(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(B)成分が上記一般式(1)で表される芳香族脂肪酸金属塩と上記一般式(3)で表わされる不飽和脂肪酸金属塩の両方を含有する、請求項1または2に記載の塩化ビニル系樹脂用液状安定剤組成物。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の塩化ビニル系樹脂用安定剤組成物とこれを用いた塩化ビニル系樹脂組成物について詳述する。
〔(A)成分:β−ジケトン化合物〕
本発明の安定剤組成物を構成する(A)成分:β−ジケトン化合物としては、例えば、アセチルアセトン、トリアセチルメタン、2,4,6−ヘプタトリオン、ブタノイルアセチルメタン、ラウロイルアセチルメタン、パルミトイルアセチルメタン、ステアロイルアセチルメタン、フェニルアセチルアセチルメタン、ジシクロヘキシルカルボニルメタン、ベンゾイルホルミルメタン、ベンゾイルアセチルメタン、ジベンゾイルメタン、オクチルベンゾイルメタン、ステアロイルベンゾイルメタン、ビス(4−オクチルベンゾイル)メタン、ベンゾイルジアセチルメタン、4−メトキシベンゾイルベンゾイルメタン、ビス(4−カルボキシメチルベンゾイル)メタン、2−カルボキシメチルベンゾイルアセチルオクチルメタン、デヒドロ酢酸、シクロヘキサン−1,3−ジオン、3,6−ジメチル−2,4−ジオキシシクロヘキサン−1カルボン酸メチル、2−アセチルシクロヘキサノン、ジメドン、2−ベンゾイルシクロヘキサンなどが用いられる。
【0019】
(A)成分として上記β−ジケトン化合物として例示された化合物の金属塩も使用することができる。該β−ジケトン金属塩を提供し得る金属種は、例えばリチウム、ナトリウム及びカリウム等のアルカリ金属;マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、亜鉛、アルミニウムなどである。
【0020】
(A)成分として、上記β−ジケトン化合物から選ばれる1種あるいは2種以上の化合物を使用してすることができる。本発明の安定剤組成物が配合される塩化ビニル系樹脂の耐着色性、透明性にとっては、このようなβ−ジケトン化合物として、ジベンゾイルメタン、ステアロイルベンゾイルメタン、アセチルアセトン亜鉛塩、アセチルアセトンカルシウム塩等が好ましく、アセチルアセトン亜鉛塩がより好ましい。
【0021】
本発明の安定剤組成物における(A)成分の量は、本発明の安定剤組成物全量の10〜40
質量部である。耐着色性を重視すると(A)成分の量は好ましくは13〜35
質量部、より好ましくは15〜30
質量部である。(A)成分の量が安定剤組成物全量の10
質量部未満では、塩化ビニル系樹脂の耐着色性を十分に改善することができない場合がある。(A)成分の量が安定剤組成物全量の40
質量部を超えると、塩化ビニル系樹脂の熱安定性がむしろ低下する恐れがある。
【0022】
〔(B)成分:脂肪酸金属塩〕
本発明の安定剤組成物を構成する(B)成分は、芳香族脂肪酸金属塩、分岐脂肪酸金属塩、不飽和脂肪酸金属塩から選ばれる1種以上の脂肪酸金属塩である。
【0023】
(B)成分として用いられる芳香族脂肪酸金属塩は以下の一般式(1)で表される化合物である。
【0024】
【化1】
(R
1〜R
5は、水素、炭素数が1〜6のアルキル基、炭素数が2〜6のアルケニル基から選択される基を表し、それぞれ同じでもよく、異なってもよい。nは2以上の整数を表す。Mはn価の金属を表す。)
【0025】
一般式(1)のR
1〜R
5として許容される炭素数1〜6のアルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ターシャリブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロヘキシル基等である。このようなアルキル基として炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
【0026】
一般式(1)のR
1〜R
5として許容される炭素数2〜6のアルケニル基は、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、イソペンテニル基、ヘキセニル基等さある。このようなアルケニル基として炭素数2〜4のアルケニル基が好ましい。
【0027】
一般式(1)のMとして許容される金属は、例えばカルシウム、バリウム、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム等の2価以上の金属である。このうち亜鉛、カルシウム、バリウムが好ましい。
【0028】
このような一般式(1)で表される芳香族脂肪酸金属塩として好ましいものは、o−トルイル酸亜鉛、m−トルイル酸亜鉛、p−トルイル酸亜鉛、o−トルイル酸カルシウム、m−トルイル酸カルシウム、p−トルイル酸カルシウム、o−トルイル酸バリウム、m−トルイル酸バリウム、p−トルイル酸バリウム、安息香酸亜鉛、安息香酸カルシウム、安息香酸バリウム、4−tert−ブチル安息香酸亜鉛、4−tert−ブチル安息香酸カルシウム、4−tert−ブチル安息香酸バリウム、2,4−ジメチル安息香酸亜鉛、2,4−ジメチル安息香酸カルシウム、2,4−ジメチル安息香酸バリウム、3,5−ジメチル安息香酸亜鉛、3,5−ジメチル安息香酸カルシウム、3,5−ジメチル安息香酸バリウム、2−エチル安息香酸亜鉛、3−エチル安息香酸亜鉛、4−エチル安息香酸亜鉛、2−エチル安息香酸カルシウム、3−エチル安息香酸カルシウム、4−エチル安息香酸カルシウム等である。
