(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記粒子数算出部により算出された前記特定粒子径の粒子数に基づいて、前記粒子径分布を、前記測定対象に含まれる各粒子径の粒子数を相対的に表した分布から、その粒子数を絶対的に表した分布に変換する分布変換部を備える請求項1記載の粒子径分布測定装置。
前記既知試料の粒子径及び屈折率を用いて算出された理論光強度分布と、前記既知試料と同じ粒子径で異なる屈折率を用いて算出された理論光強度分布とに基づいて、前記粒子数−光強度相関データを補正する相関データ補正部をさらに備える請求項1記載の粒子径分布測定装置。
測定対象である粒子群に光を照射し、その回折/散乱光の光強度を示す光強度信号に基づいて前記粒子群の粒子径分布を算出する粒子径分布測定装置に搭載されるプログラムであって、
前記光強度信号から得られる実光強度分布と、粒子径から算出される理論光強度分布とに基づいて、前記測定対象に含まれる特定粒子径の粒子に起因する光強度を算出する特定粒子径光強度算出部と、
前記特定粒子径の粒子数が既知である複数の既知試料を用いて得られるデータであり、前記各既知試料に含まれる前記特定粒子径の粒子数と、前記各既知試料から得られた光強度分布の積算値との相関を示す粒子数−光強度相関データを記憶する相関データ記憶部と、
前記特定粒子径光強度算出部により算出された光強度と、前記粒子数−光強度相関データとに基づいて、前記測定対象に含まれる前記特定粒子径の粒子数を算出する粒子数算出部としての機能をコンピュータに発揮させる粒子径分布測定装置用プログラム。
測定対象である粒子群に光を照射し、その回折/散乱光の光強度を示す光強度信号に基づいて前記粒子群の粒子径分布を算出する粒子径分布測定装置に搭載されるプログラムであって、
前記光強度信号から得られる実光強度分布と、粒子径から算出される理論光強度分布とに基づいて、前記測定対象に含まれる特定粒子径の粒子に起因する光強度を算出する特定粒子径光強度算出部と、
前記特定粒子径の粒子数が既知である複数の既知試料を用いて得られるデータであり、前記各既知試料に含まれる前記特定粒子径の粒子数と、前記各既知試料から得られた光強度分布における特定の拡がり角度の光強度との相関を示す粒子数−光強度相関データを記憶する相関データ記憶部と、
前記特定粒子径光強度算出部により算出された光強度と、前記粒子数−光強度相関データとに基づいて、前記測定対象に含まれる前記特定粒子径の粒子数を算出する粒子数算出部としての機能をコンピュータに発揮させる粒子径分布測定装置用プログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであって、測定対象に含まれるある粒子径の絶対的な粒子数を知ることのできる粒子径分布測定装置を提供することをその主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明に係る粒子径分布測定装置は、測定対象である粒子群に光を照射し、その回折/散乱光の光強度を示す光強度信号に基づいて前記粒子群の粒子径分布を算出する粒子径分布測定装置であって、前記光強度信号から得られる実光強度分布と、粒子径から算出される理論光強度分布とに基づいて、前記測定対象に含まれる特定粒子径の粒子に起因する光強度を算出する特定粒子径光強度算出部と、前記特定粒子径の粒子数が既知である複数の既知試料を用いて得られるデータであり、前記各既知試料に含まれる前記特定粒子径の粒子数と、前記各既知試料から得られた光強度分布の積算値との相関を示す粒子数−光強度相関データを記憶する相関データ記憶部と、前記特定粒子径光強度算出部により算出された光強度と、前記粒子数−光強度相関データとに基づいて、前記測定対象に含まれる前記特定粒子径の粒子数を算出する粒子数算出部とを備えることを特徴とするものである。
【0009】
