特許第6872921号(P6872921)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6872921
(24)【登録日】2021年4月22日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】窒素含有廃水の処理装置及び処理方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 3/34 20060101AFI20210510BHJP
   C02F 3/28 20060101ALI20210510BHJP
   C02F 3/10 20060101ALI20210510BHJP
   C02F 3/00 20060101ALI20210510BHJP
   C12N 1/00 20060101ALN20210510BHJP
【FI】
   C02F3/34 101B
   C02F3/34 101A
   C02F3/34 101D
   C02F3/28 B
   C02F3/10 Z
   C02F3/00 G
   !C12N1/00 R
【請求項の数】8
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-22193(P2017-22193)
(22)【出願日】2017年2月9日
(65)【公開番号】特開2018-126694(P2018-126694A)
(43)【公開日】2018年8月16日
【審査請求日】2020年1月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】501061319
【氏名又は名称】学校法人 東洋大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100206999
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 綾夏
(74)【代理人】
【識別番号】100192773
【弁理士】
【氏名又は名称】土屋 亮
(72)【発明者】
【氏名】角野 立夫
(72)【発明者】
【氏名】菅野 匠
(72)【発明者】
【氏名】柳原 友
【審査官】 宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−346593(JP,A)
【文献】 特開2014−036959(JP,A)
【文献】 特開2001−300583(JP,A)
【文献】 特開平10−136980(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第104910481(CN,A)
【文献】 特開2016−174981(JP,A)
【文献】 特開2010−142781(JP,A)
【文献】 特開2012−250159(JP,A)
【文献】 特開2004−283758(JP,A)
【文献】 特開2013−081945(JP,A)
【文献】 特開2017−000987(JP,A)
【文献】 特開2011−251255(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/035885(WO,A1)
【文献】 特開2016−131928(JP,A)
【文献】 特開2008−272610(JP,A)
【文献】 特開2009−285640(JP,A)
【文献】 特開2015−131253(JP,A)
【文献】 特開2004−230225(JP,A)
【文献】 特開2004−097974(JP,A)
【文献】 特表2003−513132(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第105585110(CN,A)
【文献】 水口弘幸,担体投入型高度処理プロセス「アクアナイト」,R&D神戸製鋼技報,2001年12月,V0l.51、No.3,p90
【文献】 陳昌淑、田中康男,硫黄充填反応槽を用いた嫌気性処理後の畜舎汚水の窒素除去と脱色,日本水処理生物学会誌,2001年,第37巻第3号,p93−98
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 3/28
C02F 3/30
C02F 3/34
C02F 3/02− 3/10
C12N 11/02
C12N 11/08
C12N 1/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一反応槽内において、
前記反応槽の下部に、独立栄養性アンモニア酸化細菌群の培養部と、
前記反応槽の上部に、前記培養部から供給された前記独立栄養性アンモニア酸化細菌群と窒素含有廃水とを含む廃水処理部と、
を備え、
前記培養部において、前記独立栄養性アンモニア酸化細菌群が担体に付着固定化されており、
前記担体がポリエチレングリコールを主成分とし、イソシアネート化合物として少なくとも一種類以上のポリイソシアネート、マクロポリオールとして前記ポリエチレングリコール、及び鎖長剤として短鎖ポリオールの反応物からなる熱可塑性ポリウレタン樹脂からなることを特徴とする窒素含有廃水の処理装置。
【請求項2】
前記担体の乾燥比重が1.10g/cm以上1.30g/cm以下であり、水との表面接触角が40度以上72度以下である請求項1に記載の窒素含有廃水の処理装置。
【請求項3】
前記廃水処理部は、前記独立栄養性アンモニア酸化細菌群のグラニュールを含み、
前記廃水処理部は、前記グラニュールと前記廃水処理部で処理された処理水とを分離する分離装置を有する請求項1又は2に記載の窒素含有廃水の処理装置。
【請求項4】
さらに、前記反応槽は、前記廃水処理部の下部であって前記培養部よりも上部に、曝気装置を備え、
前記廃水処理部における廃水中の溶存酸素濃度が0.5mg/L以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載の窒素含有廃水の処理装置。
【請求項5】
独立栄養性アンモニア酸化細菌群を培養する培養工程と、
前記培養工程で得られる前記独立栄養性アンモニア酸化細菌群と窒素含有廃水とを接触させ、窒素を処理する廃水処理工程と、を備え、
前記培養工程と前記廃水処理工程とが同一反応槽内で実施され、前記培養工程を前記反応槽の下部で実施し、前記廃水処理工程を前記反応槽の上部で実施し、
前記培養工程において、ポリエチレングリコールを主成分とし、イソシアネート化合物として少なくとも一種類以上のポリイソシアネート、マクロポリオールとして前記ポリエチレングリコール、及び鎖長剤として短鎖ポリオールの反応物からなる熱可塑性ポリウレタン樹脂からなる担体を添加することを特徴とする窒素含有廃水の処理方法。
【請求項6】
前記担体の乾燥比重が1.10g/cm以上1.30g/cm以下であり、水との表面接触角が40度以上72度以下である請求項5に記載の窒素含有廃水の処理方法。
【請求項7】
前記廃水処理工程において、前記独立栄養性アンモニア酸化細菌群がグラニュールを形成しており、
さらに、前記廃水処理工程の後に、前記グラニュールと前記廃水処理工程で処理された処理水とを分離する分離工程を備える請求項5又は6に記載の窒素含有廃水の処理方法。
【請求項8】
前記廃水処理工程において、廃水中の溶存酸素濃度が0.5mg/L以下となるように曝気する請求項5〜7のいずれか一項に記載の窒素含有廃水の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒素含有廃水の処理装置及び処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、アンモニア性窒素を含有する廃水に対する窒素除去のため、微生物、特に硝化細菌群及び脱窒細菌群を利用した脱窒素反応の技術が用いられてきた。これらの微生物を利用した脱窒素反応では、硝化工程における多量の曝気、メタノール等の多量の有機物添加、及び発生する余剰の活性汚泥の処理等を伴い、ランニングコストの増加が問題となっていた。
【0003】
このような技術的問題を解決する新たな生物学的窒素除去技術として、独立栄養性アンモニア酸化細菌群(以下、「アナモックス細菌群」と称する場合がある。)による微生物処理が用いられている(例えば、特許文献1参照。)。独立栄養性アンモニア酸化細菌群(アナモックス細菌群)とは、嫌気性条件下においてアンモニア性窒素と亜硝酸性窒素との反応から窒素ガスを発生させる、いわゆる嫌気性アンモニア酸化反応と呼ばれる生物代謝が可能な脱窒微生物群である。これらの菌を用いた窒素除去を行うことで、曝気量、メタノール等の有機物添加量、及び余剰汚泥量を大幅に削減できる。
