(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第6部分領域と前記第1電極領域との間の境界の前記第3方向における位置は、前記第2部分領域の前記第3方向における位置と、前記第1部分領域と前記第1絶縁膜との間の境界の前記第3方向における位置と、の間に位置した、請求項1〜3のいずれか1つに記載の半導体装置。
前記第1電極領域と前記第12部分領域との間の境界は、前記第1方向に対して傾斜し、前記第2方向に対して傾斜した、請求項1〜4のいずれか1つに記載の半導体装置。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1(a)及び
図1(b)は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式図である。
図2(a)及び
図2(b)は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図3は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図4(a)〜
図4(c)は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図5(a)及び
図5(b)は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図1(a)は、模式的透過平面図である。
図1(a)は、
図1(b)の矢印ARから見た平面図に対応する。
図1(b)、
図2(a)、
図2(b)及び
図3は、それぞれ、
図1(a)のA1−A2線、B1−B2線、C1−C2線、及び、E1−E2線の断面図である。
図4(a)〜
図4(c)、
図5(a)及び
図5(b)は、それぞれ、
図1(b)のL1−L2線、M1−M2線、N1−N2線、O1−O2線、及び、P1−P2線の断面図である。
【0009】
これらの図に示すように、本実施形態に係る半導体装置110は、第1電極21、第2電極22、第1〜第4半導体領域11〜14、及び、第1絶縁膜31を含む。この例では、第2絶縁膜32及び第3電極23がさらに設けられている。
【0010】
図1(b)及び
図2(b)に示すように、第2電極22は、第1電極領域er1、第2電極領域er2及び第3電極領域er3を含む。後述するように、第2電極22に、他の電極領域がさらに設けられても良い。
【0011】
第1電極21から第1電極領域er1に向かう第1方向D1は、第1電極領域er1から第2電極領域er2に向かう第2方向D2と交差する。
【0012】
第1方向D1は、例えば、X軸方向である。
【0013】
X軸方向に対して垂直な1つの方向をY軸方向とする。X軸方向及びY軸方向に対して垂直な方向をZ軸方向とする。
【0014】
この例では、第2方向D2は、Y軸方向である。
【0015】
図1(b)に示すように、第1方向D1(X軸方向)における第3電極領域er3の位置は、第1方向D1における第1電極領域er1の位置と、第1方向D1における第1電極21の位置との間にある。
【0016】
図3に示すように、第2電極領域er2は、第1電極領域er1と連続している。例えば、第2電極領域er2は、第4電極領域er4により、第1電極領域er1と繋がっている。第2電極領域er2は、第1電極領域er1と電気的に接続される。
【0017】
第1半導体領域11は、第1導電形である。第1半導体領域11は、第1部分領域11a、第2部分領域11b、第3部分領域11c、第4部分領域11d及び第5部分領域11eを含む。
【0018】
第1部分領域11aは、第3方向D3において第1電極21から離れる。第3方向D3は、第1方向D1及び第2方向D2と交差する。この例では、第3方向D3は、Z軸方向である。
【0019】
第2部分領域11bは、第3方向D3(Z軸方向)において、第1電極領域er1から離れる。
【0020】
第1方向D1(X軸方向)における第3部分領域11cの位置は、第1方向D1における第1部分領域11aの位置と、第1方向D1における第2部分領域11bと、の間にある。第3部分領域11cの少なくとも一部は、第1方向D1(X軸方向)において、第1電極21と第1電極領域er1との間にある。
【0021】
図2(b)に示すように、第4部分領域11dは、第3方向D3(Z軸方向)において、第2電極領域er2から離れる。
【0022】