このように構成された粒子径分布測定装置であれば、粒子数と光強度分布の積算値との相関を示す粒子数−光強度相関データを予め既知試料を用いて求めてあるので、この粒子数−光強度相関データと、測定対象中の特定粒子径の粒子に起因する光強度とに基づいて測定対象に含まれる特定粒子径の粒子数を算出することが可能となる。
【0010】
前記粒子数算出部により算出された前記特定粒子径の粒子数に基づいて、前記粒子径分布を、前記測定対象に含まれる各粒子径の粒子数を相対的に表した分布から、その粒子数を絶対的に表した分布に変換する分布変換部を備えることが好ましい。
このようなものであれば、各粒子径の絶対的な粒子数を示す分布を確認することで、測定対象に含まれる各粒子径の粒子数を全体的に把握することができる。
【0011】
ところで、例えば500nmの既知試料を用いて粒子数−光強度相関データを予め求めてあったとしても、測定対象に500nmの粒子が含まれていなければ、粒子数−光強度相関データを用いて絶対的な粒子数を算出することはできない。
そこで、前記相関データ記憶部が、複数種類の粒子径それぞれに対して得られた前記粒子数−光強度相関データを記憶していることが好ましい。
このようなものであれば、複数種類の粒子径それぞれに対して粒子数−光強度相関データを予め求めているので、これらの粒子径の少なくとも1つが、測定対象に含まれる粒子の粒子径と一致していれば、その粒子径に対応する粒子数−光強度相関データを用いて絶対的な粒子数を算出することができる。
【0012】
光強度分布は、屈折率が変わるとその形状が変わるため、屈折率が変われば光強度分布の積算値と粒子数との相関も変わる。
そこで、前記既知試料の粒子径及び屈折率を用いて算出された理論光強度分布と、前記既知試料と同じ粒子径で異なる屈折率を用いて算出された理論光強度分布とに基づいて、前記粒子数−光強度相関データを補正する相関データ補正部をさらに備えることが好ましい。
このようなものであれば、相関データ補正部が粒子数−光強度相関データを屈折率に応じて補正するので、測定対象の屈折率が既知試料の屈折率と異なっている場合であっても、測定対象の屈折率に応じて補正された適切な粒子数−光強度相関データを用いて粒子数を算出することができる。これにより、測定対象中のある粒子径の粒子数と、その粒子径に対して算出された粒子数との差を小さくすることができる。
【0013】
具体的な測定対象としては、液体中に含まれる気泡粒子が挙げられる。
【0014】
また、本発明に係る粒子径分布測定装置用プログラムは、測定対象である粒子群に光を照射し、その回折/散乱光の光強度を示す光強度信号に基づいて前記粒子群の粒子径分布を算出する粒子径分布測定装置に搭載されるプログラムであって、前記光強度信号から得られる実光強度分布と、粒子径から算出される理論光強度分布とに基づいて、前記測定対象に含まれる特定粒子径の粒子に起因する光強度を算出する特定粒子径光強度算出部と、前記特定粒子径の粒子数が既知である複数の既知試料を用いて得られるデータであり、前記各既知試料に含まれる前記特定粒子径の粒子数と、前記各既知試料から得られた光強度分布の積算値との相関を示す粒子数−光強度相関データを記憶する相関データ記憶部と、前記特定粒子径光強度算出部により算出された光強度と、前記粒子数−光強度相関データとに基づいて、前記測定対象に含まれる前記特定粒子径の粒子数を算出する粒子数算出部としての機能をコンピュータに発揮させることを特徴とするプログラムである。
このような粒子径分布測定装置用プログラムであれば、上述した粒子径分布測定装置と同様の作用効果を発揮させることができる。
【0015】
また、本発明に係る粒子径分布測定装置は、測定対象である粒子群に光を照射し、その回折/散乱光の光強度を示す光強度信号に基づいて前記粒子群の粒子径分布を算出する粒子径分布測定装置であって、前記光強度信号から得られる実光強度分布と、粒子径から算出される理論光強度分布とに基づいて、前記測定対象に含まれる特定粒子径の粒子に起因する光強度を算出する特定粒子径光強度算出部と、前記特定粒子径の粒子数が既知である複数の既知試料を用いて得られるデータであり、前記各既知試料に含まれる前記特定粒子径の粒子数と、前記各既知試料から得られた光強度分布における特定の拡がり角度の光強度との相関を示す粒子数−光強度相関データを記憶する相関データ記憶部と、前記特定粒子径光強度算出部により算出された光強度と、前記粒子数−光強度相関データとに基づいて、前記測定対象に含まれる前記特定粒子径の粒子数を算出する粒子数算出部とを備えることを特徴とするものである。
