(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献2に記載された提案によれば、ある程度従業員の業務実績を定量化でき、従業員が所属する部署自体の評価、あるいは外部組織との業務を含めた評価を実施することが可能となり、部署に所属する従業員のやる気を引き出し、業務の活発化に繋がるものと考えられる。
【0008】
上記した人事管理システムに基づく人事管理を実行することにより、部署に所属する従業員の評価が適切になされ、業務の活発化に繋がることが期待される。しかし、従業員が所属する企業、あるいは部署が過去に実施していなかった全く新しい業務を企画したり、個人が有する業務スキルを頼りにされ他部署の仕事を手伝ったり、他部署から助言、アドバイス、講演等の企画を求められたりする場合、特定の部署に所属していることによってこのような企画を立てたり、或いは他の業務を遂行したりすることが困難な場合がある。また、そのような企画や業務を無理に実行したとしても、所属する部署の上長からは正当に評価されず、従業員のやる気を阻害することも懸念される。
【0009】
本発明は、上記事実に鑑みなされたものであり、その主たる技術課題は、従業員個人が提案する新たな業務の企画や、従業員個人の能力が生かされる業務を、所属する組織の枠組みに縛られずに遂行しやすくし、かつ当該従業員個人の実績が客観的に評価される人事管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、コンピュータによって構成される人事管理システムであって、部署の部署口座、該部署に紐付けされた該部署に所属する従業員の個人口座、及び
特定の部署に所属せず、特定の部署の上長の指示によって業務を遂行することがない従業員であるフリーランス
従業員のフリーランス口座を記憶する口座記憶手段と、該口座記憶手段に記憶された各口座のポイントの残高を管理するコントロール手段と、該コントロール手段と接続され情報を入力する端末手段と、を少なくとも備え、該コントロール手段は、該フリーランス
従業員が企画した業務に対して参画を希望する個人の個人口座から、及び該フリーランス
従業員に業務を依頼した部署の部署口座または業務を依頼した個人の個人口座から、該フリーランス口座にポイントを振り込むポイント交換部と、該フリーランス口座に蓄積されたポイントから、該フリーランス
従業員の諸経費を差し引き所定の期間毎の該フリーランス口座の残高を算出するフリーランス口座残高算出部と、該所定の期間毎のフリーランス口座の残高が所定の条件を満たす場合は該フリーランス
従業員の職務を継続し、満たさない場合は該フリーランス
従業員の職務を中止する判断を行うフリーランス継続判断部と、部署に所属する従業員の個人口座と該フリーランス口座の残高とから該フリーランス
従業員の順位を決定する順位決定部と、該順位決定部により決定された該フリーランス
従業員の順位に基づいて、予め設定されたテーブルから昇給と昇格とを決定する昇給昇格決定部と、から少なくとも構成される人事管理システムが提供される。
【0011】
該部署口座と、該部署口座に紐付けされ該部署に所属する従業員の個人口座とは、該部署口座、又は該個人口座から、他の部署に所属する従業員の個人口座にポイントが振り込まれた場合は、該ポイントが振り込まれた従業員の個人口座が紐付けされた部署の部署口座にも該ポイントが加算され、該部署に所属する従業員の個人口座から他の部署に所属する従業員の個人口座、又は該フリーランス口座にポイントが振り込まれた場合は、振り込んだ個人口座が紐付けされた部署の部署口座からも該ポイントが減算され、同じ部署に所属する従業員の個人口座の間、あるいは当該部署に所属する従業員の個人口座と紐付けされた部署口座との間においてポイントの交換があった場合は、当該部署の部署口座は変動しないことが好ましい。
【0012】
なお、本発明における「フリーランス
従業員」とは、特定の部署に所属せず、特定の部署の上長の指示によって業務を遂行することがない従業員を指し、フリーランス口座に蓄積されたポイントの残高によって人事評価がなされる従業員のことをいう。
【発明の効果】
【0013】
本発明に基づき構成される人事管理システムは、部署の部署口座、部署に紐付けされた該部署に所属する従業員の個人口座、及び
特定の部署に所属せず、特定の部署の上長の指示によって業務を遂行することがない従業員であるフリーランス
従業員のフリーランス口座を記憶する口座記憶手段と、口座記憶手段に記憶された各口座のポイントの残高を管理するコントロール手段と、該コントロール手段と接続され情報を入力する端末手段と、を少なくとも備え、コントロール手段は、フリーランス
従業員が企画した業務に対して参画を希望する個人の個人口座から、及びフリーランス
従業員に業務を依頼した部署の部署口座または業務を依頼した個人の個人口座から、フリーランス口座にポイントを振り込むポイント交換部と、フリーランス口座に蓄積されたポイントから、フリーランス
従業員の諸経費を差し引き所定の期間毎のフリーランス口座の残高を算出するフリーランス口座残高算出部と、該所定の期間毎のフリーランス口座の残高が所定の条件を満たす場合はフリーランス
