特許第6873213号(P6873213)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6873213
(24)【登録日】2021年4月22日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】導電性熱可塑性ポリウレタン
(51)【国際特許分類】
   C08L 75/08 20060101AFI20210510BHJP
   C08G 18/48 20060101ALI20210510BHJP
   C08G 18/66 20060101ALI20210510BHJP
   C08G 18/73 20060101ALI20210510BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
   C08L75/08
   C08G18/48 050
   C08G18/48 004
   C08G18/66 074
   C08G18/73
   C08L101/00
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2019-202932(P2019-202932)
(22)【出願日】2019年11月8日
(62)【分割の表示】特願2016-523943(P2016-523943)の分割
【原出願日】2014年10月14日
(65)【公開番号】特開2020-56028(P2020-56028A)
(43)【公開日】2020年4月9日
【審査請求日】2019年12月6日
(31)【優先権主張番号】13188767.1
(32)【優先日】2013年10月15日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエイエスエフ・ソシエタス・エウロパエア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】シェファー,フランク
(72)【発明者】
【氏名】ミンダー,エルンスト
(72)【発明者】
【氏名】ケムプフェルト,ディルク
(72)【発明者】
【氏名】バール,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ヒンリヒス,コルネリア
(72)【発明者】
【氏名】オルトマンス,アンヤ
【審査官】 佐藤 貴浩
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−513676(JP,A)
【文献】 特開2001−114859(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0221474(US,A1)
【文献】 特表2009−526109(JP,A)
【文献】 特開2013−053265(JP,A)
【文献】 特開2001−354748(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00−101/14
C08G18/00− 18/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のポリマー、及び
熱可塑性ポリウレタンを含む組成物を含む混合物であって、前記熱可塑性ポリウレタンが、
a)ジイソシアネート、
b)ポリオールA及びポリオールBを含むポリオール、及び、
c)鎖延長剤、
から製造され、
1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムイオン(BMIM)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムイオン(EMIM)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデス−7−エン(DBU)又は1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エンのモノプロトン化形態より選択されるイオン液体が前記組成物に含まれ、前記ジイソシアネートが脂肪族及び/又は脂環式ジイソシアネートであり、前記鎖延長剤がアルカンジオールであることを特徴とする組成物であり、
前記少なくとも1種のポリマーが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリオキシメチレン、エチレン酢酸ビニル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリ塩化ビニル、前記組成物と異なる熱可塑性ポリウレタンからなる群から選択され、且つ
前記ポリオールAが、ポリプロピレンオキシドとポリエチレンオキシドとのコポリマーであり、前記ポリオールBが、ポリテトラメチレングリコールである、
前記混合物。
【請求項2】
前記イオン液体が、熱可塑性ポリウレタン中に基づいて、0.1質量%〜25質量%の量で含まれる請求項1に記載の混合物。
【請求項3】
前記イオン液体が、熱可塑性ポリウレタン中に基づいて、2質量%〜5質量%の量で含まれる請求項1に記載の混合物。
【請求項4】
前記鎖延長剤が、1,3−プロパンジオールと1,4−ブタンジオール、又は1,3−プロパンジオールと1,6−ヘキサンジオール、又は1,4−ブタンジオールと1,6−ヘキサンジオール、又は1,6−ヘキサンジオールからなる群から選択される請求項1から3のいずれか一項に記載の混合物。
【請求項5】
前記ジイソシアネートが脂肪族ジイソシアネートである請求項1から4のいずれか一項に記載の混合物。
【請求項6】
前記組成物が、1質量%を超えて50質量%未満の割合混合物含まれる、請求項1〜5のうちいずれか1項に記載の混合物。
【請求項7】
前記組成物が、15質量%を超えて30質量%未満の割合混合物含まれる、請求項1〜5のうちいずれか1項に記載の混合物。
【請求項8】
熱可塑性ポリウレタンを含む組成物であって、前記熱可塑性ポリウレタンが、
a)ジイソシアネート、
b)ポリオールA及びポリオールBを含むポリオール、及び、
c)鎖延長剤、
から製造され、
1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムイオン(BMIM)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムイオン(EMIM)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデス−7−エン(DBU)又は1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エンのモノプロトン化形態より選択されるイオン液体が前記組成物に含まれ、前記ジイソシアネートが脂肪族及び/又は脂環式ジイソシアネートであり、前記ポリオールAがポリプロピレンオキシドとポリエチレンオキシドとのコポリマーであり、前記ポリオールBがポリテトラメチレングリコールであり、前記鎖延長剤がアルカンジオールであることを特徴とする組成物を、ポリマーの導電性向上剤として使用する方法。
【請求項9】
熱可塑性ポリウレタンを含む組成物であって、前記熱可塑性ポリウレタンが、
a)ジイソシアネート、
b)ポリオールA及びポリオールBを含むポリオール、及び、
c)鎖延長剤、
から製造され、
1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムイオン(BMIM)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムイオン(EMIM)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデス−7−エン(DBU)又は1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エンのモノプロトン化形態より選択されるイオン液体が前記組成物に含まれ、前記ジイソシアネートが脂肪族及び/又は脂環式ジイソシアネートであり、前記ポリオールAがポリプロピレンオキシドとポリエチレンオキシドとのコポリマーであり、前記ポリオールBがポリテトラメチレングリコールであり、前記鎖延長剤がアルカンジオールであることを特徴とする組成物
の製造方法であって、前記熱可塑性ポリウレタンが工程Aで製造され、この熱可塑性ポリウレタンが工程Bでイオン液体と混合されることを特徴とする製造方法。
【請求項10】
請求項1から7のいずれか一項に記載の混合物の製造方法であって、前記熱可塑性ポリウレタンが工程Aで製造され、この熱可塑性ポリウレタンが工程Bでイオン液体と混合され、工程A及びBからの生成物がポリマーと混合されることを特徴とする製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性ポリウレタン、及びポリマーの導電性を向上することに使用される塩及び/又はイオン液体を含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマーに強静電的帯電が与えられ、ポリマーの低導電性によって一旦加えられた電荷がゆっくりなくなっていくことが起こり得ることは、公知である。
【0003】
静電気により粒子が周囲から引き寄せられる結果として、表面の汚れの発生が加速される。これらの材料の単に外観的な阻害に加えて、ポリマーの静電的帯電はポリマー材料を互いに接着させることも引き起こす。ここで、この接着は、例えば、ポリマー材料の凝集又はフィルムの接着であり、これらに製造の困難性がよくもたらされる。電子部品が過度の高電流で破壊されるので、同様に、静電的に帯電したポリマーの影響は電子部品の製造の問題になる。
【0004】
最後に、ポリマーの静電的帯電は、人間又は大気に放出され、その結果として火花が生じる。これは、特に爆発性混合物が同時に保存される場所において、重大な爆発を既に引き起こった。
【0005】
このため、ポリマーの静電的帯電を除去する解決策の探求がなされている。
【0006】
静電荷が、表面導電性を向上させる添加剤の添加により制限されることは公知である。しかしながら、これらの添加剤は、低い大気湿度で実質的に無効である欠点を有する。さらに、通常、これらは低分子量の静電気防止剤であり、それらの高い極性に起因して基板との適合性(compatibility)は低い。これは、導電性に有利な移動度(mobility)と組み合わせて、添加剤の洗い落しを引き起こす。結果として、ポリマーの静電気防止特性は低下する。