【0016】
さらに、本発明に係る粒子径分布測定装置用プログラムは、測定対象である粒子群に光を照射し、その回折/散乱光の光強度を示す光強度信号に基づいて前記粒子群の粒子径分布を算出する粒子径分布測定装置に搭載されるプログラムであって、前記光強度信号から得られる実光強度分布と、粒子径から算出される理論光強度分布とに基づいて、前記測定対象に含まれる特定粒子径の粒子に起因する光強度を算出する特定粒子径光強度算出部と、前記特定粒子径の粒子数が既知である複数の既知試料を用いて得られるデータであり、前記各既知試料に含まれる前記特定粒子径の粒子数と、前記各既知試料から得られた光強度分布における特定の拡がり角度の光強度との相関を示す粒子数−光強度相関データを記憶する相関データ記憶部と、前記特定粒子径光強度算出部により算出された光強度と、前記粒子数−光強度相関データとに基づいて、前記測定対象に含まれる前記特定粒子径の粒子数を算出する粒子数算出部としての機能をコンピュータに発揮させることを特徴とするプログラムである。
【0017】
このような粒子径分布測定装置や粒子径分布測定装置用プログラムであれば、
粒子数と特定の拡がり角度の光強度との相関を示す粒子数−光強度相関データを予め既知試料を用いて求めてあるので、この粒子数−光強度相関データと、測定対象中の特定粒子径の粒子に起因する光強度とに基づいて、測定対象に含まれる特定粒子径の粒子数を算出することが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
このように構成した本発明によれば、測定対象に含まれる特定粒子径の粒子数を算出することができ、ひいては測定対象に含まれる各粒子径の粒子数を絶対的に表した粒子径分布を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明に係る粒子径分布測定装置の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0022】
本実施形態に係る粒子径分布測定装置100は、粒子に光を照射した際に生じる回折/散乱光の拡がり角度に応じる光強度分布が、MIE散乱理論やフラウンホーファー回折理論等から粒子径によって定まることを利用し、前記回折/散乱光を検出することによって粒子径分布を測定するものである。測定対象Xとしては、医薬品、食品、化学工業品など種々挙げられるが、ここでは液体中に含まれる気泡粒子を測定対象Xとしている。
【0023】
粒子径分布測定装置100は、
図1に模式的に示すように、装置本体10と演算装置20とを備えている。
【0024】
装置本体10は、測定対象Xである粒子群を収容するセル11と、そのセル11内の粒子群にレンズ12を介してレーザ光を照射する光源13たるレーザ装置と、レーザ光の照射により生じる回折/散乱光の光強度を拡がり角度に応じて検出する複数の光検出器14とを備えたものである。
なお、セル11は、本実施形態では、バッチ式セルを用いているが、循環式セルを用いても構わない。
【0025】
演算装置20は、物理的に言えば、CPU、メモリ、入出力インターフェース等を備えた汎用乃至専用のコンピュータであり、各光検出器14から出力された光強度信号を受信して粒子径分布を算出するものである。
【0026】
この演算装置20は、前記メモリの所定領域に記憶させた所定のプログラムにしたがって、CPUや周辺機器を協働させることにより、
図2に示すように、実光強度分布取得部21、理想光強度分布記憶部22、及び粒子径分布算出部23としての機能を備えたものである。
【0027】
