(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記(D)成分が、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム、トリフェニルホスフィン、p−メトキシフェノール、およびハイドロキノンからなる群より選ばれる少なくとも1の化合物である、請求項3に記載の樹脂組成物。
請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂組成物の硬化物、請求項8に記載の接着剤の硬化物、請求項9に記載の封止材の硬化物、または請求項10に記載のダム剤の硬化物を含む、半導体装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の(A)アクリル樹脂と、(B)チオール化合物と、(C)潜在性硬化剤と、(D)ラジカル重合禁止剤と、(E)アニオン重合抑制剤とを含有する樹脂組成物の硬化直後の接着強度は、試験片を85℃×85%相対湿度に保持することを含む信頼性試験等での耐湿試験後に、低下している場合のあることが分かった。このため、高信頼性が要求される用途でも使用できるような、接着強度の低下を抑制することのできる樹脂組成物の開発が望まれている。
【0006】
本開示の樹脂組成物は、上記のような問題点に鑑みて開発された。すなわち、本開示の目的は、硬化後に高い接着強度(特に、高いピール強度)を有し、かつ、硬化後の耐湿試験後の接着強度(特に、ピール強度)の低下を抑制することのできる、光および熱硬化性の樹脂組成物、ならびに、これを用いた接着剤、封止材、ダム剤および半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、アクリル樹脂、特定の官能基を有するチオール化合物、および潜在性硬化促進剤を用いることによって、高い接着強度(特に、高いピール強度)を有し、かつ、硬化後の耐湿試験後の接着強度の低下を抑制することのできる、光および熱硬化性の樹脂組成物を得ることができた。
【0008】
本開示は、以下の構成により、上記問題を解決した樹脂組成物、接着剤、封止材、ダム剤、および半導体装置に関する。
〔1〕(A)成分として、アクリル樹脂、
(B)成分として、一般式(1):
【0009】
【0010】
(式中、R
1、R
2、R
3およびR
4は、それぞれ独立して、水素またはC
3H
6SHであり、かつ、R
1、R
2、R
3およびR
4のうちの少なくとも1つは、C
3H
6SHである)で表されるチオール化合物、ならびに(C)成分として、潜在性硬化促進剤を含有する、樹脂組成物。
〔2〕さらに、前記(B)成分以外のチオール化合物を含む、上記〔1〕の樹脂組成物。
〔3〕さらに、(D)成分として、ラジカル重合禁止剤を含む、上記〔1〕または〔2〕の樹脂組成物。
〔4〕前記(D)成分が、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム、トリフェニルホスフィン、p−メトキシフェノール、およびハイドロキノンからなる群より選ばれる少なくとも1の化合物である、上記〔3〕の樹脂組成物。
〔5〕さらに、(E)成分として、アニオン重合抑制剤を含む、上記〔1〕〜〔4〕のいずれかの樹脂組成物。
〔6〕前記(E)成分が、ホウ酸エステル、アルミニウムキレート、および有機酸からなる群より選ばれる少なくとも1種である、上記〔5〕の樹脂組成物。
〔7〕〔前記(B)成分のチオール当量〕/〔前記(A)成分のアクリル当量〕が、0.5〜2.0である、上記〔1〕〜〔6〕のいずれかの樹脂組成物。
〔8〕上記〔1〕〜〔7〕のいずれかの樹脂組成物を含む、接着剤。
〔9〕上記〔1〕〜〔7〕のいずれかの樹脂組成物を含む、封止材。
〔10〕上記〔1〕〜〔7〕のいずれかの樹脂組成物を含む、ダム剤。
〔11〕上記〔1〕〜〔7〕のいずれかの樹脂組成物の硬化物、上記〔8〕の接着剤の硬化物、上記〔9〕の封止材の硬化物、または上記〔10〕のダム剤の硬化物を含む、半導体装置。
【発明の効果】
【0011】
実施形態〔1〕によれば、硬化後に高い接着強度(特に、高いピール強度)を有し、かつ、硬化後の耐湿試験後の接着強度の低下を抑制することのできる、光および熱硬化性の樹脂組成物を提供することができる。
【0012】
実施形態〔8〕によれば、硬化後に高い接着強度(特に、高いピール強度)を有し、かつ、硬化後の耐湿試験後の接着強度の低下を抑制することのできる、光および熱硬化性の接着剤を得ることができる。実施形態〔9〕によれば、硬化後に高い接着強度(特に、高いピール強度)を有し、かつ、硬化後の耐湿試験後の接着強度の低下を抑制することのできる、光および熱硬化性の封止材を得ることができる。実施形態〔10〕によれば、硬化後に高い接着強度(特に、高いピール強度)を有し、かつ、硬化後の耐湿試験後の接着強度の低下を抑制することのできる、光および熱硬化性のダム剤を得ることができる。実施形態〔11〕によれば、硬化後に高い接着強度(特に、高いピール強度)を有し、かつ、硬化後の耐湿試験後の接着強度の低下を抑制することのできる、光および熱硬化性の樹脂組成物、接着剤、封止材、またはダム剤の硬化物による、信頼性の高い半導体素子、例えば、イメージセンサーモジュール等を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本実施形態の樹脂組成物(以下、樹脂組成物という)は、