【0007】
また、このため、低い大気湿度でも有効である添加剤が長期間使用された。通常、これは、体積導電率(volume conductivity)の増大により、換言すれば、表面だけでなくポリマー全体の導電性の向上により達成される。体積導電率を増大させるために広く用いられている添加剤は、例えば、カーボンブラック又は金属粉末である。しかしながら、これらの添加剤は、ポリマーの機械的特性をかなりの程度まで変える。よく、静電気防止又は摩耗の増加を与えられたポリマーにおける剛性の増加を有する。特に、透明なポリマーの場合、カーボンブラック又は金属粉末などの添加剤は使用されない。
【0008】
永久的な静電気防止効果を達成するために、EP 0 613 919 A1は、特にポリエーテルエステルアミドを熱可塑性ポリマーの静電気防止添加剤として使用することを提案する。特定の実施態様において、アルカリ金属ハロゲン化物又はアルカリ土類金属ハロゲン化物が、さらに添加される。
【0009】
EP0829520B1は、導電性ポリマー又はコポリマーが、実質的に繊維に吸収的に結合され又はそれに溶解されるように熱可塑性又は弾性の基板に導入され、繊維が不溶である該熱可塑性又は弾性の基板中にそれと共に導電回路網(network)を形成する他のイオン伝導可能なポリマー又はコポリマーを共に有する繊維形成又は繊維有機の非導電性ポリマー材料を開示する。
【0010】
イオン伝導可能なポリマー又はコポリマーの亜区(subregion)は、無機又は有機プロトン酸の塩を複合又は溶媒和することができる極性基(polar groups)を有する。該繊維形成又は繊維有機の非導電性ポリマー材料は、それが熱可塑性又は弾性の基板に溶解することがなく、互いに接触している繊維の回路網のような構造を形成し得るように選択されなければならない。非導電性ポリマー材料及びイオン伝導可能なポリマー(化合物)の分離及び層間剥離の場合、不適合性(incompatibility)、並びに、その結果として、該化合物の光学的及び機械的特性の劣化が起こる。
【0011】
EP2227391は、導電性の多層構造を開示する。ここで、導電層は、ポリエチレングリコール(PEG)をベースとする熱可塑性ポリウレタンをベースとする。まず、プロセス工学の観点から、第2ポリマーを有するポリマーのコーティングは、複合(compounding)よりかなり複雑である。同時に、PEGをベースとする熱可塑性ポリウレタンは、他の、特に無極性層への接着性が悪い。これは、無極性層中で電荷の部分的な蓄積(buildup)をもたらし、該蓄積が自発放電を引き起こし、その結果として機能不全(failure of function)を引き起こす。
【0012】
EP1984438又はEP2170972は、TPU中のイオン液体の有効性を開示する。まず、ここで記載の製造方法の欠点は、イオン液体の高い極性が原因となって使用が有極性のポリマーに制限されることである。ごく僅かなイオン液体のみは、無極性ポリマーに組み込まれ、その結果として実際面でポリマーの導電性は不十分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】EP 0 613 919 A1
【特許文献2】EP0829520B1
【特許文献3】EP2227391
【特許文献4】EP1984438
【特許文献5】EP2170972
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
記載された導電性向上剤に関する前記制限のために、静電気防止効果を有し、生態学的問題がなく、且つ、ポリマー(特に、無極性ポリマー)の体積導電率を増大するために低い大気湿度で有効である添加剤への重大な関心を有する。この添加剤は、容易に製造され、容易にポリマーに組み込まれ又はそれに混合できるべきである。達成されるポリマーの体積導電率は長期間に亘って維持されるべきであり、該添加剤は大きな制限がなく少量で全ての市販のポリマーに使用され、且つ、その光学的及び機械的特性をただ僅かに損なうべきである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
驚いたことに、この目的は、熱可塑性ポリウレタンを含む組成物により実現され、前記熱可塑性ポリウレタンは、任意に触媒及び任意に添加剤及び/又は補助剤をさらに含むものを用いて、a)ジイソシアネート、ポリオールA及びポリオールBを含むb)ポリオール、及びc)鎖延長剤から製造され、そのうち、塩及び/又はイオン液体、好ましくはイオン液体が組成物に含まれ、ポリオールAがエトキシ基及びプロポキシ基を含み、ポリオールBがブトキシ基を含む。
【0016】
さらに、本発明は、本発明の組成物の製造方法、本発明の組成物を導電性向上剤として使用する方法、及び導電性向上剤としての使用のために特別に開発された熱可塑性ポリウレタンを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
該組成物が他のポリマーを含む場合、熱可塑性ポリウレタンは、塩及び/又はイオン液体と共に、電荷がポリマーから流出できる導電性トラック(tracks)を形成する回路網を形成する。ここで、本発明の熱可塑性ポリウレタンは、無極性及び極性ポリマーに同様に適用である。特定の利点は、それがごく少ない導電性向上剤を有する無極性ポリマーに非常に容易に組み込まれることである。同時に、ポリマー中に導電性回路網を形成できるように塩及び/又はイオン液体などのイオ源を受けるために、本発明の熱可塑性ポリウレタンは十分な極性を有する。
【0018】
これまでTPUと不適合と考えられたポリマー、例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)及びアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)に静電気防止熱可塑性ポリウレタンを使用することは、初めて可能になった。
【0019】
特に、ほぼ全てのポリマーへの優れた適合性は、熱可塑性ポリウレタン中のポリオールの特定の構成により達成された。該ポリオールはポリオールA及びポリオールBを含み、そのうち、ポリオールAがエトキシ基及びプロポキシ基を含み、ポリオールBがブトキシ基を含む。
【0020】
導電性の増大に使用される熱可塑性ポリウレタンが高分子量化合物であるので、ポリマーの特定の硬化静電気防止処理は可能となる。
【0021】
熱可塑性ポリウレタン、塩及び/又はイオン液体の他にポリマーを含む組成物の特性、例えば熱安定性、光安定性及び耐加水分解性は同程度である。ほとんどの場合、ポリマーの特性は、実質的に影響を受けないままである。
【0022】
また、熱可塑性ポリウレタン及び塩及び/又はイオン液体の低い添加量の範囲で、光学特性は少しだけ変えられ、透明で自然色の材料は実質的に透明又は自然色のままであり、これは多くの分野の使用に対して非常に重要である。
【0023】
熱可塑性ポリウレタンの典型的な製造及び処理方法に基づいて製造されるTPUをベースとする静電気防止のマスターバッチは、他のポリマーをベースとする同程度の系よりかなり安価に製造される。
【0024】
上記の有利な効果は、下記の好ましい実施態様でさらに証明される。
【0025】
発明の詳細な説明
本発明は、熱可塑性ポリウレタンを含む組成物を提供し、前記熱可塑性ポリウレタンが、任意に触媒及び任意に添加剤及び/又は補助剤をさらに含むものを用いて、
a)ジイソシアネート、
b)ポリオールA及びポリオールBを含むポリオール、並びに、
c)鎖延長剤、
から製造され、塩及び/又はイオン液体、好ましくはイオン液体が組成物に含まれ、ポリオールAがエトキシ基及びプロポキシ基を含み、ポリオールBがブトキシ基を含む。
【0026】
さらに、本発明は、任意に触媒及び任意に添加剤及び/又は補助剤をさらに含むものを用いて、a)ジイソシアネート、ポリオールA及びポリオールBを含むb)ポリオール、及びc)鎖延長剤から製造される熱可塑性ポリウレタンを提供し、ポリオールAがエトキシ基及びプロポキシ基を含み、ポリオールBがブトキシ基を含む。
【0027】
熱可塑性ポリウレタン自体は十分に知られている。それらは、任意に触媒及び/又は添加剤及び/又は補助剤を用いて、(a)イソシアネートをポリオールとも称される化合物(b)及び任意に0.05x10g/mol〜0.499x10g/molの分子量を有する鎖延長剤と反応することにより製造され、化合物(b)がイソシアネートとの反応性及び0.5x10 g/mol〜300x10g/molの数平均分子量を有する。
【0028】
成分(a)イソシアネート、(b)ポリオールとも称され、且つ、イソシアネートとの反応性を有する化合物、及び(c)鎖延長剤は、それぞれに又はまとめて形成成分(formative component)とも称される。
【0029】
有機イソシアネートとして、好ましくは、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族及び/又は芳香族のイソシアネート、好ましくはジイソシアネート、より好ましくは脂肪族ジイソシアネート、より好ましくはトリムエチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン及び/又はオクタメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2−メチルペンタメチレン1,5−ジイソシアネート、2−エチルブチレン1,4−ジイソシアネート、ペンタメチレン1,5−ジイソシアネート、ブチレン1,4−ジイソシアネート、1−イソシアナート−3,3,5−トリムエチル−5−イソシアナートメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1,4−及び/又は1,3−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン(HXDI)、シクロヘキサン1,4−ジイソシアネート、1−メチルシクロヘキサン2,4−及び/又は2,6−シクロヘキサンジイソシアネート及び/又はジシクロヘキシルメタン4,4’−、2,4’−及び2,2’−ジイソシアネート(H12MDI)、及び/又は2,4−テトラメチレンキシレンジイソシアネート(TMXDI)、を使用することである。より好ましくは、ジイソシアネートは、ペンタメチレン1,5−ジイソシアネート、ヘキサメチレン1,6−ジイソシアネート(HDI)、1−イソシアナート−3,3,5−トリムエチル−5−イソシアナートメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、シクロヘキサン1,4−ジイソシアネート、1−メチルシクロヘキサン2,4−及び2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、並びに、ジシクロヘキシルメタン4,4’−、2,4’−及び2,2’−ジイソシアネート(H12MDI)からなる群から選択される。特に好ましくは、ヘキサメチレンジイソシアネート、特に1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)である。
