【文献】
川瀬義行 他,油脂のにおい成分について (第1報),油化学,1969年,第18巻, 第10号,p.738-741 (p.40-43)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
食用植物が、パプリカ、ビーツ、ダイズ、コーン、ニンジン、カボチャ、エンドウ、ソラマメ、サツマイモ、ブロッコリー、ホウレンソウ、トマト及びケールから選ばれる1種以上である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の粉末状食品。
不溶性食物繊維含有量が乾燥質量換算で1.0質量%以上の食用植物を粉砕処理し、2−ペンチルフランを1ppb以上50000ppb以下含有せしめる、超音波処理後の単位体積当たり比表面積が0.04m2/mL以上の食用植物由来の微粒子を含有する飲食品の製造方法。
不溶性食物繊維含有量が乾燥質量換算で1.0質量%以上の食用植物を粉砕処理し、2−ペンチルフランを1ppb以上50000ppb以下含有せしめる、超音波処理後の単位体積当たり比表面積が0.04m2/mL以上の食用植物由来の微粒子を含有する飲食品の収斂味を抑制する方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施態様の例を記載するが、本発明はこれらの態様に限定されるものではなく、その主旨を逸脱しない限りにおいて、任意の改変を加えて実施することが可能である。
【0016】
〔粉末状食品〕
本発明の粉末状食品は、食用植物を含有するものである。
ここで、本発明において「粉末状」とは、一次粒子、及び/又は一次粒子が凝集した凝集体(二次粒子)を含む粒子の集まりとなっている状態をいう。粉末状食品の平均粒子径(D
50)は特に限定されないが、通常0.3〜1800μmであり、好ましくは0.5〜1500μmであり、更に好ましくは1.0〜1000μmである。なお、平均粒子径(D
50)とは、試料の粒度分布を体積基準で作成したときに積算分布曲線の50%に相当する粒子径(D
50)を意味し、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定する。
【0017】
本発明における「食用植物」とは、ヒトの飲食に供される、不溶性食物繊維を含有する植物である。
本発明における食用植物としては、ヒトの飲食に供されるものであれば何ら制限されるものではないが、穀類、イモ類、豆類、種実類、野菜類、果実類、きのこ類、藻類等が挙げられる。食用植物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせで併用してもよい。また、食用植物は、そのまま用いてもよく、各種の処理(例えば乾燥、加熱、灰汁抜き、皮むき、種実抜き、追熟、塩蔵、果皮加工等)を加えてから使用してもよい。中でも、植物自体が甘味成分を含む点で、穀類、イモ類、豆類、種実類、野菜類、果実類、及びきのこ類から選ばれる1種以上がより好ましい。更には、パプリカ、ビーツ、ダイズ(特に特にダイズを未熟な状態で鞘ごと収穫したもので、豆が緑色の外観を呈することを特徴とする、ダイズの未熟種子であるエダマメ)、コーン、ニンジン、カボチャ、エンドウ(特に種子を未熟な状態で鞘ごと収穫したもので、豆が緑色の外観を呈することを特徴とする、未熟の種子であるグリーンピース)、ソラマメ、サツマイモ、ブロッコリー、ホウレンソウ、トマト及びケールから選ばれる1種以上であることが好ましい。なお、一部の可食部(エダマメ、グリーンピースなど)が野菜として取り扱われる食材についても、非可食部(鞘など)と合わさった植物全体の状態(ダイズ、エンドウなど)で豆類かどうかを判断することができる。また、食用植物の分類は、非可食部と合わせた植物全体から判断することができる。具体的には、たとえば、「日本食品標準成分表2015年版(七訂)追補2018年」(厚生労働省が定めている食品成分表、特に第236頁表1参照)に記載された分類のうち、穀類、イモ類、豆類、種実類、野菜類、果実類、きのこ類、藻類を参照することで、いかなる食品が本発明における食用植物に該当するかを理解することができる。
【0018】
また、食用植物は、その可食部と非可食部を共に含有することが好ましい。
尚、非可食部の部位や比率は、その食品や食品の加工品を取り扱う当業者であれば、当然に理解することが可能である。例としては、「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」に記載の「廃棄部位」及び「廃棄率」を参照し、これらをそれぞれ非可食部の部位及び比率として扱うことができる。尚、食用植物における非可食部の部位や比率から、可食部の部位や比率についても理解することができる。
【0019】
食用植物は、その可食部及び/又は非可食部を任意の組み合わせで使用することが可能であるが、不溶性食物繊維由来の収斂味及び繊維臭の抑制の観点から、食用植物の可食部及び非可食部の総量に対する非可食部の割合[非可食部/(可食部+非可食部)]は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上、より更に好ましくは8質量%以上であって、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは60質量%以下である。
