(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
物体に荷電粒子ビームを照射して前記物体の断面を繰り返し露出させるとともに、露出させた複数の前記断面のうちの少なくとも一部の前記断面に荷電粒子ビームを照射して前記少なくとも一部の前記断面のそれぞれを表す断面像情報を取得し、取得した当該断面像情報のそれぞれが表す前記断面の断面像を生成し、生成した前記断面像のそれぞれを重ね合わせた三次元像を生成する断面観察装置であって、
互いに異なる複数の観察条件のうちの第1の条件に基づいて取得した前記断面像情報のそれぞれが表す前記断面の前記断面像である第1断面像を重ね合わせた三次元像である第1三次元像とともに、前記観察条件のうちの前記第1の条件と異なる第2の条件に基づいて取得した前記断面像情報のそれぞれが表す前記断面の前記断面像である第2断面像を重ね合わせた三次元像である第2三次元像を表示部に表示し、
前記第1三次元像として重ねられた前記第1断面像のそれぞれと、前記第2三次元像として重ねられた前記第2断面像のそれぞれとには、高さが対応付けられており、
前記高さを対象高さとして示す高さ情報をユーザーから受け付けた場合、第3処理と第4処理とを行い、
前記第3処理は、受け付けた前記高さ情報に基づいて、前記第1三次元像として重ねられた前記第1断面像のうち、前記対象高さ以上の高さに対応付けられた前記第1断面像、且つ、最も低い高さ以下の高さに対応付けられた前記第1断面像を特定し、特定した前記第1断面像に基づく前記第1三次元像を新たに生成し、新たに生成した前記第1三次元像を、前記表示部に表示されていた前記第1三次元像に代えて、新たに前記表示部に表示させる処理であり、
前記第4処理は、受け付けた前記高さ情報に基づいて、前記第2三次元像として重ねられた前記第2断面像のうち、前記対象高さ以上の高さに対応付けられた前記第2断面像、且つ、最も低い高さ以下の高さに対応付けられた前記第2断面像を特定し、特定した前記第2断面像に基づく前記第2三次元像を新たに生成し、新たに生成した前記第2三次元像を、前記表示部に表示されていた前記第2三次元像に代えて、新たに前記表示部に表示させる処理である、
断面観察装置。
ユーザーから受け付けた操作に応じて、前記表示部において前記第1三次元像と前記第2三次元像とを重ねずに、前記第1三次元像とともに前記第2三次元像を前記表示部に表示させる、
請求項1又は2に記載の断面観察装置。
ユーザーから受け付けた操作に応じて、前記表示部において前記第1三次元像の位置及び姿勢と前記第2三次元像の位置及び姿勢とを重ねて、前記第1三次元像とともに前記第2三次元像を前記表示部に表示させる、
請求項1から3のうちいずれか一項に記載の断面観察装置。
前記表示部に表示された三次元像の姿勢を変化させる操作を受け付けた場合、前記第1三次元像の姿勢と前記第2三次元像の姿勢との両方を当該操作に応じた姿勢に変化させる、
請求項1から4のうちいずれか一項に記載の断面観察装置。
前記第1の条件に基づいて取得した前記断面像情報のそれぞれが表す前記断面の前記第1断面像を重ね合わせて前記第1三次元像を生成する第1処理と、前記第2の条件に基づいて取得した前記断面像情報のそれぞれが表す前記断面の前記第2断面像を重ね合わせて第2三次元像を生成する第2処理とを並列に行う、
請求項1から5のうちいずれか一項に記載の断面観察装置。
前記第1の条件に基づいて取得した前記断面像情報と、前記第2の条件に基づいて取得した前記断面像情報とを対応付けた情報を記憶部に記憶し、前記記憶部から当該情報を取得し、取得した当該情報に基づいて前記第1処理と前記第2処理とを行う、
請求項6に記載の断面観察装置。
物体に荷電粒子ビームを照射して前記物体の断面を繰り返し露出させるとともに、露出させた複数の前記断面のうちの少なくとも一部の前記断面に荷電粒子ビームを照射して前記少なくとも一部の前記断面のそれぞれを表す断面像情報を取得し、取得した当該断面像情報のそれぞれが表す前記断面の断面像を生成し、生成した前記断面像のそれぞれを重ね合わせた三次元像を生成する断面観察装置の制御方法であって、
互いに異なる複数の観察条件のうちの第1の条件に基づいて取得した前記断面像情報のそれぞれが表す前記断面の前記断面像である第1断面像を重ね合わせた三次元像である第1三次元像とともに、前記観察条件のうちの前記第1の条件と異なる第2の条件に基づいて取得した前記断面像情報のそれぞれが表す前記断面の前記断面像である第2断面像を重ね合わせた三次元像である第2三次元像を表示部に表示し、
前記第1三次元像として重ねられた前記第1断面像のそれぞれと、前記第2三次元像として重ねられた前記第2断面像のそれぞれとには、高さが対応付けられており、
前記高さを対象高さとして示す高さ情報をユーザーから受け付けた場合、第3処理と第4処理とを行い、
前記第3処理は、受け付けた前記高さ情報に基づいて、前記第1三次元像として重ねられた前記第1断面像のうち、前記対象高さ以上の高さに対応付けられた前記第1断面像、且つ、最も低い高さ以下の高さに対応付けられた前記第1断面像を特定し、特定した前記第1断面像に基づく前記第1三次元像を新たに生成し、新たに生成した前記第1三次元像を、前記表示部に表示されていた前記第1三次元像に代えて、新たに前記表示部に表示させる処理であり、
前記第4処理は、受け付けた前記高さ情報に基づいて、前記第2三次元像として重ねられた前記第2断面像のうち、前記対象高さ以上の高さに対応付けられた前記第2断面像、且つ、最も低い高さ以下の高さに対応付けられた前記第2断面像を特定し、特定した前記第2断面像に基づく前記第2三次元像を新たに生成し、新たに生成した前記第2三次元像を、前記表示部に表示されていた前記第2三次元像に代えて、新たに前記表示部に表示させる処理である、
制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態>
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0020】
<断面観察装置が行う処理の概要>
まず、実施形態に係る断面観察装置1が行う処理の概要について説明する。
【0021】
断面観察装置1は、物体の複数の断面それぞれの断面像を生成し、生成した複数の断面像に基づく三次元像を表示してユーザーに観察させる装置である。当該断面像は、この一例において、当該断面を表す二次元画像である。当該三次元像は、それぞれが二次元画像である複数の当該断面像を重ね合わせることによって生成される三次元画像である。
【0022】
断面観察装置1は、物体に荷電粒子ビームを照射して、当該物体の断面を繰り返し露出させる。荷電粒子ビームは、荷電粒子を集束させたビームである。また、断面観察装置1は、露出させた複数の断面のうちの少なくとも一部の断面に荷電粒子ビームを照射して当該断面において発生する二次粒子を検出することにより、当該少なくとも一部の断面のそれぞれを表す断面像情報を取得する。断面観察装置1は、取得した断面像情報に基づいて、当該断面像情報のそれぞれが表す当該断面の断面像を生成する。断面観察装置1は、生成した断面像を表示する。断面観察装置1が生成した断面像は、当該物体を当該断面において切断した切断面において観察可能な内部構造を表している。すなわち、断面観察装置1は、当該切断面において観察可能な内部構造をユーザーに観察させることができる。当該内部構造とは、例えば、当該切断面の化学組成、当該切断面の結晶構造等のことである。
【0023】
また、断面観察装置1は、生成した複数の断面像を重ね合わせた三次元像を生成する。そして、断面観察装置1は、生成した三次元像を表示する。これにより、断面観察装置1は、物体の立体的(三次元的)な内部構造をユーザーに観察させることができる。
【0024】
また、断面観察装置1は、互いに異なる複数の観察条件のそれぞれに基づいて、物体の断面を表す断面像情報を取得することができる。すなわち、断面観察装置1は、観察条件を変える毎に、観察条件に応じた内部構造を表す断面像を生成することができる。複数の観察条件のそれぞれは、この一例において、物体の断面に照射する荷電粒子ビームの種類と、検出する二次粒子等の種類との組み合わせによって互いに区別される。
【0025】
ここで、断面観察装置1と異なる断面観察装置X(例えば、従来の断面観察装置)では、複数の観察条件のそれぞれに応じた断面像を生成することができたとしても、それらの断面像同士を比較することについて考慮されていなかった。このため、断面観察装置Xでは、ユーザーは、それらの断面像同士を比較する作業に手間と時間を掛けなければならなかった。
【0026】
そこで、この一例における断面観察装置1は、互いに異なる複数の観察条件のうちの第1の条件に基づいて取得した断面像情報のそれぞれが表す断面であって試料Sの断面の断面像である第1断面像を重ね合わせた三次元像である第1三次元像とともに、当該観察条件のうちの第1の条件と異なる第2の条件に基づいて取得した断面像情報のそれぞれが表す当該断面の断面像である第2断面像を重ね合わせた三次元像である第2三次元像を表示部に表示する。これにより、断面観察装置1は、物体の断面についてそれぞれ異なる観察条件に基づいて取得された複数の断面像同士を容易に比較することができる。
【0027】
以下では、断面観察装置1が断面像情報を取得する断面像情報取得処理と、断面観察装置1が第1三次元像とともに第2三次元像を表示する三次元像表示処理とについて詳しく説明する。なお、以下では、一例として、物体が試料Sである場合について説明する。試料Sは、例えば、導電性の試料である。なお、試料Sは、これに代えて、絶縁性の試料であってもよく、半導電性の試料(半導体試料)であってもよい。また、物体は、試料Sに代えて、他の物体であってもよく、例えば、生物を構成する細胞、骨等の生体であってもよい。
【0028】
<断面観察装置における複数の観察条件>
以下、断面観察装置1における複数の観察条件について説明する。複数の観察条件には、例えば、SIM(Scanning Ion Microscope)像観察条件と、SEM(Scanning Electron Microscope)像観察条件と、BSE(Back Scattering Electron)像観察条件と、EDS(Energy Dispersive X-ray Spectrometer)マップ観察条件と、EBSD(Electron BackScatter Diffraction)マップ観察条件との5つの観察条件が含まれる。すなわち、断面観察装置1は、試料Sの断面を表す断面像情報を、これら5つの観察条件のそれぞれに基づいて取得することができる。なお、複数の観察条件には、これら5つの観察条件の一部又は全部に代えて、他の観察条件が含まれる構成であってもよい。また、複数の観察条件の数は、2つ以上であれば如何なる数であってもよい。
