(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第一支持プレートと、前記第二支持プレートとの間には、前記端子部材の主要部に対応した間隔を有する空隙部が設けられている請求項4〜6の何れか1項に記載の中継コネクタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述の技術によれば、直径が例えば1mm弱に形成された細長い筒状体101の内周面に、圧縮ばね103の抜け止め部となる仕切り壁部104と、一又は複数の摺接片106とを設ける必要があるため、構造が複雑になって製造コストが高くなることが避けられなかった。
【0006】
本発明の目的は、コストを低減することが容易な接続モジュール、及び中継コネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る接続モジュールは、接続対象である第一端子と端子部材とを接続するための接続モジュールであって、略筒状形状を有する導電性の接続部材と、板厚方向に貫通する貫通孔が形成され、前記接続部材の軸方向を前記貫通方向と沿わせるように当該貫通孔内に挿入されて設置された前記接続部材を保持する第一支持プレートとを備え、前記接続部材は、前記端子部材の一端部側と接続される端子部材接続部と、前記第一端子の先端部が挿入されて係止される端子係止部とを有し、前記端子係止部は、前記接続部材の軸方向中央部をその軸心方向に窪ませた窪み部からなり、かつ当該窪み部の周面に実質的に前記接続部材の軸方向へ延びる複数本のスリットが形成されることにより拡縮変形が可能に構成されている。なお、実質的に軸方向へ延びるとは、接続部材の軸方向から少し斜めにずれている場合を含む概念である。
【0008】
この構成によれば、接続部材は、第一支持プレートに形成された貫通孔内に挿入されて設置されるので、略筒状形状を有する接続部材の外周面が貫通孔の内周面で支持される。さらに、端子係止部に第一端子の先端部が挿入されて係止されるので、接続部材の外周部は、貫通孔の内周面と第一端子の先端部とで挟まれて保持されることになる。その結果、接続部材の強度を補うことができる。従って、貫通孔と第一端子とで接続部材が挟まれて補強されない場合と比べて接続部材のコストを低減することができるので、接続モジュールの製造コストを低減することが容易となる。さらにこの構成によれば、端子部材を接続部材に接続する際に、端子部材から端子部材の軸方向に付与される圧縮力に応じ、端子係止部を内向きに押圧して縮径変形させ、端子係止部内に挿入されて係止された第一端子の外周面に端子係止部を圧接させて、第一端子と接続部材とを強固に電気接続することができる。
【0009】
また、前記窪み部の内径は、前記第一端子の外径以下の値、つまり前記第一端子の外径と等しいか、又は第一端子の外径よりも小さな値に形成されていることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、第一端子の先端部を端子係止部内に圧入することにより、端子部材と第一端子とを、接続部材を介して確実に電気接続することができる。
【0011】
また、前記端子部材接続部は、前記端子部材の外径寸法以下の外径を有するリング状部からなっていることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、端子部材を接続部材に接続する際に、端子部材から付与される押圧力に応じ、端子部材の基端部を端子部材接続部に対して確実に圧接させることができ、端子部材と接続部材とを強固に電気接続することができる。
【0013】
また、本発明に係る中継コネクタは、上述の接続モジュールを含み、接続対象である前記第一端子と第二端子との間を中継する中継コネクタであって、前記接続部材と前記第二端子とを電気的に接続する導電材料からなる前記端子部材と、前記端子部材を支持する支持部材とを備え、前記端子部材は、付勢部材が一端部側に配設された筒状体と、当該筒状体内の前記付勢部材より他端部側に基端部が挿入されて支持されるとともに、前記付勢部材の付勢力に応じて前記筒状体内の他端部側に付勢されるプランジャとを有し、前記支持部材は、前記第一支持プレートと、前記端子部材の他端部側の部位を支持する第二支持プレートとを有する。