従業員の職務を継続し、満たさない場合はフリーランス
従業員の職務を中止する判断を行うフリーランス継続判断部と、部署に所属する従業員の個人口座とフリーランス口座の残高とからフリーランス
従業員の順位を決定する順位決定部と、順位決定部により決定されたフリーランス
従業員の順位に基づいて、予め設定されたテーブルから昇給と昇格とを決定する昇給昇格決定部と、から少なくとも構成されるので、部署等の組織の枠を超えて新たな業務を企画したり、自分が有するスキルを活かして特定の分野に縛られない多くの業務を柔軟に請け負って実行したりすることが可能になり、さらに、上司の主観的な評価を受けて活動に見合った評価を得られないという問題も解消され、企業活動の活発化や発展に繋げることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に基づき構成される人事管理システムについて、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
図1には、本発明に基づき構成された人事管理システムの一例を模式的に示している。本実施形態の人事管理システム1は、部署(部署A〜部署C)毎に割り当てられている端末手段Y1〜Y3と、本実施形態においてフリーランス
従業員であるフリーランスf1、フリーランスf2に割り当てられる端末手段Y4、Y5と、端末手段Y1〜Y5が接続される管理サーバ10と、評価部署端末20と、端末手段Y1〜Y5、評価部署端末20と、管理サーバ10とを接続する接続手段としての通信ネットワーク2とを含んでいる。なお、図では説明の便宜上、端末手段Y1〜Y5が割り当てられる対象として部署A〜C、フリーランスf1、f2のみ示しているが、本発明はこれに限定されるわけではなく、当該企業が、2部署、或いは、これより多数の部署により組織された場合、フリーランスが3人以上いる場合も含む。また、
図1では、一点鎖線を境に、左側に企業内を、右側に当該企業とは会計を異にする外部組織を示す。
【0017】
管理サーバ10は、コンピュータから構成され、高速な中央演算処理装置(CPU)、大規模な記憶手段(RAM、ROM等の主記憶装置、磁気ディスク等の補助記憶装置等)を備えたものであることが好ましいが、これに限定されるものではない。管理サーバ10には、コントロール手段、口座記憶手段等が備えられており、詳細については、後述する。
【0018】
本実施形態では、説明の便宜上端末手段Y1〜Y3を部署毎に1台ずつ配置した例を示すが、必ずしも部署毎に1台である必要はなく、フリーランスf1、f2と同じように各部署に所属する従業員1人に1台ずつ割り当てるようにしてもよい。端末手段Y1〜Y5は、パーソナルコンピュータを使用することができるが、これに限らず携帯型のタブレット型端末を使用する等、後述する業務情報を入力し、管理サーバ10に情報を送信できる機能を備えるものであれば、どのような端末を使用することもできる。
【0019】
通信ネットワーク2は、一般的に知られたインターネット回線を利用することができる。インターネット回線を利用することを想定して通信ネットワーク2を構成することで、端末手段Y1〜Y5が当該企業の外部にある状態でも管理サーバ10にアクセスして必要な情報の入力が可能になる。なお、本発明はこれに限定されず、企業内のみに限定したLAN(Local Area Netwaork)回線のみで通信ネットワーク2を構成すること、或いはインターネット回線と企業内のLANを組み合わせて構成することも可能であり、有線、無線を含め端末手段Y1〜Y5と管理サーバ10とを接続することが可能なあらゆるネットワーク手段を採用することができる。
【0020】
図に示すように、各部署A〜Cには、各部署A〜Cに所属する従業員(a1〜a12、b1〜b8、c1〜c10)が紐付けされており、被評価対象となる各部署A〜Cと従業員がグループ化されている。なお、本発明における「部署」は、複数の従業員が所属する集合体を指すものであればよく、形式や名称により限定されず、部門、部、課、係、グループ等、いかなる集合体をも含む。また、フリーランスf1、f2は、特定の部署に所属せず、特定の上長による指示によって業務を遂行する必要のない従業員を示す。
【0021】
管理サーバ10は、金銭の授受が発生することが想定される外部組織G(サプライヤー、官公庁、輸送会社、ユーザー、ライセンサー、ライセンシー等)と通信ネットワーク2を介して接続されており、外部組織Gと当該企業との業務の請負情報、及び該業務に対する支払い金額の情報が管理サーバ10で管理されるように構成されている。
【0022】
本実施形態における人事管理システム1の管理サーバ10について、
図2を用いてさらに詳細に説明する。管理サーバ10には、少なくとも、コントロール手段12と、口座記憶手段14が備えられている。該コントロール手段12は、ポイント設定部12a、ポイント交換部12b、外部支出入管理部12c、人事評価部12dにより構成される。
【0023】