【0029】
SIM像観察条件は、荷電粒子ビームとして集束イオンビームを使い、二次粒子の検出として二次電子の検出を行う条件である。当該二次電子は、試料Sに含まれる電子のうち集束イオンビームによって散乱された散乱電子等のことである。断面観察装置1は、SIM像観察条件に基づいて物体の断面の断面像を生成する場合、当該断面像としてSIM像を生成する。
SEM像観察条件は、荷電粒子ビームとして電子ビームを使い、二次粒子の検出として二次電子の検出を行う条件である。当該二次電子は、試料Sに含まれる電子のうち電子ビームによって散乱された散乱電子等のことである。断面観察装置1は、SEM像観察条件によって物体の断面の断面像を生成する場合、当該断面像としてSEM像を生成する。
BSE像観察条件は、荷電粒子ビームとして電子ビームを使い、二次粒子の検出として二次電子の検出を行う条件である。当該二次電子は、電子ビームに含まれる電子のうち試料Sによって反射された反射電子等のことである。断面観察装置1は、BSE像観察条件によって物体の断面の断面像を生成する場合、当該断面像としてBSE像を生成する。
EDSマップ観察条件は、荷電粒子ビームとして電子ビームを使い、二次粒子の検出としてX線の検出を行う条件である。断面観察装置1は、EDSマップ観察条件によって物体の断面の断面像を生成する場合、当該断面像としてEDSマップを生成する。
EBSDマップ観察条件は、荷電粒子ビームとして電子ビームを使い、二次粒子の検出として二次電子の強度分布(回折図形)、すなわちEBSDパターンの検出を行う条件である。当該二次電子は、試料Sに含まれる電子のうち電子ビームによって散乱された散乱電子等のことである。断面観察装置1は、EBSDマップ観察条件によって物体の断面の断面像を生成する場合、当該断面像としてEBSDマップを生成する。
【0030】
<断面観察装置の構成>
以下、断面観察装置1の構成について説明する。
図1は、実施形態に係る断面観察装置1の構成の一例を示す図である。
【0031】
断面観察装置1は、荷電粒子顕微鏡10と、制御装置30と、表示装置35を備える。なお、この一例における断面観察装置1では、荷電粒子顕微鏡10と、制御装置30と、表示装置35とのそれぞれが別体に構成されているが、これに代えて、荷電粒子顕微鏡10と、制御装置30と、表示装置35との一部又は全部が一体に構成されてもよい。
【0032】
荷電粒子顕微鏡10は、例えば、集束イオンビーム(FIB(Focused Ion Beam))鏡筒11と、電子ビーム(EB(Electron Beam))鏡筒12と、試料室13を備える。
【0033】
集束イオンビーム鏡筒11は、予め決められた種類のイオンを集束させた集束イオンビームB1を照射する。集束イオンビーム鏡筒11は、例えば、イオン源(例えば、イオン銃)と、イオン加速部と、イオン照射部とを備える。イオン源は、イオンを発生させる。イオン加速部は、イオン源が発生させたイオンに対してイオン加速方向に電場を印加し、当該イオンを加速させる。イオン加速方向は、集束イオンビーム鏡筒11の中心軸に沿った方向であって集束イオンビーム鏡筒11のイオン源から集束イオンビーム鏡筒11の集束イオンビームB1が出射する出射口に向かう方向である。イオン照射部は、静電レンズを備え、イオン加速部によって加速されたイオンに、当該静電レンズによって電場を印加し、当該イオンを集束させる。そして、イオン照射部は、集束させたイオンを集束イオンビームB1として当該出射口から所定の照射領域に照射する。照射領域については、後述する。なお、当該静電レンズは、加速型であってもよく、減速型であってもよい。また、イオン照射部は、磁場レンズを備え、イオン加速部によって加速されたイオンに、当該磁場レンズによって磁場を印加し、当該イオンを集束させる構成であってもよい。
【0034】
集束イオンビーム鏡筒11は、試料室13内に収容されている。試料室13には、試料Sを載置する試料台であるステージ14と、制御装置30からの要求に応じてステージ14の位置及び姿勢を変化させるステージ駆動部が備えられている。ステージ14の位置は、この一例において、三次元座標系11Cにおける位置であって三次元座標系14Cの原点の位置によって表される。また、ステージ14の姿勢は、三次元座標系11Cの各座標軸に対する方向であって三次元座標系14Cの各座標軸の方向によって表される。三次元座標系11Cとは、集束イオンビーム鏡筒11の予め決められた位置に対応付けられた三次元座標系のことである。当該予め決められた位置は、例えば、集束イオンビーム鏡筒11の重心の位置である。
図1では、図が煩雑になるのを防ぐため、三次元座標系11Cの原点の位置が、当該重心の位置からずらされている。なお、当該予め決められた位置は、これに代えて、集束イオンビーム鏡筒11に対応付けられた他の位置であってもよい。集束イオンビーム鏡筒11が試料室13内において固定されて動かないため、三次元座標系11Cの原点の位置、及び三次元座標系11Cの各座標軸の方向は、固定されて動かない。三次元座標系14Cとは、ステージ14の上面の中心に対応付けられた三次元座標系のことである。このため、三次元座標系14Cは、ステージ14が動いた場合、ステージ14とともに動く。
図1では、図が煩雑になるのを防ぐため、三次元座標系14Cの原点の位置が、当該中心の位置からずらされている。
【0035】
ここで、この一例では、三次元座標系11CにおけるZ軸方向は、集束イオンビーム鏡筒11の中心軸方向と一致している。また、三次元座標系11CにおけるX軸方向は、当該Z軸方向と直交する方向であって集束イオンビーム鏡筒11から電子ビーム鏡筒12に向かう方向と一致している。また、三次元座標系11CにおけるY軸方向は、当該X軸方向及び当該Z軸方向と一致している。なお、三次元座標系11CにおけるX軸方向、Y軸方向、Z軸方向のそれぞれは、これに代えて、他の方向と一致する構成であってもよい。
【0036】
集束イオンビーム鏡筒11は、ステージ14の位置及び姿勢が、予め決められた基準となる位置及び姿勢である基準位置及び基準姿勢と一致している場合において、集束イオンビーム鏡筒11の中心軸がステージ14の上面と直交する位置に設置される。以下では、説明を簡略化するため、ユーザーがステージ14の位置及び姿勢を基準位置及び基準姿勢から変化させない場合について説明する。
【0037】
ここで、この一例では、三次元座標系14CにおけるX軸方向、Y軸方向、Z軸方向のそれぞれは、ステージ14の位置及び姿勢が基準位置及び基準姿勢と一致している場合、三次元座標系11CにおけるX軸方向、Y軸方向、Z軸方向のそれぞれと一致する。なお、三次元座標系14CにおけるX軸方向、Y軸方向、Z軸方向のそれぞれは、当該場合において、これに代えて、他の方向と一致する構成であってもよい。
【0038】
また、集束イオンビーム鏡筒11は、集束イオンビームB1を前述の照射領域に照射可能な位置に設置される。この照射領域は、ステージ14の位置及び姿勢が基準位置及び基準姿勢と一致している場合におけるステージ14の上面に沿った平面上に設定される平面領域である。以下では、一例として、照射領域が、当該場合におけるステージ14の上面の内側に設定される領域である場合について説明する。なお、照射領域は、これに代えて、当該場合におけるステージ14の上面の一部又は全部を含む範囲に設定される領域であってもよい。また、照射領域は、常に固定されており、ステージ駆動部がステージ14の位置及び姿勢を変化させた場合であっても、ステージ14の上面とともに動くわけではない。すなわち、ステージ駆動部は、ステージ14の位置及び姿勢を変化させることにより、ステージ14の上面に載置された試料Sを照射領域に対して相対的に並進又は傾斜させることができる。
【0039】
電子ビーム鏡筒12は、電子を集束させた電子ビームB2を照射する。電子ビーム鏡筒12は、例えば、電子源(例えば、電子銃)と、電子加速部と、電子照射部とを備える。電子源は、電子を発生させる。電子加速部は、電子源が発生させた電子に対して電子加速方向に電場を印加し、当該電子を加速させる。電子加速方向は、電子ビーム鏡筒12の中心軸に沿った方向であって電子ビーム鏡筒12の電子源から電子ビーム鏡筒12の電子ビームB2が出射する出射口に向かう方向である。電子照射部は、静電レンズを備え、電子加速部によって加速された電子に、当該静電レンズによって電場を印加し、当該電子を集束させる。そして、電子照射部は、集束させた電子を電子ビームB2として当該出射口から照射する。なお、当該静電レンズは、加速型であってもよく、減速型であってもよい。また、電子照射部は、磁場レンズを備え、電子加速部によって加速された電子に、当該磁場レンズによって磁場を印加し、当該電子を集束させる構成であってもよい。
【0040】
また、電子ビーム鏡筒12は、図示しない鏡筒内反射電子検出器を備えている。鏡筒ない反射電子検出器は、前述の反射電子を二次電子として検出する。鏡筒内反射電子検出器は、検出した当該二次電子を示す情報を含む信号を制御装置30に出力する。当該二次電子を示す情報は、当該反射電子の数を示す情報である。
【0041】
電子ビーム鏡筒12は、集束イオンビーム鏡筒11とともに試料室13内に収容されている。電子ビーム鏡筒12は、ステージ14の位置及び姿勢が基準となる基準位置及び基準姿勢と一致している場合において、電子ビーム鏡筒12の中心軸がステージ14の上面に対して所定角度傾く位置に設置される。また、電子ビーム鏡筒12は、電子ビームB2を前述の照射領域に照射可能な位置に設置される。なお、電子ビーム鏡筒12は、電子ビーム鏡筒12の中心軸に沿った方向であって電子ビーム鏡筒12の電子源から電子ビーム鏡筒12の電子ビームB2が出射する出射口に向かう方向と、集束イオンビーム鏡筒11の中心軸に沿った方向であって集束イオンビーム鏡筒11のイオン源から集束イオンビーム鏡筒11の集束イオンビームB1が出射する出射口に向かう方向とが直交するように配置されることが望ましい。
【0042】
また、荷電粒子顕微鏡10は、二次電子検出器16と、EDS検出器17と、EBSD検出器18を更に備える。
【0043】
二次電子検出器16は、集束イオンビームB1が試料Sに照射された場合に試料Sから発生する二次電子を検出する。当該二次電子は、試料Sに含まれる電子のうち集束イオンビームB1によって散乱された散乱電子等のことである。また、二次電子検出器16は、電子ビームB2が試料Sに照射された場合に試料Sから発生する二次電子を検出する。当該二次電子は、試料Sに含まれる電子のうち電子ビームB2によって散乱された散乱電子等のことである。二次電子検出器16は、検出した二次電子を示す情報を含む信号を制御装置30に出力する。当該情報は、当該二次電子の数を示す情報である。
