(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
分散媒に分散させた粒子群を収容する測定セルを回転させて粒子を沈降させるとともに前記粒子群に光を照射して透過光を検出し、その透過光強度の変化に基づき第1粒子径分布を測定する遠心沈降式測定機構と、
粒子群に光を照射して生じる散乱光を検出し、粒子のブラウン運動によって生じる前記散乱光強度の変化に基づき第2粒子径分布を測定する動的光散乱式測定機構とを具備し、
前記遠心沈降式測定機構による前記透過光の検出後に、前記動的光散乱式測定機構が前記測定セルに光を照射して前記第2粒子径分布を測定する粒子径分布測定装置。
前記第2粒子径分布の測定時における前記測定セルの回転速度が、前記第1粒子径分布の測定時における前記測定セルの回転速度よりも遅い請求項3記載の粒子径分布測定装置。
前記第1測定終了判断部が、前記透過光強度が所定の閾値以上になった場合、又は、前記透過光強度に基づき得られる吸光度が所定の閾値以下になった場合に、前記第1粒子径分布の測定が終了したことを判断する請求項2記載の粒子径分布測定装置。
前記第1粒子径分布及び前記第2粒子径分布が、それぞれ一方の軸を粒子径とし、他方の軸を粒子全体に対して各粒子径の粒子が占める割合としたグラフに表されるものであり、
前記第1粒子径分布及び前記第2粒子径分布を合成して同一のグラフに表される合成粒子径分布を作成する分布合成部を有する請求項1記載の粒子径分布測定装置。
分散媒に分散させた粒子群を収容する測定セルを回転させて粒子を沈降させるとともに前記粒子群に光を照射して透過光を検出し、その透過光強度の変化に基づき第1粒子径分布を測定する遠心沈降式測定機構と、
粒子群に光を照射して生じる散乱光を検出し、粒子のブラウン運動によって生じる前記散乱光強度の変化に基づき第2粒子径分布を測定する動的光散乱式測定機構とを用いる粒子径分布測定方法であって、
前記遠心沈降式測定機構を用いて前記透過光を検出した後に、前記動的光散乱式測定機構を用いて前記測定セルに光を照射して前記第2粒子径分布を測定する粒子径分布測定方法。
分散媒に分散させた粒子群を収容する測定セルを回転させて粒子を沈降させるとともに前記粒子群に光を照射して透過光を検出し、その透過光強度の変化に基づき第1粒子径分布を測定する遠心沈降式測定機構と、
粒子群に光を照射して生じる散乱光を検出し、粒子のブラウン運動によって生じる前記散乱光強度の変化に基づき第2粒子径分布を測定する動的光散乱式測定機構とを具備し、
前記遠心沈降式測定機構による前記透過光の検出後に、前記動的光散乱式測定機構が前記測定セルに光を照射して前記第2粒子径分布を測定するように構成されている粒子径分布測定装置に用いられるプログラムであって、
前記遠心沈降式測定機構により得られる前記透過光強度に基づいて前記第1粒子径分布の測定が終了したことを判断する第1測定終了判断部と、
前記第1測定終了判断部が前記第1粒子径分布の測定が終了したことを判断したあと、前記第2粒子径分布の測定を開始する第2測定開始信号を前記動的光散乱式測定機構に送信する第2測定開始部としての機能をコンピュータに発揮させる粒子径分布測定装置用プログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述した測定方法それぞれの利点を生かし、微小粒子径を含む広い粒子径範囲の粒子径分布を短時間で精度良く測定することのできる粒子径分布測定装置を提供することをその主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明に係る粒子径分布測定装置は、分散媒に分散させた粒子群を収容する測定セルを回転させて粒子を沈降させるとともに前記粒子群に光を照射して透過光を検出し、その透過光強度の変化に基づき第1粒子径分布を測定する遠心沈降式測定機構と、粒子群に光を照射して生じる散乱光を検出し、粒子のブラウン運動によって生じる前記散乱光強度の変化に基づき第2粒子径分布を測定する動的光散乱式測定機構とを具備し、前記遠心沈降式測定機構による前記透過光の検出後に、前記動的光散乱式測定機構が前記測定セルに光を照射して前記第2粒子径分布を測定することを特徴とするものである。
【0008】
このような粒子径分布測定装置であれば、まず遠心沈降式測定機構により比較的広い範囲の粒子径に対する粒子径分布を第1粒子径分布として測定することができる。そして遠心沈降式測定機構による透過光の検出後の測定セル内では、第1粒子径分布に表れる比較的大きい粒子は沈降しており、分散媒には微小粒子が分散している。
