特許第6871778号(P6871778)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6871778
(24)【登録日】2021年4月20日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】半導体装置、及び通信装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H03H 7/38 20060101AFI20210426BHJP
   H04B 1/44 20060101ALI20210426BHJP
   H01P 5/02 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   H03H7/38 B
   H04B1/44
   H01P5/02 603A
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-62326(P2017-62326)
(22)【出願日】2017年3月28日
(65)【公開番号】特開2018-166245(P2018-166245A)
(43)【公開日】2018年10月25日
【審査請求日】2020年1月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079119
【弁理士】
【氏名又は名称】藤村 元彦
(74)【代理人】
【識別番号】100147728
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 信司
(72)【発明者】
【氏名】太矢 隆士
【審査官】 角張 亜希子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/030942(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/157357(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/140297(WO,A1)
【文献】 特開2001−352269(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/057706(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC H01L21/3205−21/3213
21/768
21/822
23/522
23/532
27/04
H01P5/00−5/22
H03H1/00−7/13
7/30−9/76
H04B1/38−1/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置であって、
アンテナが受信した受信信号を受ける受信部、及び送信信号を前記アンテナに供給する送信部が形成されている半導体基板と、
前記半導体基板上に積層されている複数の絶縁層と、
前記複数の絶縁層のうちの1つの絶縁層内に形成された第1のインダクタを含み、前記アンテナのインピーダンスと前記受信部の入力インピーダンスとを整合させる第1の整合回路と、
前記複数の絶縁層のうち前記1つの絶縁層を除く他の絶縁層内に形成された第2のインダクタを含み、前記アンテナのインピーダンスと前記送信部の出力インピーダンスとを整合させる第2の整合回路と、を有し、
前記第1の整合回路は、前記第1のインダクタの一端に自身の一端が接続されている第1のコンデンサと、送信モード時にはオフ状態となって前記第1のコンデンサの他端をハイインピーダンス状態に設定する第1のスイッチ素子と、を含み、
前記第2の整合回路は、前記第2のインダクタの一端に自身の一端が接続されている第2のコンデンサと、受信モード時にはオフ状態となって前記第2のコンデンサの他端をハイインピーダンス状態に設定する第2のスイッチ素子と、を含み、
前記第1のインダクタ及び前記第2のインダクタは、前記半導体基板の表面に垂直な方向において互いに重なっていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記アンテナに一端が接続されているカップリングコンデンサと、
前記カップリングコンデンサの他端に接続されているアンテナ線と、を含み、
前記第1の整合回路は、
前記第1のインダクタの一端及び前記アンテナ線に自身の一端が接続されている第1のコンデンサと、