【0044】
EDS検出器17は、電子ビームB2が試料Sに照射された場合に試料Sから発生するX線を検出する。試料Sから発生するX線は、試料Sを構成する物質毎に特有の特性X線を含む。断面観察装置1は、この特性X線によって、試料Sを構成する物質を特定することができる。EDS検出器17は、検出したX線を示す情報を含む信号を制御装置30に出力する。
【0045】
EBSD検出器18は、試料Sが結晶性材料であった場合、且つ、電子ビームB2が試料Sの断面に照射された場合に、当該断面において生じる電子線後方散乱回折により発生する二次電子の強度分布(回折図形)、すなわちEBSDパターンを検出する。当該二次電子は、試料Sに含まれる電子のうち電子ビームによって散乱された散乱電子等のことである。当該断面において発生するEBSDパターンは、当該断面の結晶構造(すなわち、結晶系、結晶方位等)を表す。断面観察装置1は、このEBSDパターンによって、当該断面の化学組成を特定することができる。EBSD検出器18は、検出した当該EBSDパターンを示す情報を含む信号を制御装置30に出力する。
【0046】
また、荷電粒子顕微鏡10は、ケーブルによって制御装置30と通信可能に接続されている。これにより、荷電粒子顕微鏡10が備える集束イオンビーム鏡筒11(前述の鏡筒内反射電子検出器を含む)、電子ビーム鏡筒12、ステージ14、二次電子検出器16、EDS検出器17、EBSD検出器18のそれぞれは、制御装置30から取得される制御信号に基づく動作を行う。なお、ケーブルを介した有線通信は、例えば、イーサネット(登録商標)やUSB(Universal Serial Bus)等の規格によって行われる。また、荷電粒子顕微鏡10は、Wi−Fi(登録商標)等の通信規格により行われる無線通信によって制御装置30と接続される構成であってもよい。
【0047】
なお、荷電粒子顕微鏡10は、前述の鏡筒内反射電子検出器と、二次電子検出器16と、EDS検出器17と、EBSD検出器18のうちのいずれか1つを備えない構成であってもよい。また、荷電粒子顕微鏡10は、鏡筒内反射電子検出器と、二次電子検出器16と、EDS検出器17と、EBSD検出器18とのいずれかに代えて、他の検出器を備える構成であってもよい。また、荷電粒子顕微鏡10は、鏡筒内反射電子検出器と、二次電子検出器16と、EDS検出器17と、EBSD検出器18との全部に代えて、2以上の他の検出器を備える構成であってもよい。
【0048】
制御装置30は、例えば、デスクトップPC(Personal Computer)、ノートPC、ワークステーション等の情報処理装置である。なお、制御装置30は、これらに代えて、タブレットPCや多機能携帯電話(スマートフォン)、PDA(Personal Data Assistant)等の他の情報処理装置であってもよい。
【0049】
制御装置30は、荷電粒子顕微鏡10を制御する。制御装置30は、荷電粒子顕微鏡10を制御し、試料Sに荷電粒子ビームを照射させ、試料Sの断面を露出させる。また、制御装置30は、荷電粒子顕微鏡10に当該断面へ荷電粒子ビームを照射させる。制御装置30は、その結果として当該断面から発生した二次粒子を荷電粒子顕微鏡10に検出させる。制御装置30は、荷電粒子顕微鏡10が検出した二次粒子を示す情報を含む信号を、当該断面を表す断面像情報として荷電粒子顕微鏡10から取得する。制御装置30は、取得した断面像情報に基づいて、当該断面像情報が表す当該断面の断面像を生成する。
【0050】
また、制御装置30は、このような処理を繰り返し行うことにより、試料Sの複数の断面それぞれの断面像を生成する。制御装置30は、生成した複数の断面像を重ね合わせた三次元像を生成する。制御装置30は、生成した三次元像を表示装置35に出力して表示させる。
【0051】
なお、制御装置30は、荷電粒子顕微鏡10によって試料Sの表面を保護するデポジション膜を当該表面に形成させる処理等の他の処理も行うことができるが、以下では、断面像情報取得処理と、三次元像表示処理とのそれぞれについて説明するために必要な処理以外の制御装置30が行う処理の説明については、省略する。
【0052】
表示装置35は、例えば、前述の表示部として液晶ディスプレイパネル、あるいは、有機EL(ElectroLuminescence)ディスプレイパネルを備えたディスプレイである。表示装置35は、制御装置30から取得した各種の画像を当該表示部に表示する。
【0053】
<制御装置による断面像情報取得処理>
以下、制御装置30による断面像情報取得処理について説明する。制御装置30は、前述した通り、複数の観察条件のそれぞれに応じた断面像情報取得処理によって荷電粒子顕微鏡10を制御し、複数の観察条件のそれぞれに応じた断面像情報であって試料Sの断面を表す断面像情報を取得する。以下では、一例として、制御装置30が、複数の観察条件のうちのSEM像観察条件、BSE像観察条件、EDS像観察条件の3つの観察条件のそれぞれに応じた断面像情報取得処理によって荷電粒子顕微鏡10を制御し、当該3つの観察条件のそれぞれに応じた断面像情報であって試料Sの断面を表す断面像情報を取得する場合について説明する。また、以下では、荷電粒子顕微鏡10が試料Sのある断面XSに荷電粒子ビームを照射する場合を例に挙げて、当該3つの観察条件のそれぞれに応じた断面像情報取得処理について説明する。
【0054】
なお、制御装置30は、前述の照射領域を電子ビームB2によって走査する際、予め設定された座標系であって照射領域上の位置を示す第1三次元局所座標系(又は第1二次元局所座標系)におけるXY平面上の複数の位置を予め決められた順に第1照射位置として指定し、指定した第1照射位置に電子ビームB2を電子ビーム鏡筒12に照射させる。これにより、制御装置30は、照射領域を電子ビームB2によって走査する。
【0055】
まず、3つの観察条件のうちのSEM像観察条件に応じた断面像情報取得処理であるSEM像情報取得処理について説明する。制御装置30は、SEM像情報取得処理によって電子ビーム鏡筒12を制御し、電子ビーム鏡筒12に照射領域を電子ビームB2によって走査させる。この際、照射領域には、断面XSが露出された試料Sが載置されている。このため、試料Sの断面XSは、電子ビームB2によって走査される。
【0056】
ここで、制御装置30は、電子ビーム鏡筒12に照射領域を電子ビームB2によって走査させるとともに、第1信号取得処理を行う。ある第1照射位置に電子ビームB2を照射させた場合、制御装置30は、第1信号取得処理において、二次電子検出器16が検出した二次電子であって当該第1照射位置において発生した二次電子を示す情報を含む信号を二次電子検出器16から取得する。制御装置30は、指定した当該第1照射位置を示す第1照射位置情報と、試料Sの断面XSを示す断面情報と、取得した当該信号に含まれている当該情報とを対応付けた情報を、制御装置30に予め記憶されたSEM像情報テーブルに格納する。制御装置30は、電子ビームB2によって照射領域が走査されている間、当該情報のSEM像情報テーブルへの格納を繰り返し行う。すなわち、SEM像情報とは、このようにしてSEM像情報テーブルに格納された情報のことである。
【0057】
次に、3つの観察条件のうちのBSE像観察条件に応じた断面像情報取得処理であるBSE像情報取得処理について説明する。制御装置30は、BSE像情報取得処理によって電子ビーム鏡筒12を制御し、電子ビーム鏡筒12に照射領域を電子ビームB2によって走査させる。この際、照射領域には、断面XSが露出された試料Sが載置されている。このため、試料Sの断面XSは、電子ビームB2によって走査される。
【0058】
ここで、制御装置30は、電子ビーム鏡筒12に照射領域を電子ビームB2によって走査させるとともに、第2信号取得処理を行う。ある第1照射位置に電子ビームB2を照射させた場合、制御装置30は、第2信号取得処理において、前述の鏡筒内反射電子検出器が検出した二次電子であって当該第1照射位置において発生した二次電子を示す情報を含む信号を鏡筒内反射電子検出器から取得する。制御装置30は、指定した当該第1照射位置を示す第1照射位置情報と、試料Sの断面XSを示す断面情報と、取得した当該信号に含まれている当該情報とを対応付けた情報を、制御装置30に予め記憶されたBSE像情報テーブルに格納する。制御装置30は、電子ビームB2によって照射領域が走査されている間、当該情報のBSE像情報テーブルへの格納を繰り返し行う。すなわち、BSE像情報とは、このようにしてBSE像情報テーブルに格納された情報のことである。
【0059】
次に、3つの観察条件のうちのEDSマップ観察条件に応じた断面像情報取得処理であるEDSマップ情報取得処理について説明する。制御装置30は、EDSマップ情報取得処理によって電子ビーム鏡筒12を制御し、電子ビーム鏡筒12に照射領域を電子ビームB2によって走査させる。この際、照射領域には、断面XSが露出された試料Sが載置されている。このため、試料Sの断面XSは、電子ビームB2によって走査される。
【0060】
ここで、制御装置30は、電子ビーム鏡筒12に照射領域を電子ビームB2によって走査させるとともに、第3信号取得処理を行う。ある第1照射位置に電子ビームB2を照射させた場合、制御装置30は、第3信号取得処理において、EDS検出器17が検出したX線を示す情報を含む信号をEDS検出器17から取得する。制御装置30は、指定した当該第1照射位置を示す第1照射位置情報と、試料Sの断面XSを示す断面情報と、取得した当該信号に含まれている当該情報とを対応付けた情報を、制御装置30に予め記憶されたEDSマップ情報テーブルに格納する。制御装置30は、電子ビームB2によって照射領域が走査されている間、当該情報のEDSマップ情報テーブルへの格納を繰り返し行う。すなわち、EDSマップ像情報とは、このようにしてEDSマップ情報テーブルに格納された情報のことである。
【0061】
<制御装置によるエッチング処理>
制御装置30は、集束イオンビーム鏡筒11に照射領域を集束イオンビームB1によって走査させる際、予め設定された座標系であって照射領域上の位置を示す第2三次元局所座標系(又は第2二次元局所座標系)におけるXY平面上の複数の位置を予め決められた順に第2照射位置として指定し、指定した第2照射位置に集束イオンビームB1を集束イオンビーム鏡筒11に照射させる。これにより、制御装置30は、集束イオンビーム鏡筒11に照射領域を集束イオンビームB1によって走査させる。この際、照射領域には、断面XSが露出された試料Sが載置されている。このため、試料Sの断面XSは、集束イオンビームB1によって走査される。