【0030】
イソシアネートとの反応性を有する化合物(b)として、好ましくは、「ポリオール」という用語にも属するポリエステルオール又はポリエーテルオールの使用である。好ましくはポリエーテルオールである。これらのポリオールの数平均分子量は、0.5x10kg/mol〜8x10kg/mol、好ましくは0.6x10kg/mol〜5x10kg/mol、特に0.8x10kg/mol〜3x10kg/molの範囲である。好ましくは、該ポリオールは、1.8〜2.4、好ましくは1.9〜2.2、特に1.95〜2.05の範囲の平均官能価を有する。好ましくは、ポリオール(b)は第1級ヒドロキシル基のみを有する。
【0031】
本発明により、ポリオールは、少なくとも2種のポリオール、換言すれば、ポリオールA及びポリオールBを含み、ポリオールAがエトキシ基及びプロポキシ基を含み、ポリオールBがブトキシ基を含む。
【0032】
好ましい実施態様において、それぞれの場合、組成物1中のエトキシ基及びプロポキシ基とブトキシ基とのモルパーセントは、ポリオールの合計のモル質量(mole weight)に基づいて、少なくとも5モル%、好ましくは少なくとも10モル%である。さらに好ましくは、同時に、組成物1中のエトキシ基の割合は、ポリオールの合計に基づいて、少なくとも25モル%、好ましくは少なくとも40モル%、より好ましくは少なくとも60モル%、特に好ましくは少なくとも65モル%である。
【0033】
特に好ましくは、ポリオールの合計に基づいて、エトキシ基のモルパーセントは70モル%〜75モル%の範囲であり、プロポキシ基の割合は12モル%〜18モル%の範囲であり、ブトキシ基の割合は12モル%〜18モル%の範囲である。
【0034】
モルパーセントの測定は、ASTM D4875−11(2011)ポリウレタン原材料の標準試験方法:ポリエーテルポリオールの重合エチレンオキシドの含有量の測定に従ってH NMRにより行われる。
【0035】
さらに好ましくは、組成物1中のポリオールBはホモポリマーである。ホモポリマーは、実質的に1種のモノマー基のみからなり、換言すれば、任意の他のモノマーを基本的に含まないポリマーである。「基本的に」は、少なくとも95モル%、より好ましくは少なくとも97.5モル%、特に好ましくは少なくとも99モル%のホモポリマーが1種のモノマー基のみからなることを意味する。
【0036】
さらに、好ましくは、組成物1中のポリオールAは、1つのブロック(block)及び2つの末端を有するブロックコポリマーであり、そのうち、該ブロックがエトキシ基及びプロポキシ基を含み、該ブロックコポリマーの2つの末端がエトキシ基のみを含む。このブロックコポリマーにおいて、好ましくは、ブロックコポリマーの合計の数平均分子量に基づいて、ブロックコポリマーの2つの末端のエトキシ基の割合は、5モル%を超え、好ましくは少なくとも10モル%、特に好ましくは少なくとも15モル%である。最も好ましくは、ブロックコポリマーの末端は、ブロックコポリマーの合計に基づいて、10モル%〜20モル%のエトキシ基を含み、ブロックコポリマーのブロックは、ブロックコポリマーの合計に基づいて、60モル%〜70モル%の範囲のエトキシ基及びさらに15モル%〜20モル%の範囲のプロポキシ基を含む。
【0037】
ポリオールAは、所望の環状アルキレンオキシド、本発明の場合にはエチレンオキシド及びプロピレンオキシドを、該環状アルキレンオキシドが開環重合してプレポリマーを生成するように、第1工程で反応器で二官能性スターター分子に添加することにより製造される。好ましくは、2つのOH基、好ましくは第1級OH基を有するスターター分子の使用である。最も好ましい例は、モノエチルグリコール(MEG)とも称される1,2−エチレングリコール、ジエチレングリコール(DEG)、モノプロパンジオール(MPG)、好ましくはジプロパンジオール(DPG)とも称される1,3−プロピレングリコール、好ましくは4−オキサ−1,7−ヘプタンジオールである。プレポリマーの構造は、アルキレンオキシドの添加により測定される。エチレンオキシド及び次にプロピレンオキシドが交互に添加される場合、これらのモノマーのブロックは添加量の関数(function)としてプレポリマー中に形成される。これは、操作のブロックモード(block mode)とも称される。両方のアルキレンオキシドが同時に添加される場合、アルキレンオキシドは任意に反応し、これが操作の混合モード(mixed mode)とも称される。好ましくは操作の混合モードである。当業者は、アルキレンオキシドの分子量及び添加量の制御に基づいて、ポリオールの構造及びモノマーのモル分布(molar distribution)を狭い範囲に制御し得る。好ましい実施態様において、工程2において、エチレンオキシドのみは、工程1からのプレポリマーに添加され、これで、ポリオールAの末端にエトキシ基を有する。
【0038】
開環重合は触媒を用いて行われる。ここで、好ましくは、塩基性触媒、例えば、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の水酸化物、又はアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属のアルコキシド、好ましくはNaOH、KOH、CsOH又はナトリウムメトキシド及びカリウムメトキシドである。他の好ましい触媒は、官能性アミノ基を含みものである。その好ましい例は、N,N−ジメチルエタノールアミン(DMEOA)又はイミダゾールである。好ましい触媒の第3基(third group)は、カルベン、好ましくはN−複素環カルベンである。
【0039】
工程2で得られた生成物は、工程3で、沈殿剤により沈殿される。通常、沈殿剤はプロトン供与体である。好ましい沈殿剤の例は、炭酸(HCO)、リン酸(HPO)である。触媒を除去するために、工程3で完成されるポリマーは、工程4で濾過される。バインダーは濾過剤として使用される。バインダーの好ましい例は、セルロース又はシリカゲルである。ポリオールBは、類似的に製造され、工程1でブチレン酸化物のみを使用し、工程2が省略される。
【0040】
好ましいポリオールAは、2013年10月BASFポリウレタンGmbHからLupranol VP9243の商品名で購入できるポリオールである。
【0041】
鎖延長剤
好ましい実施態様において、鎖延長剤は組成物1の熱可塑性ポリウレタンに含まれる。好ましくは、これらは、0.05x10kg/mol〜0.499x10g/molの分子量を有する脂肪族、芳香脂肪族、芳香族及び/又は脂環式化合物である。好ましくは、鎖延長剤は2官能性化合物、換言すれば、それらはイソシアネートとの反応性を有する2つの基を有する。好ましい鎖延長剤は、アルキレンラジカルに2個〜10個の炭素原子を有するジアミン及び/又はアルカンジオール、特に1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール及び/又は3個〜8個の炭素原子を有するジアルキレン、トリアルキレン、テトラアルキレン、ペンタアルキレン、ヘキサアルキレン、ヘプタアルキレン、オクタアルキレン、ノナアルキレン及び/又はデカアルキレングリコール、好ましくは対応するオリゴプロピレン及び/又はポリプロピレングリコールであり、ここで、好ましくは鎖延長剤の混合物を使用し得る。好ましくは、化合物(c)は、1級ヒドロキシル基のみを有する。最も好ましくは、組成物1の熱可塑性ポリウレタンの製造に使用されるのは、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール若しくは1,6−ヘキサンジオール、又は任意のそれらの組み合わせ、換言すれば、1,3−プロパンジオールと1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオールと1,6−ヘキサンジオール、若しくは1,4−ブタンジオールと1,6−ヘキサンジオール、又は1,6−ヘキサンジオールである。
【0042】
イオン液体
好ましい実施態様において、塩及び/又はイオン液体は、組成物1の熱可塑性ポリウレタン中に、0.1質量%〜25質量%、好ましくは1質量%〜10質量%、より好ましくは1.5質量%〜7.5質量%、特に好ましくは2質量%〜5質量%の量で含まれる。質量%は、塩及び/又はイオン液体が組み込まれた熱可塑性ポリウレタンの総量に基づく。
【0043】
原則的には、任意の塩及び/又はイオン液体は、組成物中の溶解性向上剤として機能し、かつ、ポリマーと混合される場合にその導電性を向上するために、本発明の熱可塑性ポリウレタンに組み込まれることに好適である。
【0044】
好適なイオン液体は、WO 2011/069960に見出される。この文献は、参考にして、本特許出願に組み込まれる。
【0045】
イオン液体は、単一物質又は様々な物質の混合物である。
【0046】
好ましくは、イオン液体は、210℃を超え、好ましくは200℃を超え、特に好ましくは190℃を超える温度での液体である。
【0047】
イオン液体の好ましい群は、イミダゾール環を含むイオン液体である。特に好ましくは、さらに好ましくは溶媒として使用される1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムイオン(BMIM)又は1−エチル−3−メチルイミダゾリウムイオン(EMIM)である。