【0020】
本発明で使用する食用植物は、乾燥状態で不溶性食物繊維含有量が乾燥質量換算で1.0質量%以上であることが好ましい。
ここで、本発明における「乾燥状態」とは、水分含量が20質量%以下である状態を指す。
【0021】
本発明における「乾燥質量換算で」とは、水分が0質量%における質量換算値を指す。
水分含量は、試料を減圧加熱乾燥法に供して乾量基準含水率を測定する。具体的には、あらかじめ恒量になったはかり容器(W0)に適量の試料を採取して秤量し(W1)、常圧において、所定の温度(より詳しくは90℃)に調節した減圧電気定温乾燥器中に、はかり容器の蓋をとるか、口を開けた状態で入れ、扉を閉じ、真空ポンプを作動させて、所定の減圧度において一定時間乾燥し、真空ポンプを止め、乾燥空気を送って常圧に戻し、はかり容器を取り出し、蓋をしてデシケーター中で放冷、秤量する(W2)。試料毎にこのことを繰り返し、次の計算式で水分含量(質量%)を求める。
【0022】
水分含量(質量%)=(W1−W2)/(W2−W0)×100
W0:恒量としたはかり容器の質量(g)
W1:試料を入れたはかり容器の乾燥前の質量(g)
W2:試料を入れたはかり容器の乾燥後の質量(g)
【0023】
また、本発明における「水分活性値」とは、食品中の自由水の割合を表す数値で、食品の保存性の指標とされるものであり、具体的には、サンプル上方のヘッドスペースの平衡時蒸気圧(p)を、同じ温度の水の蒸気圧(p0)で割った値であり、換言すれば、ヘッドスペースの平衡相対湿度(ERH)を100で割った値である。水分活性値の測定法としては、一般的な水分活性測定装置(例えば電気抵抗式(電解質式)湿度センサを用いたノバシーナ社製「LabMaster−aw NEO」)を用いて測定する。
【0024】
本発明の粉末状食品は、一定量以上の不溶性食物繊維を含有する。具体的には、本発明の粉末状食品中の不溶性食物繊維含有量は、乾燥質量換算で1.0質量%以上であればよいが、1.5質量%以上が好ましく、更には2質量%以上が好ましく、更には4質量%以上が好ましく、更には6質量%以上が好ましく、更には8質量%以上が好ましく、更には10質量%以上が好ましく、更には14質量%以上が好ましく、更には20質量%以上が好ましく、特には30質量%以上が好ましい。また、不溶性食物繊維含有量の上限は、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下がより好ましく、60質量%以下がより好ましく、50質量%以下が更に好ましい。
【0025】
また、本発明の粉末状食品は、食用植物に由来する不溶性食物繊維含有量が、本発明の粉末状食品全体の不溶性食物繊維含有量に対して、乾燥質量換算で、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、最も好ましくは100質量%であることが好ましい。尚、不溶性食物繊維の定量法としては、「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」に準じ、一般的なプロスキー変法を用いる。
【0026】
更に、本発明において、粉末状食品全体に対する食用植物の含有量は、所定の範囲であることが好ましい。例えば粉末状食品全体に対する食用植物の含有量は、乾燥質量換算で10質量%以上あればよく、不溶性食物繊維由来の収斂味及び繊維臭の抑制の観点から、30質量%以上が好ましく、更には50質量%以上が好ましく、更には70質量%以上が好ましく、更には90質量%以上が好ましく、特には100質量%が好ましい。
【0027】
また、本発明の粉末状食品は、粉末状食品全体に対する食用植物由来の微粒子(超音波処理後の単位体積当たり比表面積が0.02m
2/mL以上。乾燥、湿潤状態等の態様の違いは問わない。)の含有量が、乾燥質量換算で10質量%以上が好ましく、更には30質量%以上が好ましく、更には50質量%以上が好ましく、更には70質量%以上が好ましく、更には90質量%以上が好ましく、特には100質量%が好ましい。尚、粉末状食品全体に対する食用植物の含有量が100質量%の場合以外の粉末状食品における、他の粉末の種類としては、本発明の効果を妨げない限りにおいて、何ら制限されない。粉末状の食品素材であれば、最終的な粉末状食品に対する所望の風味、品質に合わせて、種類やその組み合わせ、用途に限られず適宜選択できる。このような粉末状の食品素材としては、食塩、ショ糖、デキストリン等を挙げることができる。
【0028】
更に、本発明の粉末飲食品は、不溶性食物繊維由来の収斂味及び繊維臭の抑制の点から、一定量以上の2−ペンチルフラン(CAS.No.3777−69−3、2-pentylfuran)を含有する。具体的な含有量としては、下限としては1ppb以上であればよいが、本発明の効果をより顕著に奏効させる観点から、3ppb以上が好ましく、更には5ppb以上が好ましく、特には10ppb以上が好ましい。一方、上限としては50000ppb以下であればよいが、オフフレーバーの発生の虞の観点から、40000ppb以下が好ましく、更には30000ppb以下が好ましく、更には20000ppb以下が好ましく、更には10000ppb以下が好ましく、更には5000ppb以下が好ましく、更には3000ppb以下が好ましく、特には1000ppb以下が好ましい。