【0014】
この構成によれば、付勢部材で他端部側に付勢されるプランジャを備えた端子部材の他端部側の部位が第二支持プレートで支持され、接続モジュールを構成する第一支持プレートに設置されている接続部材が端子部材の一端部側と接続されるので、中継コネクタのコストを低減しつつ、接続モジュールの端子接続部材に第一端子を接続させるとともに、プランジャに第二端子を接触させることによって、第一端子と第二端子とを導通させることができる。
【0015】
また、前記第一支持プレートには、前記端子部材の一端部側を前記接続部材の中心位置側に案内する案内部が形成されている構成とすることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、端子部材の基端部を接続部材に接続する際に、案内部を利用して端子部材を接続部材の中心位置側に案内することにより、端子部材が接続部材の中心からずれた位置に当接する片当たり状態となるおそれを低減できる。これにより、接続部材の一部に大きな力が作用して局部的な変形が生じるのを抑制することができる。しかも、第一支持プレートの貫通孔内に接続部材を挿入して設置する際には、案内部を利用することにより、接続部材の設置作業を容易かつ適正に行うことができる。
【0017】
前記端子部材の一端部側に位置する筒状体の基端部が前記端子部材接続部に圧接されるように設置されていることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、筒状体の基端部を端子部材接続部に圧接させることにより、第一端子と端子部材とを電気的に接続できるため、端子部材の構造が簡素化されて、中継コネクタのコストを低減することが容易となる。
【0019】
また、前記第一支持プレートと、前記第二支持プレートとの間には、前記端子部材の主要部に対応した間隔を有する空隙部が設けられていることが好ましい。
【0020】
この構成によれば、第一支持プレートと第二支持プレートの間の全域に樹脂やガラス繊維等の絶縁材料を配設した場合に比べて、隣接する端子部材間の空間の比誘電率を、1/3〜1/4程度に抑えることができる。したがって、中継コネクタに多数の端子部材をマトリックス状に配設した場合においても、各端子部材間における相互干渉、いわゆるクロストークの発生を簡単な構成で効果的に抑制することができる。
【0021】
また、前記筒状体が挿通される挿通孔を有する第三支持プレートが前記空隙部に配設されている構成としてもよい。
【0022】
この構成によれば、中継コネクタの組立過程において、端子部材の設置作業を容易かつ適正に行うことができるとともに、中継コネクタの組立状態における端子部材の設置状態を安定して維持できるという利点がある。
【発明の効果】
【0023】
このような接続モジュール、及び中継コネクタは、コストを低減することが容易となる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態に係る接続モジュール10を用いた中継コネクタ1の構造を示す断面図、
図2は、中継コネクタ1に設けられた端子部材2の具体的構成を示す分解断面図、
図3は、中継コネクタ1に第一端子A及び第二端子Bを接続した状態を示す断面図、
図4は、中継コネクタ1に設けられた接続部材8の具体的構成を示す斜視図、
図5は、
図4に示す接続部材8に第一端子Aを接続した状態を示す断面図である。
【0027】
図1に示す中継コネクタ1は、
図1の下方側(以下、一端部側という)に第一の接続対象である接続切替ユニットの第一端子Aが接続され、
図1の上方側(以下、他端部側という)に第二の接続対象である検査治具用コネクタの第二端子Bが接続されることにより、第一端子Aと第二端子Bとの間を中継するものである。
【0028】
接続切替ユニットは、基板に設けられた配線パターンの電気特性を検査する基板検査装置に用いられるいわゆるスキャナ装置であって、検査装置本体の検査用の電源部、電圧検出部及び電流検出部を備えた検査ユニットと、第二の接続対象である検査治具用コネクタに設けられたプローブとの間の電気的な接続関係を切り替えるものである。
