(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
農業上有用な植物が、マメ科植物、イネ科植物、ユリ科植物、アブラナ科植物、キク科植物、ナス科植物、ウリ科植物及びセリ科植物からなる群から選択される植物である、請求項1又は2に記載の方法。
農業上有用な植物が、マメ科植物、イネ科植物、ユリ科植物、アブラナ科植物、キク科植物、ナス科植物、ウリ科植物及びセリ科植物からなる群から選択される植物である、請求項4に記載の微生物製剤。
Rahnella sp. MYK106(受託番号NITE P-02062)からなる菌株、又は、農業上有用な植物体内に共生して該植物の収量を増加させる能力、及び/又は該植物の生育を促進する能力を有する、その変異株。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1. 細菌
本発明に用いることができる細菌は、ラーネラ(Rahnella)属に属する細菌、例えばRahnella aquatilisであって、農業上有用な植物、例えば、マメ科植物、イネ科植物、ユリ科植物、アブラナ科植物、キク科植物、ナス科植物、ウリ科植物及びセリ科植物からなる群から選択される植物の体内に共生して、該植物の生育(生長)を促進する能力、及び/又は、該植物の収量を増加する能力を有する細菌であれば特に限定されない。
【0012】
本明細書では、植物の収量は、例えば種子、葉(鱗茎を含む)、実、茎、根、花等の植物体構成成分の収量を指す。
【0013】
本明細書では、ラーネラ(Rahnella)属細菌は、上記のいずれか1つ、又は複数の能力を植物体に付与することができるエンドファイト細菌であり、自然界から単離された細菌だけでなく、そのような細菌に突然変異処理を施して産生された変異体も包含する。
【0014】
上記細菌の具体例として、ラーネラ(Rahnella)属細菌である、Rahnella sp. MYK106(受託番号NITE P-02062;以下では、単に「MYK106株」又は「NITE P-02062株」と称することもある)、或いは、上記のいずれか1つ又は複数の能力を有する、その変異株が挙げられる。
【0015】
上記のRahnella sp. MYK106は、自生しているユリ科植物から単離された菌株である。Rahnella sp. MYK106は、2015年6月9日を受託日として、ブダペスト条約下の国際寄託機関である、独立行政法人製品評価技術基盤機構、特許微生物寄託センター(〒292-0818千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8)に本出願人により寄託され、受託番号NITE P-02062が付与されている。
【0016】
このNITE P-02062株は、種々の細菌の属及び種について、16S rDNAの部分配列(本件の場合、Rahnella sp. MYK106(受託番号NITE P-02062)株の16S rDNAの対応する部分塩基配列(配列番号1)との比較)を用いて、相同性検索を行った結果、相同性の高い菌として、相同性が高いほうから順に、Rahnella aquatilis strain T4(Accession No.:KF465846.1、相同性: 99%)、Rahnella aquatilis strain P32(Accession No.:KF465839.1、相同性: 99%)、Rahnella sp. XL-1(Accession No.:KJ710698.1、相同性: 99%)、Rahnella aquatilis strain GABIT-M100(Accession No.:KM977991.1、相同性: 99%)、Rahnella aquatilis partial 16S rRNA gene, strain TS18 (Accession No.:FM209488.1、相同性: 99%)が認められたことから、Rahnella属に属する細菌であることが判明した。また、この結果から、MYK106株は、Rahnella aquatilisである可能性が高いと考えられた。
【0017】