外部支出入管理部12cは、外部支出管理部121と、外部収入管理部122とから構成され、人事評価部12dは、部署評価部123と、個人評価部124と、フリーランス評価部125とから構成されている。該コントロール手段12を構成するポイント設定部12a、ポイント交換部12b、外部支出入管理部12c、人事評価部12dは、コンピュータプログラムから構成される。該コンピュータプログラムは管理サーバ10のメモリに登録され、端末手段Y1〜Y5から入力された情報に基づき、割り当てられた処理を適宜実行する。また、口座記憶手段14は、磁気ディスク等の補助記憶装置により構成され、ポイント交換部12bにより管理される。
【0024】
人事評価部12dは、口座記憶手段14に記憶された各口座の残高の情報を参照しながら部署評価、個人評価、フリーランス評価を実行するものであり、人事評価部12dによって実行され得られる人事評価の情報は、管理サーバ10にアクセスする端末手段の内、人事評価を担う評価部署(例えば人事部等)の担当者がアクセスしていることが識別された評価部署端末20からのみ閲覧することができるように設定される。
【0025】
本発明の人事管理システム1は、概ね以上のように構成されており、人事管理システム1で流通するポイントがどのようにして各口座に蓄積されるのかについて、業務及びポイントの流れの例を
図3に、部署口座及び個人口座の具体的な構成例を
図4に示しながら説明する。なお、
図3、4に基づいてなされる説明では、部署A〜C、及び部署A〜Cに所属する従業員個人に関連した業務、及びポイントの流れを説明し、フリーランスf1、f2が関与するポイントの流通については省略しているが、フリーランスf1、f2については、おって説明する。
【0026】
本発明において扱われる部署、及び従業員の個人口座の一例が
図4(a)に示されている。部署Aの口座は、部署Aのポイントを管理する部署口座XAと、部署Aに紐付けされた従業員(全12名)に割り当てられ個人の業務遂行により発生するポイントを管理するための個人口座a1〜a12と、から構成されている。
【0027】
部署Bの口座は、上記した部署Aと同様に、部署Bのポイントを管理する部署口座XBと、部署Bに紐付けされた従業員(全8名)に割り当てられ個人の業務遂行により発生するポイントを管理するための個人口座b1〜b8とから構成され、部署Cの口座も上記と同様に、部署Cのポイントを管理する部署口座XCと、部署Cに紐付けされた従業員(全10名)に割り当てられ個人の業務遂行により発生するポイントを管理するための個人口座c1〜c10とから構成されている。ここで、「部署口座」とは、部署、及び所属する従業員に部署外から振り込まれたポイント、及び部署、及び所属する従業員が外部の部署、又は個人口座に振り込んだポイントを管理するための口座であり、「個人口座」とは、従業員個人が業務を依頼し、或いは請け負った業務に関連して交換されたポイントを管理するためのものである。より具体的に言えば、部署口座、又は従業員の個人口座から他の部署に所属する従業員の個人口座にポイントが振り込まれた場合は、振り込まれた従業員の個人口座にポイントが加算されると共に、該ポイントが振り込まれた従業員の個人口座が紐付けされた部署の部署口座にも同額のポイントが加算される。また、部署に所属する従業員の個人口座から他の部署に所属する従業員の個人口座にポイントが振り込まれた場合は、振り込んだ従業員の個人口座からポイントが減算されると共に、振り込んだ個人口座が紐付けされた部署の部署口座からも該ポイントが減算される。そして、部署に所属する従業員の個人口座の間、あるいは部署に所属する従業員の個人口座と部署口座との間においてポイントの交換があった場合は、当該部署の部署口座は変動しない。
【0028】
上述した各口座の残高の情報は、管理サーバ10に備えられた口座記憶手段14に記憶されるものであり、人事評価の対象となる所定の期間の期初、例えば年度の初めにおける各部署の部署口座XA、XB、XC、及び各個人口座a1〜a12、b1〜b8、c1〜c10のポイント残高はすべて0に設定される。そして、各部署A〜Cに割り当てられた端末手段Y1〜Y3によって、各部署、各従業員によって遂行される業務、該業務に応じて設定されるポイント、及び各業務が完了した旨の情報等が入力されることにより、各口座のポイント残高が変化する。実際に業務が発生してから各口座のポイント残高が増減する過程を、より具体的に説明する。
【0029】
先ず、外部組織Gに分類されるユーザーUが、当該企業の製品P(1,000万円)を購入すべく営業を担当する部署Cに発注したものとする(
図3中(ア))。本業務は、外部組織Gからの収入となる業務であるため、本件業務を割り当てられた部署Cに所属する従業員c1が、端末手段Y3から、管理サーバ10内に構成されたコントロール手段12の外部支出入管理部12cの外部収入管理部122にアクセスし、部署Cが1,000万円で製品Pを受注したこと、従業員c1に1,000,000ポイントで当該業務が割り当てられたことを入力する。
【0030】
上記製品Pは、ベースとなる製品に対してユーザーUの要求仕様に合わせたカスタマイズが必要であるため、従業員c1は、ユーザーUの要求仕様に基づくカスタマイズを、設計担当の部署Bの従業員b1に依頼する(