【0029】
(B)成分として用いられる分岐脂肪酸金属塩は以下の一般式(2)で表される化合物である。
【0030】
【化2】
(R
6は炭素数が5〜17の分岐アルキル基を表す。nは2以上の整数を表す。Mはn価の金属を表す。)
【0031】
一般式(2)のR
6として許容される炭素数5〜17の分岐アルキル基は、例えば、イソペンチル基、イソヘキシル基、イソヘプチル基、イソオクチル基、イソノニル基、イソデシル基、イソウンデシル基、イソドデシル基、イソトリデシル基、イソテトラデシル基、イソペンタデシル基、イソヘキサデシル基、イソヘプタデシル基等である。このような分岐アルキル基として炭素数5〜13の分岐アルキル基が好ましい。
【0032】
一般式(2)のMとして許容される金属は、例えばカルシウム、バリウム、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム等の2価以上の金属である。このうち亜鉛、カルシウム、バリウムが好ましい。
【0033】
このような一般式(2)で表される分岐脂肪酸金属塩として好ましいものは、2−エチルヘキサン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸カルシウム、2−エチルヘキサン酸バリウム、バーサチック酸亜鉛、バーサチック酸カルシウム、バーサチック酸バリウム、イソラウリン酸亜鉛、イソラウリン酸カルシウム、イソラウリン酸バリウム、イソミリスチン酸亜鉛、イソミリスチン酸カルシウム、イソミリスチン酸バリウム、イソパルミチン酸亜鉛、イソパルミチン酸カルシウム、イソパルミチン酸バリウム、イソステアリン酸亜鉛、イソステアリン酸カルシウム、イソステアリン酸バリウム等である。
【0034】
(B)成分として用いられる不飽和脂肪酸金属塩は以下の一般式(3)で表される化合物である。
【0035】
【化3】
(R
7は炭素数が7〜21の不飽和炭化水素基を表す。nは2以上の整数を表す。Mはn価の金属を表す。)
【0036】
一般式(3)のR
7として許容される不飽和炭化水素基は、好ましくは炭素数15〜21の不飽和炭化水素基である。一般式(3)のMとして許容される金属は、例えばカルシウム、バリウム、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム等の2価以上の金属である。このうち亜鉛、カルシウム、バリウムが好ましい。
【0037】
このような一般式(3)で表される不飽和脂肪酸金属塩として好ましいものは、パルミトレイン酸亜鉛、パルミトレイン酸カルシウム、パルミトレイン酸バリウム、オレイン酸亜鉛、オレイン酸カルシウム、オレイン酸バリウム、バクセン酸亜鉛、リノール酸亜鉛、リノール酸カルシウム、リノール酸バリウム、(9,12,15)−リノレン酸亜鉛、(9,12,15)−リノレン酸カルシウム、(9,12,15)−リノレン酸バリウム、(6,9,12)−リノレン酸亜鉛、(6,9,12)−リノレン酸カルシウム、(6,9,12)−リノレン酸バリウム、エレオステアリン酸亜鉛、エレオステアリン酸カルシウム、エレオステアリン酸バリウム、(8,11)−イコサジエン酸亜鉛、(8,11)−イコサジエン酸カルシウム、(5,8,11)−イコサトリエン酸亜鉛、(5,8,11,14)−イコサテトラエン酸亜鉛、ドコサペンタエン酸亜鉛、ドコサヘキサエン酸亜鉛等である。
【0038】
本発明の(B)成分として、一般式(1)、(2)、(3)のいずれかで表される1種の化合物、一般式(1)で表される2種以上の化合物、一般式(2)で表される2種以上の化合物、一般式(3)で表される2種以上の化合物、一般式(1)、(2)、(3)のいずれかで表される化合物の2種類以上の化合物、のいずれもが用いられる。塩化ビニル系樹脂に対する分散性が比較的低い脂肪酸金属塩系安定剤を塩化ビニル系樹脂に適用できるという本発明の安定剤組成物の長所は、(B)成分として一般式(1)、(2)、(3)の少なくとも1つで表される2種以上の化合物を用いる場合に、より発揮される。
【0039】
本発明の安定剤組成物における(B)成分の量は、本発明の安定剤組成物全量の3〜40
質量部である。透明性、熱安定性、耐着色性をバランスよく発揮するためには(B)成分の量は好ましくは4〜35
質量部、より好ましくは5〜30
質量部である。(B)成分の量が安定剤組成物全量の1.5
質量部未満では、塩化ビニル系樹脂の耐着色性を十分に改善することができない場合がある。(B)成分の量が安定剤組成物全量の40
質量部を超えると、塩化ビニル系樹脂の熱安定性がむしろ低下する恐れがある。
【0040】
〔(C)成分:亜リン酸エステル〕
