特許第6875157号(P6875157)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6875157
(24)【登録日】2021年4月26日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】植物育成装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 7/00 20060101AFI20210510BHJP
【FI】
   A01G7/00 601Z
   A01G7/00 604D
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-49028(P2017-49028)
(22)【出願日】2017年3月14日
(65)【公開番号】特開2018-148860(P2018-148860A)
(43)【公開日】2018年9月27日
【審査請求日】2020年2月27日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成26年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、産学共同実用化開発事業(NexTEP)、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】519135633
【氏名又は名称】公立大学法人大阪
(73)【特許権者】
【識別番号】593148147
【氏名又は名称】日下部機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100183232
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 敏行
(74)【代理人】
【識別番号】100144200
【弁理士】
【氏名又は名称】奥西 祐之
(72)【発明者】
【氏名】西浦 芳史
(72)【発明者】
【氏名】島田 耕治
【審査官】 大谷 純
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−224525(JP,A)
【文献】 特許第3368107(JP,B2)
【文献】 特開2007−330119(JP,A)
【文献】 特開2011−217729(JP,A)
【文献】 特開2009−219456(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 7/00、9/00、9/02、31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物を育成する植物育成装置であって、
植物が収容される育成ユニットと、
前記育成ユニットに空気を供給する給気ユニットと、を備えており、
前記育成ユニットの底壁には、上下方向に貫通する第1通気流路が設けられており、
前記給気ユニットは、上下方向に貫通する第2通気流路を有する上壁と、前記上壁に連結される側壁と、を備えており、
前記給気ユニットの側壁には、前記育成ユニット内へ空気を供給する給気装置が設けられ、
前記育成ユニットの底壁と前記給気ユニットの上壁との間には、上下方向に所定間隔の隙間が形成され、
前記隙間には、上下方向に貫通する第3通気流路が少なくとも1以上配置され、
前記第3通気流路の通気孔の大きさは、前記第2通気流路の通気孔の大きさよりも大きいことを特徴とする、植物育成装置。
【請求項2】
前記育成ユニットの底壁の第1通気流路は、前記底壁の水平断面に均等に配置された第1通気孔であり、
前記給気ユニットの上壁の第2通気流路は、前記上壁の水平断面に均等に配置された第2通気孔である、請求項1記載の植物育成装置。
【請求項3】
前記給気装置は、少なくとも一対の対向する側壁に、それぞれ対向するように設けられている、請求項1又は2に記載の植物育成装置。
【請求項4】
前記給気ユニットの下部には、前記育成ユニットに供給する液体を貯蔵する貯蔵部が設けられており、
前記給気ユニットには、前記貯蔵部に貯蔵されている液体に一部が浸漬し、前記給気装置から給気される空気に他の一部がさらされるように配置されている熱交換部材が設けられている、請求項1〜3のいずれか1つに記載の植物育成装置。
【請求項5】
前記給気ユニットの下部には、前記育成ユニットに供給する液体を貯蔵する貯蔵部が設けられており、