【0062】
制御装置30は、このような集束イオンビームB1による第2照射領域の走査によって、ステージ14の上面に設置された試料Sの表面を集束イオンビーム鏡筒11にエッチングさせるエッチング処理を行う。
【0063】
また、エッチング処理を行う場合、制御装置30は、集束イオンビーム鏡筒11に照射させる集束イオンビームB1のエネルギーを、試料Sの表面をエッチング可能なエネルギー以上のエネルギーに設定する。このエッチングにより、制御装置30は、試料Sの断面を露出させることができる。
【0064】
<制御装置のハードウェア構成>
以下、
図2を参照し、制御装置30のハードウェア構成について説明する。
図2は、制御装置30のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0065】
制御装置30は、例えば、CPU(Central Processing Unit)31と、記憶部32と、入力受付部33と、通信部34を備える。これらの構成要素は、バスBusを介して相互に通信可能に接続されている。また、制御装置30は、通信部34を介して荷電粒子顕微鏡10、表示装置35のそれぞれと通信を行う。
【0066】
CPU31は、記憶部32に格納された各種プログラムを実行する。
記憶部32は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)、ROM(Read−Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を含む。なお、記憶部32は、制御装置30に内蔵されるものに代えて、USB等のデジタル入出力ポート等によって接続された外付け型の記憶装置であってもよい。記憶部32は、制御装置30が処理する各種情報や画像、各種のプログラムを格納する。
【0067】
入力受付部33は、例えば、キーボードやマウス、タッチパッド等の入力装置である。なお、入力受付部33は、制御装置30が表示装置35と一体に構成されている場合、表示装置35が備える表示部と一体に構成されたタッチパネル等の他の入力装置であってもよい。
通信部34は、例えば、USB等のデジタル入出力ポートやイーサネット(登録商標)ポート等を含んで構成される。
【0068】
<制御装置の機能構成>
以下、
図3を参照し、制御装置30の機能構成について説明する。
図3は、制御装置30の機能構成の一例を示す図である。
【0069】
制御装置30は、記憶部32と、入力受付部33と、制御部36を備える。
【0070】
制御部36は、制御装置30の全体を制御する。制御部36は、荷電粒子顕微鏡制御部361と、像生成部364と、表示制御部365を備える。制御部36が備えるこれらの機能部は、例えば、CPU31が、記憶部32に記憶された各種プログラムを実行することにより実現される。また、当該機能部のうち一部又は全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア機能部であってもよい。
【0071】
荷電粒子顕微鏡制御部361は、荷電粒子顕微鏡10の全体を制御する。荷電粒子顕微鏡制御部361は、例えば、エッチング処理部362と、断面像情報取得処理部363を備える。
【0072】
エッチング処理部362は、荷電粒子顕微鏡10を制御し、前述のエッチング処理を行う。
断面像情報取得処理部363は、荷電粒子顕微鏡10を制御し、複数の観察条件のそれぞれに応じた断面像情報取得処理を行う。
【0073】
像生成部364は、記憶部32に記憶された断面像情報に基づいて、試料Sの断面の断面像を生成する。例えば、像生成部364は、記憶部32に記憶されたSEM像情報テーブルに格納されたSEM像情報に基づいて、試料Sの断面のSEM像を生成する。像生成部364は、生成した当該断面のSEM像に基づいて、三次元SEM像を生成する。また、像生成部364は、記憶部32に記憶されたBSE像情報テーブルに格納されたBSE像情報に基づいて、試料Sの断面のBSE像を生成する。像生成部364は、生成した当該断面のBSE像に基づいて、三次元BSE像を生成する。また、像生成部364は、記憶部32に記憶されたEDSマップ情報テーブルに格納されたEDSマップ情報に基づいて、試料Sの断面のEDSマップを生成する。像生成部364は、生成した当該断面のEDSマップに基づいて、三次元EDSマップを生成する。
【0074】
表示制御部365は、表示装置35が備える表示部に表示させる各種の画面を生成する。表示制御部365は、生成した画面を表示装置35に出力し、当該表示部に表示させる。また、表示制御部365は、例えば、ユーザーから受け付けた操作に応じて、像生成部364が生成した三次元SEM像、三次元BSE像、三次元EDSマップのうちの一部又は全部を当該表示部に表示させる。
【0075】
<断面観察装置が試料の断面毎の断面像情報を取得する処理>
以下、
図4を参照し、断面観察装置1が3つの観察条件のそれぞれに応じた断面像情報取得処理によって試料Sの断面の断面像情報を取得する処理について説明する。
図4は、断面観察装置1が3つの観察条件のそれぞれに応じた断面像情報取得処理によって試料Sの断面の断面像情報を取得する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0076】
エッチング処理部362は、ステップS120においてエッチング処理が行われた回数であるエッチング回数を格納する変数を記憶部32に生成する。そして、エッチング処理部362は、記憶部32に生成した当該変数をゼロに初期化する(ステップS110)。すなわち、エッチング処理部362は、エッチング回数をゼロに初期化する。なお、エッチング処理部362は、当該変数をゼロと異なる他の数値に初期化する構成であってもよい。また、エッチング処理部362は、当該変数としてエッチング回数を表す文字列、記号等を格納する変数を記憶部32に生成する構成であってもよい。
【0077】
次に、エッチング処理部362は、集束イオンビーム鏡筒11を制御し、前述したエッチング処理を行うことにより、試料Sの表面をエッチングする(ステップS120)。そして、エッチング処理部362は、記憶部32に記憶されたエッチング回数を格納する変数に格納された値を1増加させる。
【0078】
次に、断面像情報取得処理部363は、電子ビーム鏡筒12を制御し、3つの観察条件のそれぞれに応じた断面像情報取得処理を行い、3つの観察条件のそれぞれに応じた断面像情報を取得する(ステップS130)。具体的には、断面像情報取得処理部363は、まず、SEM像観察条件に応じたSEM像情報取得処理を行うことにより、SEM像情報テーブルにSEM像情報を格納する。また、断面像情報取得処理部363は、当該SEM像情報取得処理が行われている間において、又は、当該SEM像情報取得処理が終了した後において、BSE像観察条件に応じたBSE像情報取得処理と、EDSマップ観察条件に応じたEDSマップ情報取得処理とを並列に行う。これら3つの断面像情報取得処理を並列に行う場合、断面像情報取得処理部363は、照射領域に対する電子ビームB2による1回の走査によって、SEM像情報と、BSE像情報と、EDSマップ情報とのそれぞれを並列に取得する。なお、断面像情報取得処理部363は、複数回実行されたステップS120の処理のうちの少なくとも一部のステップS120において、SEM像情報取得処理を行う構成であってもよい。この場合、像生成部364は、試料Sの複数の断面であってステップS120の処理によって繰り返し露出された複数の断面のうちの少なくとも一部の断面のそれぞれを表すSEM像を生成する。また、断面像情報取得処理部363は、複数回実行されたステップS120の処理のうちの少なくとも一部のステップS120において、BSE像情報取得処理を行う構成であってもよい。この場合、像生成部364は、試料Sの複数の断面であってステップS120の処理によって繰り返し露出された複数の断面のうちの少なくとも一部の断面のそれぞれを表すBSE像を生成する。また、断面像情報取得処理部363は、複数回実行されたステップS120の処理のうちの少なくとも一部のステップS120において、EDSマップ情報取得処理を行う構成であってもよい。この場合、像生成部364は、試料Sの複数の断面であってステップS120の処理によって繰り返し露出された複数の断面のうちの少なくとも一部の断面のそれぞれを表すEDSマップを生成する。以下では、一例として、断面像情報取得処理部363が、ステップS120の処理が実行される毎に、SEM像情報取得処理と、BSE像情報取得処理と、EDSマップ情報取得処理とを行う場合について説明する。
【0079】
ここで、ステップS130において取得されたSEM像情報、BSE像情報、EDSマップ情報のそれぞれには、ステップS120におけるエッチング処理によって露出させた断面を示す断面情報が含まれている。断面像情報取得処理部363は、当該断面情報として、記憶部32に記憶されたエッチング回数を格納する変数に格納されたエッチング回数を示す情報を用いる。すなわち、ステップS130において取得されたSEM像情報、BSE像情報、EDSマップ情報のそれぞれには、当該断面情報として、当該エッチング回数を示す情報が含まれている。なお、断面像情報取得処理部363は、当該断面情報として、他の情報を用いる構成であってもよい。
【0080】
また、断面像情報取得処理部363は、記憶部32に記憶されたSEM像情報テーブル、BSE像情報テーブル、EDSマップ情報テーブルに含まれるSEM像情報、BSE像情報、EDSマップ情報のそれぞれを、断面情報毎に対応付けて記憶部32に記憶させる。すなわち、断面像情報取得処理部363は、SEM像情報テーブル、BSE像情報テーブル、EDSマップ情報テーブルのそれぞれを、断面情報毎に分類して記憶部32に記憶させる。これにより、断面観察装置1は、後述する三次元像表示処理に要する時間を短縮することができる。なお、断面像情報取得処理部363は、これに代えて、当該SEM像情報、当該BSE像情報、当該EDSマップ情報のそれぞれを、断面情報毎に対応付けずに記憶部32に記憶させる構成であってもよい。
【0081】
次に、エッチング処理部362は、記憶部32に記憶されたエッチング回数を格納する変数に格納されたエッチング回数が所定値以上であるか否かを判定する(ステップS140)。当該エッチング回数が所定値未満であると判定した場合(ステップS140−NO)、エッチング処理部362は、ステップS120に遷移し、再びエッチング処理を行うことにより、試料Sの表面をエッチングする。一方、当該エッチング回数が所定値以上であるとエッチング処理部362が判定した場合(ステップS140−YES)、荷電粒子顕微鏡制御部361は、処理を終了する。ここで、所定値は、試料Sの断面をユーザーがエッチングしたい所望の回数によって決められる値である。なお、所定値は、ユーザーにより予めエッチング処理部362に入力される。