実光強度分布取得部21は、各光検出器14から出力された光強度信号を受け付けて、
図3に示すように、各光検出器14のチャンネルに対する光強度分布、すなわち回折/散乱光の拡がり角度に対する光強度分布を示す実光強度分布データを取得する。
【0028】
理想光強度分布記憶部22は、
図3に示すように、同じ粒子径の粒子からなる粒子群に光を照射した場合に得られるはずの理想光強度分布を示す理想光強度分布データを記憶している。この理想光強度分布は、少なくとも粒子径を用いて所定の算出式(理論式)に基づき算出されるものであり、演算装置20とは別の情報処理装置を用いて予め算出しておいても良いし、演算装置20に理想光強度分布を算出する機能を備えさせておいても良い。
本実施形態の理想光強度分布記憶部22は、複数種類の粒子径それぞれに対して算出された各理想強度分布データを記憶している。ここでは説明の便宜上、少なくとも10nm、500nm、及び1μmの粒子径に対して算出された理想光強度分布データが記憶されているものとする。
【0029】
粒子径分布算出部23は、実光強度分布取得部21により取得された実光強度分布データと、理想光強度分布記憶部22に記憶されている複数の理想光強度分布データとに基づいて、測定対象Xたる粒子群の粒子径分布を示す粒子径分布データを算出する。
この粒子径分布は、
図3に示すように、ある粒子径の粒子が粒子群全体に対して占める割合(以下、頻度ともいう)を表すものであり、一方の軸を粒子径、他方の軸を頻度に設定されたグラフ上に表される。ここでは、頻度をパーセンテージで表しており、言い換えれば粒子径分布は各粒子径の粒子数を相対的に表したものといえる。
【0030】
しかして、本実施形態の演算装置20は、
図2に示すように、相関データ記憶部24、特定粒子径光強度算出部25、粒子数算出部26、及び分布変換部27としての機能をさらに備えてなる。
【0031】
相関データ記憶部24は、
図4に示すように、同じ粒子径の粒子からなり、含まれる粒子数が互いに異なる複数の既知試料に光を照射して得られる光強度分布の積算値と、各既知試料の粒子数(ここでは、[個数/ml]で表される個数濃度)との相関を示す粒子数−光強度相関データを記憶したものであり、具体的には各粒子数に対する光強度分布の積算値をプロットして得られる検量線である。
既知試料は、含まれる粒子の粒子径がある程度揃った単分散の試料である。ここでは既知試料として、単位体積当たりに含まれる粒子数(個数濃度)が既知で、且つ、粒子径のそろった例えばポリスチレンラテックス球(PSL)を用いている。すなわち、上述した検量線は、粒子径が同じ複数の単分散試料において、粒子数を互いに異ならせたものそれぞれに光を照射して、得られた光強度分布の積算値を各粒子数に対してプロットすることにより作成されたものである。
粒子数−光強度相関データは、予め実験などで求めておき、相関データ記憶部24に記憶させてある。本実施形態の相関データ記憶部24は、複数種類の粒子径それぞれに対して得られた粒子数−光強度相関データを記憶している。ここでは説明の便宜上、少なくとも500nm、10nm、及び1μmの既知試料を用いて得られた3つの粒子数−光強度相関データが記憶されている。
【0032】
ここで、上述した粒子数−光強度相関データを予め求めた実験結果を
図5に示す。
この実験では、既知試料として粒子径が10μmのポリスチレンラテックス球(PSL)を用いており、個数濃度が互いに異なる9種類の既知試料を使用した。
そして、各既知試料に光を照射して得られた光強度分布の積算値とそれぞれの個数濃度とをプロットしたものが、
図5に示すグラフである。
この実験結果から、粒子数と光強度分布の積算値との間には線形性の良い相関があることが分かる。
【0033】
特定粒子径光強度算出部25は、上述した実光強度分布データと理想光強度分布データとに基づいて、測定対象Xに含まれる特定粒子径の粒子に起因する光強度を算出する。なお、ここでいう特定粒子径の粒子とは、ある粒子径(例えば500nm)の粒子には限らず、粒子径がある特定の範囲(例えば450nm〜550nm)に含まれる粒子としても構わない。
