(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
酸素及び不活性ガスの混合ガスを誘導結合型大気圧マイクロプラズマ装置に供給し、該誘導結合型大気圧マイクロプラズマ装置で発生させたプラズマ反応場において前記酸素を活性化させた後、さらに塩素を、プラズマ反応場を通ることなく供給して活性化後の前記酸素と反応させることにより、二酸化塩素ガスを生成する、二酸化塩素ガスの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の方法のように、塩酸と亜塩素酸ナトリウムとを一定の割合で混合させると、通常、以下の化学式(1)に示すような化学反応によって二酸化塩素が発生する。
5NaClO
2+4HCl → 4ClO
2+5NaCl+2H
2O ・・・(1)
【0006】
特許文献1には、二酸化塩素ガスは殺菌又は消臭作用を有していることから、水に溶解させて水溶液として使用し、プールの殺菌や食品加工物の殺菌等に使用されることも記載されている。一方、上記化学式(1)に示したように、塩酸と亜塩素酸ナトリウムとを反応させた場合、副生成物として水と塩化ナトリウムが残留する。この問題を解決するため、特許文献1には、水と塩化ナトリウムを排出するための塩水排出口を設けることで、連続で二酸化塩素ガスを発生させることができるとの記載がある。しかしながら、上記のような塩水は産業廃棄物として扱われることから、その処理に費用や時間がかかるという問題がある。
【0007】
また、特許文献2及び特許文献3に記載の方法で二酸化塩素ガスを生成させた場合、二酸化塩素のモル濃度が10%を超えると、急激な化学反応が生じるおそれがある。また、特許文献2及び特許文献3に記載の方法を用いた場合、二酸化塩素の許容濃度が0.1ppm(TLV−TWA:1日8時間、及び、1週間に40時間の労働時間の場合の荷重平均濃度)であることに伴い、二酸化塩素を安全に取り扱うためには、厳重な濃度管理が必要となる。また、特許文献2及び特許文献3に記載の方法を用いた場合には、亜塩素酸ナトリウムや酸性液体の量を調整したり、ヒーターの温度を調整したりする等、管理が煩雑となり、また、濃度のコントロールが難しくなるという問題がある。
【0008】
さらに、特許文献1〜3に記載の技術では、その化学反応に起因して高濃度の二酸化塩素ガスが発生するため、取り扱いが難しいという問題があった。
【0009】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、取り扱いの難しい廃棄物を排出することがなく、また、生成する二酸化塩素ガスの濃度のコントロールが容易であって、安全且つ効率よく二酸化塩素ガスを生成させることが可能な二酸化塩素ガスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明は、以下の態様を包含する
。
【0011】
即ち、本発明は、酸素及び不活性ガスの混合ガスを誘導結合型大気圧マイクロプラズマ装置に供給し、該誘導結合型大気圧マイクロプラズマ装置で発生させたプラズマ反応場において前記酸素を活性化させた後、さらに塩素を
、プラズマ反応場を通ることなく供給して活性化後の前記酸素と反応させることにより、二酸化塩素ガスを生成する、二酸化塩素ガスの製造方法を提供する。
【0012】
本発明によれば、上記のように
、酸素及び不活性ガスの混合ガスを誘導結合型大気圧マイクロプラズマ装置に供給し、装置内で発生したプラズマ反応場で活性化して反応させる方法とすることで、従来に比べて安全で容易、且つ、効率的に二酸化塩素ガスを製造することが可能になる。
また、原料ガスとして、塩素、酸素、及び不活性ガスのみを用いる方法なので、塩化ナトリウムや水のような副生成物が生成されないことから、廃棄物処理が不要になる。
さらに、塩素の濃度を調整した場合には、急激な化学反応が生じない程度の濃度、且つ、人体に影響を与えることのない濃度で二酸化塩素ガスを生成させることが可能となる。
また、二酸化塩素ガスを空気で簡単に希釈することができるため、より安全な製造工程が実現できる。
【0013】
また、本発明の二酸化塩素ガスの製造方法は、上記構成において、前記不活性ガスが希ガスであることがより好ましい。