本発明の安定剤組成物を構成する(C)成分として、例えば、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス〔2−第三ブチル−4−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルチオ)−5−メチルフェニル〕ホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4'−n−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、2,2'−メチレンビス(4,6−第三ブチルフェニル)−2−エチルヘキシルホスファイト、2,2'−メチレンビス(4,6−第三ブチルフェニル)−オクタデシルホスファイト、2,2'−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)フルオロホスファイト、トリス(2−〔(2,4,8,10−テトラキス第三ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ〕エチル)アミン、2−エチル−2−ブチルプロピレングリコールと2,4,6−トリ第三ブチルフェノールのホスファイト、トリス(2,4−ジ−第三ブチルフェニル)ホスファイト等の亜リン酸エステルが用いられる。(C)成分として亜リン酸エステルの1種を単独で、あるいは亜リン酸エステルの2種以上からなる混合物を用いる。
【0041】
本発明の安定剤組成物における(C)成分の量は、本発明の安定剤組成物全量の20〜80
質量部である。透明性、熱安定性、耐着色性をバランスよく発揮するためには(C)成分の量は好ましくは30〜75
質量部、より好ましくは35〜70
質量部である。(C)成分の量が安定剤組成物全量の30
質量部未満では、塩化ビニル系樹脂の耐着色性を十分に改善することができない場合がある。(C)成分の量が安定剤組成物全量の80
質量部を超えると、塩化ビニル系樹脂の熱安定性がむしろ低下する恐れがある。
【0042】
〔(D)成分:有機溶剤〕
本発明の安定剤組成物を構成する(D)成分は沸点が120℃以上の有機溶剤である。(D)成分として好ましい有機溶剤は、3−メトキシ−n−ブタノール、2−エチルヘキサノール、ウンデカノール、トリデカノール等のアルコール系有機溶剤、メチルジグリコール、ブチルジグリコール、メチルプロピレングリコール等のグリコール系有機溶剤、流動パラフィン、ナフテン系溶剤、芳香族炭化水素化合物等である。(D)成分としてこのような有機溶剤を単独で用いてもよく、2種以上の有機溶剤の混合物を用いてもよい。
【0043】
本発明の安定剤組成物は、上述の(A)成分,(B)成分,(C)成分が(D)成分に混合・溶解した状態にある、液状添加剤組成物である。このような液状の安定剤組成物では、(B)成分に含まれる脂肪酸金属塩が混酸の金属塩を形成していると推測される。
【0044】
本発明の安定剤組成物を塩化ビニル系樹脂に添加すると、塩化ビニル系樹脂の熱安定性と耐着色性を著しく向上することができる。その向上効果は、上述の(A)成分,(B)成分,(C)成分の単独の添加や、上述の(A)成分,(B)成分,(C)成分の混合物の添加では達成できない高いレベルにある。このような優れた塩化ビニル系樹脂安定化機能は、本発明の液状安定剤組成物に形成された混酸金属塩によるものと推測される。本発明の安定剤組成物における(D)成分の量は、本発明の安定剤組成物全量の1〜30
質量部である。透明性、熱安定性、耐着色性をバランスよく発揮するためには(D)成分の量は好ましくは1.5〜25
質量部、より好ましくは2〜20
質量部である。(D)成分の量が安定剤組成物全量の1
質量部未満では脂肪酸金属塩の混酸金属塩が十分に生成さ
れない場合があり、そのため所望の安定化機能が得られないことがある。(D)成分の量が安定剤組成物全量の30
質量部を超えると、塩化ビニル系樹脂の熱安定性、耐着色性がむしろ低下する恐れがある。
【0045】
〔混酸金属塩に関する考察〕
本発明の液状安定剤組成物に形成される混酸の金属塩の存在は、以下の簡易実験の結果が支持する。
・安息香酸の亜鉛塩(単独)の有機溶剤に対する溶解度
溶剤であるブチルジグリコール(沸点231°C)中、180〜200°Cで安息香酸と水酸化亜鉛を反応させた。反応完了後、脱水し、反応液を室温まで冷却すると、安息香酸亜鉛が沈殿した。ブチルジグリコールに対する安息香酸亜鉛の飽和溶解度は、原料の仕込み量から22.4%未満と算出された。
・トルイル酸の亜鉛塩(単独)の有機溶剤に対する溶解度
溶剤であるブチルジグリコール(沸点231°C)中、180〜200°Cでトルイル酸と水酸化亜鉛を反応させた。反応完了後、脱水し、反応液を室温まで冷却すると、トルイル酸亜鉛が沈殿した。ブチルジグリコールに対するトルイル酸亜鉛の飽和溶解度は、原料の仕込み量から25.0%未満と算出された。
・安息香酸とトルイル酸の亜鉛塩(混酸)の有機溶剤中への溶解
