(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明に係る半導体装置としての半導体チップに形成されている通信装置100の構成を示すブロック図である。
【0014】
通信装置100は、アンテナ10、インピーダンス整合回路11、ローノイズアンプ12、復調部13、インピーダンス整合回路21、パワーアンプ22、変調部23、及び制御部20を有する。尚、受信アンプとしてのローノイズアンプ12、及び復調部13が通信装置100の受信部を構成し、送信アンプとしてのパワーアンプ22、及び変調部23が通信装置100の送信部を構成する。
【0015】
インピーダンス整合回路11は、アンテナ10で受信した高周波の受信信号RFをアンテナ線ALを介して受ける。インピーダンス整合回路11は、コンデンサC1、C2、及びインダクタL1を含む共振回路と、スイッチ素子SW1と、を含む。
【0016】
コンデンサC1の一端はアンテナ線ALを介してアンテナ10に接続されており、その他端はノードn1を介してインダクタL1の一端、コンデンサC2の一端、及びローノイズアンプ12の入力端に夫々接続されている。インダクタL1の他端には接地電位VSSが印加されている。コンデンサC2の他端はスイッチ素子SW1に接続されている。スイッチ素子SW1は、制御部20から送信イネーブル信号TEが供給されている場合にはオフ状態となる。これにより、コンデンサC2の他端はハイインピーダンス状態となる。また、スイッチ素子SW1は、当該送信イネーブル信号TEが供給されていない場合にはオン状態となり、この際、接地電位VSSをコンデンサC2の他端に印加する。
【0017】
かかる構成により、インピーダンス整合回路11は、アンテナ10のインピーダンスを受信部(12、13)の入力インピーダンスに整合させるインピーダンス変換処理を、アンテナ10で受信した受信信号RFに施す。尚、受信部(12、13)の入力インピーダンスとは、実質的にはローノイズアンプ12の入力インピーダンスである。インピーダンス整合回路11は、当該インピーダンス変換処理によって得られた受信信号RXをノードn1を介してローノイズアンプ12に供給する。
【0018】
ローノイズアンプ12は、制御部20から受信イネーブル信号REの供給を受けている場合にイネーブル状態となり、当該受信信号RXを増幅した増幅受信信号RXAを、復調部13に供給する。
【0019】
復調部13は、制御部20から受信イネーブル信号REの供給を受けている場合にイネーブル状態となり、増幅受信信号RXAに対して復調処理を施すことにより、音声、映像又は文字等を表す情報データを復元する。
【0020】
尚、上記したローノイズアンプ12及び復調部13は、受信イネーブル信号REの供給を受けていない場合は共にディスエイブル状態となり、上記した動作を停止する。
【0021】
変調部23は、制御部20から送信イネーブル信号TEの供給を受けている場合にイネーブル状態となり、送信対象である情報データに基づき搬送波信号を変調して得られた変調信号TXをパワーアンプ22に供給する。
【0022】
パワーアンプ22は、制御部20から送信イネーブル信号TEの供給を受けている場合にイネーブル状態となり、変調信号TXを増幅して得られた信号を送信信号TXAとして、インピーダンス整合回路21に供給する。
【0023】
尚、パワーアンプ22及び変調部23は、送信イネーブル信号TEの供給を受けていない場合は共にディスエイブル状態となり、上記した動作を停止する。
【0024】
インピーダンス整合回路21は、インダクタL2、コンデンサC3及びC4からなるパイ型の共振回路と、スイッチ素子SW2及びSW3と、を含む。
【0025】
コンデンサC3の一端及びインダクタL2の一端はアンテナ線ALを介してアンテナ10に接続されている。コンデンサC3の他端はスイッチ素子SW2に接続されている。スイッチ素子SW2は、制御部20から受信イネーブル信号REが供給されている場合にはオフ状態となる。これにより、コンデンサC3の他端はハイインピーダンス状態となる。また、スイッチ素子SW2は、当該受信イネーブル信号REが供給されていない場合にはオン状態となり、この際、接地電位VSSをコンデンサC3の他端に印加する。インダクタL2の他端はノードn2を介してコンデンサC4の一端及びパワーアンプ22の出力端に接続されている。コンデンサC4の他端はスイッチ素子SW3に接続されている。スイッチ素子SW3は、制御部20から受信イネーブル信号REが供給されている場合にはオフ状態となる。これにより、コンデンサC4の他端はハイインピーダンス状態となる。また、スイッチ素子SW3は、当該受信イネーブル信号REが供給されていない場合にはオン状態となり、この際、接地電位VSSをコンデンサC4の他端に印加する。