前記第1のインダクタの他端に自身の一端が接続されている第2のコンデンサと、
送信モード時にはオフ状態となって前記第1及び第2のコンデンサ各々の他端をハイインピーダンス状態に設定する第1のスイッチ部と、を含み、
前記第2の整合回路は、
前記第2のインダクタの一端及び前記アンテナ線に自身の一端が接続されている第3のコンデンサと、
前記第2のインダクタの他端に自身の一端が接続されている第4のコンデンサと、
受信モード時にはオフ状態となって前記第3及び第4のコンデンサ各々の他端をハイインピーダンス状態に設定する第2のスイッチ部と、を含むことを特徴とする請求項に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記半導体基板の表面に垂直な方向において前記第1のインダクタ及び前記第2のインダクタの形成領域の一部同士が互いに重なっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1のインダクタ及び前記第2のインダクタは円形ループ状又は螺旋状に形成された金属配線からなり、
前記第1のインダクタ及び前記第2のインダクタのうちの一方のインダクタの形成領域の中心点から、前記半導体基板の表面に沿った方向において前記一方のインダクタの形成領域の半径よりも大きい距離の分だけ、他方のインダクタの形成領域の中心点が離間するように、前記第1のインダクタ及び前記第2のインダクタが形成されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1のインダクタ及び前記第2のインダクタのうちの一方のインダクタはループ状に形成された金属配線からなり、他方のインダクタはS字状に形成された金属配線からなることを特徴とする請求項1〜のいずれか1に記載の半導体装置。
【請求項6】
アンテナが受信した受信信号を受ける受信部、及び送信信号を前記アンテナに供給する送信部が形成されている半導体基板と、
第1のインダクタ及び前記第1のインダクタの一端に自身の一端が接続されている第1のコンデンサを含む共振回路を含み、前記受信部の入力インピーダンスと前記アンテナのインピーダンスとを整合させる第1のインピーダンス整合回路と、
第2のインダクタ及び前記第2のインダクタの一端に自身の一端が接続されている第2のコンデンサを含む共振回路を含み、前記送信部の出力インピーダンスと前記アンテナのインピーダンスとを整合させる第2のインピーダンス整合回路と、を有し、前記半導体基板の表面に垂直な方向において前記第1のインダクタ及び前記第2のインダクタが絶縁層を介して互いに重なって配置されている通信装置の制御方法であって、
前記受信部を動作させる受信モード時には前記第2のコンデンサの他端をハイインピーダンス状態に設定し、
前記送信部を動作させる送信モード時には前記第1のコンデンサの他端をハイインピーダンス状態に設定することを特徴とする通信装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置が形成されている半導体装置及び通信装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、2.4GHz帯のBluetooth(登録商標)、2.4GHz及び5GHz帯のワイヤレスLAN(Local Area Network)、或いは携帯電話通信網等で用いる各種の無線通信装置が製品化されている。
【0003】
このような無線通信装置のフロントエンドには、受信側のLNA(Low Noise Amplifier)及び送信側のPA(Power Amplifier)と共に、アンテナとのインピーダンス整合を図るインピーダンス変換回路が受信側及び送信側の双方に含まれている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−28459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記したようなワイヤレスLAN、或いは携帯電話通信網等の周波数領域に適応した通信装置では、インピーダンス変換回路として、インダクタ及びコンデンサからなる共振回路が用いられている。