【0029】
接続切替ユニットは、複数のスイッチング素子を有する基板ユニットからなっている。接続切替ユニットには、各スイッチング素子に接続された電極ピン等からなる複数の第一端子Aが所定ピッチで配設されている。第一端子Aは、図中、中継コネクタ1の下方に配設された図略の接続切替ユニットから中継コネクタ1側(
図1の上方側)に向けて突設されている。そして、接続切替ユニットが中継コネクタ1に取り付けられることにより、中継コネクタ1の一端部側に位置する端子部材2の基端部と、接続切替ユニットの第一端子Aとが電気的に接続されるようになっている。
【0030】
検査治具用コネクタには、電極ピン等からなる複数本の第二端子Bが所定ピッチで配設されている。第二端子Bは、検査対象となる配線パターン等の検査点に圧接される検査治具の各プローブに、それぞれ導線を介して接続されている。第二端子Bは、図中、中継コネクタ1の上方に配設された図略の検査治具用コネクタから中継コネクタ1側(
図1の下方側)に向けて突設されている。そして、検査治具用コネクタが中継コネクタ1に取り付けられることにより、中継コネクタ1の他端部側に位置する端子部材2の先端部と、検査治具用コネクタの第二端子Bとが電気的に接続されるようになっている。
【0031】
なお、中継コネクタ1は、接続切替ユニットと検査治具用のコネクタとの間を中継するものに限られず、その他の種々の用途に適用可能である。すなわち、中継コネクタ1の一端部側に接続される接続対象は、接続切替ユニットに設けられた第一端子Aに限られない。また、中継コネクタ1の他端部側に接続される接続対象は、検査治具用コネクタに設けられた第二端子Bに限られない。
【0032】
中継コネクタ1は、所定長さの棒状に形成された導電材料からなる端子部材2と、この端子部材2を支持する支持部材3とを備えている。中継コネクタ1の端子部材2は、
図2に示すように、導電性金属等の導電材料により形成された所定長さの筒状体21と、その一端部側(
図1の下方側)に配設される圧縮コイルばね等からなる付勢部材22と、筒状体21内の他端部側(
図1の上方側)に基端部が挿入されてスライド可能に支持されるプランジャ23とを有している。
【0033】
プランジャ23は、導電性金属等の導電材料により細長い円柱状に形成され、その一端部側(
図2の下方側)に位置する基端部には、筒状体21の内径に対応した外径を有するフランジ部24が設けられている。また、プランジャ23の他端部側に位置する先端部は、先窄まりの円錐状に形成されている。
【0034】
筒状体21の一端部側(
図2の下方側)には、付勢部材22の抜け止め部となる係止部25が設けられている。また、筒状体21の軸方向中間部には、その直径がプランジャ23のフランジ部24の外径よりも小さくなるように縮径された縮径部26が設けられている。
【0035】
そして、筒状体21の他端部側(
図2の上方側)に設けられた開口部から付勢部材22が挿入されることにより、筒状体21の一端部側に付勢部材22が配設される。また、筒状体21の他端部側の開口部からフランジ部24が挿入され、筒状体21の縮径部26を乗り越える位置まで圧入される。これにより、フランジ部24が付勢部材22の付勢力に応じて筒状体21の他端部側に付勢された状態で、プランジャ23がスライド可能に支持された端子部材2が構成される。
【0036】
プランジャ23の先端部に第二端子Bが圧接されていない状態、つまりプランジャ23の先端部が開放されている状態では、付勢部材22により付勢されたフランジ部24が筒状体21の縮径部26に当接して、プランジャ23の先端部が所定の突出長さtだけ筒状体21の外方側に突出した状態に保持されている(
図1参照)。そして、中継コネクタ1の端子部材2に第二端子Bが接続された場合には、
図3に示すように、プランジャ23が付勢部材22の付勢力に抗して筒状体21の一端部側にスライド変位する。
【0037】
支持部材3は、