【0048】
イオン液体の他の好ましい群は、ジアザビシクロ構造を含み、特に好ましくは1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデス−7−エン(DBU)又は1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エンのモノプロトン化形態である。
【0049】
好ましい実施態様において、ただ1種のイオン液体は熱可塑性ポリウレタンに組み込まれるが、他の好ましい実施態様において、熱可塑性ポリウレタンは少なくとも2種のイオン液体を含む。
【0050】

熱可塑性ポリウレタンの導電性の向上に使用される好ましい塩は、無機塩又は低分子量の有機プロトン酸である。低分子量は、プロトン酸の分子量が500g/mol未満、好ましくは400g/mol未満、特に好ましくは300g/mol未満であることを意味する。
【0051】
好ましくは、塩は、前述したアルカリ土類金属塩、過塩素酸塩、第4級アンモニウム塩であり、特に好ましくはLiCIO、LiCFSO、NaCIO、LiBF、NaBF、KBF、NaCFSO、KCIO、KPF、KCFSO、KCSO、Ca(CIO)、Ca(PF)、Mg(CIO)、Mg(CFSO)、Zn(CIO)、Zn(PF)、Ca(CFSO)、第4級アンモニウムエトスルフェート、脂肪酸−ポリオールエステルと過塩素酸ナトリウムとの混合物、部分脂肪酸エステル、ナトリウムジシアナミドと組み合わせる第4級アンモニウム化合物のアルカリ金属塩、ドデシルベンゼンスルホン酸及び1−ヒドロキシ−獣脂−1−トリメチル塩化アンモニウム[新日本化学株式会社からのPlastat C 100]からなる群から選択される。好ましくは、LiCIO、LiCFSO、NaCIO、LiBFであるLi塩であり、特に好ましくはLiCFSOである。好ましい実施態様において、塩は、熱可塑性ポリウレタンに単独的に使用される。他の好ましい実施態様において、少なくとも1種の塩及びイオン液体は熱可塑性ポリウレタンに添加される。
【0052】
さらに、本発明は、上記の組成物及び少なくとも1種のポリマーを含む混合物を提供する。上記のように、本発明の熱可塑性ポリウレタンにより、該組成物は、実質的全ての市販のポリマー又はそれらの混合物、換言すれば、無極性ポリマー及び極性ポリマーに容易に組み込まれる。より少ない導電性向上剤が無極性ポリマーからなる群に使用できるので、好ましくはこの群である。より好ましくは、ポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリオキシメチレン、エチレン酢酸ビニル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリ塩化ビニル、好ましい実施態様において、組成物が塩及び/又はイオン液体が組み込まれる熱可塑性ポリウレタンの組成物と異なる熱可塑性ポリウレタンからなる群から選択される。特に好ましくは、ポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリスチレン[KE1]からなる群から選択される。
【0053】
より好ましくは、熱可塑性ポリウレタンは、1質量%を超えて50質量%未満、好ましくは5質量%を超えて35質量%未満、特に好ましくは15質量%を超えて30質量%未満の割合で組成物中に含まれる。
【0054】
触媒
好ましい実施態様において、ジイソシアネート(a)と、ポリオールとも称されイソシアネートとの反応性を有するヒドロキシル基の化合物(b)と、鎖延長剤(c)との反応を特に促進する触媒(d)は、3級アミン、特にトリエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N−メチルモルホリン、N,N’−ジメチル−ピペラジン、2−(ジメチルアミノエトキシ)エタノール、ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンである。他の好ましい実施態様において、これらは、有機金属化合物、例えばチタン酸エステル、鉄化合物、好ましくは鉄(III)アセチルアセトネート、錫化合物、好ましくは錫二酢酸、錫ジオクトエート、錫ジラウレート又は脂肪族カルボン酸のジアルキル錫塩、好ましくは錫ジオクトエート、オルトチタン酸テトラブチル又はビスマス塩であり、該ビスマス塩において、ビスマスが、好ましくはカルボン酸、好ましくは6個〜14個の炭素原子を有するカルボン酸、特に好ましくは8個〜12個の炭素原子を有するカルボン酸の塩の、好ましくは酸化状態2又は3、特に3で存在する。
【0055】
好ましくは、触媒(d)は、ポリオールとも称されイソシアネートとの反応性を有するヒドロキシル基の化合物(b)の100質量部当たり0.0001質量部〜0.1質量部の量で使用される。好ましくは、錫触媒、特に錫ジオクトエートである。
【0056】
補助剤/添加剤
触媒の他には、補助剤及び/又は添加剤も、形成成分(a)〜(c)に添加される。上記は、例えば、表面活性物質、充填剤、難燃剤、核形成剤、酸化安定剤、潤滑剤及び離型剤、染料及び顔料、加水分解、光、熱又は変色などに対する任意の安定剤、有機及び/又は無機の充填剤、強化剤、並びに、可塑剤から製造されてもよい。加水分解抑制剤として、好ましくは、オリゴマー及び/又は重合の脂肪族又は芳香族のカルボジイミドの使用である。本発明のTPUを劣化に対して安定するために、好ましくは、安定剤はTPUに添加される。本発明のために、安定剤は、プラスチック又はプラスチック混合物を有害な環境影響から保護する添加剤である。例としては、第1級及び第2級酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤、UV吸収剤、加水分解抑制剤、消光剤及び難燃剤が挙げられる。市販の安定剤の例は、プラスチック添加剤ハンドブック,第5版,H.Zweifel,ed.,Hanser出版社,Munich,2001([1]),98〜136頁に見出される。
【0057】
好ましい実施態様において、UV吸収剤は、0.3x10g/molを超え、特に0.39x10g/molを超える数平均分子量を有する。さらに、好ましく使用されるUV吸収剤は、5x10g/mol以下、特に好ましくは2x10g/mol以下の分子量を有すべきである。
【0058】
特に好適なUV吸収剤は、ベンゾトリアゾール類である。特に好適なベンゾトリアゾールの例としては、Tinuvin(登録商標)213、Tinuvin(登録商標)234、Tinuvin(登録商標)571及びTinuvin(登録商標)384、並びに、Eversorb(登録商標)82が挙げられる。通常、UV吸収剤は、TPUの総質量に基づいて、0.01質量%〜5質量%、好ましくは0.1質量%〜2.0質量%、特に0.2質量%〜0.5質量%の量で添加される。
【0059】
酸化防止剤及びUV吸収剤をベースとする上記のUV安定剤は、UV射線の影響のダメージに対して本発明のTPUの良好な安定性を確保することに未だに不十分である。この場合、酸化防止剤及びUV吸収剤に加えて、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)は本発明のTPUに添加される。HALS化合物の活性は、ポリマーの酸化のメカニズムに干渉する遊離のニトロキシルラジカルを生成する能力に基づく。HALSsは、大部分のポリマーに対して高性能のUV安定剤である。
【0060】
一般的には、HALS化合物は公知で市販されている。市販のHALSsの例は、プラスチック添加剤ハンドブック,第5版,H.Zweifel,Hanser出版社,Munich,2001,123〜136頁に見出される。
【0061】
ヒンダードアミン系光安定剤として、好ましくは、数平均分子量が500g/molを超えるヒンダードアミン系光安定剤の使用である。さらに、好ましいHALS化合物の分子量は、10000g/mol以下、特に好ましくは5000g/mol以下である。
【0062】
特に好ましいヒンダードアミン系光安定剤は、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)セバシン酸(Tinuvin(登録商標)765,Ciba Spezialitaetenchemie AG)、及び1−ヒドロキシエチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンとコハク酸(Tinuvin(登録商標)622)との縮合生成物である。生成物のチタン含有量が150ppm未満、好ましくは50ppm未満、特に10ppm未満である場合、特に好ましくは、1−ヒドロキシエチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンとコハク酸(Tinuvin(登録商標)622)との縮合生成物である。
【0063】
好ましくは、HALS化合物は、0.01質量%〜5質量%、特に好ましくは0.1質量%〜1質量%、特に0.15質量%〜0.3質量%の濃度で使用される。
【0064】
特に好ましいUV安定系は、上記好ましい量のフェノール性の安定剤、ベンゾトリアゾール及びHALS化合物を含む。
【0065】
組成物の好ましい実施態様において、加水分解抑制剤は、ジイソシアネート、ポリオール及び鎖延長剤に加えて補助剤として含まれる。ここで、好ましくは、オリゴマー及び/又は重合の脂肪族又は芳香族のカルボジイミドである。
【0066】
上記の補助剤及び添加剤に関する他の詳細は、専門文献、例えばプラスチック添加剤ハンドブック,第5版,H.Zweifel,ed.,Hanser出版社,Munich,2001に見出される。
【0067】
製造
熱可塑性ポリウレタンの製造は、既知の方法、好ましくは反応押出機又はベルト法を用いてワンショット法又はプレポリマー法、好ましくはプレポリマー法により、バッチ式で又は連続的に行われる。この方法において、反応されるイソシアネート、ポリオール及び任意に鎖延長剤及び/又は触媒及び/又は添加剤及び/又は補助剤の成分は、反応を開始するとすぐに、それぞれ相続的に又は同時に混合される。押出機法において、イソシアネート、ポリオール及び任意に鎖延長剤及び/又は添加剤及び/又は補助剤の形成成分は、それぞれに又は混合物として押出機に導入され、好ましくは100℃〜280℃、より好ましくは140℃〜250℃の温度で反応され、得たポリウレタンは押し出され、冷却され、ペレット化される。
