(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の粘着剤組成物は、水酸基を有するウレタン樹脂(A)と、架橋剤(B)と、有機溶剤(C)とを含有する粘着剤組成物であって、その硬化皮膜を有する粘着シートの接着力が1N/25mm以上であり、かつ、50mm×150mmの粘着シートの長辺側両端を手で持ち、粘着シートの中心部を被着体に接触させた後、手を離し、粘着シート全体が被着体に貼着するまでの時間(以下、「濡れ性」と略記する。)が10秒以下であるものである。
【0011】
本発明においては、本発明が解決しようとする課題である、優れた接着力、及び、被着体への貼付性を両立するため、前記粘着シートの接着力が1N/25mm以上であり、かつ、濡れ性が10秒以下であることが必須である。なお、接着力、及び、被着体への貼付性のバランスをより一層高めることができる点から、前記接着力としては、1〜20N/25mmの範囲であることが好ましく、5〜20N/25mmの範囲がより好ましい。また、同様の理由により、前記濡れ性としては、2〜5秒の範囲であることが好ましい。
【0012】
前記接着力、及び、濡れ性を前記範囲に設定する技術的思想としては、例えば、ポリオール(a1)として、ポリカーボネートポリオール(a1−1)の内、非晶性ポリカーボネートポリオールを使用すること;水酸基を有するウレタン樹脂(A)を製造する際に、ポリオール(a1)が有する水酸基のモル数とポリイソシアネート(a2)が有するイソシアネート基のモル数との比[NCO/OH]を0.6〜0.9となる範囲で反応させること;水酸基を有するウレタン樹脂(A)が有する水酸基のモル数と架橋剤(B)としてポリイソシアネート架橋剤を用いた場合に、そのイソシアネート基が有するモル数との比[NCO/OH]が0.1〜0.5となる範囲で混合すること等が挙げられる。なお、前記非晶性ポリカーボネートポリオールの「非晶性」とは、JISK7121:2012に準拠したDSC(示差走査熱量計)測定において、結晶化熱あるいは融解熱のピークを確認できないものを示す。
【0013】
前記ウレタン樹脂(A)は後述する架橋剤(B)と架橋し、優れた接着力、及び濡れ性を得る上で水酸基を有するものであり、好ましくは2個以上、より好ましくは2〜4個の範囲の水酸基を有するものである。
【0014】
前記ウレタン樹脂(A)としては、例えば、ポリオール(a1)及びポリイソシアネート(a2)の反応物等を用いることができる。
【0015】
前記ポリオール(a1)としては、例えば、ポリカーボネートポリオール(a1−1)、ポリエーテルポリオール(a1−2)、ポリエステルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、アクリルポリオール、ダイマージオール、ポリイソプレンポリオール等を用いることができる。これらのポリオールは単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、より一層優れた耐オレイン酸性、ゲル分率、及び保持力が得られる点から、ポリカーボネートポリオール(a1−1)、ポリエーテルポリオール(a1−2)、及びポリエステルポリオールからなる群より選ばれる1種以上のポリオールを用いることが好ましく、接着力、及び、被着体への貼付性のバランスをより一層高めることができる点から、ポリカーボネートポリオール(a1−1)又はポリエーテルポリオール(a1−2)を用いることが好ましい。
【0016】
前記ポリカーボネートポリオール(a1−1)としては、例えば、炭酸エステル及び/又はホスゲンと、2個以上の水酸基を有する化合物とを公知の方法で反応させて得られたものを用いることができる。
【0017】
前記炭酸エステルとしては、例えば、メチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、シクロカーボネート、ジフェニルカーボネート等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0018】
前記2個以上の水酸基を有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチルプロパノールジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、得られるポリカーボネートポリオールを液状とさせ、ウレタン樹脂(A)のガラス転移温度を下げることができるため優れた接着力(特に、初期接着力)が得られ、接着力、及び、被着体への貼付性のバランスをより一層高めることができる点から、1,5−ペンタンジオール及び1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、及び1,9−ノナンジオールからなる群より選ばれる1種以上の化合物を原料として用いることが好ましい。
【0019】
