特許第6873964号(P6873964)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6873964
(24)【登録日】2021年4月23日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】乾燥チーズの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23C 19/086 20060101AFI20210510BHJP
   A23L 7/113 20160101ALN20210510BHJP
【FI】
   A23C19/086
   !A23L7/113
【請求項の数】7
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2018-229292(P2018-229292)
(22)【出願日】2018年12月6日
(62)【分割の表示】特願2015-540560(P2015-540560)の分割
【原出願日】2014年10月2日
(65)【公開番号】特開2019-68820(P2019-68820A)
(43)【公開日】2019年5月9日
【審査請求日】2019年1月7日
(31)【優先権主張番号】特願2013-208546(P2013-208546)
(32)【優先日】2013年10月3日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006138
【氏名又は名称】株式会社明治
(73)【特許権者】
【識別番号】593027060
【氏名又は名称】エフディフューチャー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(72)【発明者】
【氏名】西野 芳
(72)【発明者】
【氏名】土舘 恭子
(72)【発明者】
【氏名】福井 雅英
(72)【発明者】
【氏名】小林 正央
【審査官】 伊達 利奈
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−021020(JP,A)
【文献】 特開2011−142924(JP,A)
【文献】 特開2009−095270(JP,A)
【文献】 特開2007−252339(JP,A)
【文献】 特開平10−248485(JP,A)
【文献】 特開2010−124813(JP,A)
【文献】 特開平05−276865(JP,A)
【文献】 特開2010−154810(JP,A)
【文献】 特開平05−276856(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23C 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥チーズの製造方法であって、
チーズ塊に対して水分を付与する水分付与工程と、
水分を付与されたチーズ塊を真空凍結乾燥する工程
とを含んでなり、
前記水分付与工程が、前記チーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体中に浸漬させるか、前記チーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体含浸材料で包むことにより行われ、
前記真空凍結乾燥する工程において、前記チーズ塊と前記水分とが一体化して凍結され、
前記チーズ塊の比表面積が0.2〜3mm−1であり、
前記水分付与工程および真空凍結乾燥工程のいずれにおいても前記チーズ塊の加熱溶融を行わない、前記製造方法。
【請求項2】
前記水分付与工程において、水分付与前の前記チーズ塊の水分含量に対し、水分付与後の前記チーズ塊の水分含量が2〜18重量%増加するように水分が付与される、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記チーズ塊がナチュラルチーズまたはプロセスチーズである、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記水分を付与されたチーズ塊の水分含量が47〜65質量%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記チーズ塊が、直径20〜60mmおよび厚さ2〜15mmの円形または扇形スライス形状、短辺5〜30mm、長辺10〜50mmおよび厚さ2〜5mmの四角形スライス形状、直径10mm以下の球形状、ならびに一辺10mm以下の立方体形状からなる群から選択される少なくとも一つの形状を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記真空凍結乾燥工程における凍結温度が、−40〜−8℃である、請求項1〜のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記真空凍結乾燥工程における凍結温度が、−30〜−20℃である、請求項1〜のいずれか一項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の参照】
【0001】
本特許出願は、先に出願された日本国特許出願である特願2013−208546(出願日:2013年10月3日)に基づく優先権の主張を伴うものである。この先の特許出願における全開示内容は、引用することにより本願発明の開示の一部とされる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、新規な乾燥チーズの製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、飲食品分野において、具材のバラエティーに富んだ即席飲食品を提供するため、様々な乾燥食物素材を開発することが求められている。
【0004】
食品素材の中でも、チーズは、一般的には、ブロック状の素材のまま乾燥したのでは、湯戻りしにくく、即席飲食品等の具材として用いることが困難である。そこで、湯戻りしうる乾燥チーズを製造するための種々の方法が報告されている。
【0005】
特許文献1には、原料ナチュラルチーズの一種類もしくは複数種類を組合せたものに、水を加え、原料ナチュラルチーズと水が全体に均一状態に混じり合っているが未だ乳化状態に至らない程度に混合し、これを凍結乾燥する乾燥ナチュラルチーズの製造方法が報告されている。この特許文献1の方法では、水との均一混合工程が必須とされている。また、特許文献1の方法では、水との均一混合の前処理として、原料ナチュラルチーズをチョッパー等で粉砕する工程が必須となる。
【0006】
また、特許文献2には、原料ナチュラルチーズに、溶融塩および水または安定剤および水とともに乳化剤を添加して加熱しながら攪拌し、これを冷却後に凍結し、さらに凍結乾燥することを特徴とする乾燥チーズの製造方法が報告されている。
【0007】
また、特許文献3には、チーズを融解し、HLB4以下の乳化剤を添加し、25℃乃至45℃の温度で36時間乃至60時間保持してチーズを冷却し、15℃以下の温度で凍結し、粉砕し、のち流動乾燥することを特徴とする遊離脂肪酸が少なく、褐変が少なく、かつ風味良好な乾燥チーズの製造方法が報告されている。
【0008】
しかしながら、従来の乾燥チーズの製造方法では、多数の工程を要することから、工業スケールにおいては設備投資の増加が問題となる。また、従来の乾燥チーズの製造方法では、乳化剤をはじめとする食品添加剤の添加工程、粉砕加工等の際に、チーズの品質変化を生じる場合がある。そこで、チーズの素材本来の良好な品質を活かした、湯戻りしうる乾燥チーズを簡易に製造する方法が依然として求められているといえる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭61−135542号公報
【特許文献2】特開2004−290087号公報
【特許文献3】特開平09−065827号公報
【発明の概要】
【0010】
本発明は、チーズの素材本来の良好な品質を活かした、湯戻りしうる乾燥チーズを簡易に製造することをその目的としている。
【0011】
本発明者らは、今般、チーズの全部または一部を水性媒体等に浸した状態でそのまま凍結乾燥したところ、チーズの素材本来の良好な品質を活かして、湯戻りしうる乾燥チーズを簡易に製造しうることを見出した。本発明は、これら知見に基づくものである。
【0012】
本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1)チーズ塊の全部または一部が水性媒体または水性媒体含浸材料中に包埋されてなるチーズ塊の水性媒体浸漬物を凍結乾燥することを含んでなる、乾燥チーズの製造方法。