【0082】
このように、ステップS110〜ステップS140の処理を繰り返すことにより、断面観察装置1は、集束イオンビームB1によって露出された試料Sの断面のSEM像情報、BSE像情報、EDSマップ情報のそれぞれを記憶部32に記憶することができる。
【0083】
<断面観察装置が行う三次元像表示処理>
以下、
図5を参照し、断面観察装置1が行う三次元像表示処理について説明する。
図5は、断面観察装置1が行う三次元像表示処理の流れの一例を示すフローチャートである。以下では、一例として、
図4に示したフローチャートの処理が終了した後に
図5に示したフローチャートが開始された場合について説明する。なお、
図5に示したフローチャートの処理は、
図4に示したフローチャートの処理が行われている最中に開始されてもよい。この場合、
図5に示したフローチャートにおいて用いられるSEM像情報、BSE像情報、EDSマップ情報のそれぞれは、
図5に示したフローチャートの処理が開始されたタイミングにおいてSEM像情報テーブルに格納されているSEM像情報、当該タイミングにおいてBSE像情報テーブルに格納されているBSE像情報、当該タイミングにおいてEDSマップ情報テーブルに格納されているEDSマップ情報のそれぞれである。
【0084】
像生成部364は、ユーザーから三次元像表示処理を開始する操作を受け付けるまで待機する(ステップS210)。例えば、像生成部364は、表示装置35が備える表示部に表示制御部365が予め表示させた操作画面を介してユーザーから三次元像表示処理を開始する操作を受け付ける。
【0085】
次に、像生成部364は、断面観察装置1が表示可能な三次元像のうち、ユーザーが表示させたい1以上の三次元像それぞれの種類を受け付ける(ステップS215)。断面観察装置1が表示可能な三次元像の種類は、この一例において、三次元SEM像、三次元BSE像、三次元EDSマップの3種類である。像生成部364は、表示装置35が備える表示部に表示制御部365が予め表示させた種類選択画面を介してユーザーから1以上の三次元像の種類を受け付ける。以下では、一例として、像生成部364がステップS215において、ユーザーから三次元SEM像、三次元BSE像、三次元EDSマップの3種類を受け付けた場合について説明する。
【0086】
次に、像生成部364は、ステップS215において受け付けた種類の三次元像を生成するために必要な断面像情報を記憶部32から読み出す(ステップS220)。具体的には、像生成部364は、ステップS215において受け付けた種類に三次元SEM像が含まれていた場合、記憶部32に記憶されたSEM像情報テーブルに格納されたSEM像情報を読み出す。また、像生成部364は、ステップS215において受け付けた種類に三次元BSE像が含まれていた場合、記憶部32に記憶されたBSE像情報テーブルに格納されたBSE像情報を読み出す。また、像生成部364は、ステップS215において受け付けた種類に三次元EDSマップが含まれていた場合、記憶部32に記憶されたEDSマップ情報テーブルに格納されたEDSマップ情報を読み出す。この一例では、像生成部364は、ステップS215において三次元SEM像、三次元BSE像、三次元EDSマップのそれぞれが選択されているため、当該SEM像情報テーブルに格納されたSEM像情報と、当該BSE像情報テーブルに格納されたBSE像情報と、当該EDSマップ情報テーブルに格納されたEDSマップ情報とのそれぞれを読み出す。
【0087】
次に、像生成部364は、ステップS220において読み出した断面像情報に基づいて、三次元像を生成する(ステップS230)。ここで、ステップS230の処理について説明する。
【0088】
像生成部364は、ステップS220においてSEM像情報をSEM像情報テーブルから読み出した場合、読み出したSEM像情報のそれぞれに基づいて、それぞれのSEM像情報に基づくSEM像を生成する。具体的には、像生成部364は、当該SEM像情報のそれぞれに含まれる断面情報に基づいて、互いに一致する当該断面情報に対応付けられた情報であって二次電子を示す情報及び第1照射位置情報を特定する。そして、像生成部364は、特定した情報であって当該断面情報のそれぞれが示す断面の当該情報及び当該第1照射位置情報に基づいて、当該断面のSEM像を生成する。当該断面毎の当該情報及び当該第1照射位置情報に基づく当該断面のSEM像の生成方法は、既知の方法であってもよく、これから開発される方法であってもよい。
【0089】
例えば、像生成部364は、ステップS220においてSEM像情報テーブルから読み出したSEM像情報のうち、試料Sのある断面XSを示す断面情報に対応付けられた情報であって二次電子を示す情報及び第1照射位置情報を特定する。また、像生成部364は、記憶部32の記憶領域に前述の照射領域を表す画像を生成する。当該画像の各点は、照射領域内の位置であって前述の第1三次元局所座標系におけるXY平面上の位置を表す。また、当該画像には、当該断面情報が示すエッチング回数に応じた高さが対応付けられている。当該断面情報が示すエッチング回数に応じた高さは、この一例において、エッチング回数が1の場合、基準となる高さであり、例えば、0である。すなわち、当該断面情報が示すエッチング回数に応じた高さは、試料Sの上面から試料Sの下面に向かって高くなる高さである。また、当該断面情報が示すエッチング回数に応じた高さは、この一例において、エッチング回数がn(nは、2以上の整数)の場合、予め決められた厚さであって1回のエッチング処理において試料Sの表面が削られる厚さであるスライス幅にnを乗じた高さである。従って、当該画像の各点は、三次元位置を表す。像生成部364は、特定した当該第1照射位置情報の中から、生成した当該画像の各点について、点が表す位置を示す情報を含む第1照射位置情報に対応付けられた情報であって二次電子を示す情報を対応付けるとともに、当該画素の画素値を当該情報に応じた画素値(例えば、色相値、明度値、輝度値等)に設定する。このようにして、像生成部364は、当該画像を断面XSのSEM像として生成する。像生成部364は、このようなSEM像の生成を、SEM像情報テーブルから読み出したSEM像情報のそれぞれに含まれる断面情報が示す断面毎に行うことにより、当該断面毎のSEM像を生成する。
【0090】
また、像生成部364は、生成したSEM像を重ね合わせた三次元SEM像を生成する。具体的には、像生成部364は、SEM像に対応付けられた高さが低いものから高いものに向かって順に、SEM像情報テーブルから読み出したSEM像情報のそれぞれに含まれる断面情報が示す断面毎のSEM像を重ね合わせることにより、三次元SEM像を生成する。三次元SEM像の生成方法は、既知の方法であってもよく、これから開発される方法であってもよい。
【0091】
また、像生成部364は、ステップS220においてBSE像情報をBSE像情報テーブルから読み出した場合、読み出したBSE像情報のそれぞれに基づいて、それぞれのBSE像情報に基づくBSE像を生成する。具体的には、像生成部364は、当該BSE像情報に含まれる断面情報に基づいて、互いに一致する当該断面情報に対応付けられた情報であって二次電子を示す情報及び第1照射位置情報を特定する。そして、像生成部364は、特定した情報であって当該断面情報のそれぞれが示す断面の当該情報及び当該第1照射位置情報に基づいて、当該断面のBSE像を生成する。当該情報及び当該第1照射位置情報に基づくBSE像の生成方法は、既知の方法であってもよく、これから開発される方法であってもよい。
【0092】
例えば、像生成部364は、ステップS220においてBSE像情報テーブルから読み出したBSE像情報のうち、試料Sのある断面XSを示す断面情報に対応付けられた情報であって二次電子を示す情報及び第1照射位置情報を特定する。また、像生成部364は、記憶部32の記憶領域に照射領域を表す画像を生成する。当該画像の各点は、照射領域内の位置であって第1三次元局所座標系におけるXY平面上の位置を表す。また、当該画像には、当該断面情報が示すエッチング回数に応じた高さが対応付けられている。従って、当該画像の各点は、三次元位置を表す。像生成部364は、特定した当該第1照射位置情報の中から、生成した当該画像の各点について、点が表す位置を示す情報を含む第1照射位置情報に対応付けられた情報であって二次電子を示す情報を対応付けるとともに、当該画素の画素値を当該情報に応じた画素値(例えば、色相値、明度値、輝度値等)に設定する。このようにして、像生成部364は、当該画像を断面XSのBSE像として生成する。像生成部364は、このようなBSE像の生成を、BSE像情報テーブルから読み出したBSE像情報のそれぞれに含まれる断面情報が示す断面毎に行うことにより、当該断面毎のBSE像を生成する。
【0093】
また、像生成部364は、生成したBSE像であって試料Sの断面毎のBSE像を重ね合わせた三次元BSE像を生成する。具体的には、像生成部364は、BSE像に対応付けられた高さが低いものから高いものに向かって順に、当該断面毎のBSE像を重ね合わせることにより、三次元BSE像を生成する。三次元BSE像の生成方法は、既知の方法であってもよく、これから開発される方法であってもよい。
【0094】
また、像生成部364は、ステップS220においてEDSマップ情報をEDSマップ情報テーブルから読み出した場合、読み出したEDSマップ情報のそれぞれに基づいて、それぞれのEDSマップ情報に基づくEDSマップを生成する。具体的には、像生成部364は、当該EDSマップ情報に含まれる断面情報に基づいて、互いに一致する当該断面情報に対応付けられた情報であってX線を示す情報及び第1照射位置情報を特定する。そして、像生成部364は、特定した情報であって当該断面情報のそれぞれが示す断面の当該情報及び当該第1照射位置情報に基づいて、当該断面のEDSマップを生成する。当該断面毎の当該情報及び当該第1照射位置情報に基づくEDSマップの生成方法は、既知の方法であってもよく、これから開発される方法であってもよい。
【0095】