【0029】
更に、本発明の粉末状食品は、食用植物由来の甘い香りの増強の点から、一定量以上のγ−ノナノラクトン(CAS.No.104−61−0、gamma-Nonanolactone)を含有するのが好ましい。具体的には、下限としては0.1ppb以上であればよいが、本発明の効果を奏効させる観点から、0.3ppb以上が好ましく、更には1ppb以上が好ましく、特には3ppb以上が好ましい。一方、上限としては40000ppb以下であればよいが、オフフレーバーの発生の虞の観点から、30000ppb以下が好ましく、更には20000ppb以下が好ましく、更には10000ppb以下が好ましく、更には5000ppb以下が好ましく、更には3000ppb以下が好ましく、特には1000ppb以下が好ましい。また、2−ペンチルフラン及びγ−ノナノラクトンをともに含有することで、不溶性食物繊維由来の収斂味及び繊維臭の抑制効果、食用植物由来の甘い香りの増強効果が相乗的に高まるため更に好ましく、両成分をともに所定の含有量で含有することが望ましい。
【0030】
なお、2−ペンチルフランは、油脂の自動酸化により生成する化合物であり、酸敗臭の原因物質であることが知られている。しかしながら、2−ペンチルフランが不溶性食物繊維由来の収斂味や繊維臭を抑えるといった効果は全く知られていなかった。一方、γ−ノナノラクトンは、ココナッツ様の香気成分として知られている。しかしながら、γ−ノナノラクトンによる、他のフレーバーへの影響は未知であり、γ−ノナノラクトンを2−ペンチルフランと共に規定量含有させることで、不溶性食物繊維由来の収斂味及び繊維臭の抑制効果に、食用植物由来の甘い香りを増強する効果が更に加わるといった効果は全く知られていなかった。
【0031】
本発明において、2−ペンチルフランやγ−ノナノラクトンの含有量を測定する場合には、定法に従い、以下のGC/MS分析法によって測定する。
【0032】
測定試料の調製としては、2−ペンチルフランは水への親和性が高いため、試料を蒸留水で希釈し、試料から2−ペンチルフランを抽出する。測定方法としては、ごく少量の試料をDHS法(気相の揮発性成分を不活性ガスで強制的にパージを行い、揮発性成分を吸着剤に捕集する動的な抽出方法)によって全量揮発させることで、通常の分析では測定できない水溶性成分を強制的に揮発させて測定するフルエバポレーションダイナミックヘッドスペースガスクロマトグラフ質量分析(以下、「FE−DHS−GC/MS」)法により測定する。また、γ−ノナノラクトンについても、同様の手法で分析をする。例えば試料を適当量(20倍量)の蒸留水によく均質化して成分抽出し、固形分をろ過などで除いた残部を10mL平底のバイアルにごく少量(0.03g)計り取った後に密閉し、過剰量の窒素ガスパージによって強制的に全量揮発させた試料を分析成分の性質に応じた吸着樹脂(Tenaxカラム)で吸着した後、加熱脱着システムを用いて処理することで二次元ガスクロマトグラフィー分析装置に導入し分析を行う。また、試料中の成分濃度を測定するためには、試料と任意濃度に希釈した標準品試料とを分析し、両試料の確認イオンピーク面積を把握し、その値を比較することで試料中の当該成分濃度を測定する。
【0033】
上記分析後、試料の一部を質量分析計にかけてマススペクトルを求め、各成分の関連イオン(2−ペンチルフラン:m/z=81、82、138、γ−ノナノラクトン:m/z=55、85、99)で両成分の保持時間の確認を行う。
【0034】
質量分析計(MS)は、四重極型の5973 Mass Selective Detector(Agilent社製)を用いる。イオン化法、イオン化電圧は、イオン化法:EI+、イオン化電圧:70eVの条件で行い、結果はスキャンモードで取り込み、各成分に特徴的なイオン(2−ペンチルフラン:m/z=81、82、138、γ−ノナノラクトン:m/z=55、85、99)を関連イオンとして用いて同定を行うことで質量スペクトル解析を行うことができ、標準品においてこれら関連イオンが全て検出される保持時間を特定することで、2−ペンチルフラン及びγ−ノナノラクトンの保持時間を特定する。
【0035】
具体的にはFE−DHS−GC/MS分析は以下のような条件で行う。
【0036】
[GC/MS条件(Full evaporation dynamic headspace(FE−DHS)注入法)]
・装置:Agilent製 7890B(GC)、5977B(MS)、Gester製 MultiPurpose Sampler(auto−sampler)
・吸着樹脂:TENAX
・インキュベーション温度:80℃
・窒素ガスパージ量:3L
・窒素ガスパージ流量:100mL/min
・TDU:[30℃]−[210℃/min]−[240℃(3min)]