これにより、比較的大きい粒子を微小粒子から分離させた状態において、微小粒子に対する粒子径分布を動的散乱式測定機構により第2粒子径分布として測定することで、微小粒子径を含む広い粒子径範囲の粒子径分布を短時間で精度良く測定することが可能となる。
【0009】
前記遠心沈降式測定機構及び前記動的光散乱式測定機構を制御する制御装置をさらに具備し、前記制御装置が、前記遠心沈降式測定機構により得られる前記透過光強度に基づいて前記第1粒子径分布の測定が終了したことを判断する第1測定終了判断部と、前記第1測定終了判断部が前記第1粒子径分布の測定が終了したことを判断したあと、前記第2粒子径分布の測定を開始する第2測定開始信号を前記動的光散乱式測定機構に送信する第2測定開始部とを有することが好ましい。
このような制御装置を備えていれば、第1粒子径分布の測定が終了したことを自動的に判断させるとともに、第1粒子径分布の測定終了後に第2粒子径分布の測定を自動的に開始させることができる。
【0010】
第1粒子径分布の測定が終了した後、測定セルの回転を停止させてから第2粒子径分布の測定すると、遠心沈降式測定機構により沈降させた粒子が再び浮き上がってしまう恐れがある。
そこで、前記遠心沈降機構が、前記測定セルを回転軸周りに回転させる回転機構を有しており、前記制御装置が、前記第2粒子径分布の測定時に、前記回転機構に制御信号を送信して前記測定セルを回転させることが好ましい。
このような構成であれば、遠心沈降式測定機構により沈降させた粒子の浮き上がりを抑えつつ、第2粒子径分布を測定することができる。
【0011】
上述したように第2粒子径分布の測定時に測定セルを回転させる場合、測定セルの振動や測定セルからの迷光などが、散乱光強度の検出に影響を及ぼす恐れがある。
そこで、前記回転機構が、前記分散媒を収容するリファレンスセルを回転させるものであり、前記動的光散乱式測定機構が、前記リファレンスセルに光を照射することにより生じるバックグラウンド光を検出し、そのバックグラウンド光強度の変化及び前記散乱光強度の変化に基づいて第2粒子径分布を算出することが好ましい。
このような構成であれば、測定セルを回転させることによる影響を除くことができ、第2粒子径分布をより精度良く算出することができる。
【0012】
前記第2粒子径分布の測定時における前記測定セルの回転速度が、前記第1粒子径分布の測定時における前記測定セルの回転速度よりも遅いことが好ましい。
このような構成であれば、第1粒子径分布の測定が終わった後、測定セルの回転速度を落とすことで、粒子の浮き上がりを抑えつつ、測定セル内の温度上昇やこれによる分散媒の粘性の変動を抑えることができ、第2粒子径分布をより正確に測定することができる。
【0013】
第1粒子径分布測定から第2粒子径分布測定へ切り替えるための具体的な実施態様としては、前記第1測定データ受付部が、前記遠心沈降式測定機構により得られる透過光強度を示す透過光強度データを受け付け、前記第1測定終了判断部が、前記透過光強度が所定の閾値以上になった場合、又は、前記透過光強度に基づき得られる吸光度が所定の閾値以下になった場合に、前記第1粒子径分布の測定が終了したことを判断する構成が挙げられる。
【0014】
微小粒子径を含む広い範囲の粒子径に対する粒子径分布をユーザが確認できるようにするためには、前記第1粒子径分布及び前記第2粒子径分布が、それぞれ一方の軸を粒子径とし、他方の軸を粒子全体に対して各粒子径の粒子が占める割合としたグラフに表されるものであり、前記第1粒子径分布及び前記第2粒子径分布を合成して同一のグラフに表される合成粒子径分布を作成する分布合成部を有することが好ましい。
【0015】
前記遠心沈降式測定機構により得られる透過光強度に基づいて、前記第1粒子径分布に表れる粒子径を有する粒子の濃度を算出する粒子濃度算出部と、前記粒子濃度算出部により算出された濃度に基づいて、前記分布合成部により合成された合成粒子径分布を、各粒子径の粒子数を相対的に表した分布から、各粒子数を絶対的に表した分布に変換する分布変換部とを有することが好ましい。
このような構成であれば、微小粒子径を含む広い範囲の粒子径に対して、例えば桁が合う程度での実際の個数濃度や体積濃度などといった絶対的な粒子数を知ることができる。
【0016】
前記測定セルが、沈降方向に沿って積層された互いに密度の異なる複数の分散媒を収容していることが好ましい。
このような測定セルを用いれば、測定セル内の分散媒に密度勾配が生じるので、種々の粒子径の粒子を、粒子径の揃った層状の粒子群として順次沈降させることができ、遠心沈降式測定機構による分解能を向上させることができる。
【0017】