【0004】
また、アナモックス細菌群はグラニュールと呼ばれる自己造粒物を形成することが知られている。このグラニュールを利用した処理方法が提案されているが、アナモックス細菌群は他の菌と比較して増殖速度が非常に遅いことから、連続系リアクターではグラニュールが生成する前に菌体が流出してしまい、廃水処理装置の立ち上げに長時間を要することが問題となっている。
【0005】
菌体の流出を防ぐための手段として、独立栄養性アンモニア酸化細菌のグラニュールを効果的に生成させるため、例えば、活性炭、シリカ微粒子、生分解性プラスチック等を核剤として作用させる技術(例えば、特許文献2及び特許文献3参照。)が開発されている。
【0006】
また、菌体の流出を防ぐための別の手段として、担体上にバイオフィルムを形成させ、槽内での菌体の保持しやすくする方法が考えられる。一般的なBOD(Biochemical Oxygen Demand)酸化細菌や硝化細菌のバイオフィルム形成のために用いられている水処理担体としては、例えば、ポリウレタンフォーム、セルロース多孔体、ポリプロピレン、ビニルホルマール樹脂、セラミックス多孔体、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、アルギン酸ゲル等が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−285640号公報
【特許文献2】特開2004−283758号公報
【特許文献3】特開2004−230225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献3に記載された活性炭やシリカ等の無機微粒子は、難分解性スラッジとなり、かえって水質の悪化、堆積によるストレーナーの閉塞を誘発する原因となる。また、特許文献2に記載された生分解性の有機物は、排水中の有機物濃度の増加と、それらを捕食する菌体由来の余剰汚泥の増加に繋がる。
【0009】
また、一般的な窒素処理に用いられる硝化細菌、脱窒細菌等は粘着性が高いため、上述の材質からなる担体によく付着し、培養させることができる。一方で、アナモックス細菌群はこれら一般的な菌とは異なる付着性を有し、且つ増殖速度も非常に遅いため、効果的にアナモックス細菌群を付着できる担体は未だ見出されていなかった。
さらに、アナモックス細菌群が担体上に付着できた場合に、担体上に付着した状態のアナモックス細菌群のバイオフィルムは、排水処理に伴う窒素ガス、炭酸ガスの放出により気泡を抱含して浮上し、流出及びストレーナーの詰まり等の問題が生じることが予測されていた。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、アナモックス細菌群が付着固定化された担体が保持され、アナモックス細菌群のグラニュールが効果的に形成され、短期間で立ち上げられ、且つ高速で処理可能な窒素含有廃水の処理装置及び処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の性質を有する担体を用いることで、アナモックス細菌群を付着固定化させることができ、さらに反応槽の下部にアナモックス細菌群が付着固定化された担体を保持しながら、反応槽の上部で効率的に窒素含有廃水を処理できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
[1]同一反応槽内において、前記反応槽の下部に、独立栄養性アンモニア酸化細菌群の培養部と、前記反応槽の上部に、前記培養部から供給された前記独立栄養性アンモニア酸化細菌群と窒素含有廃水とを含む廃水処理部と、を備え、前記培養部において、前記独立栄養性アンモニア酸化細菌群が担体に付着固定化されており、前記担体がポリエチレングリコールを主成分とし、イソシアネート化合物として少なくとも一種類以上のポリイソシアネート、マクロポリオールとして前記ポリエチレングリコール、及び鎖長剤として短鎖ポリオールの反応物からなる熱可塑性ポリウレタン樹脂からなることを特徴とする窒素含有廃水の処理装置。
[2]前記担体の乾燥比重が1.10g/cm以上1.30g/cm以下であり、水との表面接触角が40度以上72度以下である[1]に記載の窒素含有廃水の処理装置。
[3]前記廃水処理部は、前記独立栄養性アンモニア酸化細菌群のグラニュールを含み、前記廃水処理部は、前記グラニュールと前記廃水処理部で処理された処理水とを分離する分離装置を有する[1]又は[2]に記載の窒素含有廃水の処理装置。
[4]さらに、前記反応槽は、前記廃水処理部の下部であって前記培養部よりも上部に、曝気装置を備え、前記廃水処理部における廃水中の溶存酸素濃度が0.5mg/L以下である[1]〜[3]のいずれか一つに記載の窒素含有廃水の処理装置。
[5]独立栄養性アンモニア酸化細菌群を培養する培養工程と、前記培養工程で得られる前記独立栄養性アンモニア酸化細菌群と窒素含有廃水とを接触させ、窒素を処理する廃水処理工程と、を備え、前記培養工程と前記廃水処理工程とが同一反応槽内で実施され、前記培養工程を前記反応槽の下部で実施し、前記廃水処理工程を前記反応槽の上部で実施し、前記培養工程において、ポリエチレングリコールを主成分とし、イソシアネート化合物として少なくとも一種類以上のポリイソシアネート、マクロポリオールとして前記ポリエチレングリコール、及び鎖長剤として短鎖ポリオールの反応物からなる熱可塑性ポリウレタン樹脂からなる担体を添加することを特徴とする窒素含有廃水の処理方法。
[6]前記担体の乾燥比重が1.10g/cm以上1.30g/cm以下であり、水との表面接触角が40度以上72度以下である[5]に記載の窒素含有廃水の処理方法。
[7]前記廃水処理工程において、前記独立栄養性アンモニア酸化細菌群がグラニュールを形成しており、さらに、前記廃水処理工程の後に、前記グラニュールと前記廃水処理工程で処理された処理水とを分離する分離工程を備える[5]又は[6]に記載の窒素含有廃水の処理方法。
[8]前記廃水処理工程において、廃水中の溶存酸素濃度が0.5mg/L以下となるように曝気する[5]〜[7]のいずれか一つに記載の窒素含有廃水の処理方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、アナモックス細菌群が付着固定化された担体が保持され、アナモックス細菌群のグラニュールが効果的に形成され、短期間で立ち上げられ、且つ高速で処理可能な窒素含有廃水の処理装置及び処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る第一実施形態の窒素含有廃水の処理装置を示す概略構成図である。
図2】本発明に係る第二実施形態の窒素含有廃水の処理装置を示す概略構成図である。
図3】本発明に係る第三実施形態の窒素含有廃水の処理装置を示す概略構成図である。
図4】本発明における独立栄養性アンモニア酸化細菌群を付着固定させる担体の乾燥比重と独立栄養性アンモニア酸化細菌群の活性との関係を示すグラフである。
図5】本発明における独立栄養性アンモニア酸化細菌群を付着固定させる担体の水との表面接触度と独立栄養性アンモニア酸化細菌群の活性との関係を示すグラフである。
図6】実施例1における各運転条件での脱窒速度の経日変化を示すグラフである。
図7】実施例2における脱窒速度の経日変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
≪窒素含有廃水の処理装置≫
<第一実施形態>
一実施形態において、本発明は、同一反応槽内において、前記反応槽の下部に、独立栄養性アンモニア酸化細菌群の培養部と、前記反応槽の上部に、前記培養部から供給された前記独立栄養性アンモニア酸化細菌群と窒素含有廃水とを含む廃水処理部と、を備え、前記培養部において、前記独立栄養性アンモニア酸化細菌群が担体に付着固定化されており、前記担体がポリエチレングリコールを主成分とする熱可塑性ポリウレタン樹脂からなる窒素含有廃水の処理装置を提供する。
【0016】
本実施形態の処理装置によれば、アナモックス細菌群が付着固定化された担体が保持され、アナモックス細菌群のグラニュールが効果的に形成され、さらに、短期間で廃水処理装置を立ち上げることができる。また、高速で窒素含有廃水を処理することができる。
【0017】
なお、本明細書において、「独立栄養性アンモニア酸化細菌群」(以下、「アナモックス細菌群」と称する場合がある。)とは、嫌気性条件下においてアンモニア性窒素と亜硝酸性窒素との反応から窒素ガスを発生させる、いわゆる嫌気性アンモニア酸化反応と呼ばれる生物代謝が可能な脱窒微生物群を意味する。アナモックス細菌群を用いることで、従来の廃水処理方法と比較して、曝気量、メタノール等の有機物添加量、及び余剰汚泥量を大幅に削減できる。