・CIS:[10℃]−[120℃/sec]−[240℃](ライナー充填剤:TENAX)
・カラム:GESTEL社製 DB−WAX(30m*250μm*0.25μm)
・カラム温度:[40℃(3min)]−[5℃/min]−[240℃(7min)]
・キャリアガス:He
・トランスファーライン:250℃
・イオン源温度:230℃
・Scan Parameter:m/z=28.7〜300
・スプリット:なし
【0037】
上記の条件にて、濃度既知の2−ペンチルフラン、γ−ノナノラクトンの標品(東京化成工業社製)を蒸留水で適当な濃度に希釈したものと試料とを分析に供する。質量分析計のマススペクトルパターンに基づく分析によって、測定条件によって多少のずれはあるものの、標準品保持時間との比較によって、ターゲット成分と思しきピークの保持時間付近(例えば、保持時間10〜16分付近を2−ペンチルフラン、保持時間33〜39分付近をγ−ノナノラクトン)における、それらの希釈標品と試料との確認イオン(2−ペンチルフラン;m/z81、γ−ノナノラクトン;m/z85)量の比較によって、試料中の成分の定量を行う。
【0038】
更に、ターゲット成分と思わしきピークの保持時間付近をハートカットして異なる性質のカラムで二次元ガスクロマトグラフィーを実施することによって、より精緻に当該成分濃度の定量を行うことができるため、特に好ましい。
【0039】
具体的には二次元ガスクロマトグラフィー分析は以下のような条件で行う。
【0040】
[二次元GC/MS条件]
・CTS:[−150℃]−[20℃/sec]−[250℃]
・カラム:GESTEL社製 DB−5(10m*180μm*0.4μm)
・カラム温度:[40℃(0min)]−[40℃/min]−[240℃(15min)]
・キャリアガス:He
【0041】
尚、本発明における2−ペンチルフランとしては、原料由来のものでも、新たに加えたものでもよい。新たに加える場合、2−ペンチルフランを含む組成物でも、試薬であってもよい。組成物を含有させる場合、本発明の粉末状食品を飲食に供する場合においては、2−ペンチルフランは飲食品由来であることが好ましく、また、食用植物由来であることが好ましい。尚、γ−ノナノラクトンについても同様である。
【0042】
また、本発明の粉末状食品は、超音波処理後の単位体積当たり比表面積を、食用植物由来の収斂味及び繊維臭の抑制の点から、所定値以
上とする。具体的には、超音波処理後の単位体積当たり比表面積は、下限として0.02m
2/mL以上であるが、中でも0.04m
2/mL以上が好ましく、更には0.06m
2/mL以上が好ましく、更には0.10m
2/mL以上が好ましく、更には0.20m
2/mL以上が好ましく、更には0.35m
2/mL以上が好ましく、更には0.50m
2/mL以上が好ましく、更には0.70m
2/mL以上が好ましく、特には1.00m
2/mL以上が好ましい。また、上限としては特に限定されるものではないが、産業上の便宜から、5.00m
2/mL以下、中でも4.00m
2/mL以下、更には3.00m
2/mL以下となることが好ましい。本発明において「超音波処理」とは、特に指定が無い限り、測定試料に対して周波数40kHzの超音波を出力40Wにて3分間印加する処理を表す。
【0043】
本発明において、超音波処理後の単位体積当たり比表面積は、粉末状食品の分散液を擾乱後、以下の条件で測定するものとする。まず、測定時には、溶媒として粉末状食品の測定時の試料の構造に影響を与え難いエタノールを用いる。そして、測定する際には、試料をあらかじめ溶媒で希釈し懸濁された分散液を用い、試料が溶媒に均質に懸濁された状態で測定を行う。なお、溶媒に均質に懸濁し難い場合には、試料1gをエタノール50gに浸漬し、5分程度静置し、その後、スパーテルでよく攪拌、懸濁させ、目開き2.36mm、線形(Wire Dia.)1.0mm新JIS7.5メッシュの篩を通過した溶液(2質量%エタノール分散液)を用いて測定する。測定に使用されるレーザー回折式粒度分布測定装置としては、レーザー回折散乱法によって少なくとも0.02μmから2000μmの測定範囲を有するレーザー回折式粒度分布測定装置を用いる。例えばマイクロトラック・ベル株式会社のMicrotrac MT3300 EX2システムを使用し、測定アプリケーションソフトウェアとしては、例えばDMSII(Data Management System version 2、マイクロトラック・ベル株式会社)を使用する。前記の測定装置及びソフトウェアを使用する場合、測定に際しては、同ソフトウェアの洗浄ボタンを押下して洗浄を実施したのち、同ソフトウェアのSetzeroボタンを押下してゼロ合わせを実施し、サンプルローディングで試料の濃度が適正範囲内に入るまで試料を直接投入する。擾乱前の試料、即ち超音波処理を行なわない試料は、試料投入後のサンプルローディング2回以内にその濃度を適正範囲内に調整した後、直ちに流速60%で10秒の測定時間でレーザー回折した結果を測定値とする。一方、擾乱後の試料、即ち超音波処理を行った試料を測定する場合、試料投入後に前記の測定装置を用いて超音波処理を行い、続いて測定を行う。その場合、超音波処理を行っていない試料を投入し、サンプルローディングにて濃度を適正範囲内に調整した後、同ソフトの超音波処理ボタンを押下して超音波処理を行う。その後、3回の脱泡処理を行った上で、再度サンプルローディング処理を行い、濃度が依然として適正範囲であることを確認した後、速やかに流速60%で10秒の測定時間でレーザー回折した結果を測定値とする。測定時のパラメータとしては、例えば分布表示:体積、粒子屈折率:1.60、溶媒屈折率:1.36、測定上限(μm)=2000.00μm、測定下限(μm)=0.021μmとする。