また、本発明に係る粒子径分布測定方法は、分散媒に分散させた粒子群を収容する測定セルを回転させて粒子を沈降させるとともに前記粒子群に光を照射して透過光を検出し、その透過光強度の変化に基づき第1粒子径分布を測定する遠心沈降式測定機構と、粒子群に光を照射して生じる散乱光を検出し、粒子のブラウン運動によって生じる前記散乱光強度の変化に基づき第2粒子径分布を測定する動的光散乱式測定機構とを用いる粒子径分布測定方法であって、前記遠心沈降式測定機構を用いて前記透過光を検出した後に、前記動的光散乱式測定機構を用いて前記測定セルに光を照射して前記第2粒子径分布を測定することを特徴とする方法である。
【0018】
さらに、本発明に係る粒子径分布測定装置用プログラムは、分散媒に分散させた粒子群を収容する測定セルを回転させて粒子を沈降させるとともに前記粒子群に光を照射して透過光を検出し、その透過光強度の変化に基づき第1粒子径分布を測定する遠心沈降式測定機構と、粒子群に光を照射して生じる散乱光を検出し、粒子のブラウン運動によって生じる前記散乱光強度の変化に基づき第2粒子径分布を測定する動的光散乱式測定機構とを具備し、前記遠心沈降式測定機構による前記透過光の検出後に、動的光散乱式測定機構が前記測定セルに光を照射して前記第2粒子径分布を測定するように構成されている粒子径分布測定装置に用いられるプログラムにおいて、前記遠心沈降式測定機構により得られる前記透過光強度に基づいて前記第1粒子径分布の測定が終了したことを判断する第1測定終了判断部と、前記第1測定終了判断部が前記第1粒子径分布の測定が終了したことを判断したあと、前記第2粒子径分布の測定を開始する第2測定開始信号を前記動的光散乱式測定機構に送信する第2測定開始部としての機能をコンピュータに発揮させることを特徴とするプログラムである。
【0019】
このような粒子径分布測定方法や粒子径分布測定装置用プログラムであれば、上述した粒子径分布測定装置と同様の作用効果を発揮させることができる。
【発明の効果】
【0020】
このように構成した本発明によれば、微小粒子径を含む広い範囲の粒子径に対する粒子径分布を短時間で精度良く測定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に本発明に係る粒子径分布測定装置の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0024】
本実施形態に係る粒子径分布測定装置100は、医薬品、食品、化学工業品、気泡粒子などの測定対象に含まれる粒子群の粒子径分布を測定するためのものであり、
図1に示すように、遠心沈降法を用いて粒子径分布を測定する遠心沈降式測定機構10と、動的光散乱法を用いて粒子径分布を測定する動的光散乱式測定機構20と、これら各機構10、20を制御する制御装置30とを備えている。
【0025】
まず、遠心沈降式測定機構10の測定原理について説明する。
例えば水などの分散媒に粒子群を浮遊させると、粒子は徐々に沈んでいく。この沈降する速度は、粒子径(粒子の直径)が大きいほど速く、粒子及び分散媒の材質が既知であれば、粒子が一定距離を沈降する時間を測定することで、粒子径を算出することができる。具体的には、測定セルXの測定面に光を照射してその透過光を検出し、その透過光強度や透過光強度から算出される吸光度の時間変化を測定する。これにより、
図2(a)に示すように、分散している粒子群が全て同じ大きさであれば、これらの粒子は同じ沈降速度で沈降するため、沈降開始からある時間が経つと透過光強度が急激に増加する。実際には、種々の粒子径の粒子が混在しており、この場合は
図2(b)に示すように、沈降時間の異なる粒子の透過光強度変化の合成として現われる。
この原理では、小さい粒子は沈降速度が遅く、測定に時間がかかる。そこで遠心沈降式測定機構10は、粒子を自然重力で沈降させるのではなく、遠心重力を用いて沈降させることで沈降時間の短縮を図ったものである。
【0026】
具体的にこの遠心沈降測定機構は、
図1及び
図3に示すように、測定セルXを回転させる回転機構11と、測定セルXに光を照射する第1光源12と、この第1光源12からの光のうち測定セルXを透過した透過光を検出する第1光検出器13と、第1光検出器13により検出された透過光強度信号を取得して、この透過光強度信号に基づき粒子径分布(以下、第1粒子径分布という)を算出する第1粒子径分布算出部14とを具備する。
【0027】
回転機構11は、モータMと、モータMの出力軸に固定された回転ディスクDと、モータMを制御するモータ制御部15とを備え、回転ディスクDがモータMの出力軸を回転軸として、その面板部が水平な状態で回転するように構成されたものである。