不活性ガスとして希ガスを用いることで、濃度のコントロールがより容易になり、より安全且つ効率的に二酸化塩素ガスを製造することが可能になる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る二酸化塩素ガスの製造方法によれば、上記構成により、塩化ナトリウムや水のような副生成物を生成させることがない。また、塩素ガスの濃度を調整することで、所定の濃度の二酸化塩素ガスを、より安全で容易、且つ、効率的に生成させることが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を適用した一実施形態である二酸化塩素ガスの製造方法について、図面を適宜参照しながら説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、以下の説明において例示される材料等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0017】
<第1の実施形態>
以下、本発明にかかる二酸化塩素ガスの製造方法の第1の実施形態について、
図1を参照しながら詳述する。
本実施形態の二酸化塩素ガスの製造方法は、塩素、酸素、及び不活性ガスの混合ガスを誘導結合型大気圧マイクロプラズマ装置に供給し、この誘導結合型大気圧マイクロプラズマ装置で発生させたプラズマ反応場において、塩素及び酸素を活性化して反応させることにより、二酸化塩素ガスを生成する方法である。
【0018】
本実施形態の二酸化塩素ガスの製造方法は、従来から二酸化塩素ガスの製造に用いられている、亜塩素酸ナトリウムと酸性液、特に塩酸との化学反応を利用する方法とは異なり、上記のように、塩素ガスと酸素ガスとを、誘導結合型大気圧マイクロプラズマ装置で発生したプラズマ反応場で活性化して反応させ、二酸化塩素ガスを生成させる方法を採用している。
【0019】
[誘導結合型大気圧マイクロプラズマ装置]
図1は、本実施形態の二酸化塩素ガスの製造方法で用いることができる、誘導結合型大気圧マイクロプラズマ装置(以下、マイクロプラズマ装置と略称することがある)の一例を示す模式図である。
図1に示すマイクロプラズマ装置10は、ガス供給部1、プラズマ発生部2、電磁波エネルギー供給部3、LF/HV発生器4、電源部5、アルミプレート6及び捕集層7を備えて概略構成されている。
【0020】
ガス供給部1は、プラズマ発生部2に、二酸化塩素ガスの原料となる混合ガスを供給するものであり、塩素供給管1A、酸素供給管1B及び不活性ガス供給管1Cを備えている。図示例のガス供給部1は、塩素供給管1Aと酸素供給管1Bとが合流するように接続されることで、塩素A(塩素ガス)と酸素(酸素ガス)Bとを混合させて混合管1Dに送出できるように構成されている。また、不活性ガス供給管1Cは、混合管1Dの途中に接続され、塩素Aと酸素Bとが混合したガスに、さらに不活性ガスCを混合することで、混合ガスDを生成できる構成とされている。
【0021】
プラズマ発生部2は、後述の電磁波エネルギー供給部3から供給される電磁波エネルギー、及び、上記の混合ガスDに含まれる不活性ガスCによって、プラズマ反応場Rを発生させるものであり、図示例では筒状に構成されている。プラズマ発生部2には、上記のガス供給部1に設けられる混合管1Dが接続され、プラズマ反応場Rとなるプラズマ発生部2内に、塩素A、酸素B及び不活性ガスCからなる混合ガスDを供給できる構成とされている。プラズマ発生部2は、上記構成により、プラズマ反応場Rにおいて二酸化塩素ガスGを生成する。
【0022】
電磁波エネルギー供給部3は、上記のように、電磁波エネルギーを発生させてプラズマ発生部2に向けて供給するものである。電磁波エネルギー供給部3は、後述のLF/HV発生器4から供給される低周波高圧電源によって電磁波エネルギーを発生させ、この電磁波エネルギーを上記のプラズマ発生部2の内部(プラズマ反応場R)に供給する。図示例の電磁波エネルギー供給部3は、プラズマ発生部2と同様、筒状に構成され、プラズマ発生部2の外周面の一部を覆うように構成されている。
【0023】
LF/HV発生器4は、電源部5から供給される交流電源から、低周波高圧電源(LF/HV)を発生させるものである。
電源部5としては、特に限定されず、例えば、通常の商用電源(交流電源)を何ら制限無く用いることができる。
【0024】
アルミプレート6は、プラズマ発生部2における混合ガスDの導入側とは反対側の端部が接続されるとともに、このプラズマ発生部2に対応する部分が貫通口6Aとされている。このアルミプレート6は、後述の捕集層7の上部開口を覆うように設置される。
【0025】
捕集層7は、プラズマ発生部2で生成された二酸化塩素ガスGを捕集するための槽状部材であり、上記のように、上部開口がアルミプレート6によって覆われている。