図1の下方側に位置する、筒状体21の一端部側部分を支持する第一支持プレート4と、端子部材2の他端部側部分、つまりプランジャ23の先端部を支持する第二支持プレート5とを有している。また、第一,第二支持プレート4,5の間には、端子部材2の上下方向中間部を支持する、挿通孔61を有する第三支持プレート6が配設されている。
【0038】
第一,第二支持プレート4,5及び第三支持プレート6は、樹脂やガラス繊維等の絶縁材料により形成されている。そして、第一,第二支持プレート4,5及び第三支持プレート6は、中継コネクタ1のコーナー部等に配設された連結部材7を介して互いに連結されている。
【0039】
第一支持プレート4は、中継コネクタ1の外方側(
図1の下方側)に配設された外側プレート41と、その中継コネクタ1の内方側(
図1の上方側)に配設された内側プレート42と、外側プレート41と内側プレート42との間に配設された中間プレート43とを有している。外側プレート41には、第一端子Aが挿通される挿通孔40が形成されている。
【0040】
中間プレート43には、導電性金属等の導電材料からなる接続部材8の外径よりもやや大きい直径を有する断面円形の貫通孔44が形成されている。この貫通孔44内には、接続部材8が、その軸方向を貫通孔44の貫通方向に沿わせるように挿入されて設置されるようになっている。
【0041】
また、内側プレート42には、貫通孔44及び端子部材2よりも大きい直径を有するガイド孔45と、その他端部側に連設された先広がりのテーパ面、つまり他端部側の直径が一端部側に比べて大きく形成されたテーパ面46とからなる案内部47が形成されている。この案内部47により、端子部材2の基端部を接続部材8に接続する際に、端子部材2を接続部材8の中心位置側に案内するように構成されている。これらの内側プレート42及び中間プレート43と接続部材8とで接続モジュール10が構成されている。
【0042】
接続部材8は、
図4及び
図5に示すように、筒状体21の外径よりもやや小さい外径を有するリング状部からなる端子部材接続部81と、接続部材8の軸方向中央部の内径を第一端子Aの外径よりも小さくなるように接続部材8の軸心方向に窪ませた窪み部からなる端子係止部82と、第一端子Aの外径よりも大きい内径を有するリング状の端子挿通部83とを有する略筒状形状、具体的には鼓形に形成されている。
【0043】
端子係止部82は、その周面に接続部材8の軸方向に延びる複数本のスリット85が形成されることにより拡縮変形が可能に構成されている。なお、スリット85は、接続部材8の軸方向から少し斜めにずれた構成であってもよく、実質的に接続部材8の軸方向へ延びていればよい。
【0044】
図5に示すように、中間プレート43の貫通孔44に接続部材8が挿入されて設置された状態で、筒状体21の基端部が端子部材接続部81に圧接されることにより、端子部材2と接続部材8とが電気的に接続される。また、第一端子Aの先端部が端子係止部82内に圧入されることにより、第一端子Aと接続部材8とが電気的に接続されるようになっている。
【0045】
端子部材2を接続部材8に接続する際には、筒状体21の基端部が、内側プレート42のテーパ面46及びガイド孔45により接続部材8の中心位置側に案内されて圧接される。そして、筒状体21から、接続部材8の軸方向に付与される圧縮力に応じ、
図5の矢印Wに示すように端子部材接続部81端子係止部82が内向きに押圧されて縮径変形することにより、第一端子Aの周面に端子係止部82の内面が強固に圧接される。
【0046】
一方、第二支持プレート5は、中継コネクタ1の外方側(
図1の上方側)に配設された外側プレート51と、中継コネクタ1の内方側(
図1の下方側)に配設された内側プレート52とを有している。この内側プレート52には、プランジャ23の外径よりもやや大きく、かつ筒状体21の外径よりもやや小さい直径を有するプランジャ挿通孔53が形成されている。
【0047】
そして、プランジャ挿通孔53にプランジャ23の先端部が挿通されることにより、端子部材2の先端部が第二支持プレート5に支持されている。また、内側プレート52の一端部側に筒状体21が配設されることにより、この筒状体21が第一支持プレート4と第二支持プレート5との間に保持されるように構成されている。
【0048】