本発明で使用できる細菌としては、Rahnella属細菌であるMYK106株又は本菌株と同等の植物の生育(生長)を促進する能力及び/又は植物の収量を増加する能力を有する細菌が挙げられる。本発明で使用できる細菌として、例えば、Rahnella属に属し、上記のいずれか1つ又は複数の能力を有し、かつ、配列番号1に示す塩基配列又は該塩基配列と等価な配列を少なくとも一部分に含む16S rDNAを有する細菌、並びにRahnella属に属し、上記のいずれか1つ又は複数の能力を有し、かつ、MYK106株と同一又は実質的に同等の基質資化性等の性質を有する細菌が挙げられるがこれらには限定されない。ここで、配列番号1に示す塩基配列と等価な配列とは、配列番号1に示す塩基配列と好ましくは97%以上、98%以上、又は99%以上、さらに好ましくは99.5%以上、99.7%以上、99.8%以上、又は99.9%以上の同一性を有する塩基配列を意味する。同一性の値は、複数の塩基配列間の同一性を演算するソフトウェア(例えば、FASTA、DANASYS、及びBLAST)を用いてデフォルトの設定で算出した値を示す。また、実質的に同等の基質資化性を有するとは、MYK106株の基質資化性と比べて、資化される基質及び/又は資化されない基質が、数個以下、例えば3個以下、2個以下、又は1個異なることを意味する。
【0018】
さらにまた、MYK106株が人為的に突然変異誘発処理されて産生されたその変異株であって、農業上有用な植物、例えばマメ科植物、イネ科植物、ユリ科植物、アブラナ科植物、キク科植物、ナス科植物、ウリ科植物及びセリ科植物からなる群から選択される植物、の体内に共生して該植物の生育を促進する能力、及び/又は該植物の収量を増加させる能力を有する変異株もまた、本発明で使用することができる。
【0019】
本発明で使用できるRahnella属細菌を自然界から分離するときには、農業上有用な植物の根、茎、葉等の植物体構成部から、該植物に共生する細菌類を培養により分離し、上記の能力のいずれかについて、及び/又は上記の配列番号1に示す塩基配列との配列同一性等について、選抜試験を行い得る。
【0020】
また、突然変異誘発処理を行う場合には、MYK106株に対し任意の適当な変異原を用いて突然変異が行われ得る。
【0021】
ここで、「変異原」なる用語は、広義の意味を有し、例えば変異原作用を有する薬剤のみならずUV照射等の高エネルギー線照射のような変異原作用を有する処理も含むものとする。適当な変異原の例として、エチルメタンスルホネート、UV照射、ガンマ線照射、X線照射、重イオンビーム照射、N−メチル−N'−ニトロ−N−ニトロソグアニジン、ブロモウラシルのようなヌクレオチド塩基類似体、及びアクリジン類が挙げられるが、他の任意の効果的な変異原もまた使用され得る。
【0022】
或いは、細菌に変異を導入する他の手段には、遺伝子組換え法を利用する方法がある。
【0023】
本発明に用いられる細菌は、振とう培養等の通常の培養法により、Rahnella属細菌について通常使用されるような条件下で培養されうる。培養に用いる培地としては炭素源としてグルコース、シュークロース、デンプン、デキストリン等の糖類を、窒素源として硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム等のアンモニウム塩、硝酸塩等の無機窒素源、又は、酵母エキス、コーン・スティープ・リーカー、肉エキス、小麦胚芽、ポリペプトン、サトウキビ絞り粕(バカス)、ビールカス、大豆粉、米糠、魚粉等の有機窒素源を、無機塩としてリン酸一カリ、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン、硫酸第一鉄等の、リン、カリウム、マンガン、マグネシウム、鉄等を含む塩類を、それぞれ含有する合成又は天然の培地が挙げられる。培養温度は、通常、20〜37℃、好ましくは27〜32℃で、12〜48時間、好気的条件下で行うことができる。
【0024】
本発明の方法には、細菌の培養液をそのまま使用することができるが、細菌の培養液を膜分離、遠心分離、濾過分離等の方法により分離した、細菌の高濃度物を用いることもできる。
【0025】
本発明の方法ではまた、細菌の培養液を乾燥させたものを使用することができる。また、細菌の培養液を活性炭、珪藻土、タルク、ゼオライト、ピートモス、パーライト、ベントナイト、モンモリナイト、バーミュキュライト等の多孔吸着体に吸着させ乾燥させたものを使用することができる。多孔吸着体は、1種類でもよいし、複数の担体を組合せて用いてもよい。乾燥方法は通常の方法でよく、例えば凍結乾燥又は減圧乾燥でよい。これらの乾燥物は乾燥後さらにボールミル等の粉砕手段で粉砕されてもよい。
【0026】