なお、本発明において、単位体積当り比表面積(m
2/mL)とは、前述したレーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定した、粒子を球状と仮定した場合の単位体積(1mL)当りの比表面積を表す。尚、粒子を球状と仮定した場合の単位体積当りの比表面積は、粒子の成分や表面構造等を反映した測定値(透過法や気体吸着法等で求められる体積当り、質量当り比表面積)とは異なる測定メカニズムに基づく数値である。また、粒子を球状と仮定した場合の単位体積当りの比表面積は、粒子1個当りの表面積をai、粒子径をdiとした場合に、6×Σ(ai)÷Σ(ai・di)によって求められる。
【0044】
〔粉末状食品の製造方法〕
本発明の粉末状食品は、不溶性食物繊維含有量が所定量以上の乾燥処理された食用植物を、超音波処理後の単位体積当たり比表面積が所定値以上となるように粉砕処理し、2−ペンチルフラン、更に好ましくはγ−ノナノラクトンを所定量含有せしめることにより製造できる。食用植物、その不溶性食物繊維含有量及び超音波処理後の単位体積当たり比表面積、並びに2−ペンチルフラン及びγ−ノナノラクトンの具体的態様は、上述したとおりである。尚、2−ペンチルフラン及び/又はγ−ノナノラクトンは、乾燥前の食用植物粉末に添加や混合等の方法によって含有せしめ、乾燥後に粉砕する態様であっても、乾燥後粉砕前の乾燥食用植物に含有せしめ、粉砕する態様であってもよく、粉砕後の乾燥食用植物に含有せしめる方法であってもよい。また、上記2−ペンチルフラン及び/又はγ−ノナノラクトン含有組成物は、食材であることが好ましく、また、食用植物由来であることが好ましい。
【0045】
食用植物の乾燥方法としては、一般的に食品の乾燥に用いられる任意の方法を用いることができる。具体例としては、天日乾燥、陰干し、フリーズドライ、エアドライ(例えば熱風乾燥、流動層乾燥法、噴霧乾燥、ドラム乾燥、低温乾燥等)、加圧乾燥、減圧乾燥、マイクロウェーブドライ、油熱乾燥等が挙げられる。中でも、食用植物が本来有する色調や風味の変化の程度が小さく、食品以外の香り(焦げ臭等)を比較的制御しやすいという点から、エアドライ(例えば熱風乾燥、流動層乾燥法、噴霧乾燥、ドラム乾燥、低温乾燥等)又はフリーズドライによる方法が好ましい。
【0046】
また、粉砕処理の手段は特に限定されない。粉砕時の温度も制限されず、高温粉砕、常温粉砕、低温粉砕の何れであってもよい。粉砕時の圧力も制限されず、高圧粉砕、常圧粉砕、低圧粉砕の何れであってもよい。斯かる粉砕処理のための装置の例としては、ブレンダー、ミキサー、ミル機、混練機、粉砕機、解砕機、磨砕機等の機器類が挙げられるが、これらの何れであってもよい。その装置としては、例えば乾式ビーズミル、ボールミル(転動式、振動式等)等の媒体攪拌ミル、ジェットミル、高速回転型衝撃式ミル(ピンミル等)、ロールミル、ハンマーミル等を用いることができる。
【0047】
本発明の粉末状食品は、上記の各種食用植物を乾燥及び粉砕処理したものを全部またはその一部として用いて調製すればよい。
【0048】
本発明の粉末状食品の製造方法は、水分含量が20質量%以下の食用植物を粉砕処理する工程を含むものであるが、更に食用植物の水分含量は15質量%以下であることが好ましい。更に好適には、食用植物の水分含量が上記以下であり、かつ水分活性値が0.95以下、更には0.90以下、更には0.85以下、更には0.80以下、更には0.75以下である食用植物を粉砕処理する。また、本発明の粉末状食品は、水分含量が20質量%未満となることが好ましく、更に15質量%以下であることが好ましい。更に好適には、食用植物の水分含量が上記以下であり、かつ水分活性値が0.95以下、更には0.90以下、更には0.85以下、更には0.80以下、更には0.75以下であることが好ましい。
【0049】
更に、本発明においては、食物繊維含有量が所定量以上且つ超音波処理後の単位体積当たり比表面積が所定値以上の食用植物由来の粉末(食用植物の乾燥粉砕処理物)に、2−ペンチルフラン、更に好ましくはγ−ノナノラクトンを所定量含有せしめることで、粉末状食品の収斂味と繊維臭をより強く抑制し、更に食用植物由来の甘い香りを増強する方法も含まれる。食用植物、その不溶性食物繊維含有量及び超音波処理後の単位体積当たり比表面積、並びに2−ペンチルフラン及びγ−ノナノラクトンの具体的態様は、上述したとおりである。尚、上記のように食物繊維含有量が所定量以上且つ超音波処理後の単位体積当たり比表面積が所定値以上の粉末状食品に2−ペンチルフラン、更に好ましくはγ−ノナノラクトンを一定範囲の含有量で含ませることで、不溶性食物繊維由来の収斂味と繊維臭が更に強く抑制され、更に食用植物が本来有する特有の甘い香りが増強される。