しかしながら、インダクタは比較的大きな占有面積を必要とする為、このようなインダクタを送信側及び受信側の双方に設けると、通信装置が大型化するという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、通信装置の小型化を図ることが可能な半導体装置、及び通信装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る半導体装置は、アンテナが受信した受信信号を受ける受信部、及び送信信号を前記アンテナに供給する送信部が形成されている半導体基板と、複数のインダクタを含み、前記受信部及び前記送信部各々のインピーダンスと前記アンテナのインピーダンスとを整合させるインピーダンス整合回路と、前記半導体基板上に積層されている複数の絶縁層と、を有し、前記複数のインダクタが前記複数の絶縁層に形成されており、前記半導体基板の表面に垂直な方向において前記複数のインダクタの形成領域が互いに重なっている。
【0008】
本発明に係る通信装置の制御方法は、アンテナが受信した受信信号を受ける受信部、及び送信信号を前記アンテナに供給する送信部が形成されている半導体基板と、第1のインダクタ及び前記第1のインダクタの一端に自身の一端が接続されている第1のコンデンサを含む共振回路を含み、前記受信部の入力インピーダンスと前記アンテナのインピーダンスとを整合させる第1のインピーダンス整合回路と、第2のインダクタ及び前記第2のインダクタの一端に自身の一端が接続されている第2のコンデンサを含む共振回路を含み、前記送信部の出力インピーダンスと前記アンテナのインピーダンスとを整合させる第2のインピーダンス整合回路と、を有し、前記半導体基板の表面に垂直な方向において前記第1のインダクタ及び前記第2のインダクタが絶縁層を介して互いに重なって配置されている通信装置の制御方法であって、前記受信部を動作させる受信モード時には前記第2のコンデンサの他端をハイインピーダンス状態に設定し、前記送信部を動作させる送信モード時には前記第1のコンデンサの他端をハイインピーダンス状態に設定する。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、アンテナのインピーダンスと送信部及び受信部各々のインピーダンスとを整合するインピーダンス整合回路に含まれる複数のインダクタを、半導体基板の表面に垂直な方向において、互いに絶縁層を介して重なるように並置している。
【0010】
これにより、複数のインダクタを半導体基板の表面に沿った方向に並べて配置した場合に比べて、当該半導体基板の表面上におけるインダクタ群の占有面積を小さくすることができるので、通信装置の小型化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る半導体装置に形成されている通信装置100の構成を示すブロック図である。
図2】インダクタL1及びL2の形態の一例を示す図である。
図3】インダクタL1のW1−W1線での断面を示す半導体チップの断面図である。
図4】インダクタL1の形成領域Ar1と、インダクタL2の形成領域Ar2との位置関係の一例を表す図である。
図5】インダクタL1の形成領域Ar1と、インダクタL2の形成領域Ar2との位置関係の他の一例を表す図である。
図6】インダクタL1及びL2の形態の他の一例を示す図である。
図7】インダクタL1及びL2の形態の他の一例を示す図である。
図8】インダクタL1及びL2の形態の他の一例を示す図である。
図9】インダクタL1及びL2を1つの絶縁層内に形成する際のインダクタL1及びL2の形態の一例を示す図である。
図10】通信装置100の構成の他の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明に係る半導体装置としての半導体チップに形成されている通信装置100の構成を示すブロック図である。
【0014】
通信装置100は、アンテナ10、インピーダンス整合回路11、ローノイズアンプ12、復調部13、インピーダンス整合回路21、パワーアンプ22、変調部23、及び制御部20を有する。尚、受信アンプとしてのローノイズアンプ12、及び復調部13が通信装置100の受信部を構成し、送信アンプとしてのパワーアンプ22、及び変調部23が通信装置100の送信部を構成する。
【0015】
インピーダンス整合回路11は、アンテナ10で受信した高周波の受信信号RFをアンテナ線ALを介して受ける。インピーダンス整合回路11は、コンデンサC1、C2、及びインダクタL1を含む共振回路と、スイッチ素子SW1と、を含む。
【0016】