溶剤であるブチルジグリコール(沸点231°C)中、180〜200°Cで安息香酸、トルイル酸、水酸化亜鉛を反応させた。反応完了後、脱水し、反応液を室温まで冷却すると、沈殿は生成しなかった。したがって反応生成物の全量が室温のブチルジグリコールに溶解していた。安息香酸、トルイル酸、水酸化亜鉛の反応では安息香酸とトルイル酸とからなる混酸の亜鉛塩が生成しており、この混酸亜鉛塩は安息香酸の亜鉛塩単独ともトルイル酸の亜鉛塩単独とも異なる挙動を示すこと、この混酸亜鉛塩のブチルジグリコールに対する溶解度が極めて高いために沈殿物が生じないことが推測できる。
【0046】
本発明の安定剤組成物でも、脂肪酸金属塩が混酸金属塩として存在すると推測される。この推測は、本発明の安定剤組成物では、比較的多量の(B)成分:脂肪酸金属塩が(A)成分、(C)成分、(D)成分に溶解して液状組成物を形成していること、本発明の液状の安定剤組成物は塩化ビニル系樹脂に対する分散性に優れるため塩化ビニル系樹脂の耐熱安定性向上効果が優れていること、と矛盾していない。この推測に基づけば、固体状で有機溶剤に対する溶解性が低い直鎖脂肪酸塩は、本発明の安定化組成物の成分として適していない。
【0047】
〔任意成分:(E)成分、(F)成分〕
塩化ビニル系樹脂の耐熱性と耐着色性をさらに向上する効果を期待して、本発明の安定剤組成物にさらにフェノール系酸化防止剤((E)成分)を含有させることも可能である。本発明の安定剤組成物に追加できるフェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、チオジエチレングリコールビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド〕、4,4'−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール) 、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−第三ブチルフェノール)、ビス〔3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、4,4'−ブチリデンビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2'−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェノール)、2,2'−エチリデンビス(4−第二ブチル−6−第三ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、ビス〔2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル〕テレフタレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドルキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、テトラキス〔メチレン−3−(3’,5’−ジ第三ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、トリエチレングリコールビス〔(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕などが使用される。
【0048】
本発明の安定剤組成物における(E)成分:フェノール系酸化防止剤の量は、本発明の安定剤組成物全量の0.01〜10
質量部である。透明性、熱安定性、耐着色性をバランスよく発揮するためには(E)成分の量は好ましくは0.03〜8
質量部、より好ましくは0.05〜7
質量部である。(E)成分の量が安定剤組成物全量の0.01
質量部未満では、塩化ビニル系樹脂の耐着色性を十分に改善することができない場合がある。(E)成分の量が安定剤組成物全量の10
質量部を超えると、塩化ビニル系樹脂の透明性が低下する恐れがある。
【0049】
塩化ビニル系樹脂の加工性、耐熱性、耐着色性を考慮して、本発明の安定剤組成物にさらに下記一般式(4)で表されるハイドロタルサイト化合物((F)成分)を含有させることも可能である。
Mg
x1Zn
x2Al
2(OH)
2x1+2x2+4(CO
3)
1−y1/2(ClO
4)
y1mH
2O
・・・(4)
(式〔4〕中、x1、x2及びy1は各々下記式、0≦x2/x1<10、2≦x1+x2<20、0≦y1≦2で表される条件を満足する数を示し、mは0または任意の整数を示す)。
【0050】
このようなハイドロタルサイト化合物としては、マグネシウムとアルミニウム、または亜鉛、マグネシウムおよびアルミニウムからなる複塩化合物が好ましく用いられる。また、結晶水を脱水したものであってもよい。このようなハイドロタルサイト化合物は、天然物であってもよく、また合成品であってもよい。上記ハイドロタルサイト化合物の結晶構造、結晶粒子径などに制限はない。
【0051】
また、上記ハイドロタルサイト化合物として、その表面をステアリン酸等の高級脂肪酸、オレイン酸アルカリ金属塩等の高級脂肪酸金属塩、ドデシルベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩等の有機スルホン酸金属塩、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステルまたはワックスなどで被覆したものも使用することができる。