アナモックス細菌群として具体的には、例えば、Candidatus Brocadia、Candidatus Kuenenia、Candidatus Jettenia、Candidatus Anammoxoglobus、Candidatus Scalindua等が挙げられ、これらに限定されない。
【0018】
本明細書における「窒素含有廃水」は、窒素、主に、アンモニア性窒素及び亜硝酸性窒素を含有する廃水を意味する。また、後述するように、アナモックス細菌群及び硝化細菌を用いる場合においては、アンモニア性窒素のみを含有する廃水を処理することができる。
【0019】
図1は、本発明に係る第一実施形態の窒素含有廃水の処理装置を示す概略構成図である。
図1に示すように、本実施形態の処理装置10は、同一反応槽(廃水処理槽)1内において、反応槽1の下部に、アナモックス細菌群の培養部4と、反応槽1の上部に、培養部4から供給されたアナモックス細菌群と窒素含有廃水とを含む廃水処理部5と、を備える。また、反応槽1は、撹拌翼8aを有する攪拌機8を備え、廃水流入部2及び処理水流出部3が配設されている。さらに、処理水流出部3の入口には分離装置9が配設されている。
【0020】
ここで、「反応槽の下部」とは、反応槽の高さ方向において、反応槽の底面から廃水の液面までの高さのうち、底面から1/5〜3/4程度の高さまでの容積を意味する。一方、「反応槽の上部」とは、反応槽の高さ方向において、反応槽の底面から廃水の液面までの高さのうち、廃水の液面から1/4〜4/5程度の高さまでの容積を意味する。
よって、本実施形態の処理装置10において、培養部4は、反応槽の高さ方向において、反応槽の底面から廃水の液面までの高さのうち、底面から1/5〜3/4程度の高さまでの容積を占めることが好ましく、一方、廃水処理部5は、反応槽の高さ方向において、反応槽の底面から廃水の液面までの高さのうち、廃水の液面から1/4〜4/5程度の高さまでの容積を占めることが好ましい。換言すると、反応槽1における培養部4と廃水処理部5との容積比が、1:3〜3:1であることが好ましい。
なお、処理装置の立ち上げ時には、培養部4においてアナモックス細菌群を増殖させることが急務であるため、廃水処理部5を有さず、培養部4のみからなっていてもよい。
以下に、本実施形態の処理装置10の構成部位について詳細に説明する。
【0021】
[反応槽]
反応槽1は、培養部4及び廃水処理部5を備え、アナモックス細菌群の培養と、窒素含有廃水の処理とを並行して行うための槽である。
反応槽1に含まれる廃水の温度は、アナモックス細菌群の増殖及び廃水の処理が可能な温度であればよく、具体的には、例えば5℃以上45℃以下であればよく、例えば10℃以上40℃以下であればよい。
反応槽1は温度を上記範囲内に保つために、反応槽1の内側又は外側に温度計、及び反応槽1の外側に温水循環式のジャケット等の温度調整装置を備えていてもよい。
また、反応槽1に含まれる廃水のpHは、アナモックス細菌群が増殖でき、効率的に廃水を処理できるpHであればよく、具体的には、例えば、pH6.0以上pH8.5以下であればよく、例えばpH6.5以上pH8.0以下であればよく、例えばpH6.5以上pH7.6以下であればよい。
反応槽1はpHを上記範囲内に保つために、反応槽1の内側又は外側にpH測定器を備えていてもよい。また、反応槽1は、反応槽1の外側に、弁を有する配管によって反応槽1に配設されており、必要に応じて通液可能な酸又はアルカリ保存槽を備えていてもよい。
【0022】
[培養部]
培養部4は、アナモックス細菌群を培養し、グラニュールを形成させるため部位である。培養部4において、アナモックス細菌群は、担体に付着固定化されている。
培養部4において培養されるアナモックス細菌群としては、上記例示されたものと同様のものが挙げられる。アナモックス細菌群は、嫌気性であるため、低酸素(具体的には、0.5mg/L以下程度)環境下において増殖する。
本実施形態の処理装置10においては、アナモックス細菌群は担体に付着固定化している。この付着固定化されたアナモックス細菌群のバイオフィルムが撹拌によりせん断力を受け徐々に剥離するため、従来よりも早い速度で増殖させ、グラニュールを形成させることができる。
なお、本明細書において、「グラニュール」とは、微生物の自己造粒物を意味する。
【0023】
(担体)
◎形状及び性質
培養部4において用いられる担体の形としては、例えば、球、半球、円柱、円錐、角柱、角錐、七面体以上の多面体等が挙げられ、これらに限定されない。
また、担体の大きさ(容積)としては、アナモックス細菌群を効率的に付着固定化することができ、反応槽1に投入可能な大きさ(容積)であればよく、例えば、0.001cm以上8cm以下であればよく、例えば、0.008cm以上1cm以下であればよい。
【0024】
また、図4は、本発明における担体の乾燥比重とアナモックス細菌群の活性(以下、「アナモックス活性」と称する場合がある。)との関係を示すグラフである。
なお、本明細書において、「アナモックス細菌群の活性(アナモックス活性)」とは、アナモックス細菌群による、1m及び1日あたりの窒素の分解量(kg−N/m・d)を意味する。アナモックス活性は、1kg−N/m・d以上であることが好ましい。
図4から、担体の乾燥比重は、培養部4からアナモックス細菌群の菌体の流出が妨げられ、充分なアナモックス活性が発揮できることから、1.10g/cm以上1.30g/cm以下であることが好ましく、1.15g/cm以上1.25g/cm以下であることがより好ましく、1.18g/cm以上1.22g/cm以上以下であることがさらに好ましい。
担体の乾燥比重が上記下限値以上であることにより、担体が反応槽の下部、すなわち培養部で流動し、担体に付着していないアナモックス細菌群の菌体がバイオフィルムを形成する前に流出することを防ぐことができる。また、担体の乾燥比重が上記上限値以下であるにより、担体が適度に流動し、担体同士の適度な衝突によるバイオフィルムの剥離を発生させることができる。
なお、担体の乾燥比重の測定は、例えば、JIS K 7311:1995法に従い、測定すればよい。
【0025】
また、図5は、本発明における担体の水との表面接触度とアナモックス活性との関係を示すグラフである。
図5から、担体の水との表面接触角は、担体表面が適度な親水性を有することが好ましく、充分なアナモックス活性が発揮できることから、40度以上72度以下であることが好ましく、40度以上70度以下であることがより好ましく、40度以上65度以下であることがさらに好ましく、45度以上65度以下であることが特に好ましい。
なお、ここでいう「水との表面接触角」とは、表面接触角は着液から測定までの時間により変化することが知られていることから、担体が着液してから1分後の水との表面接触角を測定したものである。
また、担体の水との表面接触角の測定は、例えば、協和界面科学(株)製自動接触角計DMo−601を用いて、水による液滴接触法で測定すればよい。
【0026】
◎素材
また、担体の素材としては、ポリエチレングリコールを主成分とした熱可塑性ポリウレタン樹脂からなるものが好ましい。
上記素材が好ましい理由としては、以下のように考察される。
アナモックス細菌群の菌体の表面構造は、一般的な細菌とは大きく異なり親水性が高いことが知られている。このため、担体の表面構造は親水性であることが好ましいと考えらえる。しかしながら、例えば、ポリビニルアルコールゲル等のような超親水性表面ではその水素結合性の強さから、系中の水分子を強力に吸着してしまい、アナモックス細菌群の付着サイトが結合できない。一方、担体表面が疎水性の場合、親水性のアナモックス細菌群の菌体表面とは相性が悪く、付着することができない。
本実施形態において担体の素材として用いられるポリエチレングリコールを主成分とする熱可塑性ポリウレタン樹脂は適度な親水性を示し、且つウレタン結合の構造がタンパク質に類似していることから、初期の菌体付着性に優れる。一方で、アナモックス細菌群のバイオフィルムがある程度の大きさに成長すると、担体同士の衝突によって菌体が剥がれ落ち、これがグラニュールとなる。すなわち、一定の大きさに成長したアナモックス細菌群のバイオフィルムが脱離し、反応槽1の上部へ浮上することで、培養部4から廃水処理部5へアナモックス細菌群のバイオフィルム、すなわちアナモックス細菌群のグラニュールを供給することができる。
【0027】