図3中(イ))。この際、従業員c1と、従業員b1との間で、業務に必要な負荷、時間を考慮し、当該設計に係る業務に応じたポイントが設定される。本実施形態では、当該設計業務に応じたポイントを1,000,000ポイントと設定し、請け負った従業員b1は、所属する部署の端末手段Y2から、管理サーバ10のコントロール手段12にアクセスし、ポイント設定部12aに、依頼元の部署情報、当該業務内容、それに応じたポイントを入力する。
【0031】
従業員b1は要求仕様に従いカスタマイズ設計を行い、受注した上記設計業務を完了させる。製品Pの設計図面が完成した旨を従業員c1に報告し(
図3中(ウ))、正式に受領されれば、従業員b1が遂行した業務が完了した旨の情報を、端末手段Y2からコントロール手段12にアクセスして入力する。本件業務は、部署Cから請け負った業務であるため、コントロール手段12のポイント交換部12bは、部署Cの部署口座XCから従業員b1の個人口座b1に対して1,000,000ポイントを振り込むポイント交換を実施する。なお、本実施形態では、部署口座XCから直接個人口座b1にポイントを振り込むようにしたが、これに限定されず、形式的に部署口座Cから担当している従業員である個人口座c1に1,000,000ポイントを振り込み、個人口座c1を経由して部署Bの個人口座b1に振り込むようにしてもよい。この時点では、部署B、部署Cの部署口座XB、XC、従業員b1の個人口座b1は、以下のように変化する。
【0032】
部署B:
部署口座XB=1,000,000ポイント
個人口座b1=1,000,000ポイント
部署C:
部署口座XC=−1,000,000ポイント
【0033】
補足すると、本発明の「ポイント交換部12b」の作用により、部署口座、又は従業員の個人口座から他の部署に所属する従業員の個人口座にポイントが振り込まれた場合は、振り込まれた従業員の個人口座にポイントが加算されると共に、該従業員が所属する部署の部署口座にも同ポイントが加算されるようになっている。よって、上記したケースでは部署Cの部署口座XCから他の部署Bの従業員b1の個人口座b1に1,000,000ポイントが振り込まれているため、部署口座XBにも同ポイントが加算されている。
【0034】
完成した設計図面に基づき従業員c1は、製造を担当する部署Aに製品Pの製造を依頼する。従業員b1によって作成された該設計図面は、製造を担当する部署Aに送られ、部署Aが請け負う製品Pの製造業務の負荷、製造に必要な部品代等の製造コストを考慮して8,000,000ポイントが設定され発注される(
図3中(エ))。製品Pの製造は、部署Aに所属する複数の従業員によってなされるものであり、従業員個人ではなく部署Aに発注される。部署Aでは、当該製品Pの製造を担当する担当者として従業員a1〜a4の4名を割り当て、当該製造業務に応じ1人につき500,000ポイントが設定される。そして、該担当者は、部署Aが部署Cから製品Pの製造を8,000,000ポイントで受注したこと、該製造業務を部署A内の従業員a1〜a4に割り当て、従業員a1〜a4が製造に係る業務を500,000ポイントで請け負ったことを、部署Aの端末手段Y1から管理サーバ10にアクセスし、ポイント設定部12aに入力する。なお、本実施形態では、部署Cから部署Aに対して製品Pの製造を依頼したが、例えば、設計を担当する部署Bに対して製造を含めた業務を依頼し、部署Bから部署Aに対して製品Pの製造が依頼されるようにしてもよい。
【0035】
部署Aでは、製品Pを製造するに当たり、部品p1、p2を外部のサプライヤーから購入する必要があるため、外部組織GのサプライヤーSに必要部品p1、p2を600万円で発注する(
図3中(オ))。この業務は、外部組織Gに対する支出を伴うものであるため、コントロール手段12の外部支出管理部12cの外部支出管理部121に業務内容、及び実際の支出予定の金額が登録される。なお、説明の都合上、発注する部品をp1、p2のみで記載したが、実際は複数のサプライヤーに対してより多数の部品が発注されることが想定される。
【0036】
サプライヤーSに発注していた部品p1、p2が部署Aに納品されると(
図3中(カ))、部署Aからは、部品p1、p2に応じた金額600万円がサプライヤーSに支払われる。端末手段Y1から、部品p1、p2が納品され部品p1、p2の代金が支払われた旨の情報がコントロール手段12に入力されると、外部支出管理部121が実行されることにより、口座記憶手段14のポイントを管理するポイント交換部12bに該情報が伝達され、部署Aの部署口座XAから当該代金に相当するポイント=6,000,000ポイントが差し引かれる。この時点では、部署A〜Cの部署口座XA、XB、XC、及び従業員の個人口座b1の残高は、以下のようになる。
【0037】
部署A:
部署口座XA=−6,000,000ポイント
部署B:
部署口座XB=1,000,000ポイント
個人口座b1=1,000,000ポイント
部署C:
部署口座XC=−1,000,000ポイント
【0038】
部署Aにおいて製品Pの製造を担当する従業員a1〜a4は、割り当てられた当該業務を遂行し、製品Pを組み立てて完成させ、ユーザーUとの窓口となる部署Cに納品する(
