頭口14を積層体2によってしっかりと保護できる。
【0118】
(家畜の乳頭口用当て物の第3の実施形態)
図10は乳頭口用当て物の第3の実施形態の平面構造を示している。本実施形態において当て物としての積層体2は、構造的に見て弾性シート3と粘着剤層4との2層構造を有している。F−F線に従った積層体2の断面構造は
図1に示す積層体2と同じである。本実施形態の積層体2は、機能的に見ると、中央部に位置する乳頭口覆い部18と、その乳頭口覆い部18の周囲に設けられた3つの乳頭側面覆い部19とから成っている。
【0119】
乳頭口覆い部18の領域の形状は、
図2の積層体2の平面形状と同じ円形状である。3つの乳頭側面覆い部19は、それぞれ、乳頭口覆い部18の中心点P0を頂点とする三角形状に形成されている。但し、個々の乳頭側面覆い部19の外周縁19aは緩やかな湾曲辺となっており、さらに個々の乳頭側面覆い部19の外周縁の角部19b、19bには円弧形状の丸み、すなわちR(アール)形状が付けられている。乳頭側面覆い部19は、乳頭口覆い部18と乳頭側面覆い部19との境界部分Dの所で乳頭12(
図5参照)の側面に沿うように折り曲げられる。
【0120】
(家畜の乳頭口用当て物の第4の実施形態)
図11は乳頭口用当て物の第4の実施形態の平面構造を示している。本実施形態においても当て物としての積層体2は、構造的に見て弾性シート3と粘着剤層4との2層構造を有している。F−F線に従った積層体2の断面構造は
図1に示す積層体2と同じである。積層体2は、機能的に見ると、中央部に位置する乳頭口覆い部18と、その乳頭口覆い部18の周囲に設けられた4つの乳頭側面覆い部19とから成っている。4つの乳頭側面覆い部19は、それぞれ、乳頭口覆い部18の中心点P0を頂点とする三角形状に形成されている。但し、個々の乳頭側面覆い部19の外周縁19aは緩やかな湾曲辺となっており、さらに個々の乳頭側面覆い部19の外周縁の角部19b、19bには円弧形状の丸み、すなわちR(アール)形状が付けられている。乳頭側面覆い部19は、乳頭口覆い部18と乳頭側面覆い部19との境界部分Dの所で乳頭12(
図5参照)の側面に沿って折り曲げられる。
【0121】
(家畜の乳頭口用当て物の第5の実施形態)
図12は乳頭口用当て物の第5の実施形態の平面構造を示している。本実施形態においても当て物としての積層体2は、構造的に見て弾性シート3と粘着剤層4との2層構造を有している。F−F線に従った積層体2の断面構造は
図1に示す積層体2と同じである。積層体2は、機能的に見ると、中央部に位置する乳頭口覆い部18と、その乳頭口覆い部18の周囲に設けられた4つの乳頭側面覆い部19とから成っている。
【0122】
本実施形態においては、乳頭口覆い部18の平面形状が楕円形状である。そして、乳頭側面覆い部19のうちの図の上下部が大きな側面覆い部19aとなっており、左右部が小さな側面覆い部19bとなっている。
【0123】
(家畜の乳頭口用当て物の第6の実施形態)
図13は乳頭口用当て物の第6の実施形態の平面構造を示している。本実施形態においても当て物としての積層体2は、構造的に見て弾性シート3と粘着剤層4との2層構造を有している。C−C線に従った積層体2の断面構造は
図8に示す積層体2と同じである。本実施形態の積層体2は、機能的に見ると、中央部に位置する乳頭口覆い部18と、その乳頭口覆い部18の上下両側に設けられた2つの乳頭側面覆い部19とから成っている。
【0124】
本実施形態の乳頭側面覆い部19は横中心線X0に関して非対称の平面形状となっている。上側の乳頭側面覆い部19aはほぼ長方形状に形成されていて、その横幅W0は円形状の領域である乳頭口覆い部18の直径dと同じ幅となっている。下側の乳頭側面覆い部19bは横幅W1が直径dよりも十分に大きくなっている。下側の乳頭側面覆い部19bは乳頭口覆い部18につながっている部分から先端部にかけて緩やかに湾曲しながら広がっている。また、下側の乳頭側面覆い部19bの下端の左右の両側部分19c、19cも尖ることのない湾曲辺となっている。以上により、本実施形態の積層体2の平面形状は概ね逆T字形状となっている。
【0125】
(家畜の乳頭口用当て物の第7の実施形態)
図14は乳頭口用当て物の第7の実施形態の平面構造を示している。本実施形態においても当て物としての積層体2は、構造的に見て弾性シート3と粘着剤層4との2層構造を有している。C−C線に従った積層体2の断面構造は
図8に示す積層体2と同じである。本実施形態の積層体2は、機能的に見ると、中央部に位置する乳頭口覆い部18と、その乳頭口覆い部18の上下両側に設けられた2つの乳頭側面覆い部19とから成っている。