担体の素材としてより具体的には、イソシアネート化合物として少なくとも一種類以上のポリイソシアネート、マクロポリオールとしてポリエチレングリコール、及び鎖長剤として短鎖ポリオールの反応物からなる熱可塑性ポリウレタン樹脂であることが好ましい。
【0028】
○イソシアネート化合物
熱可塑性ポリウレタン樹脂の製造に用いられるイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、硫黄原子含有ジイソシアネート、ポリイソチオシアネート化合物、並びにポリイソシアネート、及びそのアロファネート変性ポリイソシアネート、イソシアヌレート変性ポリイソシアネート、ウレトジオン変性ポリイソシアネート、ウレタン変性ポリイソシアネート、ビュレット変性ポリイソシアネート、ウレトイミン変性ポリイソシアネート、アシルウレア変性ポリイソシアネート等が挙げられ、これらに限定されない。これらのイソシアネート化合物は、単独で用いてもよく、2種以上併用して用いてもよい。
【0029】
・芳香族ジイソシアネート
芳香族ジイソシアネートの具体例としては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート/2,6−トリレンジイソシアネート混合物、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート/4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート混合物、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2−ニトロジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、2,2’−ジフェニルプロパン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ナフチレン−1,4−ジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシジフェニル−4,4’−ジイソシアネート等が挙げられ、これらに限定されない。
【0030】
・芳香脂肪族ジイソシアネート
芳香脂肪族ジイソシアネートの具体例としては、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、又はそれらの混合物;1,3−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン、1,4−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン、又はそれらの混合物;ω,ω’−ジイソシアナト−1,4−ジエチルベンゼン等が挙げられ、これらに限定されない。
【0031】
・脂肪族ジイソシアネート
脂肪族ジイソシアネートの具体例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、2−メチル−ペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチル−ペンタン−1,5−ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリオキシエチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、2,2’−ジメチルペンタンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ブテンジイソシアネート、1,3−ブタジエン−1,4−ジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、2,5,7−トリメチル−1,8−ジイソシアネート−5−イソシアネートメチルオクタン、ビス(イソシアネートエチル)カーボネート、ビス(イソシアネートエチル)エーテル、1,4−ブチレングリコールジプロピルエーテル−α,α’−ジイソシアネート、リジンジイソシアネートメチルエステル、2−イソシアネートエチル−2,6−ジイソシアネートヘキサノエート、2−イソシアネートプロピル−2,6−ジイソシアネートヘキサノエート等が挙げられ、これらに限定されない。
【0032】
・脂環族ジイソシアネート
脂環族ジイソシアネートの具体例としては、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルジメチルメタンジイソシアネート、2,2’−ジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ビス(4−イソシアネート−n−ブチリデン)ペンタエリスリトール、水素化された水添ダイマー酸ジイソシアネート、2−イソシアネートメチル−3−(3−イソシアネートプロピル)−5−イソシアネートメチル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプタン、2−イソシアネートメチル−3−(3−イソシアネートプロピル)−6−イソシアネートメチル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプタン、2−イソシアネートメチル−2−(3−イソシアネートプロピル)−5−イソシアネートメチル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプタン、2−イソシアネートメチル−2−(3−イソシアネートプロピル)−6−イソシアネートメチル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプタン、2−イソシアネートメチル−3−(3−イソシアネートプロピル)−5−(2−イソシアネートエチル)−ビシクロ−〔2.2.1〕−ヘプタン、2−イソシアネートメチル−3−(3−イソシアネートプロピル)−6−(2−イソシアネートエチル)−ビシクロ−〔2.2.1〕−ヘプタン、2−イソシアネートメチル−2−(3−イソシアネートプロピル)−5−(2−イソシアネートエチル)−ビシクロ−〔2.2.1〕−ヘプタン、2−イソシアネートメチル−2−(3−イソシアネートプロピル)−6−(2−イソシアネートエチル)−ビシクロ−〔2.2.1〕−ヘプタン、2,5−ビス(イソシアネートメチル)−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプタン、水素化された水添ジフェニルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水素化された水添トリレンジイソシアネート、水素化された水添キシレンジイソシアネート、水素化された水添テトラメチルキシレンジイソシアネート等が挙げられ、これらに限定されない。
【0033】
・硫黄原子含有ジイソシアネート
硫黄原子含有ジイソシアネートの具体例としては、チオジエチレンジイソシアネート、チオジプロピルジイソシアネート、チオジヘキシルジイソシアネート、ジメチルスルフォンジイソシアネート、ジチオジメチルジイソシアネート、ジチオジエチルジイソシアネート、ジチオジプロピルジイソシアネート、ジフェニルスルフィド−2,4’−ジイソシアネート、ジフェニルスルフィド−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジイソシアネートジベンジルチオエーテル、ビス(4−イソシアネートメチルフェニル)スルフィド、4,4’−メトキシフェニルチオエチレングリコール−3,3’−ジイソシアネート、ジフェニルジスルフィド−4,4’−ジイソシアネート、2,2’−ジメチルジフェニルジスルフィド−5,5’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルジスルフィド−5,5’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルジスルフィド−6,6’−ジイソシアネート、4,4’−ジメチルジフェニルジスルフィド−5,5’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシジフェニルジスルフィド−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジメトキシジフェニルジスルフィド−3,3’−ジイソシアネート、ジフェニルスルホン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアネート、ベンジディンスルホン