【0052】
本発明において、ハイドロタルサイト系化合物は単独で使用しても、2種以上の混合で用いてもよい。本発明の安定剤組成物における(F)成分:ハイドロタルサイト系化合物の量は、本発明の安定剤組成物全量の0.1〜50
質量部である。透明性、熱安定性、耐着色性をバランスよく発揮するためには(E)成分の量は好ましくは0.3〜45
質量部、より好ましくは0.5〜30
質量部である。(E)成分の量が安定剤組成物全量の0.1
質量部未満では、塩化ビニル系樹脂の熱安定性を十分に改善することができない。(E)成分の量が安定剤組成物全量の50
質量部を超えると、塩化ビニル系樹脂の耐着色性がむしろ低下する恐れがある。
【0053】
〔塩化ビニル系樹脂〕
本発明の安定剤組成物の適用対象である塩化ビニル系樹脂に制限はない。そのような塩化ビニル系樹脂として塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などいずれの製造方法で得られたものも制限なく使用することができる。このような塩化ビニル系樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−プロピレン共重合体、塩化ビニル−スチレン共重合体、塩化ビニル−イソブチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−スチレン−無水マレイン酸三元共重合体、塩化ビニル−スチレン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−ブタジエン共重合太、塩化ビニル−イソプレン共重合体、塩化ビニル−塩素化プロピレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−メタクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−各種ビニルエーテル共重合体などの塩化ビニル系樹脂、およびそれら相互のブレンド品あるいは他の塩素を含まない合成樹脂、例えば、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチル(メタ)アクリレート共重合体、ポリエステルなどとのブレンド品、ブロック共重合体、グラフト共重合体などを使用することができる。
【0054】
〔その他の塩化ビニル系樹脂用添加剤〕
本発明の安定剤組成物を塩化ビニル系樹脂に添加する際には、加工性を考慮してさらに滑剤を添加することができる。滑剤としては、例えば、低分子ワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、塩素化炭化水素、フルオロカーボンなどの炭化水素系滑剤;カルナバワックス、キャンデリラワックスなどの天然ワックス系滑剤;ラウリン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸などの高級脂肪酸、又はヒドロキシステアリン酸のようなオキシ脂肪酸等の脂肪酸系滑剤;ステアリルアミド、ラウリルアミド、オレイルアミドなどの脂肪族アミド化合物又はメチレンビスステアリルアミド、エチレンビスステアリルアミドのようなアルキレンビス脂肪族アミド等の脂肪族アミド系滑剤;ステアリルステアレート、ブチルステアレート、ジステアリルフタレートなどの脂肪酸1価アルコールエステル化合物又は、グリセリントリステアレート、ソルビタントリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ジペンタエリスリトールヘキサステアレート、ポリグリセリンポリリシノレート、硬化ヒマシ油などの脂肪酸多価アルコールエステル化合物、又は、ジペンタエリスリトールのアジピン酸・ステアリン酸エステルのような1価脂肪酸及び多塩基性有機酸と多価アルコールの複合エステル化合物等の脂肪酸アルコールエステル系滑剤;ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、パルミチルアルコールなどの脂肪族アルコール系滑剤;金属石鹸類;部分ケン化モンタン酸エステルなどのモンタン酸系滑剤;アクリル系滑剤;シリコーンオイルなどが用いられる。これらの滑剤として1種類のみを使用してもよいし、2種以上の滑剤を併用してもよい。
【0055】
塩化ビニル系樹脂に対する滑剤の添加量は、塩化ビニル系樹脂100質量部に対して0.01〜5.0質量部であり、加工性の点から0.05〜3.0質量部が好ましい。滑剤の含有量が塩化ビニル系樹脂100質量部に対して0.01質量部未満では塩化ビニル系樹脂の加工性が不十分な場合がある。滑剤の含有量が塩化ビニル系樹脂100質量部に対して5.0質量部を超えると、透明性を低下させる等の性能低下がある。
【0056】
