(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1フィルタを介して入力端子から入力された電源電圧に応じた信号をフィルタリング処理する第2フィルタと、前記第2フィルタによりフィルタリング処理された信号に基づいて基準電圧を生成し、生成した基準電圧に応じた信号を出力端子を介して外部に出力する基準電圧生成回路と、を備えた半導体装置と、
前記半導体装置から出力された基準電圧を駆動電圧として駆動し、直列に接続された複数の電池セルを備えたバッテリから測定対象となる電池セルの電池電圧の測定を制御する制御信号を出力する制御部と、
前記複数の電池セル各々の一端の電圧と他端の電圧とが入力され、入力された電圧から前記測定対象の電池セルに応じた電圧を前記制御信号に応じて選択し、選択した電圧に応じた信号を出力するセル選択部と、
前記半導体装置から出力された基準電圧を駆動電圧として駆動し、前記セル選択部から出力された電圧に応じた信号をデジタル信号に変換して前記制御部に出力するアナログデジタル変換器と、
を備えた電池監視システム。
接続端子を介して接続可能な外部に設けられた容量素子と、内部に設けられた抵抗素子とを備え、前記抵抗素子と前記容量素子とが前記接続端子を介して接続された状態で、第1フィルタを介して入力端子から入力された電源電圧に応じた信号をフィルタリング処理する第2フィルタと、前記第2フィルタによりフィルタリング処理された信号に基づいて基準電圧を生成し、生成した基準電圧に応じた信号を出力端子を介して外部に出力する基準電圧生成回路と、を備えた半導体装置と、
前記半導体装置から出力された基準電圧を駆動電圧として駆動し、直列に接続された複数の電池セルを備えたバッテリから測定対象となる電池セルの電池電圧の測定を制御する制御信号を出力する制御部と、
前記複数の電池セル各々の一端の電圧と他端の電圧とが入力され、入力された電圧から前記測定対象の電池セルに応じた電圧を前記制御信号に応じて選択し、選択した電圧に応じた信号を出力するセル選択部と、
前記半導体装置から出力された基準電圧を駆動電圧として駆動し、前記セル選択部から出力された電圧に応じた信号をデジタル信号に変換して前記制御部に出力するアナログデジタル変換器と、
を備えた電池監視システム。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、図面を参照して、各実施形態を詳細に説明する。
【0020】
[第1実施形態]
まず、本実施形態の半導体装置の構成について説明する。
図1には、本実施形態の半導体装置10の一例の概略を表す構成図を示す。
【0021】
図1に示すように、本実施形態の半導体装置10は、端子30、基準電圧生成回路32、端子38、端子40、及びLPF(Low Pass Filter)42を備える。
【0022】
端子30には、半導体装置10の外部に設けられたLPF12を介して外部から電源電圧VDDに応じた電気信号(以下、「電源電圧VDD」という)が入力される。LPF12は、抵抗素子20及び容量素子22を備えており、電源電圧VDDに重畳されている高周波成分の電源ノイズを除去するフィルタリング処理を行う。本実施形態の端子30が本開示の入力端子の一例であり、本実施形態のLPF12が本開示の第1フィルタの一例である。
【0023】
端子30に入力された電源電圧VDDは、LPF42を介して基準電圧生成回路32に入力される。本実施形態のLPF42は、抵抗素子44及び容量素子46を備えている。本実施形態のLPF42は、LPF12を補助する機能を有しており、LPF12により電源ノイズが遮断(フィルタリング処理)された電源電圧VDDに対して、さらに電源ノイズを遮断(フィルタリング処理)を行う。そのため、本実施形態のLPF42の時定数(遮断する周波数)は、LPF12と異なっている。
【0024】
本実施形態のLPF42の容量素子46は、半導体装置10の外部に設けられており、端子38を介して容量素子46と接続されている。すなわち、本実施形態の半導体装置10では、端子38を介して抵抗素子44と容量素子46とが接続されることにより、LPF42がローパスフィルタとして機能する。抵抗素子44は、一端が端子30に接続され、他端が基準電圧生成回路32及び端子38に接続されている。本実施形態のLPF42が本開示の第2フィルタの一例であり、本実施形態の端子38が本開示の接続端子の一例である。
【0025】
基準電圧生成回路32は、BGR(Bandgap reference)回路(以下、「BGR」という)34及びアンプ回路(以下、「AMP」という)36を備えている。BGR34は、端子30とLPF42を介して接続されており、入力された電源電圧VDDから基準電圧VREFを生成する。AMP36には、端子30及びBGR34が接続されており、BGR34により生成された基準電圧VREFは、AMP36により増幅される。AMP36により増幅された基準電圧VREFは、端子40を介して半導体装置10の外部に出力される。本実施形態の端子40が本開示の出力端子の一例である。
【0026】
次に、本実施形態の半導体装置10の基準電圧生成回路32におけるPSRRの周波数特性(以下、「PSRR特性」という)について説明する。
図2には、本実施形態の半導体装置10の基準電圧生成回路32におけるPSRR特性の一例を示す。なお、
図2には、本実施形態の半導体装置10のPSRR特性の他、比較のために、
図1に示した半導体装置10と異なり、LPF12を介さずに電源電圧VDDが入力され、かつLPF42を備えていない場合の半導体装置のPSRR特性を比較例Aとして示す。また、