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタンスルホン−4,4’−ジイソシアネート、4−メチルジフェニルスルホン−2,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジメトキシジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジイソシアネートベンジルジスルホン、4,4’−ジメチルジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアネート、4,4’−ジ−tert−ブチルジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアネート、4,4’−メトキシフェニルエチレンスルホン−3,3’−ジイソシアネート、4,4’−ジシクロジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアネート、4−メチル−3−イソシアネートフェニルスルホニル−4’−イソシアネートフェノールエステル、4−メトキシ−3−イソシアネートフェニルスルホニル−4’−イソシアネートフェノールエステル、4−メチル−3−イソシアネートフェニルスルホニルアニリド−3’−メチル−4’−イソシアネート、ジフェニルスルホニル−エチレンジアミン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−メトキシフェニルスルホニル−エチレンジアミン−3,3’−ジイソシアネート、4−メチル−3−イソシアナトフェニルスルホニルアニリド−4−メチル−3’−イソシアネート、チオフェン−2,5−ジイソシアネート、1,4−ジチアン−2,5−ジイソシアネート等が挙げられ、これらに限定されない。
【0034】
・ポリイソチオシアネート化合物
ポリイソチオシアネート化合物の具体例としては、1,2−ジイソチオシアネートエタン、1,3−ジイソチオシアネートプロパン、1,4−ジイソチオシアネートブタン、1,6−ジイソチオシアネートヘキサン、P−フェニレンジイソプロピリデンジイソチオシアネート、シクロヘキサンジイソチオシアネート、1,2−ジイソチオシアネートベンゼン、1,3−ジイソチオシアネートベンゼン、1,4−ジイソチオシアネートベンゼン、2,4−ジイソチオシアネートトルエン、2,5−ジイソチオシアネート−m−キシレン、4,4−ジイソチオシアネート−1,1’−ビフェニル、1,1’−メチレンビス(4−イソチオシアネートベンゼン)、1,1’−メチレンビス(4−イソチオシアネート−2−メチルベンゼン)、1,1’−メチレンビス(4−イソチオシアネート−3−メチルベンゼン)、1,1’−(1,2−エタンジイル)ビス(4−イソチオシアネートベンゼン)、4,4’−ジイソチオシアネートベンゾフェノン、4,4’−ジイソチオシアネート−3,3’−ジメチルベンゾフェノン、ベンズアニリド−3,4’−ジイソチオシアネート、ジフェニルエーテル−4,4’−ジイソチオシアネート、ジフェニルアミン−4,4’−ジイソシアネート、2,4,6−トリイソチオシアネート−3,5−トリアジン、ヘキサンジオイルジイソチオシアネート、ノナンジオイルジイソチオシアネート、カルボニックジイソチオシアネート、1,3−ベンゼンカルボニルジイソチオシアネート、1,4−ベンゼンカルボニルジイソチオシアネート、(2,2’−ビピリジン)−4,4’−ジカルボニルジイソチオシアネート、チオビス(3−イソチオシアネートプロパン)、チオビス(2−イソチオシアネートエタン)、ジチオビス(2−イソチオシアネートエタン)、1−イソチオシアネート−4−〔(2−イソシアネート)スルホニル〕ベンゼン、チオビス(4−イソチオシアネートベンゼン)、スルホニルビス(4−イソチオシアネートベンゼン)、スルフィニルビス(4−イソチオシアネートベンゼン)、ジチオビス(4−イソチオシアネートベンゼン)、4−イソチオシアネート−1−〔(4−イソシアネートフェニル)スルホニル〕−2−メトキシ−ベンゼン、4−メチル−3−イソチオシアネートベンゼンスルホニル−4’−イソシアネートフェニルエステル、4−メチル−3−イソチオシアネートベンゼンスルホニルアニリド−3’−メチル−4’−イソシアネート、チオフェノン−2,5−ジイソチオシアネート、1,4−ジチアン−2,5−ジイソチオシアネート、1−イソシアネート−3−イソチオシアネートプロパン、1−イソシアネート−5−イソチオシアネートペンタン、1−イソシアネート−6−イソチオシアネートヘキサン、イソチオシアネートカルボニルイソシアネート、1−イソシアネート−4−イソチオシアネートシクロヘキサン、1−イソシアネート−4−イソチオシアネートベンゼン、4−メチル−3−イソチオシアネート−1−イソチオシアネートベンゼン、2−イソシアネート−4,6−ジイソチオシアネート−1,3,5−トリアジン、4−イソチオシアネート−4’−イソチオシアネートジフェニルスルフィド、2−イソチオシアネート−2’−イソチオシアネートジエチルジスルフィド等が挙げられ、これらに限定されない。
【0035】
・ポリイソシアネート
ポリイソシアネートの具体例として、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加トリメチルキシリレンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサヘチレン−1,6−ジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサヘチレン−1, 6−ジイソシアネート等の脂肪族及び脂環族ジイソシアネート;4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート 、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート 、4 , 4′ − ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネート、トリレン−2,6−ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;オルトキシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、パラキシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の難黄変ジイソシアネート等が挙げられ、これらに限定されない。また、上記いずれかのポリイソシアネートのウレタン変性体、ウレア変性体、カルボジイミド変性体、ウレトンイミン変性体、ウレトジオン変性体、イソシアヌレート変性体、又はアロファネート変性体等も使用できる。
【0036】
中でも、イソシアネート化合物としては、機械物性や反応制御の観点から、芳香族ジイソシアネートであることが好ましく、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート又はヘキサメチレンジイソシアネートが特に好ましい。
【0037】
○マクロポリオール
熱可塑性ポリウレタン樹脂の製造に用いられるマクロポリオールとしては、ポリエチレングリコールであることが好ましい。分子量は、本発明の効果を奏すれば特に限定されないが、500以上16000以下であることが好ましく、1000以上8000以下であることがより好ましい。
【0038】
○鎖長剤
熱可塑性ポリウレタン樹脂の製造に用いられる鎖長剤としては、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ダイマー酸ジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド付加物、ビス(β−ヒドロキシエチル)ベンゼン、キシリレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられ、これらに限定されない。
【0039】
◎担体の製造方法
担体の製造方法としては、公知の方法を用いて熱可塑性ポリウレタン樹脂を製造し、さらに、所望の形状及び大きさに成形して製造すればよい。
具体的には、まず、イソシアネート化合物、マクロポリオール、及び鎖長剤を混合し、加熱処理することで熱可塑性ポリウレタン樹脂を得る。温度及び混合比については、使用する材料によって適宜調整すればよい。次いで、得られた熱可塑性ポリウレタン樹脂を細かく粉砕し、押出成形機等を用いて、所望の形状及び大きさになるように成形することで、担体が得られる。
【0040】
[廃水処理部]