図3に示すように、第5部分領域11eは、第2方向D2において、第2部分領域11bと第4部分領域11dとの間にある。
【0023】
第2半導体領域12は、第2導電形である。
【0024】
第1導電形はn形であり、第2導電形はp形である。第1導電形がp形であり、第2導電形がn形でも良い。以下では、第1導電形がn形で第2導電形がp形とする。
【0025】
第2半導体領域12は、第6部分領域12f、第7部分領域12g、第8部分領域12h及び第9部分領域12iを含む。
【0026】
図1(b)及び
図3に示すように、第6部分領域12fは、第3方向D3(Z軸方向)において、第2部分領域11bと第1電極領域er1との間に位置する。
【0027】
第7部分領域12gの一部(
図1(b)において下側部分)は、第1方向D1(X軸方向)において、第3部分領域11cの上記の少なくとも一部と、第1電極領域er1と、の間に位置する。
【0028】
図2(b)及び
図3に示すように、第8部分領域12hは、第3方向D3(Z軸方向)において、第4部分領域11dと第2電極領域er2との間に位置する。
【0029】
図3に示すように、第9部分領域12iの少なくとも一部は、第2方向D2(Y軸方向)において、第1電極領域er1と第2電極領域er2との間に位置する。
【0030】
図3に示すように、この例では、第9部分領域12iは、第2方向D2において第1電極領域er1と接する。第9部分領域12iは、第2方向D2において第2電極領域er2と接する。
【0031】
図3に示すように、この例では、第2電極22に第4電極領域er4が設けられている。第2方向D2(Y軸方向)における第4電極領域er4の位置は、第2方向D2における第1電極領域er1の位置と、第2方向D2における第2電極領域er2の位置と、の間に位置する。第9部分領域12iは、第3方向D3(Z軸方向)において、第4電極領域er4と第5部分領域11eとの間に位置する。
【0032】
図1(b)に示すように、第3半導体領域13は、第2半導体領域12と接続される。第3半導体領域13は、第2導電形(この例ではp形)である。第3半導体領域13は、第3方向D3(Z軸方向)において、第3部分領域11cの上記の少なくとも一部と、第3電極領域er3との間に位置する。第3半導体領域13は、第1方向D1(X軸方向)において、第1電極21と、第7部分領域12gの別の一部(
図1(b)において上側部分)と、の間に位置する。
【0033】
第4半導体領域14は、第2電極22と電気的に接続される。第4半導体領域14は、第1導電形(この例ではn形)である。第4半導体領域14は、第10部分領域14j、第11部分領域14k及び第12部分領域14lを含む。
【0034】
図1(b)に示すように、第10部分領域14jは、第3方向D3(Z軸方向)において、第3半導体領域13と、第3電極領域er3の一部と、の間に位置する。
【0035】
図1(b)及び
図5(b)に示すように、第10部分領域14jは、第1方向D1(X軸方向)において、第1電極21と第1電極領域er1との間に位置する。
【0036】
図1(b)に示すように、第11部分領域14kは、第3方向D3(Z軸方向)において、第7部分領域12gと、第3電極領域er3の別の一部と、の間に位置する。
【0037】
図1(b)及び
図5(b)に示すように、第11部分領域14kは、第1方向D1(X軸方向)において、第10部分領域14jと第1電極領域er1との間に位置する。
【0038】
図3に示すように、第12部分領域14lは、第3方向D3(Z軸方向)において、第9部分領域12iと、第2電極22との間に位置する。
【0039】
図3及び
図5(b)に示すように、例えば、第12部分領域14lは、第2方向D2(Y軸方向)において、第1電極領域er1と第2電極領域er2との間に位置する。例えば、第12部分領域14lは、第2方向D2(Y軸方向)において、第1電極領域er1と接する。例えば、第12部分領域14lは、第2方向D2(Y軸方向)において、第2電極領域er2と接する。
【0040】
図3に示すように、第12部分領域14lは、第3方向D3(Z軸方向)において、第9部分領域12iと第4電極領域er4との間に位置する。
【0041】
図1(b)に示すように、第1絶縁膜31は、第1電極21と第1半導体領域11との間、第1電極21と第3半導体領域13との間、及び、第1電極21と第4半導体領域14との間に設けられる。
【0042】