(A)成分として、アクリル樹脂、
(B)成分として、一般式(1):
【0015】
(式中、R
1、R
2、R
3、およびR
4は、それぞれ独立して、水素またはC
3H
6SHである。R
1、R
2、R
3、およびR
4のうちの少なくとも1つは、C
3H
6SHである)で表されるチオール化合物、ならびに
(C)成分として、潜在性硬化促進剤、を含有する。
【0016】
(A)成分のアクリル樹脂は、硬化後の樹脂組成物に透明性および適度な硬度を付与することができる。この(A)成分は、アクリル酸エステルモノマー、メタクリル酸エステルモノマー、あるいはこれらのオリゴマーである。本実施形態に使用可能なアクリル酸エステルモノマー、メタクリル酸エステルモノマー、およびこれらのオリゴマーの例としては、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジアクリレートおよびジメタクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリアクリレートおよびトリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートおよびトリメタクリレート、ペンタエリスリトールのトリアクリレートおよびトリメタクリレート、および、それらのオリゴマーが挙げられる。また、他の例として、ジペンタエリスリトールのポリアクリレートおよびポリメタクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールのポリアクリレートおよびポリメタクリレート、および、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールのポリアクリレートおよびポリメタクリレートが挙げられる。市販されている(A)成分の例としては、東亜合成株式会社製ポリエステルアクリレート(品名:M7100)、共栄社化学株式会社製ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート(品名:ライトアクリレートDCP−A)、および、ダイセル・オルネクス株式会社製ポリエステルアクリレート(品名:EBECRYL810)が、挙げられる。(A)成分としては、単独の物質が用いられてもよいし、2種以上の物質が併用されてもよい。
【0017】
(B)成分のチオール化合物は、一般式(1):
【0019】
(式中、R
1、R
2、R
3およびR
4は、それぞれ独立して、水素またはC
3H
6SHである。R
1、R
2、R
3およびR
4のうちの少なくとも1つは、C
3H
6SHである)で表される。このチオール化合物は、硬化性の観点から、好ましくは2〜4個のメルカプトプロピル基を有し、硬化物の物性と硬化速度とのバランスの観点から、最も好ましくは3個のメルカプトプロピル基を有する。(B)成分は、異なる数のメルカプトプロピル基を有する複数のチオール化合物を含む混合物であってもよい。この(B)成分は、これ自身が十分に柔軟な骨格を持っている。そのため、効果的に硬化物の弾性率を低減することができる。(B)成分を加えることにより、硬化物の弾性率をコントロールできる。そのため、硬化後の接着強度(特に、ピール強度)を高めることができ、かつ、硬化された樹脂組成物の耐湿試験後の接着強度の低下を抑制することができる。(B)成分は、エステル結合を含有していない。そのため、硬化物が長期的に優れた耐湿性を有する。ここで、上記特許文献3に開示されているチオール化合物として使用されているペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、およびペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)は、いずれもエステル結合を有する。エステル結合は、加水分解し易い。そのため、これらチオール化合物を含有する樹脂組成物は、その用途によっては、十分な耐湿性を有していないこともある、と考えられる。これに対して、(B)成分は、エステル結合を含有していない。市販されている(B)成分の例としては、SC有機化学製チオール化合物(品名:PEPT)が挙げられる。
【0020】
(B)成分と併用できるチオール化合物としては、(B1)成分として、エステル結合をもたないチオール化合物((B)成分のチオール化合物を除く)、および、(B2)成分として、エステル結合をもつチオール化合物が挙げられる。
【0021】
(B1)成分の例としては、例えば、次の一般式(2)
【0023】
(式中、R
5、およびR
6は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜10のアルキル基、またはフェニル基であり、nは、0〜10の整数である)で表されるチオール化合物が挙げられる。好ましい例としては、化学式(3)または化学式(4):