【0126】
乳頭口覆い部18の領域の形状は、
図2の積層体2の平面形状と同じ円形状である。2つの乳頭側面覆い部19の平面形状は、それぞれ、正方形状又は長方形状となっている。但し、正方形状又は長方形状の4つの角部にはR(アール/湾曲形状)が設けられていて、尖っていない。積層体2の横中心線X0上であって乳頭口覆い部18の左右の部分に切欠き20、20が設けられている。切欠き20、20は積層体2の周縁部から中心点P0に向かって延びている。2つの乳頭側面覆い部19は横中心線X0を挟んで互いに対向している。
【0127】
(
図10、
図11、
図12、
図13、
図14に示す各実施形態の共通事項)
これらの実施形態において、積層体2は仮想外接四辺形Qに内接している。仮想外接四辺形Qの縦方向長さL1は30〜200mmの範囲にあり、且つ横方向長さは20〜100mmの範囲にあることが好適である。
【0128】
いずれの積層体2も、少なくとも線対称形状を有している。直線同士が交差することによって形成される尖った部分はいずれの積層体2にも存在していない。仮想外接四辺形Qは、積層体2の乳頭12(
図5参照)への貼付け作業が行い易い大きさに設定される。乳頭側面覆い部19の数や大きさは、積層体2の乳頭12からの剥がし作業が行い易くなるように設定される。
【0129】
仮想外接四辺形Qの面積を100%としたとき、積層体2の面積は40〜98%となることが好ましい。積層体2の面積が100%に近付く程、すなわち積層体2の形状が仮想外接四辺形Qの形状に近付く程、積層体2に対する作業性が向上し、さらに、積層体2を乳頭12へ貼付した後の積層体2の浮きやシワの発生を抑制できる。
【0130】
さらに作業性を向上させ、さらに貼付け後の積層体2の状態をより良く保つためには、矩形状の仮想外接四辺形Qの面積を100%としたとき、積層体2の面積は55〜95%となることがより好ましく、55〜80%となることが最も好ましい。
【0131】
乳頭側面覆い部19を備えた積層体2を用いることにより、すなわち、乳頭12の先端部に限られず乳頭12の側面部分にも積層体2を粘着によって固定させることにより、家畜の個体差によらず、10日以上の間、好ましくは2週間程度の間、乳頭12に密着して剥離し難く、確実に乳頭口14を保護できる。その結果、例えば、乳牛においては、乾乳期の感染をより確実に防ぐことができる。
【0132】
図7、
図9、
図10、
図11、
図12、
図13、
図14の各図に示した各実施形態のように乳頭側面覆い部19を備えた積層体2は、例えば
図15に示すように、積層体2の乳頭口覆い部18が乳頭口14を覆うように乳頭口14に粘着によって固定される。そして、積層体2の乳頭側面覆い部19は乳頭口覆い部18との境界線部分のところで折り曲げられた状態で、乳頭12の側面に粘着によって固定される。
【0133】
また、
図7や
図13に示すように乳頭側面覆い部19が左右方向へ大きく広がった形状を有する積層体2に関しては、
図15に示すように、大きく広がった部分の乳頭側面覆い部19が乳頭12の側面部分において符号Hで示すように互いに重なり合った状態となる。これにより、積層体2は乳頭12の側面にしっかりと粘着されて固定される。この重なり部分Hの最大幅W1は、乳頭12の大きさ、形状等に応じて最適値が異なるため、一概には限定できない。
【0134】
但し、操作性が良好で、より確実に密着性を高め、シワ(非密着部)を少なくするためには、重なり部分Hの最大幅W1は、2mm以上45mm以下となることが好ましく、3mm以上30mm以下となることがより好ましく、3mm以上15mm以下となることがさらに好ましい。この重なり部分Hは、乳頭12に積層体2を貼付する際に、積層体2を少し引伸ばして乳頭12へ貼付けることによって形成することもできる。
【0135】
なお、当然のことであるが、
図6、
図7、
図9、
図10、
図11、
図12、
図13、
図14、
図15で例示した形状の乳頭口用当て物を含む家畜の乳頭口用当て物組品において、離型シートを設ける場合には、該離型シートの中央に切込み線を設ける態様(例えば、
図8の切込み線6a)であってもよく、切込み線を設けない態様であってもよい。なお、
図6の形態の場合には、
図1A、1Bの形状のものと同様の操作で乳頭に貼付することができる。
【0136】
図7、
図9、
図10、
図11、
図12、
図13、
図14、
