【文献】
BIOORGANIC & MEDICINAL CHEMISTRY LETTERS, 2013, Vol.23, pp.4011-4018
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
グルコース不耐性、インスリン抵抗性、糖尿病前症、空腹時グルコースの上昇、高血糖、2型糖尿病、高血圧、異脂肪血症、アテローム性動脈硬化症、冠動脈心疾患、末梢動脈疾患、脳卒中、またはこれら個々の疾患の構成成分の任意の組合せを処置するための、請求項21〜25のいずれか1項に記載の使用のための化合物。
食欲、摂食、およびカロリー摂取のコントロール、エネルギー支出の増大、体重増加の予防、体重減少の促進、体重過剰の減少、および病的肥満を含めた肥満の全体的な処置のための、請求項21〜25のいずれか1項に記載の使用のための化合物。
医薬品としての使用のための、請求項1〜20のいずれか1項に記載の少なくとも1つの化合物またはそれらのうちのいずれかの生理学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含む医薬組成物。
請求項1〜20のいずれか1項に記載の少なくとも1つの化合物またはそれらのうちのいずれかの生理学的に許容される塩もしくは溶媒和物と、少なくとも1つのさらなる薬学的活性成分とを含む医薬組成物。
構成単位(2S)−6−[[(4S)−5−tert−ブトキシ−4−[[(4S)−5−tert−ブトキシ−4−(ヘキサデカノイルアミノ)−5−オキソ−ペンタノイル]アミノ]−5−オキソ−ペンタノイル]アミノ]−2−(9H−フルオレン−9−イルメトキシカルボニルアミノ)ヘキサン酸が使用される固相合成を介して合成される、請求項1〜20のいずれか1項に記載の化合物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
Bloomら(WO2006/134340)は、グルカゴンおよびGLP−1受容体の両者に結合し、両者を活性化するペプチドは、グルカゴンおよびエキセンジン−4からハイブリッドの分子として構築することができ、この場合、N末端部分(例えば、残基1〜14または1〜24)はグルカゴンから生じ、C末端部分(例えば、残基15〜39または25〜39)はエキセンジン−4から生じることを開示している。このようなペプチドは、10〜13位にグルカゴンのアミノ酸モチーフであるYSKYを含む。Krstenanskyら(Krstenanskyら、Biochemistry、1986年、25巻、3833〜3839頁)は、グルカゴンのこれらの残基10〜13は、アデニル酸シクラーゼの受容体の相互作用および活性化に重要であることを示している。
【0022】
本発明において記載するエキセンジン−4誘導体では、根底となる残基のいくつかが、グルカゴンおよびWO2006/134340に記載されるペプチドと異なる。特に、グルカゴンの原線維形成に寄与することが知られている残基Tyr10およびTyr13は(JS Pedersenら、Biochemistry、2006年、45巻、14503〜14512頁)、10位がLeu、および13位が非芳香族極性アミノ酸であるGlnによって置き換えられている。この置換は、特に23位のイソロイシンおよび24位のグルタメートと組み合わさって、溶液中の可溶性または凝集の挙動として生物物理学的性質が潜在的に改善されたエキセンジン−4誘導体をもたらす。エキセンジン−4類似体の13位の芳香族アミノ酸を、極性アミノ酸で非保存的置換することで、グルカゴン受容体に対して高活性のペプチドがもたらされ、GLP−1受容体に対する活性は維持される(WO2013/186240およびWO2014/056872も参照されたい)。
【課題を解決するための手段】
【0023】
天然のエキセンジン−4は、グルカゴン受容体に対する活性がなく、GIP受容体に対する活性が低い、純粋なGLP−1受容体アゴニストである。本明細書に提供するのは、天然のエキセンジン−4の構造をベースとするが、配列番号4に比べて14個以上の位置が異なるエキセンジン−4誘導体であり、この場合、この違いがグルカゴン受容体でのアゴニスト活性の増強に寄与する。他の置換の中でも、14位のメチオニンが、側鎖に−NH
2基を有するアミノ酸によって置換され、これが親油性残基によってさらに置換されている(例えば、リンカーと組み合わされている脂肪酸)。さらに、本発明者らは驚くべきことに、27、32、34、35および39位のエキセンジン−4アミノ酸を27および34位でAibアミノ酸、32位でProならびに35および39位でLysによって置換すると、GLP−1受容体活性に比べてGIP受容体活性の低下をもたらすことを見出した。文献に、糖尿病患者における高レベルのGIPは、ある場合には、より頻繁な高血糖のエピソードをまねき得る報告があるため、GIP受容体の活性化の低下は、潜在的に有益である(McLaughlinら、J Clin Endocrinol Metab、2010年、95巻、1851〜1855頁;Hadji−Georgopoulos、J Clin Endocrinol Metab、1983年、56巻、648〜652頁)。
【0024】
本発明は、式(I)を有するペプチド化合物:
H
2N−His−Aib−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−X14−Asp−Glu−Gln−Arg−Ala−Lys−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Aib−X28−X29−Gly−Pro−Pro−Ser−Aib−Lys−Pro−Pro−Pro−Lys−R
1 (I)
[式中、
X14は、Lys、Orn、Dab、またはDapからなる群から選択される官能化−NH
2側鎖基を有するアミノ酸残基を表し、ここで、−NH
2側鎖基は−Z−C(O)−R
5によって官能化されており、式中、
Zは、全立体異性体のリンカーを表し、
R
5は、炭素原子最高50個、ならびにNおよびOから選択されるヘテロ原子を含む部分であり、
X28は、Ala、Lys、およびSerから選択されるアミノ酸残基を表し、
X29は、D−AlaおよびGlyから選択されるアミノ酸残基を表し、
R
1は、NH
2またはOHである]
またはこれらの塩もしくは溶媒和物を提供する。
【0025】
本発明の化合物は、方法に記載するアッセイ系において細胞内cAMP形成を刺激することができるという観察によって決定される通り、GLP−1およびグルカゴン受容体アゴニストである。
【0026】
別の一実施形態によると、特に、親油性残基でさらに置換されている14位のリジンを有する本発明の化合物は、GLP−1受容体のGLP−1(7−36)アミドに比べて、相対的活性を少なくとも0.1%(すなわち、EC
50<700pM)、より好ましくは1%(すなわち、EC
50<70pM)、より好ましくは5%(すなわち、EC
50<14pM)、およびさらにより好ましくは10%(すなわち、EC
50<7pM)表す。さらに、化合物は、グルカゴン受容体の天然のグルカゴンに比べて、相対的活性を少なくとも0.1%(すなわち、EC
50<500pM)、より好ましくは0.25%(すなわち、EC
50<200pM)、さらにより好ましくは0.5%(すなわち、EC
50<100pM)表す。
【0027】
特定の実施形態において、ペプチド化合物は、グルカゴン受容体における天然グルカゴンのものと比べて少なくとも0.09%の相対活性を有する。
【0028】
さらなる特定の実施形態において、ペプチド化合物は、GLP−1受容体におけるGLP1(7−36)−アミドのものと比べて少なくとも0.1%の相対活性を有する。
【0029】
本明細書で用いる「活性」の語は、好ましくは、化合物がヒトGLP−1受容体、およびヒトグルカゴン受容体を活性化させる性能を意味する。より好ましくは、本明細書で用いる「活性」の語は、化合物が、細胞内cAMP形成を刺激する性能を意味する。本明細書で用いる「相対活性」の語は、化合物が、別の受容体アゴニストに比べて、または別の受容体に比べて、ある比率で受容体を活性化させる性能を意味すると理解される。アゴニストによる受容体の活性化は(例えば、cAMPレベルの測定による)、実施例などに記載する通り、実施例5に記載する通りに決定される。
【0030】
本発明の化合物は、好ましくは、hGLP−1受容体に対して、450pmol以下、好ましくは200pmol以下、より好ましくは100pmol以下、より好ましくは50pmol以下、より好ましくは25pmol以下、より好ましくは10pmol以下、より好ましくは8pmol以下、より好ましくは5pmol以下のEC
50、ならびに/またはhグルカゴンに受容体に対して500pmol以下、好ましくは300pmol以下、より好ましくは200pmol以下、より好ましくは150pmol以下、より好ましくは100pmol以下、より好ましくは75pmol以下のEC
50、ならびに/またはhGIP受容体に対して750pmol以上、好ましくは1500pmol以上;より好ましくは2000pmol以上のEC
50を有する。hGLP−1およびhグルカゴン両方の受容体に対するEC
50が、250pmol以下、より好ましくは200pmol以下、より好ましくは150pmol以下、より好ましくは100pmol以下、より好ましくは75pmol以下であるのが特に好ましい。hGLP−1受容体、hグルカゴン受容体、およびhGIP受容体に対するEC
50は、本明細書における方法に記載する通りに、および実施例5、表5に記載する結果を生成するように用いる通りに決定することができる。
【0031】
式(I)のペプチド化合物、特に親油性残基でさらに置換されている14位のリジンを有する化合物は、14位に元のメチオニン(エキセンジン−4由来)またはロイシンを有する誘導体に比べて、グルカゴン受容体活性化の上昇を示す(WO2014/056872も参照されたい)。さらに、メチオニンの酸化(in vitroまたはin vivo)は、これ以上可能ではない。加えて、この修飾は、薬物動態学的プロファイルの改善をもたらす。
【0032】
驚くべきことに、27および34位にAibアミノ酸、32位にProならびに35および39位にLysを有する式(I)の化合物は、実施例6、表6に示す通り、相当する部位に天然のエキセンジン−4のアミノ酸(Lys27、Ser32、Gly34、Ala35、Ser39)を有する相当する誘導体に比べて、GIP受容体に対する活性の低下を示すことが見出された。文献に、糖尿病患者における高レベルのGIPは、ある場合には、より頻繁な高血糖のエピソードをまねき得る報告があるため、GIP受容体の活性化の低下は、潜在的に有益である(T McLaughlinら、J Clin Endocrinol Metab、95巻、1851〜1855頁、2010年;A Hadji−Georgopoulos、J Clin Endocrinol Metab、56巻、648〜652頁、1983年)。
【0033】
一実施形態において、本発明の化合物は、フェノールまたはm−クレゾールのような抗微生物性保存剤の存在下において酸性のかつ/または生理学的なpH値で、例えば、pH4から5までの酸性度範囲で、特に、pH4.5および/またはより生理学的なpH6から8までの範囲、特に、pH7.4、25℃または40℃で溶解性が高く、別の一実施形態において、少なくとも1mg/ml、および特定の一実施形態において、少なくとも5mg/mlである。
【0034】
さらに、本発明の化合物は、フェノールまたはm−クレゾールのような抗微生物性保存剤の存在下において溶液中で保存した場合に安定性が高いのが好ましい。安定性を決定するのに好ましいアッセイ条件は、pH4から5までの酸性度範囲、特に、pH4.5および/またはより生理学的なpH6から8までの範囲、特に、pH7.4の溶液中、25℃または40℃、7日間の保存である。ペプチドの安定性は、方法に記載しているようなクロマトグラフィー分析によって決定する。pH4.5またはpH7.4の溶液中、40℃、7日後に純度低下が、20%以下であるのが好ましく、より好ましくは15%以下、さらにより好ましくは10%以下、さらにより好ましくは5%以下である。
【0035】
一実施形態において、本発明の化合物は、方法に記載しているような動的光散乱によってアッセイされるように、フェノールまたはm−クレゾールのような抗微生物性保存剤の存在下において、例えば、pH4から5までの酸性度範囲、特に、pH4.5および/またはより生理学的なpH6から8までの範囲、特に、pH7.4、25℃で、≧7mg/mlの濃度で10nm以下の流体力学的径を示す。
【0036】
本発明の化合物は、中性エンドペプチダーゼ(NEP)およびジペプチジルペプチダーゼ−4(DPP4)による切断により抵抗性であり、天然のGLP−1およびグルカゴンと比べた場合、in vivoで、より長時間の半減期および作用時間をもたらす。
【0037】
本発明の化合物が、直鎖状配列の39個のアミノカルボン酸、特にペプチド結合、すなわちカルボキサミド結合によって連結されているα−アミノカルボン酸である、ペプチド部分を含むのが好ましい。
【0038】
一実施形態において、R
1はNH
2である。
【0039】
X14位の−NH
2側鎖基は、−Z−C(O)−R
5によって官能化されており、式中、R
5は、最高50個の炭素原子ならびに場合によりNおよびOから独立に選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含む部分である。
【0040】
−Z−C(O)−R
5基に特に好ましい例を以下の表2に列挙し、これらは、
(S)−4−カルボキシ−4−ヘキサデカノイルアミノ−ブチリル−、(S)−4−カルボキシ−4−オクタデカノイルアミノ−ブチリル−、(S)−4−カルボキシ−4−((S)−4−カルボキシ−4−ヘキサデカノイルアミノ−ブチリルアミノ)−ブチリル−、(2−{2−[2−(2−{2−[(4S)−4−カルボキシ−4−ヘキサデカノイルアミノ−ブチリルアミノ]−エトキシ}−エトキシ)−アセチルアミノ]−エトキシ}−エトキシ)−アセチル−、(2−{2−[2−(2−{2−[(4S)−4−カルボキシ−4−オクタデカノイルアミノ−ブチリルアミノ]−エトキシ}−エトキシ)−アセチルアミノ]−エトキシ}−エトキシ)−アセチル−、[2−(2−{2−[2−(2−{2−[2−(2−オクタデカノイルアミノ−エトキシ)−エトキシ]−アセチルアミノ}−エトキシ)−エトキシ]−アセチルアミノ}−エトキシ)−エトキシ]−アセチル−から選択される。
【0041】
立体異性体、特に、S−またはR−エナンチオマーいずれかの、これらの基のエナンチオマーがさらに好ましい。表2における「R」の語は、ペプチドバックボーンでの−Z−C(O)−R
5付着部位、例えば、Lysのイプシロン−アミノ基を意味するものとされる。
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】
さらなる一実施形態は、
X14はLysを表し、ここで、−NH
2側鎖基は−Z−C(O)R
5基で官能化されており、式中、
Zは、gGlu、gGlu−gGlu、AEEAc−AEEAc−gGlu、およびAEEAc−AEEAc−AEEAcから選択される基を表し、
R
5は、ペンタデカニル、またはヘプタデカニルから選択される基を表す、