【0034】
ここで、実光強度分布は、
図6に示すように、種々の粒子径に対応する理想光強度分布が重ね合わさったものと考えることができる。すなわち、実光強度分布データには、複数種類の粒子径に対応する理想光強度分布データが、とある割合で含まれていることになる。
そこで、特定粒子径光強度算出部25は、上記の割合を実光強度分布の積算値I0に掛け合わせて、特定の粒子径の粒子に依存する光強度(以下、特定粒子径光強度積算値)を算出する。言い換えれば、特定粒子径光強度算出部25は、
図6に示すように、実光強度分布に含まれる特定粒子径の理想光強度分布の積算値を、特定粒子径光強度として算出している。具体的にここでは、上記の割合として粒子径分布算出部23により算出された頻度を用いており、特定粒子径の頻度を実光強度分布の積算値I0に掛け合わせた値を特定粒子径光強度積算値としている。
なお、実光強度分布の積算値は、必ずしも全チャンネルに亘って光強度を積算した値には限らず、例えば一部のチャンネル(ファーストボトムよりも拡がり角度が小さい又は大きい位置にあるチャンネル)の光強度を積算した値や、ノイズの生じているチャンネルを除いて光強度を積算した値としても良い。
【0035】
粒子数算出部26は、特定粒子径光強度算出部25により算出された特定粒子径光強度積算値と、粒子数−光強度相関データとに基づいて、測定対象Xに含まれる特定粒子径の粒子数を算出するものである。
具体的には、
図7に示すように、例えば特定粒子径光強度算出部25が測定対象Xに含まれる500nmの粒子に起因する特定粒子径光強度積算値Iaを算出した場合、粒子数算出部26は、500nmの既知試料を用いて得られた粒子数−光強度相関データを用いて、特定粒子径光強度積算値Iaに対応する粒子数Naを求める。
【0036】
本実施形態では、500nm、10nm、及び1μmそれぞれの特定粒子径光強度積算値Ia、Ib、Icに基づき、測定対象Xに含まれる500nm、10nm、及び1μmそれぞれの粒子数Na、Nb、Ncを求めている。
なお、粒子数算出部26としては、複数種類の粒子径それぞれに対して粒子数を算出する必要はなく、少なくとも1種類の粒子径に対する粒子数を算出するものであれば良い。
【0037】
分布変換部27は、
図7に示すように、粒子数算出部26により算出された粒子数と、上述した粒子径分布データとに基づいて、粒子径分布データが示す粒子径分布を、各粒子径の粒子数を相対的に表した分布から、各粒子径の粒子数を絶対的に表した分布に変換するものである。
具体的にこの分布変換部27は、粒子数を相対的に表した分布における他方の軸を、頻度(パーセンテージ)から粒子数(個数濃度)に変換する。そして、この他方の軸として設定された粒子数が、粒子数算出部26により算出された各粒子径(ここでは、500nm、10nm、1μm)の粒子数Na、Nb、Ncとなるように分布形状を変形させる。なお、粒子数算出部26により算出された粒子径以外の粒子径の粒子数については、ここでは例えば補間により算出されている。
これにより、各粒子径の粒子数を相対的に表した分布は、各粒子径の粒子数を絶対的に表した分布に変換され、変換後の粒子径分布は例えばディスプレイ等に出力される。
【0038】
ところで、粒子に光を照射して得られる光強度分布の形状は、粒子の屈折率によって変化するので、屈折率が異なれば光強度分布の積算値と粒子数との相関も変わる。
このことから、粒子数−光強度相関データを得るために用いられた既知試料の屈折率と測定対象Xの屈折率とが異なる場合、その粒子数−光強度相関データは測定対象Xに含まれる特定粒子径の粒子数を算出するためには適切なデータであるとはいえない。したがって、この粒子数−光強度相関データを用いて粒子数を算出すると、算出された粒子数と測定対象Xに含まれる実際の粒子数との間で誤差が生じてしまう。
【0039】
そこで、本実施形態の演算装置20は、