前記ポリエーテルポリオール(a1−2)としては、例えば、ポリオキシエチレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオール、ポリオキシテトラメチレンポリオール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール、ポリオキシエチレンポリオキシテトラメチレンポリオール等を用いることができる。これらのポリエーテルポリオールは単独で用いても2種以上を併用しても良い。
【0020】
前記ポリオール(a1)の数平均分子量としては接着力、及び、被着体への貼付性のバランスをより一層高めることができる点から、500〜5,000の範囲であることが好ましく、800〜3,000の範囲が好ましい。なお、前記ポリオール(a1)の数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により、以下の条件にて測定した値を示す。
【0021】
測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製「HLC−8220GPC」)
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
「TSKgel G5000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
注入量:100μL(試料濃度0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液)
標準試料:下記の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
【0022】
(標準ポリスチレン)
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−550」
【0023】
前記ポリオール(a1)には、必要に応じて、前記ポリオール(a1)以外の鎖伸長剤を併用してもよい。
【0024】
前記鎖伸長剤は接着力の調製に用いることができ、例えば、数平均分子量が50〜400の範囲のものを用いることができる。具体的には、例えば、エチレングリコール、ジエチレンリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、サッカロース、メチレングリコール、グリセリン、ソルビトール等の脂肪族ポリオール化合物;ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、水素添加ビスフェノールA、ハイドロキノン等の芳香族ポリオール化合物;水;エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,2−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、ヒドラジン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン等のアミン化合物を用いることができる。前記鎖伸長剤を用いる場合には、継時的な変色を抑制できる点から脂肪族ポリオール化合物を用いることが好ましく、ハードセグメントとして比較的短い鎖伸長剤を用いることで優れた凝集力が得られ、接着力を一層向上させることができることから、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、及び3−メチル−1,5−ペンタンジオールからなる群より選ばれる1種以上の鎖伸長剤を用いることがより好ましい。前記鎖伸長剤を用いる場合の使用量としては、前記ウレタン樹脂(A)100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましく、5質量部以下がより好ましい。
【0025】
前記ポリイソシアネート(a2)としては、例えば、キシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ジイソシアナートメチルシクロヘキサン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環式ポリイソシアネートなどを用いることができる。これらのポリイソシアネートは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0026】
前記ウレタン樹脂(A)としては、接着力、及び、被着体への貼付性のバランスをより一層高めることができる点から、ポリカーボネートポリオール(a1−1)を含有するポリオール(a1)及びポリイソシアネート(a2)の反応物を用いることが好ましい。
【0027】