本発明の安定剤組成物を塩化ビニル系樹脂に添加する際には、加工性を考慮してさらに加工助剤を添加することもできる。加工助剤は公知の加工助剤の中から適宜選択することができる。好ましい加工助剤はアクリル酸系加工助剤である。このような加工助剤として例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート等のアルキルメタクリレートの単独重合体又は共重合体;上記アルキルメタクリレートと、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアルキルアクリレートとの共重合体;上記アルキルメタクリレートと、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物との共重合体;上記アルキルメタクリレートと、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルシアン化合物等との共重合体等を使用することができる。これらの加工助剤として1種類のみを使用してもよいし、2種以上の加工助剤を併用してもよい。
【0057】
塩化ビニル系樹脂に対する加工助剤の添加量は、塩化ビニル系樹脂100質量部に対して好ましくは0.01〜10質量部であり、特に0.05〜5質量部が好ましい。加工助剤の含有量が塩化ビニル系樹脂100質量部に対して0.01質量部未満では塩化ビニル系樹脂の加工性が不十分な場合がある。加工助剤の含有量が塩化ビニル系樹脂100質量部に対して10質量部を超えると、透明性を低下させる等の性能低下がある。
さらに、安定剤組成物の他に、通常塩化ビニル系樹脂に用いられる他の添加剤、例えば、可塑剤、ポリエーテル、上記金属石鹸以外の有機酸金属塩、ゼオライト化合物、過塩素酸塩類、エポキシ化合物、フェノール系および硫黄系などの酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、充填材、難燃剤、難燃助剤等を本発明の効果を損なわない範囲で配合することもできる。
【0058】
上記の可塑剤としては、例えば、ジブチルフタレート、ブチルヘキシルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジラウリルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジオクチルテレフタレートなどのフタレート系可塑剤;ジオクチルアジペート、ジイソノニルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジ(ブチルジグリコール)アジペートなどのアジペート系可塑剤;トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリ(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリ(ブトキシエチル)ホスフェート、オクチルジフェニルホスフェートなどのホスフェート系可塑剤;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどの多価アルコールと、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバチン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などの二塩基酸を用い、必要により一価アルコール、モノカルボン酸をストッパーとして使用したポリエステル系可塑剤;その他、テトラヒドロフタル酸系可塑剤、アゼライン酸系可塑剤、セバチン酸系可塑剤、ステアリン酸系可塑剤、クエン酸系可塑剤、トリメリット酸系可塑剤、ピロメリット酸系可塑剤、ビフェニレンポリカルボン酸系可塑剤などが用いられる。これら可塑剤は単独で用いられても、2種以上の混合で用いられても良い。
【0059】
上記のポリエーテルとしては、例えば、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ポリペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトール、キシロース、スクロース、トレハロース、イノシトール、フルクトース、マルトース、ラクトース、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールまたはジペンタエリスリトールのステアリン酸部分エステル、ビス(ジペンタエリスリトール)アジペート、グリセリン、ジグリセリン、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートなどが用いられる。これらは単独で用いられても、2種以上の混合で用いられても良い。
【0060】
上記金属石鹸以外の有機酸金属塩としては、フェノール類および有機リン酸類の金属(ナトリウム、カリウム、カルシウム、バリウム、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛)塩が用いられる。
【0061】
上記フェノール類としては、例えば、第三ブチルフェノール、ノニルフェノール、ジノニルフェノール、シクロヘキシルフェノール、フェニルフェノール、オクチルフェノール、フェノール、クレゾール、キシレノール、n−ブチルフェノール、イソアミルフェノール、エチルフェノール、イソプロピルフェノール、イソオクチルフェノール、2−エチルヘキシルフェノール、第三ノニルフェノール、デシルフェノール、第三オクチルフェノール、イソヘキシルフェノール、オクタデシルフェノール、ジイソブチルフェノール、メチルプロピルフェノール、ジアミルフェノール、メチルイソフキシルフェノール、メチル第三オクチルフェノールなどが用いられる。