図1(b)に示すように、第3方向D3(Z軸方向)において、第3電極23と第1電極21との間、第3方向D3において第3電極23と第2電極22と、の間に、第1半導体領域11が位置する。この他、他の半導体領域は、第3方向D3において第3電極23と第2電極22との間に位置する。
【0043】
図1(b)に示すように、この例では、第2電極22は、第3方向D3(Z軸方向)において第1電極21と重なる部分をさらに含む。この例では、第2絶縁膜32がさらに設けられている。第2絶縁膜32は、第3方向D3において、第2電極22の上記の部分(重なる部分)と、第1電極21と、の間に位置する。第2絶縁膜32は、第1電極21と第2電極22を互いに電気的に分離する。
【0044】
第1電極21は、例えば、ゲート電極として機能する。第1絶縁膜31は、例えば、ゲート絶縁膜として機能する。第2電極22は、例えば、ソース電極として機能する。第3電極23は、例えば、ドレイン電極として機能する。
【0045】
例えば、第1電極21の電位に応じて、第2電極22と第3電極23との間に流れる電流が制御される。例えば、第4半導体領域14、第3半導体領域13及び第1半導体領域11がチャネルとなる。
【0046】
図5(a)及び
図5(b)に示すように、第1電極21は、第2方向D2(Y軸方向)に沿って延びる。第2電極領域er2は、第1方向D1(X軸方向)において、第1電極21から離れる。第1電極21は、例えば、トレンチ型のゲート電極である。
【0047】
半導体装置110は、例えば、縦型のMOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)である。
【0048】
半導体装置110においては、トレンチ型のゲート電極の構造により、例えば、単位面積当たりのチャネルの面積を拡大できる。低いオン抵抗が得られる。
【0049】
実施形態において、第4半導体領域14は、例えば、第2電極22とのコンタクト領域となる。実施形態においては、第4半導体領域14は、第10部分領域14j及び第11部分領域14kを含む。
図1(b)及び
図5(b)に示すように、これらの部分領域は、第1方向D1(X軸方向)において、第1電極領域er1と並ぶ。これらの部分領域において、第2電極22との電気的なコンタクトが得られる。
【0050】
実施形態において、第10部分領域14j及び第11部分領域14kに加えて、第4半導体領域14に第12部分領域14lが設けられる。
図3及び
図5(b)に示すように、この第12部分領域14lは、第2方向D2(Y軸方向)において、第1電極領域er1(及び第2電極領域er2)と並ぶ。この第12部分領域14lも、第2電極22とのコンタクト領域として機能する。この第12部分領域14lを設けることにより、コンタクト領域が拡大できる。これにより、オン抵抗が低減できる。
【0051】
実施形態によれば、オン抵抗を低減できる半導体装置が提供できる。
【0052】
例えば、第1半導体領域11、第2半導体領域12、第3半導体領域13及び第4半導体領域14は、炭化珪素(SiC)を含む。これにより、高い耐圧が得られる。これらの半導体領域は、例えば、Al、N、PまたはAsなどを含んでも良い。
【0053】
この際、実施形態においては、第2電極22の少なくとも一部(上記の第1電極領域er1及び第2電極領域er2など)は、第1方向D1(X軸方向)において、第1電極21と重なる。そして、第2電極22のこの部分の下に、第2半導体領域12が設けられている。これにより、例えば、第1絶縁膜31に印加される電界が緩和される。例えば、第1電極領域er1の下の第2半導体領域12から、第1絶縁膜31に向かって空乏層が延びる。これにより、例えば、第1絶縁膜31に印加される電界が緩和される。これにより、高い信頼性が得られる。
【0054】
例えば、第2半導体領域12における第2導電形の不純物濃度が高いことにより、電界の緩和効果が大きくなる。
【0055】
例えば、第2半導体領域12における第2導電形の不純物の第1濃度と、第2半導体領域12における第1導電形の不純物の第2濃度と、の差は、第3半導体領域13における第2導電形の不純物の第
3濃度と、第3半導体領域13における第1導電形の前記不純物の第4濃度と、の差よりも大きい。例えば、第1濃度は、第2濃度よりも高い。第3濃度は、第4濃度よりも高い。
【0056】