この回転ディスクDには、測定セルXがセットされる測定セルホルダと、リファレンスセルRがセットされるリファレンスセルホルダとが設けられており、リファレンスセルRには測定セルXに収容されたものと同じ分散媒(ここでは水)が収容されている。
【0028】
ここでは、回転ディスクDの位置を検出するエンコーダ等の位置検出器16を設けてあり、上述したモータ制御部15が、前記位置検出器16からの位置検出信号を取得して回転ディスクDの回転速度を算出するとともに、その回転速度が予め設定された目標回転速度となるようにモータMをフィードバック制御している。なお、目標回転速度は、一定の回転速度に設定されていても良いし、時間とともに増大するように設定されていても良い。つまり、モータ制御部15は、回転ディスクDを定速回転するものであっても良いし、加速回転するものであっても良い。
【0029】
第1光源12は、分散媒の温度上昇を防ぐべく、赤外を含まない光を射出するものであり、ここでは青色LEDや緑色LEDを用いている。なお、第1光源12としては点光源や面光源であっても良いが、本実施形態では
図3に示すように、遠心重力方向、すなわち回転ディスクDの径方向に沿ったライン光を射出する線光源である。
【0030】
第1光検出器13は、回転ディスクDに対して第1光源12の反対側に設けられており、第1光源12から射出して測定セルXやリファレンスセルRを透過した透過光を検出し、その透過光強度を示す透過光強度信号を第1粒子径分布算出部14に送信するものである。なお、ここでの第1光検出器13はラインセンサであるが、単一の光センサであっても良い。
【0031】
本実施形態では、測定セルXからの透過光とリファレンスセルRからの透過光を共通の第1光検出器13で検出するようにしている。このことから、図示しない同期信号発生用LED及びこの同期発生用LEDからの光を検出する検出器を設けて、前記第1光検出器13で検出された透過光強度信号がどちらのセルを透過した透過光のものかを区別できるようにしてある。
【0032】
上述した構成により、第1粒子径分布算出部14は、第1光検出器13により検出された透過光強度信号の時間変化に基づいて第1粒子径分布を算出する。なお、第1粒子径分布算出部14は、透過光強度信号を用いて算出される吸光度の時間変化に基づいて第1粒子径分布を算出するように構成されていても良い。
【0033】
ところで、遠心沈降式測定機構10は、上述したように第1光検出器13により透過光強度を検出していることから、この透過光強度に基づいて第1粒子径分布に表れる特定の粒子径(以下、特定粒子径という)を有する粒子群の濃度を算出することができる。そこで、本実施形態の遠心沈降式測定機構10は、第1光検出器13により検出された測定セルXを透過した透過光強度に基づいて、特定粒子径を有する粒子群の濃度を算出する濃度算出部17をさらに備えている。なお、ここでいう特定粒子径を有する粒子群の濃度としては、単位体積当たりに含まれる特定粒子径の粒子の個数を表す個数濃度や、全体に対して特定粒子径の粒子が占める体積を表す体積濃度などが挙げられる。
【0034】
次に、動的光散乱式測定機構20の測定原理について説明する。
分散媒に分散させた粒子はブラウン運動しており、そのブラウン運動速度は大きな粒子になるほど遅く、小さな粒子になるほど速くなる。この時、ブラウン運動をしている粒子に光を照射すると、粒子からの散乱光はそれぞれのブラウン運動速度に対応した揺らぎが観測される。
そこで、動的光散乱式測定機構20は、粒子群に光を照射して、これにより生じる散乱光を検出するとともに、その散乱光の時間的な揺らぎに基づいて自己相関データを生成し、この自己相関データを用いて粒子径分布(以下、第2粒子径分布という)を測定するものである。
【0035】
具体的にこの動的光散乱式測定機構20は、
図1に示すように、測定セルXに光を照射する第2光源21と、この第2光源21から光が測定セルX内の粒子で散乱して生じる散乱光を検出する第2光検出器22と、第2光検出器22により検出された散乱光強度信号を取得して、この散乱光強度信号に基づき第2粒子径分布を算出する第2粒子径分布算出部23とを具備する。
【0036】
第2光源21は、レーザ光を射出する例えば半導体レーザであり、測定セルXの回転軌跡上に光を照射できるように配置されている。
ここでの第2光源21は、回転ディスクDに対して上述した第1光源12と同じ側に設けられており、第1光源12からの光が照射される位置にある測定セルXに、第2光源21からの光を照射できるように配置されている。
なお、第2光源21の配置は、第2光源21の光を回転ディスクDにセットされた測定セルXに照射することができれば適宜変更して構わない。
【0037】