前記ウレタン樹脂(A)として、ポリオール(a1)及びポリイソシアネート(a2)の反応物を用いる場合のウレタン樹脂(A)の製造方法としては、例えば、前記ポリイソシアネート(a2)が有するイソシアネート基のモル比に対し、前記ポリオール(a1)、及び前記鎖伸長剤を用いる場合にはその水酸基及びアミノ基との合計モル比が過剰となるように反応させる方法が挙げられる。なお、前記反応は、後述する有機溶剤(C)中で行ってもよい。また、前記ポリオール(a1)及び前記鎖伸長剤は、一括で仕込んでも、反応を制御しながら2回以上に分けて仕込んでもよい。前記ポリオール(a1)、及び前記鎖伸長剤が有する水酸基及びアミノ基との合計と、前記ポリイソシアネート(a2)が有するイソシアネート基とのモル比(NCO/OH+NH)としては、反応を制御しやすく、後述する架橋剤(B)との架橋性により良好な初期接着力が得られる点から、0.3〜0.99の範囲であることが好ましく、0.6〜0.9の範囲がより好ましい。また、前記ウレタン樹脂(A)の製造後には、残存するイソシアネート基を失活させる目的で、メタノール、1,3−ブタンジオール等のアルコール溶剤を添加させてもよい。
【0028】
以上の方法により得られる前記ウレタン樹脂(A)の重量平均分子量としては、接着力、及び、被着体への貼付性のバランスをより一層高めることができる点から、5,000〜100,000の範囲であることが好ましく、5,000〜70,000の範囲がより好ましい。
【0029】
また、前記ウレタン樹脂(A)の数平均分子量としては、接着力、及び、被着体への貼付性のバランスをより一層高めることができる点から、3,000〜50,000の範囲であることが好ましく、4,000〜30,000の範囲であることがより好ましく、4,000〜20,000の範囲であることが更に好ましい。なお、前記ウレタン樹脂(A)の重量平均分子量及び数平均分子量は、前記ポリオール(a1)の数平均分子量と同様に測定して得られた値を示す。
【0030】
前記架橋剤(B)としては、例えば、ポリイソシアネート架橋剤、メラミン架橋剤等を用いることができる。これらの架橋剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記ウレタン樹脂(A)と良好な架橋を示し、優れた接着力が得られる点から、ポリイソシアネート架橋剤を用いることが好ましい。
【0031】
前記ポリイソシアネート架橋剤としては、例えば、トリレンジイソシアネート、クロロフェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート等のポリイソシアネート;これらのトリメチロールプロパン付加物;これらのイソシアヌレート体;これらのビュレット体;これらのアダクト体;ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートなどを用いることができる。これらの架橋剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0032】
前記架橋剤(B)の含有量としては、前記ウレタン樹脂(A)と良好な架橋を形成し、接着力、及び、被着体への貼付性のバランスをより一層高めることができる点から、前記ウレタン樹脂(A)の固形分100質量部に対して0.1〜4質量部の範囲であることが好ましく、0.2〜3質量部の範囲がより好ましい。
【0033】
前記有機溶剤(C)としては、例えば、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル等のエステル溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶剤;ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素溶剤;トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン等の芳香族炭化水素溶剤などを用いることができる。これらの有機溶剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0034】
前記有機溶剤(C)の含有量としては、塗工性及び乾燥性の点から、粘着剤組成物中20〜80質量%の範囲であることが好ましく、30〜70質量%の範囲がより好ましい。
【0035】
本発明の粘着剤組成物は、前記(A)〜(C)成分を必須成分として含有するが、必要に応じてその他の添加剤を更に含有してもよい。
【0036】
前記その他の添加剤としては、例えば、防錆剤、酸化防止剤、帯電防止剤、チキソ付与剤、分散剤、増感剤、ウレタン化触媒、重合禁止剤、レベリング剤、粘着付与剤、整泡剤等を用いることができる。これらの添加剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0037】
本発明の粘着シートの製造方法としては、例えば、前記粘着剤組成物を基材に塗工し、乾燥させることにより、基材と前記粘着剤組成物の硬化皮膜(=粘着剤層)とを有する粘着シートを製造する方法が挙げられる。
【0038】