一方、例えば、第4半導体領域14における第1導電形の不純物の第5濃度と、第4半導体領域14における第2導電形の不純物の第6濃度と、の差は、第1半導体領域11における第1導電形の不純物の第7濃度と、第1半導体領域11における第2導電形の不純物の第8濃度と、の差よりも大きい。例えば、第5濃度は、第6濃度よりも高い。第7濃度は、第8濃度よりも高い。
【0057】
第4半導体領域14における第1導電形の不純物濃度が高いことで、例えば、第2電極22と第4半導体領域14との間において、低いコンタクト抵抗が得られる。
【0058】
実施形態において、第1半導体領域11は、例えば、n層である。第2半導体領域12は、例えば、p+層である。第3半導体領域13は、例えば、p層である。第4半導体領域14は、n+層である。
【0059】
半導体領域がSiCを含む場合、第1導電形の不純物は、例えば、窒素(N)、燐(P)及び砒素(As)からなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2導電形の不純物は、例えば、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)及びゲルマニウム(Ge)からなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0060】
図1(b)に示すように、第2半導体領域12の下端は、第1絶縁膜31の下端よりも下に位置する。これにより、例えば、第1絶縁膜31に印加される電界が効果的に緩和できる。
【0061】
図1(b)に示すように、例えば、第2半導体領域12の第6部分領域12fと第1電極領域er1との間の境界BR2の第3方向D3(Z軸方向)における位置は、第1半導体領域11
の第2部分領域11bの第3方向D3における位置と、第1部分領域11aと第1絶縁膜31との間の境界BR1の第3方向D3における位置と、の間に位置する。
【0062】
例えば、境界BR1よりも下に境界BR2がある。この境界BR2よりもさらに下に第6部分領域12fがある。そして、第6部分領域12fのさらに下に、第2部分領域11bがある。
【0063】
図1(b)に示すように、第6部分領域12fの少なくとも一部は、第1方向D1(X軸方向)において、第1絶縁膜31と重ならない。
【0064】
図1(b)に示すように、第3電極23と第6部分領域12fとの間の第3方向D3に沿った距離dz2は、第3電極23と第1絶縁膜31との間の第3方向D3に沿った距離dz1よりも短い。
【0065】
このような構成により、例えば、第1絶縁膜31に印加される電界が効果的に緩和できる。
【0066】
図1(b)に示すように、第1半導体領域11の第3部分領域11cと、第2半導体領域の第7部分領域12gと、の間の境界Bpnが定義できる。この境界Bpnは、第1導電形の領域と、第2導電形の領域と、の間の境界に対応する。境界Bpnにおいて、例えば、第1導電形の不純物濃度は第2導電形の不純物濃度と実質的に同じになる。
【0067】
例えば、第1絶縁膜31と境界Bpnとの間の第1方向D1に沿った距離を第1幅w1とする。実施形態において、第1幅w1は、例えば、0.2μm以上2.5μm以下である。
【0068】
例えば、第1電極領域er1と第1絶縁膜31との間の第1方向D1に沿った距離を第2幅w2とする。第2幅w2は、例えば、0.5μm以上3μm以下である。
【0069】
例えば、第1半導体領域11の第2部分領域11bと、第2半導体領域12の第6部分領域12fと、の間の境界BR3と、第1絶縁膜31と第1部分領域11aとの間の境界BR1と、の間の第3方向D3に沿った距離を、高さh1とする。高さh1は、例えば、0.5μm以上3μm以下である。
【0070】
図3に示すように、第1電極領域er1と第2電極領域er2との間の第2方向D2に沿った距離を第3幅w3とする。第3幅w3は、例えば、0.5μm以上2μm以下である。第3幅w3は、例えば、約1μmである。第3幅w3は、例えば、第12部分領域14lの第2方向D2に沿った長さに対応する。第3幅w3は、例えば、第9部分領域12iの第2方向D2に沿った長さに対応する。
【0071】
図3及び
図5(b)に示すように、この例では、第1電極領域er1は、第3方向D3において第12部分領域14lと重ならない。第2電極領域er2は、第3方向D3において第12部分領域14lと重ならない。この例では、これらの電極領域は、第12部分領域14l及び第9部分領域12iにより分断される。後述するように、これらの電極領域の少なくとも一部が繋がっても良い。