第2光検出器22は、ここでは回転ディスクDに対して第2光源21と同じ側に設けられた例えば光電子倍増管である。
なお、第2検出器の配置は、例えば回転ディスクDに対して第2光源21の反対側にするなど、測定セルX内の粒子による散乱光を検出することのできる位置であれば適宜変更して構わない。
【0038】
上述した構成により、第2粒子径分布算出部23は、第2光検出器22により検出された散乱光強度信号の時間的な揺らぎに基づいて自己相関データを生成し、この自己相関データに所定の演算処理を行うことで第2粒子径分布を算出する。
【0039】
制御装置30は、CPU、メモリ、入出力インターフェース等を備えた汎用乃至専用のコンピュータであり、遠心沈降式測定機構10及び動的光散乱式測定機構20の動作を制御するものである。なお、本実施形態では、このコンピュータに上述したモータ制御部15、第1粒子径分布算出部14、濃度算出部17、及び第2粒子径分布算出部23としての機能を備えさせているが、これらの機能を1又は複数の別のコンピュータに備えさせても構わない。
【0040】
然して、本実施形態の制御装置30は、動的光散乱式測定機構20が、第1粒子径分布の測定後の測定セルXに光を照射して第2粒子径分布を測定するように、各機構を制御するように構成されている。
【0041】
具体的にこの制御装置30は、前記メモリの所定領域に記憶させた所定のプログラムにしたがって、CPUや周辺機器を協働させることにより、
図4に示すように、少なくとも第1測定開始部31、第1測定終了判断部32、第1測定停止部33、第2測定開始部34としての機能を備える。
【0042】
以下、各部の説明を兼ねて、
図5に示すフローチャートを参照しながら本実施形態の粒子径分布測定装置100の動作について説明する。
以下では説明の便宜上、遠心沈降式測定機構10により測定する粒子径の測定範囲と、動的光散乱式測定機構20により測定する粒子径の測定範囲との境界である境界粒子径を例えば10nmとする。すなわち、10nm以上の粒子径分布を第1粒子径分として遠心沈降式測定機構10により測定し、10nm未満の粒子径分布を第2粒子径分布として動的光散乱式測定機構20により測定しようとした場合について、以下で説明する。なお、境界粒子径は、例えば遠心沈降式測定機構10の測定精度を担保できる粒子径の下限値や、動的光散乱式測定機構20の測定精度を担保できる粒子径の上限値に鑑みて定められていることが好ましい。ここでは、例えばストークスの式により算出される境界粒子径の粒子の沈降速度が、例えばストークス・アインシュタインの式により算出される境界粒子径の粒子のブラウン運動速度(平均移動速度)よりも十分小さくなるように、境界粒子径を設定してある。
【0043】
まず、例えばユーザが入力手段を用いて測定開始信号を入力すると、第1測定開始部31がその測定開始信号を受け付け、遠心沈降式測定機構10に第1測定開始信号を送信して制御し、第1粒子径分布の測定(以下、第1測定という)を開始する(S1)。
より具体的にこの第1測定開始部31は、上述したモータ制御部15に制御信号を出力して回転ディスクDを回転させるとともに、第1光源12からの光を測定セルXに照射させ、第1粒子径分布算出部14に第1粒子径分布を算出させる。
【0044】
第1粒子径分布の算出についてより詳しく述べると、まず始めにリファレンスセルRを透過した透過光のリファレンス透過光強度Iaを検出する(S2)。なお、このリファレンス透過光強度Iaは少なくとも1度検出すれば良いが、例えば複数回検出した平均値などとしても良い。
次に、回転ディスクDが1回転する毎に測定セルXを透過した透過光の測定透過光強度Ibを検出する(S3)。そして、それぞれの測定透過光強度Ib及びリファレンス透過光強度Iaに基づいて測定セルXに対する吸光度A(t)を算出して(S4)、この吸光度A(t)の時間変化に基づき第1粒子径分布を算出する(S5)。なお、ここでは吸光度A(t)をA(t)=−log(Ia/Ib)として算出している。
【0045】
なお、別の算出方法としては、1回転毎にリファレンス透過光強度Iaと測定透過光強度Ibとを交互に検出して、各回転毎に測定透過光強度Ib及びリファレンス透過光強度Iaに基づいて測定セルXに対する吸光度A(t)を算出し、この吸光度A(t)の時間変化に基づき第1粒子径分布を算出しても良い。
【0046】
このように第1粒子径分布が算出された後、第1測定終了判断部32が、遠心沈降式測定機構10による第1粒子径分布の測定(以下、第1測定という)が終了したことを判断し(S6)、第1測定が終了したと判断した場合にはそのことを第1測定停止部33及び第2測定開始部34に出力する。