【0026】
で表される、含窒素複素環の4つの各窒素原子に結合している官能基(−CH
2−CH
2―SHまたは−CH
2−CH
2−CH
2―SH)を有する、多官能の含窒素複素環化合物が挙げられる。
【0027】
(B1)成分の市販品としては、四国化成工業製チオールグリコールウリル誘導体(商品名:TS−G)が挙げられる。(B1)成分としては、単独の物質が用いられてもよいし、2種以上の物質が併用されてもよい。(B1)を併用する際には、重量比で、好ましくは、(B1):(B)=15:85〜95:5、より好ましくは、20:80〜90:10の関係が満たされる。(B)成分と(B1)成分とを併用することにより、耐湿性を保持したまま硬化後の弾性率を調整することができる。結果として接着強度(ピール強度)をさらに向上することができる。
【0028】
(B2)成分の例としては、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、トリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、およびトリメチロールエタントリス(3−メルカプトブチレート)が、挙げられる。これら成分のエステル結合は、加水分解し易い。よって、その硬化物が十分な耐湿性を有しない可能性がある。そのため、(B2)を併用する際には、(B2)の重量は、(B)成分を100質量部としたとき、好ましくは200質量部以下、より好ましくは、100質量部以下である。また、ピール強度の観点から、(B2)の重量は、(B)成分を100質量部としたとき、好ましくは25質量部以上である。
【0029】
(C)成分の潜在性硬化促進剤とは、室温では不活性の状態にあり、かつ、加熱することにより活性化して、硬化促進剤として機能する化合物である。(C)成分の例としては、常温で固体のイミダゾール化合物、アミン化合物とエポキシ化合物との反応生成物(アミン−エポキシアダクト系)等の固体分散型アミンアダクト系潜在性硬化促進剤、およびアミン化合物とイソシアネート化合物または尿素化合物との反応生成物(尿素型アダクト系)が、挙げられる。
【0030】
常温で固体のイミダゾール化合物の例としては、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−ベンジル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−(2−メチルイミダゾリル−(1))−エチル−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2′−メチルイミダゾリル−(1)′)−エチル−S−トリアジン・イソシアヌール酸付加物、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール−トリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール−トリメリテイト、N−(2−メチルイミダゾリル−1−エチル)−尿素、および、N,N′−(2−メチルイミダゾリル−(1)−エチル)−アジポイルジアミドが挙げられる。ただし、上記イミダゾール化合物は、これら化合物に限定されるものではない。
【0031】
固体分散型アミンアダクト系潜在性硬化促進剤(アミン−エポキシアダクト系)の製造原料の一つとして用いられるエポキシ化合物の例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、カテコール、あるいはレゾルシノールのような多価フェノールと、エピクロロヒドリンと、を反応させて得られるポリグリシジルエーテル、および、グリセリンあるいはポリエチレングリコールのような多価アルコールと、エピクロロヒドリンと、を反応させて得られるポリグリシジルエーテルが挙げられる。また、他の例として、p−ヒドロキシ安息香酸あるいはβ−ヒドロキシナフトエ酸のようなヒドロキシカルボン酸と、エピクロロヒドリンと、を反応させて得られるグリシジルエーテルエステル、フタル酸あるいはテレフタル酸のようなポリカルボン酸と、エピクロロヒドリンと、を反応させて得られるポリグリシジルエステル、および、4,4′−ジアミノジフェニルメタンあるいはm−アミノフェノールのようなアミン化合物と、エピクロロヒドリンと、を反応させて得られるグリシジルアミン化合物が挙げられる。さらに、他の例として、エポキシ化フェノールノボラック樹脂、エポキシ化クレゾールノボラック樹脂、あるいはエポキシ化ポリオレフィンのような多官能性エポキシ化合物、および、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、あるいはグリシジルメタクリレートのような単官能性エポキシ化合物が挙げられる。ただし、上記エポキシ化合物はこれら化合物に限定されるものではない。
【0032】
