(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記補正部は、前記複数の測定点のうちの一の測定点で計測された前記計測データを、前記複数の測定点のうちの他の測定点で計測された前記計測データに基づいて補正する、請求項1または2記載の計測システム。
前記補正部は、前記複数の測定点のうちの一の測定点で計測された前記計測データを、前記複数の測定点のうちの前記一の測定点の周囲の他の測定点で計測された前記計測データの平均値に基づいて補正する、請求項3記載の計測システム。
複数の測定点において対象物との距離を測定することにより前記対象物の3次元座標のデータを計測する計測部を含む計測システムのコンピュータにおいて実行される計測プログラムであって、
前記計測プログラムは、前記コンピュータを、
3次元座標が既知である既知対象物における前記複数の測定点の各々について、前記計測部により複数回計測することにより得られた補正用データと前記既知対象物の真値とに基づいて、前記複数の測定点の各々についての補正用データの信頼度を算出する算出部と、
測定対象物を前記計測部により計測することで得られた前記複数の測定点の各々における計測データのうち、前記信頼度の高い前記補正用データの前記測定点に対応した点で計測された前記計測データと補正値との差分である補正幅に対する重み付けが、前記信頼度の低い前記補正用データの前記測定点に対応した点で計測された前記計測データの前記補正幅に対する重み付けよりも大きくなるように補正する補正部として機能させる、計測プログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方で、従来の補正方式では、センサと計測対象物体との位置関係、計測環境等の種々の要因により、ノイズの生じ易さが測定点毎に異なるため、精度の良い点が、精度の悪い点からの影響により誤って補正されることにより3次元形状の計測の精度を向上させることが難しいという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、上記の点に鑑みてなされたものであって、精度の高い3次元形状の計測が可能な計測システム、計測方法および計測プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ある局面に従う計測システムは、計測部と、算出部と、補正部とを備える。計測部は、複数の測定点において対象物との距離を測定することにより対象物の3次元座標のデータを計測する。算出部は、3次元座標が既知である既知対象物における複数の測定点の各々について、計測部により複数回計測することにより得られた補正用データと既知対象物の真値とに基づいて、複数の測定点の各々についての補正用データの信頼度を算出する。補正部は、測定対象物を計測部により計測することで得られた複数の測定点の各々における計測データのうち、信頼度の高い補正用データの測定点に対応した点で計測された計測データの補正幅に対する重み付けが、信頼度の低い補正用データの測定点に対応した点で計測された計測データの補正幅に対する重み付けよりも大きくなるように補正する。
【0009】
好ましくは、補正部は、測定対象物を計測部により計測することで得られた複数の測定点の各々における計測データのうち、信頼度の高い補正用データの測定点に対応した点で計測された計測データに対して、補正用データと既知対象物との誤差を平均化した誤差平均値による補正値に対する重み付けを大きくする。補正部は、測定対象物を計測部により計測することで得られた複数の測定点の各々における計測データのうち、信頼度の低い補正用データの測定点に対応した点で計測された計測データに対して、補正用データと既知対象物との誤差を平均化した誤差平均値による補正値に対する重み付けを小さくする。
【0010】
好ましくは、補正部は、複数の測定点のうちの一の測定点で計測された計測データを、複数の測定点のうちの他の測定点で計測された計測データに基づいて補正する。
【0011】
好ましくは、補正部は、複数の測定点のうちの一の測定点で計測された計測データを、複数の測定点のうちの一の測定点の周囲の他の測定点で計測された計測データの平均値に基づいて補正する。
【0012】
好ましくは、計測部は、深度センサおよび撮像センサのうちの少なくともいずれか一方である。
【0013】
ある局面に従う計測方法は、複数の測定点において対象物との距離を測定することにより対象物の3次元座標のデータを計測するステップと、計測するステップにより、3次元座標が既知である既知対象物における複数の測定点の各々について、複数回計測することにより得られた補正用データと既知対象物の真値とに基づいて、複数の測定点の各々についての補正用データの信頼度を算出するステップと、計測するステップにより、測定対象物を計測することで得られた複数の測定点の各々における計測データのうち、信頼度の高い補正用データの測定点に対応した点で計測された計測データの補正幅に対する重み付けが、信頼度の低い補正用データの測定点に対応した点で計測された計測データの補正幅に対する重み付けよりも大きくなるように補正するステップとを備える。