具体的にこの第1測定終了判断部32は、測定セルXを透過した透過光強度に基づき第1測定の終了を判断するものであり、ここでは上述した測定セルXに対する吸光度A(t)を取得して、この吸光度A(t)が所定の閾値以下になった場合に、第1測定が終了したと判断する。
【0047】
上述した閾値は、境界粒子径に基づき算出される値であり、境界粒子径(ここでは10nm)の粒子が沈降した際に得られるはずの吸光度A(t)としてある。
これにより、第1測定終了判断部32が第1測定の終了を判断した時点で、境界粒子径以上の粒子群に対する第1粒子径分布が、第1粒子径分布算出部14により算出された状態或いは算出可能な状態となる。
【0048】
第1測定が終了したと判断された後、第1測定停止部33が遠心沈降式測定機構10を制御して第1測定を停止する(S7)。より具体的にこの第1測定停止部33は、少なくとも第1粒子径分布算出部14に制御信号を出力して第1粒子径分布の算出を停止させ、ここでは第1光源12をオフして光の照射を停止する。
なお、第1測定停止部33は、第1測定が終了したと判断された後、直ちに第1測定を停止させる必要はなく、後述する第2測定が開始したあと所定時間経過後に第1測定を停止させるようにしても良い。
【0049】
また、第1測定が終了したと判断されると、第2測定開始部34が、動的光散乱式測定機構20に第2測定開始信号を送信して制御し、2粒子径分布の測定(以下、第2測定という)を開始する(S8)。
具体的にこの第2測定開始部34は、第2光源21からの光を測定セルXに照射させ、第2粒子径分布算出部23に第2粒子径分布を算出される。
より詳細に説明すると、上述した遠心沈降式測定機構10により、少なくとも境界粒子径以上(ここでは10nm以上)の粒子は測定セルX内に沈降しているはずであり、測定セルX内の分散媒には境界粒子径よりも小さい粒子が分散(浮遊)していることになる。そこで、本実施形態の第2光源21は、測定セルXにおいて境界粒子径の粒子が沈降している箇所よりも径方向内側(より具体的には第1光源12の照射位置、すなわち
図2における測定面よりも径方向内側)の部分に光を照射するように配置されている。これにより、第2測定では境界粒子径(ここでは10nm)よりも小さい粒子群に対する第2粒子径分布が算出されることになる。
【0050】
第2粒子径分布の算出についてより詳しく述べると、まず始めに第2光源21からの光をリファレンスセルRに照射して第2光検出器22により検出されるバックグラウンド光強度Idを検出する(S9)。
次に、回転ディスクDが1回転する毎に測定セルX内の粒子により散乱した測定散乱光強度Ieを検出する(S10)。そして、バックグラウンド光強度Idの時間変化及び測定散乱光強度Ieの時間変化に基づいて相互相関関数を求め(S11)、この相互相関関数に所定の演算処理を行うことで第2粒子径分布を算出する(S12)。
【0051】
なお、別の算出方法としては、1回転毎にバックグラウンド光強度Idと測定散乱光強度Ieとを交互に検出して、測定散乱光強度Ieの時間変化に基づき得られた自己相関関数から、バックグラウンド光強度Idの時間変化に基づき得られた自己相関関数を差し引いた、差分自己相関関数に所定の演算処理を行うことで第2粒子径分布を算出しても良い。
また、バックグラウンド光強度Idを検出することなく、測定散乱光強度Ieの時間変化に基づき得られた自己相関関数に所定の演算処理を行うことで第2粒子径分布を算出しても良い。
【0052】
上述した相互相関関数や自己相関関数は、第2光検出器22の所定時間毎の検出値、すなわち第2光検出器22が所定時間毎に検出した光子(フォトン)の数を所定の演算式によって演算することで得られるものである。
所定時間は、測定セルに光を当て続ける場合であれば、例えばクロック周波数を適宜設定することで変更可能なゲートタイムである。
一方、本実施形態では、上述したように回転ディスクDが1回転する毎に第2光検出器22が検出値を用いているので、所定時間は回転ディスクDの回転速度によって変更することができる。つまり、回転ディスクDの速度変更が上述したロック周波数やゲートタイムの変更と同様の機能を発揮することとなり、例えば前半は回転ディスクDの回転速度を速くしておき、後半は回転ディスクDの回転速度を遅くするなど、所定時間は例えば測定対象Xの種類などに応じて適宜変更することが可能である。そして、本実施形態の第2粒子径分布算出部23は、回転ディスクDの回転速度を取得するとともに、この回転速度に基づいて上述した相互相関関数又は自己相関関数を算出することができる。
【0053】