前記給気ユニットには、前記貯蔵部に貯蔵されている液体に浸漬又は接触するように配置されている温度調整器が設けられている、請求項1〜4のいずれか1つに記載の植物育成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物を育成する植物育成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示されるように、植物が育成される育成ユニットへの給気は、育成ユニットの側壁に設けられた通風口から行われるようになっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−263834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、育成ユニット内の植物は側方から空気を受けることとなり、植物の茎が給気される空気により湾曲してしまう等、植物の生長に対して好ましくない影響を与えるという課題があった。
【0005】
そこで、本発明では、植物の生長に好ましくない影響を与えることを抑制する空気供給を行うことができる植物育成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
植物を育成する植物育成装置であって、
植物が収容される育成ユニットと、
前記育成ユニットに空気を供給する給気ユニットと、を備えており、
前記育成ユニットの底壁には、上下方向に貫通する第1通気流路が設けられており、
前記給気ユニットは、上下方向に貫通する第2通気流路を有する上壁と、前記上壁に連結される側壁と、を備えており、
前記給気ユニットの側壁には、前記育成ユニット内へ空気を供給する給気装置が設けられていることを特徴とする。
【0007】
前記構成によれば、給気ユニットの第2通気流路及び育成ユニットの第1通気流路を介して、給気ユニットから育成ユニットに対して、下方から上方に向かって空気が供給されるので、育成ユニット内において空気が下方から上方に向かって流れるようになっている。その結果、植物の生長に好ましくない影響を与えることを抑制する空気供給を行うことができる植物育成装置を提供できる。
【0008】
本発明は、さらに、次のような構成を備えるのが好ましい。
(1)前記育成ユニットの底壁と前記給気ユニットの上壁との間には、上下方向に所定間隔の隙間が形成されている。
(2)前記構成(1)において、前記隙間には、上下方向に貫通する第3通気流路を有する板状部材が少なくとも1以上配置されている。
(3)前記育成ユニットの底壁の第1通気流路は、前記底壁の水平断面に均等に配置された第1通気孔であり、
前記給気ユニットの上壁の第2通気流路は、前記上壁の水平断面に均等に配置された第2通気孔である。
(4)前記給気装置は、少なくとも一対の対向する側壁に、それぞれ対向するように設けられている。
(5)前記給気ユニットの下部には、前記育成ユニットに供給する液体を貯蔵する貯蔵部が設けられており、
前記給気ユニットには、前記貯蔵部に貯蔵されている液体に一部が浸漬し、前記給気装置から給気される空気に他の一部がさらされるように配置されている熱交換部材が設けられている。
(6)前記給気ユニットの下部には、前記育成ユニットに供給する液体を貯蔵する貯蔵部が設けられており、
前記給気ユニットには、前記貯蔵部に貯蔵されている液体に浸漬又は接触するように配置されている温度調整器が設けられている。
【0009】
前記構成(1)によれば、給気装置から給気された空気を、育成ユニットの底壁と給気ユニットの上壁との間の隙間によって整流することができ、育成ユニットの底壁の水平断面全体に対してより整流させた空気を供給することができる。
【0010】
前記構成(2)によれば、給気装置から給気された空気を、育成ユニットの底壁と給気ユニットの上壁との間の隙間に配置された板状部材によって整流することができ、育成ユニットの底壁の水平断面全体に対してより整流させた空気を供給することができる。
【0011】
前記構成(3)によれば、第1通気流路及び第2通気流路は水平断面に均等に配置された通気孔であるので、育成ユニットの底壁の水平断面全体に対して、より均等な空気量を供給することができる。また、第1通気流路及び第2通気流路を容易に形成することができる。
【0012】
前記構成(4)によれば、給気装置は、対向する側壁に対向するように設けられているので、対向する給気装置から供給された空気を互いに衝突させることによって、給気装置から供給された空気をより整流させることができる。