【0062】
上記有機リン酸類としては、例えば、モノまたはジオクチルリン酸、モノまたはジドデシルリン酸、モノまたはジオクタデシルリン酸、モノまたはジ−(ノニルフェニル)リン酸、ホスホン酸ノニルフェニルエステル、ホスホン酸ステアリルエステルなどが用いられる。
【0063】
上記フェノール類および有機リン酸類の金属塩は、酸性塩、中性塩、塩基性塩あるいは塩基性塩の塩基の一部または全部を炭酸で中和した過塩基性錯体であってもよい。
【0064】
上記ゼオライト化合物は、独特の三次元のゼオライト結晶構造を有するアルカリまたはアルカリ土類金属のアルミノケイ酸塩である。その代表例は、A型、X型、Y型およびP型ゼオライト、モノデナイト、アナルサイト、ソーダライト族アルミノケイ酸塩、クリノブチロライト、エリオナイトおよびチャバサイトなどである。これらのゼオライト化合物は、結晶水(いわゆるゼオライト水)を有する含水物、結晶水を除去した無水物のいずれでもよい。これらのゼオライト化合物として、粒径が0.1〜50μmのものを用いることができ、特に、0.5〜10μmのものが好ましい。
【0065】
上記過塩素酸塩類としては、過塩素酸金属塩、過塩素酸アンモニウム、過塩素酸処理ハイドロタルサイト、過塩素酸処理珪酸塩などが挙げられる。上記過塩素酸金属塩を構成する金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、カドミウム、鉛、アルミニウムなどが例示できる。上記過塩素酸金属塩は無水物でも含水塩でもよく、また、ブチルジグリコール、ブチルジグリコールアジペート等のアルコール系およびエステル系の溶剤に溶かしたもの、あるいはその脱水物でも良い。
【0066】
上記エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノール型およびノボラック型のエポキシ樹脂、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化桐油、エポキシ化魚油、エポキシ化牛脂油、エポキシ化ひまし油、エポキシ化サフラワー油、エポキシ化トール油脂肪酸オクチル、エポキシ化亜麻仁油脂肪酸ブチル、エポキシステアリン酸メチル,−ブチル,−2−エチルヘキシルまたは−ステアリル、トリス(エポキシプロピル)イソシアヌレート、3−(2−キセノキシ)−1,2−エポキシプロパン、エポキシ化ポリブタジエン、ビスフェノール−Aジグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンジエポキサイド、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、3,4−エポキシシクロヘキシル−6−メチルエポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペートなどが用いられる。
【0067】
上記硫黄系酸化防止剤としては、例えば、チオジプロピオン酸ジラウリル、ジミリスチル、ジステアリル等のジアルキルチオジプロピオネート類及びペンタエリスリトールテトラ(β−ドデシルメルカプトプロピオネート)等のポリオールのβ−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類が用いられる。
【0068】
上記紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)などの2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−第三オクチル−6−ベンゾトリアゾリル)フェノール、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコールエステルなどの2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなどのベンゾエート類;2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリドなどの置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレートなどのシアノアクリレート類などが用いられる。
【0069】
上記ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラエチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/ジブロモエタン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノ〕ウンデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノ〕ウンデカンなどのヒンダードアミン化合物が用いられる。
【0070】
