特許第6871721号(P6871721)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6871721
(24)【登録日】2021年4月20日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】圧力式流量計
(51)【国際特許分類】
   G01L 9/12 20060101AFI20210426BHJP
   G01L 13/06 20060101ALI20210426BHJP
   G01F 1/38 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   G01L9/12
   G01L13/06 C
   G01F1/38
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-224246(P2016-224246)
(22)【出願日】2016年11月17日
(65)【公開番号】特開2018-81025(P2018-81025A)
(43)【公開日】2018年5月24日
【審査請求日】2019年10月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000127961
【氏名又は名称】株式会社堀場エステック
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(72)【発明者】
【氏名】畑板 剛久
(72)【発明者】
【氏名】宮本 英顕
【審査官】 大森 努
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−094472(JP,A)
【文献】 特開2001−242940(JP,A)
【文献】 特開2008−196858(JP,A)
【文献】 独国実用新案第202015103451(DE,U1)
【文献】 特開2001−050841(JP,A)
【文献】 米国特許第06122973(US,A)
【文献】 特表平10−501887(JP,A)
【文献】 特開平08−278216(JP,A)
【文献】 特表2009−543093(JP,A)
【文献】 実開平01−168827(JP,U)
【文献】 特開平08−005435(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 7/00−23/32,27/00−27/02,
G01F 1/34−1/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が流れる流路に流体抵抗部が設けられ、当該流体抵抗部の上流側圧力及び下流側圧力をそれぞれ検出して流量を測定する圧力式流量計であって、
前記上流側圧力を検出する圧力センサ及び前記下流側圧力を検出する圧力センサは、圧力により変位するダイアフラムと、前記ダイアフラムに対向する先端面を備える固定電極との間の静電容量の変化を検出してゲージ圧を測定する静電容量型圧力センサであり、前記固定電極と、ガード電極と、前記固定電極と前記ガード電極との間に設けられ、それらを絶縁する封止ガラスと、前記ダイアフラムとを支持するとともに、それらの間に内部空間を形成する本体部を有し、
前記内部空間は、前記本体部、前記固定電極又は前記封止ガラスを前記固定電極の軸方向に沿って貫通するように形成した連通部により大気開放されている圧力式流量計。
【請求項2】
前記連通部は、前記本体部に形成されている、請求項1記載の圧力式流量計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力式流量計に関する。
【背景技術】
【0002】
圧力式流量計としては、流体が流れる流路に流体抵抗部を設け、当該流体抵抗部の上流側及び下流側それぞれに圧力センサを設け、当該上流側圧力センサ及び下流側圧力センサの差圧により、流体の流量を測定するものがある。
【0003】
ここで、上流側圧力センサ及び下流側圧力センサには、同一構成の静電容量型圧力センサが用いられている。この静電容量型圧力センサは、圧力により変位するダイアフラムと固定電極との間の静電容量の変化を検出して絶対圧を測定するものである。
【0004】
具体的に静電容量型圧力センサは、ダイアフラムが接合される本体部と、本体部に形成された電極固定孔に挿入され、先端面がダイアフラムに対向して設けられる固定電極とを備えており、固定電極と本体部との間に円筒形状をなすガード電極を設けて、固定電極及び本体部の間に生じる浮遊容量の発生を抑制している。そして、電極固定孔には、固定電極及びガード電極の間を絶縁するとともにそれらを連結する第1封止ガラスと、ガード電極及び本体部の間を絶縁するとともにそれらを連結する第2封止ガラスとが設けられている。
【0005】
しかしながら、ダイアフラム及び固定電極の間に形成される密閉基準室に封入された内部気体が、ガード電極及び封止ガラスの間の隙間が生じやすく、隙間から徐々にリークが起こり、結果として、正確な圧力測定を妨げてしまう可能性がある。上流側圧力及び下流側圧力の差圧により流量を測定する圧力式流量計では、上流側圧力センサの密閉基準室の状態及び下流側圧力センサの密閉基準室の状態が変化してしまうと、流量の測定誤差の原因となってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−196858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、上記問題点を解決すべくなされたものであり、絶対圧を測定する静電容量型圧力センサで生じる不具合を解消して、流量の測定誤差を低減することをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち本発明に係る圧力式流量計は、流体が流れる流路に流体抵抗部が設けられ、当該流体抵抗部の上流側圧力及び下流側圧力をそれぞれ検出して流量を測定する圧力式流量計であって、前記上流側圧力を検出する圧力センサ及び前記下流側圧力を検出する圧力センサは、圧力により変位するダイアフラムと固定電極との間の静電容量の変化を検出してゲージ圧を測定する静電容量型圧力センサであり、前記固定電極及び前記ダイアフラムを支持するとともに、それらの間に内部空間を形成する本体部を有し、前記内部空間は、連通部により大気開放されていることを特徴とする。