図2に示すように、相関データ記憶部24に記憶されている粒子数−光強度相関データを補正する相関データ補正部28としての機能をさらに備えている。
【0040】
以下では、測定対象Xの屈折率をnx、既知試料の屈折率をnyとし、例えば500nmの既知試料を用いて予め求めた粒子数−光強度相関データを補正する場合について、
図8を参照しながら説明する。
【0041】
この場合、相関データ補正部28は、測定対象Xの屈折率nxと粒子径500nmを用いて得られた理想光強度分布データを理想光強度分布記憶部22から取得して、その理想光強度分布の積算値Ixを算出する。
また、相関データ補正部28は、既知試料の屈折率nyと粒子径500nmを用いて得られる理想光強度分布の積算値Iyを算出する。
【0042】
次に、相関データ補正部28は、それぞれの積算値Ix、Iyの比率k(=Ix/Iy)を算出する。
【0043】
そして、相関データ補正部28は、500nmの既知試料を用いて予め求められている補正前の粒子数−光強度相関データに対して、上述した比率kを各粒子数に対応する光強度に掛け合わせることで、補正後の粒子数−光強度相関データとして相関データ記憶部24に記憶させる。
【0044】
このように構成された本実施形態に係る粒子径分布測定装置100によれば、粒子数と光強度分布の積算値との相関を示す粒子数−光強度相関データを予め既知試料を用いて求めてあるので、この粒子数−光強度相関データと特定粒子径光強度積算値とに基づいて、測定対象Xに含まれる特定粒子径の粒子数(個数濃度)を算出することが可能となる。
そして、このように粒子数(個数濃度)を算出することで、例えば換算式などを用いて、測定対象Xの全体に含まれる特定粒子径の全粒子数や、測定対象Xに含まれる特定粒子径の粒子の濁度又は体積濃度など、特定粒子径の粒子に関する絶対的な値を知ることができる。
【0045】
また、分布変換部27が、粒子径分布を、各粒子径の粒子数を相対的に表した分布から、各粒子径の粒子数を絶対的に表した分布に変換するので、変換後の粒子径分布を確認することで、測定対象Xに含まれる各粒子径の粒子数を全体的に把握することができる。
【0046】
さらに、複数種類の粒子径それぞれに対して粒子数−光強度相関データを予め求めているので、これらの粒子径の少なくとも1つが、測定対象Xに含まれる粒子の粒子径と一致していれば、その粒子径に対応する粒子数−光強度相関データを用いて粒子数を算出することができる。これにより、種々の測定対象Xに柔軟に対応して、粒子径分布を測定することが可能となる。
また、複数の粒子数−光強度相関データを用いることができる場合は、より正確に粒子数や粒子数を絶対的に表した分布を算出すべく、用いることのできる粒子数−光強度相関データを全て用いても良いし、粒子数を相対的に表した粒子径分布のモード径(最頻径)に最も近い粒子径に対応する粒子数−光強度相関データを用いても良い。
【0047】
そのうえ、相関データ補正部28が屈折率の違いに応じて粒子数−光強度相関データを補正するので、測定対象Xの屈折率が既知試料の屈折率と異なっている場合であっても、補正後の適切な粒子数−光強度相関データを用いて粒子数を算出することができる。これにより、測定対象Xに実際に含まれる粒子数と算出された粒子数との間に生じる誤差を小さくすることができ、測定精度の向上を図れる。
【0048】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。
【0049】
例えば、粒子数−光強度相関データは、
図9に示すように、既知試料に含まれる粒子数と、既知試料から得られた光強度分布における特定の拡がり角度の光強度(つまり、特定のチャンネルの光検出器14が検出した光強度)との相関を示すデータであっても良い。なお、特定の拡がり角度は、例えばセカンドピークやファーストピークに対応する拡がり角度や、光強度が最大となる拡がり角度など、適宜変更して構わない。
【0050】
この粒子数−光強度相関データは、
図9に示すように、同じ粒子径の粒子からなり、含まれる粒子数が互いに異なる複数の既知試料に光を照射して得られる実光強度分布から予め求められる。