上記充填剤としては、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化亜鉛、炭酸亜鉛、硫化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、アルミナケイ酸ナトリウム、ハイドロカルマイト、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ゼオライト等のケイ酸金属塩、活性白土、タルク、クレイ、ベンガラ、アスベスト、三酸化アンチモン、シリカ、ガラスビーズ、マイカ、セリサイト、ガラスフレーク、アスベスト、ウオラストナイト、チタン酸カリウム、PMF、石膏繊維、ゾノライト、MOS,ホスフェートファイバー、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維などが用いられる。
【0071】
上記難燃剤や難燃助剤としては、トリアジン環含有化合物、金属水酸化物、その他無機リン、ハロゲン系難燃剤、シリコン系難燃剤、リン酸エステル系難燃剤、縮合リン酸エステル系難燃剤、イントメッセント系難燃剤、三酸化アンチモン等の酸化アンチモン、その他の無機系難燃助剤、有機系難燃助剤等が用いられる。
【0072】
前記トリアジン環含有化合物としては、例えば、メラミン、アンメリン、ベンズグアナミン、アセトグアナミン、フタロジグアナミン、メラミンシアヌレート、ピロリン酸メラミン、ブチレンジグアナミン、ノルボルネンジグアナミン、メチレンジグアナミン、エチレンジメラミン、トリメチレンジメラミン、テトラメチレンジメラミン、ヘキサメチレンジメラミン、1,3−ヘキシレンジメランミン等が用いられる。
【0073】
前記金属水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化亜鉛等が用いられる。
【0074】
前記リン酸エステル系難燃剤の例としては、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリスクロロエチルホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、トリスイソプロピルフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、t-ブチルフェニルジフェニルホスフェート、ビス-(t-ブチルフェニル)フェニルホスフェート、トリス-(t-ブチルフェニル)ホスフェート、イソプロピルフェニルジフェニルホスフェート、ビス-(イソプロピルフェニル)ジフェニルホスフェート、トリス-(イソプロピルフェニル)ホスフェートなどが用いられる。
【0075】
上記縮合リン酸エステル系難燃剤としては、1,3−フェニレン ビス(ジフェニルホスフェート)、1,3−フェニレン ビス(ジキシレニルホスフェート)、ビスフェノールA ビス(ジフェニルホスフェート)等が挙げられ、イントメッセント系難燃剤としては、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸ピペラジン、ピロリン酸アンモニウム、ピロリン酸メラミン、ピロリン酸ピペラジン等の、(ポリ)リン酸のアンモニウム塩やアミン塩が用いられる。
【0076】
上記その他の無機系難燃助剤としては、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、タルクなどの無機化合物、及びその表面処理品などの種々の市販品を用いることができる。
【0077】
さらに本発明の安定剤組成物の他に、通常塩化ビニル系樹脂に使用される安定化助剤を本発明の安定剤組成物の効果を損なわない範囲内で添加することができる。このような安定化助剤としては、例えば、ジフェニルチオ尿素、アニリノジチオトリアジン、メラミン、安息香酸、ケイヒ酸、p−第三ブチル安息香酸などが用いられる。
【0078】
さらに必要に応じて通常塩化ビニル系樹脂に使用される添加剤、例えば、架橋剤、帯電防止剤、防曇剤、プレートアウト防止剤、表面処理剤、蛍光剤、防黴剤、殺菌剤、発泡剤、金属不活性剤、離型剤、顔料、酸化防止剤、光安定剤等を、本発明の安定剤組成物の効果を損なわない範囲で配合することができる。
【0079】
〔塩化ビニル系樹脂組成物〕
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、塩化ビニル系樹脂と上述の本発明の安定剤組成物とを含む。本発明の塩化ビニル系樹脂組成物の上記安定剤組成物の含有量は、塩化ビニル系樹脂100質量部に対して0.3〜10質量部、好ましくは0.5〜8質量部、より好ましくは0.8〜5質量部である。
【0080】
〔成形品〕
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、押出成型加工、溶融流延法、加圧成型加工、カレンダー成形等の公知の成形方法のいずれによっても成形することができる。本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、特にシート状成形品に用いることができ、得られたシート類は建材、建築内装品、日用品、文具、雑貨などとして広く用いられる。