固体分散型アミンアダクト系潜在性硬化促進剤のもう一つの製造原料として用いられるアミン化合物は、エポキシ基と付加反応しうる活性水素を分子内に1個以上有し、かつ、1級アミノ基、2級アミノ基、および3級アミノ基の中から選ばれた官能基を少なくとも分子内に1個以上有する化合物であればよい。このような、アミン化合物の例を以下に示す。ただし、上記アミン化合物は、これら化合物に限定されるものではない。その例としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、n−プロピルアミン、2−ヒドロキシエチルアミノプロピルアミン、シクロヘキシルアミン、および4,4′−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタンのような脂肪族アミン類、4,4′−ジアミノジフェニルメタンあるいは2−メチルアニリンのような芳香族アミン化合物、および、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾリン、2,4−ジメチルイミダゾリン、ピペリジン、あるいはピペラジンのように、窒素原子を含有する複素環化合物が挙げられる。ただし、上記アミン化合物は、これら化合物に限定されるものではない。
【0033】
また、この中で特に分子内に3級アミノ基を有する化合物は、優れた硬化促進能を有する潜在性硬化促進剤を与える原料である。そのような化合物の例としては、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジ−n−プロピルアミノプロピルアミン、ジブチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノエチルアミン、ジエチルアミノエチルアミン、あるいはN−メチルピペラジンのようなアミン化合物、および、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、あるいは2−フェニルイミダゾールのようなイミダゾール化合物、のように、分子内に3級アミノ基を有する1級もしくは2級アミン類が挙げられる。また、他の例として、2−ジメチルアミノエタノール、1−メチル−2−ジメチルアミノエタノール、1−フェノキシメチル−2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、1−ブトキシメチル−2−ジメチルアミノエタノール、1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)−2−フェニルイミダゾリン、1−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル)−2−メチルイミダゾリン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N−β−ヒドロキシエチルモルホリン、2−ジメチルアミノエタンチオール、2−メルカプトピリジン、2−ベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、4−メルカプトピリジン、N,N−ジメチルアミノ安息香酸、N,N−ジメチルグリシン、ニコチン酸、イソニコチン酸、ピコリン酸、N,N−ジメチルグリシンヒドラジド、N,N−ジメチルプロピオン酸ヒドラジド、ニコチン酸ヒドラジド、およびイソニコチン酸ヒドラジド等のように、分子内に3級アミノ基を有するアルコール類、フェノール類、チオール類、カルボン酸類、およびヒドラジド類等が挙げられる。ただし、上記分子内に3級アミノ基を有する化合物は、これら化合物に限定されるものではない。
【0034】
固体分散型アミンアダクト系潜在性硬化促進剤の、さらに、もう一つの製造原料として用いられるイソシアネート化合物の例としては、n−ブチルイソシアネート、イソプロピルイソシアネート、フェニルイソシアネート、あるいはベンジルイソシアネートのような単官能イソシアネート化合物、および、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルイレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、あるいはビシクロヘプタントリイソシアネートのような多官能イソシアネート化合物が挙げられる。さらに、これら多官能イソシアネート化合物と活性水素化合物との反応によって得られる、末端イソシアネート基含有化合物等も用いることができる。このような末端イソシアネート基含有化合物の例としては、トルイレンジイソシアネートと、トリメチロールプロパンと、の反応により得られる、末端イソシアネート基を有する付加化合物、および、トルイレンジイソシアネートと、ペンタエリスリトールと、の反応により得られる、末端イソシアネート基を有する付加化合物が挙げられる。ただし、末端イソシアネート基含有化合物は、これら化合物に限定されるものではない。
【0035】
また、尿素化合物の例としては、尿素およびチオ尿素が挙げられる。ただし、尿素化合物は、これら化合物に限定されるものではない。
【0036】