(2)乾燥チーズが湯戻りしうる、(1)に記載の方法。
(3)チーズ塊がナチュラルチーズである、(1)または(2)のいずれか一つに記載の製造方法。
(4)ナチュラルチーズが、フレッシュタイプチーズ、セミハードタイプチーズ、ハードタイプチーズまたはそれらの混合物である、(1)〜(3)のいずれか一つに記載の製造方法。
(5)ナチュラルチーズが、モッツァレラ、ゴーダおよびチェダーからなる群から選択される少なくとも一つのものである、(1)〜(4)のいずれか一項に記載の製造方法。
(6)チーズ塊の水性媒体浸漬物において、前記チーズ塊の表面積の1/10以上が水性媒体または水性媒体含浸材料中に包埋されている、(1)〜(5)のいずれか一つに記載の製造方法。
(7)チーズ塊の水性媒体浸漬物において、前記チーズ塊の表面積の半分以上が水性媒体または水性媒体含浸材料中に包埋されている、(6)に記載の製造方法。
(8)チーズ塊の比表面積が0.2〜3mm−1である、(1)〜(7)のいずれか一つに記載の製造方法。
(9)チーズ塊の水分含量が47〜65質量%である、(1)〜(8)のいずれか一つに記載の製造方法。
(10)水性媒体が水または水溶液である、(1)〜(9)のいずれか一つに記載の製造方法。
(11)水溶液が、デンプン、砂糖、アミノ酸または食塩を溶質として含んでなる、(1)〜(10)のいずれか一つに記載の製造方法。
(12)水性媒体中の溶質濃度が10質量%未満である、(1)〜(11)のいずれか一つに記載の製造方法。
(13)凍結乾燥における乾燥温度が10〜60℃である、(1)〜(12)のいずれか一つに記載の製造方法。
(14)凍結乾燥における凍結温度が−40℃〜−8℃である、(1)〜(13)のいずれか一つに記載の製造方法。
(15)(1)〜(14)に記載の製造方法により得られる、乾燥チーズ。
(16)(15)に記載の乾燥チーズを含有するかまたは原料とする、即席飲食品。
(17)図2で表される構造を有する湯戻りしうる、(15)に記載の乾燥チーズ。
【0013】
本発明によれば、チーズの素材本来の良好な品質を活かした、湯戻りしうる乾燥チーズを簡易に製造することができる。また、本発明によれば、原料であるチーズ塊の形状または大きさを調節することにより、所望の形状または大きさの乾燥チーズを簡易に製造することができる。また、本発明は、湯戻りした際に良好な糸引き性を発揮する乾燥チーズを提供する上で有利である。また、本発明は、乳化剤等の食品添加剤を用いる必要がなく、チーズ本来の食感または味を良好に再現する上で有利である。また、本発明は、原料チーズを破砕する工程を必須とせず、良好な耐破砕性を乾燥チーズに付与する上で有利である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】チーズのデンプン水溶液浸漬物を収容したアルミトレイを、そのまま凍結乾燥することにより得られた、乾燥チーズの写真である。
図2】本発明の乾燥チーズ表面の電子顕微鏡写真である。
図3】おろしチーズを原料とする乾燥チーズ(比較例17)の写真である。
図4】チーズのデンプン水溶液浸漬物を凍結乾燥することにより得られた、乾燥チーズ(実施例1)の写真である。
【発明の具体的説明】
【0015】
乾燥チーズの製造方法
本発明の乾燥チーズの製造方法は、チーズ塊の全部または一部が水性媒体または水性媒体含浸材料中に包埋されてなるチーズ塊の水性媒体浸漬物を凍結乾燥することを一つの特徴としている。チーズ塊の全部または一部をあえて水性媒体等で包埋した状態に置いて凍結乾燥することにより、品質の良好な湯戻りしうる乾燥チーズが得られることは意外な事実である。
【0016】
本発明の製造方法にあっては、まず、チーズ塊の全部または一部を水性媒体または水性媒体含浸材料中に包埋させて得られるチーズ塊の水性媒体浸漬物を用意する。
【0017】
チーズ塊
本発明のチーズ塊は、ナチュラルチーズまたはプロセスチーズのいずれであってもよいが、良好な湯戻り性を乾燥チーズに付与するためには、ナチュラルチーズが好ましい。
【0018】
また、ナチュラルチーズとしては、好ましくはフレッシュタイプチーズ、セミハードタイプチーズ、ハードタイプチーズまたはそれらの混合物であり、より好ましくはフレッシュタイプチーズまたはセミハードタイプチーズであり、さらに好ましくはフレッシュタイプチーズである。
【0019】
また、ナチュラルチーズの種類は、特に限定されないが、好ましくはモッツァレラ、ゴーダ、チェダー、ラクレット、クリーム、カッテージ、マスカルポーネ、ミモレット、パルミジャーノレジャーノ等であり、良好な湯戻り性および糸引き性の付与のために、より好ましくはモッツァレラ、ゴーダまたはチェダーである。
【0020】
また、チーズ塊の水分含量は、特に限定されないが、良好な湯戻り性および糸引き性の付与のためには水分含量は高いことが好ましい。具体的には、チーズ塊の水分含量の下限値は、好ましくは47質量%であり、より好ましくは49質量%であり、さらに好ましくは50質量%であり、特に好ましくは52質量%である。チーズ塊の水分含量が高いと、良好な湯戻り性および糸引き性を付与することができる。チーズ塊の水分含量の上限値は、本発明の乾燥チーズの製造方法における凍結乾燥の効率を考慮すると、好ましくは65質量%であり、より好ましくは63質量%、さらに好ましくは62質量%、さらに好ましくは61質量%、特に好ましくは60質量%である。チーズ塊の水分含量は、好ましくは47〜65質量%であり、より好ましくは49〜65質量%であり、さらに好ましくは50〜63質量%であり、特に好ましくは52〜63質量%である。
【0021】
チーズ塊の水分含量の調整法は、特に限定されないが、例えば、所望の水分含量の市販品を用いてもよく、市販品を水性媒体中で浸漬させて水分含量を調整してもよい。
【0022】
また、チーズ塊の水分含量は、例えば、乾燥重量法(減圧真空乾燥前後のチーズ塊の重量減少から水分含量を算出する方法)等の公知の方法により測定することができる。
【0023】
また、チーズ塊は、市販品をそのまま用いてもよく、公知の切断器具等を用いて原料チーズを加工することにより所望の形状または大きさに成形してもよい。チーズ塊の形状は特に限定されないが、例えば、略正方形、略長方形、略円形もしくは略扇形の片面を有するブロック、略球体または略立方体に成形することができる。
【0024】
チーズ塊の比表面積は、特に限定されないが、乾燥チーズを湯戻しした際にチーズ本来の食感およびボリューム感を再現することを考慮すると、具体的な比表面積の下限値は、好ましくは0.2mm−1であり、より好ましくは0.3mm−1、さらに好ましくは0.5mm−1である。また、良好な湯戻り性および糸引き性を付与することを考慮すると、チーズ塊の比表面積の上限値は、好ましくは3mm−1であり、より好ましくは2mm−1であり、さらに好ましくは1.5mm−1である。チーズ塊の比表面積は、好ましくは0.2〜3mm−1であり、より好ましくは0.3〜2mm−1であり、さらに好ましくは0.3〜1.5mm−1である。
【0025】
また、チーズ塊の比表面積は、単位体積あたりの表面積であり、以下の式により算出することができる。
チーズ塊の比表面積(mm−1)=チーズ塊の表面積(mm)/チーズ塊の体積(mm
【0026】
水性媒体
本発明の製造方法において、水性媒体は、湯戻りしうる乾燥チーズを製造しうる限り特に限定されないが、好ましくは水または水溶液である。
【0027】
また、水性媒体が溶質を含む場合、溶質の種類は特に限定されないが、好ましくは水溶性物質であり、より好ましくはデンプン、砂糖、アミノ酸または食塩であり、さらに好ましくはデンプン、砂糖または食塩である。
【0028】
また、水性媒体が溶質を含む場合、溶質濃度は、湯戻りしうる乾燥チーズを製造しうる限り特に限定されないが、好ましくは10質量%未満である。具体的には、水性媒体の溶質濃度の下限値は、より好ましくは0.1質量%であり、さらに好ましくは0.5質量%である。水性媒体が溶質を含むと、当該溶質により乾燥チーズに風味を付与することができる。また、水性媒体の溶質濃度の上限値は、チーズとしての風味を保つことを考慮すると、好ましくは5質量%であり、より好ましくは4質量%であり、さらに好ましくは2.5質量%である。水性媒体の溶質濃度は、好ましくは0.1〜5質量%であり、より好ましくは0.1〜4質量%であり、さらに好ましくは0.5〜4質量%である。溶質濃度を10質量%未満とすることは、湯戻りしうる乾燥チーズを安定に製造する上で特に好ましい。
【0029】