式(I)の一群の化合物に関する。
【0045】
さらなる一実施形態は、
X14はLysを表し、ここで、−NH
2側鎖基は、(S)−4−カルボキシ−4−オクタデカノイルアミノ−ブチリル−によって官能化されており、
X28は、AlaおよびLysから選択されるアミノ酸残基を表し、
X29はGlyを表し、
R
1はNH
2を表す、
式(I)の一群の化合物、
またはこれらの塩もしくは溶媒和物に関する。
【0046】
さらなる一実施形態は、
X14はLysを表し、ここで、−NH
2側鎖基は、(S)−4−カルボキシ−4−ヘキサデカノイルアミノ−ブチリル−によって官能化されており、
X28は、Alaを表し、
X29は、Glyを表し、
R
1はNH
2を表す、
式(I)の一群の化合物、
またはこれらの塩もしくは溶媒和物に関する。
【0047】
さらなる一実施形態は、
X14はLysを表し、ここで、−NH
2側鎖基は、(S)−4−カルボキシ−4−((S)−4−カルボキシ−4−ヘキサデカノイルアミノ−ブチリルアミノ)−ブチリル−によって官能化されており、
X28は、Ala、SerおよびLysから選択されるアミノ酸残基を表し、
X29は、D−AlaおよびGlyから選択されるアミノ酸残基を表し、
R
1はNH
2を表す、
式(I)の一群の化合物、
またはこれらの塩もしくは溶媒和物に関する。
【0048】
さらなる一実施形態は、
X14はLysを表し、ここで、−NH
2側鎖基は、(S)−4−カルボキシ−4−ヘキサデカノイルアミノ−ブチリル−、(S)−4−カルボキシ−4−オクタデカノイルアミノ−ブチリル−、(S)−4−カルボキシ−4−((S)−4−カルボキシ−4−ヘキサデカノイルアミノ−ブチリルアミノ)−ブチリル−、(2−{2−[2−(2−{2−[(4S)−4−カルボキシ−4−ヘキサデカノイルアミノ−ブチリルアミノ]−エトキシ}−エトキシ)−アセチルアミノ]−エトキシ}−エトキシ)−アセチル−、(2−{2−[2−(2−{2−[(4S)−4−カルボキシ−4−オクタデカノイルアミノ−ブチリルアミノ]−エトキシ}−エトキシ)−アセチルアミノ]−エトキシ}−エトキシ)−アセチル−、[2−(2−{2−[2−(2−{2−[2−(2−オクタデカノイルアミノ−エトキシ)−エトキシ]−アセチルアミノ}−エトキシ)−エトキシ]−アセチルアミノ}−エトキシ)−エトキシ]−アセチル−によって官能化されており、
X28は、Alaを表し、
X29は、D−AlaおよびGlyから選択されるアミノ酸残基を表し、
R
1はNH
2を表す、
式(I)の一群の化合物、
またはこれらの塩もしくは溶媒和物に関する。
【0049】
さらなる一実施形態は、
X14はLysを表し、ここで、−NH
2側鎖基は、(S)−4−カルボキシ−4−((S)−4−カルボキシ−4−ヘキサデカノイルアミノ−ブチリルアミノ)−ブチリル−によって官能化されており、
X28は、Serを表し、
X29は、D−AlaおよびGlyから選択されるアミノ酸残基を表し、
R
1はNH
2を表す、
式(I)の一群の化合物、
またはこれらの塩もしくは溶媒和物に関する。
【0050】
さらなる一実施形態は、
X14はLysを表し、ここで、−NH
2側鎖基は(S)−4−カルボキシ−4−((S)−4−カルボキシ−4−ヘキサデカノイルアミノ−ブチリルアミノ)−ブチリル−、(S)−4−カルボキシ−4−オクタデカノイルアミノ−ブチリル−によって官能化されており、
X28は、Lysを表し、
X29は、D−AlaおよびGlyから選択されるアミノ酸残基を表し、
R
1はNH
2を表す、
式(I)の一群の化合物、
またはこれらの塩もしくは溶媒和物に関する。
【0051】
さらなる一実施形態は、
X14はLysを表し、ここで、−NH
2側鎖基は、(S)−4−カルボキシ−4−((S)−4−カルボキシ−4−ヘキサデカノイルアミノ−ブチリルアミノ)−ブチリル−によって官能化されており、
X28は、Ala、LysおよびSerから選択されるアミノ酸残基を表し、
X29は、S−Alaを表し、
R
1はNH
2を表す、
式(I)の一群の化合物、
またはこれらの塩もしくは溶媒和物に関する。
【0052】
さらなる一実施形態は、
X14はLysを表し、ここで、−NH
2側鎖基は、(S)−4−カルボキシ−4−ヘキサデカノイルアミノ−ブチリル−、(S)−4−カルボキシ−4−オクタデカノイルアミノ−ブチリル−、(S)−4−カルボキシ−4−((S)−4−カルボキシ−4−ヘキサデカノイルアミノ−ブチリルアミノ)−ブチリル−、(2−{2−[2−(2−{2−[(4S)−4−カルボキシ−4−ヘキサデカノイルアミノ−ブチリルアミノ]−エトキシ}−エトキシ)−アセチルアミノ]−エトキシ}−エトキシ)−アセチル−、(2−{2−[2−(2−{2−[(4S)−4−カルボキシ−4−オクタデカノイルアミノ−ブチリルアミノ]−エトキシ}−エトキシ)−アセチルアミノ]−エトキシ}−エトキシ)−アセチル−、[2−(2−{2−[2−(2−{2−[2−(2−オクタデカノイルアミノ−エトキシ)−エトキシ]−アセチルアミノ}−エトキシ)−エトキシ]−アセチルアミノ}−エトキシ)−エトキシ]−アセチル−によって官能化されており、
X28は、Ala、LysおよびSerから選択されるアミノ酸残基を表し、
X29は、Glyを表し、
R
1はNH
2を表す、
式(I)の一群の化合物、
またはこれらの塩もしくは溶媒和物に関する。
【0053】
さらなる一実施形態は、
X14はLysを表し、ここで、−NH
2側鎖基は、(S)−4−カルボキシ−4−((S)−4−カルボキシ−4−ヘキサデカノイルアミノ−ブチリルアミノ)−ブチリル−によって官能化されており、
X28はAlaを表し、
X29は、GlyおよびD−Alaから選択されるアミノ酸残基を表し、
R
1はNH
2を表す、
式(I)の一群の化合物、
またはこれらの塩もしくは溶媒和物に関する。
【0054】
さらなる一実施形態は、
X14はLysを表し、ここで、−NH
2側鎖基は、(S)−4−カルボキシ−4−ヘキサデカノイルアミノ−ブチリル−、(S)−4−カルボキシ−4−オクタデカノイルアミノ−ブチリル−、(S)−4−カルボキシ−4−((S)−4−カルボキシ−4−ヘキサデカノイルアミノ−ブチリルアミノ)−ブチリル−によって官能化されている、
式(I)の一群の化合物、
またはこれらの塩もしくは溶媒和物に関する。
【0055】
なお、さらなる一実施形態は、
X14はLysを表し、ここで、−NH
2側鎖基は(S)−4−カルボキシ−4−((S)−4−カルボキシ−4−ヘキサデカノイルアミノ−ブチリルアミノ)−ブチリル−によって官能化されている、
式(I)の一群の化合物、
またはこれらの塩もしくは溶媒和物に関する。
【0056】
式(I)のペプチド化合物の具体的な例は、配列番号6〜17の化合物、ならびにその塩または溶媒和物である。
【0057】
式(I)のペプチド化合物の具体的な例は、配列番号6および7の化合物、ならびにその塩または溶媒和物である。
【0058】
特定の一実施形態によれば、本発明の化合物は、配列番号6によって表される、またはその塩もしくは溶媒和物である。
【0059】
別の特定の実施形態によれば、本発明の化合物は、配列番号7によって表される、またはその塩もしくは溶媒和物である。
【0060】
別の特定の実施形態によれば、本発明の化合物は、配列番号8によって表される、またはその塩もしくは溶媒和物である。
【0061】
別の特定の実施形態によれば、本発明の化合物は、配列番号9によって表される、またはその塩もしくは溶媒和物である。
【0062】
別の特定の実施形態によれば、本発明の化合物は、配列番号10によって表される、またはその塩もしくは溶媒和物である。
【0063】
別の特定の実施形態によれば、本発明の化合物は、配列番号11によって表される、またはその塩もしくは溶媒和物である。
【0064】
別の特定の実施形態によれば、本発明の化合物は、配列番号15によって表される、またはその塩もしくは溶媒和物である。
【0065】
ある実施形態において、すなわち式(I)の化合物が、遺伝的にコードされるアミノ酸残基を含む場合、本発明はさらに、前記化合物をコードする核酸(DNAでも、またはRNAでもよい)、このような核酸を含む発現ベクター、およびこのような核酸または発現ベクターを含む宿主細胞を提供する。
【0066】
さらなる態様において、本発明は、医療、特に、ヒトの医療における使用のための式(I)の化合物を提供する。ある実施形態において、式(I)の化合物は、医薬品としての使用のためのものである。
【0067】
さらなる一態様において、本発明は、担体との混合物における本発明の化合物を含む組成物を提供する。好ましい実施形態において、組成物は薬学的に許容される組成物であり、担体は薬学的に許容される担体である。本発明の化合物は、薬学的に許容される塩などの塩、または水和物などの溶媒和物の形態におけるものでよい。なおさらなる一態様において、本発明は、医療処置の方法における、特にヒトの医療における使用のための組成物を提供する。
【0068】
ある実施形態において、核酸または発現ベクターを、遺伝子治療などにおける治療薬として用いてもよい。
【0069】
式(I)の化合物は、さらなる治療的に有効な薬剤なしでの治療応用に適する。しかし、他の実施形態において、「併用治療」において記載する通り、化合物を、少なくとも1つのさらなる治療的活性薬剤と一緒に用いてもよい。
【0070】
式(I)の化合物は、炭水化物および/または脂質の代謝における障害によって引き起こされ、障害に関連し、および/または障害を伴う疾患または障害の処置または予防に、例えば、高血糖、2型糖尿病、耐糖能障害、1型糖尿病、肥満、メタボリックシンドロームの処置または予防に特に適する。さらに、本発明の化合物は、変性疾患、特に神経変性疾患の処置または予防に特に適する。
【0071】
記載する化合物は、とりわけ、体重増加の予防、または体重減少の促進における使用を見出すものである。「予防する」とは、処置の非存在に比べた場合の阻害または低減を意味するものであり、障害の完全な中止をほのめかすことを必ずしも意味するものではない。
【0072】
本発明の化合物は、食物摂取における減少および/またはエネルギー支出における増大を引き起こし、体重に対する観察される効果をもたらし得る。
【0073】
体重に対するこれらの効果とは無関係に、本発明の化合物は、循環コレステロールレベルに対する有益な効果があり得、脂質レベル、特にLDL、およびHDLレベルを改善する(例えば、HDL/LDL比を上げる)ことができる。
【0074】
このように、本発明の化合物は、体重過剰によって引き起こされ、または体重過剰を特徴とする任意の状態の直接的または間接的な治療、例えば、肥満、病的肥満、肥満に関連する炎症、肥満に関連する胆嚢疾患、肥満誘発性の睡眠時無呼吸の処置および/または予防に用いることができる。本発明の化合物はまた、メタボリックシンドローム、糖尿病、高血圧、アテローム生成的な異脂肪血症、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、冠動脈心疾患、または脳卒中の処置および予防に用いてもよい。これらの状態における本発明の化合物の効果は、本発明の化合物の体重に対する効果の結果として、または効果に関連するものでもよく、またはこれらに無関係でもよい。
【0075】
好ましい医学的使用は、食物摂取を減少させ、エネルギー支出を増大し、体重を減少させ、耐糖能障害(IGT)から2型糖尿病への進行を遅らせるための2型糖尿病における疾患の進行の遅延または予防、メタボリックシンドロームの処置、肥満の処置、または過体重の予防;2型糖尿病からインスリン要求性糖尿病への進行の遅延;食欲の調節;満腹の誘発;体重減少が成功した後の体重の再増加の予防;過体重もしくは肥満に関連する疾患もしくは状態の処置;過食症の処置;過食の処置;アテローム性動脈硬化症、高血圧、2型糖尿病、IGT、異脂肪血症、冠動脈心疾患、肝脂肪症の処置、ベータブロッカー中毒症の処置、消化管の運動の阻害のための使用を含む。
【0076】
さらに、該化合物は、X線、CTスキャン、およびNMRスキャンのような技術を使用する消化管の調査との関連において有用である。
【0077】
さらに好ましい医学的使用は、変性障害、特に神経変性障害、例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、失調症、例えば、脊髄小脳失調症、ケネディ病、筋緊張性ジストロフィー、レビー小体型認知症、多系統委縮症、筋萎縮性側索硬化症、原発性側索硬化症、脊髄性筋萎縮、プリオン関連疾患、例えば、クロイツフェルトヤコブ病、多発性硬化症、毛細血管拡張症、バッテン病、大脳皮質基底核変性症、亜急性脊髄連合変性症、脊髄癆、テイサックス病、中毒性脳症、小児レフスム病、レフスム病、神経有棘赤血球症、ニーマンピック病、ライム病、マシャドジョセフ病、サンドホフ病、シャイドレーガー症候群、ハリネズミふらつき症候群、プロテオパシー(proteopathy)、脳βアミロイド血管症、緑内障における網膜神経節細胞変性、シヌクレイノパシー、タウオパシー、前頭側頭葉変性症(FTLD)、認知症、カダシル症候群、アミロイドーシスを有する遺伝性脳出血、アレキサンダー病、セイピノパシー(seipinopathies)、家族性アミロイド神経障害、老人性全身性アミロイドーシス、セルピノパシー、AL(軽鎖)アミロイドーシス(原発性全身性アミロイドーシス)、AH(重鎖)アミロイドーシス、AA(続発性)アミロイドーシス、大動脈中心性アミロイドーシス、ApoAIアミロイドーシス、ApoAIIアミロイドーシス、ApoAIVアミロイドーシス、フィンランド型の家族性アミロイドーシス(FAF)、リゾチームアミロイドーシス、フィブリノーゲンアミロイドーシス、透析アミロイドーシス、封入体筋炎/ミオパチー、白内障、ロドプシン変異を持つ網膜色素変性症、甲状腺髄様癌、心房性アミロイドーシス、下垂体プロラクチノーマ、遺伝性格子状角膜ジストロフィー、皮膚苔癬アミロイドーシス、マロリー小体、角膜ラクトフェリンアミロイドーシス、肺胞タンパク症、歯原性(ピンドボルグ)腫瘍アミロイド、嚢胞性線維症、鎌状赤血球病、または重症疾患ミオパチー(CIM)の処置または予防を含む。
【発明を実施するための形態】
【0079】
定義
本発明のアミノ酸配列は、天然に存在するアミノ酸に対する慣例的な1文字コードおよび3文字コード、ならびに他のアミノ酸に対して一般的に認められる3文字コード、例えば、Aib(α−アミノイソ酪酸)を含む。
【0080】
「天然エキセンジン−4」の語は、配列:HGEGTFTSDLSKQMEEEAVRLFIEWLKNGGPSSGAPPPS−NH
2(配列番号4)を有する天然のエキセンジン−4を意味する。
【0081】
本発明は、先に規定したペプチド化合物を提供する。
【0082】
本発明のペプチド化合物は、ペプチド、すなわちカルボキサミド結合によって連結されるアミノカルボン酸の直鎖状のバックボーンを含む。別段の指摘がなければ、アミノカルボン酸はα−アミノカルボン酸であるのが好ましく、L−α−アミノカルボン酸であるのがより好ましい。ペプチド化合物が、39アミノカルボン酸のバックボーン配列を含むのが好ましい。
【0083】