上述した第2測定において、第2測定開始部34は、上述したモータ制御部15に制御信号を送信して、モータMを停止させずに回転ディスクDを回転させる。
より具体的に説明すると、前記第2測定開始部34は、回転ディスクDを第1測定よりも遅い第2目標回転速度で回転させるように、前記モータ制御部15に制御信号を送信する。
この第2目標回転速度は、予め設定された速度であり、少なくとも境界粒子径の粒子が再び浮遊しない程度の速度、言い換えれば境界粒子径の粒子によるブラウン運動速度よりも、境界粒子径の粒子の遠心沈降速度の方が速くなる速度に設定されている。
ここでは、第1測定において回転ディスクDの回転速度は徐々に増加して目標回転速度に到達することから、第2目標回転速度は第1測定終了時における回転ディスクDの回転速度、すなわち前記目標回転速度よりも遅い回転速度に設定されている。
【0054】
上述した構成により、第1測定では少なくとも境界粒子径以上(ここでは10nm以上)の粒子径分布が第1粒子径分布として測定され、第2測定では境界粒子径以下(ここでは10nm以下)の粒子径分布が第2粒子径分布として測定される。
【0055】
これらの第1粒子径分布及び第2粒子径分布は、ある粒子径の粒子が全体に対してどの程度含まれているかを、一方の軸を粒子径とし、他方の軸をパーセンテージ(割合や頻度を表す)としたグラフ上に表示されるものである。すなわち、この粒子径分布は、ある粒子径の粒子の相対的な粒子数を示したものである。
【0056】
ここで本実施形態の制御装置30は、
図4に示すように、分布合成部35及び分布変換部36としての機能をさらに備えている。
【0057】
分布合成部35は、第1粒子径分布算出部14により算出された第1粒子径分布を示す第1粒子径分布データと、第2粒子径分布算出部23により算出された第2粒子径分布を示す第2粒子径分布データとを取得して、
図6に示すように、第1粒子径分布及び第2粒子径分布を合成して同一のグラフに表示される合成粒子径分布を作成する(S13)。
ここでは、第1粒子径分布における特定粒子径の他方の軸の値(パーセンテージ)と、第2粒子径分布における特定粒子径の他方の軸の値(パーセンテージ)とが一致するように、これらの第1粒子径分布及び第2粒子径分布を合成して合成粒子径分布としている。
【0058】
分布変換部36は、合成粒子径分布を各粒子径の粒子数を相対的に表した分布から、各粒子径の粒子数を絶対的に表した分布に変換するものであり、粒子数を相対的に表した分布における他方の軸を、パーセンテージ(頻度)から濃度に変換する(S14)。なお、ここでいう「粒子数を絶対的に表した分布」とは、表された濃度が求められる精度(例えば桁が合う程度)で実際の濃度と一致している分布であり、表された濃度が実際の濃度と完全に一致している分布に限るものではない。
具体的にこの分布変換部36は、上述した濃度算出部17から特定粒子径の粒子群の濃度を取得するとともに、特定粒子径に対する他方の軸の濃度が、濃度算出部17により算出された特定粒子径の濃度と一致するように合成粒子径分布の分布形状を変形させる。
なお、他方の軸は濃度に限らず、測定対象X全体に含まれる特定粒子径の全粒子数や、測定対象Xに含まれる特定粒子径の粒子群の濁度などであっても構わない。
【0059】
このように構成された本実施形態に係る粒子径分布測定装置100によれば、まず遠心沈降式測定機構10により比較的広い範囲の粒子径に対する粒子径分布を第1粒子径分布として測定することができる。
次いで、遠心沈降式測定機構10によって比較的大きい粒子を微小粒子から分離させた状態において、動的散乱式測定機構により微小粒子に対する粒子径分布を第2粒子径分布として測定することができる。
これにより、微小粒子径を含む広い粒子径範囲の粒子径分布を精度良く測定することが可能となる。
【0060】
また、第2測定において測定セルXを回転させているので、遠心沈降式測定機構10により沈降させた粒子の浮き上がりを抑えつつ、第2粒子径分布を測定することができる。
【0061】
さらに、第1測定終了判断部32の判断基準となる閾値が境界粒子径に基づいて設定されているので、この境界粒子径を、遠心沈降式測定機構10の測定精度を担保できる粒子径の下限値や、動的光散乱式測定機構20の測定精度を担保できる粒子径の上限値に鑑みて定めることで、遠心沈降式測定機構10及び動的光散乱式測定機構20の両方で精度良く粒子径分布を測定することができる。
【0062】
加えて、第2測定において、測定散乱光強度Ieの時間変化及びバックグラウンド光強度Idの時間変化に基づき第2粒子径分布を算出しているので、測定セルXを回転させることによる測定散乱光強度Ieへの影響(例えば測定セルXを回転させることにより生じる振動影響や測定セルからの迷光による影響など)を除くことができ、第2粒子径分布をより精度良く算出することができる。