廃水処理部5は、培養部4から供給されたアナモックス細菌群単体、又はアナモックス細菌群のグラニュールと廃水とを接触させ、窒素を処理する部位である。
培養部4において、上記性質を有する担体を用いることで、培養部4において形成されたアナモックス細菌群のグラニュールが担体から引き剥がされ浮上し、廃水処理部5にアナモックス細菌群のグラニュール、又はアナモックス細菌群単体が供給される。
【0041】
[分離装置]
本実施形態の処理装置10は、処理水流出部3の入口に分離装置9を備えていてもよい。
分離装置9は、廃水処理部において処理された処理水とアナモックス細菌群のグラニュールとを分離するための装置である。
分離装置9として具体的には、例えば、フィルター、振動篩、遠心分離機(例えば、クラリファイヤー等)等が挙げられ、これらに限定されない。
【0042】
[その他構成部位]
廃水流入部2は、窒素含有廃水を反応槽1に投入するための部位である。具体的には、例えば、廃水流入部2は、配管からなり、弁、ポンプ、又は流量計等を備えていてもよい。反応槽1内での廃水の処理状況に応じて、廃水の投入量を適宜調整することができる。
処理水流出部3は、廃水処理部5において処理された処理水を流出するための部位である。具体的には、例えば、処理水流出部3は、配管からなり、入口に上述の分離装置9を備えていてもよい。また、弁、ポンプ、懸濁物質量(Suspended solids;SS)測定器、又は流量計等を備えていてもよい。
【0043】
撹拌機8は、培養部4において担体を適度に流動させ、担体同士の衝突によって一定の大きさに成長したアナモックス細菌群のバイオフィルムが脱離し、反応槽1の上部へ浮上するようにするためのものである。さらに、攪拌機8は、廃水処理部5において浮遊のアナモックス細菌群単体又はアナモックス細菌群のグラニュールが分散され、廃水と接触しやすくなるように撹拌するためのものである。
攪拌機8は、撹拌翼8aを少なくとも1つ備えていればよく、例えば培養部4に1つ、廃水処理部51つの計2つ備えていてもよく、3つ以上備えていてもよい。
攪拌機8において撹拌翼8aが配設された位置は、反応槽1の高さ方向において、培養部4と廃水処理部5との間に配設されていればよく、具体的には、例えば、反応槽1の高さ方向において、反応槽1の底面から廃水の液面までの高さを100%とし、培養部4と廃水処理部5との境界の高さを0地点としたとき、反応槽1の高さ方向において、前記0地点から下方向に10%の高さから前記0地点から上方向に10%の高さまでに配設されていればよい。
【0044】
[使用方法]
図1に示す本実施形態の窒素含有廃水の処理装置10を用いて、アンモニア性窒素及び亜硝酸性窒素を含有する廃水を処理する方法を以下に説明する。
まず、反応槽1にアナモックス細菌群及び担体を投入する。次いで、廃水流入部2から廃水を徐々に投入しながら、アナモックス細菌群を担体に付着固定させ、培養する(培養部4が形成される)。次いで、担体からアナモックス細菌群が剥離し、グラニュールが形成され、一定の量まで増殖したら、廃水の投入量及び投入速度を増加させ、浮遊のアナモックス細菌群単体又はアナモックス細菌群のグラニュールと廃水とを接触させ、窒素を処理する(廃水処理部5が形成される)。次いで、窒素が除去された処理水を、分離装置9を通してアナモックス細菌群のグラニュールを通さないように、処理水流出部3から流出する。
【0045】
<第二実施形態>
図2は、本発明に係る第二実施形態の窒素含有廃水の処理装置を示す概略構成図である。本実施形態の処理装置20は、反応槽1の高さに対して垂直方向に分離装置9及び処理水流出部3を複数備えており、処理水流出部3がSS測定器11、弁12、及び流量計13を備えている点で、図1に示す処理装置10と相違し、その他の構成は処理装置10と同じである。
なお、以下の図2、3において、図1に示す構成要素と同一のものについては同じ符号を用いている。
【0046】
[懸濁物質量(Suspended solids;SS)測定器]
懸濁物質量(Suspended solids;SS)測定器は、処理水に含まれる固形分を測定するための機械である。SS測定器として具体的には、赤外線散乱光測定法を用いた測定器等が挙げられ、これらに限定されない。
【0047】
[弁]
弁は、処理水の流量を調整し、反応槽1への逆流を防ぐためのものである。弁として具体的には、例えば、ゲートバルブ、グローブバルブ、チャッキバルブ、ボールバルブ、バラフライバルブ等が挙げられ、これらに限定されない。
【0048】
[流量計]
流量計は、処理水の流量を測定するためのものである。処理水の流量の測定結果から、廃水流入部2からの廃水の流入量を調整し、安定的に廃水が処理されるように調整することができる。流量計として具体的には、例えば、電磁流量計、渦流量計、コリオリ式質量流量計、超音波流量計等が挙げられ、これらに限定されない。
【0049】
[使用方法]
図2に示す本実施形態の窒素含有廃水の処理装置20を用いて、アンモニア性窒素及び亜硝酸性窒素を含有する廃水を処理する方法を以下に説明する。
廃水処理部5が形成されるまでは、図1に示す処理装置10と同様である。次いで、処理水を処理水流出部3から流出する際に、培養部4から浮上するグラニュールの数が多くなると、処理水流出部3が閉塞しやすくなる。しかしながら、本実施形態の処理装置20は、反応槽1の高さに対して垂直方向に分離装置9及び処理水流出部3が複数配設されている。このため、処理水流出部3に配設されたSS測定器を用いて、処理水流出部3付近のSS濃度を計測することで、処理水の流出箇所を切り替えて、グラニュールによる閉塞障害を防ぐことができる。
【0050】
<第三実施形態>
図3は、本発明に係る第三実施形態の窒素含有廃水の処理装置を示す概略構成図である。
本実施形態の処理装置30は、反応槽1の高さ方向において廃水処理部5の下部であって、培養部4よりも上部に曝気装置14を備え、廃水処理部5が、硝化細菌が付着固定化された担体を含む点で、図1に示す処理装置10と相違し、その他の構成は処理装置10と同じである。
【0051】
[曝気装置]
曝気装置14は、廃水処理部5における廃水中の溶存酸素濃度を調整するための装置である。曝気装置14を用いて、廃水処理部5における廃水中の溶存酸素濃度調整することにより、廃水中のアンモニア性窒素は、好気性である硝化細菌により硝化されて、亜硝酸性窒素が生成される。生成された亜硝酸性窒素と廃水中のアンモニア性窒素とは、嫌気性であるアナモックス細菌群により窒素ガスに分解されて処理される。
よって、本実施形態の処理装置30において、廃水はアンモニア性窒素及び亜硝酸性窒素を含有していてもよく、アンモニア性窒素のみを含有していてもよい。中でも、本実施形態の処理装置30において、廃水はアンモニア性窒素のみを含有することが好ましい。
【0052】
廃水処理部5における廃水中の溶存酸素濃度は、0.5mg/L以下であることが好ましく、0.1mg/L以上0.5mg/L以下であることがより好ましい。
廃水中の溶存酸素濃度が上記下限値以上であることにより、好気性である硝化細菌による硝化反応で亜硝酸を生成することができる。一方、廃水中の溶存酸素濃度が上記上限値以下であることにより、硝化細菌により生成された亜硝酸性窒素とアンモニア性窒素とを用いて、嫌気性であるアナモックス細菌群による脱窒処理がより高効率で行われる。
【0053】
反応槽1におけて曝気装置14が配設された位置としては、攪拌機8と接触しない1であって、反応槽1の高さ方向において廃水処理部5の下部であって、培養部4よりも上部に配設されていればよく、具体的には、例えば、反応槽1の高さ方向において、反応槽1の底面から廃水の液面までの高さを100%とし、培養部4と廃水処理部5との境界の高さを0地点としたとき、反応槽1の高さ方向において、前記0地点から上方向に0%の高さから前記0地点から上方向に10%の高さまでに配設されていればよい。
曝気装置14として具体的には、例えば、バルブを有する空気配管と散気板又は散気筒とからなる装置等が挙げられ、これに限定されない。
また、このとき、反応槽1は、廃水中の溶存酸素濃度を測定するために、溶存酸素(Dissolved Oxygen;DO)分析計を備えていてもよい。
DO分析計としては、例えば、ガルバニ式DO分析計、ポーラログラフ式DO分析計等が挙げられ、これらに限定されない。これらの機器は、曝気処理中継続して溶存酸素濃度をモニターできるようにフローセル方式又は反応槽1内に直接設置する方式にて備えることができる。
【0054】
[硝化細菌が付着固定化された担体]
(硝化細菌)