【0068】
95未満、好ましくは95ショアA〜75ショアAのショアA硬度を有する可撓性熱可塑性ポリウレタンを製造するために、ポリオール及び鎖延長剤は、1:1〜1:15、好ましくは1:2.5〜1:10のモル比で有利に使用される。98ショアAを超え、好ましくは55ショアD〜75ショアDの硬度を有するより硬いTPUsを製造するために、ポリオールと鎖延長剤とのモル比は、1:10〜1:20、好ましくは1:12〜1:15の範囲である。
【0069】
本発明のTPUsを製造するために、ジイソシアネート、ポリオール、任意に触媒及び/又は補助剤及び/又は添加剤の生成成分は、ジイソシアネート(a)のNCO基とポリオール及び鎖延長剤のヒドロキシル基の合計との当量比(equivalence ratio)が0.95〜1.10:1、好ましくは0.98〜1.08:1、特に約1.0〜1.05:1であるような量で反応される。
【0070】
組成物は、工程Aで上記のように熱可塑性ポリウレタンを製造すること、及び工程Bでこの熱可塑性ポリウレタンを塩又はイオン液体、好ましくはイオン液体と混合することにより製造される。該組成物は、他の成分を含むことができる。
【0071】
一実施態様において、本発明により少なくとも熱可塑性ポリウレタン及び塩及び/又はイオン液体、好ましくはイオン液体を含む混合物は、工程Aで熱可塑性ポリウレタンを製造すること、工程Bでこの熱可塑性ポリウレタンを塩又はイオン液体、好ましくはイオン液体と混合すること、及び続いて工程A及びBの生成物をポリマーと混合することにより製造される。
【0072】
他の好ましい実施態様において、少なくとも熱可塑性ポリウレタン及び塩及び/又はイオン液体、好ましくはイオン液体を含む本発明の組成物は、1つの工程(ワンショット法)でジイソシアネート、ポリオール、鎖延長剤及び任意にさらなる触媒、補助剤及び/又は添加剤の成分から熱可塑性ポリウレタンを製造すること、及び同一の製造工程で塩及び/又はイオン液体、好ましくはイオン液体を添加することにより製造される。その後、本発明のこの組成物はポリマーと混合される。
【0073】
本発明の熱可塑性ポリウレタンを含む組成物及び塩及び/又はイオン液体は、他のポリマーとの混合物の導電性向上剤としての使用に特に好適である。一般的には、ポリマー自身は十分な導電性がなく、その結果として最初に示した欠点及び障害は生じるとこができる。
【0074】
本発明の組成物の添加は、全体積に渡ってポリマーの導電性を向上させ、従って最初に示した欠点及び障害を明らかに低下させる。
【実施例】
【0075】
本発明の全ての組成物及び混合物、並びに、実施例1〜5の静電気防止熱可塑性ポリウレタン(TPU)の比較サンプルを、反応押出機で、「ワンショット」法により製造した。ここで、組成物の全部成分を反応押出機に導入した。
【0076】
これらの材料は、鋳造法(casting process)により同様によく製造し得る。これに続く、塩及び/又はイオン液体の組み込みは、膨潤(swelling-in)又は複合により、換言すれば、塩及び/又はイオン液体を溶融の熱可塑性ポリウレタン(TPU)と混合することにより行うが、同等の結果をもたらす。
【0077】
EP 1846465又はEP1213307に記載するように、組成物及び混合物の製造を、市販の2軸押出機、ここではCoperion ZSKで、TPUに対して通例の160℃〜240℃のプロセス温度で行った。個々の成分の量を質量部(pbw)で記載する。
【0078】
実施例1:静電気防止の、芳香族の、熱可塑性ポリウレタンの製造(比較1)
37pbwのメチレンビス(フェニル)4,4’−イソシアネート(MDI)、10.2pbwの1,4−ブタンジオール、及び51.3pbwの1.5x10g/molの数平均分子量(Mn)を有するポリエチレングリコール(PEG)を含む組成物(=100pbw)を、反応押出機で、熱可塑性ポリウレタン(TPU)に変換する。また、1質量部の1−エチル−3−メチル−1−イミダゾリウムエチル硫酸(EMIM ETOSO)、及び、酸化防止剤(AO、ペンタエリトリトール及びジ−tert−ブチルヒドロキシフェニルプロピオン酸塩に由来するヒンダードフェノール)と、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS、1−ヒドロキシエチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンとコハク酸との縮合生成物)と、UVフィルター(2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール)と、潤滑剤(モンタン酸エステル)との質量当量の混合物0.5質量部も含む。
【0079】
実施例2:静電気防止の、脂肪族の、熱可塑性ポリウレタンの製造(比較2)
21.4pbwのヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、7.4pbwの1,6−ヘキサンジオール、及び66.7pbwの1.0x10g/molの数平均分子量(Mn)を有するポリテトラメチレングリコール(PTMG)を含む組成物(=100pbw)を、反応押出機で、熱可塑性ポリウレタン(TPU)に変換する。また、4質量部の1−エチル−3−メチル−1−イミダゾリウムエチル硫酸(EMIM ETOSO)、及び、0酸化防止剤(AO、ペンタエリトリトール及びジ−tert−ブチルヒドロキシフェニルプロピオン酸塩に由来するヒンダードフェノール)と、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS、1−ヒドロキシエチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンとコハク酸との縮合生成物)と、UVフィルター(2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール)と、潤滑剤(モンタン酸エステル)との質量当量の混合物0.5質量部も組み込む。
【0080】
実施例3:静電気防止の、脂肪族の、熱可塑性ポリウレタンの製造(比較3)
21.2pbwのヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、9.9pbwの1,6−ヘキサンジオール、及び64.4pbwのエチレングリコール(PEG)から由来し1.5x10g/molの分子量を有するポリマージオールを含む組成物(=100pbw)を、反応押出機で、熱可塑性ポリウレタン(TPU)に変換する。また、4質量部の1−エチル−3−メチル−1−イミダゾリウムエチル硫酸(EMIM ETOSOと略する)、及び、酸化防止剤(AO、ペンタエリトリトール及びジ−tert−ブチルヒドロキシフェニルプロピオン酸塩に由来するヒンダードフェノール)と、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS、1−ヒドロキシエチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンとコハク酸との縮合生成物)と、UVフィルター(2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール)と、潤滑剤(モンタン酸エステル)との質量当量の混合物0.5質量部も組み込む。
【0081】
実施例4:静電気防止の、脂肪族の、熱可塑性ポリウレタンの製造(本発明のバッチ1)
19.9pbwのヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、10.2pbwの1,6−ヘキサンジオール、52.2pbwのポリプロピレンオキシドとポリエチレンオキシドとの混合物(PPG−PEGと略し、1:4、第1級官能性の末端基を有するランダムコポリマー)から由来し2.25x10g/molの数平均分子量を有する2官能性のポリマージオール、及び13.2pbwの2.0x10g/molの数平均分子量を有するポリテトラメチレングリコール(PTMGと略する)を含む組成物(=100pbw)を、反応押出機で、熱可塑性ポリウレタン(TPU)に変換する。また、4質量部の1−エチル−3−メチル−1−イミダゾリウムエチル硫酸(EMIM ETOSOと略する)、及び、酸化防止剤(AO、ペンタエリトリトール及びジ−tert−ブチルヒドロキシフェニルプロピオン酸塩に由来するヒンダードフェノール)と、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS、1−ヒドロキシエチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンとコハク酸との縮合生成物)と、UVフィルター(2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール)と、潤滑剤(モンタン酸エステル)との質量当量の混合物0.5質量部も組み込む。
【0082】
実施例5:芳香族のイソシアネートをベースとする静電気防止の熱可塑性ポリウレタンの製造(比較4)
30.5pbwのメチレンビス(フェニル4,4’−イソシアネート)(MDI)、8.5pbwの1,4−ブタンジオール、45.2pbwのポリプロピレンオキシドとポリエチレンオキシドとの混合物(PPG−PEGと略し、1:4、第1級官能性の末端基を有するランダムコポリマー)から由来し2.25x10g/molの数平均分子量を有する2官能性のポリマージオール、及び11.3pbwのポリテトラメチレングリコール(PTMGと略する)から由来し2.0x10g/molの分子量を有するポリマージオールを、反応押出機で、熱可塑性ポリウレタン(TPU)に変換する。また、4質量部の1−エチル−3−メチル−1−イミダゾリウムエチル硫酸(EMIM ETOSOと略する)、及び、酸化防止剤(AO、ペンタエリトリトール及びジ−tert−ブチルヒドロキシフェニルプロピオン酸塩に由来するヒンダードフェノール)と、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS、1−ヒドロキシエチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンとコハク酸との縮合生成物)と、UVフィルター(2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール)と、潤滑剤(モンタン酸エステル)との質量当量の混合物0.5質量部も組み込む。