【0014】
ある局面に従う計測プログラムは、計測システムのコンピュータにおいて実行される計測プログラムである。計測システムは、複数の測定点において対象物との距離を測定することにより対象物の3次元座標のデータを計測する計測部を含む。計測プログラムは、コンピュータを、算出部と、補正部として機能させる。算出部は、3次元座標が既知である既知対象物における複数の測定点の各々について、計測部により複数回計測することにより得られた補正用データと既知対象物の真値とに基づいて、複数の測定点の各々についての補正用データの信頼度を算出する。補正部は、測定対象物を計測部により計測することで得られた複数の測定点の各々における計測データのうち、信頼度の高い補正用データの測定点に対応した点で計測された計測データの補正幅に対する重み付けが、信頼度の低い補正用データの測定点に対応した点で計測された計測データの補正幅に対する重み付けよりも大きくなるように補正する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の計測システム、計測方法および計測プログラムは、精度の高い3次元形状の計測が可能である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の説明では、同一部品には、同一の符号を付している。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0018】
<計測システム1の概要>
図1は、実施形態に基づく計測システム1の概要を説明する図である。
【0019】
図1を参照して、計測システム1は、センサ2と、CPU(Central Processing Unit)5と、メモリ6とを備える。
【0020】
センサ2は、複数の測定点において測定対象物Pとの距離を測定することにより対象物の3次元座標のデータを計測する。本例においては、一例として深度センサを用いて3次元座標のデータを計測する場合について説明する。
【0021】
CPU5は、中央演算処理装置であり、各種の演算処理を実行する。
メモリ6は、CPU5が実行する演算処理のワーク領域として、あるいは、演算処理に利用するデータの格納領域として用いられる。
【0022】
実施形態に基づく計測システム1は、センサ2から得られる3次元座標点群における点毎のノイズの生じ易さを予めセンサ2の誤差特性として学習(算出)する。
【0023】
そして、計測システム1は、算出されたセンサ2の誤差特性を利用して、精度の良い点のデータと、精度の悪い点のデータとで補正幅を調整する。
【0024】
図2は、実施形態に基づくCPU5の機能ブロックを説明する図である。
図2を参照して、CPU5は、誤差特性算出部52と、補正処理部54とを含む。
【0025】
誤差特性算出部52は、センサ2の誤差特性を算出する。
補正処理部54は、誤差特性算出部52で算出された誤差特性に基づく補正処理を実行する。
【0026】
図3は、実施形態に基づく計測システム1の計測方法のフロー図である。
図3を参照して、計測システム1は、誤差特性を算出する処理(誤差特性算出処理)を実行する(ステップS2)。誤差特性を算出する処理の詳細については後述する。
【0027】
次に、計測システム1は、算出した誤差特性に基づいて計測処理を実行する(ステップS4)。計測処理の詳細については後述する。
【0028】
そして、計測システム1は、処理を終了する(エンド)。
<誤差特性算出処理>
図4は、実施形態に基づく誤差特性を算出する処理(誤差特性算出処理)のサブルーチン図である。
【0029】
図4を参照して、計測システム1は、センサ2により3次元座標が既知である既知対象物をM回計測する(ステップS10)。
【0030】
CPU5は、ノイズを含むM回分の3次元座標点群の計測データを取得する。当該計測データは、補正用に用いられるデータであるため本例においては、補正用データとして説明する。なお、本例においては、M回は2以上の整数である。
【0031】
次に、計測システム1は、誤差平均および誤差分散を算出する(ステップS12)。具体的には、誤差特性算出部52は、M回分の3次元座標点群の計測データに基づいて誤差特性として、誤差平均および誤差分散を算出する。
【0032】
図5は、実施形態に基づく誤差特性算出部52による誤差の算出を説明する概念図である。
【0033】
図5に示されるように、真値Gが示されている。本例においては、既知対象物の既知である3次元座標データが真値Gとなる。
【0034】
また、センサ2によるm回目の補正用データQ^m(総称して補正用データQとも称する)が示されている。
【0035】
計測点の位置合わせ後の誤差は、真値Gから補正用データQ^mを減算する次式(1)で表わされる。
【0037】
これにより次式(2)の誤差平均が算出される。
【0039】
図6は、実施形態に基づく誤差特性算出部52による誤差分散および信頼度の算出を説明する概念図である。
【0040】