本実施形態に用いることのできる固体分散型潜在性硬化促進剤は、例えば、以下のように容易に調製することができる。上記のアミン化合物とエポキシ化合物との2成分、この2成分と活性水素化合物との3成分、または、アミン化合物とイソシアネート化合物および/または尿素化合物との2成分もしくは3成分の組合せを成すように、採取された各成分が混合される。そして、これら成分は、室温から200℃の温度において反応する。その後、冷却固化された反応物が粉砕される。あるいは、メチルエチルケトン、ジオキサン、またはテトラヒドロフラン等の溶媒中で、上記各成分が反応する。そして、脱溶媒後、その固形分が粉砕される。
【0037】
上記の固体分散型潜在性硬化促進剤の市販品の代表的な例のうち、アミン−エポキシアダクト系(アミンアダクト系)の例としては、「アミキュアPN−23」(味の素ファインテクノ(株)商品名)、「アミキュアPN−40」(味の素ファインテクノ(株)商品名)、「アミキュアPN−50」(味の素ファインテクノ(株)商品名)、「ハードナーX−3661S」(エー・シー・アール(株)商品名)、「ハードナーX−3670S」(エー・シー・アール(株)商品名)、「ノバキュアHX−3742」(旭化成イーマテリアルズ(株)商品名)、「ノバキュアHX−3721」(旭化成イーマテリアルズ(株)商品名)、および「ノバキュアHXA9322HP」(旭化成イーマテリアルズ(株)商品名)、「FXR1121」(T&KTOKA(株)商品名)が挙げられる。また、尿素型アダクト系の例としては、「フジキュアFXE−1000」(T&KTOKA(株)商品名)、および「フジキュアFXR−1030」(T&KTOKA(株)商品名)が挙げられる。ただし、上記市販品は、これらに限定されるものではない。(C)成分としては、単独の物質が用いられてもよいし、2種以上の物質が併用されてもよい。(C)成分の潜在性硬化促進剤としては、ポットライフおよび硬化性の観点から、固体分散型アミンアダクト系潜在性硬化促進剤が好ましい。
【0038】
樹脂組成物の、〔(B)成分のチオール当量〕/〔(A)成分のアクリル当量〕は、好ましくは0.5〜2.0である。(B)成分のチオール当量は、(B)成分の分子量を1分子中のチオール基の数で除することにより得られる数値である。実際のチオール当量は、例えば、電位差測定によってチオール価を求めることにより、決定することができる。アクリル樹脂の当量は、アクリル樹脂の分子量を1分子中のアクリル基(もしくはメタクリル基)の数で除することにより得られる数値に等しい。実際のアクリル当量は、例えば、NMRによって測定することができる。〔(B)成分のチオール当量〕/〔(A)成分のアクリル当量〕を、0.5〜2.0の範囲に設定することによって、アクリルとチオールとが一定量以上反応して、より確実に高重合体が形成されうる。そのため、高い接着強度を発現し易くすることが可能となる。当量が0.5未満あるいは2.0超であると、分子架橋が十分に形成されない。そのため、硬化物表面にブリードが発生し易くなる、あるいは、ピール強度が低下し易くなる、というおそれが生じる。
【0039】
(A)成分は、樹脂組成物の接着強度の観点から、好ましくは、樹脂組成物100質量部に対して、10〜90質量部である。
【0040】
(C)成分は、樹脂組成物の硬化速度およびポットライフの観点から、好ましくは、樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜40質量部である。
【0041】
樹脂組成物は、好ましくは、さらに、(D)成分としてラジカル重合禁止剤を含む。(D)成分のラジカル重合禁止剤は、樹脂組成物の保存時の安定性を高めるために添加される。すなわち、意図しないラジカル重合反応の進行を抑制するために、(D)成分のラジカル重合禁止剤が添加される。(A)成分のアクリル樹脂は、低い確率ながら、自分からラジカルを発生することがある。そのため、そのラジカルを基点として、意図しないラジカル重合反応が進行する場合がある。ラジカル重合禁止剤を添加することによって、このような意図しない(A)成分のラジカル重合反応の進行を抑制することができる。
【0042】
(D)成分としては、公知のラジカル重合禁止剤を使用することができる。好ましくは、例えば、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム、トリフェニルホスフィン、p−メトキシフェノール、およびハイドロキノンからなる群より選ばれる少なくとも1種が使用される。また、特開2010−117545号公報および特開2008−184514号公報などに開示された公知のラジカル重合禁止剤を用いることもできる。(D)成分としては、単独の物質が用いられてもよいし、2種以上の物質が併用されてもよい。
【0043】
樹脂組成物は、好ましくは、さらに、(E)成分としてアニオン重合抑制剤を含む。(E)成分であるアニオン重合抑制剤は、樹脂組成物に保存時の安定性を付与する。すなわち、(C)成分に含まれ得るアミノ基と(B)成分との意図しない反応を抑制するために、(E)成分のアニオン重合抑制剤が添加される。(C)成分に含まれ得るイミダゾールおよび3級アミンは、アミノ基を有している。そのアミノ基が(B)成分と反応して、重合が開始される。潜在性硬化促進剤は、室温ではアミノ基の反応が起こりにくいように、設計されている。しかし、アミノ基が室温で(B)成分と反応してしまう可能性が僅かながら、残されている。(E)成分は、アミノ基が(B)成分と反応する前に、そのアミノ基と反応することにより、意図しないアミノ基と(B)成分との反応を抑制する働きを有している。