【0013】
前記構成(5)によれば、熱交換部材によって、給気装置からの空気で冷却された液体を育成ユニットに供給することができる。
【0014】
前記構成(6)によれば、温度調整器によって、貯蔵部に貯蔵されている液体の温度を調整することができ、その結果、温度調整された液体を育成ユニットに供給することができる。
【発明の効果】
【0015】
要するに、本発明によると、植物の生長に好ましくない影響を与えることを抑制する空気供給を行うことができる植物育成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る育苗装置の概略斜視図である。
図2】植物育成装置の概略側面図である。
図3】植物育成装置の図2に対して垂直方向の概略側面図である。
図4】植物育成装置の概略上面図である。
図5図4において育成ユニットを取り外した状態の概略上面図である。
図6】植物育成装置の上部の概略側面図である。
図7】板状部材が配置された植物育成装置の上部の概略側面図である。
図8】板状部材の概略上面図である。
図9】板状部材を配置した場合の板状部材及び給気ユニットの上壁を示す概略上面図である。
図10】隙間に板状部材を配置しない場合の給気状態を示す概略側面図である。
図11】隙間に板状部材を配置した場合の給気状態を示す概略側面図である。
図12】本発明に係る別の実施形態であって、給気装置が横流式の給気ファンである場合の概略側面図である。
図13図12に対して垂直方向の概略側面図である。
図14】本発明に係る別の実施形態であって、セルプラグが育成ユニットに載置され、上方から水が灌水される場合の概略側面図である。
図15図14に対して垂直方向の概略側面図である。
図16】本発明に係る別の実施形態であって、セルプラグが育成ユニットに載置され、上方から水が灌水され、給気装置が横流式の給気ファンである場合の概略側面図である。
図17図16に対して垂直方向の概略側面図である。
図18】セルプラグが底面灌水され、給気装置として軸流式の給気ファンを用いる場合の概略側面図である。
図19図18に対して垂直方向の概略側面図である。
図20】セルプラグが底面灌水され、給気装置として横流式の給気ファンを用いる場合の概略側面図である。
図21図20に対して垂直方向の概略側面図である。
図22】熱交換部材を配置した場合の植物育成装置の概略側面図である。
図23図22に対して垂直方向の概略側面図である。
図24】温度調整器を配置した場合の植物育成装置の概略側面図である。
図25図24に対して垂直方向の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(全体構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る植物育成装置10の概略斜視図である。図1に示されるように、植物育成装置10は、植物が収容される育成ユニット2と、育成ユニット2に空気を供給する給気ユニット3と、を備えている。
【0018】
図2は、植物育成装置10の概略側面図であり、図3は、植物育成装置10の図2に対して垂直方向の概略側面図である。図4は、植物育成装置10の概略上面図である。図2及び図3において、空気の流れは白抜き矢印で示されている。なお、以降の図面においても、空気の流れは白抜き矢印で示されるようになっている。図2図4に示されるように、育成ユニット2は、矩形状のプレート形状である底壁21と、底壁21に連結され、底壁21の四辺から立ち上がる4つの側壁22と、を備えている。植物は、底壁21及び側壁22によって囲まれた空間に支持される単一の鉢体として形成されるセルプラグ23に収容されている。セルプラグ23は、支持装置24によって、育成ユニット2に着脱自在に、配列されるようになっており、ポリプロピレン、ビニル等のプラスチックでできている。支持装置24は、セルプラグ23を挟んで支持するようになっている。
【0019】
底壁21には、上下方向に貫通する通気流路21a(第1通気流路)が設けられており、通気流路21aは、底壁21の水平断面において均等に配置された第1通気孔となっている。
【0020】
給気ユニット3は、矩形状の底壁31と、底壁31に連結され、底壁31の四辺から立ち上がる4つの側壁32と、側壁32に連結され、側壁32上に載置される上壁33と、を備えている。
【0021】