外側プレート51には、第二端子Bをプランジャ23の先端部側に向けて案内する案内部50が設けられている。この案内部50は、中継コネクタ1の外方側、つまり外側プレート51の他端部側に形成されたガイド面54と、中継コネクタ1の内方側、つまり外側プレート51の一端部側に形成された断面円形のガイド孔55とを有している。
【0049】
ガイド孔55は、ガイド面54の細径部側、つまりガイド面54の一端部側に連設されるとともに、その直径がプランジャ23及び第二端子Bの外径よりも大きく形成された断面円形の透孔からなっている。これにより、端子部材2と第二端子Bとを電気的に接続する際に、プランジャ23及び第二端子Bがガイド孔55内にそれぞれ挿入されるようになっている。
【0050】
ガイド面54は、その一端面側(
図3の下方側)の直径が他端面側(
図3の上方側)の直径よりも小さく形成された内窄まりテーパ面からなっている。そして、
図3に示すように、第二端子Bをガイド孔55内に挿入して第二端子Bと端子部材2とを電気的に接続する際に、ガイド面54により第二端子Bがガイド孔55の中心部側に案内されて、ガイド孔55の中心部に位置するプランジャ23の先端部に第二端子Bが圧接されるように構成されている。
【0051】
内側プレート52の厚さ、すなわちプランジャ挿通孔53の深さは、プランジャ23の突出長さtより小さくされている。これにより、プランジャ23の先端部がプランジャ挿通孔53からガイド孔55内に突出するようにされている。プランジャ23の先端部は、プランジャ23の先端部が開放されている状態で、ガイド面54とガイド孔55との連設部56よりもガイド面54側に突出しない位置に配設されている。すなわち、プランジャ23の先端部がガイド孔55内に留まるようにされている。
【0052】
第二端子Bがガイド面54によってガイド孔55の中心部側に案内される際、第二端子Bには、軸方向と交差する方向への移動が生じる。また、プランジャ23の先端部が、連設部56よりもガイド面54側に突出しない位置に配設されているので、第二端子Bは、ガイド面54によってガイド孔55の中心部側に案内された後に第二端子Bがプランジャ23に接触する。従って、第二端子Bとプランジャ23とが接触した後に、第二端子Bが軸方向と交差する方向へ移動するおそれが低減される。その結果、プランジャ23を軸方向と交差する方向へ曲げる力が加わることが抑制され、プランジャ23の損傷するおそれが低減される。
【0053】
また、外側プレート51と内側プレート52とからなる第二支持プレート5の板厚Tは、筒状体21の外方側に突出したプランジャ23の突出長さtよりも大きく形成されている。これにより、プランジャ23の先端部に第二端子Bが圧接されていない状態においても、プランジャ23の先端部が、第二支持プレート5の外端面よりも第二支持プレート5の一端部側に位置するように端子部材2が配設され、プランジャ23の先端部が第二支持プレート5の外方側に突出した状態となることが防止されるようになっている。
【0054】
連結部材7は、上下両端部が第一支持プレート4及び第二支持プレート5に形成された取付孔に挿入されて固定される支柱71と、この支柱71に外嵌されるパイプ材からなる第一,第二スペーサー72,73とを有している。第一スペーサー72は、第一支持プレート4と第三支持プレート6との間に配設されることにより、第一支持プレート4と第三支持プレート6との間隔を規制するものである。一方、第二スペーサー73は、第二支持プレート5と第三支持プレート6との間に配設されることにより、第二支持プレート5と第三支持プレート6との間隔を規制するものである。
【0055】
連結部材7により互いに連結された第一支持プレート4と第二支持プレート5とは、第三支持プレート6の厚みと第一,第二スペーサー72,73の全長との合計に対応した間隔Kを隔てて相対向した状態で設置される。この間隔Kは、端子部材2の主要部に対応した値、つまり少なくとも筒状体21の1/2の長さを有し、かつ最大限が筒状体21の全長と等しいか、それよりも短い値に設定されている。
図1に示す例では、間隔Kが、筒状体21の全長よりもやや短い値に形成されている。
【0056】