水性媒体含浸材料
また、本発明の製造方法では、チーズ塊を包埋するために、水性媒体の他、水性媒体含浸材料を用いることができる。
【0030】
水性媒体含浸材料としては、上述のような水性媒体を含浸する限り特に限定されないが、好ましくは繊維質材料であり、より好ましくは脱脂綿または不織布であり、さらに好ましくは脱脂綿である。
【0031】
また、水性媒体含浸材料が、水性媒体を含有する量は、湯戻りしうる乾燥チーズを製造しうる限り特に限定されないが、例えば、チーズ塊が25gの場合、水性媒体含浸材料中の水性媒体を50〜70gと設定することができる。
【0032】
包埋処理
本発明におけるチーズ塊の包埋は、凍結乾燥における凍結工程でチーズ塊の表面の全部または一部(すなわち、チーズ塊の所望の表面領域)と水性媒体または水性媒体含浸材料とが一体化して凍結される、すなわちチーズ塊の表面の全部または一部が水性媒体に充分に接触している状態で凍結される限り特に限定されないが、チーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体中に浸漬させるか、チーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体含浸材料で包むことにより行うことができる。ここで「包埋」には、チーズ塊の表面と水性媒体との一時的な接触(例えば、1〜数回のチーズ塊の表面塗布)は含まれない。
【0033】
上記包埋処理において、チーズ塊を水性媒体中に浸漬させる具体的な手法は、特に限定されないが、例えば、チーズ塊を凍結乾燥機に収容可能な容器(例えば、アルミトレイ等)中で水性媒体中に浸漬させてもよい。この浸漬処理においては、上記容器へチーズ塊を入れた後に水性媒体を入れてもよく、水性媒体入れた後にチーズ塊を入れてもよく、両者を同時に容器に入れてもよい。
【0034】
また、上記浸漬処理において、容器中でのチーズ塊の分散状態は特に限定されず、チーズ塊は水性媒体中で不均一に分散していてもよく、均一に分散していてもよい。
【0035】
また、上記包埋処理において、チーズ塊を水性媒体含浸材料で包む具体的な手法は、特に限定されないが、例えば、所望の表面領域に水性媒体含浸材料が接触するように水性媒体含浸材料でチーズ塊の表面を覆ってもよい。
【0036】
また、上記包埋処理において、水性媒体または水性媒体含浸材料で包埋されるチーズ塊の表面積の割合は、湯戻りしうる乾燥チーズを製造しうる限り特に限定されないが、好ましくはチーズ塊の全表面積の1/10以上であり、より好ましくは1/5以上であり、さらに好ましくは半分以上であり、特に好ましくは全部である。
【0037】
凍結乾燥
本発明によれば、上述のような包埋処理により得られるチーズ塊の水性媒体浸漬物を凍結乾燥することにより、乾燥チーズを得ることができる。本発明の凍結乾燥により得られた乾燥チーズの一例(チーズの種類:モッツァレラ、水性媒体の種類:デンプン水溶液、収容容器:アルミトレイ)の写真は、図1に示される通りである。
【0038】
本発明の凍結乾燥方法は、特に限定されないが、チーズ塊の水性媒体浸漬物を収容可能な公知の凍結乾燥装置を用いて好適に行うことができる。
【0039】
本発明の凍結乾燥における凍結工程での凍結温度は、特に限定されないが、チーズ塊の水性媒体浸漬物をチーズ塊と水性媒体または水性媒体含浸材料とを一体化した状態で確実に凍結することを考慮すると、凍結温度の下限値は、好ましくは−40℃であり、より好ましくは−35℃であり、さらに好ましくは−30℃である。また、凍結工程の効率を考慮すると、凍結温度の上限値は、好ましくは−8℃であり、より好ましくは−15℃であり、さらに好ましくは−20℃である。凍結温度は、好ましくは−40〜−8℃であり、より好ましくは−35〜−15℃であり、さらに好ましくは−30〜−20℃である。
【0040】
本発明の凍結乾燥における乾燥温度は、特に限定されないが、凍結乾燥工程の効率を考慮すると、乾燥温度の下限値は、好ましくは10℃であり、より好ましくは30℃であり、さらに好ましくは35℃である。また、チーズとしての風味を保つことを考慮すると、乾燥温度の上限値は、好ましくは60℃であり、より好ましくは55℃であり、さらに好ましくは50℃、特に好ましくは45℃である。乾燥温度は、好ましくは10〜60℃であり、より好ましくは30〜55℃であり、さらに好ましくは35〜50℃である。ここで、乾燥温度は、例えば、使用する凍結乾燥装置の乾燥完了時の加熱板温度を基準として設定することができる。
【0041】
乾燥チーズ
本発明の上記製造方法によれば、品質の良好な湯戻りしうる乾燥チーズを安定に得ることができる。
【0042】
本発明の乾燥チーズは、湯戻り性および糸引き性の両者を備えていることが好ましい。
また、本発明の乾燥チーズは、その製造工程中に乳化剤等を添加しなくともよく、チーズ素材の本来の食感または味を良好に再現する上で好ましい。また、本発明の乾燥チーズは、安定な製造を勘案すれば、耐破砕性を有することが好ましい。
【0043】
本発明の「湯戻り性」、「糸引き性」、「食感」、「味」および「耐破砕性」のレベルは、例えば、後述する試験例1に記載の方法により判定することができる。ここで、「湯戻り性」とは、湯を注いだり、湯煮(好ましくは、短期間湯煮)することにより、乾燥チーズを凍結乾燥する前のチーズの状態に外観などが復元する性質、すなわち吸水による復元性を意味する。「湯戻りしうる」とは、湯戻り性が優れていることを意味し、例えば、乾燥チーズを凍結乾燥する前のチーズの状態と同等の外観まで復元できることを意味する。ここで「湯戻り性が優れている」とは、例えば、後述する試験例1の湯戻り性評価において、スコア4以上の評価基準を有するものを意味する。「糸引き性」とは、湯戻しした際にチーズが糸状に伸びるチーズ特有の性質を意味する。
【0044】
本発明の乾燥チーズは、飲食品の具材等として好適に用いることができる。本発明の乾燥チーズが適用される飲食品は、特に限定されず、通常の飲食品または即席飲食品のいずれであってもよいが、好ましくは即席飲食品であり、より好ましくは湯戻ししうる即席飲食品である。かかる飲食品の具体例としては、特に限定されないが、スープ、ラーメン、お茶漬け、スープパスタ、味噌汁、おかゆまたはそれらの即席飲食品が挙げられる。
【0045】
また、本発明の好ましい態様によれば、本発明の乾燥チーズの製造方法において、
チーズ塊は、ナチュラルチーズまたはプロセスチーズであり、より好ましくはフレッシュタイプチーズ、セミハードタイプチーズ、ハードタイプチーズまたはそれらの混合物であり、さらに好ましくはフレッシュタイプチーズまたはセミハードタイプチーズであり、さらに好ましくはフレッシュタイプチーズであり、さらに好ましくはモッツァレラ、ゴーダ、チェダー、ラクレット、クリーム、カッテージ、マスカルポーネ、ミモレットまたはパルミジャーノレジャーノであり、さらに好ましくはモッツァレラ、ゴーダまたはチェダーであり、
チーズ塊の水分含量は、好ましくは47〜65質量%であり、より好ましくは49〜65質量%であり、さらに好ましくは50〜63質量%であり、特に好ましくは52〜63質量%であり、
チーズ塊の形状は、好ましくは略正方形、略長方形、略円形もしくは略扇形の片面を有するブロック、略球体または略立方体であり、
チーズ塊の比表面積は、特に限定されないが、好ましくは0.2〜3mm−1であり、より好ましくは0.3〜2mm−1であり、さらに好ましくは0.3〜1.5mm−1であり、
水性媒体は、好ましくは水または水溶液であり、
水性媒体が溶質を含む場合、溶質は、好ましくは水溶性物質であり、より好ましくはデンプン、砂糖、アミノ酸または食塩であり、さらに好ましくはデンプン、砂糖または食塩であり、
水性媒体が溶質を含む場合、溶質濃度は、好ましくは10質量%未満であり、より好ましくは0.1〜5質量%であり、さらに好ましくは0.1〜4質量%であり、特に好ましくは0.5〜4質量%であり、
水性媒体含浸材料は、好ましくは繊維質材料であり、より好ましくは脱脂綿または不織布であり、さらに好ましくは脱脂綿であり、
チーズ塊の包埋は、好ましくはチーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体中に浸漬させるか、またはチーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体含浸材料で包むことにより実施され、
水性媒体または水性媒体含浸材料で包埋されるチーズ塊の表面積の割合は、好ましくはチーズ塊の全表面積の1/10以上であり、より好ましくは1/5以上であり、さらに好ましくは半分以上であり、特に好ましくは全部であり、