【0072】
図4(a)に示すように、第1部分領域11aは、第1電極21が設けられる帯状の領域の少なくとも一部に対応する。この例では、第2部分領域11b、第5部分領域11e及び第4部分領域11dは、第2電極22の第1電極領域er1及び第2電極領域er2などが設けられる帯状の領域に対応する。
【0073】
図4(b)に示すように、この例では、第2半導体領域12は、第2方向D2に沿う帯状である。
【0074】
図4(c)に示すように、この例では、帯状の第2半導体領域12の中に、第1電極領域er1及び第2電極領域er2などが分離して設けられる。
【0075】
図5(a)に示すように、第1電極21は、第2方向D2に沿う帯状である。
【0076】
図5(a)及び
図1(b)に示すように、例えば、第1電極21は、第2方向D2及び第3方向D3に沿って延びる。第2方向D2及び第3方向D3は、半導体領域(例えば第1半導体領域11)のm面に沿う。例えば、第1方向D1(X軸方向)は、m面に対して実質的に垂直でも良い。例えば、第1方向D1は、a面に実質的に沿っても良い。
【0077】
図5(b)に示すように、境界Bpnは、第12部分領域14lに対応する部分において、部分的に後退する。このような形状は、例えば、後述する斜め注入などを含む製造方法により形成できる。
【0078】
図6(a)及び
図6(b)は、第1実施形態に係る別の半導体装置を例示する模式図である。
図6(a)及び
図6(b)は、それぞれ、
図1(a)の、A1−A2線、及び、E1−E2線断面に対応する断面図である。
【0079】
これらの図に示すように、本実施形態に係る別の半導体装置111においては、第2電極22は、複数の導電膜(第1導電膜22a及び第2導電膜22bなど)を含む。例えば、第2導電膜22bと第4半導体領域14との間に第1導電膜22aが設けられる。これ以外は、半導体装置110と同様である。
【0080】
第1導電膜22aは、例えば、Al及びNiからなる群から選択された少なくとも1つを含む。第1導電膜22aは、例えば、コンタクトメタル膜である。
【0081】
第2導電膜22bは、例えば、Al及びTiからなる群から選択された少なくとも1つ含む。第2導電膜22bは、例えば、ボンディングパッドの少なくとも一部を形成しても良い。
【0082】
第2電極22において、さらに他の導電膜が設けられても良い。これらの導電膜は、積層される。
【0083】
以下、実施形態に係る半導体装置の製造方法の例について説明する。以下の例は、半導体装置111の製造方法の例に対応する。
【0086】
図7(a)〜
図7(c)に示すように、第1半導体膜11Fが設けられる。例えば、図示しない基板の上においてエピタキシャル成長が行われ、第1半導体膜11Fが得られる。第1半導体膜11Fは、第1半導体領域11となる。第1半導体膜11Fは、第1導電形である。例えば、第1半導体膜11Fの上部分に第4半導体膜14Fが形成される。例えば、第1半導体膜11Fの上面
の近傍に、第1導電形の不純物がイオン注入される。これにより、第4半導体膜14Fが形成される。第4半導体膜14Fの一部が、第4半導体領域14となる。これらの半導体領域は、例えば、SiCを含む。
【0087】
第1半導体膜11F及び第4半導体膜1
4Fは、加工体PMに含まれる。
【0088】
図8(a)〜
図8(c)に示すように、開口部を有する第1マスクM1を用いて、第4半導体膜14Fの一部、及び、第1半導体膜11Fの一部を除去する。これにより、第1トレンチT1が形成される。第1トレンチT1は、複数の部分(第1部分T1a及び第2部分T1bなど)を含む。複数の部分は、X軸方向及びY軸方向において、並ぶ。第1部分T1aと第2部分T1bとを結ぶ方向は、Y軸方向に沿う。第1部分T1aの一部が、第2部分T1bの一部と繋がっていても良い。第1トレンチT1は、例えば、ソーストレンチとなる。第1トレンチT1の2つの部分(第1部分T1a及び第2部分T1b)の間の第2方向D2に沿う距離は、例えば、約1μmである。この距離は、第3幅w3(
図3参照)に対応する。
【0089】
図9(a)〜
図9(c)に示すように、第1元素Im1のイオン注入を行う。このイオン注入は、Z軸方向を軸として、斜め方向から行われる。例えば、イオン注入の方向を変更して複数回のイオン注入が行われても良い。第1元素Im1は、第2導電形の不純物なる元素である。第1元素Im1は、例えば、Alを含む。