例えば、像生成部364は、ステップS220においてEDSマップ情報テーブルから読み出したEDSマップ情報のうち、試料Sのある断面XSを示す断面情報に対応付けられた情報であってX線を示す情報及び第1照射位置情報を特定する。また、像生成部364は、記憶部32の記憶領域に前述の照射領域を表す画像を生成する。当該画像の各点は、照射領域内の位置であって第1三次元局所座標系におけるXY平面上の位置を表す。また、当該画像には、当該断面情報が示すエッチング回数に応じた高さが対応付けられている。像生成部364は、特定した当該第1照射位置情報の中から、生成した当該画像の各点について、点が表す位置を示す情報を含む第1照射位置情報に対応付けられた情報であってX線を示す情報を対応付けるとともに、当該画素の画素値を当該情報に応じた画素値(例えば、色相値、明度値、輝度値等)に設定する。像生成部364は、このようなEDSマップの生成を、EDSマップ情報テーブルから読み出したEDSマップ情報のそれぞれに含まれる断面情報が示す断面毎に行うことにより、当該断面毎のEDSマップを生成する。
【0096】
また、像生成部364は、生成したEDSマップを重ね合わせた三次元EDSマップを生成する。具体的には、像生成部364は、EDSマップに対応付けられた高さが低いものから高いものに向かって順に、EDSマップ情報テーブルから読み出したEDSマップ情報のそれぞれに含まれる断面情報が示す断面毎のEDSマップを重ね合わせることにより、三次元EDSマップを生成する。三次元EDSマップの生成方法は、既知の方法であってもよく、これから開発される方法であってもよい。
【0097】
この一例では、像生成部364は、ステップS220においてSEM像情報、BSE像情報、EDSマップ情報のそれぞれを記憶部32から読み出しており、試料Sの断面毎のSEM像、BSE像情報、EDSマップのそれぞれを生成する。そして、像生成部364は、SEM像情報テーブルから読み出したSEM像情報のそれぞれに含まれる断面情報が示す断面毎のSEM像に基づいて三次元SEM像を生成し、BSE像情報テーブルから読み出したBSE像情報のそれぞれに含まれる断面情報が示す断面毎のBSE像に基づいて三次元BSE像を生成し、EDSマップ情報テーブルから読み出したEDSマップ情報のそれぞれに含まれる断面情報が示す断面毎のEDSマップに基づいて三次元EDSマップを生成する。
【0098】
次に、表示制御部365は、ステップS230において生成した三次元像を表示装置35が備える表示部に表示する(ステップS240)。具体的には、表示制御部365は、当該三次元像を表示させる三次元像表示画面を生成する。そして、表示制御部365は、生成した三次元像表示画面上における所定位置に当該三次元像を配置する。表示制御部365は、当該三次元像が配置された当該三次元像表示画面を当該表示部に表示させる。ここで、この一例において、像生成部364がステップS230において三次元SEM像、三次元BSE像、三次元EDSマップのそれぞれを生成しているため、表示制御部365は、当該三次元SEM像、当該三次元BSE像、当該三次元EDSマップのそれぞれを当該三次元像表示画面に配置する。
【0099】
図6は、表示制御部365がステップS240において表示制御部365が備える表示部に表示させる三次元像表示画面の一例を示す図である。
図6に示した画面SC1は、表示制御部365がステップS240において当該表示部に表示させた三次元像表示画面の一例である。表示制御部365は、三次元SEM像、三次元BSE像、三次元EDSマップのそれぞれを互いに重ねずに画面SC1に表示させる。このため、画面SC1には、三次元SEM像を表示させる領域R1と、三次元BSE像を表示させる領域R2と、三次元EDSマップを表示させる領域R3とが含まれている。
【0100】
図6に示した例では、領域R1には、ステップS230において生成された三次元SEM像の一例が表示されている。また、領域R2には、ステップS230において生成された三次元BSE像の一例が表示されている。また、領域R3には、ステップS230において生成された三次元EDSマップの一例が表示されている。
【0101】
ここで、領域R1には、領域R1内の位置を示す三次元座標系R1Cが対応付けられている。また、領域R1に表示された三次元SEM像における各点は、前述した通り、第1三次元局所座標系における三次元位置を表す。すなわち、三次元SEM像には、第1三次元局所座標系が仮想的に対応付けられている。また、三次元SEM像の位置は、三次元座標系R1Cにおける位置であって三次元SEM像に仮想的に対応付けられた第1三次元局所座標系の原点の位置によって表される。また、三次元SEM像の姿勢は、三次元座標系R1Cにおける方向であって第1三次元局所座標系の各座標軸の方向によって表される。
【0102】
また、領域R2には、領域R2内の位置を示す三次元座標系R2Cが対応付けられている。また、領域R2に表示された三次元BSE像における各点は、前述した通り、第1三次元局所座標系における三次元位置を表す。すなわち、三次元BSE像には、第1三次元局所座標系が仮想的に対応付けられている。また、三次元BSE像の位置は、三次元座標系R2Cにおける位置であって三次元BSE像に仮想的に対応付けられた第1三次元局所座標系の原点の位置によって表される。また、三次元BSE像の姿勢は、三次元座標系R2Cにおける方向であって第1三次元局所座標系の各座標軸の方向によって表される。
【0103】
また、領域R3には、領域R3内の位置を示す三次元座標系R3Cが対応付けられている。また、領域R3に表示された三次元EDSマップにおける各点は、前述した通り、第1三次元局所座標系における三次元位置を表す。すなわち、三次元EDSマップには、第1三次元局所座標系が仮想的に対応付けられている。また、三次元EDSマップの位置は、三次元座標系R3Cにおける位置であって三次元EDSマップに仮想的に対応付けられた第1三次元局所座標系の原点の位置によって表される。また、三次元EDSマップの姿勢は、三次元座標系R3Cにおける方向であって第1三次元局所座標系の各座標軸の方向によって表される。
【0104】
また、領域R1〜領域R3のそれぞれには、三次元像を表示する基準となる基準表示位置が設定されている。表示制御部365は、領域R1の基準表示位置と、三次元SEM像に仮想的に対応付けられた第1三次元局所座標系の原点とを一致させる。当該基準表示位置は、例えば、領域R1の中心の位置である。なお、当該基準表示位置は、これに代えて、領域R1内の他の位置であってもよい。また、表示制御部365は、領域R2の基準表示位置と、三次元BSE像に仮想的に対応付けられた第1三次元局所座標系の原点とを一致させる。当該基準表示位置は、例えば、領域R2の中心の位置である。なお、当該基準表示位置は、これに代えて、領域R2内の他の位置であってもよい。また、表示制御部365は、領域R3の基準表示位置と、三次元EDSマップに仮想的に対応付けられた第1三次元局所座標系の原点とを一致させる。当該基準表示位置は、例えば、領域R3の中心の位置である。なお、当該基準表示位置は、これに代えて、領域R3内の他の位置であってもよい。
【0105】
また、表示制御部365は、領域R1に三次元SEM像を最初に表示させる際、三次元SEM像の姿勢を基準となる基準姿勢と一致させる。また、表示制御部365は、領域R2に三次元BSE像を最初に表示させる際、三次元BSE像の姿勢を当該基準姿勢と一致させる。また、表示制御部365は、領域R3に三次元EDSマップを最初に表示させる際、三次元EDSマップの姿勢を当該基準姿勢と一致させる。すなわち、表示制御部365は、画面SC1に三次元SEM像、三次元BSE像、三次元EDSマップのそれぞれを最初に表示させる際、三次元SEM像、三次元BSE像、三次元EDSマップのそれぞれの姿勢を互いに同じ基準姿勢と一致させて表示させる。これにより、表示制御部365は、互いに異なる観察条件に基づいて取得された断面像情報のそれぞれが表す断面の断面像同士を、三次元像表示画面において仮想的に同じ方向から比べさせることができる。
【0106】
ステップS240の処理が行われた後、表示制御部365は、ユーザーから操作を受け付けるまで待機する(ステップS250)。表示装置35は、ユーザーから操作を受け付けた場合(ステップS250−YES)、受け付けた操作が三次元像の表示を終了させる操作であったか否かを判定する(ステップS260)。受け付けた操作が三次元像の表示を終了させる操作であると判定した場合(ステップS260−YES)、表示制御部365は、処理を終了する。一方、受け付けた操作が三次元像の表示を終了させる操作ではないと判定した場合(ステップS260−NO)、表示制御部365は、当該操作に応じた表示処理を行い(ステップS270)、その後、ステップS250に遷移し、再びユーザーから操作を受け付けるまで待機する。
【0107】
ここで、ステップS270の処理の具体例について説明する。表示制御部365は、ステップS250において、画面SC1を介してユーザーから画面SC1に表示された三次元像の姿勢を変化させる操作を受け付けた場合、領域R1内に表示された三次元SEM像、領域R2内に表示された三次元BSE像、領域R3内に表示された三次元EDSマップのそれぞれの姿勢を、当該操作に応じた姿勢に変化させる。
【0108】
例えば、表示制御部365は、画面SC1を介してユーザーから画面SC1に表示された三次元像の姿勢を変化させる操作を受け付けた場合、領域R1内に表示された三次元SEM像、領域R2内に表示された三次元BSE像、領域R3内に表示された三次元EDSマップのそれぞれの姿勢を、当該操作に応じた回転軸周りに当該操作に応じた回転量だけ回転させることにより、当該姿勢を当該操作に応じた姿勢に変化させる。当該操作は、例えば、
図7に示したように、画面SC1における第1位置CP1から第1位置CP1と異なる第2位置CP2まで、マウスが備える1以上のボタンのうちの所定のボタンを押下した状態を保ったままマウスカーソルを移動させる操作である。マウスカーソルは、表示装置35が備えた表示部上の位置のうちマウスが指し示す位置を表す画像であって当該表示部に表示された画像である。なお、回転操作は、表示装置35の表示部がタッチパネルであった場合、指、スタイラスペン等によるスワイプ操作等のタッチ操作であってもよい。
【0109】
図7は、画面SC1における回転操作を説明するための図である。例えば、
図7に示したように、画面SC1における第1位置CP1から第1位置CP1と異なる第2位置CP2まで、マウスが備えるボタンを押下した状態を保ったままマウスカーソルを矢印A1に沿って移動させた場合、表示制御部365は、ステップS260又はステップS270においてユーザーから画面SC1に表示された三次元像の姿勢を変化させる操作を受け付けたと判定する。当該操作に応じた回転軸と、当該回転操作に応じた回転量を算出する方法は、既知の方法であってもよく、これから開発される方法であってもよい。
図8は、
図6及び
図7に示した三次元SEM像、三次元BSE像、三次元EDSマップのそれぞれを、ユーザーから受け付けた当該操作に応じた回転軸周りに当該回転操作に応じた回転量だけ表示制御部365が回転させた状態の一例を示す図である。