細菌は、上記の培養液、高濃度物又は乾燥物としてそれ自体単独で本発明の用途に用いることができるが、更なる他の任意成分と組み合わせて通常の微生物製剤と同様の形態(例えば粉剤、水和剤、粒剤、乳剤、液剤、懸濁液、フロアブル剤、塗布剤等の形態)に製剤化して用いることもできる。組み合わせて使用することができる任意成分としては例えば固体担体、補助剤のような植物への適用が許容される材料が挙げられる。
【0027】
2.農業上有用な植物
本発明の方法で使用可能な対象植物は、以下のものに限定されないが、例えばマメ科植物、イネ科植物、ユリ科植物、アブラナ科植物、キク科植物、ナス科植物、ウリ科植物及びセリ科植物からなる群から選択される農業上有用な植物が挙げられる。好ましくは、農業上有用な植物は、ユリ科植物、アブラナ科植物、キク科植物、及びナス科植物からなる群から選択される。
【0028】
本明細書で使用される「農業上有用な植物」は、例えば野菜類、穀類植物等の作物、果樹等の農業において生産対象となる植物を指す。
【0029】
イネ科植物としては、例えばイネ、コムギ、オオムギ、ライムギ、ライコムギ、ハトムギ、ソルガム、エンバク、トウモロコシ、サトウキビ、アワ、ヒエ等の穀類が挙げられる。イネ科植物としてはさらに、例えばシバ、バッファローグラス、バミューダグラス、ウィーピンググラス、センチピードグラス、カーペットグラス、ダリスグラス、キクユグラス、セントオーガスチングラス等の飼料又は牧草が挙げられる。
【0030】
マメ科植物としては、例えばダイズ、アズキ、ラッカセイ、インゲンマメ、エンドウマメ、ハナマメ、ソラマメ、ササゲ、ヒヨコマメ、リョクトウ、レンズマメ、ライマメ、バンバラマメが挙げられる。
【0031】
本明細書において、ユリ科植物は、新分類(APG体系)においてユリ科植物に分類される植物に加えて、旧分類(クロンキスト体系等)においてユリ科植物に分類されていた植物(例えばAPG体系におけるヒガンバナ科植物及びキジカクシ科植物)を包含する。本明細書におけるユリ科植物としては、例えばタマネギ(APG体系ではヒガンバナ科)、ネギ(APG体系ではヒガンバナ科)、ラッキョウ(APG体系ではヒガンバナ科)、ニンニク(APG体系ではヒガンバナ科)、ニラ(APG体系ではヒガンバナ科)、アサツキ(APG体系ではヒガンバナ科)、ユリ、アスパラガス(APG体系ではキジカクシ科)、エシャロット(APG体系ではヒガンバナ科)、ワケギ(APG体系ではヒガンバナ科)等が挙げられる。
【0032】
アブラナ科植物としては、例えばアブラナ、カブ、チンゲンサイ、ノザワナ、カラシナ、タカナ、コブタカナ、水菜、コールラビー、ルッコラ、クレソン、タアサイ、カリフラワー、キャベツ、ケール、ハクサイ、コマツナ、ダイコン、ハツカダイコン、ブロッコリー、メキャベツ、ワサビ、セイヨウワサビ、シロイヌナズナが挙げられる。
【0033】
キク科植物としては、例えばレタス、サニーレタス、シュンギク、キク等が挙げられる。
【0034】
ナス科植物としては、例えばナス、トマト、ピーマン、シシトウ、トウガラシ、ジャガイモ、クコ、パプリカ、ハラペーニョ、ハバネロ等が挙げられる。
【0035】
ウリ科植物としては、例えばキュウリ、カボチャ、ゴーヤ、スイカ、ズッキーニ、トウガン、ヘチマ、メロン、ユウガオ等が挙げられる。
【0036】
セリ科植物としては、ニンジン、ミツバ、パセリ、セロリ、セリ、アシタバ、スープセロリ、チャーベル、フェンネル等が挙げられる。
【0037】
3.収量増加、及び生育促進のための微生物学的方法
本発明の方法は、Rahnella属に属し、農業上有用な上記の植物の体内に共生して該植物の収量を増加する能力、及び/又は、該植物の生育を促進する能力を有する細菌を、該植物に人為的に感染させる工程を含む。
【0038】
植物の収量を増加することは、例えば、野菜であれば、例えば葉(鱗茎を含む)、根、根茎、種子、花等の食用部分を、穀類であれば、種子を、果樹であれば、実を、それぞれ増収穫させることを意味する。
【0039】
植物の生育(生長)を促進することは、本発明の細菌を接種しない対照と比較して植物の成長を早めることを意味する。
【0040】
植物への施用方法としては、種子コート、幼植物への潅注、塗布、植物根部の菌液への浸漬、又は噴霧処理する方法等が挙げられる。特に、種子又は植物体に必要に応じて人為的に傷を付け、菌液の噴霧処理、塗布する方法が好ましい。その他の施用条件としては播種時、育苗期等圃場定植前に施用することが望ましい。また、さらに圃場栽培中に植物、場合により植物根部周囲の土壌、に噴霧処理することで効果の高発現が期待できる。
【0041】