図3中(キ))。なお、部署A、部署Cは同じ企業内の部署であることから、当該「納品」は、必ずしも製品Pを物理的に部署Cに移動させることを意味せず、製品Pを部署A内に、或いは、当該企業内の所定の完成品置場に保管し、製品Pが完成した旨の報告が部署Cになされることでもよい。そして、製品Pが部署Cに納品された後、製造を担当した部署Aの端末手段Y1から、製品Pの製造業務が完了した旨をコントロール手段12に入力する。これにより、ポイント設定部12aに設定されていたポイントに基づいて、部署Cの部署口座XCから部署Aの部署口座XAに8,000,000ポイントが振り込まれ、それと同時に部署口座XAから部署Aに所属する製造を担当した従業員a1〜a4の個人口座a1〜a4のそれぞれに500,000ポイントが振り込まれる。ここで、本発明に基づき構成されたコントロール手段12は、部署口座から当該部署に所属する従業員にポイントを振り込んだ場合は、部署口座XAの口座を変動させないようにしている。これにより、各口座の残高は以下のようになる。
【0039】
部署A:
部署口座XA=2,000,000ポイント
個人口座a1=500,000ポイント
個人口座a2=500,000ポイント
個人口座a3=500,000ポイント
個人口座a4=500,000ポイント
部署B:
部署口座XB=1,000,000ポイント
個人口座b1=1,000,000ポイント
部署C:
部署口座XC=−9,000,000ポイント
個人口座c1=−9,000,000ポイント
【0040】
上記の口座残高の変化について補足すると、部署Cの部署口座XCから部署Aに振り込まれた8,000,000ポイントは、部署Aの部署口座XAに振り込まれ、該部署口座XAの残高が−6,000,000ポイントから2,000,000ポイントとなる。そして、部署口座XAから、製品Pの製造を担当した従業員a1〜a4の各個人口座a1〜a4に500,000ポイントが振り込まれる。ここで、上述したように、同じ部署内におけるポイントの交換では部署口座を変動させないようにしているので、部署Aの部署口座XAは2,000,000ポイントのままで変化はしない。
【0041】
部署Cは、製品Pの完成を受け、当該製品Pを外部のユーザーUに納品する(
図3中(ク))。製品Pを受領したユーザーUは、製品Pの代金として1,000万円を当該企業に支払う。この、納品完了、支払完了情報を従業員c1が端末手段Y3から入力する。ユーザーUから支払われた代金1,000万円は、外部組織Gから支払われる現実の金銭であり、
図3に示す外部収入管理部122が介在していることにより、ユーザーUから1,000万円の収入があった旨の情報がポイント交換部12bに送られ、代金1,000万円に相当する10,000,000ポイントが部署Cの部署口座XCに振り込まれる。それと同時に当該業務が完了したことにより、部署口座XCから、部署Cにおいて当該業務を担当した従業員c1の個人口座c1に1,000,000ポイント振り込まれる。以上で、製品PがユーザーUから発注され、企業内にて各部署が連携して最終的に製品PがユーザーUに納入されるまでの業務が遂行されたことになる。これにより、各口座の残高は以下のようになる。
【0042】
部署A:
部署口座XA=2,000,000ポイント
個人口座a1=500,000ポイント
個人口座a2=500,000ポイント
個人口座a3=500,000ポイント
個人口座a4=500,000ポイント
部署B:
部署口座XB=1,000,000ポイント
個人口座b1=1,000,000ポイント
部署C:
部署口座XC=1,000,000ポイント
個人口座c1=1,000,000ポイント
【0043】
なお、上述したポイントの振り込み、交換等は、単なる一例にすぎず、業務に伴ってポイントが振り込まれる際の振り込み先、ポイント額等、ポイント交換の時期は適宜部署、従業員間において調整される。例えば、上述した実施例では、製品Pのカスタマイズ設計を、部署Bの従業員b1に直接依頼したが、従業員b1個人ではなく、部署Bに対して業務を依頼し、適宜部署B内にて必要業務を適任者に振り分けてもらうようにしてもよく、その場合はカスタマイズ設計の対価となるポイントは部署Cの部署口座XCから部署Bの部署口座XBに一旦振り込まれ、部署口座XBから個人口座b1へ業務に応じたポイントが振り込まれることとなる。
【0044】
上述した実施形態においては、業務完了までの過程で、各口座の残高が負の値(マイナス)になることがある。よって、この途中の段階で評価を行う場合、各従業員が業務を問題なく遂行しているにも係わらず、口座の残高に基づいて人事評価を実施すると、評価の結果において不公平が生じる場合が想定される。これを防止すべく、業務発生から完了までの間のポイントを一時的に立て替えて振り込む、仮想の「銀行(バンク)」のような役割を担う構成をポイント交換部に備えることもできる。本実施形態でいえば、部署Cの部署口座XCから部署Bの従業員b1の個人口座b1への振り込み、製品Pを製造した部署Aの部署口座XAへのポイント振り込み、或いは、部署Aから外部組織GのサプライヤーSに対する金銭の支払いに伴うポイントの支出を、当該「銀行(バンク)」が立て替えて実施し、各業務の完了に伴いポイントが各口座に振り込まれた時点で、立て替えられていたポイント分を、当該「銀行(バンク)」に返済するようにしてもよい。そのようにすることで、順調に遅滞もなく遂行されている業務であるにも関わらず、評価のタイミングによって不当に低い評価を付けられることが防止される。