本実施形態において用いられる硝化細菌としては、アンモニアを亜硝酸イオン、又は亜硝酸イオンを硝酸イオンに酸化する細菌であって、廃水の生物学的処理に一般的に用いられるものであればよい。硝化細菌として具体的には、例えば、Nitrosomonas、Nitrosospira、Nitrosococcus等のアンモニア酸化細菌類等が挙げられ、これらに限定されない。
【0055】
(担体)
本実施形態に置いて用いられる担体としては、廃水処理において微生物を付着固定化されるものとして一般的に用いられ、反応槽上部(すなわち、廃水処理部5)に浮遊するものであればよい。
担体の形状、大きさ、及び材質については、特別な限定はなく、使用する硝化細菌の種類に応じて適宜選択すればよい。
【0056】
[使用方法]
図3に示す本実施形態の窒素含有廃水の処理装置30を用いて、アンモニア性窒素のみを含有する廃水を処理する方法を以下に説明する。
培養部4が形成されるまでは、図1に示す処理装置10と同様の方法により、アンモニア性窒素及び亜硝酸性窒素を含有する廃水を用いて、処理装置を立ち上げる。次いで、アナモックス細菌群のグラニュールが形成され、一定の量まで増殖したら、廃水の投入量及び投入速度を増加させ、さらに硝化細菌が付着固定化された担体を投入し、アンモニア性窒素及び亜硝酸性窒素を含有する廃水からアンモニア性窒素のみを含有する廃水に切り替える。次いで、嫌気性の浮遊のアナモックス細菌群単体又はアナモックス細菌群のグラニュール、及び好気性の硝化細菌が付着固定化された担体と、廃水とを接触させ、窒素を処理する(廃水処理部5が形成される)。このとき、廃水中の溶存酸素濃度が上記範囲となるように、曝気装置から曝気する。曝気されるガスとしては、特別な限定はなく、空気であってよく、又は溶存酸素濃度を低く抑えるために、空気と窒素との混合ガスであってもよい。次いで、窒素が除去された処理水を、分離装置9を通してアナモックス細菌群のグラニュール及び硝化細菌が付着固定化された担体を通さないように、処理水流出部3から流出する。
本実施形態の処理装置30では、アナモックス細菌群と硝化細菌とが協調して窒素を処理するため、より高速でアンモニア性窒素のみを含有する廃水を処理することができる。
【0057】
≪窒素含有廃水の処理方法≫
一実施形態において、本発明は、アナモックス細菌群を培養する培養工程と、前記培養工程で得られる前記アナモックス細菌群と窒素含有廃水とを接触させ、窒素を処理する廃水処理工程と、を備え、前記培養工程と前記廃水処理工程とが同一反応槽内で実施され、前記培養工程を前記反応槽の下部で実施し、前記廃水処理工程を前記反応槽の上部で実施し、前記培養工程において、ポリエチレングリコールを主成分とする熱可塑性ポリウレタン樹脂からなる担体を添加する窒素含有廃水の処理方法を提供する。
【0058】
本実施形態の処理方法によれば、アナモックス細菌群が付着固定化された担体が保持され、アナモックス細菌群のグラニュールが効果的に形成され、さらに、短期間で廃水処理装置を立ち上げられることができる。また、高速で窒素含有廃水を処理することができる。
本実施形態の処理方法について、以下に詳細を説明する。
【0059】
[培養工程]
まず、反応槽にアナモックス細菌群及び担体を投入し、さらに少量の廃水を投入して、アナモックス細菌群を培養する。廃水の投入量は、アナモックス細菌群及び担体が浸り、乾燥しない程度の量であればよい。
使用するアナモックス細菌群は、上述の≪窒素含有廃水の処理装置≫において例示されたものと同様のものが挙げられる。
アナモックス細菌群は、菌単体を用いてもよく、菌単体を単離することが困難である場合は、アナモックス細菌群及びその他従属栄養細菌群を含む活性汚泥を用いてもよい。
アナモックス細菌群の投入量は、集積したアナモックス汚泥(MLSS(Mixed Liquor Suspended Solids)2000mg/L)の形で用いる場合、活性汚泥中に含まれる菌体数により適宜調整することができ、例えば、反応槽の容量に対し、3v/v%以上20v/v%以下程度であればよい。
【0060】
また、使用する担体は、ポリエチレングリコールを主成分とする熱可塑性ポリウレタン樹脂からなり、形状、大きさ、及び具体的な素材の詳細については、上述の≪窒素含有廃水の処理装置≫において例示されたものと同様のものが挙げられる。
担体の投入量は、投入するアナモックス細菌群の量に応じて適宜調整することができる。例えば、アナモックス細菌群を活性汚泥の形で用い、反応槽の容量に対し10v/v%程度投入する場合、担体は、反応槽の容量に対し5v/v%以上20v/v%以下程度投入すればよい。
本実施形態において、担体はポリエチレングリコールを主成分とする熱可塑性ポリウレタン樹脂からなるため、適度な親水性を示し、且つウレタン結合の構造がタンパク質に類似していることから、初期の菌体付着性に優れる。一方で、アナモックス細菌群のバイオフィルムがある程度の大きさに成長すると、担体同士の衝突によって菌体が剥がれ落ち、浮遊のアナモックス細菌群又はアナモックス細菌群のグラニュールとして、続く廃水処理工程において活用することができる。
【0061】
また、担体の乾燥比重が1.10g/cm以上1.30g/cm以下であり、水との表面接触角が40度以上72度以下であることが好ましい。
上記範囲の水との表面接触角である担体を用いることで、担体は適度な親水性を有し、親水性の高いアナモックス細菌群が担体に付着固定化される。
また、上記範囲の乾燥比重の担体を用いることで、担体が大きく流動し、担体に付着していないアナモックス細菌群の菌体がバイオフィルムを形成する前に流出することを防ぎ、さらに、担体が適度に流動し、担体同士の適度な衝突によるバイオフィルムの剥離を発生させることができる。
【0062】
培養工程において、反応槽内の廃水の温度としては、アナモックス細菌群の増殖できる温度であればよく、具体的には、例えば5℃以上45℃以下であればよく、例えば10℃以上40℃以下であればよい。
反応槽内の廃水の温度が上記範囲となるように、温度計を用いて反応槽内の廃水の温度を経時的に測定し、必要に応じて、反応槽の外側に配設された温水循環式のジャケット等の温度調整装置を用いて、温度を調整すればよい。
また、培養工程において、廃水のpHとしては、アナモックス細菌群が増殖できるpHであればよく、具体的には、例えば、pH6.0以上pH8.5以下であればよく、例えばpH6.5以上pH8.0以下であればよく、例えばpH6.5以上pH7.6以下であればよい。
反応槽内の廃水のpHが上記範囲となるように、pH測定器を用いて反応槽内の廃水のpHを経時的に測定し、必要に応じて、反応槽1の外側に弁を有する配管によって反応槽1に配設されており、通液可能な酸又はアルカリ保存槽から、酸又はアルカリを供給し、pHを調整すればよい。
また、培養工程において、アナモックス細菌群は嫌気性であることから、反応槽内の廃水中の溶存酸素濃度及び気相中の酸素濃度が低くなるように調整することが好ましい。酸素濃度の調整方法としては、例えば、気相の空気を窒素に置換する方法、又は後述の[廃水処理工程]に示す曝気装置を用いて空気と窒素との混合ガスを曝気し、廃水中の溶存酸素濃度を調整する方法等が挙げられる。
【0063】
[廃水処理工程]
次いで、上述の培養工程において、アナモックス細菌群のグラニュールが形成され、一定の量まで増殖したら、廃水の投入量及び投入速度を増加させ、浮遊のアナモックス細菌群単体又はアナモックス細菌群のグラニュールと廃水とを接触させ、窒素を処理する。
このとき、上述の培養工程と、廃水処理工程とは同一反応槽内で並行して実施されており、培養工程が反応槽の下部で、廃水処理工程が反応槽の上部で実施されているため、絶えずアナモックス細菌群が供給され、効率的に廃水を処理することができる。
【0064】
また、廃水処理工程において、アナモックス細菌群に加えて、硝化細菌等の廃水の生物学的処理に一般的に用いられる公知の微生物を併用して窒素処理を行ってもよい。硝化細菌としては、上述の≪窒素含有廃水の処理装置≫の<第三実施形態>において例示されたものと同様のものが挙げられる。
このとき、廃水はアンモニア性窒素及び亜硝酸性窒素を含有していてもよく、アンモニア性窒素のみを含有していてもよい。中でも、廃水はアンモニア性窒素のみを含有することが好ましい。
上述の≪窒素含有廃水の処理装置≫の<第三実施形態>において説明したとおり、アナモックス細菌群と硝化細菌等の微生物とが協調して窒素を処理するため、より高速でアンモニア性窒素のみを含有する廃水を処理することができる。
【0065】
また、アナモックス細菌群と硝化細菌等の微生物とが協調して窒素を処理する場合、廃水処理工程において、廃水の溶存酸素濃度は0.5mg/L以下であることが好ましく、0.1mg/L以上0.5mg/L以下であることが好ましい。