凍結乾燥における凍結温度は、好ましくは−40〜−8℃であり、より好ましくは−35〜−15℃であり、さらに好ましくは−30〜−20℃であり、
凍結乾燥における乾燥温度は、好ましくは10〜60℃であり、より好ましくは30〜55℃であり、さらに好ましくは35〜50℃であり、
乾燥チーズが適用される飲食品は、好ましくは即席飲食品であり、より好ましくは湯戻ししうる即席飲食品であり、さらに好ましくは、スープ、ラーメン、お茶漬け、スープパスタ、味噌汁、おかゆまたはそれらの即席飲食品である。
【0046】
本発明の好ましい態様によれば、本発明の乾燥チーズの製造方法において、
チーズ塊は、ナチュラルチーズまたはプロセスチーズであり、
チーズ塊の水分含量が、47〜65質量%であり、
チーズ塊の包埋は、チーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体中に浸漬させるか、またはチーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体含浸材料で包むことにより実施され、
水性媒体または水性媒体含浸材料で包埋されるチーズ塊の表面積の割合が、チーズ塊の全表面積の1/10以上である、
乾燥チーズの製造方法が提供される。
【0047】
本発明の好ましい態様によれば、本発明の乾燥チーズの製造方法において、
チーズ塊は、ナチュラルチーズまたはプロセスチーズであり、
チーズ塊の水分含量が、47〜65質量%であり、
チーズ塊の包埋は、チーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体中に浸漬させるか、またはチーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体含浸材料で包むことにより実施され、
水性媒体または水性媒体含浸材料で包埋されるチーズ塊の表面積の割合が、チーズ塊の全表面積の1/5以上である、
乾燥チーズの製造方法が提供される。
【0048】
本発明のより好ましい態様によれば、本発明の乾燥チーズの製造方法において、
チーズ塊は、ナチュラルチーズまたはプロセスチーズであり、
チーズ塊の水分含量が、47〜65質量%であり、
チーズ塊の包埋は、チーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体中に浸漬させるか、またはチーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体含浸材料で包むことにより実施され、
水性媒体または水性媒体含浸材料で包埋されるチーズ塊の表面積の割合が、チーズ塊の全表面積の半分以上である、
乾燥チーズの製造方法が提供される。
【0049】
本発明のさらに好ましい態様によれば、本発明の乾燥チーズの製造方法において、
チーズ塊は、ナチュラルチーズまたはプロセスチーズであり、
チーズ塊の水分含量が、47〜65質量%であり、
チーズ塊の包埋は、チーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体中に浸漬させるか、またはチーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体含浸材料で包むことにより実施され、
水性媒体または水性媒体含浸材料で包埋されるチーズ塊の表面積の割合が、チーズ塊の全表面積の全部である、
乾燥チーズの製造方法が提供される。
【0050】
本発明の好ましい態様によれば、本発明の乾燥チーズの製造方法において、
チーズ塊は、ナチュラルチーズまたはプロセスチーズであり、
チーズ塊の水分含量が、49〜65質量%であり、
チーズ塊の包埋は、チーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体中に浸漬させるか、またはチーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体含浸材料で包むことにより実施され、
水性媒体または水性媒体含浸材料で包埋されるチーズ塊の表面積の割合が、チーズ塊の全表面積の1/10以上である、
乾燥チーズの製造方法が提供される。
【0051】
本発明の好ましい態様によれば、本発明の乾燥チーズの製造方法において、
チーズ塊は、ナチュラルチーズまたはプロセスチーズであり、
チーズ塊の水分含量が、49〜65質量%であり、
チーズ塊の包埋は、チーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体中に浸漬させるか、またはチーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体含浸材料で包むことにより実施され、
水性媒体または水性媒体含浸材料で包埋されるチーズ塊の表面積の割合が、チーズ塊の全表面積の1/5以上である、
乾燥チーズの製造方法が提供される。
【0052】
本発明のより好ましい態様によれば、本発明の乾燥チーズの製造方法において、
チーズ塊は、ナチュラルチーズまたはプロセスチーズであり、
チーズ塊の水分含量が、49〜65質量%であり、
チーズ塊の包埋は、チーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体中に浸漬させるか、またはチーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体含浸材料で包むことにより実施され、
水性媒体または水性媒体含浸材料で包埋されるチーズ塊の表面積の割合が、チーズ塊の全表面積の半分以上である、
乾燥チーズの製造方法が提供される。
【0053】
本発明のさらに好ましい態様によれば、本発明の乾燥チーズの製造方法において、
チーズ塊は、ナチュラルチーズまたはプロセスチーズであり、
チーズ塊の水分含量が、49〜65質量%であり、
チーズ塊の包埋は、チーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体中に浸漬させるか、またはチーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体含浸材料で包むことにより実施され、
水性媒体または水性媒体含浸材料で包埋されるチーズ塊の表面積の割合が、チーズ塊の全表面積の全部である、
乾燥チーズの製造方法が提供される。
【0054】
本発明のさらに好ましい態様によれば、本発明の乾燥チーズの製造方法において、
チーズ塊は、ナチュラルチーズまたはプロセスチーズであり、
チーズ塊の水分含量が、50〜63質量%であり
チーズ塊の包埋は、チーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体中に浸漬させるか、またはチーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体含浸材料で包むことにより実施され、
水性媒体または水性媒体含浸材料で包埋されるチーズ塊の表面積の割合が、チーズ塊の全表面積の1/10以上である、
乾燥チーズの製造方法が提供される。
【0055】
本発明のさらに好ましい態様によれば、本発明の乾燥チーズの製造方法において、
チーズ塊は、ナチュラルチーズまたはプロセスチーズであり、
チーズ塊の水分含量が、50〜63質量%であり
チーズ塊の包埋は、チーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体中に浸漬させるか、またはチーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体含浸材料で包むことにより実施され、
水性媒体または水性媒体含浸材料で包埋されるチーズ塊の表面積の割合が、チーズ塊の全表面積の1/5以上である、
乾燥チーズの製造方法が提供される。
【0056】
本発明のさらに好ましい態様によれば、本発明の乾燥チーズの製造方法において、
チーズ塊は、ナチュラルチーズまたはプロセスチーズであり、
チーズ塊の水分含量が、50〜63質量%であり
チーズ塊の包埋は、チーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体中に浸漬させるか、またはチーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体含浸材料で包むことにより実施され、
水性媒体または水性媒体含浸材料で包埋されるチーズ塊の表面積の割合が、チーズ塊の全表面積の半分以上である、
乾燥チーズの製造方法が提供される。
【0057】