【0063】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。
【0064】
例えば、前記実施形態では、第2測定において、測定セルの回転速度を第1測定よりも遅くしていたが、第1測定における測定セルの回転速度を変更することなく第2測定を行っても良いし、測定セルの回転を停止させた状態で第2測定を行っても良い。
【0065】
また、前記実施形態の第1測定終了判断部は、測定セルXに対する吸光度A(t)が閾値以下になった場合に第1測定が終了したと判断していたが、測定透過光強度Ibやリファレンス透過光強度Iaと測定透過光強度Ibとの差分が所定の閾値以上になった場合や、透過光強度を用いて算出される吸光度が所定の閾値以下になった場合に第1測定が終了したと判断しても良い。
さらに、第1測定終了判断部は、第1測定を開始してから所定時間経過後に第1測定が終了したと判断しても良い。この場合の所定時間は、境界粒子径から例えばストークスの式などの算出式を用いて算出することが好ましく、具体的には境界粒子径の粒子が沈降する時間を前記所定時間とすることが考えられる。
【0066】
そのうえ、前記実施形態では、回転ディスクをその面板部が水平な状態で回転させていたが、面板部が水平方向から傾いた状態(例えば、鉛直方向に起立した状態)で回転ディスクを回転させるようにしても良い。
【0067】
加えて、前記実施形態では、第1粒子径分布を算出した後に第2測定を開始していたが、
図7に示すように、第2測定を開始した後に第1粒子径分布の算出しても良い。つまり、遠心沈降式測定機構によりリファレンス透過光強度や測定透過光強度を検出した後に第2測定を開始するようにすれば、第1粒子径分布を算出するタイミングは適宜変更して構わない。
【0068】
また、前記実施形態では測定セルに分散媒として水を収容させている場合について説明したが、測定セルRは、
図8に示すように、沈降方向に沿って積層された互いに密度の異なる複数種類の分散媒を収容したものであっても良い。この分散媒は、例えば濃度によって密度が変わるものであり、具体的にはショ糖水溶液などである。
このような測定セルRを用いれば、測定セルR内の分散媒に密度勾配が生じるので、種々の粒子径の粒子を、粒子径の揃った層状の粒子群として順次沈降させることができ、遠心沈降式測定機構10による分解能を向上させることができる。また、分散媒を洗い流す際には、測定セルRを測定セルホルダから取り外して洗浄すれば良いので簡単である。
【0069】
加えて、本発明に係る粒子径分布測定装置100は、
図8に示すように、分散媒を測定セルに流し入れる例えばチューブなどの分散媒流入管4を備えていても良い。この分散媒流入管4は、一端開口41が測定セルX内に連通し、他端開口42が回転ディスクの回転軸上に設けられ軸方向に開口している。このように他端開口を回転ディスクの回転軸上において軸方向に開口させることにより、回転ディスクDを回転させても他端開口42の位置は変わらないので、この他端開口42に分散媒を流し入れることで、測定セルRを回転ディスクDから取り外すことなく、分散媒を簡単に測定セルRに流入させることができる。
【0070】
さらに加えて、本発明に係る粒子径分布測定装置は、遠心沈降式測定機構により測定された第1粒子径分布に基づき、所定の粒子径以上の粒子群が全体に対して占める割合から、前記所定の粒子径よりも小さい粒子群が全体に占める割合を推定する微小粒子割合推定部をさらに備えてもよい。
これにより、前記所定の粒子径を例えば境界粒子径(ここでは10nm)とすることで、遠心沈降式測定機構による第1測定を終了した時点で、動的光散乱式測定機構による第2測定を行うことなく、境界粒子径より小さい微小粒子が全体に占める割合を推定することができる。
【0071】
また、前記実施形態では、第1粒子径分布及び第2粒子径分布を合成して同一のグラフに表示する態様を説明したが、
図9(a)に示すように、第1粒子径分布及び第2粒子径分布を合成せずに同じ又は別々の画面に表示しても良いし、
図9(b)に示すように、第1粒子径分布及び第2粒子径分布を合成せずに同一のグラフに表示しても良い。さらに、第2粒子径分布は必ずしも表示する必要はなく、例えば第2粒径分布の平均粒子径、すなわち境界粒子径以下の粒子の平均粒子径を数値で表示しても良い。
【0072】
その他、本発明は前記各実施形態に限られないし、その各部分構成を組み合わせても良く、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。