【0050】
〔飲食品〕
本発明の飲食品は、上述した粉末状食品を含有するものである。
すなわち、食用植物由来の粉末状食品を含有する飲食品において、不溶性食物繊維由来の収斂味と繊維臭が抑制され、更に、食用食物由来の甘い香りが増強された食用植物の好ましい風味を被添加飲食品に付与することができ、該飲食品の風味を向上できる。尚、本発明の粉末状食品の、被添加飲食品への配合量は、特に限定されるものではなく、改善された食用植物の風味が飲食品に付与できるよう適宜調整すればよい。例えば、飲食品全量に対する食用植物の割合として、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上がより好ましく、40質量%以上が特に好ましい。また、かかる食用植物の割合の上限は特に限定されず、100質量%であってもよい。
【0051】
尚、本発明の飲食品には、本発明の作用効果を妨げない限りにおいて、その他の食材を含有していてもよい。具体的には、レーザー回折式粒子径分布測定の測定対象とならない2000μm(2mm)より大きい食材や具材をいう。斯かる他の食材としては、穀類のパフや乾燥種実類や乾燥果実類等が挙げられるが、いずれを用いてもよい。他の食材は1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせで併用してもよい。
尚、この場合、超音波処理を行った状態における単位体積当たり比表面積の測定に際しては、これら具材のうち、測定上限2000μm以上のものを除いてから測定するものとする。
【0052】
本発明の飲食品の形態は、液状、半固体状及び固体状のいずれでも構わない。液状である場合、例えば、希釈せずにそのまま飲用できるRTD飲料でも、濃縮還元飲料でもよい。また、半固体状である場合、流動性のある半固形であれば特に限定されないが、例えば、ペースト状食品の他、容器に備え付けられた吸い口やストローから吸引するゼリー状飲料とすることもできる。更に、固体状である場合、例えば、粉末状、顆粒状、錠状、棒状、板状、ブロック状等の種々の形状とすることができる。中でも、本発明の効果をより顕著に奏効させる観点から、粉末状食品が好ましい。
【0053】
本発明の飲食品としては何ら限定されるものではないが、飲料類等の液状食品(例えばスープ、スムージー)、調味料類等の液状又は半固体状又は固体状の飲食品(例えばマヨネーズ、ドレッシング、バター、マーガリン)、菓子類などの半固体状又は固体状食品(例えばグラノーラ、スティック、クラッカー、キャラメル、グミ、チップス)、乾燥調味料類などの粉末状食品が挙げられる。
【0054】
また、本発明には、不溶性食物繊維含有量が乾燥質量換算で1質量%以上の食用植物を粉砕処理し、2−ペンチルフランを1ppb以上50000ppb以下含有せしめる、超音波処理後の単位体積当たり比表面積が0.02m
2/mL以上の食用植物由来の微粒子を含有する飲食品の製造方法も含まれる。更に、2−ペンチルフランとともにγ−ノナノラクトン含有量が0.1ppb以上40000ppb以下の食用植物由来の微粒子を含有する飲食品の製造方法も含まれる。前述の製造方法において、2−ペンチルフラン及び/又はγ−ノナノラクトンは飲食品の製造の過程で任意のタイミングで含有せしめることができる。詳細は前述したとおりである。
【0055】
更には、本発明には、不溶性食物繊維含有量が乾燥質量換算で1質量%以上の食用植物を粉砕処理し、2−ペンチルフランを1ppb以上50000ppb以下含有せしめる、超音波処理後の単位体積当たり比表面積が0.02m
2/mL以上の食用植物由来の微粒子を含有する飲食品の不溶性食物繊維由来の収斂味と繊維臭を抑制する方法も含まれる。更に、2−ペンチルフランとともにγ−ノナノラクトン含有量が0.1ppb以上40000ppb以下の食用植物由来の微粒子を含有する飲食品の甘い香りを増強する方法も含まれる。前述の方法において、2−ペンチルフラン及び/又はγ−ノナノラクトンは飲食品に任意のタイミングで含有せしめることができる。詳細は前述したとおりである。
【実施例】
【0056】
以下、本発明を実施例に則して更に詳細に説明するが、これらの実施例はあくまでも説明のために便宜的に示す例に過ぎず、本発明は如何なる意味でもこれらの実施例に限定されるものではない。また、特に指定が無い限り、水は全て蒸留水を用いた。
【0057】
本実施例で使用した原料は、以下のとおりである。
(1)食用植物
以下の食用植物を選択し、乾燥状態の粉末(水分含量15質量%以下のもの)を使用した。
・可食部と、非可食部として包葉、めしべ及び穂軸を50質量%含有するコーン
・可食部と、非可食部として根端、皮及び葉柄を10質量%含有するビーツ
・可食部と、非可食部として根端及び葉柄基部を3質量%含有するニンジン
・可食部と、非可食部としてわた、種子及び両端を9質量%含有するカボチャ
・可食部と、非可食部としてさやを55質量%含有するエンドウ