図6に示されるように、3つの測定点A〜Cそれぞれにおける1回目の計測値(補正用データ)から5回目の計測値(補正用データ)が一例として示されている。
【0041】
一例として、測定点A,Cの5回の計測値(補正用データ)は、測定点Bの5回の計測値と比較して相対的に集約されている。
【0042】
式(2)で算出した誤差平均r
iに基づいて、次式(3)の誤差分散σ
i2が算出される。
【0044】
図4のフローに戻って、計測システム1は、測定点毎の信頼度を算出する(ステップS14)。具体的には、誤差特性算出部52は、3次元座標が既知である既知対象物における複数の測定点の各々について、センサ2により複数回計測することにより得られた補正用データと、既知対象物の真値Gとに基づいて、複数の測定点の各々についての補正用データの信頼度ωを算出する。
【0045】
次に、処理を終了する(リターン)。
具体的には、上記算出した誤差分散に基づいて次式(4)に従って信頼度ωを算出する。
【0047】
図7は、実施形態に基づく誤差分散と信頼度との関係を説明する図である。
図7に示されるように横軸が誤差分散σ
i2、縦軸が信頼度ω
iとして示されている。
【0048】
ここで、誤差分散σ
i2が増加するに従って、信頼度ω
iが低くなる場合が示されている。本例においては信頼度ω
iは0に近づくことになる。一方、誤差分散σ
i2が小さい場合には、信頼度ω
iは高くなる。
【0049】
したがって、
図6にも示されるように、測定点A〜Cに関して、誤差分散σ
i2が小さい場合には、その平方根である標準偏差σ
iの値も小さくなる。本例においては、測定点A,Cの誤差分散は、測定点Bの誤算分散と比較して相対的に小さい場合が示されている。
【0050】
したがって、測定点A,Cの信頼度ωは高くなり、測定点Bの信頼度ωは低くなる。
上記算出処理により、測定点毎の信頼度ωを算出することが可能である。
【0051】
これにより、センサ2の測定点毎の誤差特性の情報として、誤差平均および信頼度を取得することが可能となる。誤差特性算出部52により算出されたセンサ2の測定点毎の誤差特性の情報をメモリ6に格納するようにしても良い。これにより、必要に応じて当該メモリからセンサ2の誤差特性の情報を読み出すことにより後述する補正処理部54における誤差特性に基づく補正処理を実行することが可能となる。
【0052】
<計測処理>
図8は、実施形態に基づく計測処理のフロー図である。
【0053】
図8を参照して、計測システム1は、センサ2により測定対象物Pに対して計測する(ステップS20)。
【0054】
CPU5は、ノイズを含む測定対象物Pの3次元座標点群の計測データを取得する。
次に、計測システム1は、測定点毎の補正値を算出する(ステップS22)。具体的には、補正処理部54は、測定点毎の補正値を以下の如く算出する。
【0055】
測定対象物Pが平面形状である場合、本例においては、次式(5)を満たす測定点毎の補正値sを算出する。
【0057】
なお、パラメータλは0〜∞の範囲に設定される。
当該式(5)の第1項は計測値と補正値の差を最小化するための項、当該式(5)の第2項は、補正された3次元座標集合が測定対象物の形状である平面に近づくよう、近傍の補正値の差を最小化するための項である。
【0058】
次に、計測システム1は、算出された補正値に基づく補正を実行する(ステップS24)。具体的には、補正処理部54は、測定点毎の補正値に従って、測定点毎に計測データを補正する。
【0059】
そして、計測システム1は、処理を終了する(エンド)。
図9は、実施形態に基づく補正処理部54の補正処理の概念図である。
【0060】
図9に示されるように、本例においては、上式(5)の第1項に従って測定対象物Pをセンサ2により計測することで得られた複数の測定点の各々における計測データのうち、信頼度ωの高い補正用データの測定点に対応した点で計測された計測データの補正幅に対する重み付けが、信頼度ωの低い補正用データの測定点に対応した点で計測された計測データの補正幅に対する重み付けよりも大きくなるように補正する。
【0061】
この点で、測定点A〜Cのそれぞれにおける計測値X1,Y1,Z1が示されている。
補正処理部54は、各計測データの補正幅として、測定点毎の誤差特性の情報に含まれている誤差平均および信頼度に基づいて設定する。具体的には、測定点毎の信頼度に従って誤差平均による補正が調整される。
【0062】
測定点A〜Cにのそれぞれの計測値X1,Y1,Z1について誤差平均r
1,r
2,r
3に基づいて補正される場合が示される。ここで、信頼度ωが「1」の場合には、測定点A〜Cのそれぞれの計測値X1,Y1,Z1は、誤差平均r
1,r
2,r
3に基づいて補正値X2,Y2,Z2に補正されるが、本実施形態における補正は、信頼度により補正幅が異なる。具体的には、信頼度ωが高い計測値X1,Z1については、誤差平均r
1,r
3に基づく補正幅に対する重み付けは大きく、信頼度ωが低い計測値Y1については、誤差平均r
2に基づく補正幅に対する重み付けは小さくなる。
【0063】