図6は、中継コネクタ1の組立工程を示す工程図である。中継コネクタ1を組み立てるには、まず
図6(a)に示すように、外側プレート41と中間プレート43と内側プレート42とを重ね合わせて第一支持プレート4を構成する。そして、中間プレート43の貫通孔44に接続部材8を挿入して設置した後、支柱71の下端部を第一支持プレート4の取付孔に挿入して固定する。
【0057】
次いで、
図6(b)に示すように、支柱71に第一スペーサー72を外嵌した後、この第一スペーサー72上に第三支持プレート6を載置して支柱71に支持させる。その後、
図6(c)に示すように、支柱71に第二スペーサー73を外嵌して支持させる。また、第三支持プレート6の挿通孔61に端子部材2の筒状体21を挿通するとともに、筒状体21の基端部を接続部材8に当接させた状態で、端子部材2を立設する(
図3参照)。
【0058】
端子部材2の軸方向中間部及び基端部を、第三支持プレート6及び第一支持プレート4により支持した状態で、
図1に示すように、外側プレート51と内側プレート52とからなる第二支持プレート5を支柱71の上端部に固定する。そして、内側プレート52のプランジャ挿通孔53にプランジャ23の先端部を挿入することにより、端子部材2の他端部側に位置するプランジャ23の先端部を第二支持プレート5に支持させる。
【0059】
このようにして導電材料からなる筒状体21、付勢部材22及びプランジャ23を有する端子部材2と、この端子部材2を支持する支持部材3とを備えた中継コネクタ1が構成される。そして、端子部材2の一端部側の部位を支持する第一支持プレート4に、接続対象である第一端子Aと端子部材2とを電気的に接続する接続部材8を配設し、この接続部材8に、筒状体21の基端部が圧接される端子部材接続部81と、第一端子Aの先端部が挿入されて係止される端子係止部82とを設けたため、簡単な構成で、優れた耐久性を有する中継コネクタ1を安価に製造することができる。
【0060】
すなわち、上述の実施形態では、導電性金属等の導電材料からなる接続部材8に、筒状体21の外径よりもやや小さい外径を有するリング状部からなる端子部材接続部81と、接続部材8の軸方向中央部の内径を第一端子Aの外径よりも小さな値に窪ませた窪み部からなる端子係止部82と、第一端子Aの外径よりも大きい内径を有する端子挿通部83とを設けている。このため、
図3及び
図5に示すように、中間プレート43の貫通孔44に接続部材8を嵌入して保持させた状態で、筒状体21の基端部を端子部材接続部81に圧接することにより、端子部材2と第一端子Aとを、接続部材8を介して電気的に接続することができる。
【0061】
したがって、
図8に示す従来技術のように、1mm弱の直径を有する細長い筒状体101の内周面に、圧縮ばね101の抜け止め部となる仕切り壁部104と、一又は複数の摺接片106とを設ける等の複雑な構造を採用することなく、上述の電気的接続を適正に行うことが可能である。その結果、端子部材2の構造を簡略化して中継コネクタ1及び接続モジュール10の製造コストを低減することが容易である。
【0062】
なお、端子部材接続部81の外径を必ずしも筒状体21の外径よりも小さい値に設定する必要はなく、少なくとも端子部材接続部81の内径を筒状体21の外径よりも小さい値に設定すれば、筒状体21の基端部を端子部材接続部81に圧接させることが可能である。
【0063】
また、上述のように接続部材8の軸方向中央部の内径を第一端子Aの外径よりも小さな値に窪ませた窪み部からなる端子係止部82に、その周面に実質的に接続部材8の軸方向へ延びる複数本のスリット85を形成することにより、端子係止部82の拡縮変形を可能に構成したため、端子部材2を中継コネクタ1の支持部材3に支持させる際に、筒状体21から付与される押圧力に応じ、第一端子Aの周面に端子係止部82の内面を強固に圧接させて、第一端子Aと接続部材8とを強固に電気接続することができる。
【0064】
すなわち、筒状体21から接続部材8の軸方向に付与される圧縮力に応じ、
図5の矢印Wに示すように、端子係止部82を内向きに押圧して縮径変形させることにより、第一端子Aの周面に端子係止部82の内面を強固に圧接させて、第一端子Aと接続部材8との電気的接続状態を安定させることができる。