図1に示すように、捕集層7は、プラズマ発生部2で生成された二酸化塩素ガスGが、アルミプレート6に設けられた貫通口6Aを介して内部に導入されるように構成されている。
また、図示例においては、捕集層7の内部に水Wが収容されており、内部に導入された二酸化塩素ガスGが水Wに達し、この水Wに二酸化塩素ガスGを溶解させることが可能な構成とされている。
【0026】
[二酸化塩素ガスの製造方法]
本実施形態の二酸化塩素ガスGの製造方法においては、上記構成を備えるマイクロプラズマ装置10を用い、まず、ガス供給部1において、塩素A、酸素B、及び不活性ガスCの各ガスからなる混合ガスDを調製する。
次いで、ガス供給部1で得られた混合ガスDをプラズマ発生部2に供給する。この際、プラズマ発生部2内には、電磁波エネルギー供給部3から電磁波エネルギーが供給されている。これにより、プラズマ発生部2内において、電磁波エネルギー、及び、混合ガスDに含まれる不活性ガスCにより、プラズマ反応場Rが発生した状態となる。
そして、プラズマ反応場Rにおいて、塩素A及び酸素Bがそれぞれ活性化され、これらの間で化学反応が生じる。これにより、二酸化塩素ガスGを生成することができる。
【0027】
そして、プラズマ発生部2内のプラズマ反応場Rで生成された二酸化塩素ガスGは、上記の捕集層7内に導入された後、例えば、二酸化塩素ガスGを使用する工程等に配管等を介して送出されるか、あるいは、ボンベ等に充填される。
なお、本実施形態においては、捕集層7内に貯留された水Wに二酸化塩素ガスGを溶解させることが可能な構成を示しているが、必ずしもその必要性は無く、例えば、捕集層7内には水を収容せず、この中に導入された二酸化塩素ガスGをそのまま捕集してもよい。
【0028】
本実施形態の二酸化塩素ガスGの製造方法において用いられる塩素Aとしては、二酸化塩素ガスを製造する際に一般的に用いられる塩素ガスを何ら制限無く用いることができる。
また、本実施形態の製造方法で用いられる酸素Bとしても、この分野で一般的に用いられる酸素ガスを何ら制限無く用いることができる。
【0029】
また、プラズマ反応場を形成するために用いる不活性ガスとしては、特に限定されないが、希ガスを用いることが、濃度のコントロールがより容易になり、より安全且つ効率的に二酸化塩素ガスを製造することが可能になる観点から好ましい。より具体的には、不活性ガスとして、アルゴン又はヘリウムを用いることができる。
【0030】
なお、本実施形態においては、混合ガスD中における塩素A、酸素B及び不活性ガスCの割合は、特に限定されないが、不活性ガスCを、良好なプラズマPを発生できる量で供給できるとともに、塩素A及び酸素Bを、二酸化塩素ガスGの収率が高められる供給できる割合とすることが好ましい。より具体的には、{塩素A:酸素B:不活性ガスC}の割合を{0.5〜2:0.5〜2:96〜99}の範囲で設定することが好ましく、{0.5〜1:1〜2:97〜98.5}の範囲で設定することがより好ましい。
【0031】
[作用効果]
本実施形態の二酸化塩素ガスGの製造方法によれば、上記のように、塩素A、酸素B、及び不活性ガスCの混合ガスDをマイクロプラズマ装置10に供給し、プラズマ発生部2で発生したプラズマ反応場Rで塩素Aと酸素Bとを活性化して反応させる方法とすることで、従来に比べて安全で容易、且つ、効率的に二酸化塩素ガスを製造することが可能になる。
また、原料ガスとして、塩素、酸素、及び不活性ガスのみを用いるため、塩化ナトリウムや水のような副生成物が生成されないことから、廃棄物処理が不要になる。
さらに、塩素の濃度を調整した場合には、急激な化学反応が生じない程度の濃度、且つ、人体に影響を与えることのない濃度で二酸化塩素ガスを生成させることが可能となる。また、二酸化塩素ガスを空気で簡単に希釈することができるため、より安全で容易、且つ、効率的に二酸化塩素ガスを製造することが可能になる。
【0032】
<第2の実施形態>
以下、本発明にかかる二酸化塩素ガスの製造方法の第2の実施形態について、
図2を参照しながら詳述する。
なお、以下の説明においては、上述した第1の実施形態と共通する構成については、同じ符号を付与するとともに、その詳細な説明を省略する場合がある。
【0033】