【0044】
(E)成分としては、公知のアニオン重合抑制剤を使用することができる。好ましくは、例えば、ホウ酸エステル、アルミニウムキレート、および有機酸からなる群より選ばれる少なくとも1種が使用される。ホウ酸エステルとしては、例えば、特開2011−026539号公報および再表2005/070991号公報に開示されたホウ酸エステルを使用することができる。アルミニウムキレートとしては、例えば、再表2005/070991号公報に開示されたアルミニウムキレートを使用することができる。有機酸としては、例えば、特表2002−509178号公報に開示された有機酸を使用することができる。市販されている(E)成分の例としては、ホウ酸トリイソプロピルおよびバルビツール酸が挙げられる。(E)成分としては、単独の物質が用いられてもよいし、2種以上の物質が併用されてもよい。
【0045】
(D)成分の含有量は、好ましくは、樹脂組成物100質量部に対して、0.0001〜1.0質量部である。(D)成分の含有量がこの範囲にあると、樹脂組成物の保存時の安定性をより高めることができるので、樹脂組成物のポットライフをより長くすることが可能となる。
【0046】
(E)成分の含有量は、好ましくは、(C)成分1質量部に対して、0.0001〜1.0質量部である。(D)成分の含有量がこの範囲にあると、樹脂組成物の保存時の安定性をより高めることができる。その結果、樹脂組成物のポットライフをより長くすることが可能となる。
【0047】
本実施形態の樹脂組成物は、好ましくは、さらに、(F)グリシジル基を有するアクリル樹脂以外の、グリシジル基含有化合物を含む。(F)成分の、加熱による(B)成分との反応性は、(A)成分の(B)成分との反応性と比較して低い。そのため、(E)成分であるアニオン重合抑制剤と同様に、(F)成分は、樹脂組成物の保存時の安定性を高めることに寄与する。
【0048】
(F)成分としては、エポキシ樹脂、少なくとも1つのグリシジル基を有するビニル化合物、および少なくとも1つのグリシジル基を有するポリブタジエンが、(B)成分との反応性の観点から、好ましい。エポキシ樹脂の市販品としては、DIC製エポキシ樹脂(品名:EXA835LV)および新日鉄住金製エポキシ樹脂(品名:YDF8170)が、挙げられる。少なくとも1つのグリシジル基を有するポリブタジエンの市販品としては、ADEKA製エポキシ化1,2−ポリブタジエン、が挙げられる。(F)成分としては、単独の物質が用いられてもよいし、2種以上の物質が併用されてもよい。
【0049】
(F)成分の含有量は、樹脂組成物のポットライフ、およびUV硬化性の観点から、好ましくは、樹脂組成物100質量部に対して、1〜50質量部である。なお、エポキシ樹脂を使用する場合には、(チオール当量)/〔(アクリル当量)+(エポキシ当量)〕の値が、好ましくは0.5〜2.0である。
【0050】
樹脂組成物は、好ましくは、さらにラジカル重合開始剤を含有する。樹脂組成物にラジカル重合開始剤を含有させることにより、短時間の加熱およびUV照射で、樹脂組成物を硬化させることが可能となる。使用可能なラジカル重合開始剤は、特に限定されない。公知の材料を使用することが可能である。ラジカル重合開始剤の具体例としては、ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、1,3−ビス(2−t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、あるいは2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキサンのようなジアルキルペルオキシド、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−アミルペルオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)ブタン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)バレラート、あるいはエチル3,3−(t−ブチルペルオキシ)ブチラートのようなペルオキシケタール、および、t−ブチルペルオキシ2−エチルヘキサノアート、1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシ2−エチルヘキサノアート、t−ブチルペルオキシイソブチラート、t−ブチルペルオキシマレアート、あるいはt−ブチルペルオキシベンゾアートのようなアルキルペルオキシエステルが挙げられる。また、他の例として、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジクロロチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフインオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、およびカンファーキノンが挙げられる。ラジカル重合開始剤としては、単独の物質が用いられてもよいし、2種以上の物質が併用されてもよい。