図15で例示した形状の乳頭口用当て物を含む家畜の乳頭口用当て物組品において、離型シートが切込み線を有する場合には、以下の方法で乳頭に貼付することが好ましい。まず、離型シート側を乳頭側に向けて、中心点が乳頭口とほぼ同じ位置となるように、乳頭の後方に、縦方向長さが上下方向となるように乳頭口用当て物組品を配置する。次いで、切込み線を挟んだ上方の離型シートを、保護フィルム付きの積層体から剥がす。そして、剥がした部分の粘着剤層を乳頭に貼付ける(乳頭側面覆い部を乳頭に貼り付ける。)。さらに、下方の離型シートを、保護フィルム付きの積層体から剥がす。そして、積層体を保護フィルムと一緒に乳頭に沿って折り曲げ、剥がした部分の粘着剤層を乳頭に貼付ける(乳頭側面覆い部を乳頭に貼り付ける。)。この時、下方に位置していた積層体の粘着剤層が、上方に位置していた保護フィルムと接着しない様に、予め上方の保護フィルムを積層体から剥がしておくことが好ましい。そして、保護フィルムを完全に取り除き、最後に、乳頭を手のひらで包み込み、積層体の浮いている部分等をなくすことが好ましい。
【0137】
図7、
図9、
図10、
図11、
図12、
図13、
図14、
図15で例示した形状の乳頭口用当て物を含む家畜の乳頭口用当て物組品において、離型シートが切込み線を設けない場合、第1の実施形態;(離型シート6)で説明した通り、保護フィルム5の平面形状は、前記の通り、粘着剤層4、および弾性シート3よりも若干大きいことが好ましい。この場合、以下の方法で乳頭に貼付することが好ましい。まず、離型シート側を乳頭側に向けて、中心点が乳頭口とほぼ同じ位置となるように、乳頭の後方に、縦方向長さが上下方向となるように乳頭口用当て物組品を配置する。次いで、中央部よりも上方にある離型シート部分を保護フィルム付きの積層体から剥がす。そして、剥がした部分の粘着剤層を乳頭に貼付ける(乳頭側面覆い部を乳頭に貼り付ける。)。これ以降の操作は、前記の切込み線を有する乳頭口用当て物組品を使用する場合と同じである。
【0138】
なお、前記の貼付方法は、乳頭へ積層体を貼付する際の一例であり、本発明においては、前記の貼付方法に限定されるものではない。
【0139】
(他の実施形態)
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形態に限定されるものでなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変できる。
例えば、上記の実施形態では家畜として乳牛を例示したが、必要に応じて、他の生物を家畜として本発明の乳頭口用当て物組品及び乳頭口用当て物を適用できる。
【実施例】
【0140】
以下、実施例、比較例を使用して本発明を詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(家畜の乳頭口用当て物組品、および積層体2の準備)
実施例、及び比較例において、以下の表1、表2に示す積層体A〜Hを準備した。該積層体A〜Hは、表1に示す材質の弾性シート、粘着剤層を使用し、その材質の組成、厚み等を変化させて、表1、表2に示す特性の積層体とした。また、保護フィルムには、厚さ60μmの二軸延伸ポリプロピレンを使用し、剥離シートには、剥離剤をコートした厚み75μmの台紙を準備して、家畜の乳頭口用当て物組品A〜Hを準備した。
なお、粘着力、40℃保持力等の測定において、弾性シートの伸びが影響するものについては、ポリエチレンテレフタレートフィルムを裏面に裏打ちして、弾性シートの伸びの影響をなくして測定した。
【0141】
【表1】
【0142】
【表2】
【0143】
(実施例1−1)
<疑似乳頭での貼付試験>
前記乳頭口用当て物組品Aにおいて、
図2に示すような円直径d=15mmの形状となるような積層体A(乳頭口用当て物)を使用した。
図16に示すような哺乳バケツ用乳首(天然ゴム製)を疑似乳頭として用い、前記形状の積層体Aを該疑似乳頭先端部に貼付し(
図5のように貼付し)、貼付直後、および貼付後(7日後)の乳頭口上でのシワの状態を目視評価した。結果を表3に示す。なお、
図16における数値の単位はmmである。
【0144】
【表3】
【0145】
(実施例1−2)
<乳牛による粘着維持評価>
実施例1−1で準備した前記乳頭口用当て物組品Aを使用して、ホルスタイン種の乳牛3頭の乳頭に該積層体A(乳頭口用当て物)を
図5に示すように貼付し、粘着維持性を評価した。結果を表4に示した。