コンデンサC1の一端はアンテナ線ALを介してアンテナ10に接続されており、その他端はノードn1を介してインダクタL1の一端、コンデンサC2の一端、及びローノイズアンプ12の入力端に夫々接続されている。インダクタL1の他端には接地電位VSSが印加されている。コンデンサC2の他端はスイッチ素子SW1に接続されている。スイッチ素子SW1は、制御部20から送信イネーブル信号TEが供給されている場合にはオフ状態となる。これにより、コンデンサC2の他端はハイインピーダンス状態となる。また、スイッチ素子SW1は、当該送信イネーブル信号TEが供給されていない場合にはオン状態となり、この際、接地電位VSSをコンデンサC2の他端に印加する。
【0017】
かかる構成により、インピーダンス整合回路11は、アンテナ10のインピーダンスを受信部(12、13)の入力インピーダンスに整合させるインピーダンス変換処理を、アンテナ10で受信した受信信号RFに施す。尚、受信部(12、13)の入力インピーダンスとは、実質的にはローノイズアンプ12の入力インピーダンスである。インピーダンス整合回路11は、当該インピーダンス変換処理によって得られた受信信号RXをノードn1を介してローノイズアンプ12に供給する。
【0018】
ローノイズアンプ12は、制御部20から受信イネーブル信号REの供給を受けている場合にイネーブル状態となり、当該受信信号RXを増幅した増幅受信信号RXAを、復調部13に供給する。
【0019】
復調部13は、制御部20から受信イネーブル信号REの供給を受けている場合にイネーブル状態となり、増幅受信信号RXAに対して復調処理を施すことにより、音声、映像又は文字等を表す情報データを復元する。
【0020】
尚、上記したローノイズアンプ12及び復調部13は、受信イネーブル信号REの供給を受けていない場合は共にディスエイブル状態となり、上記した動作を停止する。
【0021】
変調部23は、制御部20から送信イネーブル信号TEの供給を受けている場合にイネーブル状態となり、送信対象である情報データに基づき搬送波信号を変調して得られた変調信号TXをパワーアンプ22に供給する。
【0022】
パワーアンプ22は、制御部20から送信イネーブル信号TEの供給を受けている場合にイネーブル状態となり、変調信号TXを増幅して得られた信号を送信信号TXAとして、インピーダンス整合回路21に供給する。
【0023】
尚、パワーアンプ22及び変調部23は、送信イネーブル信号TEの供給を受けていない場合は共にディスエイブル状態となり、上記した動作を停止する。
【0024】
インピーダンス整合回路21は、インダクタL2、コンデンサC3及びC4からなるパイ型の共振回路と、スイッチ素子SW2及びSW3と、を含む。
【0025】
コンデンサC3の一端及びインダクタL2の一端はアンテナ線ALを介してアンテナ10に接続されている。コンデンサC3の他端はスイッチ素子SW2に接続されている。スイッチ素子SW2は、制御部20から受信イネーブル信号REが供給されている場合にはオフ状態となる。これにより、コンデンサC3の他端はハイインピーダンス状態となる。また、スイッチ素子SW2は、当該受信イネーブル信号REが供給されていない場合にはオン状態となり、この際、接地電位VSSをコンデンサC3の他端に印加する。インダクタL2の他端はノードn2を介してコンデンサC4の一端及びパワーアンプ22の出力端に接続されている。コンデンサC4の他端はスイッチ素子SW3に接続されている。スイッチ素子SW3は、制御部20から受信イネーブル信号REが供給されている場合にはオフ状態となる。これにより、コンデンサC4の他端はハイインピーダンス状態となる。また、スイッチ素子SW3は、当該受信イネーブル信号REが供給されていない場合にはオン状態となり、この際、接地電位VSSをコンデンサC4の他端に印加する。
【0026】
かかる構成により、インピーダンス整合回路21は、送信部(22、23)の出力インピーダンスをアンテナ10のインピーダンスに整合させるインピーダンス変換処理を、送信信号TXAに施す。尚、送信部(22、23)の出力インピーダンスとは、実質的にはパワーアンプ22の出力インピーダンスである。インピーダンス整合回路21は、当該インピーダンス変換処理によって得られた送信信号TFをアンテナ線ALを介してアンテナ10に供給する。
【0027】
制御部20は、受信部(12、13)を動作させる受信モード時には、上記した受信イネーブル信号REを生成し、これをローノイズアンプ12、復調部13及びインピーダンス整合回路21に供給する。また、制御部20は、送信部(22、23)を動作させる送信モード時には、上記した送信イネーブル信号TEを生成し、これをパワーアンプ22、変調部23及びインピーダンス整合回路11に供給する。尚、制御部20は、インピーダンス整合回路11、ローノイズアンプ12、復調部13、インピーダンス整合回路21、パワーアンプ22及び変調部23に対して、受信イネーブル信号RE及び送信イネーブル信号TEを同時に供給することはない。