疑いを避けるために、本明細書に提供する定義において、ペプチド部分(式I)の配列は、天然エキセンジン−4と、変動を許容するために記載するこれらの位置の少なくとも14個が異なることが、一般的に意図される。ペプチド部分(式I)内のアミノ酸は、慣例的なN−末端からC−末端方向において1から39まで連続的に番号付けするものと考えることができる。ペプチド部分(I)内の「位置」に対する言及は、したがって、エキセンジン−4において1位のHis、2位のGly、・・・、14位のMet、・・・および39位のSerなど、天然エキセンジン−4および他の分子内の位置に対する言及として解釈すべきである。
【0084】
−NH
2側鎖基を有するアミノ酸残基、例えば、Lys、Orn、Dab、またはDapを、−NH
2側鎖基の少なくとも1個のH原子が−Z−C(O)−R
5によって置き換えられるように官能化し、式中、R
5は、親油性部分、例えば、非環式の直鎖または分枝(C
8〜C
30)飽和または不飽和炭化水素基を含み、不飽和炭化水素基は、非置換、またはハロゲン(F、Cl、Br、J)、−OH、および/もしくはCO
2Hなどにより置換されており、Zは、全ての立体異性体におけるリンカー、例えば、1個またはそれ以上の、例えば、1から5個、好ましくは1、2、または3個の、ガンマ−グルタメート(gGlu)およびAEEAc(アミノ−エトキシ−エトキシ−アセチル)の群から選択されるアミノ酸リンカー基を含むリンカーを含む。好ましいR
5基は、親油性部分、例えば、非環式の直鎖または分枝(C
12〜C
20)飽和または不飽和炭化水素基、例えば、ペンタデカニル、ヘキサデカニル、またはヘプタデカニル(これらは非置換、またはCO
2Hにより置換されており)を含み、より好ましくは、ペンタデカニル、またはヘプタデカニルである。一実施形態において、アミノ酸リンカー基は、gGlu、gGlu−gGlu、AEEAc−AEEAc−gGlu、およびAEEAc−AEEAc−AEEAcから選択される。別の一実施形態において、アミノ酸リンカー基はgGluである。別の一実施形態において、アミノ酸リンカー基はgGlu−gGluである。別の一実施形態において、アミノ酸リンカー基はAEEAc−AEEAc−gGluである。別の一実施形態において、アミノ酸リンカー基はAEEAc−AEEAc−AEEAcである。
【0085】
さらなる一態様において、本発明は、担体との混合における、本明細書に記載する本発明の化合物、またはその塩もしくは溶媒和物を含む組成物を提供する。
【0086】
本発明は、医薬としての使用のための、特に、本明細書に記載のような状態の処置のための本発明の化合物の使用も提供する。
【0087】
本発明は、本明細書に記載のような状態を処置するための方法をさらに提供し、該方法は、少なくとも1つの式(I)の化合物の有効量を患者に投与することを含む。
【0088】
本発明は、組成物が薬学的に許容される組成物であり、担体が薬学的に許容される担体である、組成物も提供する。
【0089】
ペプチド合成
当業者であれば、本発明に記載するペプチドを調製する、多様な異なる方法を知っている。これらの方法には、それだけには限定されないが、合成手法、および組換え遺伝子発現が含まれる。したがって、これらのペプチドを調製する一方法は、溶液中または固体支持体上で合成し、引き続き単離および精製することである。ペプチドを調製する異なる一方法は、ペプチドをコードするDNA配列を導入する宿主細胞における遺伝子発現である。あるいは、細胞系を利用しないで、遺伝子発現を実現することができる。上記に記載する方法を何らかの方法で組み合わせてもよい。
【0090】
本発明のペプチドを調製するのに好ましい方法は、適切な樹脂上での固相合成である。固相ペプチド合成は、十分に確立された方法論である(例えば、Stewart and Young、Solid Phase Peptide Synthesis、Pierce Chemical Co.、Rockford、Ill.、1984年;E.AthertonおよびR.C.Sheppard、Solid Phase Peptide Synthesis.A Practical Approach、Oxford−IRL Press、New York、1989年を参照されたい)。固相合成は、N−末端保護したアミノ酸のカルボキシ末端を、切断可能なリンカーを保有する不活性な固体支持体に付着させることにより開始する。この固体支持体は、カルボキシ基(またはRink樹脂ではカルボキサミド)の樹脂に対する連結が酸に対して感受性である(Fmoc戦略を用いた場合)、トリチル樹脂、クロロトリチル樹脂、Wang樹脂、またはRink樹脂など、最初のアミノ酸のカップリングを可能にする任意のポリマーであってよい。ポリマー支持体は、ペプチド合成の間α−アミノ基を脱保護するのに用いる条件下で安定でなければならない。
【0091】
N−末端保護した第1のアミノ酸を固体支持体にカップリングさせた後、このアミノ酸のα−アミノ保護基を除去する。残りの保護されているアミノ酸を、次いで、BOP、HBTU、HATU、またはDIC(N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド)/HOBt(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール)などの適切なアミドカップリング試薬を用いて、ペプチド配列によって表される順序で次々に、または前もって形成されたジペプチド、トリペプチド、テトラペプチドとカップリングさせるが、この場合、BOP、HBTU、およびHATUは三級アミン塩基と用いる。あるいは、遊離したN−末端を、カルボン酸などのアミノ酸以外の基で官能化してもよい。
【0092】
通常、アミノ酸の反応性側鎖基を、適切なブロッキング基で保護する。これらの保護基は、所望のペプチドを構築した後に除去する。これらは、同じ条件下で樹脂から所望の生成物を切断するのに相伴って除去される。保護基、および保護基を導入するための手順は、Protective Groups in Organic Synthesis、第3版、Greene,T.W.およびWuts,P.G.M.、Wiley & Sons(New York:1999年)に見出すことができる。
【0093】
いくつかの場合において、他の側鎖の保護基が依然としてインタクトである間に、選択的に除去することができる側鎖の保護基があるのが望ましいことがある。この場合、遊離した官能性を選択的に官能化することができる。例えば、リジンを、非常に求核性の塩基(例えば、DMF(ジメチルホルムアミド)中4%ヒドラジン)に対して不安定である、ivDde([1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソシクロヘキサ−1−イリデン)−3−メチルブチル)保護基で保護してもよい(S.R.Chhabraら、Tetrahedron Lett.、39巻、(1998年)、1603頁)。このように、N−末端のアミノ基および全ての側鎖の官能性を酸に不安定な保護基で保護する場合、ivDde基は、DMF中4%ヒドラジンを用いて選択的に除去することができ、対応する遊離のアミノ基を、次いで、アシル化などによってさらに修飾することができる。リジンを代替的に、保護されたアミノ酸にカップリングしてもよく、このアミノ酸のアミノ基を、次いで、脱保護し、別の遊離のアミノ基を得ることができ、この遊離のアミノ基をアシル化し、またはさらなるアミノ酸に付着させてもよい。代替的に、予め官能化された構成単位、例えば、(2S)−6−[[(4S)−5−tert−ブトキシ−4−[[(4S)−5−tert−ブトキシ−4−(ヘキサデカノイルアミノ)−5−オキソ−ペンタノイル]アミノ]−5−オキソ−ペンタノイル]アミノ]−2−(9H−フルオレン−9−イルメトキシカルボニルアミノ)ヘキサン酸をカップリングパートナーとして使用して、ペプチド合成中に(表2に記載のような)側鎖をリジンと一緒に導入することができる。この構成単位の使用は、選択的脱保護工程を必要とせずかつきわめて進行した合成中間体上での側鎖構成単位の選択的付加を回避できるという技術的利点を有する。
【0094】
最後に、ペプチドを樹脂から切断する。これは、Kingのカクテルを用いることにより実現することができる(D.S.King、C.G.Fields、G.B.Fields、Int.J.Peptide Protein Res.、36巻、1990年、255〜266頁)。原材料を、次いで、必要に応じて、分取RP−HPLCなどのクロマトグラフィーによって精製してもよい。
【0095】
作用強度
本明細書で用いる「作用強度」または「in vitroの作用強度」の語は、細胞ベースのアッセイで、化合物がGLP−1、グルカゴン、またはGIPに対する受容体を活性化する能力に対する尺度である。数値的に、これは「EC50値」と表現され、投与量反応実験において反応(例えば、細胞内cAMPの形成)の最大の増大の半分を誘発する化合物の効果的な濃度である。
【0096】
治療的使用
メタボリックシンドロームは、一緒に生じた場合に、2型糖尿病、ならびにアテローム硬化性の血管疾患(例えば、心疾患および脳卒中)を発症するリスクを増大する医学的障害の組合せである。メタボリックシンドロームに対する医学的パラメータの定義には、真性糖尿病、耐糖能障害、空腹時グルコースの上昇、インスリン抵抗性、尿中アルブミン分泌、中心性肥満、高血圧、トリグリセリドの上昇、LDLコレステロールの上昇、およびHDLコレステロールの低下が含まれる。
【0097】
肥満は、過剰の体脂肪が、健康および平均余命に対して有害作用があり得る程度に蓄積し、成人および小児における有病率の増大により、現代の世界における予防できる主要な死因の一つとなっている医学的状態である。肥満は、心疾患、2型糖尿病、閉塞性睡眠時無呼吸、あるタイプの癌、および骨関節炎を含めた多様な他の疾患の可能性を増大し、最も一般的に、過剰な食物摂取、エネルギー支出の低下、および遺伝的感受性の組合せによって引き起こされる。
【0098】
真性糖尿病はしばしば単に糖尿病と呼ばれ、身体が十分なインスリンを生成しないため、または生成されるインスリンに細胞が反応しないためにヒトが高血糖レベルを有する一群のメタボリック疾患である。最も一般的なタイプの糖尿病は:(1)身体がインスリンを生成することができない、1型糖尿病;(2)経時的なインスリン欠乏の増大と組み合わされて、身体がインスリンを適切に用いることができない、2型糖尿病(T2DM)、および(3)女性が妊娠により糖尿病を発症する、妊娠糖尿病である。全ての形態の糖尿病が長期の合併症のリスクを増大し、合併症は長年の後に発症するのが典型的である。これらの長期の合併症の殆どが血管に対する損傷に基づくものであり、大血管のアテローム性動脈硬化に起因する「大血管性」疾患、および小血管の損傷に起因する「微小血管」疾患の2つのカテゴリーに分けることができる。大血管性疾患状態の例には、虚血性心疾患、心筋梗塞、脳卒中、および末梢血管疾患がある。微小血管疾患の例には、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、および糖尿病性神経障害がある。
【0099】
GLP−1およびGIP、ならびにグルカゴンに対する受容体は、7回膜貫通型ヘテロ三量体Gタンパク質連結型受容体のファミリーのメンバーである。これらは構造的に相互に関連しており、著しいレベルの配列同一性を共有するだけでなく、リガンド認識および細胞内シグナル伝達経路の同様の機序も有する。
【0100】
同様に、ペプチドであるGLP−1、GIP、およびグルカゴンは、配列同一性/類似性の高い領域を共有する。GLP−1およびグルカゴンは、共通の前駆物質であるプレプログルカゴンから生成され、これが差次的に組織特異的な形でプロセシングを受けて、例えば、腸の内分泌細胞でGLP−1が、膵島のアルファ細胞でグルカゴンが産生される。GIPはより大型のproGIPプロホルモン前駆物質に由来し、小腸にあるK細胞から合成され、放出される。
【0101】
ペプチドのインクレチンホルモンであるGLP−1およびGIPは、食物に反応して腸の内分泌細胞によって分泌され、食事刺激性インスリン分泌の最大70%を占める。GLP−1分泌は、耐糖能障害または2型糖尿病を有する対象で低下するが、これらの患者ではGLP−1に対する反応性は依然として保存されていることが、証拠により示唆される。したがって、GLP−1受容体を適切なアゴニストで標的化することにより、糖尿病を含めたメタボリック障害の処置に対する魅力的な手法がもたらされる。GLP−1に対する受容体は広く分布しており、主に膵島、脳、心臓、腎臓、および消化管に見出される。膵臓では、GLP−1は、ベータ細胞からのインスリン分泌の増大により、厳密にグルコース依存的に作用する。このグルコース依存性により、GLP−1受容体の活性化は低血糖を引き起こす可能性がないことが示される。また、GIPに対する受容体は、膵島、脂肪組織、胃、小腸、心臓、骨、肺、腎臓、精巣、副腎皮質、下垂体、内皮細胞、気管、脾臓、胸腺、甲状腺、および脳を含めた末梢組織において広範に発現される。インクレチンホルモンとしての生物学的機能に一致して、膵臓のβ細胞は、ヒトにおけるGIPに対する最高レベルの受容体を発現する。GIP受容体媒介性のシグナリングはT2DMを有する患者で損なわれ得るが、GIP作用は可逆的であることが示されており、糖尿病状態の改善で回復され得るという臨床上の証拠がいくつか存在する。インスリン分泌に対するGIPの作用もグルコース依存的であるという報告が多くある一方で、文献には、血漿中高レベルのGIPはより頻繁な高血糖のエピソードをまねき得るという報告もある(McLaughlinら、J Clin Endocrinol、1983年、56巻、648〜652頁)。加えて、肥満対象における血漿GIPレベルは正常より高いことが報告され、GIPは肥満およびインスリン抵抗性を誘発し得ることが示唆された(Creutzfeldtら、Diabetologia.、1978年、14巻、15〜24頁)。これは、GIP受容体の消失はこれらの状態を防ぎ得:高脂肪食餌を与えたGIP受容体ノックアウトマウスは、野生型マウスに比べて、体重の抑制を実際に示し(Miyawakiら、Nat Med.、2002年、8巻、738〜42頁)、GIP受容体アンタゴニストである(Pro3)GIPの長期間投与もマウスにおける肥満およびインスリン抵抗性を防いだ(Gaultら、Diabetologia.、2007年、50巻、1752〜62頁)という報告によって支持される。したがって、本発明の目的は、GIP受容体に対する活性の低下を有する、二重GLP−1/グルカゴン受容体アゴニストを提供することであった。
【0102】
グルカゴンは、膵臓のアルファ細胞によって生成され、循環グルコースが低い場合に血流中に放出される、アミノ酸29個のペプチドホルモンである。グルカゴンの重要な生理学的役割は、肝臓におけるグルコース出力を刺激することであり、これはin vivoでグルコース恒常性を維持する上でインスリンに対して主要な対抗制御的な機序をもたらすプロセスである。
【0103】
しかし、グルカゴン受容体は、腎臓、心臓、脂肪細胞、リンパ芽球、脳、網膜、副腎、および消化管などの肝臓外の組織においても発現され、グルコース恒常性を超えたより広範囲の生理学的役割が示唆される。したがって、最近の研究は、グルカゴンには、食物摂取の減少および体重減少を伴う、エネルギー支出の刺激および熱発生を含めたエネルギー管理に対して、治療的にポジティブな効果があることを報告している。まとめると、グルカゴン受容体の刺激は、肥満およびメタボリックシンドロームの処置において有用であり得る。