前記基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンエチレンビニルアルコール、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミドなどを用いて得られるシート又はフィルム;ガラスなどを使用することができる。これらの基材の表面は、離型処理、帯電防止処理、コロナ処理等が施されていてもよい。前記基材の厚さとしては、粘着シートが使用される用途に応じて決定されるが、例えば、10〜100μmの範囲である。
【0039】
前記基材に前記粘着剤組成物を塗工する方法としては、例えば、アプリケーター、ロールコーター、グラビアコーター、リバースコーター、スプレーコーター、エアーナイフコーター、ダイコーター等を使用する方法が挙げられる。
【0040】
塗工された粘着剤組成物の乾燥後の皮膜の厚さとしては、粘着シートが使用される用途に応じて決定されるが、例えば、5〜100μmの範囲である。
【0041】
前記基材上に前記粘着剤組成物を塗工した後、前記粘着剤組成物を乾燥させる方法としては、例えば、50〜140℃で30秒〜10分間乾燥させる方法が挙げられる。また、前記乾燥後、架橋反応を促進する点から、30℃〜50℃の範囲で更にエージングを行っても良い。
【0042】
前記乾燥皮膜をトルエン中に24時間浸漬させた際のゲル分率としては、接着力、特に初期接着力をより一層向上できる点から、10〜60質量%の範囲であることが好ましく、20〜55量%の範囲がより好ましい。
【0043】
前記粘着シートの初期接着力としては、好ましくは1〜20N/25mmの範囲であり、より好ましくは5〜20N/25mmの範囲である。なお、前記粘着シートの初期接着力の測定方法は、後述する実施例にて記載する。
【0044】
以上、本発明の粘着剤組成物により得られる粘着シートは、優れた接着力、及び、被着体への貼付性を有するものであり、被着体へ空気を巻き込むことなく、優れた濡れ性をもって被着体へ貼り付けることができる。
【0045】
本発明の粘着シートの被着体としては、例えば、ガラス、ポリプロピレン、ポリアクリル、ポリカーボネート等が挙げられる。
【実施例】
【0046】
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明する。
【0047】
[合成例1]
<ウレタン樹脂(A−1)の合成>
攪拌機、還流冷却器、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、1,5−ペンタンジオール及び1,6−ヘキサンジオール系ポリカーボネートポリオール(旭化成ケミカルズ株式会社製「デュラノールT5652」、数平均分子量;2,000、以下「PC−1」と略記する。)を700質量部、エチレングリコール(以下、「EG」と略記する。)を9質量部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、「MDI」と略記する。)を95質量部、東ソー株式会社製ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート「ミリオネート MR−200」(以下、「MR−200」と略記する。)を6質量部、トリフェニルホスファイト1質量部、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、「DMF」と略記する。)を810質量部仕込み、80℃まで加温して反応させた。その後、1,3−ブタンジオールを1質量部加えて、70℃で1時間加温し、冷却することにより、固形分;50質量%、重量平均分子量;29,500のウレタン樹脂(A−1)を得た。
【0048】
[合成例2]
<ウレタン樹脂(A−2)の合成>
攪拌機、還流冷却器、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、PC−1を1000質量部、MDIを86質量部、酢酸エチルを724質量部仕込み、75℃まで加温して反応させ、その後、70度まで冷却した。その後、1,3−ブタンジオールを1質量部加えて、70℃で1時間加温し、冷却することにより、固形分;60質量%、重量平均分子量;18,900のウレタン樹脂(A−2)を得た。
【0049】
[合成例3]
<ウレタン樹脂(A−3)の合成>
攪拌機、還流冷却器、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、1,6−ヘキサンジオール系ポリカーボネートポリオール(宇部興産株式会社製「PH300D」、以下「PC−2」と略記する。)を1470質量部、MDIを70質量部、酢酸エチルを1030質量部仕込み、75℃まで加温して反応させ、その後、70度まで冷却した。その後、1,3−ブタンジオールを1質量部加えて、70℃で1時間加温し、冷却することにより、固形分;60質量%、重量平均分子量;17,200のウレタン樹脂(A−3)を得た。