図8に示したように、領域R1内に表示された三次元SEM像、領域R2内に表示された三次元BSE像、領域R3内に表示された三次元EDSマップのそれぞれの姿勢は、当該操作に応じた姿勢に変化している。これにより、表示制御部365は、領域R1内に表示された三次元SEM像、領域R2内に表示された三次元BSE像、領域R3内に表示された三次元EDSマップのそれぞれの姿勢をユーザーから受け付けた当該操作に応じて変化させた場合であっても、当該姿勢を互いに同じ姿勢にすることができる。
【0110】
また、表示制御部365は、ステップS250において、ユーザーから試料Sの断面の高さ(当該断面を示す断面情報の一例)を選択する操作を受け付けた場合、現在の三次元像表示画面に表示されている三次元像を、受け付けた高さが示す断面において切断した切断面を有する三次元像に変更する断面変更処理を行う。ここで、ある三次元像Z1が現在の三次元像表示画面において表示されている場合を例に挙げて、断面変更処理について説明する。表示制御部365は、当該場合、三次元像Z1における複数の断面像のうち当該断面を表す断面像を対象断面像として特定する。三次元像Z1における複数の断面像は、三次元像Z1として重ね合わせた複数の断面像のことである。表示制御部365は、三次元像Z1における複数の断面像のうち所定条件を満たす複数の断面像を特定する。所定条件を満たす複数の断面像とは、表示制御部365が特定した対象断面像に対応付けられた高さ以上であり、一番下の断面像に対応付けられた高さ以下の高さが対応付けられた断面像のことである。表示制御部365は、特定した所定条件を満たす複数の断面像に基づいて新たな三次元像Z2を生成する。一番下の断面像とは、この一例において、複数の断面像のうち最も高い高さが対応付けられた断面像のことである。三次元像Z2は、三次元像Z1を対象断面像が表す断面、すなわちユーザーから受け付けた高さが示す断面において切断した切断面を有する三次元像である。表示制御部365は、現在の三次元像表示画面に表示されている三次元像Z1を、生成した三次元像Z2に変更する。このようにして、表示制御部365は、当該高さに基づいて、当該現在の三次元像表示画面に表示されている三次元像を、当該高さが示す断面において当該三次元像を切断した切断面を有する三次元像に変更する断面変更処理を行う。
【0111】
例えば、
図6に示した領域R1内に表示されている三次元SEM像における複数のSEM像のうち一番上のSEM像は、SEM像S11である。一番上のSEM像とは、この一例において、当該三次元SEM像における複数のSEM像のうち最も低い高さが対応付けられたSEM像のことである。また、
図6に示した領域R2内に表示されている三次元BSE像における複数のBSE像のうち一番上のBSE像は、BSE像S21である。一番上のBSE像とは、この一例において、当該三次元BSE像における複数のBSE像のうち最も低い高さが対応付けられたBSE像のことである。また、
図6に示した領域R3内に表示されている三次元EDSマップにおける複数のEDSマップのうち一番上のEDSマップは、EDSマップS31である。一番上のEDSマップとは、この一例において、当該三次元EDSマップにおける複数のEDSマップのうち最も低い高さが対応付けられたBSE像のことである。
【0112】
図6に示した例において、表示制御部365は、断面の高さを示す情報をユーザーから受け付けた場合、受け付けた情報が示す高さに対応付けられたSEM像を対象SEM像として特定する。また、表示制御部365は、当該場合、当該高さに対応付けられたBSE像を対象BSE像として特定する。また、表示制御部365は、当該場合、当該高さに対応付けられたEDSマップを対象EDSマップとして特定する。以下では、一例として、対象SEM像がSEM像S12であり、対象BSE像がBSE像S22であり、対象EDSマップがEDSマップS32である場合について説明する。
【0113】
表示制御部365は、
図6に示した領域R1内に表示されている三次元SEM像における複数のSEM像のうち第1所定条件を満たす複数のSEM像を特定する。第1所定条件を満たす複数のSEM像とは、表示制御部365が対象SEM像として特定したSEM像S12に対応付けられた高さ以上であり、一番下のSEM像に対応付けられた高さ以下の高さが対応付けられたSEM像のことである。表示制御部365は、第1所定条件を満たす複数のSEM像に基づいて新たな三次元SEM像を生成する。また、表示制御部365は、
図6に示した領域R2に表示されている三次元BSE像における複数のBSE像のうち第2所定条件を満たす複数のBSE像を特定する。第2所定条件を満たす複数のBSE像とは、表示制御部365が対象BSE像として特定したBSE像S22に対応付けられた高さ以上であり、一番下のBSE像に対応付けられた高さ以下の高さが対応付けられたBSE像のことである。表示制御部365は、特定した第2所定条件を満たす複数のBSE像に基づいて新たな三次元BSE像を生成する。また、表示制御部365は、
図6に示した領域R3に表示されている三次元EDSマップにおける複数のEDSマップのうち第3所定条件を満たす複数のEDSマップを特定する。第3所定条件を満たす複数のEDSマップとは、表示制御部365が対象EDSマップとして特定したEDSマップS32に対応付けられた高さ以上であり、一番下のEDSマップに対応付けられた高さ以下の高さが対応付けられたEDSマップのことである。表示制御部365は、特定した第3所定条件を満たす複数のEDSマップに基づいて新たな三次元EDSマップを生成する。表示制御部365は、
図9に示したように、
図6に示した三次元SEM像を新たに生成した三次元SEM像に変更する。また、表示制御部365は、
図6に示した三次元BSE像を新たに生成した三次元BSE像に変更する。また、表示制御部365は、
図6に示した三次元EDSマップを新たに生成した三次元EDSマップに変更する。なお、
図9は、
図6に示した画面SC1において断面変更処理が行われた後の画面SC1の一例を示す図である。
【0114】
このようにして表示された新たな三次元SEM像、三次元BSE像、三次元EDSマップのそれぞれの一番上の断面像に対応付けられた高さは、互いに同じ高さである。すなわち、ユーザーは、三次元像表示画面において高さを示す情報を制御装置30に入力することにより、入力した高さに対応付けられた断面像を有する互いに異なる複数の三次元像を表示装置35に表示させることができる。これにより、断面観察装置1は、一番上の断面像が入力された高さに対応付けられた断面像である互いに異なる複数の三次元像を容易に比較させることができる。
【0115】
ここで、画面SC1には、ボタンBT1と、ボタンBT2とが更に含まれている。
【0116】
ボタンBT1は、画面SC1において表示されている三次元像の一番上の断面像に対応付けられた高さよりも1段階(1つ分のスライス幅)高い高さをユーザーが選択するボタンである。例えば、ボタンBT1が押下(クリック、タップ等)された場合、表示制御部365は、当該高さを受け付ける。そして、表示制御部365は、受け付けた当該高さに基づいて断面変更処理を行う。なお、表示制御部365は、画面SC1において表示されている三次元像の一番上の断面像に対応付けられた高さよりも1段階高い高さに対応付けられた断面像が存在しない場合、ボタンBT1が押下されても何もしない。
【0117】
ボタンBT2は、画面SC1において表示されている三次元像の一番上の断面像に対応付けられた高さよりも1段階低い高さをユーザーが選択するボタンである。例えば、ボタンBT2が押下(クリック、タップ等)された場合、表示制御部365は、当該高さを受け付ける。そして、表示制御部365は、受け付けた当該高さに基づいて断面変更処理を行う。なお、表示制御部365は、画面SC1において表示されている三次元像の一番上の断面像に対応付けられた高さよりも1段階低い高さに対応付けられた断面像が存在しない場合、ボタンBT2が押下されても何もしない。
【0118】
なお、画面SC1には、領域R1、領域R2、領域R3、ボタンBT1、ボタンBT2に加えて、他のGUI(Graphical User Interface)が含まれる構成であってもよい。また、画面SC1には、ボタンBT1とボタンBT2とのいずれか一方又は両方が含まれない構成であってもよく、ボタンBT1とボタンBT2とのいずれか一方又は両方に代えて、他のGUIが含まれる構成であってもよい。
【0119】
また、表示制御部365は、ステップS250において三次元像表示画面を介してユーザーから受け付けた操作に基づいて、ステップS270において、複数の三次元像それぞれの姿勢を互いに一致させるとともに、当該三次元像それぞれの位置を三次元像表示画面において一致させる構成であってもよい。この場合、表示制御部365は、三次元像表示画面において当該三次元像を重ねて表示させる。例えば、表示制御部365は、三次元SEM像と、三次元BSE像と、三次元EDSマップとのうち当該操作に応じた2以上の組み合わせを特定する。以下では、一例として、三次元SEM像と、三次元EDSマップとの組み合わせを表示制御部365が特定した場合について説明する。表示制御部365は、特定した三次元SEM像及び三次元EDSマップそれぞれの姿勢を互いに一致させる。そして、表示制御部365は、当該三次元SEM像及び当該三次元EDSマップそれぞれの位置を、三次元像表示画面において一致させる。これにより、表示制御部365は、当該三次元SEM像と、当該三次元EDSマップとを三次元像表示画面において重ねて表示させる。この際、表示制御部365は、ユーザーから受け付けた操作に応じて、三次元像表示画面において重ねて表示された当該三次元SEM像及び当該三次元EDSマップのいずれか一方又は両方の透明度、色相、明度、輝度等の少なくとも一部を変化させることができる。これにより、表示制御部365は、互いに異なる観察条件によって得られた複数の断面像を重ねた状態で比較させることができる。
【0120】
また、表示制御部365は、ステップS250において三次元像表示画面を介してユーザーから受け付けた操作に基づいて、三次元像表示画面に表示された三次元像を拡大又は縮小させる構成であってもよい。この場合、表示制御部365は、三次元像表示画面に表示された複数の三次元像のそれぞれを、互いに同じ拡大率によって拡大する、又は互いに同じ縮小率によって縮小する。
【0121】