【0045】
上述したように、各部署、従業員が請け負った業務が遂行されることにより、部署口座、個人口座のポイントの残高が増減する。
図4(a)には、所定期間、例えば6ケ月間の業務を遂行することにより蓄積された口座のポイント残高が示されている。なお、
図4(a)では、全ての個人口座についての残高を示しておらず、一部省略されている。ここで、
図4(a)に示すように、部署Aの部署口座XAの残高は12,000,000ポイントであり、部署A内の各個人口座の内、最も残高が高い個人口座は個人口座a3の1,250,000ポイント、最も残高が低い個人口座は、個人口座a4の500,000ポイントであったことが理解される。
【0046】
同様に、部署Bの部署口座XBの残高は12,000,000ポイントであり、部署B内で個人口座の残高が最も高いのは、個人口座b8の1,600,000ポイント、最も低いのは個人口座b2の900,000ポイントであること、さらに、部署Cの部署口座XCの残高は13,000,000ポイントであり、部署C内の個人口座の残高が最も高いのは個人口座c2の2,500,000ポイント、最も低いのは個人口座c10の900,000ポイントであることが理解される。なお、上述したように、各口座の残高は業務を遂行するに伴い単純に増加するものではなく、業務の発注、受注を互いにし合うことで増減するものである。また、部署口座は、各部署に所属する従業員の個人口座のポイントの他に、部署口座に直接振り込まれたポイントも含んでおり、必ずしも個人口座のポイントの合算とならないことは上述した説明から明らかなとおりである。
【0047】
人事評価部12dの作用について説明する。部署評価部123は、所定の期間の部署の評価を実行すべく、所定の期間の期末日における各部署A〜Cの部署口座XA〜XCの残高を当該部署の所属人数(部署A:12名、部署B:8名、部署C:10名)で除算する。これにより、
図4(b)に示されているように、各部署の一人当たりのポイントが算出される。この数値に基づいて部署A〜Cの評価を実施する。
図4(b)の例では、最も高い評価を得るのは、部署Bであり、最も低い評価となるのは、部署Aとなる。このように、単純に部署の部署口座の残高が大きくても必ずしもその部署が高評価とはならず、一人当たりの残高が高い部署が、効率よく企業の業績に貢献したとして評価されるのである。
【0048】
これに対し、個人の評価は、個人評価部124を実行することで、個人口座のポイントの残高に基づいて実施される。
図4(a)から明らかなように、最も残高が高かった従業員は部署Cに所属する従業員c2であり、最も低かった従業員は部署Aに所属する従業員a4であった。このように、部署の評価、及び当該個人口座のポイントの残高に基づいて部署、個人の評価が実施され、各個人の昇給、昇格については、所属する部署の評価、個人の評価を総合した総合評価によって決定される。
【0049】
ここで、本発明に基づき構成される人事管理システム1においては、
図1に示されているように、特定の部署に所属しない従業員、フリーランスf1、f2の存在が許容される。フリーランスf1、f2は、担当する業務内容、指揮命令系統が特定される部署に所属していない。よって、遂行する業務内容については当該企業内で有用と認められる限り格別な制限を受けず、フリーランスf1、f2本人が、ポイントを得るための業務を企画、或いは発掘し、相手方の部署や、各従業員と、当該業務を実行する際のポイント設定を行う。よって、フリーランスf1、f2の昇給、昇格に関しては、他の従業員個人とは異なる人事評価を実施する必要があることから、
図2に示されているように、コントロール手段12内の口座記憶手段14に、フリーランスf1、f2の口座を記憶するフリーランス口座f1、f2の記憶領域が確保され、人事評価部12dには、上記した部署評価部123、個人評価部124に加え、フリーランス評価部125が備えられている。フリーランス評価部125には、フリーランス口座残高算出部、フリーランス継続判断部、順位決定部、昇給昇格決定部等が備えられており(図示は省略する。)、フリーランス評価部125によりフリーランスf1、f2の評価が独自に実施される。以下に、本実施形態におけるフリーランスf1、f2の業務遂行の例、及びフリーランスf1、f2の人事評価を行う手順について説明する。
【0050】
フリーランス口座f1、f2は、部署口座、及び各部署に紐付けられた従業員の個人口座とは異なり、単独で管理される。そして、フリーランスf1、f2は、各部署に所属する従業員とは異なり、部署の評価に影響を受けずに、専らフリーランス口座f1、f2の残高に基づいて評価される。なお、本実施形態ではデータの管理上、フリーランス口座f1、f2も、上記した部署口座と個人口座のように、フリーランスUnit口座F1、F2(部署口座XA〜XCに相当)に紐付けられた形態を採るが、各フリーランスUnitに紐付けられる従業員は、フリーランス