【0050】
[合成例4]
<ウレタン樹脂(A−4)の合成>
攪拌機、還流冷却器、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、1,9−ノナンジオール及び1,6−オクタンジオール系ポリカーボネートポリオール(株式会社クラレ製「C−2015N」、以下「PC−3」と略記する。)を990質量部、MDIを85質量部、酢酸エチルを1790質量部仕込み、75℃まで加温して反応させ、その後、70度まで冷却した。その後、1,3−ブタンジオールを1質量部加えて、70℃で1時間加温し、冷却することにより、固形分;60質量%、重量平均分子量;20,800ウレタン樹脂(A−4)を得た。
【0051】
[合成例5]
<ウレタン樹脂(A−5)の合成>
攪拌機、還流冷却器、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、PC−1を900質量部、ポリエチレングリコール(数平均分子量:400、以下「PEG」と略記する。)を20質量部、MDIを90質量部、酢酸エチルを670質量部仕込み、75℃まで加温して反応させ、その後、70度まで冷却した。その後、1,3−ブタンジオールを1質量部加えて、70℃で1時間加温し、冷却することにより、固形分;60質量%、重量平均分子量;20,000のウレタン樹脂(A−5)を得た。
【0052】
[合成例7]
<アクリル樹脂(AR−1)の合成>
攪拌機、還流冷却器、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、2−エチルヘキシルアクリレート675質量部、n−ブチルアクリレート1675質量部、アクリル酸52質量部を仕込み、撹拌下、窒素を吹き込みながら70℃まで昇温した。1時間後に、予め酢酸エチルにて溶解したアゾビスイソブチロニトリル溶液(固形分3.5質量%)20質量部を添加した。その後、撹拌した70℃にて8時間ホールドした後、内容物を冷却し200メッシュ金網にて濾過し、不揮発分55質量%、粘度5,000mPa・s、重量平均分子量40万のアクリル樹脂(AR−1)を得た。
【0053】
[実施例1]
合成例1で得られたウレタン樹脂(A−1)100質量部に対して、MR−200を0.7質量部添加し、粘着剤組成物を得た。
【0054】
[接着力の測定方法]
厚さ25μmの離型処理が施されたポリエチレンテレフタラート(PET)フィルムの表面に、乾燥後の膜厚が25μmとなるように、架橋剤を配合した直後の粘着剤組成物を塗工し、80℃で3分間乾燥した。これに離型処理された厚さ38μmのPETフィルムを貼り合わせ、40℃で3日間放置し粘着シートを得た。
得られた粘着シートの片方の離型PETを剥離し、25mm幅に裁断したものを試験片とした。該試験片の離型PETを剥離し、ステンレス(SUS)板に対し、接着面積が25mm×60mmとなるように貼り合せ、2kgロール×2往復圧着させた。その後、23℃、湿度50%の雰囲気下で24時間放置した後、23℃、湿度50%の雰囲気下でJISK6848−1974に準拠して180度剥離強度を測定し、接着力(N/25mm)とした。
【0055】
[貼合性の評価方法]
厚さ50μmのポリエチレンテレフタラート(PET)フィルムの表面に、乾燥後の膜厚が10μmとなるように、架橋剤を配合した直後の粘着剤組成物を塗工し、80℃で3分間乾燥した。これに離型処理された厚さ38μmのPETフィルムを貼り合わせ、40℃で3日間放置し粘着シートを得た。
この粘着シートを5cm×15cmの長方形に裁断し、離型PETフィルムを剥離し、長辺両端を手で持ち、湾曲させた。露出した粘着剤層の中心部をガラス板に接触させた後、手を離し、自重で粘着剤層全体がガラス板に貼着するまでの時間(秒)を測定した。また、ガラス板以外にも、同様の評価を、アクリル樹脂板(以下「PMMA」と略記する。)、ポリプロピレン板(以下「PP」と略記する。)、ポリカーボネート板(以下「PC」と略記する。)に対しても行った。
【0056】
[実施例2〜10、比較例1]
用いるウレタン樹脂(A)の種類、及び、架橋剤(B)の種類と量とを表1〜2に示した通り変更した以外は実施例1と同様にして粘着剤組成物を得、粘着シートの物性を測定した。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
表1〜2中の略語は以下のものである。
「D−40」;トルエンジイソシアネートのアダクト体
「D−75HE」;1,6−ヘキサンジイソシアネートのアダクト体
「D−100K」;1,6−ヘキサンジイソシアネートのヌレート体
「D101」;1,6−ヘキサンジイソシアネートの2官能体
【0060】
本発明の粘着剤組成物により得られた粘着シートは、接着力、及び、被着体への貼付性に優れることが分かった。
【0061】
一方、比較例1は、アクリル樹脂を用いた態様であるが、被着体への貼付性が不良であった。