【0009】
この圧力式流量計であれば、上流側圧力センサ及び下流側圧力センサとして、ゲージ圧を測定する静電容量型圧力センサを用いているので、絶対圧を測定する静電容量型圧力センサで生じる外部リークの問題を解消することができる。ここで、固定電極及びダイアフラムを支持する本体部の内部空間が、連通部により外部と繋がって大気開放されているので、ゲージ圧を測定することが可能となる。これにより、上流側圧力センサ及び下流側圧力センサにおいて外部リークによる圧力変動差は生じないので、各圧力センサ間での正確な差圧測定が可能となり、流量の測定誤差を低減することができる。
【0010】
静電容量型圧力センサにおける本体部には、固定電極、ガード電極及び封止ガラスなどが設けられる。これらの構成を前提として、連通部を簡単に構成するためには、前記連通部は、前記本体部に形成されていることが望ましい。
【0011】
前記本体部と前記ダイアフラムとが接合されるものであり、前記本体部と前記ダイアフラムとの一部に未接合部が形成されており、当該未接合部により前記連通部が形成されていることが望ましい。この構成であれば、本体部に連通部を設けるための特別な加工を施す必要がない。
【0012】
前記本体部における前記ダイアフラム接合面に溝が形成されており、当該溝により前記連通部が形成されていることが望ましい。この構成であれば、本体部のダイアフラム接合面に溝を形成するだけでよく、また、ダイアフラム接合面にダイアフラムを接合した状態で、溝により連通部が形成されることになり、連通部を簡単に構成することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、絶対圧を測定する静電容量型圧力センサで生じる不具合を解消して、流量の測定誤差を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態の圧力式流量計の構成を模式的に示す断面図である。
図2】同実施形態の静電容量型圧力センサの構成を模式的に示す断面図及び平面図である。
図3】変形実施形態の静電容量型圧力センサの構成を模式的に示す断面図及び平面図である。
図4】変形実施形態の静電容量型圧力センサの構成を模式的に示す断面図及び平面図である。
図5】変形実施形態の静電容量型圧力センサの構成を模式的に示す断面図及び平面図である。
図6】変形実施形態の静電容量型圧力センサの構成を模式的に示す断面図及び平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明に係る圧力式流量計の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0016】
本実施形態の圧力式流量計100は、例えば半導体製造プロセスに用いられるものであり、流体が流れる流路に流体抵抗部が設けられ、当該流体抵抗部の上流側圧力及び下流側圧力をそれぞれ検出して流量を測定する圧力式流量計である。
【0017】
具体的にこの圧力式流量計100は、図1に示すように、例えば半導体プロセス用液体等の液体が流れる流路R1が形成されたボディユニット2と、当該ボディユニット2に設けられて、流路R1の上流側の圧力を検知する上流側圧力センサ3aと、流路R1の下流側の圧力を検出する下流側圧力センサ3bとを備えている。なお、ボディユニット2は、前記液体に対して耐食性を有する材料から形成されており、例えばステンレス鋼製である。また、その他、圧力センサ3a、3b等の接液部材も同様に、前記液体に対して耐食性を有する材料から形成されており、例えばステンレス鋼製である。
【0018】
ボディユニット2は、内部流路R1が貫通したブロック状をなすものである。内部流路R1の途中には、例えば層流素子やオリフィスなどの流体抵抗部4が設けられている。また、ボディユニット2の上流側である流路一端部には、外部流入配管H1が接続される。ボディユニット2の下流側である流路他端部には、外部流出配管H2が接続される。なお、外部流入配管H1及び外部流出配管H2は、圧力センサ3のダイアフラム31よりも剛性の高い材質により構成されている。そして、外部流入配管H1及び外部流出配管H2には、例えば空圧弁や電磁弁などの開閉弁V1、V2が設けられている。
【0019】
上流側圧力センサ3aは、流体抵抗部4の上流側に設けられており、下流側圧力センサは、流体抵抗部4の下流側に設けられている。ここで上流側圧力センサ3aは、ボディユニット2に形成された上流側導入路R11及び上流側導出路R12の開口を覆うようにボディユニット2に取り付けられる。また、下流側圧力センサ3bは、ボディユニット2に形成された下流側導入路R13及び下流側導出路R14の開口を覆うようにボディユニット2に取り付けられる。上流側導入路R11、上流側導出路R12、下流側導入路R13及び下流側導出路R14はいずれも、内部流路R1における流体抵抗素子4の近傍においてボディユニット2の一面に開口するように形成されている。なお、上流側圧力センサ3a及び下流側圧力センサ3bはセンサ駆動回路により駆動され、各センサ3a、3bにより得られた静電容量を示す検出信号は、増幅回路により増幅されて、演算回路により流量に換算される。