【0026】
かかる構成により、インピーダンス整合回路21は、送信部(22、23)の出力インピーダンスをアンテナ10のインピーダンスに整合させるインピーダンス変換処理を、送信信号TXAに施す。尚、送信部(22、23)の出力インピーダンスとは、実質的にはパワーアンプ22の出力インピーダンスである。インピーダンス整合回路21は、当該インピーダンス変換処理によって得られた送信信号TFをアンテナ線ALを介してアンテナ10に供給する。
【0027】
制御部20は、受信部(12、13)を動作させる受信モード時には、上記した受信イネーブル信号REを生成し、これをローノイズアンプ12、復調部13及びインピーダンス整合回路21に供給する。また、制御部20は、送信部(22、23)を動作させる送信モード時には、上記した送信イネーブル信号TEを生成し、これをパワーアンプ22、変調部23及びインピーダンス整合回路11に供給する。尚、制御部20は、インピーダンス整合回路11、ローノイズアンプ12、復調部13、インピーダンス整合回路21、パワーアンプ22及び変調部23に対して、受信イネーブル信号RE及び送信イネーブル信号TEを同時に供給することはない。
【0028】
これにより、制御部20は、受信モード時には、受信部(12、13)を動作させ、送信部(22、23)の動作を停止させる。更に、当該受信モード時には、インピーダンス整合回路21に含まれるスイッチ素子SW2及びSW3を共にオフ状態にすることにより、コンデンサC3及びC4各々の他端をハイインピーダンス状態に設定する。
【0029】
また、制御部20は、送信モード時には、送信部(22、23)を動作させ、受信部(12、13)の動作を停止させる。更に、当該送信モード時には、インピーダンス整合回路11に含まれるスイッチ素子SW1をオフ状態にすることにより、コンデンサC2の他端をハイインピーダンス状態に設定する。
【0030】
尚、
図1に示すインピーダンス整合回路11及び21は、他のモジュール(12、13、20、22、23)と共に、単一の半導体チップに形成される。
【0031】
インピーダンス整合回路11に含まれるインダクタL1、及びインピーダンス整合回路21に含まれるインダクタL2は、当該半導体チップの例えば金属配線によって形成される。
【0032】
図2は、半導体チップ内に構築されたインダクタL1及びL2の形態の一例を示す正面図である。
【0033】
図2に示すように、インダクタL1及びL2は、例えば円形の螺旋状に形成した金属配線からなる。
【0034】
尚、インダクタL1は、半導体チップに積層されている複数の絶縁層のうちの1つに形成されており、インダクタL2は、インダクタL1が形成されている絶縁層とは異なる絶縁層に形成されている。
【0035】
図3は、
図2に示すW1−W1線での半導体チップの断面を示す断面図である。
図3に示すように、当該半導体チップは、送信部(22、23)の形成領域Q1及び受信部(12、13)の形成領域Q2を含む半導体基板SSBと、絶縁層LY1〜LY5と、を有する。絶縁層LY1〜LY5は、
図3に示すように、半導体基板SSB上において、当該半導体基板SSBの表面に垂直な方向に積層されている。
【0036】
インダクタL1は、金属配線層ML1により
図2に示すような螺旋状の形態で絶縁層LY3内に形成されている。インダクタL1の端部e1はビアVAを介して、絶縁層LY2内に形成されている金属配線層ML2に接続されている。当該金属配線層ML2には、例えば
図1に示すコンデンサC1、C2、及びローノイズアンプ12の入力端が接続され、インダクタL1の端部e2には接地電位VSSが印加される。
【0037】
インダクタL2は、金属配線層ML3により
図2に示すような螺旋状の形態で絶縁層LY5内に形成されている。インダクタL2の端部e3はビアVAを介して、絶縁層LY4内に形成されている金属配線層ML4に接続されている。当該金属配線層ML4には、例えば
図1に示すコンデンサC4及びパワーアンプ22の出力端が接続され、端部e4にはコンデンサC3及びアンテナ線ALが接続される。
【0038】
ここで、インダクタL1及びL2は、半導体基板SSBの表面に垂直な方向において、当該インダクタL1及びL2の形成領域の全て又は一部同士が互いに重なるように、夫々の絶縁層(LY3、LY5)内の位置に形成されている。
【0039】
これにより、絶縁層LY5に形成されているインダクタL2の真上から、インダクタL1及びL2を眺めた場合、
図2に示すインダクタL1の形成領域Ar1と、
図2に示すインダクタL2の形成領域Ar2とが、
図4或いは
図5に示すように重なる。
【0040】
尚、