【0104】
オキシントモジュリンは、C−末端の延長を包含するアミノ酸8個とグルカゴンからなるペプチドホルモンである。GLP−1およびグルカゴン同様、オキシントモジュリンはプレプログルカゴンにおいて前もって形成され、切断され、小腸の内分泌細胞によって組織特異的に分泌される。オキシントモジュリンは、GLP−1およびグルカゴンに対する受容体の両方を刺激し、したがって二重アゴニストの原型であることが知られている(Pocai、Molecular Metabolism、2013年、3巻、241〜51頁を参照されたい)。
【0105】
GLP−1は抗糖尿病効果で知られており、GLP−1およびグルカゴンは共に食物摂取抑制効果で知られており、グルカゴンはさらなるエネルギー支出のメディエータでもあるので、1分子に2つのホルモンの活性を組み合わせることで、メタボリックシンドローム、特にその構成成分である糖尿病および肥満を処置するのに強力な薬物療法をもたらすことができると考えられる。
【0106】
したがって、本発明の化合物は、グルコース不耐性、インスリン抵抗性、糖尿病前症、空腹時グルコースの上昇(高血糖)、2型糖尿病、高血圧、異脂肪血症、アテローム性動脈硬化症、冠動脈心疾患、末梢動脈疾患、脳卒中、またはこれら個々の疾患の構成成分の任意の組合せの処置に用いることができる。
【0107】
さらに、本発明の化合物は、食欲、摂食、およびカロリー摂取のコントロール、エネルギー支出の増大、体重増加の予防、体重減少の促進、体重過剰の減少、および病的肥満を含めた肥満の全体的な処置に用いることができる。
【0108】
本発明の化合物は、GIP受容体に対する活性の低下を有する、GLP−1に対する、およびグルカゴンに対する受容体に対するアゴニスト(例えば、「二重アゴニスト」)であり、糖尿病および肥満を同時に処置できるようにすることにより、メタボリックシンドロームを標的化する臨床的必要性に取り組む治療上の利点を提供することができる。
【0109】
本発明の化合物で処置し得るさらなる疾患状態および健康状態は、肥満関連の炎症、肥満関連の胆嚢疾患、および肥満誘発性の睡眠時無呼吸である。
【0110】
これらの状態は全て肥満に直接的または間接的に関連し得るが、本発明の化合物の効果は、全体的または部分的に体重に対する効果によって、またはこの効果とは独立に媒介され得る。
【0111】
さらに、処置しようとする疾患は、アルツハイマー病もしくはパーキンソン病などの神経変性疾患、または上記に記載した他の変性疾患である。
【0112】
一実施形態において、化合物は、高血糖、2型糖尿病、肥満の処置または予防において有用である。好ましい一実施形態において、化合物は、糖尿病、特に、2型糖尿病の処置において有用である。
【0113】
本発明の化合物は、患者の腸通過を低減する能力、胃内容物を増大する能力および/または食物摂取を減少させる能力を有する。本発明の化合物のこれらの活性は、当業者に知られており本明細書において方法にも記載されている動物モデルにおいて評価することができる。
【0114】
本発明の化合物は、患者の血中グルコースレベルを低下させる能力、および/またはHbA1cレベルを低下させる能力を有する。本発明の化合物のこれらの活性は、当業者に知られており本明細書において方法および実施例7にも記載されている動物モデルにおいて評価することができる。
【0115】
本発明の化合物は、患者の体重を減少させる能力を有する。本発明の化合物のこれらの活性は、当業者に知られており本明細書において方法および実施例7にも記載されている動物モデルにおいて評価することができる。
【0116】
本発明の化合物は、肝脂肪症、好ましくは、非アルコール性肝疾患(NAFLD)および非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の処置または予防において有用である。
【0117】
GLP−1、グルカゴン、およびオキシントモジュリンに比べて、エキセンジン−4には、溶液中および生理学的条件下の溶解性および安定性(DPP4またはNEPなどの酵素による分解に対する酵素の安定性を含む)などの、有益な物理化学的性質があり、これによりin vivoでより長期間の作用がもたらされる。したがって、純粋なGLP−1受容体アゴニストであるエキセンジン−4は、二重GLP−1/グルカゴン受容体アゴニズムを有する、エキセンジン−4類似体を得るための良好な出発骨格として役立ち得る。
【0118】
それにもかかわらず、エキセンジン−4も、14位のメチオニンの酸化、ならびに28位のアスパラギンの脱アミドおよび異性体化のため、化学的に不安定であることが示されている。したがって、14位のメチオニンの置換により、ならびにアスパルトイミド形成、特に28位および29位のAsp−GlyまたはAsn−Glyによって分解されやすいことが知られている配列を避けることにより、安定性をさらに改善することができる。
【0119】
医薬組成物
「医薬組成物」の語は、混合した場合に適合性であり、投与することができる成分を含む混合物を指し示すものである。医薬組成物は、1つまたはそれ以上の医薬品を含むことができる。さらに、医薬組成物は、活性の、または不活性の成分と考えられても、考えられなくても、担体、バッファー、酸性化剤、アルカリ化剤、溶媒、補助剤、等張化剤、緩和薬、増量剤、保存剤、物理的および化学的安定化剤、例えば、界面活性剤、抗酸化剤、ならびに他の構成成分を含むことができる。医薬組成物の調製における技術者に対する指南は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、(第20版)A.R.Gennaro A.R.編集、2000年、Lippencott Williams & Wilkins、およびR.C.Roweら(編集)、Handbook of Pharmaceutical Excipients、PhP、2013年5月最新版に見出すことができる。
【0120】
本発明のある実施形態によれば、医薬組成物が提供され、これは、少なくとも1つの式(I)の化合物またはそれらのうちのいずれかの生理学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含む。
【0121】
本発明のエキセンジン−4ペプチド誘導体、またはその塩は、医薬組成物の一部として、許容される製薬上の担体、希釈剤、または賦形剤と組み合わせて投与される。医薬組成物の一部として、許容される製薬上の担体、希釈剤、または賦形剤と組み合わされた一般式(I)の化合物の溶媒和物も包含される。
【0122】
「薬学的に許容される担体」は、生理学的に許容され(例えば、生理学的に許容されるpH)、一緒に投与される物質の治療上の性質を保持する担体である。標準的な許容される製薬上の担体およびその製剤は当業者には知られており、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、(第20版)A.R.Gennaro A.R.編集、2000年、Lippencott Williams & Wilkins、およびR.C.Roweら(編集)、Handbook of Pharmaceutical excipients、PhP、2013年5月最新版に記載されている。一例の薬学的に許容される担体は、生理学的食塩水溶液である。
【0123】
一実施形態において、担体は、バッファー(例えば、シトレート/クエン酸)、酸性化剤(例えば、塩酸)、アルカリ化剤(例えば、水酸化ナトリウム)、保存剤(例えば、フェノール、m−クレゾール)、共溶媒(例えば、ポリエチレングリコール400)、等張化剤(例えば、マンニトール)、安定化剤(例えば、界面活性剤、抗酸化剤、アミノ酸)の群から選択される。
【0124】
用いる濃度は、生理学的に許容される範囲におけるものである。
【0125】
許容される製薬上の担体または希釈剤には、経口、直腸、経鼻、または非経口(皮下、筋肉内、静脈内、皮内、および経皮を含む)の投与に適する製剤において用いられるものが含まれる。本発明の化合物は、非経口投与するのが典型的である。
【0126】
「薬学的に許容される塩」の語は、哺乳動物において用いるのに安全および効果的である本発明の化合物の塩を意味する。薬学的に許容される塩は、それだけには限定されないが、酸付加塩および塩基性塩を含むことができる。酸付加塩の例には、塩化物塩、硫酸塩、硫化水素塩、リン酸(水素)塩、酢酸塩、クエン酸塩、トシル酸塩、またはメシル酸塩、好ましくは酢酸塩が含まれる。塩基性塩の例には、無機陽イオンとの塩、例えば、アルカリまたはアルカリ土類金属塩、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、またはカルシウム塩、および有機陽イオンとの塩、例えば、アミン塩が含まれる。薬学的に許容される塩のさらなる例は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、(第20版)A.R.Gennaro A.R.編集、2000年、Lippencott Williams & Wilkins、またはHandbook of Pharmaceutical Salts,Properties,Selection and Use、P.H.Stahl、C.G.Wermuth編集、2002年、Verlag Helvetica Chimica Acta、Zurich、スイスおよびWiley−VCH、Weinheim、ドイツによる共同出版に記載されている。
【0127】
「溶媒和物」の語は、本発明の化合物またはその塩の、有機溶媒分子および/または水などの溶媒分子との複合体を意味する。
【0128】
医薬組成物において、エキセンジン−4誘導体は、モノマーまたはオリゴマーの形態であってよい。
【0129】
化合物の「治療有効量」の語は、所望の効果を提供するのに、非毒性であるが十分な量の化合物を意味する。所望の生物学的効果を実現するのに必要な式(I)の化合物の量は、選択する特定の化合物、使用目的、投与様式、および患者の臨床上の状態などの数々の因子に依存する。任意の個々の症例における適切な「有効」量は、当業者によってルーチンの実験を用いて決定され得る。例えば、式Iの化合物の「治療有効量」は、約0.01から50mg/投与量、好ましくは0.02から1mg/投与量である。
【0130】
本発明の医薬組成物は、非経口(例えば、皮下、筋肉内、皮内、または静脈内)、直腸、局所、および経口的(例えば、舌下)の投与に適するものであるが、最も適切な投与様式は、個々の症例の各々において処置しようとする状態の性質および重症度、ならびに各症例において用いられる式(I)の化合物の性質に依存する。一実施形態において、適用は、非経口、例えば、皮下である。
【0131】
非経口適用の場合、相当する製剤が、投与の間に微生物および細菌の増殖を阻害するために少なくとも1つの抗微生物性保存剤を含むことが好ましいであろう。好ましい保存剤は、ベンジル型アルコール、またはフェノールもしくはm−クレゾールのようなフェノール化合物である。これらの成分は、製剤中でより低い溶解性および安定性をもたらすペプチドおよびタンパク質の凝集を誘導しうることが記載されている(R.L.Bisら、Int.J.Pharm.472巻、356〜361頁、2014年;T.J.Kamerzell、Adv.Drug Deliv.Rev.、63巻、1118〜1159頁、2011年を参照されたい)。
【0132】
適切な医薬組成物は、別々の単位の形態、例えば、バイアルまたはアンプル中の、カプセル剤、錠剤、および散剤であってよく、これらは各々、規定された量の化合物を;粉末もしくは顆粒として;水性もしくは非水性の液体中の溶液もしくは懸濁液として;または水中油型もしくは油中水型エマルジョンとして含んでいる。組成物は、単一または複数の投与量の注射可能な形態において、例えば、ペンの形態において提供することができる。組成物は、すでに言及した通り、活性成分および担体(1つまたはそれ以上のさらなる成分からなっていてよい)を接触させるステップを含む、任意の適切な製薬方法によって調製することができる。
【0133】
ある実施形態において、医薬組成物は、適用のための装置と一緒に、例えば、シリンジ、注射用ペン、またはオートインジェクターと一緒に提供することができる。このような装置は、医薬組成物と別々に提供しても、または医薬組成物が予め充填してあってもよい。
【0134】
併用治療
本発明の化合物である、GLP−1に対する二重アゴニスト、およびグルカゴン受容体は、他の薬理学的な有効化合物と、例えば、Rote Liste2015に言及されている全ての薬物、例えば、Rote Liste2015、第1章に言及されている全ての体重減少薬または食欲抑制薬と、Rote Liste2015、第58章に言及されている全ての脂質低下薬と、Rote Liste2015に言及されている全ての降圧薬および腎臓保護薬(nephroprotectives)と、またはRote Liste2015、第36章に言及されている全ての利尿薬と、広範に組み合わせることができる。
【0135】
活性成分の併用を、特に作用における相乗作用的改善に用いることができる。これは、活性成分を患者に別々に投与することにより、または複数の活性成分が1つの医薬調製物に存在する併用生成物の形態において適用することができる。活性成分の別々の投与によって活性成分を投与する場合、これは同時に、または連続的に行うことができる。
【0136】
本明細書以降に言及する活性成分の殆どは、USP Dictionary of USAN and International Drug Names、US薬局方、Rockville、2011年に開示されている。
【0137】
このような併用に適する他の活性物質には、特に、例えば、言及する徴候の1つに関して1つもしくはそれ以上の活性物質の治療効果を増強するもの、および/または1つもしくはそれ以上の活性物質の投与量の減少を可能にするものが含まれる。
【0138】
したがって、ある実施形態において、本発明は、少なくとも1つのさらなる治療的活性薬剤との式(I)のペプチド化合物の併用に関する。
【0139】
ある実施形態は、少なくとも1つの式(I)の化合物またはそれらのうちのいずれかの生理学的に許容される塩もしくは溶媒和物および少なくとも1つのさらなる薬学的活性成分を含む医薬組成物を目的とする。
【0140】
本発明の式(I)の化合物との併用に適切である治療剤は、例えば、以下のような抗糖尿病剤を含む:
インスリンおよびインスリン誘導体(インスリン化合物)、例えば:glargine/Lantus(登録商標)、インスリングラルギン270〜330U/mL(EP2387989A)、インスリングラルギン300U/mL(Toujeo(登録商標)、EP2387989A)、