本発明のさらに好ましい態様によれば、本発明の乾燥チーズの製造方法において、
チーズ塊は、ナチュラルチーズまたはプロセスチーズであり、
チーズ塊の水分含量が、50〜63質量%であり
チーズ塊の包埋は、チーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体中に浸漬させるか、またはチーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体含浸材料で包むことにより実施され、
水性媒体または水性媒体含浸材料で包埋されるチーズ塊の表面積の割合が、チーズ塊の全表面積の全部である、
乾燥チーズの製造方法が提供される。
【0058】
本発明のさらに好ましい態様によれば、本発明の乾燥チーズの製造方法において、
チーズ塊は、ナチュラルチーズまたはプロセスチーズであり、
チーズ塊の水分含量が、52〜63質量%であり、
チーズ塊の包埋は、チーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体中に浸漬させるか、またはチーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体含浸材料で包むことにより実施され、
水性媒体または水性媒体含浸材料で包埋されるチーズ塊の表面積の割合が、チーズ塊の全表面積の1/10以上である、
乾燥チーズの製造方法が提供される。
【0059】
本発明のさらに好ましい態様によれば、本発明の乾燥チーズの製造方法において、
チーズ塊は、ナチュラルチーズまたはプロセスチーズであり、
チーズ塊の水分含量が、52〜63質量%であり、
チーズ塊の包埋は、チーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体中に浸漬させるか、またはチーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体含浸材料で包むことにより実施され、
水性媒体または水性媒体含浸材料で包埋されるチーズ塊の表面積の割合が、チーズ塊の全表面積の1/5以上である、
乾燥チーズの製造方法が提供される。
【0060】
本発明のさらに好ましい態様によれば、本発明の乾燥チーズの製造方法において、
チーズ塊は、ナチュラルチーズまたはプロセスチーズであり、
チーズ塊の水分含量が、52〜63質量%であり、
チーズ塊の包埋は、チーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体中に浸漬させるか、またはチーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体含浸材料で包むことにより実施され、
水性媒体または水性媒体含浸材料で包埋されるチーズ塊の表面積の割合が、チーズ塊の全表面積の半分以上である、
乾燥チーズの製造方法が提供される。
【0061】
本発明のさらに好ましい態様によれば、本発明の乾燥チーズの製造方法において、
チーズ塊は、ナチュラルチーズまたはプロセスチーズであり、
チーズ塊の水分含量が、52〜63質量%であり、
チーズ塊の包埋は、チーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体中に浸漬させるか、またはチーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体含浸材料で包むことにより実施され、
水性媒体または水性媒体含浸材料で包埋されるチーズ塊の表面積の割合が、チーズ塊の全表面積の全部である、
乾燥チーズの製造方法が提供される。
【0062】
本発明のさらに好ましい態様によれば、本発明の乾燥チーズの製造方法において、
チーズ塊は、ナチュラルチーズまたはプロセスチーズであり、
チーズ塊の水分含量が、47〜65質量%であり(より好ましくは49〜65質量%であり、さらに好ましくは50〜63質量%であり、特に好ましくは52〜63質量%であり)、
チーズ塊の包埋は、チーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体中に浸漬させるか、またはチーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体含浸材料で包むことにより実施され、
水性媒体または水性媒体含浸材料で包埋されるチーズ塊の表面積の割合が、チーズ塊の全表面積の1/10以上である(より好ましくは1/5以上であり、さらに好ましくは半分以上であり、特に好ましくは全部である)、
乾燥チーズの製造方法が提供される。
【0063】
本発明のさらに好ましい態様によれば、本発明の乾燥チーズの製造方法において、
チーズ塊は、ナチュラルチーズまたはプロセスチーズであり、
チーズ塊の水分含量が、47〜65質量%であり(より好ましくは49〜65質量%であり、さらに好ましくは50〜63質量%であり、特に好ましくは52〜63質量%であり)、
水性媒体が、好ましくは水または水溶液であり、
水性媒体が溶質を含む場合、溶質が、水溶性物質であり(より好ましくはデンプン、砂糖、アミノ酸または食塩であり、さらに好ましくはデンプン、砂糖または食塩であり)、
チーズ塊の包埋は、チーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体中に浸漬させるか、またはチーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体含浸材料で包むことにより実施され、
水性媒体または水性媒体含浸材料で包埋されるチーズ塊の表面積の割合が、チーズ塊の全表面積の1/10以上である(より好ましくは1/5以上であり、さらに好ましくは半分以上であり、特に好ましくは全部である)、
乾燥チーズの製造方法が提供される。
【0064】
本発明のさらに好ましい態様によれば、本発明の乾燥チーズの製造方法において、
チーズ塊は、ナチュラルチーズまたはプロセスチーズであり、
チーズ塊の水分含量が、47〜65質量%であり(より好ましくは49〜65質量%であり、さらに好ましくは50〜63質量%であり、特に好ましくは52〜63質量%であり)、
水性媒体が、好ましくは水または水溶液であり、
水性媒体が溶質を含む場合、溶質が、水溶性物質であり(より好ましくはデンプン、砂糖、アミノ酸または食塩であり、さらに好ましくはデンプン、砂糖または食塩であり)、
水性媒体が溶質を含む場合、溶質濃度が、10質量%未満であり(より好ましくは0.1〜5質量%であり、さらに好ましくは0.1〜4質量%であり、特に好ましくは0.5〜4質量%であり)、
チーズ塊の包埋が、好ましくはチーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体中に浸漬させるか、またはチーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体含浸材料で包むことにより実施され、
水性媒体または水性媒体含浸材料で包埋されるチーズ塊の表面積の割合が、チーズ塊の全表面積の1/10以上である(より好ましくは1/5以上であり、さらに好ましくは半分以上であり、特に好ましくは全部である)、
乾燥チーズの製造方法が提供される。
【0065】
本発明のさらに好ましい態様によれば、本発明の乾燥チーズの製造方法において、
チーズ塊は、ナチュラルチーズまたはプロセスチーズであり、
チーズ塊の水分含量が、47〜65質量%であり(より好ましくは49〜65質量%であり、さらに好ましくは50〜63質量%であり、特に好ましくは52〜63質量%であり)、
チーズ塊の比表面積が、0.2〜3mm−1であり、(より好ましくは0.3〜2mm−1であり、さらに好ましくは0.3〜1.5mm−1であり)、
水性媒体が、好ましくは水または水溶液であり、
水性媒体が溶質を含む場合、溶質が、水溶性物質であり(より好ましくはデンプン、砂糖、アミノ酸または食塩であり、さらに好ましくはデンプン、砂糖または食塩であり)、
水性媒体が溶質を含む場合、溶質濃度が、10質量%未満であり(より好ましくは0.1〜5質量%であり、さらに好ましくは0.1〜4質量%であり、特に好ましくは0.5〜4質量%であり)、
チーズ塊の包埋が、好ましくはチーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体中に浸漬させるか、またはチーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体含浸材料で包むことにより実施され、