1つの例として、本発明の細菌の、植物への人為的な感染は、圃場に植えつける前の幼苗(例えば1〜4枚の本葉が出た時期の苗)に菌液を散布することにより行うことができる。散布後約1〜15日目に、苗を圃場に定植し得る。植物体内に侵入した菌がやがて、植物に共生するようになると考えられる。
【0042】
菌液の濃度は、1×10
5〜1×10
12個/ml、例えば1×10
8〜1×10
10個/ml又はそれ以上であってよいが、これらの濃度範囲に限定されない。菌を懸濁する媒体は、水、緩衝液、又は培地であることが好ましい。通常、高濃度菌液を水又は培地で所定濃度に希釈して使用することができる。
【0043】
本発明の方法は、具体的には、次の態様を含む。
【0044】
本発明の方法は、第1の態様により、ラーネラ(Rahnella)属に属し、農業上有用な植物体内に共生して該植物の収量を増加させる能力を有する細菌を、該植物に人為的に感染させる工程を含む、農業上有用な植物の収量を増加させる方法を提供する。
【0045】
本発明の方法は、第2の態様により、ラーネラ(Rahnella)属に属し、農業上有用な植物体内に共生して該植物の生育を促進する能力を有する細菌を、該植物に人為的に感染させる工程を含む、農業上有用な植物の生育を促進する方法を提供する。
【0046】
本発明の方法は、上記感染工程の後に、農業上有用な植物を栽培する工程を含んでよい。農業上有用な植物の栽培は通常の方法で行うことができる。感染工程の後、いったんポット等で栽培し、その後圃場に移してもよいし、直接圃場に移して栽培工程を行ってもよい。
【0047】
4.微生物製剤
本発明はさらに、ラーネラ(Rahnella)属に属し、農業上有用な植物体内に共生して該植物の収量を増加させる能力、及び/又は、該植物の生育を促進する能力を有する細菌を有効成分として含有する、農業上有用な植物用の微生物製剤を提供する。
【0048】
農業上有用な植物の例は、上で具体的に例示した、マメ科植物、イネ科植物、ユリ科植物、ナス科植物、ウリ科植物、アブラナ科植物、キク科植物及びセリ科植物からなる群から選択される植物である。
【0049】
好ましい細菌は、Rahnella sp. MYK106(受託番号NITE P-02062)、又は農業上有用な植物体内に共生して該植物の収量を増加させる能力、及び/又は、該植物の生育を促進する能力を有する、その変異株である。
【0050】
微生物製剤は、細菌の高濃度物、細菌の培養液を乾燥させたもの等を使用することができる。また、細菌の培養液を活性炭、珪藻土、タルク、ゼオライト、ピートモス、パーライト、ベントナイト、モンモリナイト、バーミュキュライト等の多孔吸着体に吸着させ乾燥させたものを使用することができる。多孔吸着体は、1種類でもよいし、複数の担体を組合せて用いてもよい。乾燥方法は通常の方法でよく、例えば凍結乾燥、減圧乾燥でよい。これらの乾燥物は乾燥後さらにボールミル等の粉砕手段で粉砕されてもよい。
【0051】
細菌は、上記の培養液、高濃度物又は乾燥物としてそれ自体単独で本発明の用途に用いることができるが、更なる他の任意成分と組み合わせて通常の微生物製剤と同様の形態(例えば粉剤、水和剤、粒剤、乳剤、液剤、懸濁液、フロアブル剤、塗布剤等の形態)に製剤化して用いることもできる。組み合わせて使用することができる任意成分としては例えば固体担体、補助剤のような植物への適用が許容される材料が挙げられる。
【0052】
本発明はさらに、Rahnella sp. MYK106(受託番号NITE P-02062)、又は農業上有用な植物体内に共生して該植物の収量を増加させる能力、及び/又は、該植物の生育を促進する能力を有する、その変異株を提供する。
【0053】
本発明の細菌は、振とう培養等の通常の培養法により、Rahnella属細菌について通常使用されるような、上記の条件下で培養されうる。
【実施例】
【0054】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の技術的範囲は、それらの実施例によって制限されないものとする。
【0055】
[実施例1]
<Rahnella sp. MYK106(受託番号NITE P-02062)株の取得>
自生しているユリ科植物を採取し、切断した。切断したユリ科植物を70%エタノールに30秒、2.5%次亜塩素酸ナトリウム溶液に5分浸すことにより表面殺菌を行った。その後、植物体を乳鉢に移し滅菌した生理食塩水1mlと海砂を適量加えながら磨砕した。磨砕した上澄みを100μl、NA(Nutrient Agar)培地に塗布し、30℃、数日間培養後、シングルコロニーを単離することにより標題のMYK106株を得た。