従業員1人に限定され、また所属する部署が存在しないため、フリーランスUnit口座F1、F2と、フリーランス口座f1、f2との間に齟齬は生じず、もっぱらフリーランス口座f1、f2で管理される。
【0051】
上述したように、フリーランスf1は、特定の部署に所属せず、上長からの命令に基づく業務を遂行しない。よって、フリーランスf1本人が、通常の部署が行わないような企画、あるいは、業務を考え、それを遂行することによって他の部署、あるいは従業員個人からポイントを得る。例えば、フリーランスf1は、当該企業に所属する従業員が有用な知識を得るための講演会を企画することができる。より具体的にいえば、管理職のマネージメント能力を向上させるような知見を有する講演者を探し出し、社内での講演会を企画する。このような講演会を企画して社内のイントラネットサイトに講演会の企画を掲載し、聴講者を募る。フリーランスf1は、講演会を実施するに際し、講演者の人選だけでなく、講演料の交渉、講演会の会場の確保、参加者が支払う参加費(例えば、10,000ポイントとする。)の設定、参加者の募集等を実施する。フリーランスf1が講演者を招く際に支払われる講演料は、フリーランスf1のフリーランス口座f1から支出されるポイントで支払われるが、実際には、
図2で示す外部支出入管理部12cを介することにより、ポイントに相当する現金が講演者に支払われる。また、講演会場の利用費用等も、企画者であるフリ―ランス口座f1から支払われる。よって、聴講者が支払うポイント額の設定は、これらの講演会を開催する全経費を考慮して算出されるものであり、これらを勘案した参加費としてのポイント額が設定されたならば、コントロール手段12のポイント設定部12aに設定される。該企画内容は、各従業員個人が使用する上記端末手段から詳細を知ることができる。当該講演会の聴講を希望する従業員、例えば個人a1は、端末手段から聴講の意思を表明することができる。個人a1が端末手段から聴講を表明し、講演会が開催されたならば、ポイント交換部12bの作用により、個人a1の個人口座a1から企画者であるフリーランスf1のフリーランス口座f1に対し、10,000ポイントが振り込まれるポイント交換が実施され、それぞれの口座のポイント残高が変化する。つまり、当該講演会を聴講した従業員が30名いれば、フリーランスf1のフリーランス口座f1に対して合計300,000ポイントが振り込まれることになる。なお、上述したように、例えば、個人a1が上記講演会に参加し、10,000ポイントを振り込んだ場合は、個人a1が紐付けられた部署口座XAからも同額のポイントが減算される。
【0052】
フリーランス
従業員が実施する業務は、上記した講演会の開催等に限定されるわけではなく、企業内にて有用とされるあらゆる企画、業務を対象とすることができる。幅広い業務スキルを有するフリーランスf2であれば、特定の部署に属さず、各種の業務アドバイザーとなることができる。例えば、フリーランスf2が高いスキルを有する特定の技術分野のアドバイスを部署Aから依頼されれば、実施するアドバイス業務の内容、及び対価としてのポイント額をポイント設定部12aにて設定してアドバイス業務を請け負う。そして、アドバイス業務が実施された後は、ポイント交換部12bの作用により、依頼した部署Aの部署口座XAからフリーランスf2のフリーランス口座f2に対して所定ポイントが振り込まれるポイント交換が実施され、それぞれの口座の残高が変化する。
【0053】
フリーランスf1、f2は、企業内において特定の部署に属さない独立した存在であるため、企業(例えば人事部、総務部等の部署口座)に対して、雇用形態を維持するための諸経費に相当するポイントがポイント設定部12aに設定され、フリーランス口座f1、f2から定期的に差し引かれる。当該諸経費には、給与等の人件費に相当するポイントや、企業内において机を使用する場合の場所代、使用する端末手段Y4、Y5の購入費、維持費等に相当するポイントが含まれる。なお、当該諸経費の内容については、これに限定されず、適宜取決め書等によって変更してもよい。
【0054】
コントロール手段12の人事評価部12dには、上述したように、フリーランスf1、f2を評価するためのフリーランス評価部125が備えられ、該フリーランス評価部125は、フリーランス口座残高算出部、フリーランス継続判断部、順位決定部、昇給昇格決定部等から構成されており(図示は省略している。)、その作用について説明する。
【0055】
フリーランス口座残高算出部は、所定の期間毎に、フリーランスf1、f2の口座の残高を算出する。より具体的には、例えば、1ケ月に一度、上記した雇用形態を維持するための諸経費がフリーランス口座f1、f2から差し引かれたタイミングで、口座記憶手段14のフリーランス口座f1、f2の残高を算出し、算出したタイミングと共にその残高を記憶する。
【0056】
フリーランス継続判断部は、フリーランス口座残高算出部によって算出され記憶されているフリーランス口座f1、f2が所定の条件を満たすか否かを判断する。該所定の条件は、企業がフリーランスf1、f2を今後もフリーランス
従業員として継続して雇用し続けるか否かを判断するための条件であり、例えば、フリーランス口座f1、f2の残高について所定の連続する3ケ月の累計で見たときに黒字になっているか否かを条件とすることができる。この場合、所定の連続する3ケ月の累計で黒字になっていれば、フリーランス