LAPSInsulin−115、glulisin/Apidra(登録商標)、detemir/Levemir(登録商標)、lispro/Humalog(登録商標)/Liprolog(登録商標)、degludec/degludecPlus、aspart、基本のインスリンおよび類似体(例えば、LY−2605541、LY2963016、NN1436)、PEG化インスリンlispro、Humulin(登録商標)、Linjeta、SuliXen(登録商標)、NN1045、インスリンプラスsymlin、PE0139、即効性および短時間作用型のインスリン(例えば、Linjeta、PH20、NN1218、HinsBet)、(APC−002)ヒドロゲル、経口、吸入可能、経皮、および舌下のインスリン(例えば、Exubera(登録商標)、Nasulin(登録商標)、Afrezza、tregopil、TPM 02、Capsulin、Oral−lyn(登録商標)、Cobalamin(登録商標)経口インスリン、ORMD−0801、NN1953、NN1954、NN1956、VIAtab、Oshadi経口インスリン)。さらに、二官能性のリンカーによってアルブミンまたは別のタンパク質に結合しているインスリン誘導体もさらに含まれる。
【0141】
GLP−1、GLP−1類似体およびGLP−1受容体アゴニスト、例えば:リキシセナチド/AVE0010/ZP10/リキスミア、エキセナチド/エキセンジン−4/Byetta/Bydureon/ITCA 650/AC−2993、リラグルチド/Victoza、セマグルチド、タスポグルチド、シンクリア(syncria)/アルビグルチド、デュラグルチド、rエキセンジン−4(組換えエキセンジン−4)、CJC−1134−PC、PB−1023、TTP−054、エフェグレナチド(efpeglenatide)/HM−11260C、CM−3、GLP−1エリゲン(Eligen)、ORMD−0901、NN−9924、NN−9926、NN−9927、ノデキセン(nodexen)、Viador−GLP−1、CVX−096、ZYOG−1、ZYD−1、GSK−2374697、DA−3091、MAR−701、MAR709、ZP−2929、ZP−3022、TT−401、BHM−034。MOD−6030、CAM−2036、DA−15864、ARI−2651、ARI−2255、エキセナチド−XTEN(xten化されたエキセナチド)およびグルカゴン−Xten(xten化されたグルカゴン)。GLP−1およびGLP−1類似体は、場合によりポリマーに結合させることもできる。
【0142】
DPP−4(DDP−IVまたはジペプチジルペプチダーゼIVとも呼ばれる)インヒビター、例えば:アログリプチン/Nesina、Trajenta/リナグリプチン/BI−1356/Ondero/Trajenta/Tradjenta/Trayenta/Tradzenta、サキサグリプチン/Onglyza、シタグリプチン/Januvia/Xelevia/Tesave/Janumet/Velmetia、Galvus/ビルダグリプチン、アナグリプチン、ゲミグリプチン、テネリグリプチン、メログリプチン、トレラグリプチン、DA−1229、オマリグリプチン/MK−3102、KM−223、エボグリプチン、ARI−2243、PBL−1427、ピノキサシン(pinoxacin)。
【0143】
SGLT2(ナトリウムグルコーストランスポーター2)インヒビター、例えば:Invokana/カナグリフロジン、Forxiga/ダパグリフロジン、レモグリフロジン、セリグロフロジン、エンパグリフロジン、イプラグリフロジン、トホグリフロジン、ルセオグリフロジン、LX−4211、エルツグリフロジン/PF−04971729、RO−4998452、EGT−0001442、KGA−3235/DSP−3235、LIK066、SBM−TFC−039;二重SGLT2/SGLT1インヒビター;
ビグアナイド(例えば、メトホルミン、ブホルミン、フェンホルミン)、チアゾリジンジオン(例えば、ピオグリタゾン、リボグリタゾン、ロシグリタゾン、トログリタゾン)、二重PPARアゴニスト(例えば、アレグリタザール、ムラグリタザール、テサグリタザール)、スルホニル尿素(例えば、トルブタミド、グリベンクラミド、グリメピリド/アマリール、グリピジド)、メグリチニド(例えば、ナテグリニド、レパグリニド、ミチグリニド)、アルファグルコシダーゼインヒビター(例えば、アカルボース、ミグリトール、ボグリボース)、アミリンおよびアミリン類似体(例えば、プラムリンチド、シムリン)。
【0144】
GPR119(Gタンパク質共役受容体119)アゴニスト(例えば、GSK−263A、PSN−821、MBX−2982、APD−597、ZYG−19、DS−8500)、GPR40アゴニスト(例えば、ファシグリファム/TAK−875、TUG−424、P−1736、JTT−851、GW9508)、GPR120アゴニスト、GPR142アゴニスト、全身性または低吸収性のTGR5(膜貫通Gタンパク質共役受容体5)アゴニスト。
【0145】
他の適切な併用パートナーには:Cycloset(メシル酸ブロモクリプチン)、11−ベータ−HSD(11−ベータ−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ)のインヒビター(例えば、LY2523199、BMS770767、RG−4929、BMS816336、AZD−8329、HSD−016、BI−135585)、グルコキナーゼのアクチベーター(例えば、TTP−399、AMG−151、TAK−329、GKM−001)、DGAT(ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ)のインヒビター(例えば、LCQ−908)、プロテインチロシンホスファターゼ1のインヒビター(例えば、トロズスクエミン)、グルコース−6−ホスファターゼのインヒビター、フルクトース−1,6−ビスホスファターゼのインヒビター、グリコーゲンホスホリラーゼのインヒビター、ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼのインヒビター、グリコーゲンシンターゼキナーゼのインヒビター、ピルビン酸デヒドロキナーゼのインヒビター、アルファ2−アンタゴニスト、CCR−2(C−Cモチーフ受容体2)アンタゴニスト、SGLT−1インヒビター(例えば、LX−2761)、グルコーストランスポーター−4のモジュレーター、ソマトスタチン受容体3アゴニストがある。
【0146】
例えば:HMG−CoA(3−ヒドロキシ−3−メチル−グルタリルコエンザイムA)−レダクターゼインヒビター(例えば、シンバスタチン、アトルバスタチン)、フィブラート(例えば、ベザフィブラート、フェノフィブラート)、ニコチン酸およびその誘導体(例えば、ナイアシン)、ニコチン酸受容体1アゴニスト、PPAR(ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体)−(アルファ、ガンマまたはアルファ/ガンマ)アゴニストまたはモジュレーター(例えば、アレグリタザール)、PPAR−デルタアゴニスト、ACAT(アシルCoAコレステロールアシルトランスフェラーゼ)インヒビター(例えば、アバシミブ)、コレステロール吸収インヒビター(例えば、エゼチミブ)、胆汁酸結合物質(例えば、コレスチラミン)、回腸胆汁酸輸送(IBAT)インヒビター、MTP(ミクロソームトリグリセリド輸送タンパク質)インヒビター、またはPCSK9のモジュレーター(プロタンパク質コンバターゼサブチリシン/ケキシン9型)のような1つまたはそれ以上の脂質低下薬も併用パートナーとして適切である;
【0147】
肝臓選択的甲状腺ホルモン受容体βアゴニストによるLDL(低密度リポタンパク質)受容体アップレギュレーター;CETPインヒビター(例えば、トルセトラピブ、アナセトラピブ、ダルセトラピブ、エバセトラピブ、JTT−302、DRL−17822、TA−8995)またはABC1レギュレーターのようなHDL(高密度リポタンパク質)上昇化合物;脂質代謝モジュレーター;PLA2インヒビター、ApoA−I(アポリポタンパク質A1)エンハンサー、甲状腺ホルモン受容体アゴニスト、コレステロール合成インヒビター、オメガ3脂肪酸およびその誘導体。
【0148】
他の適切な併用パートナーは、例えば:シブトラミン、テソフェンシン、オルリスタット(テトラヒドロリプスタチン)、カンナビノイド−1受容体のアンタゴニスト、MCH−1(メラニン凝集ホルモン1)受容体アンタゴニスト、MC4(メラノコルチン4)受容体アゴニストおよび部分アゴニスト、NPY5(ニューロペプチドY5)もしくはNPY2アンタゴニスト(例えば、ベルネペリット)、NPY4アゴニスト、ベータ−3−アゴニスト、レプチンもしくはレプチンミメティック、5HT2c受容体のアゴニスト(例えば、ロルカセリン)、またはブプロピオン/ナルトレキソン(CONTRAVE)、ブプロピオン/ゾニサミド(EMPATIC)、ブプロピオン/フェンテルミン、またはプラムリンチド/メトレレプチン、もしくはフェンテルミン/トピラマート(QNEXA)の併用のような、肥満を処置するための1つまたはそれ以上の活性物質である。
【0149】
他の適切な併用パートナーは:
ペプチドYY3−36(PYY3−36)またはその類似体、膵臓ポリペプチド(PP)またはその類似体のようなさらなる消化管ペプチド、
グルカゴン受容体アゴニストまたはアンタゴニスト、GIP受容体アゴニストまたはアンタゴニスト、二重GLP−1/GIPアゴニスト、二重GLP−1/グルカゴンアゴニスト、グレリンアンタゴニストまたはインバースアゴニスト、キセニンおよびその類似体である。
【0150】
他の適切な併用パートナーは:
リパーゼインヒビター、血管新生インヒビター、H3アンタゴニスト、AgRP(Agouti関連タンパク質)インヒビター、トリプルモノアミン取込みインヒビター(ノルエピネフリンおよびアセチルコリン)、MetAP2(メチオニンアミノペプチダーゼ2型)インヒビター、カルシウムチャネルブロッカーであるジルチアゼムの経鼻製剤、線維芽細胞成長因子受容体4の生成に対するアンチセンス分子、プロヒビチン標的化ペプチド−1である。
【0151】
さらに、例えば:アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト(例えば、テルミサルタン、カンデサルタン、バルサルタン、ロサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、オルメサルタン、タソサルタン、アジルサルタン)、ACE(アンジオテンシン変換酵素)インヒビター、ECE(エンドセリン変換酵素)インヒビター、利尿薬、ベータブロッカー、カルシウムアンタゴニスト、中枢作用性昇圧薬、アルファ−2−アドレナリン作用性受容体のアンタゴニスト、中性エンドペプチダーゼのインヒビター、血小板凝集インヒビターおよびその他、またはこれらの組合せのような、高血圧、慢性心不全またはアテローム性動脈硬化に影響を及ぼすための薬物との併用が適切である。
【0152】
別の一態様において、本発明は、GLP−1およびグルカゴンに対する受容体に結合することにより、およびこれらの活性を変調することにより、影響を及ぼすことができる疾患または状態を処置または予防するのに適する薬物を調製するための、併用パートナーとして上記に記載した活性物質の少なくとも1つと組み合わせた、本発明による化合物または生理学的に許容されるその塩の使用に関する。これは、メタボリックシンドローム、特に上記に列挙した疾患または状態の1つ、最も詳しくは糖尿病もしくは肥満またはこれらの合併症の状況における疾患であるのが好ましい。
【0153】
本発明による化合物、または生理学的に許容されるその塩の、1つまたはそれ以上の活性物質との併用における使用は、同時に、別々に、または連続的に起こり得る。
【0154】
本発明による化合物、または生理学的に許容されるその塩の、別の活性物質との併用における使用は、同時に、または互い違いの時間であるが、特に短期の時間間隔内に起こり得る。これらを同時に投与する場合、2つの活性物質は患者に一緒に投与され;これらを互い違いの時間に用いる場合、2つの活性物質は患者に、12時間以下、特に6時間以下の期間内に投与される。
【0155】
したがって、別の一態様において、本発明は、本発明による化合物、またはそのような化合物の生理学的に許容される塩、および併用パートナーとして上記に記載した少なくとも1つの活性物質を、場合により1つまたはそれ以上の不活性な担体および/または希釈剤と一緒に含む薬物に関する。
【0156】
本発明による化合物、または生理学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物、およびこれらと併用されるさらなる活性物質は、共に、錠剤もしくはカプセル剤中などの1製剤中に一緒に、またはいわゆるキットオブパーツなど、2つの同一の、もしくは異なる製剤中に別々に存在することができる。
【0157】
さらなる態様において、本発明は、本明細書に記載のような状態を処置するための方法に関し、該方法は、少なくとも1つの式(I)の化合物の有効量と、糖尿病、異脂肪血症または高血圧を処置するのに有用な少なくとも1つの他の化合物の有効量とを患者に投与することを含む。ある実施形態において、状態は、高血糖、2型糖尿病および肥満、ならびにこれらの組合せから選択される。特定の実施形態において、糖尿病、異脂肪血症または高血圧を処置するのに有用な少なくとも1つの他の化合物は、典型的な抗糖尿病剤、脂質低下薬、肥満を処置するための活性物質、消化管ペプチド、および上記に列挙した高血圧、慢性心不全またはアテローム性動脈硬化に影響を及ぼすための薬物から選択される。
【0158】
前にすでに示しているように、少なくとも1つの式(I)の化合物の有効量およびさらなる活性成分は、同時に、または代替として、連続に、患者に投与することができる。
【0159】
方法
用いる略語は以下の通りである:
AA アミノ酸
AEEAc (2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)アセチル
Aib アルファ−アミノ−イソ酪酸
cAMP 環状アデノシン一リン酸
Boc tert−ブトキシカルボニル(butyloxycarbonyl)
BOP (ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)tris(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート
BSA ウシ血清アルブミン
tBu 三級ブチル
dAla D−アラニン
DCM ジクロロメタン
Dde 1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソシクロヘキシリデン)−エチル
ivDde 1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソシクロヘキシリデン)−3−メチル−ブチル
DIC N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド
DIPEA N,N−ジイソプロピルエチルアミン
DMEM ダルベッコ変法イーグル培地
DMF ジメチルホルムアミド
DMS ジメチルスルフィド
EDT エタンジチオール
FA ギ酸
FBS ウシ胎児血清
Fmoc フルオレニルメチルオキシカルボニル
gGlu ガンマ−グルタメート(γE)
HATU O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
HBSS ハンクス平衡塩類溶液