【0090】
このように、加工体PMの上面PMfに対して傾斜した複数の方向から、第2導電形の元素(第1元素Im1)を注入する。
【0091】
図10(a)〜
図10(c)に示すように、第1マスクM1を除去する。上記のイオン注入により、第2導電形の第2半導体膜12Fが形成される。第1元素Im1が実質的に注入されない領域は、第1半導体領域となる。第2半導体膜12Fの一部が、第9部分領域12iとなる。第9部分領域12iとなる領域の上に設けられた第4半導体膜14Fが、第12部分領域14lとなる。
【0092】
図11(a)〜
図11(c)に示すように、第2元素Im2のイオン注入を行う。第2元素Im2は、第2導電形である。第2元素Im2は、例えば、Alを含む。このイオン注入は、第4半導体膜14Fを介して行われる。このイオン注入により、第3半導体領域13が形成される。第2半導体領域12及び第4半導体領域14が形成される。
【0093】
図12(a)〜
図12(c)に示すように、第2トレンチT2を形成する。第2トレンチT2は、例えば、ゲートトレンチとなる。
【0094】
図13(a)〜
図13(c)に示すように、絶縁膜31Fを形成し、さらに、第1電極21を形成する。後述するように、絶縁膜31Fは、第1絶縁膜31となる。第1電極21は、例えば、ポリシリコンである。絶縁膜31F(第1絶縁膜31)は、例えば、酸化シリコンを含む。
【0095】
図14(a)〜
図14(c)に示すように、第2絶縁膜32を形成する。第2絶縁膜32の形成の一部の処理において、絶縁膜31Fの一部が除去される。これにより、第1絶縁膜31が形成される。例えば、第4半導体領域14及び第2半導体領域12などが露出する。
【0096】
図15(a)〜
図15(c)に示すように、第1導電膜22aを形成する。
【0097】
図16(a)〜
図16(c)に示すように、第2導電膜22bを形成する。
【0098】
これにより、半導体装置111が作製される。
【0099】
以下、本実施形態に係る別の半導体装置のいくつかの例について説明する。以下の説明では、半導体装置110と異なる部分について説明する。以下の例の半導体装置においても、第2電極22に複数の導電膜(第1導電膜22a及び第2導電膜22bなど)を設けても良い。
【0100】
図17〜
図22は、第1実施形態に係る別の半導体装置を例示する模式図である。
これらの図は、それぞれ、
図1(b)のP1−P2線断面に対応する。
【0101】
図17に示すように、半導体装置111においては
、第1電極領域er1と第12部分領域14lとの間の境界Bnsは、第1方向D1に対して傾斜し、第2方向D2に対して傾斜している。
【0102】
境界Bnsが傾斜していることで、例えば、第1元素Im1の斜め方向からのイオン注入の回数が減る。例えば、生産性の高い半導体装置が得られる。
【0103】
図18に示すように、半導体装置112においては、第1電極領域er1及び第2電極領域er2のそれぞれのコーナー部に突出部が設けられる。突出部どうしの第2方向D2に沿う距離は、突出部以外どうしの第2方向D2に沿う距離よりも短い。
【0104】
図18に示すように、第1電極21は、第2方向D2(Y軸方向)に沿って延びている。第1電極領域er1及び第2電極領域er2は、第1方向D1(X軸方向)において第1電極21から離れる。第1電極領域er1は、第1内側領域eri1と、第1外側領域ero1と、を含む。第1外側領域ero1は、第1方向D1において第1内側領域eri1と第1電極21との間に位置する。第2電極領域er2は、第2内側領域eri2と、第2外側領域ero2と、を含む。第2外側領域ero2は、第1方向D1において第2内側領域eri2と第1電極21との間に位置する。
【0105】
第1外側領域ero1と第2外側領域ero2との間の第2方向D2に沿った距離を第2距離d2とする。第1内側領域eri1と第2内側領域eri2との間の第2方向D2に沿った距離を第1距離d1とする。半導体装置112においては、第2距離d2は、第1距離d1よりもよりも短い。
【0106】
このような構成により、例えば、境界Bpn(第3部分領域11cと第7部分領域12gとの間の境界)の後退の程度が小さくできる。これにより、例えば、第1絶縁膜31に印加される電界の緩和において、高い効果が維持できる。
【0107】