【0056】
[実施例2]
<MYK106株の16SrDNA塩基配列の決定>
1)方法
Rahnella sp. MYK106株菌体を0.85%NaCl水溶液500μlに懸濁し、遠心後に上清を除去した。菌体に滅菌水20μl、BL buffer(40mM Tris、1%Tween20、0.5% Nonidet P-40、1mM EDTA、pH 8.0)25μl、Proteinase K(1mg/ml)5μlを加え、軽く懸濁した。60℃、20分間放置後に105℃で5分間放置した後、遠心し、上清をDNA抽出液とした。
【0057】
滅菌水を6.95μl、Ex Taq Buffer(20mM)を1μl、dNTP Mixture(dATP、dCTP、dGTP、dTTP各2.5mM)を0.8μl、Ex Taq(5units/μl)を0.05μl、100nMプライマー(5'-AGAGTTTGATCCTGGCTCAG-3'(配列番号2)及び5'-GGCTACCTTGTTACGACTT-3'(配列番号3))を1μlずつ、滅菌水で10倍に希釈したDNA抽出液1μlを混合し、PCRを行った。反応は94℃、5分間を1サイクル、94℃、60秒間、55℃、60秒間、72℃、90秒間を35サイクル、72℃、2分間を1サイクルで実施した。
【0058】
PCR後の溶液をアガロースゲルで電気泳動し、目的のDNA断片部分 (約1400bp)を切り出した。ゲルからDNA断片を抽出し、塩基配列の決定に使用した。
【0059】
2)結果
決定された16SrDNAの塩基配列は、配列番号1の配列からなるものであった。
【0060】
MYK106株について、得られた16SrDNAの塩基配列をDDBJ、EMBL、GenBankデータベースと比較した。その結果、相同性は高いほうから順に、Rahnella aquatilis strain T4(Accession No.:KF465846.1、相同性: 99%)、Rahnella aquatilis strain P32(Accession No.:KF465839.1、相同性: 99%)、Rahnella sp. XL-1(Accession No.:KJ710698.1、相同性: 99%)、Rahnella aquatilis strain GABIT-M100(Accession No.:KM977991.1、相同性: 99%)、Rahnella aquatilis partial 16S rRNA gene, strain TS18 (Accession No.:FM209488.1、相同性: 99%)であったことから、Rahnella属に属する細菌であることが判明した。また、この結果から、MYK106株は、Rahnella aquatilisである可能性が高いと考えられた。
【0061】
[実施例3]
<Rahnella sp. MYK106株によるタマネギの生育促進1>
1)方法
タマネギ品種:ターボ
エンドファイト菌株:MYK106株
接種日:平成23年11月
接種方法: 1×10
8個/mlの菌懸濁液を、50ml/m
2で圃場にてスプレーで接種した。
定植日:平成23年11月
圃場:愛知県
測定項目:収穫期に2条を2mの範囲で3箇所全量収穫し、各規格の個数および重量を調査した。
収穫調査日:平成24年6月19日
【0062】
2)結果
全量収穫し、各規格の個数と重量の測定を行なった(表1)。大きさ、外観から2L、L、M、Sに分類された球を規格内とし、それ以外の小さいものや外観が悪いものは規格外とした。
【0063】
収量調査の結果、MYK106処理区において平均一球重が無処理区と比較して増加し、収量比も3.3%増加した(表2)。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
[実施例4]
<Rahnella sp. MYK106株によるタマネギの生育促進2>
1)方法
タマネギ品種:ターボ
エンドファイト菌株:MYK106株
接種日:平成24年11月20日
接種方法:定植前の苗の根部を、1×10
8個/mlの菌懸濁液に一晩浸した。
定植日:平成24年11月21日
圃場:愛知県
測定項目:収穫期に2条を2mの範囲で3箇所全量収穫し、各規格の個数および重量を調査した。
収穫調査日:平成25年6月18日
【0067】
2)結果