図5は、図4において育成ユニット2を取り外した状態の概略上面図である。上壁33には、上下方向に貫通する通気流路33a(第2通気流路)が設けられており、通気流路33aは、上壁33の水平断面において均等に配置された第2通気孔となっている。
【0022】
側壁32の中間部には、中間壁34が形成されており、中間壁34の下方には、水や養液等の液体が貯蔵される貯蔵部35が設けられている。中間壁34には、全面に亘って上下方向に貫通する貫通孔34aが形成されている。
【0023】
貯蔵部35には、貯蔵部35に貯蔵されている液体を育成ユニット2に供給する給水ポンプ36が設けられている。給水ポンプ36の出口は、給水チューブ37に接続されており、給水ポンプ36は、貯蔵部35に貯蔵されている液体を、給水チューブ37を通して育成ユニット2に供給するようになっている。
【0024】
中間壁34の上方において、対向する側壁32には、それぞれ給気装置41、42が設けられており、給気装置41と給気装置42とは、対向するように配置されている。給気装置41、42は、例えば軸流式の給気ファンである。したがって、給気装置41、42は、側方外方から空気を取り入れ、給気装置43、44内で給気方向を維持しながら、側壁32から給気ユニット3の内方に向けて、空気を供給するようになっている。
【0025】
図6は、植物育成装置10の上部の概略側面図である。図6に示されるように、育成ユニット2の底壁21と給気ユニット3の上壁33との間には、上下方向に所定間隔の隙間Dが形成されている。
【0026】
そして、図7に示されるように、隙間Dには、上下方向に貫通する通気流路5a(第3通気流路)を有する板状部材5が配置されていてもよい。図8は、板状部材5の概略上面図であり、図9は、板状部材5を配置した場合の板状部材及び給気ユニット3の上壁33を示す概略上面図である。そして、図10は、隙間Dに板状部材5を配置しない場合の給気状態を示す概略側面図であり、図11は、隙間Dに板状部材5を配置した場合の給気状態を示す概略側面図である。
【0027】
通気流路5aは、板状部材5において均等に配置された第3通気孔となっており、第3通気孔の大きさは、上壁33の水平断面において均等に配置された第2通気孔の大きさより大きくなっている。そして、図10図11とを比較して、隙間Dに板状部材5を配置することによって、給気ユニット3からの空気を、板状部材5によって整流することができ、育成ユニット2の底壁21に対してより均等な空気を供給することができるようになっている。そして、第3通気孔の大きさと第2通気孔の大きさを異ならせることによって、整流効果を向上させることができる。なお、上記では、育成ユニット2の底壁21と給気ユニット3の上壁33との隙間Dには、1つの板状部材5が配置されているが、複数の板状部材が配置されてもよい。板状部材が複数配置されることによって、育成ユニット2の底壁21に対してより均等な空気を供給することができる。
【0028】
前記構成の植物育成装置10によれば、次のような効果を発揮できる。
【0029】
(1)給気ユニット3の上壁33の通気流路33a及び育成ユニット2の底壁21の通気流路21aを介して、給気ユニット3から育成ユニット2に対して、下方から上方に向かって空気が供給されるので、育成ユニット2内において空気が下方から上方に向かって流れるようになっている。その結果、植物の生長に好ましくない影響を与えることを抑制する空気供給を行うことができる植物育成装置10を提供できる。
【0030】
(2)給気装置41、42から給気された空気を、育成ユニット2の底壁21と給気ユニット3の上壁33との間の隙間Dによって整流することができ、育成ユニット2の底壁21の水平断面全体に対してより整流させた空気を供給することができる。
【0031】
(3)給気装置41、42から給気された空気を、育成ユニット2の底壁21と給気ユニット3の上壁33との間の隙間Dに配置された板状部材5によって整流することができ、育成ユニット2の底壁21の水平断面全体に対してより整流させた空気を供給することができる。
【0032】
(4)通気流路21a及び通気流路33aはそれぞれ、水平断面に均等に配置された通気孔であるので、育成ユニット2の底壁21の水平断面全体に対して、より均等な空気量を供給することができる。また、通気流路21a及び通気流路33aを容易に形成することができる。
【0033】