【0051】
樹脂組成物には、本実施形の態樹脂組成物の特性を損なわない範囲で、かつ、必要に応じて、カーボンブラック、チタンブラック、シリカフィラー、アルミナフィラー、タルクフィラー、炭酸カルシウムフィラー、PTFEフィラー、シランカップリング剤、イオントラップ剤、レベリング剤、酸化防止剤、消泡剤、搖変剤、あるいはその他の添加剤等を配合させることができる。また、樹脂組成物に、粘度調整剤、難燃剤、または溶剤等を配合させてもよい。ここで、カーボンブラックおよびチタンブラックは、遮光性付与材として用いることができる。遮光性およびUV硬化性(硬化深度)の両立を図る観点からは、チタンブラックが好適に用いられる。チタンブラックの例としては、チタンブラック12S(三菱マテリアル電子化成株式会社製)、チタンブラック13M(三菱マテリアル株式会社製)、およびチタンブラック13M−C(三菱マテリアル株式会社製)、TilackD(赤穂化成株式会社製)が挙げられる。チタンブラック13Mが特に好ましい。
【0052】
樹脂組成物は、例えば、(A)成分〜(C)成分およびその他添加剤等を同時にまたは別々に、必要により加熱処理を加えながら、撹拌、溶融、混合、および分散させることにより得ることができる。これらの混合、撹拌、および分散等ための装置は、特に限定されない。撹拌装置および加熱装置を備えた、ライカイ機、ヘンシェルミキサー、3本ロールミル、ボールミル、プラネタリーミキサー、あるいはビーズミル等を使用することができる。また、これら装置を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0053】
このようにして得られた樹脂組成物は、光硬化性および熱硬化性である。樹脂組成物の熱硬化温度は、イメージセンサーモジュールに使用する場合、好ましくは70〜80℃である。
【0054】
本実施形態の樹脂組成物は、例えば、部品同士を接合するための接着剤、封止材、ダム剤、およびその原料として用いることができる。ここで、ダム剤は、例えば、基板上に、複数の半導体チップ等を低粘度フィル剤等で封止する前に、予め基板の外周に形成される。このダム剤によるダムの形成により、その後の複数の半導体チップを封止する低粘度フィル剤の流出を抑制することができる。また、本実施形態の樹脂組成物を含む接着剤は、エンジニアリングプラスチック、セラミックス、および金属に対しても、良好な接合を可能にする。
【実施例】
【0055】
以下、本実施形態の樹脂組成物を、実施例により説明する。ただし、本実施形態は、これら実施例により限定されるものではない。なお、以下の実施例において、部および%は、ことわりのない限り、質量部および質量%を示す。
【0056】
〔実施例1〜24、比較例1〜2〕
表1〜表3に示す配合で、3本ロールミルを用いて、樹脂組成物を調製した。表1〜表3における(B’)成分は、前述の(B2)成分に相当する。(B’’)成分は、前述の(B1)成分に相当する。
【0057】
〔ピール強度〕
下側基材(SUS−304製、平滑板:40mm×60mm×0.3mm)上の、20mm×60mmの領域が、樹脂組成物で塗布された。塗布された領域上の樹脂組成物は、50μmの厚みを有していた。気泡を噛み込まないように注意しながら、上側基材(SUS―304製リボン(厚さ20μm、幅5mm、長さ50mm))が、樹脂組成物の上に載置された。このようにして、5mm×20mmの接着面をもつ試験片が、5つ作製された。次に、送風乾燥機で、作製された試験片を80℃×60分保持することにより、試験片の樹脂組成物を熱硬化させた。これにより、ピール強度測定用の試験片が得られた。
【0058】
その後、室温にて、ピール試験機(ミネベア株式社製荷重測定器LTS−500N−S100、および90°剥離ジグ)により、上記得られた試験片の上側基材が把持された。その後、硬化物の一端がわずかに剥がされたあと、90°の角度および50mm/minの引き上げ速度で、15mmの引き上げ距離まで、上側基材が試験片から剥がされた。このとき、引き上げ距離と同じ距離だけ、試験片が、剥離操作に追従するように、水平に移動した。引き上げ距離が5〜15mmのときの測定値の平均値が、初期ピール強度と定義された。
【0059】
また、以下の手法により、耐湿試験後のピール強度も求められた。上記ピール強度測定用の試験片が、温度85℃および湿度85%の条件下で、恒温恒湿槽内に100時間放置された。恒温恒湿槽から取り出された試験片の温度が、1時間以内に、常温と同じになったことが確認された。この試験片を用いて、上記と同じ測定方法で求められたピール強度が、耐湿試験後のピール強度と定義された。また、保持率が下記式により算出された。
保持率=〔(耐湿試験後のピール強度)/(初期ピール強度)×100〕(単位:%)
ピール強度は、好ましくは0.3N/mm以上、より好ましくは0.5N/mm以上である。表1〜表3に、測定結果(単位は、N/mm)を示す。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
【表3】
【0063】
〔弾性率〕