HBTU 2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチル−ウロニウムヘキサフルオロホスフェート
HEPES 2−[4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−イル]エタンスルホン酸
HOBt 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
HOSu N−ヒドロキシスクシンイミド
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
HTRF ホモジニアス時間分解蛍光(Homogenous Time Resolved Fluorescence)
IBMX 3−イソブチル−1−メチルキサンチン
LC/MS 液体クロマトグラフィー/質量分析法
Mmt モノメトキシ−トリチル
Palm パルミトイル
PBS リン酸緩衝食塩水
PEG ポリエチレングリコール(polyethylene glycole)
PK 薬物動態
RP−HPLC 逆相高速液体クロマトグラフィー
Stea ステアリル
TFA トリフルオロ酢酸
Trt トリチル
UV 紫外線
【0160】
ペプチド化合物の一般的合成
材料
様々なRink−アミド樹脂(4−(2’,4’−ジメトキシフェニル−Fmoc−アミノメチル)−フェノキシアセトアミド−ノルロイシルアミノメチル樹脂、Merck Biosciences;4−[(2,4−ジメトキシフェニル)(Fmoc−アミノ)メチル]フェノキシアセトアミドメチル樹脂、Agilent Technologies)を、0.2〜0.7mmol/gの範囲のローディング(loading)で、ペプチドアミドの合成に用いた。
【0161】
Fmoc保護した天然のアミノ酸は、Protein Technologies Inc.、Senn Chemicals、Merck Biosciences、Novabiochem、Iris Biotech、Bachem、Chem−Impex International、またはMATRIX Innovationから購入した。合成を通して以下の標準のアミノ酸を用いた:Fmoc−L−Ala−OH、Fmoc−Arg(Pbf)−OH、Fmoc−L−Asn(Trt)−OH、Fmoc−L−Asp(OtBu)−OH、Fmoc−L−Cys(Trt)−OH、Fmoc−L−Gln(Trt)−OH、Fmoc−L−Glu(OtBu)−OH、Fmoc−Gly−OH、Fmoc−L−His(Trt)−OH、Fmoc−L−Ile−OH、Fmoc−L−Leu−OH、Fmoc−L−Lys(Boc)−OH、Fmoc−L−Met−OH、Fmoc−L−Phe−OH、Fmoc−L−Pro−OH、Fmoc−L−Ser(tBu)−OH、Fmoc−L−Thr(tBu)−OH、Fmoc−L−Trp(Boc)−OH、Fmoc−L−Tyr(tBu)−OH、Fmoc−L−Val−OH。
【0162】
さらに、以下の特殊なアミノ酸を上記と同じ供給業者から購入した:Fmoc−L−Lys(ivDde)−OH、Fmoc−L−Lys(Mmt)−OH、Fmoc−Aib−OH、Fmoc−D−Ser(tBu)−OH、Fmoc−D−Ala−OH、Boc−L−His(Boc)−OH(トルエン溶媒和物として入手可能)、およびBoc−L−His(Trt)−OH。
【0163】
さらに、構成単位(2S)−6−[[(4S)−5−tert−ブトキシ−4−[[(4S)−5−tert−ブトキシ−4−(ヘキサデカノイルアミノ)−5−オキソ−ペンタノイル]アミノ]−5−オキソ−ペンタノイル]アミノ]−2−(9H−フルオレン−9−イルメトキシカルボニルアミノ)ヘキサン酸およびBoc−L−His(Trt)−Aib−OHを適用した。両方の構成単位を別々に合成した。合成の説明は、実施例のもとに示している。
【0164】
固相ペプチド合成を、例えば、Preludeペプチドシンセサイザー(Protein Technologies Inc)または同様の自動合成機上で、標準のFmoc化学反応およびHBTU/DIPEA活性化を用いて行った。溶媒としてDMFを用いた。脱保護:20%ピペリジン/DMFで2×2.5分間。洗浄:7×DMF。カップリングDMF2×中、2:5:10 200mMAA/500mM HBTU/2M DIPEA20分間。洗浄:5×DMF。
【0165】
Lys−側鎖を修飾する場合は、Fmoc−L−Lys(ivDde)−OHまたはFmoc−L−Lys(Mmt)−OHを、相当する位置で用いた。合成完了後、ivDde基を、文献の手順を修飾したものに従って(S.R.Chhabraら、Tetrahedron Lett.、1998年、39巻、1603頁)、DMF中4%ヒドラジン水和物を用いて除去した。ジクロロメタン中1%TFAで繰返し処理することにより、Mmt基を除去した。樹脂を所望の酸のN−ヒドロキシスクシンイミドエステルで処理し、またはHBTU/DIPEAもしくはHOBt/DICなどのカップリング試薬を用いて、以下のアシル化を行った。
【0166】
合成したペプチドを全て、82.5%TFA、5%フェノール、5%水、5%チオアニソール、2.5%EDTからなるKingの切断カクテルで、樹脂から切断した。次いで、粗製ペプチドをジエチルエーテルまたはジイソプロピルエーテル中で沈殿させ、遠心分離し、凍結乾燥した。ペプチドを分析用HPLCによって分析し、ESI質量分析法によってチェックした。粗製のペプチドを、慣例的な分取用RP−HPLC精製手順によって精製した。
【0167】
あるいは、ペプチドを、手操作の合成手順により合成した:乾燥させたRinkアミドMBHA樹脂(0.66mmol/g)0.3gを、ポリプロピレンフィルタを装着したポリエチレン製容器中に配置した。樹脂を、DCM(15ml)中1時間、およびDMF(15ml)中1時間膨潤させた。樹脂上のFmoc基を20%(v/v)ピペリジン/DMF溶液で5分間および15分間の2回、処理することにより脱保護した。樹脂を、DMF/DCM/DMF(各6:6:6回)で洗浄した。Kaiser試験(定量方法)を、固体支持体からFmocを除去されたことの確認に用いた。乾燥DMF中のC末端Fmoc−アミノ酸(樹脂ローディングに対応して5等量過剰)を、脱保護した樹脂に加え、DMF中の5等量過剰のDICおよびHOBTを用いて次のFmoc−アミノ酸のカップリングを開始させた。反応混合物中の各反応物の濃度はおよそ0.4Mであった。混合物を室温で2時間、ローター上で回転させた。樹脂をろ過し、DMF/DCM/DMF(各6:6:6回)で洗浄した。カップリング完了時、ペプチド樹脂アリコートに対するKaiser試験は陰性であった(樹脂上に着色なし)。第1のアミノ酸を付着させた後、樹脂中に非反応のアミノ基があれば、無水酢酸/ピリジン/DCM(1:8:8)を用いて20分間キャッピングして、配列のあらゆる欠失を回避した。キャッピング後、樹脂をDCM/DMF/DCM/DMF(各6/6/6/6回)で洗浄した。ペプチジル樹脂に付着しているC末端アミノ酸上のFmoc基を、20%(v/v)ピペリジン/DMF溶液で5分間および15分間の2回処理することにより、脱保護した。樹脂をDMF/DCM/DMF(各6:6:6回)で洗浄した。Fmoc脱保護完了時、ペプチド樹脂アリコートに対するKaiser試験は陽性であった。
【0168】
RinkアミドMBHA樹脂上の標的配列における残りのアミノ酸を、Fmoc AA/DIC/HOBt方法を用い、DMF中樹脂充填に相当する5等量過剰を用いて、逐次的にカップリングさせた。反応混合物中の各反応物の濃度は、およそ0.4Mであった。混合物を室温で2時間、ローター上で回転させた。樹脂をろ過し、DMF/DCM/DMF(各6:6:6回)で洗浄した。各カップリング工程およびFmoc脱保護工程後、Kaiser試験を行って反応の完全性を確認した。
【0169】
直鎖状配列が完成した後、分枝点または修飾点として用いたリジンのε−アミノ基を、DMF中2.5%ヒドラジン水和物を用いて15分間×2、脱保護し、DMF/DCM/DMF(各6:6:6回)洗浄した。グルタミン酸のγ−カルボキシル終端をLysのε−アミノ基に、DMF中、DIC/HOBt法でFmoc−Glu(OH)−OtBuを用いて付着させた(樹脂充填に関して5等量過剰)。混合物を室温で2時間、ローター上で回転させた。樹脂をろ過し、DMF/DCM/DMF(各6×30ml)で洗浄した。グルタミン酸上のFmoc基を、20%(v/v)ピペリジン/DMF溶液で5分間および15分間(各25ml)の2回処理することにより脱保護した。樹脂を、DMF/DCM/DMF(各6:6:6回)で洗浄した。Fmoc脱保護完了時、ペプチド樹脂アリコートに対するKaiser試験は陽性であった。
【0170】
側鎖の分枝がまた、γグルタミン酸をもう1つ含んでいる場合、第2のFmoc−Glu(OH)−OtBuを、DMF中、DIC/HOBt法(樹脂充填に関して5等量過剰)でのγグルタミン酸の遊離のアミノ基に対する付着に用いた。混合物を室温で2時間、ローター上で回転させた。樹脂をろ過し、DMF/DCM/DMF(各6×30ml)で洗浄した。γ−グルタミン酸上のFmoc基を、20%(v/v)ピペリジン/DMF溶液で5分間および15分間(25ml)の2回処理することにより脱保護した。樹脂を、DMF/DCM/DMF(各6:6:6回)で洗浄した。Fmoc脱保護完了時、ペプチド樹脂アリコートに対するKaiser試験は陽性であった。
【0171】
グルタミン酸の側鎖に対するパルミチン酸およびステアリン酸の付着:
γグルタミン酸の遊離のアミノ基に、DMF中に溶解したパルミチン酸またはステアリン酸(5等量)を加え、DMF中DIC(5等量)およびHOBt(5等量)を加えることにより、カップリングを開始させた。樹脂を、DMF/DCM/DMF(各6:6:6回)で洗浄した。
【0172】
樹脂からのペプチドの最終的な切断:
手操作の合成により合成したペプチジル樹脂を、DCM(6×10ml)、MeOH(6×10ml)、およびエーテル(6×10ml)で洗浄し、真空乾燥機で一夜乾燥させた。固体支持体からのペプチドの切断を、ペプチド樹脂を室温で3時間、試薬カクテル(80.0%TFA/5%チオアニソール/5%フェノール/2.5%EDT、2.5%DMS、および5%DCM)で処理することによって実現した。切断混合物をろ過により収集し、樹脂をTFA(2ml)およびDCM(2×5ml)で洗浄した。過剰のTFAおよびDCMを、窒素下で小体積に濃縮し、少量のDCM(5〜10ml)を樹脂に加え、窒素下で蒸発させた。プロセスを3〜4回繰り返して、揮発性不純物の殆どを除去した。残渣を0℃に冷却し、無水エーテルを加えてペプチドを沈殿させた。沈殿したペプチドを遠心分離し、上清のエーテルを除去し、新たなエーテルをペプチドに加え、再び遠心分離した。粗製試料を、分取HPLCで精製し、凍結乾燥した。ペプチドの同一性をLCMSによって確認した。
【0173】
さらに、リジン側鎖の導入のための異なる経路を使用し、側鎖がすでにリジンに付加されている予め官能化された構成単位(例えば、(2S)−6−[[(4S)−5−tert−ブトキシ−4−[[(4S)−5−tert−ブトキシ−4−(ヘキサデカノイルアミノ)−5−オキソ−ペンタノイル]アミノ]−5−オキソ−ペンタノイル]アミノ]−2−(9H−フルオレン−9−イルメトキシカルボニルアミノ)ヘキサン酸)をペプチド合成におけるカップリングパートナーとして適用した。アミノ基を有する0.67mmolのペプチド樹脂を20mlのジメチルホルムアミドで洗浄した。2.93gの(2S)−6−[[(4S)−5−tert−ブトキシ−4−[[(4S)−5−tert−ブトキシ−4−(ヘキサデカノイルアミノ)−5−オキソ−ペンタノイル]アミノ]−5−オキソ−ペンタノイル]アミノ]−2−(9H−フルオレン−9−イルメトキシカルボニルアミノ)ヘキサン酸を310mgのヒドロキシベンゾトリアゾール水和物および0.32mlのジイソプロピルカルボジイミドと一緒に20mlのジメチルホルムアミド中に溶解した。5分間の撹拌後、溶液を樹脂に添加した。樹脂を20時間撹拌し、次いで、それぞれ20mlのジメチルホルムアミドで3回洗浄した。小さな樹脂試料を採取して、Kaiser試験およびChloranil試験(Kaiser、Colescott、Bossinger、Cook、Anal.Biochem.1970年、34巻、595〜598頁;Chloranil−Test:Vojkovsky、Peptide Research 1995年、8巻、236〜237頁)を行った。この手順は、選択的脱保護工程の必要性ならびにきわめて進行した合成中間体上での側鎖構成単位の選択的付加を回避するものである。
【0174】
分析用HPLC/UPLC
方法A:検出210〜225nm
カラム:Waters ACQUITY UPLC(登録商標)CSH(商標)C18 1.7μm(150×2.1mm)、50℃
溶媒:H
2O+0.5%TFA:ACN+0.35%TFA(流速0.5ml/分)
勾配:80:20(0分)から80:20(3分)から25:75(23分)から2:98(23.5分)から2:98(30.5分)から80:20(31分)から80:20(37分)
場合により、エレクトロスプレーポジティブイオンモードの、質量分析計:LCT Premierで
【0175】
方法B:210〜225nmで検出
カラム:Aries prep XBC 18(4.6×250mm×3.6μm)、温度:25℃
溶媒:H
2O+0.1%TFA(バッファーA):ACN+0.1%TFA(バッファーB)(流速1ml/分)
勾配:2%バッファーBでカラムを平衡にし、バッファーB2%から70%の勾配によって15分間溶出。
【0176】
方法C:214nmで検出
カラム:Waters ACQUITY UPLC(登録商標)CSH
TMC18 1.7μm(150×2.1mm)、温度:50℃
溶媒:H
2O+0.5%TFA:ACN+0.35%TFA(流速0.5ml/分)
勾配:80:20(0分)から80:20(3分)から25:75(23分)から5:95(23.5分)から5:95(25.5分)から80:20(26分)から80:20(30分)
【0177】
一般的な分取HPLC精製手順
粗製ペプチドを、Akta Purifierシステム上、Jasco semiprep HPLCシステム上、またはAgilent 1100 HPLCシステム上のいずれかで精製した。精製しようとする粗製ペプチドの量に応じて、様々なサイズおよび様々な流速の分取用RP−C18−HPLCカラムを用いた。アセトニトリル+0.1%TFA(B)および水+0.1%TFA(A)を、溶離液として使用した。生成物を含む分画を収集し、凍結乾燥させて、典型的にTFA塩である、精製生成物を得た。
【0178】
エキセンジン−4誘導体の溶解性および安定性の評価
ペプチドバッチの溶解性および安定性の測定前に、その純度をUPLC/MSによって決定した。
溶解性試験では、目的濃度は、純粋化合物10mg/mlであった。したがって、固体試料からの溶液を、以下の2つの異なる緩衝系において、予め決定した%純度に基づいて10mg/mLの化合物の濃度で調製した:
a)酢酸バッファー pH4.5、100mM 酢酸ナトリウム三水和物、2.7mg/ml m−クレゾール
b)リン酸バッファー pH7.4、100mM リン酸水素ナトリウム、2.7mg/ml m−クレゾール