(5)給気装置41、42は、対向する側壁32に対向するように設けられているので、対向する給気装置41、42から供給された空気を互いに衝突させることによって、給気装置41、42から供給された空気をより整流させることができる。
【0034】
給気装置41、42は、一方側の対向する一対の側壁32に対向するように設けられているが、他方側の対向する一対の側壁に対向するように設けられてもよく、一方側の側壁及び他方側の側壁の両方に設けられてもよい。
【0035】
(別の実施形態)
上記実施形態では、給気装置41、42は、軸流式の給気ファンであるが、給気装置は、横流式の給気ファンであってもよい。図12は、本発明に係る別の実施形態であって、給気装置が横流式の給気ファンである場合の概略側面図であり、図13は、給気装置が横流式の給気ファンである場合の図12に対して垂直方向の概略側面図である。別の実施形態は、給気ファンの型式が上記実施形態と異なっており、その他の構成は上記実施形態と同じである。このため、別の実施形態の説明においては、上記実施形態と同じ部分には同じ符号を付し、それらの内容については詳しい説明を省略する。
【0036】
中間壁34の上方において、対向する側壁32には、それぞれ給気装置43、44が設けられており、給気装置43と給気装置44とは、対向するように配置されている。給気装置43、44は、横流式の給気ファンである。したがって、給気装置43、44は、下方から空気を取り入れ、給気装置43、44内で給気方向を変更し、側壁32から給気ユニット3の内方に向けて、空気を供給するようになっている。
【0037】
上記実施形態では、セルプラグ23は、支持装置24によって挟まれて支持されているが、載置されてもよい。さらに、上記実施形態では、貯蔵部35に貯蔵されている液体が、給水ポンプ36によって育成ユニット2に供給されるようになっているが、上方から水が灌水されてもよい。図14は、本発明に係る別の実施形態であって、セルプラグ23が育成ユニット2に載置され、上方から水が灌水される場合の概略側面図であり、図15は、図14に対して垂直方向の概略側面図である。
【0038】
セルプラグ23は、育成ユニット2の底壁21に載置されている。そして、セルプラグ23の上方には、セルプラグ23の上方から液体を灌水する灌水装置6が、水平面において、一方向にセルプラグ23の数だけ並んで設けられている。各灌水装置6は、一方向に垂直な他方向に移動可能に構成されている。
【0039】
上記実施形態では、セルプラグ23は、支持装置24によって挟まれて支持されているが、載置されてもよい。そして、上記実施形態では、貯蔵部35に貯蔵されている液体が、給水ポンプ36によって育成ユニット2に供給されるようになっているが、上方から水が灌水されてもよい。さらに、上記実施形態では、給気装置41、42は、軸流式の給気ファンであるが、給気装置は、横流式の給気ファンであってもよい。図16は、本発明に係る別の実施形態であって、セルプラグ23が育成ユニット2に載置され、上方から水が灌水され、給気装置が横流式の給気ファンである場合の概略側面図であり、図17は、図16に対して垂直方向の概略側面図である。
【0040】
セルプラグ23は、育成ユニット2の底壁21に載置されている。そして、セルプラグ23の上方には、セルプラグ23の上方から液体を灌水する灌水装置6が、水平面において、一方向にセルプラグ23の数だけ並んで設けられている。各灌水装置6は、一方向に垂直な他方向に移動可能に構成されている。さらに、中間壁34の上方において、対向する側壁32には、それぞれ給気装置43、44が設けられており、給気装置43と給気装置44とは、対向するように配置されている。給気装置43、44は、横流式の給気ファンである。したがって、給気装置43、44は、下方から空気を取り入れ、給気装置43、44内で給気方向を変更し、側壁32から給気ユニット3の内方に向けて、空気を供給するようになっている。
【0041】
上記実施形態では、セルプラグ23は、上方から灌水されるようになっているが、底面から灌水されてもよい。図18は、セルプラグ23が底面灌水され、給気装置として軸流式の給気ファンを用いる場合の概略側面図であり、図19は、図18に対して垂直方向の概略側面図である。そして、図20は、セルプラグ23が底面灌水され、給気装置として横流式の給気ファンを用いる場合の概略側面図であり、図21は、図20に対して垂直方向の概略側面図である。
【0042】