全量収穫し、各規格の個数と重量の測定を行なった(表3)。大きさ、外観から2L、L、M、Sに分類された球を規格内とし、それ以外の小さいものや外観が悪いものは規格外とした。
【0068】
収量調査の規格内収量の結果、MYK106処理区においては平均一球重が無処理区と比較して増加し、収量比も12.4%増加した(表4)。
【0069】
【表3】
【0070】
【表4】
【0071】
[実施例5]
<Rahnella sp. MYK106株によるタマネギの生育促進3>
1)方法
タマネギ品種:ターボ
エンドファイト菌株:MYK106株
接種日:平成25年10月26日
接種方法:1×10
8個/mlの菌懸濁液を、26.7ml/m
2で苗に散布した。
定植日:平成25年10月26日
圃場:愛知県
測定項目:収穫期に2条を2mの範囲で3箇所全量収穫し、各規格の個数および重量を調査した。
収穫調査日:平成26年6月6日
【0072】
2)結果
全量収穫し、各規格の個数と重量の測定を行なった(表5)。大きさ、外観から2L、L、M、Sに分類された球を規格内とし、それ以外の小さいものや外観が悪いものは規格外とした。
【0073】
収量調査の規格内収量の結果、MYK106処理区においては平均一球重が無処理区と比較して増加し、収量比も6.3%増加した(表6)。
【0074】
【表5】
【0075】
【表6】
【0076】
[実施例6]
<Rahnella sp. MYK106株によるポット試験におけるコマツナの生育促進>
1)方法
コマツナ品種:夏楽天
エンドファイト菌株:MYK106株
試験規模:1処理区9株
5×5セル(計25セル)になるように準備したセルトレーの底に約2cm角に切った不織布を引き、タネマキ培土(タキイ種苗株式会社)を充填した。2粒/セルずつ播種し、タネマキ培土で覆土した。播種日を0日目として播種後7日目前後に間引きをして1株/セルにした。MYK106株接種区には、播種後14日を目安に本葉が2〜3枚展開したところで、1×10
8cells/mlに純水を用いて調整した菌液を1セルあたり10mlずつ接種した。15℃以下にならないように加温したガラス温室内で栽培し本葉が4枚以上展開するまで栽培した。その後外周を除いた9株を地際部から切断し、乾物重を測定した。
【0077】
2)結果
27日間栽培後、無接種区を100としたときにMYK106接種区で乾物重が7.9%増加していた(表7)。
【0078】
【表7】
【0079】
[実施例7]
<Rahnella sp. MYK106株によるポット試験におけるレタスの生育促進>
1)方法
レタス(品種:グリーンウェーブ)を用いる以外は、実施例6と同様に試験を行い、乾物重を測定した。
【0080】
2)結果
24日間栽培後、無接種区を100としたときにMYK106株接種区で乾物重が27.8%増加したことが示された(表8)。
【0081】
【表8】
【0082】
[実施例8]
<Rahnella sp. MYK106株によるポット試験におけるネギの生育促進>
1)方法
ネギ(品種:万能小ネギ)を用いる以外は、実施例6と同様に試験を行い、乾物重を測定した。
【0083】
2)結果
38日間栽培後、無接種区を100としたときにMYK106株接種区で乾物重が7.7%増加していた(表9)。
【0084】
【表9】
【0085】
[実施例9]
<Rahnella sp. MYK106株によるポット試験におけるトマトの生育促進>
1)方法
トマト(品種:CF桃太郎ヨーク)を用いる以外は、実施例6と同様に試験を行い、乾物重を測定した。
【0086】
2)結果
24日間栽培後、無接種区を100としたときにMYK106株接種区で乾物重が3.3%増加した(表10)。
【0087】
【表10】
【0088】
[実施例10]
<Rahnella sp. MYK106株によるポット試験におけるダイズの生育促進>
1)方法
ダイズ(品種:とよまさり)を用いる以外は、実施例6と同様に試験を行い、乾物重を測定した。
【0089】
2)結果
40日間栽培後、無接種区を100としたときにMYK106株接種区で乾物重が2.2%増加した(表11)。
【0090】
【表11】
【0091】
[実施例11]
<Rahnella sp. MYK106株によるポット試験におけるイネの生育促進>
1)方法
イネ(品種:コシヒカリ)を用いる以外は、実施例6と同様に試験を行い、乾物重を測定した。
【0092】
2)結果
40日間栽培後、無接種区を100としたときにMYK106株接種区で乾物重が26.7%増加した(表12)。
【0093】
【表12】