【0083】
実施例6:静電気防止の熱可塑性ポリマーブレンドの製造(比較5)
さらなる比較例として、市販の複合押出機で、ポリマーブレンドを製造した。すなわち、ポリエーテルエステルアミド、ここではPebax 1657(Arkema,FRから)、ポリアミド12、ここではRilsan PA12(Arkemaから)、塩、ここではNaClO、及びUV安定剤パケットを混合した。各成分は、下記の質量比(4.7:4.8:0.2:0.3)で、列記した順番に添加した。
【0084】
実施例7:静電気防止の、脂肪族の、熱可塑性ポリウレタンの製造(本発明のバッチ2)
40.1pbwのヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、20pbwの1,4−ブタンジオール、24.4pbwのポリプロピレンオキシドとポリエチレンオキシドとの混合物(PPG−PEGと略し、1:4、第1級官能性の末端基を有するランダムコポリマー)から由来し2.25x10g/molの数平均分子量を有する2官能性のポリマージオール、及び10.5pbwの2.0x10g/molの数平均分子量を有するポリテトラメチレングリコール(PTMGと略する)を含む組成物(=100pbw)を、反応押出機で、熱可塑性ポリウレタン(TPU)に変換する。また、4質量部の1−エチル−3−メチル−1−イミダゾリウムエチル硫酸(EMIM ETOSOと略する)、及び、酸化防止剤(AO、ペンタエリトリトール及びジ−tert−ブチルヒドロキシフェニルプロピオン酸塩に由来するヒンダードフェノール)と、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS、1−ヒドロキシエチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンとコハク酸との縮合生成物)と、UVフィルター(2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール)と、潤滑剤(モンタン酸エステル)との質量当量の混合物0.95質量部も組み込む。
【0085】
実施例8:静電気防止の、脂肪族の、熱可塑性ポリウレタンの製造(本発明のバッチ3)
20.5pbwのヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、8pbwの1,6−ヘキサンジオール、1.7pbwの1,3−プロパンジオール、52.2pbwのポリプロピレンオキシドとポリエチレンオキシドとの混合物(PPG−PEGと略し、1:4、第1級官能性の末端基を有するランダムコポリマー)から由来し2.25x10g/molの数平均分子量を有する2官能性のポリマージオール、及び13pbwの2.0x10g/molの数平均分子量を有するポリテトラメチレングリコール(PTMGと略する)を含む組成物(=100pbw)を、反応押出機で、熱可塑性ポリウレタン(TPU)に変換する。また、3.5質量部の1−エチル−3−メチル−1−イミダゾリウムエチル硫酸(EMIM ETOSOと略する)、及び、酸化防止剤(AO、ペンタエリトリトール及びジ−tert−ブチルヒドロキシフェニルプロピオン酸塩に由来するヒンダードフェノール)と、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS、1−ヒドロキシエチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンとコハク酸との縮合生成物)と、UVフィルター(2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール)と、潤滑剤(モンタン酸エステル)との質量当量の混合物0.95質量部も組み込む。
【0086】
実施例9:静電気防止の、脂肪族の、熱可塑性ポリウレタンの製造(本発明のバッチ4)
21.1pbwのヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2.7pbwの1,6−ヘキサンジオール、6.4pbwの1,4−ブタンジオール、52.2pbwのポリプロピレンオキシドとポリエチレンオキシドとの混合物(PPG−PEGと略し、1:4、第1級官能性の末端基を有するランダムコポリマー)から由来し2.25x10g/molの数平均分子量を有する2官能性のポリマージオール、及び13pbwの2.0x10g/molの数平均分子量を有するポリテトラメチレングリコール(PTMGと略する)を含む組成物(=100pbw)を、反応押出機で、熱可塑性ポリウレタン(TPU)に変換する。また、3.5質量部の1−エチル−3−メチル−1−イミダゾリウムエチル硫酸(EMIM ETOSOと略する)、及び、酸化防止剤(AO、ペンタエリトリトール及びジ−tert−ブチルヒドロキシフェニルプロピオン酸塩に由来するヒンダードフェノール)と、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS、1−ヒドロキシエチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンとコハク酸との縮合生成物)と、UVフィルター(2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール)と、潤滑剤(モンタン酸エステル)との質量当量の混合物0.95質量部も組み込む。
【0087】
【表1】
【0088】
実施例1〜9に記載の製造からの試験プレートとも称する110x100x2mmの試験試料を、射出成形機(ここではAarburg 420Cである)で射出成形した。TPUペレットを、110℃で、事前に予備乾燥した。試験試料の製造の溶融物の最高温度は210℃〜220℃であった。
【0089】
より良い比較性のために、製造の後、試験試料を、100℃で15時間放置し、その後、23℃及び相対大気湿度50%の標準条件下でさらに72(+/−10)時間放置した。
【0090】
静電気防止特性の評価を、DIN IEC 60093(抵抗測定)に従って行った。長さ5cmの導電性銀を使用する電極を試験プレートと0.5cmの距離で配置し、比表面抵抗をIEC 60093に従って測定した。
【0091】
23℃及び相対大気湿度50%の標準条件下で、比表面抵抗の測定を、熱処理していない試験試料に行った。
【0092】
純TPUの電気特性を下記に示す。長さ5cmの導電性銀を使用する電極を試験プレートと0.5cmの距離で配置し、比表面抵抗をIEC 60093に従って測定した。熱処理していない試験試料について、実施例1〜6の比表面抵抗の測定を、23℃及び相対大気湿度50%の標準条件下で行った。
【0093】
【表2】
【0094】
実施例10〜54の静電気防止化合物のための手順の説明
実施例1〜9に記載の静電気防止の熱可塑性ポリウレタン、及びペレットとして存在する導電性付与剤(conductivity imparters)としてのポリマーブレンドを、15質量%の量で、同様にペレットとして存在する下記のポリマーに添加し、乾燥ブレンド(換言すれば、ペレットの混合物)として、Aarburg 420C射出成形機で、適切な温度で射出成形して試験プレートとも称する110x100x2mmの試験試料を提供する。実施例1〜9からの静電気防止の熱可塑性ポリウレタンのペレットを、110℃で事前に3時間乾燥した。試験試料の製造の溶融物の最高温度は210℃〜230℃であった。
【0095】
より良い比較性のために、製造の後、試験試料を、23℃及び相対大気湿度50%の標準条件下で72(+/−10)時間放置した。
【0096】
DIN 53504、2009年10月に準拠したS2試験ロッドを、この方法で得た試験試料から打ち抜いた。機械的試験を、DIN ISO 7619,第1部,2012年2月,(ショア)、53504,2009年10月(引張強度、破断点)、DIN EN ISO 1183 1A,2013年4月(密度)、DIN ISO 34−1,B(b),2004 年7月(引き裂き伝播抵抗)及びDIN EN ISO 179−1,2001年1月(低温衝撃靱性)に従って行った。
【0097】
静電気防止特性の評価を、DIN IEC 60093(抵抗測定)に従って行った。長さ5cmの接着性電極(ここでは、導電性銀である)を試験プレートと0.5cmの距離で配置し、比表面抵抗及び比体積抵抗(volume resistance)をIEC 60093に従って測定した。23℃及び相対大気湿度50%で、抵抗の測定を行った。
【0098】
上記の試験試料について、基板との適合性を、試験プレートの曲げ試験前後の視覚的評価により測定した。このために、試験プレートを、試験プレートの向かい合う面が融液の流れ方向に沿っても横断しても互いに接触するように180°曲げた。視覚的評価を、行い、基板との適合性に関して「+」良好な適合、「o」適度な適合及び「−」不適合により等級付けた。
【0099】
良好な適合は、試験プレートが均質な外観を有し、かつ、曲げた後に任意の層間剥離を引き起こさなく、又は破砕せずにごく僅かな層間剥離を引き起こすことを意味する。適度な適合は、試験プレートが不均質な外観を有し、かつ、曲げた後に破砕せずに層間剥離を引き起こすことを意味する。不適合は、試験プレートが非常に不均質な外観を有し、かつ、曲げた後に重度の層間剥離及び破砕を引き起こすことを意味する。
【0100】
全ての結果を、下記の表に示し、基板により、換言すれば、導電性付与剤を添加したポリマーにより細分化する。
【0101】
実施例10〜18及び表3において、これをポリプロピレン(PP)で行った。実施例19〜27及び表4において、これをポリスチレン(PS)で行った。実施例28〜36及び表5において、これをポリエチレン(PE)で行った。実施例37〜45及び表6において、これをポリオキシメチレン(POM)で行った。実施例46〜54及び表7において、これをポリ塩化ビニル(PVC)で行った。
【0102】
実施例10〜18、静電気防止のポリプロピレン化合物の製造及び評価
実施例10:純ポリプロピレンをベースとする参照試料の製造