【0179】
2時間の穏やかな撹拌後に、3000RCF(相対遠心加速度)で20分間の遠心分離後に得た、上清から、HPLC−UVを行った。
標準曲線を用いて、1:10希釈した緩衝処理した試料の2μLの注射のUVピーク面積を比較することによって溶解性を決定した。標準物質は、(%純度に基づいて)1.2mg/mLの濃度のペプチドのDMSOストック溶液の(0.2〜2μlの範囲の様々な体積を注射することによる)希釈物であった。この試料は、安定性試験の出発点(t0)としての役割も果たした。
【0180】
化学的および物理的な安定性試験では、溶解性のために得た上清の一定分量を40℃で7日間保存した。時間経過後、試料を3000RCFで20分間遠心分離した。次いで、1:10希釈した2μlの上清をUPLC−UVで分析した。
化学的安定性については、以下の等式によって算出した純度の相対的な低下を通して評価した:
[(出発点の純度)−(7日後の純度)]/(出発点の純度)]
*100%
純度については、
[(ペプチドのピーク面積)/(合計ピーク面積)]
*100%
として算出した。
【0181】
さらに、7日後の目的ペプチドのピーク面積を出発点のピーク面積と比較することによってペプチドの残存量を決定した。これにより、以下の等式に従い、パラメーター「%残存ペプチド」が得られた:
残存ペプチド%=[(t7のペプチドのピーク面積)/(t0のペプチドのピーク面積)]
*100%。
【0182】
動的光散乱(DLS)
動的光散乱(DLS)は、溶媒分子との粒子の相互作用であるブラウン運動に基づいて粒子から散乱した光を測定する。焦点式レーザー光線を使用して液体試料を照射し、時間依存的な、散乱した光強度の変動を記録および補正する。DLS実験から得られる最初の条理は、粒径の強度分布である。強度分布は、それぞれの粒子画分またはファミリーの散乱強度によって自然に加重される。生物学的材料またはポリマーでは、粒子散乱強度は、分子量の二乗に比例する。試料中に存在する粒子の平均流体力学的径は、光散乱強度の変化率に直接に関連し、Stokes−Einsteinの関係式を使用して算出される。多分散指数は、粒径分布の広さの測定であり、ISO13321:1996およびISO22412:2008に記載されている標準的な方法によって算出される。
【0183】
方法A:DLS測定を、W130i装置(Avid Nano Ltd、High Wycombe、UK)上で、体積の小さい使い捨て可能なキュベット(UVette、Eppendorf AG、Hamburg、Germany)を使用して行った。データを、Avid Nanoによって提供されたi−Size3.0で処理した。流体力学的半径を、DynaLSアルゴリズムを使用して非負拘束付き最小二乗(NNLS)法で決定した。測定は、90°の角度で行った。
【0184】
方法B:DLS測定を、Nanosizer ZS(Malvern Instruments、Malvern、UK)上で、使い捨て可能なUVキュベット(Brandマクロ、2.5mLおよびBrandセミミクロ1.5mL、Brand GmbH+Co KG、Wertheim、Germany)を使用して行った。データを、Malvern ZetasizerソフトウェアVersion7.10または7.01で処理した。流体力学的半径を非負拘束付き最小二乗(NNLS)法で決定した。測定は、NIBS(非侵襲性後方散乱)モードで173°の角度で行った。
【0185】
方法C:DLS測定を、DynaPro Plate Reader II(Wyatt Technology、Santa Barbara、CA、US)上で、体積の小さい、無処理の、透明な底を有する黒色ポリスチレン384アッセイプレート(Corning、NY、US)を使用して行った。データを、Wyatt Technologyによって提供されるDynamics V 7.1.9.3で処理した。流体力学的半径を、Dynalsアルゴリズムを使用して非負拘束付き最小二乗(NNLS)法で決定した。測定は、830nmのレーザー光源を用いて158°の角度で行った。
【0186】
GLP−1、グルカゴン、およびGIP受容体の効能に対するin vitro細胞アッセイ
受容体に対する化合物のアゴニズムを、ヒトGLP−1、GIPまたはグルカゴン受容体を安定して発現するHEK−293細胞株のcAMP反応を測定する機能的アッセイによって決定した。
【0187】
細胞のcAMP含量を、HTRF(ホモジニアス時間分解蛍光)をベースとしたCisbio Corp.(カタログ番号62AM4PEJ)からのキットを用いて決定した。調製のため、細胞をT175培養フラスコ中に分割し、培地(DMEM/10%FBS)中で一夜増殖させてほぼコンフルエントにした。次いで、培地を除去し、カルシウムおよびマグネシウムを欠くPBSで細胞を洗浄し、引き続きアキュターゼ(Sigma−Aldrich カタログ番号A6964)でプロテイナーゼ処理した。剥離した細胞を洗浄し、アッセイバッファー(1×HBSS;20mM HEPES、0.1% BSA、2mM IBMX)中に再懸濁し、細胞密度を決定した。次いで、これらを400000細胞/mlに希釈し、25μlアリコートを、96ウエルプレートのウエル中に懸濁した。測定のため、アッセイバッファー中の試験化合物25μlをウエルに加え、引き続き室温で30分間インキュベートした。溶解バッファー(キットの構成成分)中に希釈したHTRF試薬を加えた後、プレートを1時間インキュベートし、引き続き665/616nmで蛍光比を測定した。最大反応の50%活性化を引き起こした濃度(EC50)を決定することによって、アゴニストのin vitroの作用強度を定量した。
【0188】
マウスおよびミニブタにおけるエキセンジン−4誘導体を定量するための生物学的分析スクリーニング方法
マウスに1mg/kgを皮下投与(s.c.)する。マウスを屠殺し、適用後0.25、0.5、1、2、4、8、16、および24時間後に血液試料を採取した。タンパク質を沈殿させた後、液体クロマトグラフィー質量分析法(LC/MS)により血漿試料を分析した。PKパラメータおよび半減期を、WinonLinバージョン5.2.1(非コンパートメントモデル)を用いて算出した。
【0189】
Gottinger雌ミニブタに、0.05mg/kg、0.075mg/kg、または0.1mg/kgを皮下投与した(s.c.)。適用後0.25、0.5、1、2、4、8、24、32、48、56、および72時間後に血液試料を採取した。血漿試料を、タンパク質を沈殿させた後、液体クロマトグラフィー質量分析法(LC/MS)によって分析した。PKパラメータおよび半減期を、WinonLin Version5.2.1(ノンコンパートメントモデル)を用いて計算した。
【0190】
マウスにおける胃排出および腸通過
体重が20gから30gの間のNMRI雌マウスを用いる。マウスを、少なくとも1週間、収容条件に順応させる。
【0191】
水は常時摂取可能にしたまま、マウスを一夜絶食させる。試験日、マウスの体重を測り、1匹ずつケージに入れ、30分間、餌500mgを自由に食べさせ、水は除去する。30分の摂食時間の終わりに、残りの餌を除去し、体重を測定する。60分後、着色した、カロリーのないボーラスを、胃管栄養法により胃の中に注入する。試験化合物/基準化合物、または対照群ではビヒクルを皮下投与して、着色したボーラスを投与した場合にCmaxに到達させる。さらに30分後、動物を屠殺し、胃および小腸を準備する。満たされた胃の重量を測定し、空にし、注意深く清浄にし、乾燥させ、再び重量測定する。算出した胃内容物は、胃排出の度合いを指し示す。力を加えずに小腸をまっすぐにし、長さを測定する。次いで、消化管(gut)の胃の始まりから腸内容物のボーラスが最も移動した先端までの距離を測定する。腸通過を、後者の距離と小腸の長さの合計とのパーセントにおける関係として示す。
雌および雄両方のマウスについて、同等のデータを得ることができる。
【0192】
Everstat 6.0で、一元配置のANOVA、引き続き事後検定としてダネットまたはNewman−Keulsによって、統計学的分析をそれぞれ行う。p<0.05レベルの差を、統計学的に有意とみなす。事後検定としてダネット検定を適用して、ビヒクル対照のみに対して比較する。Newman−Keulの検定を全ての対比較に適用する(すなわち、ビヒクルおよび対照群に対して)。
【0193】
マウスにおける餌摂取の自動化評価
体重が20gから30gの間のNMRI雌マウスを用いる。マウスを、少なくとも1週間、収容条件に順応させ、少なくとも1日間、1匹ずつ評価用装置のケージに入れ、そのとき基礎データを同時に記録する。試験日、試験生成物を消灯期(12時間消灯)近くに皮下投与し、後で餌消費量の評価を直接開始する。評価には、22時間にわたる継続的なモニタリング(30分ごと)が含まれる。この手順を数日間にわたって繰り返すことが可能である。評価を22時間に制限したのは、動物の体重を再測定し、餌および水を再充填し、手順の間に薬物を投与するのを可能にする実際的な理由のためである。結果を、22時間にわたって蓄積したデータとして評価し、または30分の間隔に対して差別化することができる。
雌および雄両方のマウスについて、同等のデータを得ることができる。
【0194】
Everstat6.0で、繰返し測定に対する二元配置のANOVA、およびダネットの事後検定によって統計学的分析を行う。p<0.05レベルの差を、統計学的に有意とみなす。
【0195】
食餌誘発性肥満(DIO)C57BL/6雌マウスにおける血中グルコースおよび体重に対する皮下処置後の急性および慢性効果
C57BL/6Harlanマウスを、グループで、特定病原体フリーのバリア設備中12時間の明/暗周期で、水および標準食餌または高脂肪食餌を自由にとらせて収容する。16週間の高脂肪食餌を予め摂取させた後、各群の平均体重が同様になるように、マウスを処置群(n=8)に層別化する。標準固形試料を適宜にとらせた、齢数をマッチさせた群を、標準対照群として含める。処置の開始前に、マウスにビヒクル溶液を皮下(s.c.)注射し、3日間体重測定して手順に順応させる。
【0196】
1)摂食DIO雌マウスにおける血中グルコースに対する急性効果:ビヒクル(リン酸バッファー溶液)またはエキセンジン−4誘導体(リン酸バッファーに溶解)をそれぞれ第1投与(s.c.)する直前に最初の血液試料を採取する。投与体積は5mL/kgである。実験の間、動物に、水および相当する食餌をとらせる。血中グルコースレベルを、t=0時間、t=1時間、t=2時間、t=3時間、t=4時間、t=6時間、およびt=24時間に測定する(方法:Accu−Checkグルコメーター(glucometer))。採血は、麻酔せずに尾の切開によって行う。
【0197】
2)DIO雌マウスにおける体重に対する慢性効果:マウスを、ビヒクルまたはエキセンジン−4誘導体のいずれかで4週間、明期の始めおよび終わりのそれぞれ、毎日2回、朝および夕方にs.c.処置する。体重を毎日記録する。処置を開始する2日前、および26日目、全脂肪体積を核磁気共鳴分析法(NMR)によって測定する。
【0198】
Everstat6.0で、二元配置のANOVAの繰返し測定、およびダネットの事後検定(グルコースプロファイル)、ならびに一元配置のANOVA、引き続きダネットの事後検定(体重、体脂肪)によって統計学的分析を行う。p<0.05レベルの、ビヒクル処置したDIO対照マウスに対する差を、統計学的に有意とみなす。
【0199】
糖尿病dbdb雌マウスにおけるグルコース、HbA1c、および経口グルコース耐性に対する4週間の処置の効果
非絶食時平均グルコース値が10〜30mmol/lであり体重が35〜50gの、糖尿病dbdb雌マウスを用いる。マウスに個々に印をつけ、少なくとも1週間収容条件に順応させる。
【0200】
試験開始7日前、非絶食時グルコースおよびHbA1cに対するベースライン値を測定し、試験開始5日前、マウスをHbA1c値に従って群およびケージに割り当てて(1ケージあたりマウス5匹、1群あたり10匹)、確実に群間に低値および高値が等しく分布するようにする(層別化)。
【0201】
毎日2回、朝および夕方に皮下投与により、マウスを4週間処置する。試験21日目に尾の先端からHbA1c用の血液試料を得、経口グルコース耐性を4週目に評価する。
【0202】
経口グルコース耐性試験を、前もって化合物を余計に投与せずに朝に行って、慢性処置および急性未満の化合物投与の効果を主に評価する。経口グルコース投与(2g/kg、t=0分)4時間前に、マウスを絶食させる。グルコース投与前、および15、30、60、90、120、および180分に血液試料を採取する。最終の採血後に摂食を回復する。結果を、ベースラインからの、グルコースはmmol/lにおけるおよびHbA1cは%単位の変化として表す。
【0203】
Everstatバージョン6.0でSASに基づき、一元配置のANOVAにより、引き続きダネットの事後検定により、ビヒクル対照に対して、統計学的分析を行う。p<0.05レベルの差を、統計学的に有意とみなす。
【0204】
非絶食糖尿病dbdb雌マウスにおけるグルコース低下
非絶食時の平均グルコース値が20〜30mmol/lであり体重が35〜50gである糖尿病dbdb雌マウスを用いる。マウスに個々に印をつけ、少なくとも1週間収容条件に順応させる。
【0205】
試験開始3〜5日前、マウスを非絶食時のグルコース値に従って群およびケージに割り当てて(1ケージあたりマウス4匹、1群あたり8匹)、確実に群間に低値および高値が等しく分布するようにする(層別化)。試験日、マウスの体重を測り、投与する(t=0)。化合物を投与する直前に餌を除去したが、水は依然として摂取可能とし、尾の切開で第一の血液試料を採取する(ベースライン)。30、60、90、120、240、360、および480分に、尾の切開でさらなる血液試料を採取する。
【0206】
Everstatバージョン6.0でSASに基づき、繰返し測定の二元配置のANOVA、引き続きダネットの事後検定により、ビヒクル対照に対して、統計学的分析を行う。p<0.05レベルの差を、統計学的に有意とみなす。
【実施例】
【0207】
本発明を以下の実施例によってさらに説明する。
【0208】
(実施例1)
配列番号6の合成
方法に記載しているような固相合成を、Novabiochem Rink−Amide樹脂(4−(2’,4’−ジメトキシフェニル−Fmoc−アミノメチル)−フェノキシアセトアミド−ノルロイシルアミノメチル樹脂)、100〜200メッシュ上で0.23mmol/gをロードして行った。Fmoc合成の戦略をHBTU/DIPEA活性化とともに適用した。14位にFmoc−Lys(ivDde)−OHおよび1位にBoc−His(Trt)−OHを固相合成プロトコールにおいて使用した。ivDde基を、文献(S.R.Chhabraら、Tetrahedron Lett.1998年、39巻、1603〜1606頁)に従って樹脂上のペプチドから切断した。この後、DIPEAを塩基として用いて、Palm−gGlu−gGlu−OSuを、遊離したアミノ基にカップリングさせた。ペプチドを、Kingのカクテル(D.S.King、C.G.Fields、G.B.Fields、Int.J.Peptide Protein Res.1990年、36巻、255〜266頁)で樹脂から切断した。粗製生成物を、アセトニトリル/水勾配(両方とも0.1%TFAを含むバッファー)を用いてWatersカラム(XBridge、BEH130、Prep C18 5μM)上の分取HPLCによって精製した。精製したペプチドをLCMSによって分析した(方法A)。