具体的には、例えば粒子径が500nmで粒子数(個数濃度)がC1、C2、C3の3つの既知試料それぞれに光を照射して光強度分布を測定し、これらの光強度分布の特定チャンネル(例えばCh1)の光強度I11、I12、I13と、各既知試料の粒子数(個数濃度)C1、C2、C3とをプロットして得られる検量線が、500nmの既知試料を用いて得られる粒子数−光強度相関データに含まれている。
ここでは、少なくとも500nm、10nm、及び1μmの既知試料を用いて得られた3つの検量線が粒子数−光強度相関データとして記憶されている。
【0051】
ここで、上述した粒子数−光強度相関データを予め求めた実験結果を
図10に示す。
この実験では、既知試料として粒子径が10μmのポリスチレンラテックス球(PSL)を用いており、個数濃度が互いに異なる9種類の既知試料を使用した。
そして、各既知試料に光を照射して得られた10μmに対応する特定チャンネルの光強度とそれぞれの個数濃度とをプロットしたものが、
図10に示すグラフである。
この実験結果から、粒子数と特定チャンネルの光強度との間には線形性の良い相関があることが分かる。
【0052】
上述した粒子数−光強度相関データを用いる場合、特定粒子径光強度算出部25は、実光強度分布における特定の粒子径に対応するチャンネル(例えば500nmに対応するチャンネルはCh1である)の光強度を、特定の粒子径の粒子に依存する光強度(以下、特定粒子径光強度という)として得る。
【0053】
然して、粒子数算出部26は、特定粒子径光強度算出部25により算出された特定粒子径光強度と、粒子数−光強度相関データとに基づいて、測定対象Xに含まれる特定粒子径の粒子数を算出する。
具体的には、
図11に示すように、例えば特定粒子径光強度算出部25が測定対象Xに含まれる500nmの粒子に起因する特定粒子径光強度Iaを算出した場合、粒子数算出部26は、500nmの既知試料を用いて得られた粒子数−光強度相関データを用いて、特定粒子径光強度Iaに対応する粒子数Naを求める。ここでは、500nm、10nm、及び1μmそれぞれの特定粒子径光強度Ia、Ib、Icに基づき、測定対象Xに含まれる500nm、10nm、及び1μmそれぞれの粒子数Na、Nb、Ncを求めている。
そして、前記実施形態と同様に、分布変換部27が、粒子数算出部26により算出された粒子数Na、Nb、Ncと、粒子径分布データとに基づいて、粒子径分布データが示す粒子径分布を、各粒子径の粒子数を相対的に表した分布から、各粒子径の粒子数を絶対的に表した分布に変換する。
【0054】
また、前記実施形態では、粒子径分布を各粒子径の粒子数を相対的に表した分布から、各粒子径の粒子数を絶対的に表した分布に変換してディスプレイ等に出力していたが、演算装置20は必ずしも分布変換部27としての機能を備えている必要はない。その場合の一例としては、粒子数算出部26が特定粒子径の粒子数を算出し、その算出された粒子数をディスプレイ等に出力するようにしても良い。
【0055】
さらに、前記実施形態では、分布変換部27が、複数の粒子数Na、Nb、Ncを用いるとともに、その間の粒子数は補間して求めることで、粒子径分布を変換していたが、1つの粒子数を用いて、粒子数を相対的に表した分布を粒子数を絶対的に表した分布に変形しても良い。
【0056】
加えて、前記実施形態では、相関データ補正部28が、測定対象Xの屈折率nxと粒子径を用いて得られる理想光強度分布の積算値Ixと、既知試料の屈折率nyと粒子径を用いて得られる理想光強度分布の積算値Iyとに基づいて粒子数−光強度相関データを補正していたが、上記の各理想光強度分布の例えば最大光強度の比率などに基づいて粒子数−光強度相関データを補正しても良い。
【0057】
その他、本発明は前記各実施形態に限られないし、その各部分構成を組み合わせて
も良く、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。