110x100x2mmの試験試料を提供するために、1600gのポリプロピレン(BorealisからのHD 120 MO)を、上記の条件下で、射出成形し、調整し、試験した。測定の値を表3に示す。
【0103】
実施例11:実施例2(比較2)によるTPUを有する静電気防止のポリプロピレン化合物の製造
1360gのポリプロピレン(BorealisからのHD 120 MO)を、上記の条件下で、240gの実施例2に記載のTPUと混合し、110x100x2mmの試験試料を提供するために、乾燥ブレンド、換言すれば、ペレットの混合物として射出成形し、調整し、試験した。測定の値を表3に示す。
【0104】
実施例12:実施例3(比較3)による静電気防止のTPUを有するポリプロピレン化合物の製造
1360gのポリプロピレン(BorealisからのHD 120 MO)を、上記の条件下で、240gの実施例3に記載の静電気防止のTPUと混合し、110x100x2mmの試験試料を提供するために、乾燥ブレンド、換言すれば、ペレットの混合物として射出成形し、調整し、試験した。測定の値を表3に示す。
【0105】
実施例13:実施例4(本発明のバッチ1)による静電気防止のTPUを有するポリプロピレン化合物の製造
1360gのポリプロピレン(BorealisからのHD 120 MO)を、上記の条件下で、240gの実施例4に記載の静電気防止のTPUと混合し、110x100x2mmの試験試料を提供するために、乾燥ブレンド、換言すれば、ペレットの混合物として射出成形し、調整し、試験した。測定の値を表3に示す。
【0106】
実施例14:実施例5(比較4)による静電気防止のTPUを有するポリプロピレン化合物の製造
1360gのポリプロピレン(BorealisからのHD 120 MO)を、上記の条件下で、240gの実施例5に記載の静電気防止のTPUと混合し、110x100x2mmの試験試料を提供するために、乾燥ブレンド、換言すれば、ペレットの混合物として射出成形し、調整し、試験した。測定の値を表3に示す。
【0107】
実施例15:実施例6(比較5)による静電気防止のポリマーブレンドを有するポリプロピレン化合物の製造
1360gのポリプロピレン(BorealisからのHD 120 MO)を、上記の条件下で、240gの実施例6に記載の静電気防止のポリマーブレンドと混合し、110x100x2mmの試験試料を提供するために、乾燥ブレンド、換言すれば、ペレットの混合物として射出成形し、調整し、試験した。測定の値を表3に示す。
【0108】
実施例16:実施例7(本発明のバッチ2)による静電気防止のTPUを有するポリプロピレン化合物の製造
1360gのポリプロピレン(BorealisからのHD 120 MO)を、上記の条件下で、240gの実施例7に記載の静電気防止のTPUと混合し、110x100x2mmの試験試料を提供するために、乾燥ブレンド、換言すれば、ペレットの混合物として射出成形し、調整し、試験した。測定の値を表3に示す。
【0109】
実施例17:実施例8(本発明のバッチ3)による静電気防止のTPUを有するポリプロピレン化合物の製造
1360gのポリプロピレン(BorealisからのHD 120 MO)を、上記の条件下で、240gの実施例8に記載の静電気防止のTPUと混合し、110x100x2mmの試験試料を提供するために、乾燥ブレンド、換言すれば、ペレットの混合物として射出成形し、調整し、試験した。測定の値を表3に示す。
【0110】
実施例18:実施例9(本発明のバッチ4)による静電気防止のTPUを有するポリプロピレン化合物の製造
1360gのポリプロピレン(BorealisからのHD 120 MO)を、上記の条件下で、240gの実施例9に記載の静電気防止のTPUと混合し、110x100x2mmの試験試料を提供するために、乾燥ブレンド、換言すれば、ペレットの混合物として射出成形し、調整し、試験した。測定の値を表3に示す。
【0111】
【表3】

【0112】
実施例19〜27、静電気防止のポリスチレン化合物の製造及び評価
実施例19:純ポリスチレンをベースとする参照試料の製造
110x100x2mmの試験試料を提供するために、1600gのポリスチレン(StyronからのStyron 485)を、上記の条件下で、射出成形し、調整し、試験した。測定の値を表4に示す。
【0113】
実施例20:実施例2(比較2)によるTPUを有する静電気防止のポリスチレン化合物の製造
1360gのポリスチレン(StyronからのStyron 485)を、上記の条件下で、240gの実施例2に記載のTPUと混合し、110x100x2mmの試験試料を提供するために、乾燥ブレンド、換言すれば、ペレットの混合物として射出成形し、調整し、試験した。測定の値を表4に示す。
【0114】
実施例21:実施例3(比較3)によるTPUを有する静電気防止のポリスチレン化合物の製造
1360gのポリスチレン(StyronからのStyron 485)を、上記の条件下で、240gの実施例3に記載のTPUと混合し、110x100x2mmの試験試料を提供するために、乾燥ブレンド、換言すれば、ペレットの混合物として射出成形し、調整し、試験した。測定の値を表4に示す。
【0115】
実施例22:実施例4(本発明のバッチ1)によるTPUを有する静電気防止のポリスチレン化合物の製造
1360gのポリスチレン(StyronからのStyron 485)を、上記の条件下で、240gの実施例4に記載の静電気防止のTPUと混合し、110x100x2mmの試験試料を提供するために、乾燥ブレンド、換言すれば、ペレットの混合物として射出成形し、調整し、試験した。測定の値を表4に示す。
【0116】
実施例23:実施例5(比較4)によるTPUを有する静電気防止のポリスチレン化合物の製造
1360gのポリスチレン(StyronからのStyron 485)を、上記の条件下で、240gの実施例5に記載の静電気防止のTPUと混合し、110x100x2mmの試験試料を提供するために、乾燥ブレンド、換言すれば、ペレットの混合物として射出成形し、調整し、試験した。測定の値を表4に示す。
【0117】
実施例24:実施例6(比較5)によるポリマーブレンドを有する静電気防止のポリスチレン化合物の製造
1360gのポリスチレン(StyronからのStyron 485)を、上記の条件下で、240gの実施例6に記載の静電気防止のポリマーブレンドと混合し、110x100x2mmの試験試料を提供するために、乾燥ブレンド、換言すれば、ペレットの混合物として射出成形し、調整し、試験した。測定の値を表4に示す。
【0118】
実施例25:実施例7(本発明のバッチ2)によるTPUを有する静電気防止のポリスチレン化合物の製造
1360gのポリスチレン(StyronからのStyron 485)を、上記の条件下で、240gの実施例7に記載の静電気防止のTPUと混合し、110x100x2mmの試験試料を提供するために、乾燥ブレンド、換言すれば、ペレットの混合物として射出成形し、調整し、試験した。測定の値を表4に示す。
【0119】
実施例26:実施例8(本発明のバッチ3)によるTPUを有する静電気防止のポリスチレン化合物の製造
1360gのポリスチレン(StyronからのStyron 485)を、上記の条件下で、240gの実施例8に記載の静電気防止のTPUと混合し、110x100x2mmの試験試料を提供するために、乾燥ブレンド、換言すれば、ペレットの混合物として射出成形し、調整し、試験した。測定の値を表4に示す。
【0120】
実施例27:実施例9(本発明のバッチ4)によるTPUを有する静電気防止のポリスチレン化合物の製造
1360gのポリスチレン(StyronからのStyron 485)を、上記の条件下で、240gの実施例9に記載の静電気防止のTPUと混合し、110x100x2mmの試験試料を提供するために、乾燥ブレンド、換言すれば、ペレットの混合物として射出成形し、調整し、試験した。測定の値を表4に示す。
【0121】
【表4】

【0122】
実施例28〜36、静電気防止のポリエチレン化合物の製造及び評価
実施例28:純ポリエチレンをベースとする参照試料の製造
110x100x2mmの試験試料を提供するために、1600gのポリエチレン(BasellからのLupolen 4261 AG)を、上記の条件下で、射出成形し、調整し、試験した。測定の値を表5に示す。
【0123】
実施例29:実施例2(比較2)によるTPUを有する静電気防止のポリエチレン化合物の製造
1360gのポリエチレン(BasellからのLupolen 4261 AG)を、上記の条件下で、240gの実施例2に記載の静電気防止のTPUと混合し、110x100x2mmの試験試料を提供するために、乾燥ブレンド、換言すれば、ペレットの混合物として射出成形し、調整し、試験した。測定の値を表5に示す。
【0124】
実施例30:実施例3(比較3)によるTPUを有する静電気防止のポリエチレン化合物の製造
1360gのポリエチレン(BasellからのLupolen 4261 AG)を、上記の条件下で、240gの実施例3に記載の静電気防止のTPUと混合し、110x100x2mmの試験試料を提供するために、乾燥ブレンド、換言すれば、ペレットの混合物として射出成形し、調整し、試験した。測定の値を表5に示す。
【0125】
実施例31:実施例4(本発明のバッチ1)によるTPUを有する静電気防止のポリエチレン化合物の製造
1360gのポリエチレン(BasellからのLupolen 4261 AG)を、上記の条件下で、240gの実施例4に記載の静電気防止のTPUと混合し、110x100x2mmの試験試料を提供するために、乾燥ブレンド、換言すれば、ペレットの混合物として射出成形し、調整し、試験した。測定の値を表5に示す。
【0126】
実施例32:実施例5(比較4)によるTPUを有する静電気防止のポリエチレン化合物の製造
1360gのポリエチレン(BasellからのLupolen 4261 AG)を、上記の条件下で、240gの実施例5に記載の静電気防止のTPUと混合し、110x100x2mmの試験試料を提供するために、乾燥ブレンド、換言すれば、ペレットの混合物として射出成形し、調整し、試験した。測定の値を表5に示す。
【0127】
実施例33:実施例6(比較5)によるポリマーブレンドを有する静電気防止のポリエチレン化合物の製造