保持時間11.30分のピークのもとに見出された質量シグナルの逆重畳積分により、ペプチドの質量は4782.6であることが明らかになり、これは予想値である4782.6と一致する。
【0209】
(実施例2)
配列番号7の合成
方法に記載しているような固相合成を、Novabiochem Rink−Amide樹脂(4−(2’,4’−ジメトキシフェニル−Fmoc−アミノメチル)−フェノキシアセトアミド−ノルロイシルアミノメチル樹脂)、100〜200メッシュ上で0.23mmol/gをロードして行った。Fmoc合成の戦略をHBTU/DIPEA活性化とともに適用した。14位にFmoc−Lys(ivDde)−OHおよび1位にBoc−His(Trt)−OHを固相合成プロトコールにおいて使用した。ivDde基を、文献(S.R.Chhabraら、Tetrahedron Lett.1998年、39巻、1603〜1606頁)に従って樹脂上のペプチドから切断した。この後、DIPEAを塩基として用いて、Palm−gGlu−gGlu−OSuを、遊離したアミノ基にカップリングさせた。ペプチドを、Kingのカクテル(D.S.King、C.G.Fields、G.B.Fields、Int.J.Peptide Protein Res.1990年、36巻、255〜266頁)で樹脂から切断した。粗製生成物を、アセトニトリル/水勾配(両方とも0.1%TFAを含むバッファー)を用いてWatersカラム(XBridge、BEH130、Prep C18 5μM)上の分取HPLCによって精製した。精製したペプチドをLCMSによって分析した(方法A)。
保持時間10.77分のピークのもとに見出された質量シグナルの逆重畳積分により、ペプチドの質量は4768.6であることが明らかになり、これは予想値である4768.6と一致する。
【0210】
類似の方法で、表3にリストされたペプチドを合成し、特徴付けた。
【0211】
【表4】
【0212】
(実施例3aおよび3b)
配列番号6および配列番号7の代替の合成。
実施例3a:構成単位(2S)−6−[[(4S)−5−tert−ブトキシ−4−[[(4S)−5−tert−ブトキシ−4−(ヘキサデカノイルアミノ)−5−オキソ−ペンタノイル]アミノ]−5−オキソ−ペンタノイル]アミノ]−2−(9H−フルオレン−9−イルメトキシカルボニルアミノ)ヘキサン酸の合成
【化1】
【0213】
WuXi AppTecから得た、20gのO1−tert−ブチルO5−(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)(2S)−2−[[(4S)−5−tert−ブトキシ−4−(ヘキサデカノイルアミノ)−5−オキソ−ペンタノイル]アミノ]ペンタンジオアートを200mlの酢酸エチル中に懸濁した。並行して、12gのFmoc−Lys−OHを100mlの酢酸エチル中に懸濁し、13mlのエチルジイソプロピルアミンを添加した。両方のパーツを合わせ、その後、さらなる酢酸エチル(50ml)を添加し、室温で撹拌した。3時間の撹拌後、追加の5mlのエチルジイソプロピルアミンを添加した。懸濁液を20時間撹拌した。懸濁液を濾過して、それぞれ200mlの10%クエン酸溶液で2回抽出し、その後、200mlのブラインで1回抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた。硫酸ナトリウムを濾別して、溶液を乾燥状態まで蒸発させた。
【0214】
残りの固体を560mlのメタノールで取り、140mlの水をゆっくりと添加した。4時間の撹拌後、沈殿物を濾別し、100mlのメタノール/水(4:1)で1回洗浄した。生成物を減圧下で乾燥して、21gの(2S)−6−[[(4S)−5−tert−ブトキシ−4−[[(4S)−5−tert−ブトキシ−4−(ヘキサデカノイルアミノ)−5−オキソ−ペンタノイル]アミノ]−5−オキソ−ペンタノイル]アミノ]−2−(9H−フルオレン−9−イルメトキシカルボニルアミノ)ヘキサン酸を得た。算出したMW=976.5g/mol、MW実測値[M+H]
+=977.5g/mol。
【0215】
構成単位Boc−L−His(Trt)−Aib−OHの合成
【化2】
【0216】
2.5gのBoc−L−His(Trt)−OHを25mlの酢酸エチル中に懸濁し、1.55gのH−Aib−OBzl×HClおよび2.3gのHBTU、その後、2.6mlのN−エチルモルホリンを添加した。懸濁液を4.5時間撹拌した。混合物を、次いで、20mlの8%炭酸水素ナトリウム溶液で3回抽出し、その後、水で1回洗浄した。相を分離して、有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させた。乾燥剤の除去後、溶液を乾燥状態まで蒸発させて、>90%の純度でBoc−L−His(Trt)−Aib−OBzlからなる4.5gの黄色油状物を得た。
【0217】
4.3gのBoc−L−His(Trt)−Aib−OBzlを30mlのTHFおよび3mlの酢酸エチル中に溶解した。0.43gの水素化触媒Pd/C(5%)を添加して、バルーンを使用して大気の水素圧で化合物を30℃で2時間水素化した。触媒を濾別し、30mlの酢酸エチルで洗浄した。沈澱が生じるまで数時間、溶液を撹拌した。沈澱物を濾別して減圧下で乾燥させ、2.45gのBoc−L−His(Trt)−Aib−OHを得た。
【0218】
これらの構成単位を使用して、方法に記載しているように、配列番号6、配列番号7または他の相当するペプチドを合成することができる。
【0219】
構成単位(2S)−6−[[(4S)−5−tert−ブトキシ−4−[[(4S)−5−tert−ブトキシ−4−(ヘキサデカノイルアミノ)−5−オキソ−ペンタノイル]アミノ]−5−オキソ−ペンタノイル]アミノ]−2−(9H−フルオレン−9−イルメトキシカルボニルアミノ)ヘキサン酸および構成単位Boc−L−His(Trt)−Aib−OHを用いた配列番号6の合成
方法に記載しているような固相合成を、Agilent Rink−Amide樹脂4−[(2,4−ジメトキシフェニル)(Fmoc−アミノ)メチル]フェノキシアセトアミドメチル樹脂上で0.27mmol/gのローディングで行った。Fmoc合成の戦略をHBTU/DIPEA活性化とともに適用した。14位において(2S)−6−[[(4S)−5−tert−ブトキシ−4−[[(4S)−5−tert−ブトキシ−4−(ヘキサデカノイルアミノ)−5−オキソ−ペンタノイル]アミノ]−5−オキソ−ペンタノイル]アミノ]−2−(9H−フルオレン−9−イルメトキシカルボニルアミノ)ヘキサン酸を3倍過剰でHBTU/DIPEA活性化を用いてカップリングさせ、ニンヒドリン試験によって陰性の結果(Kaiser、Colescott、Bossinger、Cook、Analytical Biochemistry 34巻、1970年、595頁以降)が示されるまでカップリング時間を調節した。1および2位には構成単位Boc−L−His(Trt)−Aib−OHを3倍過剰で、やはりHBTU/DIPEA活性化を用いて適用して、ニンヒドリン試験によって陰性の結果が示されるまでカップリング時間を調節した。ペプチドを、Kingのカクテル(King、Fields、Fields、Int.J.Peptide Protein Res.36巻、1990年、255〜266頁)で樹脂から切断した。粗製生成物が得られた(算出した平均MW=4785.6g/mol;平均MW実測値=4785.7g/mol)。粗製ペプチドを、方法のもとに記載のように精製した。
【0220】
実施例3b:構成単位(2S)−6−[[(4S)−5−tert−ブトキシ−4−[[(4S)−5−tert−ブトキシ−4−(ヘキサデカノイルアミノ)−5−オキソ−ペンタノイル]アミノ]−5−オキソ−ペンタノイル]アミノ]−2−(9H−フルオレン−9−イルメトキシカルボニルアミノ)ヘキサン酸および構成単位Boc−L−His(Trt)−Aib−OHを用いた配列番号7の合成
方法に記載しているような固相合成を、Agilent Rink−Amide樹脂4−[(2,4−ジメトキシフェニル)(Fmoc−アミノ)メチル]フェノキシアセトアミドメチル樹脂上で0.27mmol/gのローディングで行った。Fmoc合成の戦略をHBTU/DIPEA活性化とともに適用した。14位において(2S)−6−[[(4S)−5−tert−ブトキシ−4−[[(4S)−5−tert−ブトキシ−4−(ヘキサデカノイルアミノ)−5−オキソ−ペンタノイル]アミノ]−5−オキソ−ペンタノイル]アミノ]−2−(9H−フルオレン−9−イルメトキシカルボニルアミノ)ヘキサン酸を3倍過剰でHBTU/DIPEA活性化を用いてカップリングさせ、ニンヒドリン試験によって陰性の結果(Kaiser、Colescott、Bossinger、Cook、Analytical Biochemistry 1970年、34巻、595〜598頁)が示されるまでカップリング時間を調節した。1および2位には構成単位Boc−L−His(Trt)−Aib−OHを3倍過剰で、やはりHBTU/DIPEA活性化を用いて適用して、ニンヒドリン試験によって陰性の結果が示されるまでカップリング時間を調節した。ペプチドを、Kingのカクテル(King、Fields、Fields、Int.J.Peptide Protein Res.1990年、36巻、255〜266頁)で樹脂から切断した。粗製生成物が得られた(算出した平均MW=4771.6g/mol;平均MW実測値=4771.3g/mol)。粗製ペプチドを、方法のもとに記載のように精製した。
【0221】
(実施例4)
安定性および溶解性
ペプチド化合物の溶解性および安定性を、「方法」に記載した通りに評価した。結果を表4に示す。
【0222】
【表5】
【0223】
(実施例5)
GLP−1、GIP、グルカゴンおよびGIP受容体に対するin vitroのデータ
GLP−1、グルカゴン、およびGIP受容体でのペプチド化合物の作用強度を、ヒトグルカゴン受容体(hグルカゴン R)、ヒトGIP受容体(hGIP−R)、またはヒトGLP−1受容体(hGLP−1 R)を発現する細胞を、「方法」に記載した通りに、濃度を増大させながら列挙する化合物に曝露し、形成したcAMPを測定することによって測定した。
【0224】
結果を表5に示す。
【0225】
【表6】
【0226】
(実施例6)
比較試験
27および34位にAibアミノ酸、32位にProならびに35および39位にLysを有する、選択された本発明のエキセンジン−4誘導体を、これらの部位に天然のエキセンジン−4のアミノ酸残基(Lys27、Ser32、Gly34、Ala35、Ser39)を有し、かつ他の点では同一のアミノ酸配列を有する相当する化合物に対して試験した。基準の対の化合物、ならびにGLP−1、グルカゴン、およびGIP受容体における相当するEC50値(pMにおいて示す)を表6に示す。示す通り、本発明のエキセンジン−4誘導体は、天然のエキセンジン−4同様のアミノ酸を有する相当する誘導体に比べて、それらのGLP−1R活性を保ったまま、GIP受容体に対する活性の低下を示す。
【0227】
【表7】
【0228】
(実施例7)
食餌誘発性肥満(DIO)C57BL/6雌マウスにおける配列番号6および配列番号7で皮下処置後の、血中グルコースおよび体重に対する急性および慢性効果
1)グルコースプロファイル
採血後、血中グルコースのベースラインレベルを決定するために、摂食させた(fed)食餌誘発性肥満C57BL/6雌マウスに配列番号6 50μg/kg、配列番号7 50μg/kg、またはリン酸緩衝溶液(標準食餌もしくは高脂肪食餌に対するビヒクル対照)を皮下投与した。予め規定した時間点に、さらなる血液試料を採取して血中グルコースを測定し、24時間にわたる血中グルコースプロファイルを生成した。配列番号6および配列番号7は、DIO対照マウスに比べて、化合物投与後t=1、2、3、4、6、および24時間の時間点に、血中グルコースにおける有意な低下を実証した(p<0.0001、1−W−ANOVA−RM、ダネットの事後検定;
図4;平均値±SEM)。
【0229】
2)体重
肥満C57BL/6雌マウスに4週間、配列番号6 50μg/kg、配列番号7 50μg/kg、またはビヒクルを毎日2回皮下処置した。体重を毎日記録し、処置の開始前および4週間後、体脂肪含量を決定した。
【0230】
配列番号6 50μg/kgでの処置は、DIOビヒクル対照マウスに比べた場合、7日目に始め、試験の終わりまで続く、毎日の体重における統計学的に有意な低下を示した(試験の終わりまでp<0.0001)。配列番号7 50μg/kgでの処置は、DIOビヒクル対照マウスに比べた場合、5日目に始め、試験の終わりまで続く、体重を有意に低下させた(試験の終わりまでp<0.0001、表7、
図1および2)。これらの変化は、体脂肪含量における絶対的な変化により示される通り、体脂肪における低下に起因した(表7、
図3)。
【0231】
【表8】
【0232】
(実施例8)
食餌誘発性肥満(DIO)C57BL/6雌マウスにおける配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、および配列番号15の皮下処置後の血中グルコースおよび体重に対する急性および慢性効果
1)グルコースプロファイル
採血後、血中グルコースのベースラインレベルを決定するために、摂食させた食餌誘発性肥満C57BL/6雌マウスに、配列番号8 50μg/kg、配列番号9 50μg/kg、配列番号10 50μg/kg(
図7a)、配列番号11 50μg/kg、配列番号15 50μg/kg(
図7b)、またはリン酸緩衝溶液(標準食餌もしくは高脂肪食餌に対するビヒクル対照)を皮下投与した。予め規定した時間点に、さらなる血液試料を採取して血中グルコースを測定し、24時間にわたる血中グルコースプロファイルを生成した。
【0233】
すべての化合物は、DIO対照マウスに比べて、化合物投与後t=1、2、3、4、6および24時間の時間点に、血中グルコースにおける有意な低下を実証した(t=0時間、p<0.0001、1−W−ANOVA−RM、ダネットの事後検定;
図7aおよびb、平均値±SEM)。
【0234】
2)体重および摂食量
肥満C57BL/6雌マウスにそれぞれ50μg/kgの配列番号8、50μg/kgの配列番号9および50μg/kgの配列番号10またはビヒクル(
図5aおよび6a)ならびに50μg/kgの配列番号11および50μg/kgの配列番号15またはビヒクル(
図5bおよび6b)を1日2回、2週間皮下処置した。
【0235】
体重および摂食量を毎日記録した。
【0236】
すべての化合物は、DIOビヒクル対照マウスに比べた場合、6日目に始め、試験の終わりまで続く、毎日の体重における統計学的に有意な低下を示した(試験の終わりまでp<0.0001、表8、
図5aおよびbならびに6aおよびb)。これらの変化は、摂食量における初期の低下に起因しており、長い試験期間中に摂食量が回復したにもかかわらず維持された(
図8aおよび8b)。
【0237】
【表9】
【0238】
【表10】