尚、今回試験を実施したホルスタイン種の牛3頭は、全て乾乳牛である。また、乳牛の個体差を考慮し、保護パッチ(すなわち当て物)を貼りつける乳牛を7日後に入れ替えて粘着維持性を評価した。なお、保護パッチを貼りつける前に、乳頭先端部に付着した汚れや皮脂をウェットティッシュで拭き取りを行った。
保護パッチの付着状態を、下記の基準に従って4段階で評価した。
3:乳頭からの保護パッチの剥離、浮きが見られない。
2:保護パッチの端部が浮いた状態にある。
1:保護パッチの端部が完全に剥離している。
0:保護パッチ全体が完全に剥離している。
なお、前記粘着維持評価においては、下記貼付操作性評価において、不良となったものが生じた際には、再度、積層体を貼付し直し、綺麗な状態で乳頭に貼付されたものの評価を行った。
【0146】
<積層体の貼付操作性評価>
乳頭への貼付は以下のように実施した。先ず、前記乳頭口用当て物組品Aから切込み線aの部分から離型シートを分離し、粘着剤層4を乳頭に密着させる。次いで、該積層体Aから保護フィルムを分離することにより、該積層体Aを乳頭に貼付する。この時、操作性を以下の方法で評価した。
【0147】
<操作性評価−1;最初の貼付時の評価>
3:粘着剤層4を乳頭に密着させた際、全試験において、問題なく乳頭に密着した。
2:粘着剤層4を乳頭に密着させた際、12回中、1回以上4回以下の試験において
、乳頭に十分に密着しないものがあった。
1:粘着剤層4を乳頭に密着させた際、12回中、5回以上の試験において、乳頭に
十分に密着しないものがあった。
【0148】
<操作性評価−2;保護フィルムを分離した際の評価>
3:積層体を乳頭に貼付した後、保護フィルムを分離する際、全試験において、保護
フィルムを問題なく分離できた。
2:積層体を乳頭に貼付した後、保護フィルムを分離する際、12回中、1回以上4
回以下の試験において、積層体同士が密着して上手く貼付できなかった(やり
直しが必要であった)。
1:積層体を乳頭に貼付した後、保護フィルムを分離する際、12回中、5回以上の
試験において、積層体同士が密着して上手く貼付できなかった(やり直しが必
要であった)。
【0149】
<積層体の除去操作性評価>
前記の粘着維持評価とは別に、一旦、乳頭に貼付した積層体を除去する際の操作性(除去操作評価)を評価した。この除去操作性評価は、不測の事態が生じて急遽、乳頭に貼付した積層体を除去する場合を想定したものであり、乳頭に積層体を貼付した3日後に、該積層体を乳頭から除去する際の操作性を以下の方法で評価した。なお、前記除去操作評価においては、前記貼付操作性評価において、不良となったものが生じた際には、再度、積層体を貼付し直し、綺麗な状態で乳頭に貼付されたものの評価を行った。
3:貼付3日後、乳頭から積層体を除去する際、全試験において、積層体が破れる
ことなく除去することができた。
2:貼付3日後、乳頭から積層体を除去する際、12回中、1回以上4回以下の試
験において、積層体が破れた。
1:貼付3日後、乳頭から積層体を除去する際、12回中、5回以上の試験におい
て、積層体が破れた。
【0150】
【表4】
【0151】
(実施例2−1)
前記乳頭口用当て物組品Aにおいて、
図14に示す形状の積層体A(乳頭口用当て物)を作製した。ここで、円形の乳頭口覆い部18の直径dは25mm、仮想縦方向長さL1の長さは100mm、横方向長さL2の長さは60mmとした。なお、仮想外接四辺形Qの面積を100%としたとき、積層体Aの面積は92.5%であった。
この積層体A(乳頭口用当て物)を
図16の疑似乳頭に貼付け、実施例1−1と同様に疑似乳頭貼付試験を行った。結果を表5に示した。なお、
図16の疑似乳頭に積層体Aを
図15のように貼り付けたとき、そのオーバーラップ部25の最大幅W1は約9mmであった。
【0152】
(実施例3−1〜6−1、および比較例1−1〜3−1)
実施例2−1において、表5に示す積層体を使用した以外は、実施例2−1と同様の操作を行い、同様の評価を行った。結果を表5にまとめた。
【0153】
【表5】
【0154】
(実施例2−2)
実施例2−1で使用した前記乳頭口用当て物組品A(積層体A)を用いて、実施例1−2と同様に粘着維持性を評価した。乳頭には
図15のように該積層体Aを貼付し、評価期間は14日まで行った。評価方法は、実施例1−2と同様の評価を行った。結果を表6にまとめた。
【0155】
(実施例3−2〜6−2、および比較例1−2〜3−2)
実施例2−2において、表6、表7、表8に示す積層体を使用した以外は、実施例2−1と同様の操作を行い、同様の評価を行った。結果を表6、表7、表8にまとめた。
【0156】
【表6】
【0157】
【表7】
【0158】
【表8】