1360gのポリエチレン(BasellからのLupolen 4261 AG)を、上記の条件下で、240gの実施例6に記載の静電気防止のポリマーブレンドと混合し、110x100x2mmの試験試料を提供するために、乾燥ブレンド、換言すれば、ペレットの混合物として射出成形し、調整し、試験した。測定の値を表5に示す。
【0128】
実施例34:実施例7(本発明のバッチ2)によるTPUを有する静電気防止のポリエチレン化合物の製造
1360gのポリエチレン(BasellからのLupolen 4261 AG)を、上記の条件下で、240gの実施例7に記載の静電気防止のTPUと混合し、110x100x2mmの試験試料を提供するために、乾燥ブレンド、換言すれば、ペレットの混合物として射出成形し、調整し、試験した。測定の値を表5に示す。
【0129】
実施例35:実施例8(本発明のバッチ3)によるTPUを有する静電気防止のポリエチレン化合物の製造
1360gのポリエチレン(BasellからのLupolen 4261 AG)を、上記の条件下で、240gの実施例8に記載の静電気防止のTPUと混合し、110x100x2mmの試験試料を提供するために、乾燥ブレンド、換言すれば、ペレットの混合物として射出成形し、調整し、試験した。測定の値を表5に示す。
【0130】
実施例36:実施例9(本発明のバッチ4)によるTPUを有する静電気防止のポリエチレン化合物の製造
1360gのポリエチレン(BasellからのLupolen 4261 AG)を、上記の条件下で、240gの実施例9に記載の静電気防止のTPUと混合し、110x100x2mmの試験試料を提供するために、乾燥ブレンド、換言すれば、ペレットの混合物として射出成形し、調整し、試験した。測定の値を表5に示す。
【0131】
【表5】

【0132】
実施例37〜45、静電気防止のポリオキシメチレン化合物の製造及び評価
実施例37:純ポリオキシメチレンをベースとする参照試料の製造
110x100x2mmの試験試料を提供するために、1600gのポリオキシメチレン(POMと略し、ここではBASFからのUltraform N 2320)を、上記の条件下で、射出成形し、調整し、試験した。測定の値を表6に示す。
【0133】
実施例38:実施例2(比較2)によるTPUを有する静電気防止のポリオキシメチレン化合物の製造
1360gのポリオキシメチレン(BASFからのUltraform N 2320)を、上記の条件下で、240gの実施例2に記載の静電気防止のTPUと混合し、110x100x2mmの試験試料を提供するために、乾燥ブレンド、換言すれば、ペレットの混合物として射出成形し、調整し、試験した。測定の値を表6に示す。
【0134】
実施例39:実施例3(比較3)によるTPUを有する静電気防止のポリオキシメチレン化合物の製造
1360gのポリオキシメチレン(BASFからのUltraform N 2320)を、上記の条件下で、240gの実施例3に記載の静電気防止のTPUと混合し、110x100x2mmの試験試料を提供するために、乾燥ブレンド、換言すれば、ペレットの混合物として射出成形し、調整し、試験した。測定の値を表6に示す。
【0135】
実施例40:実施例4(本発明のバッチ1)によるTPUを有する静電気防止のポリオキシメチレン化合物の製造
1360gのポリオキシメチレン(BASFからのUltraform N 2320)を、上記の条件下で、240gの実施例4に記載の静電気防止のTPUと混合し、110x100x2mmの試験試料を提供するために、乾燥ブレンド、換言すれば、ペレットの混合物として射出成形し、調整し、試験した。測定の値を表6に示す。
【0136】
実施例41:実施例5(比較4)によるTPUを有する静電気防止のポリオキシメチレン化合物の製造
1360gのポリオキシメチレン(BASFからのUltraform N 2320)を、上記の条件下で、240gの実施例5に記載の静電気防止のTPUと混合し、110x100x2mmの試験試料を提供するために、乾燥ブレンド、換言すれば、ペレットの混合物として射出成形し、調整し、試験した。測定の値を表6に示す。
【0137】
実施例42:実施例6(比較5)によるポリマーブレンドを有する静電気防止のポリオキシメチレン化合物の製造
1360gのポリオキシメチレン(BASFからのUltraform N 2320)を、上記の条件下で、240gの実施例6に記載の静電気防止のポリマーブレンドと混合し、110x100x2mmの試験試料を提供するために、乾燥ブレンド、換言すれば、ペレットの混合物として射出成形し、調整し、試験した。測定の値を表6に示す。
【0138】
実施例43:実施例7(本発明のバッチ2)によるTPUを有する静電気防止のポリオキシメチレン化合物の製造
1360gのポリオキシメチレン(BASFからのUltraform N 2320)を、上記の条件下で、240gの実施例7に記載の静電気防止のTPUと混合し、110x100x2mmの試験試料を提供するために、乾燥ブレンド、換言すれば、ペレットの混合物として射出成形し、調整し、試験した。測定の値を表6に示す。
【0139】
実施例44:実施例8(本発明のバッチ3)によるTPUを有する静電気防止のポリオキシメチレン化合物の製造
1360gのポリオキシメチレン(BASFからのUltraform N 2320)を、上記の条件下で、240gの実施例8に記載の静電気防止のTPUと混合し、110x100x2mmの試験試料を提供するために、乾燥ブレンド、換言すれば、ペレットの混合物として射出成形し、調整し、試験した。測定の値を表6に示す。
【0140】
実施例45:実施例9(本発明のバッチ4)によるTPUを有する静電気防止のポリオキシメチレン化合物の製造
1360gのポリオキシメチレン(BASFからのUltraform N 2320)を、上記の条件下で、240gの実施例9に記載の静電気防止のTPUと混合し、110x100x2mmの試験試料を提供するために、乾燥ブレンド、換言すれば、ペレットの混合物として射出成形し、調整し、試験した。測定の値を表6に示す。
【0141】
【表6】

【0142】
実施例46〜54、静電気防止のポリオキシメチレン化合物の製造及び評価
実施例46:純ポリ塩化ビニルをベースとする参照試料の製造
110x100x2mmの試験試料を提供するために、1600gのポリ塩化ビニル(PVCと略し、ここでNicocyl GmbHからの可塑化PVCである)を、上記の条件下で、射出成形し、調整し、試験した。測定の値を表7に示す。
【0143】
実施例47:実施例2(比較2)によるTPUを有する静電気防止のポリ塩化ビニル化合物の製造
1360gのポリ塩化ビニル(PVCと略し、ここでNicocyl GmbHからの可塑化PVCである)を、上記の条件下で、240gの実施例2に記載の静電気防止のTPUと混合し、110x100x2mmの試験試料を提供するために、乾燥ブレンド、換言すれば、ペレットの混合物として射出成形し、調整し、試験した。測定の値を表7に示す。
【0144】
実施例48:実施例3(比較3)によるTPUを有する静電気防止のポリ塩化ビニル化合物の製造
1360gのポリ塩化ビニル(PVCと略し、ここでNicocyl GmbHからの可塑化PVCである)を、上記の条件下で、240gの実施例3に記載の静電気防止のTPUと混合し、110x100x2mmの試験試料を提供するために、乾燥ブレンド、換言すれば、ペレットの混合物として射出成形し、調整し、試験した。測定の値を表7に示す。
【0145】
実施例49:実施例4(本発明のバッチ1)によるTPUを有する静電気防止のポリ塩化ビニル化合物の製造
1360gのポリ塩化ビニル(PVCと略し、ここでNicocyl GmbHからの可塑化PVCである)を、上記の条件下で、240gの実施例4に記載の静電気防止のTPUと混合し、110x100x2mmの試験試料を提供するために、乾燥ブレンド、換言すれば、ペレットの混合物として射出成形し、調整し、試験した。測定の値を表7に示す。
【0146】
実施例50:実施例5(比較4)によるTPUを有する静電気防止のポリ塩化ビニル化合物の製造
1360gのポリ塩化ビニル(PVCと略し、ここでNicocyl GmbHからの可塑化PVCである)を、上記の条件下で、240gの実施例5に記載の静電気防止のTPUと混合し、110x100x2mmの試験試料を提供するために、乾燥ブレンド、換言すれば、ペレットの混合物として射出成形し、調整し、試験した。測定の値を表7に示す。
【0147】
実施例51:実施例6(比較5)によるTPUを有する静電気防止のポリ塩化ビニル化合物の製造
1360gのポリ塩化ビニル(PVCと略し、ここでNicocyl GmbHからの可塑化PVCである)を、上記の条件下で、240gの実施例6に記載の静電気防止のTPUと混合し、110x100x2mmの試験試料を提供するために、乾燥ブレンド、換言すれば、ペレットの混合物として射出成形し、調整し、試験した。測定の値を表7に示す。
【0148】
実施例52:実施例7(本発明のバッチ2)によるTPUを有する静電気防止のポリ塩化ビニル化合物の製造
1360gのポリ塩化ビニル(PVCと略し、ここでNicocyl GmbHからの可塑化PVCである)を、上記の条件下で、240gの実施例7に記載の静電気防止のTPUと混合し、110x100x2mmの試験試料を提供するために、乾燥ブレンド、換言すれば、ペレットの混合物として射出成形し、調整し、試験した。測定の値を表7に示す。
【0149】
実施例53:実施例8(本発明のバッチ3)によるTPUを有する静電気防止のポリ塩化ビニル化合物の製造
1360gのポリ塩化ビニル(PVCと略し、ここでNicocyl GmbHからの可塑化PVCである)を、上記の条件下で、240gの実施例8に記載の静電気防止のTPUと混合し、110x100x2mmの試験試料を提供するために、乾燥ブレンド、換言すれば、ペレットの混合物として射出成形し、調整し、試験した。測定の値を表7に示す。
【0150】
実施例54:実施例9(本発明のバッチ4)によるTPUを有する静電気防止のポリ塩化ビニル化合物の製造
1360gのポリ塩化ビニル(PVCと略し、ここでNicocyl GmbHからの可塑化PVCである)を、上記の条件下で、240gの実施例9に記載の静電気防止のTPUと混合し、110x100x2mmの試験試料を提供するために、乾燥ブレンド、換言すれば、ペレットの混合物として射出成形し、調整し、試験した。測定の値を表7に示す。
【0151】
【表7】