【0065】
なお、端子係止部82の内径を必ずしも第一端子Aの外径よりも小さな値に設定する必要はなく、端子係止部82の内径と第一端子Aの外径と略等しくし、筒状体21から接続部材8の軸方向に付与される圧縮力に応じ、端子係止部82を内向きに押圧して縮径変形させることにより、第一端子Aの周面に端子係止部82の内面を強固に圧接させるようにしてもよい。
【0066】
また、上述の接続モジュール10によれば、接続部材8は、中間プレート43に形成された貫通孔44内に挿入されて設置されるので、略筒状形状を有する接続部材8の外周面が貫通孔44の内周面で支持される。さらに、略筒状形状の端子係止部82に第一端子Aの先端部が挿入されて係止されるので、接続部材8の外周部は、貫通孔44の内周面と第一端子Aの先端部とで挟まれて保持されることになる。その結果、簡単な構成で接続部材8の強度を補うことができる。従って、貫通孔44と第一端子Aとで補強されない場合と比べて接続部材8の構造を簡略化して、中継コネクタ1及び接続モジュール10のコストを低減することが容易となる。
【0067】
なお、接続部材8を構成する端子挿通部83を省略し、リング状部からなる端子部材接続部81と窪み部からなる端子係止部82とによって接続部材8を構成することも可能である。しかし、第一端子Aの外径よりも大きい内径を有するリング状の端子挿通部83を接続部材8に設けた構造とした場合には、端子挿通部83を貫通孔44に挿入して設置することにより、接続部材8を中間プレート43に安定して保持させることができる。
【0068】
また、貫通孔44よりも大きい直径を有するガイド孔45と、その一端部側に形成された先広がりのテーパ面46とからなる案内部47を、内側プレート42に形成した場合には、端子部材2の基端部を接続部材8に接続する際に、端子部材2を接続部材8の中心位置側に案内して適正に当接させることができる。このため、端子部材2が接続部材8の中心からずれた位置に当接する片当たり状態となるのを防止して、接続部材8の一部に大きな力が作用して局部的な変形が生じるのを抑制することができる。しかも、第一支持プレート4の貫通孔44内に接続部材8を挿入して設置する際には、案内部47を利用することにより、接続部材8の設置作業を容易かつ適正に行うことができる。
【0069】
なお、ガイド孔45を省略し、案内部47の全体に先広がりのテーパ面46を設けてもよく、またテーパ面46に代えてお椀形に湾曲した湾曲面、又は直径が段階的に小さくなるように形成された階段状のガイド面を設けた構造としてもよい。また、テーパ面を省略し、案内部47にガイド孔45のみを設けた構造としてよく、あるいは内側プレート42及び案内部47を省略してもよい。さらに、第一支持プレート4を、外側プレート41、内側プレート42及び中間プレート43からなる三枚重ねとする必要はなく、一枚又は二枚のプレート材で形成することも可能である。
【0070】
第一支持プレート4と第二支持プレート5との間に、端子部材2の主要部に筒状体21に対応した間隔Kを有する空隙部を設けた構造とした場合には、隣接する端子部材間の空間の比誘電率を、第一支持プレート4と第二支持プレート5との間の全域に樹脂やガラス繊維等の絶縁材料を配設した場合に比べて、1/3〜1/4程度に抑えることができる。したがって、中継コネクタ1に多数の端子部材2をマトリックス状に配設した場合においても、各端子部材2間における相互干渉、いわゆるクロストークの発生を簡単な構成で効果的に抑制することができる。
【0071】
なお、第一支持プレート4と第二支持プレート5との間の空隙部に配設された第三支持プレート6を省略した構造とすることも可能である。しかし、端子部材2の筒状体21が挿通される挿通孔61を有する第三支持プレート6を前記空隙部に配設した場合には、中継コネクタ1の組立過程で、
図6(c)に示すように第三支持プレート6を利用して端子部材2を容易かつ適正に立設することができる。しかも、中継コネクタ1の組立状態では、第三支持プレート6により端子部材2の設置状態を安定して保持できるという利点がある。
【0072】