水性媒体または水性媒体含浸材料で包埋されるチーズ塊の表面積の割合が、チーズ塊の全表面積の1/10以上である(より好ましくは1/5以上であり、さらに好ましくは半分以上であり、特に好ましくは全部である)、
乾燥チーズの製造方法が提供される。
【0066】
本発明のさらに好ましい態様によれば、本発明の乾燥チーズの製造方法において、
チーズ塊は、ナチュラルチーズまたはプロセスチーズであり、
チーズ塊の水分含量が、47〜65質量%であり(より好ましくは49〜65質量%であり、さらに好ましくは50〜63質量%であり、特に好ましくは52〜63質量%であり)、
チーズ塊の比表面積が、0.2〜3mm−1であり、(より好ましくは0.3〜2mm−1であり、さらに好ましくは0.3〜1.5mm−1であり)、
水性媒体が、好ましくは水または水溶液であり、
水性媒体が溶質を含む場合、溶質が、水溶性物質であり(より好ましくはデンプン、砂糖、アミノ酸または食塩であり、さらに好ましくはデンプン、砂糖または食塩であり)、
水性媒体が溶質を含む場合、溶質濃度が、10質量%未満であり(より好ましくは0.1〜5質量%であり、さらに好ましくは0.1〜4質量%であり、特に好ましくは0.5〜4質量%であり) 、
水性媒体含浸材料が、繊維質材料であり(より好ましくは脱脂綿または不織布であり、さらに好ましくは脱脂綿であり)、
チーズ塊の包埋が、好ましくはチーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体中に浸漬させるか、またはチーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体含浸材料で包むことにより実施され、
水性媒体または水性媒体含浸材料で包埋されるチーズ塊の表面積の割合が、チーズ塊の全表面積の1/10以上である(より好ましくは1/5以上であり、さらに好ましくは半分以上であり、特に好ましくは全部である)、
乾燥チーズの製造方法が提供される。
【0067】
本発明のさらに好ましい態様によれば、本発明の乾燥チーズの製造方法において、
チーズ塊は、ナチュラルチーズまたはプロセスチーズであり、
チーズ塊の水分含量が、47〜65質量%であり、
チーズ塊の比表面積が、0.2〜3mm−1であり、
水性媒体が、水または水溶液であり、
水性媒体が溶質を含む場合、溶質が、デンプン、砂糖、アミノ酸または食塩であり、
水性媒体が溶質を含む場合、溶質濃度が、10質量%未満であり、
水性媒体含浸材料が繊維質材料であり、
チーズ塊の包埋が、チーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体中に浸漬させるか、またはチーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体含浸材料で包むことにより実施され、
水性媒体または水性媒体含浸材料で包埋されるチーズ塊の表面積の割合が、チーズ塊の全表面積の1/10以上である、
乾燥チーズの製造方法が提供される。
【0068】
本発明のさらに好ましい態様によれば、本発明の乾燥チーズの製造方法において、
チーズ塊は、ナチュラルチーズまたはプロセスチーズであり、
チーズ塊の水分含量が、49〜65質量%であり、
チーズ塊の比表面積が、0.2〜3mm−1であり、
水性媒体が、水または水溶液であり、
水性媒体が溶質を含む場合、溶質が、デンプン、砂糖、アミノ酸または食塩であり、
水性媒体が溶質を含む場合、溶質濃度が、0.1〜5質量%であり、
水性媒体含浸材料が繊維質材料であり、
チーズ塊の包埋が、チーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体中に浸漬させるか、またはチーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体含浸材料で包むことにより実施され、
水性媒体または水性媒体含浸材料で包埋されるチーズ塊の表面積の割合が、チーズ塊の全表面積の1/5以上である、
乾燥チーズの製造方法が提供される。
【0069】
本発明のさらに好ましい態様によれば、本発明の乾燥チーズの製造方法において、
チーズ塊は、ナチュラルチーズまたはプロセスチーズであり、
チーズ塊の水分含量が、50〜63質量%であり、
チーズ塊の比表面積が、0.3〜2mm−1であり、
水性媒体が、水または水溶液であり、
水性媒体が溶質を含む場合、溶質が、デンプン、砂糖、アミノ酸または食塩であり、
水性媒体が溶質を含む場合、溶質濃度が、0.1〜4質量%であり、
水性媒体含浸材料が脱脂綿または不織布であり、
チーズ塊の包埋が、チーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体中に浸漬させるか、またはチーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体含浸材料で包むことにより実施され、
水性媒体または水性媒体含浸材料で包埋されるチーズ塊の表面積の割合が、チーズ塊の全表面積の半分以上である、
乾燥チーズの製造方法が提供される。
【0070】
本発明のさらに好ましい態様によれば、本発明の乾燥チーズの製造方法において、
チーズ塊は、ナチュラルチーズであり、
チーズ塊の水分含量が、52〜63質量%であり、
チーズ塊の比表面積が、0.3〜1.5mm−1であり、
水性媒体が、水または水溶液であり、
水性媒体が溶質を含む場合、溶質が、デンプン、砂糖または食塩であり、
水性媒体が溶質を含む場合、溶質濃度が、0.5〜4質量%であり、
水性媒体含浸材料が脱脂綿であり、
チーズ塊の包埋が、チーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体中に浸漬させるか、またはチーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体含浸材料で包むことにより実施され、
水性媒体または水性媒体含浸材料で包埋されるチーズ塊の表面積の割合が、チーズ塊の全表面積の全部である、
乾燥チーズの製造方法が提供される。
【0071】
また、本発明のさらに好ましい態様によれば、本発明の乾燥チーズの製造方法において、
チーズ塊が、モッツァレラ、ゴーダまたはチェダーであり、
チーズ塊の水分含量が、52〜63質量%であり、
チーズ塊の形状が、略正方形、略長方形、略円形もしくは略扇形の片面を有するブロック、略球体または略立方体であり、
チーズ塊の比表面積が、0.3〜1.5mm−1であり、
水性媒体が、水または水溶液であり、
水性媒体が溶質を含む場合、溶質が、デンプン、砂糖または食塩であり、
水性媒体が溶質を含む場合、溶質濃度が、0.5〜4質量%であり、
水性媒体含浸材料が脱脂綿であり、
チーズ塊の包埋が、チーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体中に浸漬させるか、またはチーズ塊の表面の全部または一部を水性媒体含浸材料で包むことにより実施され、
水性媒体または水性媒体含浸材料で包埋されるチーズ塊の表面積の割合が、チーズ塊の全表面積の全部である、
乾燥チーズの製造方法が提供される。
【実施例】
【0072】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0073】
試験例1:水性媒体の深さに関する検討
1−1:試験サンプルの製造
実施例1〜3
アルミトレイ(縦:18cm、横:32cm、深さ:3.5cm)に、1質量%のデンプン水溶液を注いだ。次に、このアルミトレイ中に略円柱状のチーズ塊(種類:モッツァレラ、厚さ:8mm、直径:約60mm、水分含量:55質量%、比表面積:約0.3mm−1)を置き、チーズ塊をデンプン水溶液中に浸漬させてチーズ塊の浸漬物を得た。ここで、アルミトレイ中のデンプン水溶液の深さは、実施例1ではチーズ塊の表面積の全体が浸漬する深さ、実施例2ではチーズ塊の表面積の半分が浸漬する深さ、実施例3ではチーズ塊の底部のみが浸漬する深さ(チーズ塊の表面積の1/5が水溶液中に浸漬する深さ)に設定した。
次に、チーズ塊の浸漬物を収容した状態のアルミトレイをそのまま凍結し(凍結温度:−25℃)、0.2Torrの条件で乾燥(乾燥温度:凍結乾燥装置における乾燥完了時の加熱板の温度:35℃)して、乾燥チーズを得た。凍結乾燥における凍結乾燥工程の前、すなわち凍結工程後のチーズ塊の浸漬物は、チーズ塊とデンプン水溶液とが凍結により一体化されているものであった(凍結時間:約12〜15時間)。デンプン水溶液にはチーズ塊からの溶出物も含まれていると考えられる。
【0074】
比較例1