図4は、半導体基板SSBの表面に垂直な方向において、インダクタL1の形成領域Ar1の全てが、インダクタL2の形成領域Ar1と重なるように、インダクタL1及びL2を絶縁層(LY3、LY5)に形成した場合の状態を示す。
【0041】
一方、
図5は、半導体基板SSBの表面に垂直な方向において、インダクタL1の形成領域Ar1、及びインダクタL2の形成領域Ar2の一部同士が重なるように、インダクタL1及びL2を絶縁層(LY3、LY5)に形成した場合の状態を示す。尚、
図5に示す一例では、インダクタL1及びL2として、
図2に示すような螺旋状又は円形のループ状のものを採用している。更に、
図5では、インダクタL1の形成領域Ar1の中心点J1から、半導体基板SSBの表面に沿った方向に所定距離LEGだけ、インダクタL2の形成領域Ar2の中心点J2を離間するように、インダクタL1及びL2を夫々の絶縁層(LY3、LY5)に形成する。尚、所定距離LEGは、インダクタL1の形成領域Ar1の半径rよりも大きい。
【0042】
これにより、インダクタL1及びL2を半導体基板SSBの表面に沿った方向に並べて配置した場合に比べて、半導体基板SSBの表面上におけるインダクタL1及びL2の占有面積を小さくすることができるので、通信装置100の小型化を図ることが可能となる。
【0043】
尚、
図5に示すように、インダクタL1及びL2各々の形成領域の一部を重ねた場合には、
図4に示すように全領域を重ねた場合に比べてインダクタの占有面積は大きくなるが、両者の中心軸がずれた分だけ相互インダクタンスが小さくなり、送信側と受信側の干渉による悪影響、例えばノイズの発生が抑制される。
【0044】
ところで、
図1に示す通信装置100では、アンテナ線ALによって、インピーダンス整合回路11と、インピーダンス整合回路21とが電気的に接続されている。
【0045】
これにより、送信モード時には、送信部(22、23)で生成された送信信号TFに伴う無効な電流がアンテナ線ALを介して、インピーダンス整合回路11に供給される。この際、かかる無効電流がインピーダンス整合回路11内に流れ込むと、当該インピーダンス整合回路11内で無効な電力が消費される。従って、送信電力及び送信効率の低下を招く虞が生じる。更に、インピーダンス整合回路11での共振動作に伴い、不要輻射の抑制が困難になる。
【0046】
一方、受信モード時には、受信した受信信号RFに伴う無効な電流がアンテナ線ALを介して、インピーダンス整合回路21に供給される。よって、かかる無効電流がインピーダンス整合回路21内に流れ込むと、
図1に示すパイ型の共振回路が共振動作する。この際、
図4又は
図5に示すように、インダクタL1及びL2の中心軸が同一、又は近接していることから、インダクタL1はインダクタL2の磁界の影響を受け、それに伴いインピーダンス整合回路11の周波数特性が変化する。これにより、受信部(12、13)の受信感度の低下を招く虞がある。
【0047】
そこで、通信装置100には、送信モード時にはオフ状態となって、インピーダンス整合回路11に含まれるコンデンサC2の一端をハイインピーダンス状態に設定するスイッチ素子SW1が設けられている。更に、通信装置100には、受信モード時にはオフ状態となって、インピーダンス整合回路21に含まれるコンデンサC3及びC4各々の一端をハイインピーダンス状態に設定するスイッチ素子SW2及びSW3が設けられている。
【0048】
かかる構成により、受信モード時には、インピーダンス整合回路21に含まれるコンデンサC3及びC4が無効化される。これにより、アンテナ10によって受信して得られた受信信号RFに伴う電流が、インピーダンス整合回路21に含まれるインダクタL2に流れ込む量が抑制される。よって、インダクタL1はインダクタL2からの磁界の影響を受けにくくなり、インピーダンス整合回路11の周波数特性の変化が抑えられ、受信部(12、13)の受信感度の低下が防止される。
【0049】
また、送信モード時には、インピーダンス整合回路11に含まれるコンデンサC2が無効化される。これにより、送信部(22、23)によって生成された送信信号TFに伴う電流は、インピーダンス整合回路11のコンデンサC2には流れ込まなくなる。よって、その分だけインピーダンス整合回路11での電力消費が抑えられるので、送信部(22、23)の送信電力及び送信効率、並びに不要輻射を抑制することが可能となる。
【0050】
尚、上記実施例では、インダクタL1及びL2として、
図2に示すような螺旋状の形態を有する金属配線を採用しているが、その形態は螺旋状に限定されない。例えば、インダクタL1及びL2としては、
図6に示すような円形ループ状、又は
図7に示すような矩形ループ状の形態を有する金属配線、或いは多角形のループ又は螺旋形態を有する金属配線を採用しても良い。