また、表示制御部365は、ステップS250において三次元像表示画面を介してユーザーから受け付けた操作に基づいて、試料Sの形状及び大きさと同じ形状及び大きさの他の試料Kについて断面観察装置1が生成した三次元像(例えば、三次元SEM像)と、試料Sについて断面観察装置1が生成した三次元像(例えば、三次元SEM像)とを三次元像表示画面において重ねて表示させる構成であってもよい。この場合、断面観察装置1は、例えば、集束イオンビームB1によるエッチングにより、試料Sの断面と、試料Kの断面とのそれぞれに所定の目印を形成する。この目印に基づいて、表示制御部365は、パターンマッチング、座標変換等の方法によってこれら2つの三次元像の位置及び姿勢を三次元像表示画面において互いに一致させて表示させる。また、当該場合、表示制御部365は、これら2つの三次元像それぞれのエッジを検出し、検出したエッジに基づいてこれら2つの三次元像の位置及び姿勢を三次元像表示画面において互いに一致させて表示させる。これにより、断面観察装置1は、互いに異なる試料について得られた三次元像同士を容易に比較させることができる。
【0122】
<実施形態の変形例>
以下、
図10を参照し、実施形態の変形例について説明する。実施形態の変形例では、制御装置30は、断面観察装置1が3つの観察条件のそれぞれに応じた断面像情報取得処理によって試料Sの断面毎の断面像情報を取得する処理において、SEM像観察条件に応じたSEM像情報取得処理と、BSE像観察情報に応じたBSE像情報取得処理と、EDSマップ観察条件に応じたEDSマップ情報取得処理とを順番に行う。
【0123】
図10は、断面観察装置1が3つの観察条件のそれぞれに応じた断面像情報取得処理によって試料Sの断面の断面像情報を取得する処理の流れの他の例を示すフローチャートである。なお、
図4に示したステップS110の処理と、ステップS120の処理と、ステップS140の処理とのそれぞれは、
図10に示したステップS110の処理と、ステップS120の処理と、ステップS140の処理とのそれぞれと同じ処理であるため説明を省略する。
【0124】
図10に示したステップS120の処理が行われた後、断面観察装置1は、3つの観察条件毎に、ステップS320の処理を繰り返し行う(ステップS310)。ここで、1回目のステップS310において、断面観察装置1は、3つの観察条件の中からSEM像観察条件を選択する。当該1回目のステップS310は、
図10に示したステップS120〜ステップS140の処理が実行される毎の1回目のステップS310の処理である。
【0125】
ステップS310において3つの観察条件のうちの1つの観察条件が選択された後、断面観察装置1は、選択された観察条件に応じた断面像情報取得処理を行い、断面像情報を取得する(ステップS320)。
【0126】
このように、断面観察装置1は、断面観察装置1が3つの観察条件のそれぞれに応じた断面像情報取得処理によって試料Sの断面の断面像情報を取得する処理において、SEM像観察条件に応じたSEM像情報取得処理と、BSE像観察条件に応じたBSE像情報取得処理と、EDSマップ観察条件に応じたEDSマップ情報取得処理とを順番に行った場合であっても、電子ビームB2により照射する第1照射位置を、1つの三次元座標系である第1三次元局所座標系において指定するため、上記において説明した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0127】
以上説明したように、上記の実施形態に係る断面観察装置1は、物体(この一例において、試料S)に荷電粒子ビーム(この一例において、集束イオンビームB1、電子ビームB2)を照射して物体の断面を繰り返し露出させるとともに、露出させた複数の当該断面のうちの少なくとも一部の当該断面に荷電粒子ビームを照射して当該少なくとも一部の当該断面のそれぞれを表す断面像情報を取得し、取得した当該断面像情報のそれぞれが表す当該断面の断面像を生成し、生成した断面像のそれぞれを重ね合わせた三次元像を生成する断面観察装置であって、互いに異なる複数の観察条件のうちの第1の条件(この一例において、SEM像観察条件、BSE像観察条件、EDSマップ観察条件のいずれか)に基づいて取得した断面像情報(この一例において、SEM像情報、BSE像、EDSマップ情報のいずれか)のそれぞれが表す当該断面の断面像である第1断面像(この一例において、SEM像、BSE像、EDSマップのいずれか)を重ね合わせた三次元像である第1三次元像(この一例において、三次元SEM像、三次元BSE像、三次元EDSマップのいずれか)とともに、当該観察条件のうちの第1の条件と異なる第2の条件(この一例において、SEM像観察条件、BSE像観察条件、EDSマップ観察条件のいずれかのうち第1の方法と異なる方法)に基づいて取得した断面像情報(この一例において、SEM像情報、BSE像情報、EDSマップ情報のいずれかであって第1の方法に基づいて取得した断面像情報と異なる断面像情報)のそれぞれが表す当該断面の断面像である第2断面像(この一例において、SEM像、BSE像、EDSマップのいずれかであって第1断面像と異なる断面像)を重ね合わせた三次元像である第2三次元像(この一例において、三次元SEM像、三次元BSE像、三次元EDSマップのいずれかであって第1三次元像と異なる三次元像)を表示部(この一例において、表示装置35が備える表示部)に表示する。
【0128】
また、断面観察装置1は、第1三次元像の姿勢と第2三次元像の姿勢とを一致させて第1三次元像とともに第2三次元像を表示部に表示させる。これにより、断面観察装置1は、互いに異なる観察条件によって得られた断面像同士を、三次元像表示画面において仮想的に同じ方向から比べさせることができる。
【0129】
また、断面観察装置1は、ユーザーから受け付けた操作に応じて、表示部において第1三次元像と第2三次元像とを重ねずに、第1三次元像とともに第2三次元像を表示部に表示させる。これにより、表示部において重ねられていない互いに異なる2つの三次元像を容易に比べさせることができる。
【0130】
また、断面観察装置1は、ユーザーから受け付けた操作に応じて、表示部において第1三次元像の位置及び姿勢と第2三次元像の位置及び姿勢とを重ねて、第1三次元像とともに第2三次元像を表示部に表示させる。これにより、断面観察装置1は、互いに異なる観察条件によって得られた複数の三次元像を重ねた状態で比較させることができる。
【0131】
また、断面観察装置1は、第1三次元像として重ねられた第1断面像のうちの1つの第1断面像が表す断面であって物体の断面を示す情報(この一例において、断面に対応付けられた高さ)をユーザーから受け付けた場合、受け付けた当該情報が示す当該断面を表す第1断面像とともに、第2三次元像として重ねられた第2断面像のうち当該断面を表す第2断面像を表示部に表示させる。これにより、断面観察装置1は、互いに異なる観察条件によって得られた複数の断面像のうちユーザーが所望する断面像をユーザーに容易に比較させることができる。
【0132】
また、断面観察装置1は、表示部に表示された三次元像の姿勢を変化させる操作を受け付けた場合、第1三次元像の姿勢と第2三次元像の姿勢との両方を当該操作に応じた姿勢に変化させる。これにより、断面観察装置1は、互いに異なる観察条件によって得られた複数の断面像のそれぞれを、仮想的に所望の方向からユーザーに容易に比較させることができる。
【0133】
また、断面観察装置1は、第1の条件に基づいて取得した断面像情報のそれぞれが表す断面であって物体の断面の第1断面像を重ね合わせて第1三次元像を生成する第1処理(この一例において、ステップS220〜ステップS240において三次元SEM像、三次元BSE像、三次元EDSマップのいずれかを生成する処理)と、第2の条件に基づいて取得した断面像情報のそれぞれが表す当該断面の第2断面像を重ね合わせて第2三次元像を生成する第2処理(この一例において、ステップS220〜ステップS240において三次元SEM像、三次元BSE像、三次元EDSマップのいずれかを生成する処理であって第1処理と異なる処理)とを並列に行う。これにより、断面観察装置1は、互いに異なる観察条件のそれぞれに応じた断面像情報の取得に要する時間を短縮することができる。
【0134】
また、断面観察装置1は、第1の条件に基づいて取得した断面像情報と、第2の条件に基づいて取得した断面像情報とを対応付けた情報(この一例において、断面情報毎に分類されて互いに対応付けられたSEM像情報テーブル、BSE像情報テーブル、EDSマップ情報テーブル)を記憶部(この一例において、記憶部32)に記憶し、記憶部から当該情報を取得し、取得した当該情報に基づいて第1処理と第2処理とを行う。
【0135】
また、断面観察装置1は、第1三次元像における各点と、第2三次元像における各点とは、同一の三次元座標系(この一例において、第1三次元局所座標系)における位置を表す。これにより、断面観察装置1は、同一の三次元座標系によって表された三次元位置に基づいて、物体について互いに異なる方法によって得られた断面像同士の比較を容易に行わせることができる。
【0136】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない限り、変更、置換、削除等されてもよい。
【0137】
また、以上に説明した装置(例えば、制御装置30)における任意の構成部の機能を実現するためのプログラムを、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録し、そのプログラムをコンピューターシステムに読み込ませて実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピューターシステム」とは、OS(Operating System)や周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD(Compact Disk)−ROM等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバーやクライアントとなるコンピューターシステム内部の揮発性メモリー(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0138】
また、上記のプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピューターシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピューターシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上記のプログラムは、前述した機能をコンピューターシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。