図19に示すように、半導体装置113においては、第1電極領域er1の一部が第2電極領域er2の一部と繋がっている。例えば、第2電極22は、第2電極22は、第5電極領域er5をさらに含む。第5電極領域er5は、第2方向D2(Y軸方向)において、第1電極領域er1の一部と第2電極領域er2の一部との間ある。第5電極領域er5は、第1電極領域er1のこの一部を、第2電極領域er2のこの一部と接続する。
【0108】
この例では、第5電極領域er5が設けられない部分において、第1電極領域er1と第2電極領域er2との間に、第4半導体領域14の第12部分領域14lが設けられる。
【0109】
図20に示すように、半導体装置114においても、第5電極領域er5が設けられる。
【0110】
図21に示すように、半導体装置115においても、第5電極領域er5が設けられる。この例では、第12部分領域14lは、第1電極21の側に設けられる。この例においては、帯状の第2電極22の一部に後退部が設けられていると見なすこともできる。後退部に、第12部分領域14lが設けられる。
【0111】
図22に示すように、半導体装置116においても、第5電極領域er5が設けられる。この例においては、帯状の第2電極22の一部に後退部が設けられていると見なすこともできる。帯状の第2電極22の両側に後退部が設けられる。この後退部に、第12部分領域14lが設けられる。複数の後退部は、帯状の第2電極22の両側において、交互に設けられる。複数の第12部分領域14lは、第2電極22の両側において、交互に設けられる。
【0112】
半導体装置111〜116においても、第12部分領域14lが設けられる。これにより、例えば、コンタクト抵抗を低減できる。例えば、オン抵抗を低減できる半導体装置が提供できる。
【0113】
(第2実施形態)
本実施形態は、半導体装置
の製造方法に係る。
この製造方法においては、例えば、加工体PMの上面PMfに、複数の部分を含む第1トレンチT1を形成する(
図8(a)〜
図8(c)参照)。加工体PMは、第1導電形の第1半導体膜11Fを含む。この複数の部分は、例えば、第1部分T1a及びT1bなどを含む。
【0114】
この製造方法は、第1トレンチT1の形成の後に、第2導電形の元素を注入することを含む(
図9(a)〜
図9(c)参照)。第2導電形の元素は、例えば、第1元素Im1を含む。この注入は、上面PMfに対して傾斜する複数の方向から、加工体PMに、この元素を注入することを含む。
【0115】
これにより、
図10(a)〜
図10(c)に関して説明したように、第2半導体領域12の第9部分領域12iに対応する領域、及び、第4半導体領域14の第12部分領域1
4lに対応する部分が形成できる。
【0116】
本実施形態に係る製造方法によれば、オン抵抗を低減できる半導体装置の製造方法が提供できる。
【0117】
実施形態によれば、オン抵抗を低減できる半導体装置及びその製造方法を提供することができる。
【0118】
本願明細書において、「電気的に接続される状態」は、複数の導電体が物理的に接してこれら複数の導電体の間に電流が流れる状態を含む。「電気的に接続される状態」は、複数の導電体の間に、別の導電体が挿入されて、これらの複数の導電体の間に電流が流れる状態を含む。
【0119】
本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれば良い。
【0120】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、半導体装置に含まれる半導体領域、電極及び絶縁膜などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0121】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0122】
その他、本発明の実施の形態として上述した半導体装置及びその製造方法を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての半導体装置及びその製造方法も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0123】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0124】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。