また、第二支持プレート5に、一端部側の直径が他端部側よりも小さく形成された内窄まりのテーパ面からなるガイド面54と、当該ガイド面54の一端部側に連設されるとともに、直径がプランジャ23及び第二端子Bの外径よりも大きく形成されたガイド孔55とを有する案内部50を設けた構造とした場合には、
図3に示すように、第二端子Bをガイド孔55内に挿入して第二端子Bと端子部材2とを電気的に接続する際に、ガイド面54により第二端子Bをガイド孔55の中心部側へとスムーズに案内することができる。このため、ガイド孔55の中心部に位置するプランジャ23の先端部に第二端子Bを確実に当接させることができる。
【0073】
なお、前記内窄まりのテーパ面からなるガイド面54に代えて、お椀形に湾曲した湾曲面、又は直径が段階的に小さくなるように形成された階段状のガイド面を案内部50に設けた構造としてもよい。ガイド面54は、第二端子Bをプランジャ23の先端部側に向けて案内するように、第一支持プレート4に近づくほど、内窄まりに徐々に径が小さくなる形状であればよく、ガイド面54の形状は特定の形状に限定されない。また、ガイド面54の細径部に連設されたガイド孔55を省略し、第一支持プレート4の外側プレート51の全域に、前記テーパ面等からなるガイド面54を設けた構造としてもよい。
【0074】
また、上述の例では、プランジャ23の先端部が、第二支持プレート5の外端面よりも第二支持プレート5の一端部側に位置するように、つまり第二支持プレート5の外端面よりも第二支持プレート5の内方側に位置するように端子部材2を配設している。このため、中継コネクタ1の搬送時又は保管時等に、プランジャ23の先端部が第二支持プレート5の外方側に突出した状態となるのを防止することにより、中継コネクタ1を落下させた場合等に、プランジャ23の先端部が他の部材に干渉してプランジャ23が折損する等の損傷が生じるおそれを低減できる。
【0075】
なお、必ずしもプランジャ23の先端部を、連設部56よりもガイド面54側に突出しない位置に配設する例に限られない。プランジャ23の先端部が連設部56よりガイド面54側に突出していても、プランジャ23の先端部が第二支持プレート5の外端面より第二支持プレート5の内方側に位置していれば、プランジャ23の損傷が生じるおそれを低減できる。
【0076】
また、必ずしもプランジャ23の先端部を、第二支持プレート5の外端面よりも第二支持プレート5の内方側に位置させる必要はなく、プランジャ23の先端部を第二支持プレート5の外端面からやや突出させるように設置してもよい。この場合においても、プランジャ23の突出量を小さくすることにより、中継コネクタ1をコンパクト化できるとともに、中継コネクタ1の搬送時又は保管時等に、プランジャ23の先端部が他の部材に干渉して折損する等の事態の発生を抑制することが可能である。
【0077】
また、上述の実施形態では、案内部50の一端部側に位置する第二支持プレート5の内側プレート52に、プランジャ23の先端部の外径よりも大きく、かつ筒状体21の外径よりも小さい直径を有するプランジャ挿通孔53を形成したため、このプランジャ挿通孔53によりプランジャ23の先端部を安定して支持することができる。しかも、内側プレート52の一端部側に配設された筒状体21が外側プレート51側に移動するのを規制することができるため、筒状体21を第一支持プレート4と第二支持プレート5との間に安定して保持させることができるという利点もある。
【0078】
図7は、接続部材8aの変形例を示す斜視図である。この変形例に係る接続部材8aは、端子部材接続部81aの一端部側部位(
図7の上方側部位)に、複数個の突部86が形成されている。図例では、正弦曲線状に形成された三個の突部86が端子部材接続部81aの一端部側部位に突設されている。この構成によれば、端子部材2の基端部の複数個所に各突部86をそれぞれ圧接させることにより、端子部材2と端子部材接続部81aとの電気的接続を、より確実に行うことができる。
【0079】
なお、突部86の形状は、正弦曲線状に限られず、半円形等の円弧状、三角形状、又は台形状等の種々の形状に変更可能である。また、突部86の個数は、三個以上であればよい。