本例においては、信頼度ωに従って補正値X3,Y3,Z3に変化する場合が示されている。
【0064】
そして、さらに上式(5)の第2項に従って測定対象物Pの複数の測定点の各々における計測データの全体形状が平面に近づくように平滑化処理される。
【0065】
平滑化処理として、上式(5)の第2項に示されるように複数の測定点のうちの一の測定点で計測された計測データを、複数の測定点のうちの他の測定点で計測された計測データに基づいて補正する。具体的には、計測データを当該一の測定点の周囲の他の測定点で計測された計測データの平均値に基づいて補正する処理を実行する。一例として、周囲の2点、4点、8点等任意の他の測定点で計測された計測データを利用することが可能である。
【0066】
本例においては、平滑化処理により補正値X3,Y3,Z3が平滑化処理された補正値X4,Y4,Z4に補正される場合が示されている。
【0067】
当該方式に基づく補正により、測定点毎の誤差特性の情報に基づいて、各測定点毎に補正幅に対する重み付けを変更することが可能となる。
【0068】
従来の方式では、精度の良い測定データおよび精度の悪い測定データが平滑化処理等により一律に補正される方式であったため結果的に精度を向上させることが難しかった。
【0069】
本実施形態に従えば、測定点に対する精度の良い測定データおよび精度の悪い測定データを誤差特性により判別することが可能である。具体的には、測定点毎の信頼度により精度の良い悪いを判別することが可能である。そして、測定点に対する誤差特性に従って、信頼度を係数とした重み付けにより補正値を調整する。複数の測定点の各々における計測データのうち、信頼度ωの高い補正用データの測定点に対応した点で計測された計測データの補正幅の重み付けが、信頼度ωの低い補正用データの測定点に対応した点で計測された計測データの補正幅の重み付けよりも大きくなるように補正する。
【0070】
これにより、各測定点毎に信頼度に応じた補正値による補正処理が実行されるため、一律に補正する場合と比較して、精度の高い3次元形状の計測が可能な計測システムを実現することが可能となる。
【0071】
なお、本例においては、センサ2の一例として深度センサにより3次元座標データを取得する構成について説明したが、撮像センサにより複数回撮像し、撮像した複数の画像データを用いて3次元座標データを取得するようにしても良い。
【0072】
また、上記構成においては、センサ2とCPU5とを別体とする構成について説明したが、センサ2と、CPU5とが一体として設けられた計測装置とすることも可能である。したがって、センサ2をCPU5の機能の一部とすることも可能である。さらに、メモリ6も一体として計測システム1を1つの装置として実現することも当然に可能である。
【0073】
また、本実施形態における計測プログラムとして、CPU5で実行可能なアプリケーションプログラムを提供してもよい。このとき、本実施の形態に係る計測プログラムは、CPU5上で実行される各種アプリケーションの一部の機能(モジュール)として組み込まれてもよい。
【0074】
<作用効果>
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0075】
本実施形態の計測システム1には、センサ2と、誤差特性算出部52と、補正処理部54とが設けられる。センサ2は、複数の測定点において対象物との距離を測定することにより対象物の3次元座標のデータを計測する。誤差特性算出部52は、3次元座標が既知である既知対象物における複数の測定点の各々について、センサ2によりM回計測することにより得られた補正用データQと既知対象物の真値Gとに基づいて、複数の測定点の各々についての補正用データQの信頼度ωを算出する。補正処理部54は、測定対象物Pをセンサ2により計測することで得られた複数の測定点の各々における計測データのうち、信頼度ωの高い補正用データQの測定点に対応した点で計測された計測データの補正幅に対する重み付けが、信頼度ωの低い補正用データQの測定点に対応した点で計測された計測データの補正幅に対する重み付けよりも大きくなるように補正する。
【0076】
補正処理部54において、複数の測定点の各々における計測データのうち、信頼度ωの高い補正用データQの測定点に対応した点で計測された計測データの補正幅に対する重み付けが、信頼度ωの低い補正用データQの測定点に対応した点で計測された計測データの補正幅に対する重み付けよりも大きくなるように補正することにより、各測定点毎に信頼度に応じた補正値による補正処理が実行されるため、一律に補正する場合と比較して、精度の高い3次元形状の計測が可能である。
【0077】
補正処理部54は、測定対象物Pをセンサ2により計測することで得られた複数の測定点の各々における計測データのうち、信頼度ωの高い補正用データQの測定点に対応した点で計測された計測データに対して、補正用データQと既知対象物との誤差を平均化した誤差平均値による補正値に対する重み付けを大きくし、測定対象物Pをセンサ2により計測することで得られた複数の測定点の各々における計測データのうち、信頼度ωの低い補正用データQの測定点に対応した点で計測された計測データに対して、補正用データQと既知対象物との誤差を平均化した誤差平均値による補正値に対する重み付けを小さくする。