略円柱状のチーズ塊(種類:モッツァレラ、厚さ:8mm、直径:約60mm、水分含量:55質量%)の表面に1質量%のデンプン水溶液を1、2回塗布し、実施例1〜3と同様の条件で凍結乾燥を行い、乾燥チーズを得た。
【0075】
1−2:試験サンプルの官能評価
湯戻り性評価
1−1で得られた試験サンプル(乾燥チーズ)を500mlビーカーに入れ、98℃の熱湯200mlを注ぎ、30秒間静置した。次に、熱湯中から試験サンプルをスパーテルで持ち上げ、以下の基準に従い、湯戻り性に関して評価を行った。
【0076】
[湯戻り性の評価基準]
5:良好(湯戻り後、凍結乾燥する前のチーズの状態と同等の外観となった)
4:ほぼ良好(湯戻り後、凍結乾燥する前のチーズの状態とほぼ同等の外観となった)
3:少し戻った(少し湯戻りしたが、外観は凍結乾燥する前のチーズの状態と明らかに異なっていた)
2:ほとんど湯戻りしなかった。
1:全く湯戻りしなかった。
【0077】
糸引き性評価
湯戻り性評価において熱湯中から持ち上げた試験サンプルを、500mlビーカーの液面から垂直方向50cmの地点で10秒間静置し、以下の基準に従い、糸引き性に関する評価を行った。
【0078】
[糸引き性の評価基準]
5:良好(ビーカーの底面まで糸を引いた)
4:ほぼ良好(ビーカーの液面まで糸を引いた)
3:少し伸びた(糸を引いたが、ビーカーの液面まで至らなかった)
2:ほとんど糸を引かなかった
1:全く糸を引かなかった
【0079】
食感および味の再現性評価
湯戻り性評価において得られた試験サンプルの食感および味について、パネル5名により、食感(例えば、柔らかさ、弾力感、歯触り、舌触りなど)および味に関する官能評価を行った。
食感および味の比較対照は、包埋処理および凍結乾燥処理をしていない未乾燥チーズを500mlビーカーに入れ、98℃の熱湯200mlを注ぎ、30秒間静置したサンプル(以下、単に「未乾燥チーズ」という)とした。
【0080】
[食感の評価基準]
5:食感は未乾燥チーズと全く変わらなかった
4:食感は未乾燥チーズとほぼ同等であった
3:食感は未乾燥のチーズとほぼ同等な部分と、異なる部分とが混在していた
2:食感は未乾燥チーズとほとんど異なっていた
1:食感は未乾燥チーズと全く異なっていた
【0081】
[味の評価基準]
5:味は未乾燥チーズと全く変わらなかった
4:味は未乾燥チーズとほぼ同等であった
3:味は未乾燥チーズとほぼ同等な部分と、異なる部分とが混在していた
2:味は未乾燥チーズとほとんど異なっていた
1:味は未乾燥チーズと全く異なっていた
【0082】
乾燥チーズの耐破砕性評価
湯戻り性評価において試験サンプル(乾燥チーズ)を、乾燥用容器であるアルミトレイから500mlビーカーに入れる際に、チーズの破片および微粉を生じる程度について、パネル5名により、以下の基準に従い、評価を行った。
【0083】
[耐破砕性の評価基準]
5:破片および微粉は全く生じなかった
4:破片および微粉はほとんど生じなかった
3:破片および微粉が生じたものの、チーズの形態の半分以上は保持された
2:破片および微粉が生じ、チーズの形態の半分以上は崩壊した
1:破片および微粉の混合物となった
【0084】
評価結果を表1に示す。
【表1】
【0085】
表1に示す通り、実施例1〜3では、いずれの項目についても、比較例1よりのスコアが高かった。中でも、チーズの表面の半分以上を水性媒体中に浸漬させた実施例1および2では、特に良好な結果が確認された。
【0086】
試験例2:水性媒体の有無、乾燥温度および断熱材に関する検討
2−1:試験サンプルの製造
空のアルミトレイ(縦:18cm、横:32cm、深さ:3.5cm)中に略円柱状のチーズ(種類:モッツァレラ、厚さ:8mm、直径:約60mm、水分含量:55質量%)を置いた。次に、以下の条件で比較例2〜7のサンプルを凍結乾燥した。
比較例2
2−1で得られたサンプルを、水性媒体を加えずに、試験例1と同様の条件で凍結乾燥を行い、乾燥チーズを得た。
比較例3
2−1で得られたサンプルと、アルミトレイとの間に断熱材としてプラトレイ(プラスチック製トレイ)一枚を挿入する以外、比較例2と同様の条件で凍結乾燥を行い、乾燥チーズを得た。
比較例4
2−1で得られたサンプルと、アルミトレイとの間に断熱材としてプラトレイ二枚を挿入する以外、比較例2と同様の条件で凍結乾燥を行い、乾燥チーズを得た。
比較例5
2−1で得られたサンプルと、アルミトレイとの間に断熱材として乾いた脱脂綿を挿入する以外、比較例2と同様の条件で凍結乾燥を行い、乾燥チーズを得た。
比較例6
2−1で得られたサンプルと、アルミトレイとの間に断熱材として凍結デンプン液の固体(デンプン濃度:1重量%、厚さ:8mm、直径:約60mm)を挿入する以外、比較例2と同様の条件で凍結乾燥を行い、乾燥チーズを得た。
比較例7
2−1で得られたサンプルを、乾燥完了時の加熱板の温度を10℃に設定する以外、比較例2と同様の条件で凍結乾燥を行い、乾燥チーズを得た。
【0087】
2−2:試験サンプルの官能評価
比較例2〜7の乾燥チーズに関し、湯戻り性および糸引き性について、実施例1と同様に官能評価を行った。
【0088】
評価結果を表2に示す。
【表2】
【0089】
表2に示す通り、凍結乾燥時にチーズを浸漬しない状態では、断熱材の有無にかかわらず、湯戻り性および糸引き性に関しては良好な結果が得られなかった。
【0090】
試験例3:水性媒体の種類およびその濃度に関する検討(デンプン液)
デンプン水溶液の濃度を2質量%(実施例4)または4質量%(実施例5)とする以外、実施例1と同様にして実施例4および5の試験サンプルを調製し、試験例1と同様に官能評価(評価項目:湯戻り性、糸引き性、食感の再現性、味の再現性)を行った。
【0091】
評価結果を表3に示す。
【表3】
【0092】
表3に示す通り、浸漬時に用いる水性媒体として1〜4質量%のデンプン液を用いた場合には、いずれの項目でも良好な結果が得られた。
【0093】
試験例4:水性媒体の種類およびその濃度に関する検討(食塩水)
デンプン水溶液に代えて1〜5質量%(0.1質量%:実施例6、0.5質量%:実施例7、1質量%:実施例8、2.5質量%:実施例9、4質量%:実施例10、および5質量%:実施例11)の食塩水を用いる以外は実施例1と同様にして実施例6〜11の試験サンプルを調製し、試験例1と同様に官能評価(評価項目:湯戻り性、糸引き性、食感の再現性)を行った。
【0094】
評価結果を表4に示す。
【表4】
【0095】
浸漬時に用いる水性媒体として1〜5質量%の食塩水を用いた場合には、いずれの項目でも良好な結果が得られた。
【0096】
試験例5:水性媒体の種類およびその濃度に関する検討(砂糖水および水)
デンプン水溶液に代えて1質量%の砂糖水(実施例12)または水(実施例13)を用いる以外は実施例1と同様にして実施例12および13の試験サンプルを調製し、試験例1と同様に官能評価(評価項目:湯戻り性、糸引き性、食感の再現性)を行った。
【0097】
評価結果を表5に示す。
【表5】
【0098】
表5に示す通り、浸漬時に用いる水性媒体として1質量%の砂糖水または水を用いた場合には、いずれの項目でも良好な結果が得られた。
【0099】
試験例6:浸漬方法の検討
水を含浸した脱脂綿(水の含浸量:約30g)を二つ用意し、この脱脂綿を用いて、試験例1と同サイズの略円柱状のチーズの全表面を上下から挟み、脱脂綿中にチーズが包埋した状態の試験サンプルを得た。次に、得られた試験サンプルをアルミトレイ(縦:18cm、横:32cm、深さ:3.5cm)上に置き、そのまま凍結乾燥(凍結温度:−25℃、乾燥完了時の加熱板の温度:35℃)して、乾燥チーズを得た(実施例14)。得られた乾燥チーズについて、試験例1と同様に官能評価(評価項目:湯戻り性、糸引き性、食感の再現性、味の再現性)を行った。
【0100】
評価結果を表6に示す。
【表6】
【0101】
表6に示す通り、水を含浸した脱脂綿中にチーズが包埋された状態の試験サンプルを用いた場合には、いずれの項目でも良好な結果が得られた。
【0102】
試験例7:チーズの種類に関する検討
実施例15〜19
実施例15ではゴーダ、実施例16ではチェダー、実施例17ではラクレット、実施例18ではミモレット、実施例19ではパルミジャーノレジャーノを用いる以外、実施例1(チーズの種類:モッツァレラ)と同様にして試験サンプルを調製し、試験例1と同様に官能評価(項目:湯戻り性、糸引き性、食感の再現性および味の再現性)を行った。
【0103】
評価結果を表7に示す。
【表7】
【0104】
表7に示す通り、全てのチーズにおいて湯戻り性について良好な結果が得られた。特に、モッツァレラ、ゴーダおよびチェダーは、湯戻り性、糸引き性、食感の再現性および味の再現性の全項目について良好な結果を示した。