ステンレス板(SUS−304製、平滑板:40mm×60mm×0.3mm)を、硬化した時の膜厚が500±100μmとなるように樹脂組成物で塗布することにより、塗膜が形成された。80℃で1時間放置することにより、塗膜が硬化された。ステンレス板から剥がされた塗膜から、カッターで、所定の寸法(5mm×40mm)を有する塗膜が切り取られた。なお、切り口はサンドペーパーで滑らかに仕上げた。この切り取られた塗膜の貯蔵弾性率が、JISC6481に従い、セイコーインスツル社製、動的熱機械測定(DMA)を用いて、引張り法により、周波数10Hzで測定された。この25℃の貯蔵弾性率が、初期弾性率と定義された。測定結果を表4に示す。Mはメガを意味する。また、塗膜が、温度85℃および湿度85%の条件で、恒温恒湿槽に100時間放置された。その後、その塗膜の耐湿試験後の弾性率も測定された。測定結果を表4に示す。
【0064】
【表4】
【0065】
表1〜表3からわかるように、実施例1〜24のすべてで、初期ピール強度および耐湿試験後ピール強度が、0.3N/mm以上であった。また、その保持率が30%以上であった。このように、良好な結果が得られた。これに対して、(B)成分の代わりに(B’)成分を使用した比較例1では、耐湿試験後のピール強度が0N/mmと著しく低かった。(C)成分の代わりに(C’)成分を使用した比較例2では、配合時に硬化が起こってしまった。そのためピール強度の測定ができなかった(表2において“×”と記載)。表4の比較例1では、耐湿試験後、硬化物の形状が維持されなかった。そのため弾性率の測定ができなかった(表4において“×”と記載)。
【0066】
〔異種材質の接着剤強度試験〕
〈接着強度〉
表5に示す、種々の材料(SUS−304平滑板、アルミナ、LCP(液晶ポリマー)、PC(ポリカーボネート)、PI(ポリイミド)、PA(ポリアミド)、FR−4(ガラスエポキシ)、PE(ポリエチレン)、およびPP(ポリプロピレン))から選択された1の材料からなる下側基材が、実施例1の接着剤または比較例1の接着剤で塗布された。その後、上記と同じ方法で、上側基材(SUS―304製リボン(幅5mm、厚み20μm、長さ50mm))を載置することにより、試験片が作製された。次に、作成された試験片を80℃で60分保持することにより、試験片の接着剤が熱硬化された。ここで、LCP、PC、PI、PA、およびFR−4は、エンジニアリングプラスチックである。これらの中で、LCPおよびPIは、スーパーエンジニアリングプラスチックである。
【0067】
上記と同じ方法にて、耐湿試験前後のピール強度が算出された。0.3N/mm以上のピール強度が「○」と評価された。0.3N/mm未満のピール強度が「×」と評価された。表5に、結果を示す。
【0068】
【表5】
【0069】
表5からわかるように、実施例1では、SUS、アルミナ、およびエンジニアリングプラスチックの基材を有する試験片が、高い耐湿試験後のピール強度を有していた。これに対して、比較例1では、SUS、アルミナ、エンジニアリングプラスチック、PE、およびPPを有する試験片の全てが、耐湿試験後に低いピール強度を示した。なお、実施例1でも、PEおよびPPの基材を有する試験片は、低い初期ピール強度を示した。
本実施形態の樹脂組成物は、以下の第1〜7の樹脂組成物であってもよい。
上記第1の樹脂書影物は、(A)アクリル樹脂、 (B)一般式(1):
(式中、R
1、R
2、R
3およびR
4は、それぞれ独立して、水素またはC
3H
6SHであり、かつR
1、R
2、R
3およびR
4の少なくとも1つは、C
3H
6SHである)で表されるチオール化合物、ならびに(C)潜在性硬化促進剤を含有することを特徴とする。
上記第2の樹脂組成物は、さらに、(B)以外のチオール化合物を含む、上記第1の樹脂組成物である。
上記第3の樹脂組成物は、さらに、(D)ラジカル重合禁止剤を含む、上記1または2の樹脂組成物である。
上記第4の樹脂組成物は、(D)成分が、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム、トリフェニルホスフィン、p−メトキシフェノール、およびハイドロキノンからなる群より選ばれる少なくとも1種である、上記第3の樹脂組成物である。
上記第5の樹脂組成物は、さらに、(E)アニオン重合抑制剤を含む、請求項1〜4のいずれかの樹脂組成物である。
上記第6の樹脂組成物は、(E)成分が、ホウ酸エステル、アルミニウムキレート、および有機酸からなる群より選ばれる少なくとも1種である、上記第5の樹脂組成物である。
上記7の樹脂組成物は、〔(B)成分のチオール当量〕/〔(A)成分のアクリル当量〕が、0.5〜2.0である、上記第1〜6のいずれかの樹脂組成物である。
本実施形態の接着剤は、上記第1〜7のいずれかの樹脂組成物を含んでいてもよい。
本実施形態の封止材は、上記第1〜7のいずれかの樹脂組成物を含んでいてもよい。
本実施形態のダム剤は、上記第1〜7のいずれかの樹脂組成物を含んでいてもよい。
本実施形態の半導体装置は、上記第1〜7の樹脂組成物の硬化物、上記接着剤の硬化物、上記封止材の硬化物、または、上記ダム剤の硬化物を含んでいてもよい。