【0078】
補正処理部54は、
図9に示すように、信頼度ωの高い測定点A,Cに対応した点で計測された計測データに対して、誤差平均値による補正値に対する重み付けを大きくし、信頼度ωの低い測定点Bに対応した点で計測された計測データに対して、誤差平均値による補正値に対する重み付けを小さくするため、各測定点毎に信頼度に応じた誤差平均値による補正処理が実行される。これにより、一律に補正する場合と比較して、計測データに対する各測定点毎の精度の高い補正値による補正処理により、精度の高い3次元形状の計測が可能である。
【0079】
補正処理部54は、複数の測定点のうちの一の測定点で計測された計測データを、複数の測定点のうちの他の測定点で計測された計測データに基づいて補正する。
【0080】
補正処理部54は、一の測定点で計測された計測データを他の測定点で計測された計測データに基づいて補正することにより、計測データの全体形状が平面に近づくように平滑化処理されるため、ノイズの大きな特異な計測データも適正に補正されて精度の高い3次元形状の計測が可能である。
【0081】
補正処理部54は、複数の測定点のうちの一の測定点で計測された計測データを、複数の測定点のうちの一の測定点の周囲の他の測定点で計測された計測データの平均値に基づいて補正する。
【0082】
補正処理部54は、
図9に示すように、一の測定点で計測された計測データを周囲の他の測定点で計測された計測データの平均値に基づいて補正することにより、より計測データの全体形状が平面に近づくように平滑化処理されるため精度の高い3次元形状の計測が可能である。
【0083】
本実施形態の計測システム1の計測方法では、センサ2により複数の測定点において対象物との距離を測定することにより対象物の3次元座標のデータを計測するステップが実行される。また、誤差特性算出部52により、センサ2により計測するステップにより、3次元座標が既知である既知対象物における複数の測定点の各々について、M回計測することにより得られた補正用データQと既知対象物の真値Gとに基づいて、複数の測定点の各々についての補正用データQの信頼度を算出するステップが実行される。また、補正処理部54により、センサ2により計測するステップにより、測定対象物Pを計測することで得られた複数の測定点の各々における計測データのうち、信頼度ωの高い補正用データQの測定点に対応した点で計測された計測データの補正幅に対する重み付けが、信頼度ωの低い補正用データQの測定点に対応した点で計測された計測データの補正幅に対する重み付けよりも大きくなるように補正するステップが実行される。
【0084】
補正処理部54により、複数の測定点の各々における計測データのうち、信頼度ωの高い補正用データQの測定点に対応した点で計測された計測データの補正幅に対する重み付けが、信頼度ωの低い補正用データQの測定点に対応した点で計測された計測データの補正幅よりも大きくなるように補正するステップを実行することにより、各測定点毎に信頼度に応じた補正値による補正処理が実行されるため、一律に補正する場合と比較して、精度の高い3次元形状の計測が可能である。
【0085】
本実施形態の計測システム1は、複数の測定点において対象物との距離を測定することにより対象物の3次元座標のデータを計測するセンサ2を含む。計測プログラムは、計測システム1のCPU5を、誤差特性算出部52および補正処理部54として機能させる。誤差特性算出部52は、3次元座標が既知である既知対象物における複数の測定点の各々について、センサ2によりM回計測することにより得られた補正用データQと既知対象物の真値Gとに基づいて、複数の測定点の各々についての補正用データQの信頼度ωを算出する。補正処理部54は、測定対象物Pをセンサ2により計測することで得られた複数の測定点の各々における計測データのうち、信頼度ωの高い補正用データQの測定点に対応した点で計測された計測データの補正幅に対する重み付けが、信頼度ωの低い補正用データQの測定点に対応した点で計測された計測データの補正幅に対する重み付けよりも大きくなるように補正する。
【0086】
補正処理部54により、複数の測定点の各々における計測データのうち、信頼度ωの高い補正用データQの測定点に対応した点で計測された計測データの補正幅に対する重み付けが、信頼度ωの低い補正用データQの測定点に対応した点で計測された計測データの補正幅に対する重み付けよりも大きくなるように補正するステップを実行することにより、各測定点毎に信頼度に応じた補正値による補正処理が実行されるため、一律に補正する場合と比較して、精度の高い3次元形状の計測が可能である。
【0087】
今回開示された実施の形態は例示であって、上記内容のみに制限されるものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。