よって、廃水処理工程において、上記溶存酸素濃度となるように、曝気することが好ましい。具体的には、反応槽に曝気装置等を用いて、空気と窒素との混合ガスを供給し、上記溶存酸素濃度となるように調整すればよい。
廃水処理工程における廃水の温度及びpHは上述の[培養工程]において例示された範囲と同様の範囲であればよい。
【0066】
[分離工程]
次いで、上述の廃水処理工程で処理された処理水を流出する際に、処理水とアナモックス細菌群のグラニュールとを分離装置等を用いて分離する。
分離方法としては、フィルター、振動篩等のよる分離法、遠心分離法等が挙げられ、これらに限定されない。分離された水分のみが処理水として流出され、固形分は反応槽内に残留させればよい。
【実施例】
【0067】
以下、実施例等を挙げて本発明をさらに詳述するが、本発明はこれらの実施例等に限定されるものではない。
【0068】
[製造例1]担体1の製造
(1)ポリウレタン樹脂の調製
マクロポリオールとして予め80℃で減圧乾燥した数平均分子量2000のポリエチレングリコール510重量部、イソシアネート化合物として4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを380重量部、及び鎖長剤として1,4−ブタンジオール110重量部を反応槽に添加し、2分間攪拌した。なお、一連の反応に使用した原料温度は、マクロポリオール及びイソシアネート化合物が80℃、鎖長剤が40℃であった。攪拌終了後、混合物をバット上に流延し、80℃で一晩の加熱処理を行い、ポリウレタン樹脂を得た。
【0069】
(2)担体の製造
次いで、(1)で得られたポリウレタン樹脂を細かく粉砕した。粉砕後、加熱した押し出し機を用い、せん断力を加えながら180〜230℃で加熱溶融を行い、押し出し機のノズルから押し出された直径3mmのストランドを長さ5mmに切断して円柱状のポリウレタン樹脂製の担体1(乾燥時の比重:1.21、水との表面接触角:54度)を得た。
なお、ここでいう「水との表面接触角」とは、担体の着液から1分経過後の水との表面接触角である。
また、乾燥時の比重は、JIS K 7311:1995法に従い、測定した。
【0070】
[実施例1]
図1に示す構成であって、反応容積2Lである廃水処理装置を用いて、長期廃水処理試験を行った。
独立栄養性アンモニア酸化細菌群としては、活性汚泥プロセスにより生物学的排水処理を行っている下水処理場の汚泥から、アンモニア及び亜硝酸を含む合成無機培地中で約1年間運転して集積培養した独立栄養性アンモニア酸化細菌群を含む汚泥を種汚泥として用いた。
まず、上述の種汚泥(MLSS2400mg/L)を反応容積に対して10v/v%投入し、運転を開始した。次いで、製造1で得られた担体1を反応容積に対して10v/v%量投入した。さらに、全窒素濃度(T−N)が60〜1300mg/L(アンモニア性窒素(NH−N)30〜650mg/L、亜硝酸性窒素(NO−N)30〜650mg/L)である窒素含有廃水を投入し、試験を開始した。
窒素負荷は0.05kg−N/m/dから徐々に負荷を上げて、8.00kg−N/m/dまでとなるように窒素含有廃水を投入し、攪拌機の回転速度は100〜150rpmとし、滞留時間は4〜24時間とした。水温は25〜35℃に設定した。担体投入から210日目まで脱窒速度の経日変化を示すグラフを図6に示す。
【0071】
[比較例1]
(1)担体2の説明
ポリテトラメチレングリコールを主成分とする熱可塑性ポリウレタン(P385POTA、東ソー社製)を担体2として用いた。担体2について、製造例1の(2)と同様の方法を用いて、乾燥時の比重及び水との表面接触角を測定した結果、乾燥時の比重は1.12、水との表面接触角は78度であった。
【0072】
(2)長期廃水処理試験
担体1の代わりに担体2を用いた以外は、実施例1と同様の方法を用いて、長期廃水処理試験を行った。担体投入から210日目まで脱窒速度の経日変化を示すグラフを図6に示す。
【0073】
[比較例2]
(1)担体3の説明
ポリカーボネートグリコールを主成分とする熱可塑性ポリウレタン(XN−2001、東ソー社製)を担体3として用いた。担体3について、製造例1の(2)と同様の方法を用いて、乾燥時の比重及び水との表面接触角を測定した結果、乾燥時の比重は1.15、水との表面接触角は74度であった。
【0074】
(2)長期廃水処理試験
担体1の代わりに担体3を用いた以外は、実施例1と同様の方法を用いて、長期廃水処理試験を行った。担体投入から210日目まで脱窒速度の経日変化を示すグラフを図6に示す。
【0075】
図6から、比較例1では他の2つの運転条件と比較して、全体的に脱窒速度が低かった。また平均窒素除去率は9.4%と低く、独立栄養性アンモニア酸化細菌群の活性(以下、「アナモックス活性」と称する場合がある。)は極めて小さかった。
また、比較例2では運転40日目付近から徐々に反応槽の壁面に朱色の生物膜が形成され、脱窒速度が向上した。比較例2では窒素負荷1.2kg−N/m/dで最大脱窒速度0.92kg−N/m/dを得た。
しかしながら、比較例1及び比較例2では、共に担体への独立栄養性アンモニア酸化細菌群の付着は認められなかった。
一方、実施例1では、運転開始直後より脱窒速度が向上し、次第に朱色のグラニュールが形成された。実施例1のみ窒素負荷をさらに上げて運転を継続したところ、窒素負荷5.6kg−N/m/dで最大脱窒速度4.9kg−N/m/dを得、反応槽内に高濃度の独立栄養性アンモニア酸化細菌群のグラニュールを保持することができたとともに、担体への独立栄養性アンモニア酸化細菌群の付着を確認した。
【0076】
以上のことから、表面接触角54度、比重1.21の担体を用いることで、高速で窒素を除去できることが明らかとなった。
【0077】
[実施例2]
実施例1で得られた高濃度の独立栄養性アンモニア酸化細菌群のグラニュールを用いて、図1に示す構成であって、硝化細菌が付着固定化された担体を含まず、反応容積70Lの処理装置にスケールアップして連続処理運転を実施した。
運転条件としては、実施例1で得られた担体と独立栄養性アンモニア酸化細菌群とを含む活性汚泥を反応容積に対し5%量投入した。攪拌機の回転速度は200〜250rpmとし、窒素負荷は0.1kg−N/m/dから徐々に負荷を上げて運転した。滞留時間は12〜24時間とした。また、運転開始時より1N HClでpHを7.6以下となるように制御した。脱窒速度の経日変化を示すグラフを図7に示す。
【0078】
図7から、担体投入から140日目に、脱窒速度3.4kg−N/m/dを得た。
以上のことから、表面接触角54度、比重1.21の担体を用いることで、スケールアップしても実施例1と同様の性能が発揮されることが確かめられた。
【0079】
[実施例3]
実施例2の終了後、図1に示す処理装置を、曝気装置を備える図3に示す処理装置に改造した。次いで、硝化細菌が付着固定化された担体を反応容積に対して7v/v%投入し、曝気した。このとき、廃水処理部における溶存酸素濃度が0.1〜0.5mg/Lとなるように制御し、アンモニア含有廃水(NH−N:200mg/L)を処理した。
【0080】
その結果、脱窒速度0.6kg−N/m/dを得、平均窒素除去率40〜52%を得た。
以上の結果から、硝化細菌がアンモニアを亜硝酸に変換し、生成された亜硝酸とアンモニアとからアナモックス細菌群により脱窒されたと推察された。
よって、硝化細菌とアナモックス細菌群の共存による脱窒が可能であることが確かめられた。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の一実施形態に係る窒素含有廃水の処理装置及び処理方法によれば、アナモックス細菌群が付着固定化された担体が保持され、アナモックス細菌群のグラニュールが効果的に形成され、短期間で廃水処理装置を立ち上げられることができる。また、高速で窒素含有廃水を処理することができる。
【符号の説明】
【0082】
1…反応槽(廃水処理槽)、2…廃水流入部、3…処理水流出部、4…培養部、5…廃水処理部、6…独立栄養性アンモニア酸化細菌群が付着固定化された担体、7…浮遊の独立栄養性アンモニア酸化細菌群単体、又は独立栄養性アンモニア酸化細菌群のグラニュール、8…攪拌機、8a…撹拌翼、9…分離装置、10,20,30…窒素含有廃水の処理装置、11…懸濁物質量(Suspended solids;SS)測定器、12…弁、13…流量計、14…曝気装置、15…硝化細菌が付着固定化された担体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7