本実施形態の二酸化塩素ガスの製造方法は、酸素及び不活性ガスの混合ガスを誘導結合型大気圧マイクロプラズマ装置に供給し、この誘導結合型大気圧マイクロプラズマ装置で発生させたプラズマ反応場において酸素を活性化させた後、さらに塩素を供給して活性化後の酸素と反応させることにより、二酸化塩素ガスを生成する方法である。即ち、本実施形態の二酸化塩素ガスの製造方法は、酸素及び不活性ガスを誘導結合型大気圧マイクロプラズマ装置に供給して活性化させた後に塩素を供給し、塩素がプラズマ反応場を通ることなく混合される点で、第1の実施形態の製造方法とは異なる。
【0034】
[誘導結合型大気圧マイクロプラズマ装置]
図2の模式図に、本実施形態の二酸化塩素ガスの製造方法で用いることのできる、マイクロプラズマ装置の一例を示す。
図2に示すマイクロプラズマ装置20は、第1ガス供給部21、第2ガス供給部22、プラズマ発生部2、電磁波エネルギー供給部3、LF/HV発生器4、電源部5、アルミプレート6及び捕集層7を備えて概略構成されている。即ち、本実施形態の製造方法で用いられるマイクロプラズマ装置20は、第1の実施形態のマイクロプラズマ装置10で用いられているガス供給部1に代わり、第1ガス供給部21及び第2ガス供給部22を備えている点で、マイクロプラズマ装置10とは異なる。
【0035】
第1ガス供給部21は、プラズマ発生部2に、酸素B及び不活性ガスCを供給するものであり、酸素供給管21B及び不活性ガス供給管21Cを備えている。
図2に示す例の第1ガス供給部21は、酸素供給管21Bと不活性ガス供給管21Cとが合流するように接続されることで、酸素Bと不活性ガスCとを混合させて混合管21Dに送出できるように構成されている。そして、混合管21Dは、二酸化塩素ガスGを生成させるプラズマ発生部2の前段側、即ち、
図2中における二酸化塩素ガスGの排出側とは反対側に接続されている。
【0036】
第2ガス供給部22は、プラズマ発生部2に塩素Aを供給するものである。
図2に示すように、第2ガス供給部22は、酸素B及び不活性ガスCを供給する酸素供給管21B及び不活性ガス供給管21Cとは合流することなく、プラズマ発生部2に直に接続されている。また、図示例では、第2ガス供給部22は、プラズマ発生部2において、二酸化塩素ガスGの排出側の近傍に接続されている。即ち、第2ガス供給部22は、プラズマ発生部2における下流側に接続され、プラズマ発生場Rを通過しない位置で塩素Aを供給するものである。
【0037】
即ち、本実施形態で用いるマイクロプラズマ装置20は、塩素Aについてはプラズマによる活性化処理を行うことなく、酸素Bのみを活性化した後に、これらを混合し、二酸化塩素ガスGを生成させるものである。
【0038】
[二酸化塩素ガスの製造方法]
本実施形態の二酸化塩素ガスGの製造方法においては、上記構成を備えるマイクロプラズマ装置20を用い、まず、ガス供給部21において、酸素B及び不活性ガスCの各ガスからなる混合ガスDを調製する。
次いで、ガス供給部21で得られた酸素B及び不活性ガスCをプラズマ発生部2に供給する。この際、第1の実施形態の場合と同様、プラズマ発生部2内には電磁波エネルギー供給部3から電磁波エネルギーが供給されているので、電磁波エネルギー、及び、混合ガスDに含まれる不活性ガスCにより、プラズマ反応場Rが発生した状態となる。
そして、プラズマ反応場Rにおいて酸素Bが活性化された後、プラズマ発生部2の下流側において塩素Aを供給し、活性化された酸素Bと混合することで、これらの間で化学反応が生じる。これにより、二酸化塩素ガスGを生成することができる。
【0039】
そして、第1の実施形態の場合と同様、プラズマ発生部2内で生成された二酸化塩素ガスGは、上記の捕集層7内に導入された後、例えば、二酸化塩素ガスGを使用する工程等に配管等を介して送出されるか、あるいは、ボンベ等に充填される。
【0040】
本実施形態の二酸化塩素ガスGの製造方法において用いられる塩素A、酸素B及び不活性ガスCとしては、第1の実施形態で説明したものと同様のものを用いることができる。
また、本実施形態では、塩素A、酸素B及び不活性ガスCの混合形態やタイミングが第1の実施形態とは異なるものの、これらの割合については、第1の実施形態の場合と同様とすることができる。
【0041】
[作用効果]
本実施形態の二酸化塩素ガスGの製造方法によれば、上記のように、塩素A、酸素B、及び不活性ガスCの混合ガスDをマイクロプラズマ装置10に供給し、プラズマ発生部2で発生したプラズマ反応場Rで酸素Bを活性化した後、塩素Aを供給して反応させる方法とすることで、第1の実施形態の場合と同様、安全で容易、且つ、効率的に二酸化塩素ガスを製造することが可能になる。