【0028】
これにより、制御部20は、受信モード時には、受信部(12、13)を動作させ、送信部(22、23)の動作を停止させる。更に、当該受信モード時には、インピーダンス整合回路21に含まれるスイッチ素子SW2及びSW3を共にオフ状態にすることにより、コンデンサC3及びC4各々の他端をハイインピーダンス状態に設定する。
【0029】
また、制御部20は、送信モード時には、送信部(22、23)を動作させ、受信部(12、13)の動作を停止させる。更に、当該送信モード時には、インピーダンス整合回路11に含まれるスイッチ素子SW1をオフ状態にすることにより、コンデンサC2の他端をハイインピーダンス状態に設定する。
【0030】
尚、図1に示すインピーダンス整合回路11及び21は、他のモジュール(12、13、20、22、23)と共に、単一の半導体チップに形成される。
【0031】
インピーダンス整合回路11に含まれるインダクタL1、及びインピーダンス整合回路21に含まれるインダクタL2は、当該半導体チップの例えば金属配線によって形成される。
【0032】
図2は、半導体チップ内に構築されたインダクタL1及びL2の形態の一例を示す正面図である。
【0033】
図2に示すように、インダクタL1及びL2は、例えば円形の螺旋状に形成した金属配線からなる。
【0034】
尚、インダクタL1は、半導体チップに積層されている複数の絶縁層のうちの1つに形成されており、インダクタL2は、インダクタL1が形成されている絶縁層とは異なる絶縁層に形成されている。
【0035】
図3は、図2に示すW1−W1線での半導体チップの断面を示す断面図である。図3に示すように、当該半導体チップは、送信部(22、23)の形成領域Q1及び受信部(12、13)の形成領域Q2を含む半導体基板SSBと、絶縁層LY1〜LY5と、を有する。絶縁層LY1〜LY5は、図3に示すように、半導体基板SSB上において、当該半導体基板SSBの表面に垂直な方向に積層されている。
【0036】
インダクタL1は、金属配線層ML1により図2に示すような螺旋状の形態で絶縁層LY3内に形成されている。インダクタL1の端部e1はビアVAを介して、絶縁層LY2内に形成されている金属配線層ML2に接続されている。当該金属配線層ML2には、例えば図1に示すコンデンサC1、C2、及びローノイズアンプ12の入力端が接続され、インダクタL1の端部e2には接地電位VSSが印加される。
【0037】
インダクタL2は、金属配線層ML3により図2に示すような螺旋状の形態で絶縁層LY5内に形成されている。インダクタL2の端部e3はビアVAを介して、絶縁層LY4内に形成されている金属配線層ML4に接続されている。当該金属配線層ML4には、例えば図1に示すコンデンサC4及びパワーアンプ22の出力端が接続され、端部e4にはコンデンサC3及びアンテナ線ALが接続される。
【0038】
ここで、インダクタL1及びL2は、半導体基板SSBの表面に垂直な方向において、当該インダクタL1及びL2の形成領域の全て又は一部同士が互いに重なるように、夫々の絶縁層(LY3、LY5)内の位置に形成されている。
【0039】
これにより、絶縁層LY5に形成されているインダクタL2の真上から、インダクタL1及びL2を眺めた場合、図2に示すインダクタL1の形成領域Ar1と、図2に示すインダクタL2の形成領域Ar2とが、図4或いは図5に示すように重なる。
【0040】
尚、図4は、半導体基板SSBの表面に垂直な方向において、インダクタL1の形成領域Ar1の全てが、インダクタL2の形成領域Ar1と重なるように、インダクタL1及びL2を絶縁層(LY3、LY5)に形成した場合の状態を示す。
【0041】
一方、図5は、半導体基板SSBの表面に垂直な方向において、インダクタL1の形成領域Ar1、及びインダクタL2の形成領域Ar2の一部同士が重なるように、インダクタL1及びL2を絶縁層(LY3、LY5)に形成した場合の状態を示す。尚、図5に示す一例では、インダクタL1及びL2として、図2に示すような螺旋状又は円形のループ状のものを採用している。更に、図5では、インダクタL1の形成領域Ar1の中心点J1から、半導体基板SSBの表面に沿った方向に所定距離LEGだけ、インダクタL2の形成領域Ar2の中心点J2を離間するように、インダクタL1及びL2を夫々の絶縁層(LY3、LY5)に形成する。尚、所定距離LEGは、インダクタL1の形成領域Ar1の半径rよりも大きい。