・可食部と、非可食部としてへた、しん及び種子を10質量%含有するパプリカ
・可食部と、非可食部としてさやを45質量%含有するエダマメ
(2)2−ペンチルフラン
2−ペンチルフランの純品(東京化成工業社製)を使用した。
(3)γ−ノナノラクトン
γ−ノナノラクトンの純品(東京化成工業社製)を使用した。
【0058】
比較例1〜3及び試験例1〜42
食用植物の粉末に、1mLの水(対照)、あるいは2−ペンチルフラン又はγ−ノナノラクトンを水で適当な濃度に希釈した希釈用液を、表1に示す2−ペンチルフラン含有量及びγ−ノナノラクトン含有量となるように添加した後、混合して食用植物を含む粉末状食品を調製した。そして、得られた粉末状食品について、超音波処理後の単位体積当たり比表面積、不溶性食物繊維の含有量を前記の好適条件によって測定した。その後、粉末状食品の不溶性食物繊維由来の収斂味及び繊維臭、並びに食用植物由来の風味について、下記の評価基準にしたがって官能検査を行った。その結果を表1に示す。なお、表1中の備考欄には、評価基準以外の効果が認められた場合には、そのうちの代表的な効果を示した。
【0059】
比較例4
比較例2で調製したコーンを含む粉末状食品に、キャノーラ油を50質量%添加し、混合した後、アイメックス株式会社製、品名「RMBイージーナノ」を用い、微細化処理を行って、ペースト状食品を得た。微細化処理は、コーンを含む粉末状食品とキャノーラ油の混合物120mLに対し、直径2mmのジルコニアビーズ380gを用い、ミルの回転数2000rpm、冷却水温度5℃にて、30分間の条件で行った。尚、コーンを含む粉末状食品中の2−ペンチルフラン及び/又はγ−ノナノラクトンの濃度は、上記と同様の方法に従って予め調整した。そして、得られたペースト状食品について、超音波処理後の単位体積当たり比表面積、不溶性食物繊維の含有量を上記と同様に測定した。その後、ペースト状食品の不溶性食物繊維由来の収斂味及び繊維臭、並びに食用植物由来の風味について上記と同様に官能検査を行った。その結果を表1に示す。なお、表1中の備考欄には、評価基準以外の効果が認められた場合には、そのうちの代表的な効果を示した。
【0060】
試験例43、44
比較例4において、表1に示す2−ペンチルフラン含有量及びγ−ノナノラクトン含有量となるように調整したコーンを含む粉末状食品を用いたこと以外は、比較例4と同様の操作によりペースト状食品を得た。なお、ペンチルフラン含有量及びγ−ノナノラクトン含有量の調整は、上記と同様の方法により行った。そして、得られたペースト状食品について、超音波処理後の単位体積当たり比表面積、不溶性食物繊維の含有量を上記と同様に測定した。その後、ペースト状食品の不溶性食物繊維由来の収斂味及び繊維臭、並びに食用植物由来の風味について上記と同様に官能検査を行った。その結果を表1に示す。なお、表1中の備考欄には、評価基準以外の効果が認められた場合には、そのうちの代表的な効果を示した。
【0061】
比較例5
比較例2で調製したコーンを含む粉末状食品を水に10質量%混合した後、この混合物150mLを180mL容量のガラス瓶に充填し、湯浴にて瓶そう殺菌(60℃達温)し、冷却した。その後、ガラス瓶を打栓し、容器詰飲料を調製した。尚、コーンを含む粉末状食品中の2−ペンチルフラン及び/又はγ−ノナノラクトンの濃度は、上記と同様の方法に従って予め調整した。そして、得られた飲料について、超音波処理後の単位体積当たり比表面積、不溶性食物繊維の含有量を上記と同様に測定した。その後、飲料の不溶性食物繊維由来の収斂味及び繊維臭、並びに食用植物由来の風味について上記と同様に官能検査を行った。その結果を表1に示す。なお、表1中の備考欄には、評価基準以外の効果が認められた場合には、そのうちの代表的な効果を示した。
【0062】
試験例45〜48
比較例5において、表1に示す2−ペンチルフラン含有量及びγ−ノナノラクトン含有量となるように調整したコーンを含む粉末状食品を用いたこと以外は、比較例5と同様の操作により容器詰飲料を得た。なお、ペンチルフラン含有量及びγ−ノナノラクトン含有量の調整は、上記と同様の方法により行った。そして、得られた飲料について、超音波処理後の単位体積当たり比表面積、不溶性食物繊維の含有量を上記と同様に測定した。その後、飲料の不溶性食物繊維由来の収斂味及び繊維臭、並びに食用植物由来の風味について上記と同様に官能検査を行った。その結果を表1に示す。なお、表1中の備考欄には、評価基準以外の効果が認められた場合には、そのうちの代表的な効果を示した。
【0063】
比較例6
比較例2で調製したコーンを含む粉末状食品(40質量%)に、直径約3mmのキヌアパフ(5質量%)、ダイスアーモンド(10質量%)と、濃縮デーツ果汁(Brix75)(30質量%)と、オリーブオイル(10質量%)、水(20質量%)を加え、スクイーザー(不二精機社製、スクイーザーII)で加圧混錬し、適宜混合した後、厚さ5mm、縦10cm、横3cmの長さに成型し、80℃で5分間乾燥を行ってバー形状の固体状食品を調製した(乾燥後が100質量%)。尚、コーン含む粉末状食品中の2−ペンチルフラン及び/又はγ−ノナノラクトンの濃度は、上記と同様の方法に従って予め調整した。そして、得られたバー形状の固体状食品について、超音波処理後の単位体積当たり比表面積、不溶性食物繊維の含有量を比較例1と同様に測定した。その後、バー形状の固体状食品の不溶性食物繊維由来の収斂味及び繊維臭、並びに食用植物由来の風味について上記と同様に官能検査を行った。その結果を表1に示す。なお、表1中の備考欄には、評価基準以外に感じられた効果がある場合はそのうちの代表的な見解を示した。