【0051】
また、インダクタL1及びL2としては、
図8に示すようなS字状の形態を有する金属配線を採用しても良い。インダクタとして
図8に示すS字状の形態を採用することにより、インダクタ内において相互インダクタンスが相殺されることになるので、ノイズ等、送信側と受信側の干渉による悪影響を抑制することが可能となる。
【0052】
また、インダクタL1及びL2としては、互いに異なる形状を有するものを採用しても良い。例えば、インダクタL1及びL2の一方を
図7に示すような矩形ループ状の形態を有する金属配線層とし、他方を
図8に示すようなS字状の形態を有する金属配線層としても良い。
【0053】
また、インダクタL1及びL2のうちの一方のインダクタの形成領域内に、他方のインダクタを形成し、これらインダクタL1及びL2を同一の絶縁層内に形成するようにしても良い。例えば、
図3に示すインダクタL1及びL2に代えて、
図9に示すような、S字状の形態を有するインダクタL1、及び当該インダクタL1全体を囲む矩形ループ状の形態を有するインダクタL2を、絶縁体層LY2〜LY5のうちの1つの絶縁体層に形成する。
【0054】
また、
図1に示すインピーダンス整合回路11では、コンデンサC1及びインダクタL1を含むハイパスフィルタを採用しているが、インピーダンス整合回路21と同様にパイ型の共振回路を採用しても良い。
【0055】
図10は、かかる点に鑑みて為された通信装置100の構成の他の一例を示すブロック図である。尚、
図10に示す構成では、カップリングコンデンサCpを新たに設け、
図1に示すインピーダンス整合回路11に代えてインピーダンス整合回路11aを採用している点を除く他の構成は、
図1に示されるものと同一である。よって、以下に、カップリングコンデンサCp、及びインピーダンス整合回路11aの内部構成の説明を行う。
【0056】
カップリングコンデンサCpの一端はアンテナ10と接続されており、その他端は、アンテナ線ALを介してインピーダンス整合回路11a及びインピーダンス整合回路21の各々と接続されている。
【0057】
インピーダンス整合回路11aは、インダクタL1、コンデンサC2及びC5からなるパイ型の共振回路と、スイッチ素子SW1及びSW4と、を含む。
【0058】
コンデンサC2の一端及びインダクタL1の一端が共にカップリングコンデンサCpの他端と接続されている。コンデンサC2の他端はスイッチ素子SW1に接続されている。スイッチ素子SW1は、制御部20から送信イネーブル信号TEが供給されている場合にはオフ状態となる。これにより、コンデンサC2の他端はハイインピーダンス状態となる。また、スイッチ素子SW1は、当該送信イネーブル信号TEが供給されていない場合にはオン状態となり、この際、接地電位VSSをコンデンサC2の他端に印加する。
【0059】
インダクタL1の他端はノードn1を介してコンデンサC5の一端及びローノイズアンプ12の入力端に接続されている。コンデンサC5の他端はスイッチ素子SW4に接続されている。スイッチ素子SW4は、制御部20から送信イネーブル信号TEが供給されている場合にはオフ状態となる。これにより、コンデンサC5の他端はハイインピーダンス状態となる。また、スイッチ素子SW4は、当該送信イネーブル信号TEが供給されていない場合にはオン状態となり、この際、接地電位VSSをコンデンサC5の他端に印加する。
【0060】
すなわち、制御部20は、受信モード時には、インピーダンス整合回路11aに含まれるスイッチ素子SW1及びSW4を共にオフ状態にすることにより、コンデンサC2及びC5各々の他端をハイインピーダンス状態に設定して両コンデンサを無効化する。
【0061】
尚、上記実施例では、インピーダンス整合回路11(11a)及び12に含まれる共振回路に用いるインダクタはL1とL2の2つだけであるが、3つ以上の複数のインダクタを用いて共振回路を構成するようにしても良い。
【0062】
要するに、通信装置100を含む半導体装置としては、以下の受信部及び送信部が形成されている半導体基板(SSB)と、インピーダンス整合回路に含まれる複数のインダクタが形成されている複数の絶縁層(LY1〜LY5)と、を有するものであれば良い。受信部(12、13)は、アンテナ(10)が受信した受信信号(RF、RX)を受ける。送信部(22、23)は、送信信号(TXA、TF)をアンテナに供給する。インピーダンス整合回路(11、21)は、受信部及び送信部のインピーダンスとアンテナのインピーダンスとを整合する。ここで、複数の絶縁層に形成されている複数のインダクタの形成領域が、半導体基板の表面に垂直な方向において互いに重なっていれば良いのである。