【0042】
これにより、インダクタL1及びL2を半導体基板SSBの表面に沿った方向に並べて配置した場合に比べて、半導体基板SSBの表面上におけるインダクタL1及びL2の占有面積を小さくすることができるので、通信装置100の小型化を図ることが可能となる。
【0043】
尚、図5に示すように、インダクタL1及びL2各々の形成領域の一部を重ねた場合には、図4に示すように全領域を重ねた場合に比べてインダクタの占有面積は大きくなるが、両者の中心軸がずれた分だけ相互インダクタンスが小さくなり、送信側と受信側の干渉による悪影響、例えばノイズの発生が抑制される。
【0044】
ところで、図1に示す通信装置100では、アンテナ線ALによって、インピーダンス整合回路11と、インピーダンス整合回路21とが電気的に接続されている。
【0045】
これにより、送信モード時には、送信部(22、23)で生成された送信信号TFに伴う無効な電流がアンテナ線ALを介して、インピーダンス整合回路11に供給される。この際、かかる無効電流がインピーダンス整合回路11内に流れ込むと、当該インピーダンス整合回路11内で無効な電力が消費される。従って、送信電力及び送信効率の低下を招く虞が生じる。更に、インピーダンス整合回路11での共振動作に伴い、不要輻射の抑制が困難になる。
【0046】
一方、受信モード時には、受信した受信信号RFに伴う無効な電流がアンテナ線ALを介して、インピーダンス整合回路21に供給される。よって、かかる無効電流がインピーダンス整合回路21内に流れ込むと、図1に示すパイ型の共振回路が共振動作する。この際、図4又は図5に示すように、インダクタL1及びL2の中心軸が同一、又は近接していることから、インダクタL1はインダクタL2の磁界の影響を受け、それに伴いインピーダンス整合回路11の周波数特性が変化する。これにより、受信部(12、13)の受信感度の低下を招く虞がある。
【0047】
そこで、通信装置100には、送信モード時にはオフ状態となって、インピーダンス整合回路11に含まれるコンデンサC2の一端をハイインピーダンス状態に設定するスイッチ素子SW1が設けられている。更に、通信装置100には、受信モード時にはオフ状態となって、インピーダンス整合回路21に含まれるコンデンサC3及びC4各々の一端をハイインピーダンス状態に設定するスイッチ素子SW2及びSW3が設けられている。
【0048】
かかる構成により、受信モード時には、インピーダンス整合回路21に含まれるコンデンサC3及びC4が無効化される。これにより、アンテナ10によって受信して得られた受信信号RFに伴う電流が、インピーダンス整合回路21に含まれるインダクタL2に流れ込む量が抑制される。よって、インダクタL1はインダクタL2からの磁界の影響を受けにくくなり、インピーダンス整合回路11の周波数特性の変化が抑えられ、受信部(12、13)の受信感度の低下が防止される。
【0049】
また、送信モード時には、インピーダンス整合回路11に含まれるコンデンサC2が無効化される。これにより、送信部(22、23)によって生成された送信信号TFに伴う電流は、インピーダンス整合回路11のコンデンサC2には流れ込まなくなる。よって、その分だけインピーダンス整合回路11での電力消費が抑えられるので、送信部(22、23)の送信電力及び送信効率、並びに不要輻射を抑制することが可能となる。
【0050】
尚、上記実施例では、インダクタL1及びL2として、図2に示すような螺旋状の形態を有する金属配線を採用しているが、その形態は螺旋状に限定されない。例えば、インダクタL1及びL2としては、図6に示すような円形ループ状、又は図7に示すような矩形ループ状の形態を有する金属配線、或いは多角形のループ又は螺旋形態を有する金属配線を採用しても良い。
【0051】
また、インダクタL1及びL2としては、図8に示すようなS字状の形態を有する金属配線を採用しても良い。インダクタとして図8に示すS字状の形態を採用することにより、インダクタ内において相互インダクタンスが相殺されることになるので、ノイズ等、送信側と受信側の干渉による悪影響を抑制することが可能となる。
【0052】