図18図21に示されるように、セルプラグ23を底面灌水させるために、育成ユニット2内には液体が貯蔵されている。そして、セルプラグ23が貯蔵された液体によって浮くのを防止するために、セルプラグ23を挟んで支持する支持装置24は、セルプラグ23の上方への移動を規制するようになっている。
【0043】
給水ポンプ36は、貯蔵部35に貯蔵されている液体を中間壁34の上方空間34bに供給するようになっている。上方空間34bに充填されている液体は、育成ユニット2のセルプラグ23の少なくとも底部まで満たされるようになっており、その結果、セルプラグ23は底面から灌水されるようになっている。そして、給水ポンプ36は、貯蔵部35に貯蔵されている液体を、給水チューブ37を通して上方空間34bに供給するようになっている。なお、育成ユニット2から溢れる液体は、越流として貯蔵部35に流れるようになっており、また、上方空間34bの液体は、排水口から排水として貯蔵部35に流れるようになっている。
【0044】
上方空間34bに液体が充填されているので、軸流式の給気ファンである給気装置41、42及び横流式の給気ファンである給気装置43、44のいずれも、セルプラグ23より上方に位置するようになっている。そして、給気装置41、42は、上方から空気を取り入れ、給気通路41a、42aを通して、側壁32から給気ユニット3の内方に向けて空気を供給するようになっている。また、給気装置43、44は、側方から空気を取り入れ、給気装置43、44内で給気方向を変更し、給気通路43a、44aを通して、側壁32から給気ユニット3の内方に向けて空気を供給するようになっている。このため、上方空間34b内の液体は、給気装置41〜44からの空気により冷却されるようになっている。
【0045】
上記実施形態及び別の実施形態のいずれにおいても、貯蔵部35に貯蔵されている液体は、温度調整されることが好ましい。図22は、熱交換部材91を配置した場合の植物育成装置10の概略側面図であり、図23は、図22に対して垂直方向の概略側面図である。熱交換部材91は、貯蔵部35に貯蔵されている液体に一部が浸漬し、給気装置41、42から給気される空気に他の一部がさらされるように配置されている。熱交換部材91は、例えばマイクロファイバー布であり、給気装置41、42からの空気によって、貯蔵部35に貯蔵されている液体を冷却することができる。その結果、給気装置41、42からの空気で冷却された液体を育成ユニット2に供給することができる。
【0046】
図24は、温度調整器92を配置した場合の植物育成装置10の概略側面図であり、図25は、図24に対して垂直方向の概略側面図である。温度調整器92は、貯蔵部35に貯蔵されている液体に浸漬又は接触するように配置されている。温度調整器92は、例えばヒータ・クーラである。温度調整器92によって、貯蔵部35に貯蔵されている液体の温度を調整することができる。その結果、温度調整された液体を育成ユニット2に供給することができる。
【0047】
なお、熱交換部材91及び温度調整器92は、上記実施形態を例として説明したが、別の実施形態にも適用できる。すなわち、給気装置が横流式のファンである場合、セルプラグ23が載置される場合及びセルプラグ23が底面灌水される場合にも適用できる。また、上記では、熱交換部材91及び温度調整器92のいずれかを備える植物育成装置10を説明したが、植物育成装置10は、熱交換部材91及び温度調整器92の両方を備えてもよい。
【0048】
特許請求の範囲に記載された本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、各種変形及び変更を行うことも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明では、植物の生長に好ましくない影響を与えることを抑制する空気供給を行うことができる植物育成装置を提供することができるので、産業上の利用価値が大である。
【符号の説明】
【0050】
2 育成ユニット
21 底壁 21a 通気流路(第1通気流路)
22 側壁
23 セルプラグ
3 給気ユニット
31 底壁 32 側壁
33 上壁 33a 通気流路(第2通気流路)
34 中間壁 35 貯蔵部
36 給水ポンプ 37 給水チューブ
41 給気装置 42 給気装置 43 給気装置 44 給気装置
5 板状部材 5a 通気流路(第3通気流路)
91 熱交換部材 92 温度調整器
10 植物育成装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25