従業員としてさらに3ケ月間継続する資格を得る。仮にこの3ケ月の累計が赤字であった場合は、上述したようなフリーランス
従業員としての職務が中止され、通常の従業員と同じようにいずれかの部署に所属する従業員とならなければならず、部署に所属することを拒否するのであれば、自分の意思で企業を退職することになる。なお、上記した所定の条件において考慮される期間は3ヶ月に限定されず、企業の状況に応じて適宜設定することが可能であり、1ケ月、6ケ月、或いは1年毎であってもよい。また、上記所定の条件における条件は、必ずしも黒字であるか、赤字であるかによって判断することに限定されず、一定以上の黒字であることを条件とすることもできるし、ある程度の赤字を許容するような条件とすることも除外されない。
【0057】
フリーランス
従業員として継続可能と判断されたフリーランスf1、f2は、部署に所属する従業員と同様に、昇給、昇格の是非を判断すべく、所定の期間毎、例えば6ケ月に一度、一従業員として人事評価を受ける。ここで、所定の6ケ月の期間で該フリーランスf1、f2のフリーランス口座f1、f2に蓄積されたポイントの口座の残高が、それぞれ、1,550,000ポイント、550,000ポイントであったとする。このフリーランス口座f1、f2の残高と、各部署A〜Cに所属する一般の従業員(本実施形態では30名)の個人口座の残高とに基づき、該順位決定部によってフリーランスf1、f2を含む全従業員(本実施形態では32名)の中におけるフリーランスf1、f2の順位を決定する(
図5を参照。)。
図5から理解されるように、フリーランスf1の順位は、全従業員中3位であり、フリーランスf2の順位は31位である。当該順位から、フリーランスf1、f2が上位から何%の位置にいるか、について以下のように算出される。
フリーランスf1: 3位/32名=9.375%
フリーランスf2: 31位/32名=96.875%
【0058】
該順位決定部によりフリーランスf1、f2のそれぞれの順位が決定され、上位からの位置が特定されたならば、該位置に基づき、昇給昇格決定部によってフリーランスf1、f2の昇給、昇格が判断される。より具体的には、該順位決定部により決定された位置(%)に基づき、人事評価部12dに予め記憶された評価用のテーブル(
図6を参照。)を参照する。これによりフリーランスf1の順位の位置は9.375%であることから「5%〜15%」の範囲に、フリーランスf2は96.875%であることから「95%〜」の範囲に属し、考課ランクがそれぞれ「B」、「E」であること特定され、当該考課ランクに基づき昇給、昇格の可否が決定される。なお、本発明における「昇格」とは、企業内における従業員の能力を示す職能資格制度に基づく職能等級が上がることを示すものであり、「昇給」とは、給与規定によって定められ段階的に設定されている給与ランクが上がることを示す。また、例えば、昇給の基準は、1回の人事評価で得られる考課ランクによってその都度決定されるものとは限らず、例えば、考課ランクAであれば1回で2ランク昇給、考課ランクBであれば1ランク昇給、考課ランクCである場合は、前回の考課ランクがC−(マイナス)以上であることを条件に1ランク昇給する等、複数回に渡る考課ランクによって判断するための条件を付することもできる。これは昇格条件においても同様であるが、通常、職能資格制度における職能等級は、給与規定によって設定される給与ランクのように細かい段階に分かれていないため、昇給よりも昇格の条件は厳しいものになるのが一般的である(例えば、所定の職能等級から一つ上がる条件を考課ランクがB以上であることが3期連続することとする等)。なお、上記したフリーランス
従業員の評価は、部署評価、個人評価と同様に、評価部署端末20において登録された評価者のみが参照できるように設定される。
【0059】
本実施形態では、上述の人事管理システム1上において流通するポイントを、現実社会に流通する通貨(円)と同等の価値と定義して用いたが、これに限定されず、現実に流通する通貨と切り離し、企業内の仮想通貨として考案された独自のポイントとすることができる。なお、現実社会で流通する通貨と同等の数値をポイントとして流通させれば、各従業員、或いは部署が企業に対してどの程度貢献したのかが一目瞭然となる効果が得られるので好ましい。また、現実の通貨と同等のポイントを流通させることにより、業務を外部に依頼する場合と、企業内部の部署に依頼する場合とにおけるコスト判断も効率よくでき、無駄なコストを削減することにも繋がる。
【0060】
上述した本実施形態では、企業内の管理サーバ10にコントロール手段12、口座記憶手段14を配設した例を示したが、該コントロール手段12、口座記憶手段14が現実に配設される場所は特に限定されない。昨今では、災害時等における情報の喪失等を回避するため、企業の外部にサーバを分散して配置することも行われており、通信ネットワーク2を介して企業の外部に配置されたサーバに該コントロール手段12、口座記憶手段14を登録し、本発明に基づく人事管理システムを構成することができる。