【0064】
試験例49、50
比較例6において、表1に示す2−ペンチルフラン含有量及びγ−ノナノラクトン含有量となるように調整したコーンを含む粉末状食品を用いたこと以外は、比較例6と同様の操作によりバー形状の固体状食品を得た。なお、ペンチルフラン含有量及びγ−ノナノラクトン含有量の調整は、上記と同様の方法により行った。そして、得られたバー形状の固体状食品について、超音波処理後の単位体積当たり比表面積、不溶性食物繊維の含有量を上記と同様に測定した。その後、バー形状の固体状食品の不溶性食物繊維由来の収斂味及び繊維臭、並びに食用植物由来の風味について上記と同様に官能検査を行った。その結果を表1に示す。なお、表1中の備考欄には、評価基準以外の効果が認められた場合には、そのうちの代表的な効果を示した。
【0065】
官能検査の評価基準は以下のとおりである。
【0066】
<評価基準1:不溶性食物繊維由来の収斂味>
5:不溶性食物繊維由来の収斂味が全く感じられない
4:不溶性食物繊維由来の収斂味がほとんど感じられない
3:不溶性食物繊維由来の収斂味が感じられるが、許容範囲
2:不溶性食物繊維由来の収斂味がやや強く感じられる
1:不溶性食物繊維由来の収斂味が強く感じられる
ここで、不溶性食物繊維由来の収斂味は、試料を口に含んだ時に口中をしめつけるような感覚があるか否かの観点で評価した。
【0067】
<評価基準2:不溶性食物繊維由来の繊維臭>
5:不溶性食物繊維由来の繊維臭が全く感じられない
4:不溶性食物繊維由来の繊維臭がほとんど感じられない
3:不溶性食物繊維由来の繊維臭が感じられるが、許容範囲
2:不溶性食物繊維由来の繊維臭がやや強く感じられる
1:不溶性食物繊維由来の繊維臭が強く感じられる
ここで、不溶性食物繊維由来の繊維臭は、古紙のような老ねた異臭が感じられるか否かの観点で評価した。
【0068】
<評価基準3:食用植物由来の風味>
5:食用植物本来の自然な風味が強く感じられる
4:食用植物本来の自然な風味がやや強く感じられる
3:食用植物本来の自然な風味が感じられる
2:食用植物本来の自然な風味がやや弱く感じられる
1:食用植物本来の自然な風味が弱く感じられる
【0069】
尚、官能検査員としては、下記A)〜C)の識別訓練を実施した上で、特に成績が優秀で、商品開発経験があり、食品の味や食感といった品質についての知識が豊富で、各官能検査項目に関して絶対評価を行うことが可能な検査員を選抜した。
【0070】
A)五味(甘味:砂糖の味、酸味:酒石酸の味、旨み:グルタミン酸ナトリウムの味、塩味:塩化ナトリウムの味、苦味:カフェインの味)について、各成分の閾値に近い濃度の水溶液を各1つずつ作製し、これに蒸留水2つを加えた計7つのサンプルから、それぞれの味のサンプルを正確に識別する味質識別試験。
B)濃度がわずかに異なる5種類の食塩水溶液、酢酸水溶液の濃度差を正確に識別する濃度差識別試験。
C)メーカーA社醤油2つにメーカーB社醤油1つの計3つのサンプルからB社醤油を正確に識別する3点識別試験。
【0071】
また、前記の何れの評価項目でも、事前に検査員全員で標準サンプルの評価を行い、評価基準の各スコアについて標準化を行った上で、10名によって客観性のある官能検査を行った。各評価項目の評価は、各項目の5段階の評点の中から、各検査員が自らの評価と最も近い数字をどれか一つ選択する方式で評価した。評価結果の集計は、10名のスコアの算術平均値から算出した。なお、全ての粉末状食品の水分含量は15質量%未満であった。
【0072】
【表1】
【0073】
試験例51〜59
試験例20で得られた粉末状食品とデキストリン(パインデックス#100(松谷化学工業社製)とを、表2に示す食用植物の割合となるように混合し、粉末状食品を製造した。その後、粉末状食品の不溶性食物繊維由来の収斂味及び繊維臭、並びに食用植物の風味について上記と同様に官能検査を行った。その結果を表2に示す。なお、表2中の備考欄には、評価基準以外の効果が認められた場合には、そのうちの代表的な効果を示した。
【0074】
【表2】
【0075】
表1から、不溶性食物繊維を所定割合以上含有する種々の粉末状食品、並びにそれを含む飲食品において、2−ペンチルフラン含有量や超音波処理後の単位体積当たり比表面積等を所定範囲内になるように制御することで、不溶性食物繊維由来の収斂味及び繊維臭が同時に抑えられることがわかる。更に、γ−ノナノラクトン含有量を所定範囲内になるように制御することで、本発明の効果がより強く奏されるとともに、食用植物由来の甘い香りが増強される効果が付与されることが分かる。
また、表2から、粉末状食品全体に対する食用植物由来の粉末の含有量は、所定の範囲であることが好ましいことが分かる。