【0105】
実施例20〜23
上記の他、実施例20(チーズの種類:クリーム)、実施例21(チーズの種類:カッテージ)、実施例22(チーズの種類:マスカルポーネ)、実施例23(チーズの種類:プロセスチーズ)では、原料としてさらに異なるチーズを用いる以外、実施例1と同様にして試験サンプルを調製し、試験例1と同様の手法により湯戻り性を評価した。
その結果、いずれの試験サンプルも良好な湯戻り性(スコア5)を示した。
【0106】
試験例8:凍結温度および乾燥温度に関する検討
凍結温度を−40〜−8℃とし、乾燥温度(乾燥完了時の加熱板の温度)を10〜60℃とする以外、実施例1と同様にして試験サンプルを調製し(実施例24〜37)、試験例1と同様に官能評価(評価項目:湯戻り性、糸引き性、食感の再現性、味の再現性)を行った。
【0107】
評価結果を表8−1および表8−2に示す。
【表8-1】
【0108】
【表8-2】
【0109】
表8−1および表8−2に示す通り、凍結温度を−40〜−8℃、乾燥温度を10〜60℃として凍結乾燥を行った場合には、全ての温度条件で、いずれの項目についても良好な結果が得られた。
【0110】
試験例9:水の深さに関する検討
1質量%のデンプンに代えて水を用いる以外、試験例1と同様にして試験サンプルを調製し(実施例38〜39または比較例8)、試験例1と同様に官能評価(評価項目:湯戻り性、糸引き性、食感の再現性、味の再現性)を行った。
【0111】
評価結果を表9に示す。
【表9】
【0112】
表9に示す通り、水を用いた場合でも凍結乾燥時にチーズの一部を浸漬させた実施例13、38および39では、いずれの項目についても、比較例8よりもスコアが高かった。
中でも、チーズの表面の半分以上を水中に浸漬させた実施例13および38では、特に良好な結果が確認された。
【0113】
試験例10:水性媒体に包埋されるチーズの表面積(水の深さ)、凍結温度および乾燥温度に関する検討
凍結温度−8℃、乾燥温度30℃と設定(実施例40〜41または比較例9〜10)するか、または凍結温度−25℃、乾燥温度50℃と設定(実施例42〜44または比較例11〜12)する以外は、実施例1〜3または比較例1〜2と同様にして試験サンプル(実施例40〜44または比較例9〜12)を調製し、試験例1と同様に官能評価(評価項目:湯戻り性、糸引き性、食感の再現性、味の再現性)を行った。
【0114】
評価結果を表10−1および10−2に示す。
【表10-1】
【0115】
【表10-2】
【0116】
表10−1および表10−2に示す通り、実施例30、40〜44では、いずれの項目についても、比較例9〜12よりスコアが高かった。中でも、チーズの表面の半分以上を水性媒体中に浸漬させた実施例30、40、42および43では、特に良好な結果が確認された。
【0117】
試験例11:チーズの水分含量に関する検討
原料として、水分含量が47%(実施例45)、49%(実施例46)、50%(実施例47)、52%(実施例48)、57%(実施例49)、60%(実施例50)、61%(実施例51)、62%(実施例52)または63%(実施例53)のチーズを用いる以外、実施例1と同様にして試験サンプル(実施例45〜53)を調製し、試験例1と同様に官能評価(評価項目:湯戻り性、糸引き性、食感の再現性、味の再現性)を行った。
なお、チーズの水分は、以下の方法により調整した。
また、得られた水分調整後のチーズ塊について、減圧真空乾燥の前後にチーズ塊の質量を測定し、以下の式により水分含量を算出した。
チーズ塊の水分含量(質量%)=100×{減圧真空乾燥前の質量(g)−減圧真空乾燥後の重量(g)}/減圧真空乾燥前の質量(g)
[水分調整方法]
チーズの種類:モッツァレラ(調整前の水分含量:45%)
チーズ塊の形状:略円柱状(厚さ:8mm、直径:約60mm)
水分調整条件:チーズ塊の全体を8℃の水中に浸漬させ、所定時間経過後に取り出して、水分調整後のチーズ塊を得た。
[水分含量の測定方法]
得られた水分調整後のチーズ塊を直ちに略立方体(一辺約3mm)に切断した後、すばやく減圧真空乾燥用容器に入れて、減圧真空下で乾燥した。
減圧度:0.2Torr
乾燥温度:100℃
乾燥時間:2時間
【0118】
評価結果を表11に示す。
【表11】
【0119】
表11に示す通り、実施例45〜53では、いずれの項目についても良好な結果が確認された。特に、水分含量が50%以上の実施例47〜53では、スコアが高かった。
【0120】
試験例12:チーズの比表面積に関する検討
チーズ塊を所定の形状(略円形:実施例54〜58、略扇形の片面を有するブロック:実施例59〜62、略正方形:実施例63〜66、略長方形:実施例67〜72、略球体:実施例73〜74、略立方体:実施例75〜76)に切断加工する以外、実施例1と同様にして実施例54〜76の試験サンプルを調製し、試験例1と同様に官能評価(評価項目:湯戻り性、糸引き性、食感の再現性、味の再現性)を行った。
【0121】
評価結果を表12−1〜12−4に示す。
【表12-1】
【0122】
【表12-2】
【0123】
【表12-3】
【0124】
【表12-4】
【0125】
表12−1〜表12−4に示す通り、実施例54〜76では、いずれの項目についても良好な結果が確認された。中でも、比表面積が0.3〜1.5mm−1の実施例54〜57、59〜72、74および76では、特に良好な結果が確認された。
また、チーズの形状を、略正方形、略長方形、略円形もしくは略扇形の片面を有するブロック、略球体または略立方体に成形しても、得られた乾燥チーズは、いずれの項目についても良好な結果が確認された。
【0126】
試験例13:乾燥チーズを用いた食品の製造
市販のスープ、カップラーメン、お茶漬けまたはカップスープパスタに、実施例1のチーズ(実施例77〜80)または比較例2の乾燥チーズ(比較例13〜16)を5.3g添加し、98℃の熱湯を用いて湯戻しし、試験例1と同様に官能評価(評価項目:湯戻り性、糸引き性、食感の再現性、味の再現性)を行った。
【0127】
評価結果を表13に示す。
【表13】
【0128】
表13に示す通り、乾燥チーズとして実施例1のチーズを用いた場合には、全ての食品において、いずれの項目も良好な結果が得られた。一方、乾燥チーズとして比較例2のチーズを用いた場合には湯戻り性および糸引き性に関しては良好な結果が得られなかった。
【0129】
試験例14:乾燥チーズの表面状態の観察
実施例1で得られた乾燥チーズの表面状態を、走査型電子顕微鏡(製品名:VE−9800、会社名:株式会社キーエンス)で観察し、写真撮影した。
【0130】
結果は、図2に示される通りであった。
【0131】
試験例15:乾燥チーズの官能評価および外観の比較
比較例17(おろしチーズを原料とする乾燥チーズの製造)
特許文献1の記載(実施例1)に従い、以下の方法により、おろしチーズを原料とする乾燥チーズを得た。
ゴーダチーズ(硬い皮がないタイプ)を、目開き3mmの孔をもつ篩により挽いて、おろしチーズを調製した。得られたおろしチーズについて、試験例11と同様にして水分含量を測定した。次に、水分含量が47%になるように加水した後、直ちに目開き1.5mmの孔をもつ篩に通すことにより、おろしチーズと水とを混合した。
次に、この混合チーズをプラスチック製容器に収容した後、そのまま凍結し(凍結温度:−25℃)、0.2Torrの条件で乾燥(乾燥温度:50℃)して、乾燥チーズを得た(比較例17)。得られた乾燥チーズについて、試験例1と同様に官能評価(評価項目:湯戻り性、糸引き性、食感の再現性、味の再現性、耐破砕性)を行った。
【0132】
官能評価および外観の比較結果
評価結果を表14に示す。
【表14】
【0133】
表14に示す通り、実施例1では、糸引き性、食感の再現性、味の再現性および耐破砕性において、比較例17よりスコアが高かった。
さらに、実施例1では、湯戻しした際にチーズ素材の本来の食感を良好に再現しただけでなく、チーズ本来のボリューム感をも再現していた。一方、比較例17では、湯戻し後もチーズ片の集合物の形態のままであるため、チーズ本来のボリューム感は再現されなかった。
【0134】
また、比較例17で得られた乾燥チーズを写真撮影したところ、図3に示される通りであった。比較例17はチーズ片の集合物の形態を示していた。
一方、実施例1で得られた乾燥チーズを写真撮影したところ、図4に示される通りであった。実施例1は通常のチーズに近い外観を保持していた。
写真の比較から明らかな通り、両サンプルは外観上明らかに相違していた。
図1
図2
図3
図4