また、インダクタL1及びL2としては、互いに異なる形状を有するものを採用しても良い。例えば、インダクタL1及びL2の一方を図7に示すような矩形ループ状の形態を有する金属配線層とし、他方を図8に示すようなS字状の形態を有する金属配線層としても良い。
【0053】
また、インダクタL1及びL2のうちの一方のインダクタの形成領域内に、他方のインダクタを形成し、これらインダクタL1及びL2を同一の絶縁層内に形成するようにしても良い。例えば、図3に示すインダクタL1及びL2に代えて、図9に示すような、S字状の形態を有するインダクタL1、及び当該インダクタL1全体を囲む矩形ループ状の形態を有するインダクタL2を、絶縁体層LY2〜LY5のうちの1つの絶縁体層に形成する。
【0054】
また、図1に示すインピーダンス整合回路11では、コンデンサC1及びインダクタL1を含むハイパスフィルタを採用しているが、インピーダンス整合回路21と同様にパイ型の共振回路を採用しても良い。
【0055】
図10は、かかる点に鑑みて為された通信装置100の構成の他の一例を示すブロック図である。尚、図10に示す構成では、カップリングコンデンサCpを新たに設け、図1に示すインピーダンス整合回路11に代えてインピーダンス整合回路11aを採用している点を除く他の構成は、図1に示されるものと同一である。よって、以下に、カップリングコンデンサCp、及びインピーダンス整合回路11aの内部構成の説明を行う。
【0056】
カップリングコンデンサCpの一端はアンテナ10と接続されており、その他端は、アンテナ線ALを介してインピーダンス整合回路11a及びインピーダンス整合回路21の各々と接続されている。
【0057】
インピーダンス整合回路11aは、インダクタL1、コンデンサC2及びC5からなるパイ型の共振回路と、スイッチ素子SW1及びSW4と、を含む。
【0058】
コンデンサC2の一端及びインダクタL1の一端が共にカップリングコンデンサCpの他端と接続されている。コンデンサC2の他端はスイッチ素子SW1に接続されている。スイッチ素子SW1は、制御部20から送信イネーブル信号TEが供給されている場合にはオフ状態となる。これにより、コンデンサC2の他端はハイインピーダンス状態となる。また、スイッチ素子SW1は、当該送信イネーブル信号TEが供給されていない場合にはオン状態となり、この際、接地電位VSSをコンデンサC2の他端に印加する。
【0059】
インダクタL1の他端はノードn1を介してコンデンサC5の一端及びローノイズアンプ12の入力端に接続されている。コンデンサC5の他端はスイッチ素子SW4に接続されている。スイッチ素子SW4は、制御部20から送信イネーブル信号TEが供給されている場合にはオフ状態となる。これにより、コンデンサC5の他端はハイインピーダンス状態となる。また、スイッチ素子SW4は、当該送信イネーブル信号TEが供給されていない場合にはオン状態となり、この際、接地電位VSSをコンデンサC5の他端に印加する。
【0060】
すなわち、制御部20は、受信モード時には、インピーダンス整合回路11aに含まれるスイッチ素子SW1及びSW4を共にオフ状態にすることにより、コンデンサC2及びC5各々の他端をハイインピーダンス状態に設定して両コンデンサを無効化する。
【0061】
尚、上記実施例では、インピーダンス整合回路11(11a)及び12に含まれる共振回路に用いるインダクタはL1とL2の2つだけであるが、3つ以上の複数のインダクタを用いて共振回路を構成するようにしても良い。
【0062】
要するに、通信装置100を含む半導体装置としては、以下の受信部及び送信部が形成されている半導体基板(SSB)と、インピーダンス整合回路に含まれる複数のインダクタが形成されている複数の絶縁層(LY1〜LY5)と、を有するものであれば良い。受信部(12、13)は、アンテナ(10)が受信した受信信号(RF、RX)を受ける。送信部(22、23)は、送信信号(TXA、TF)をアンテナに供給する。インピーダンス整合回路(11、21)は、受信部及び送信部のインピーダンスとアンテナのインピーダンスとを整合する。ここで、複数の絶縁層に形成されている複数のインダクタの形成領域が、半導体基板の表面に垂直な方向において互いに重なっていれば良いのである。
【符号の説明】
【0063】
10 アンテナ
11、11a インピーダンス整合回路
20 制御部
21 インピーダンス整合回路
100 通信装置
L1、L2 インダクタ
SW1〜SW4 スイッチ素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10