また、上記同様、原料ガスとして塩素、酸素、及び不活性ガスのみを用いるので、塩化ナトリウムや水のような副生成物が生成されないことから廃棄物処理が不要になる。
さらに、上記同様、塩素の濃度を調整した場合には、急激な化学反応が生じない程度の濃度、且つ、人体に影響を与えることのない濃度で二酸化塩素ガスを生成させることが可能となる。また、二酸化塩素ガスを空気で簡単に希釈することができるため、より安全で容易、且つ、効率的に二酸化塩素ガスを製造することが可能になる。
【実施例】
【0042】
以下、実施例により、本発明に係る二酸化塩素ガスの製造方法についてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0043】
<実施例1>
実施例1においては、
図1に示すような誘導結合型大気圧マイクロプラズマ装置10を用い、塩素A、酸素B、及び不活性ガスCであるアルゴンガスからなる混合ガスDをプラズマ発生部2に供給し、得られた二酸化塩素ガスGを水Wに溶解させ、この水Wを用いて二酸化塩素ガスGの分析を行った。
【0044】
この際、混合ガスDは、{塩素A:酸素B:不活性ガスC}の割合を{0.5:1:98.5}とした。
また、混合ガスDのプラズマ発生部2への供給速度を120L/hrとした。
また、プラズマ発生条件としては、電磁波エネルギー供給部3に供給される低周波高圧電源の電圧及び電流を、100V及び0.12Aとした。
【0045】
そして、水Wに溶解した二酸化塩素ガスGについて、一般的な上水試験のジエチル−p−フェニレンジアミン(DPD)法と同一の発色原理を用いた、市販の水質測定器(商品名:パックテスト(登録商標);株式会社共立理化学研究所製)を用いて分析評価した。
この結果、塩素A、酸素B及びアルゴンガスからなる混合ガスDをプラズマ発生部2に供給し、プラズマ反応場Rに通すことで二酸化塩素ガスが生成されることが確認できた。
【0046】
一方、実施例1においては、比較実験として、塩素ガスとアルゴンガスの混合ガス、及び、酸素ガスとアルゴンガスの混合ガスの2種の混合ガスを、それぞれ単独でマイクロプラズマ装置に供給し、プラズマ反応場に通す実験を行ったが、何れの場合にも、二酸化塩素ガスは生成されなかった。
【0047】
<実施例2>
実施例2においては、
図2に示すような誘導結合型大気圧マイクロプラズマ装置20を用い、酸素B及び不活性ガスCであるアルゴンガスからなる混合ガスDをプラズマ発生部2に供給し、さらに、プラズマ反応場Rを通過した混合ガスDに対して塩素Aを混合させ、二酸化塩素ガスGを生成した。
そして、得られた二酸化塩素ガスGを水Wに溶解させ、この水Wを用いて、実施例1と同様の方法で二酸化塩素ガスGの分析を行った。
【0048】
この際、混合ガスDの割合としては、{酸素B:不活性ガスC}の割合を{1:99}とするとともに、さらに、後段で供給する塩素Aも含めた{塩素A:酸素B:不活性ガスC}の割合を{1:2:97}とした。
また、混合ガスDのプラズマ発生部2への供給速度を60L/hrとした。
また、プラズマ発生条件としては、電磁波エネルギー供給部3に供給される低周波高圧電源の電圧及び電流を、100V及び0.12Aとした。
【0049】
そして、水Wに溶解した二酸化塩素ガスGについて、上記同様の方法で分析評価した結果、酸素B及びアルゴンガスからなる混合ガスDをプラズマ発生部2に供給してプラズマ反応場Rに通した後、プラズマ反応場Rを通さない塩素Aと混合させた場合においても、二酸化塩素ガスが生成されることを確認した。これにより、活性化された酸素Bと、活性化されていない塩素Aとの間での反応でも、二酸化塩素ガスが生成されることが確認できた。
【0050】
一方、実施例2においては、比較実験として、塩素ガスとアルゴンガスの混合ガスの混合ガスをプラズマ発生部に供給し、さらに、プラズマ反応場を通過した混合ガスに対して酸素ガスを混合させる実験を行ったが、この場合には二酸化塩素ガスは生成されなかった。
【0051】
<実験例>
本実験例においては、誘導結合型大気圧マイクロプラズマ装置を用いて発生させた反応場ではなく、市販のオゾナイザー(住友精密工業株式会社製:SG−01A)で発生させたプラズマ反応場に、塩素ガス、酸素ガス、及びアルゴンガスからなる混合ガスを供給して二酸化塩素ガスの生成の有無を確認した。分析評価方法としては、上記実施例1,2と同じ方法を用いた。
【0052】
この結果、オゾナイザーで発生させたプラズマ反応場に上記の混合ガスを通した場合には、二酸化塩素ガスは生成されないことが確認された。