【0020】
具体的に各圧力センサ3a、3bは、流路R1の圧力の変化に応じて変形するダイアフラム31を用いて圧力を検知するものであり、図2に示すように、ダイアフラム31とダイアフラム31から離間して設けられた固定電極32との間の静電容量を検出することにより圧力を測定する静電容量型の圧力センサである。
【0021】
この静電容量型圧力センサは、ダイアフラム31が接合される本体部33と、本体部33に形成された電極固定孔33hに挿入され、先端面がダイアフラム31に対向して設けられる固定電極32と、固定電極32と本体部33との間に設けられた円筒形状をなすガード電極34と、固定電極32及びガード電極34の間に設けられ、それらを絶縁するとともにそれらを連結する第1封止ガラス35と、ガード電極34及び本体部33の間に設けられ、それらを絶縁するとともにそれらを連結する第2封止ガラス36とを備える。
【0022】
そして、本実施形態の静電容量型圧力センサは、ゲージ圧センサとなるように構成してあり、具体的には、圧力センサにおいてダイアフラム31及び固定電極32の間に形成される内部空間S1は、連通部37により広い外部空間と繋がって大気開放されており、大気圧状態である。なお、内部空間S1は、本体部33に形成された凹部の周端面(ダイアフラム接合面)にダイアフラム31を接合(例えば溶接)させることによって形成される。本実施形態では、上流側圧力センサ3a及び下流側圧力センサ3bは、それぞれの連通部37により共通の広い外部空間と繋がって大気開放されている。
【0023】
本実施形態の連通部37は、本体部33に形成されている。具体的には、本体部33における円環状をなすダイアフラム接合面33aに溝3Mが径方向に沿って形成されており、当該溝3Mにより連通部37が形成されている。
【0024】
このように構成した圧力式流量計100によれば、上流側圧力センサ3a及び下流側圧力センサ3bとして、ゲージ圧を測定する静電容量型圧力センサを用いているので、絶対圧を測定する静電容量型圧力センサで生じる外部リークの問題を解消することができる。これにより、上流側圧力センサ3a及び下流側圧力センサ3bにおいて外部リークによる圧力変動差は生じないので、各圧力センサ3a、3b間での正確な差圧測定が可能となり、流量の測定誤差を低減することができる。
【0025】
また、ダイアフラム接合面33aに形成された溝3Mにより連通部37を形成しているので、本体部33のダイアフラム接合面33aに溝加工を施すだけでよく、また、ダイアフラム接合面33aにダイアフラム31を接合することによって、溝3Mにより連通部37が形成されることになり、連通部37を簡単に構成することができる。
【0026】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
例えば、連通部37に関していえば、図3に示すように、本体部33のダイアフラム接合面33aにおいて、その周方向の一部に未接合部3Xを形成して、当該未接合部3Xにより内部空間S1と外部とを連通させる連通部37を構成しても良い。
【0027】
また、図4に示すように、本体部33の側壁に連通路3Pを形成して、当該連通路3Pにより内部空間S1と外部とを連通させる連通部37を構成しても良い。図4の連通路3Pは、本体部33の側壁において固定電極32の中心軸に沿った方向(図4では上下方向)に形成したものであるが、内部空間S1の周方向外側に位置する側壁において例えば径方向に沿って形成したものであっても良い。
【0028】
さらに、連通部37は、本体部33に形成する他に、図5に示すように、封止ガラス35、36をガラス融着させる際に内部空間S1及び外部を連通させる管3Tを設けることによって、封止ガラス部分に連通部37を形成しても良い。また、図6に示すように、固定電極32の中央部に軸方向に沿って内部空間S1及び外部を連通させる連通路3Pを形成しても良い。
【0029】
前記実施形態は、流体抵抗部の上流側圧力及び下流側圧力をそれぞれ検出して流量を測定する圧力式流量計について説明したが、流体抵抗部の上流側に上流側圧力センサを設け、当該上流側圧力センサの検出圧力Pを用いて流量を測定する流量計に適用することもできる。この場合、上流側圧力センサの構成が前記実施形態の圧力センサと同様となる。この流量計では、流体抵抗部の上流側に流体の温度を検出する温度センサが設けられている。また、流体抵抗部は、オリフィス又はノズルである。この場合、流量計の演算回路は、流量Qを、Q=K×P(Kか流体の温度に依存する係数)により演算する。
【0030】
前記実施形態では、圧力式流量計の圧力センサについて説明したが、圧力センサ単体のものであっても良い。
【0031】
前記実施形態の圧力式流量計を半導体製造プロセス以外にも用いることができる。
【0032】
その他、本発明は前記各実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0033】
100・・・圧力式流量計
R1・・・流路
3a・・・上流側圧力センサ
3b・・・下流側圧力センサ
31・・・ダイアフラム
32・・・固定電極
33・・・本体部
37・・・連通部
33a・・・ダイアフラム接合面
3M・・・溝
3X・・・未接合部
4・・・流体抵抗素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6