図2には、比較のため、
図1に示した半導体装置10と異なり、LPF42を備えていない場合の半導体装置のPSRR特性を比較例Bとして示す。
【0027】
図2では、ゲインが低いほど、PSRR特性が良いことを示している。
図2に示すように、比較例Bでは、LPF12により高周波成分が除去されているため、比較例Aよりも比較例Bの方が、高周波領域におけるPSRR特性が向上している。なお、LPF12における時定数、すなわち抵抗素子20の抵抗値及び容量素子22の容量値は、電源電圧VDDに重畳するノイズの状態、及びLPF12を設けない場合のPSSR特性(比較例A参照)等に基づいて得られた値を用いることができ、また、これらの値は、実験的に得ておくことができる。
【0028】
一方、
図2に示すように、本実施形態と比較例Bとを比較すると、中間の周波数領域において本実施形態の半導体装置10では、PSRR特性が向上していることがわかる。なお、LPF42における時定数、すなわち抵抗素子44の抵抗値及び容量素子46の容量値は、重畳するノイズの状態、LPF42を設けない場合のPSSR特性(比較例A及び比較例B参照)、及び特性を向上させたい中間の周波数領域等に基づいて得られた値を用いることができ、また、これらの値は、実験的に得ておくことができる。
【0029】
このように、本実施形態の半導体装置10では、LPF12を介して端子30から電源電圧VDDが入力される。LPF42は、端子38を介して接続可能な外部に設けられた容量素子46と、内部に設けられた抵抗素子44とを備え、抵抗素子44と容量素子46とが端子38を介して接続された状態で、端子30を介して入力された電源電圧VDDをフィルタリング処理する。基準電圧生成回路32は、LPF42によりフィルタリング処理された信号に基づいて基準電圧VREFを生成し、生成した基準電圧VREFを端子40を介して外部に出力する。また、LPF12とLPF42とは時定数が異なる。
【0030】
本実施形態の半導体装置10によれば、電源電圧VDDが、LPF12とLPF42という2つのLPFを介して基準電圧生成回路32に入力されるため、PSRR特性を向上させることができる。
【0031】
[第2実施形態]
第1実施形態では、半導体装置10が1つの基準電圧生成回路(基準電圧生成回路32)を備える形態について説明した。これに対して、本実施形態では、半導体装置10が複数の基準電圧生成回路を備える形態について説明する。なお、本実施形態の半導体装置10は、第1実施形態の半導体装置10と同様の構成を含むため、同様の構成については詳細な説明を省略する。
【0032】
図3に、本実施形態の半導体装置10の一例の概略を表す構成図を示す。
図3に示すように本実施形態の半導体装置10は、第1実施形態の半導体装置10における基準電圧生成回路32に替わり、基準電圧生成回路32Aと基準電圧生成回路32Bとを備えている。
【0033】
端子30に入力された電源電圧VDDは、LPF42を介して第1基準電圧生成回路32A及び第2基準電圧生成回路32Bに入力される。LPF42の抵抗素子44は、BGR34A及びBGR34Bに接続されている。
【0034】
第1基準電圧生成回路32Aは、BGR34A及びAMP36Aを備えている。BGR34Aは、端子30とLPF42を介して接続されており、入力された電源電圧VDDから基準電圧VREF1を生成する。AMP36Aは、端子30及びBGR34Aに接続されており、BGR34Aにより生成された基準電圧VREF1は、AMP36Aにより増幅される。AMP36Aにより増幅された基準電圧VREF1は、端子40Aを介して半導体装置10の外部に出力される。この場合の端子40Aが本開示の第1出力端子の一例である。
【0035】
一方、第2基準電圧生成回路32Bは、BGR34B及びAMP36Bを備えている。BGR34Bは、端子30とLPF42を介して接続されており、入力された電源電圧VDDから基準電圧VREF2を生成する。AMP36Bは、端子30及びBGR34Bに接続されており、BGR34Bにより生成された基準電圧VREF2は、AMP36Bにより増幅される。AMP36Bにより増幅された基準電圧VREF2は、端子40Bを介して半導体装置10の外部に出力される。この場合の端子40Bが本開示の第2出力端子の一例である。
【0036】
本実施形態の半導体装置10では、第1基準電圧生成回路32Aと第2基準電圧生成回路32Bとは、同様の構成であり、BGR34AとBGR34B、及びAMP36AとAMP36Bとは、各々同様の構成である。また、第1基準電圧生成回路32Aと第2基準電圧生成回路32Bとは、端子30及びLPF42に対する接続関係が同様である。また、基準電圧VREF1と基準電圧VREF2とは、誤差を無視すると同様の値である。
【0037】
このように、本実施形態の半導体装置10における第1基準電圧生成回路32A及び第2基準電圧生成回路32Bの各々は、第1実施形態の半導体装置10における基準電圧生成回路32と同様である。
【0038】
従って、第1実施形態の半導体装置10と同様に、本実施形態の半導体装置10によれば、電源電圧VDDが、LPF12とLPF42という2つのLPFを介して第1基準電圧生成回路32A及び第2基準電圧生成回路32Bの各々に入力されるため、基準電圧VREF1及び基準電圧VREF2の各々において、PSRR特性を向上させることができる。
【0039】
なお、本実施形態と異なり、第1基準電圧生成回路32Aが生成する基準電圧VREF1の電圧値と、第2基準電圧生成回路32Bが生成する基準電圧VREF2の電圧値とが異なっていてもよいことは言うまでもない。この場合、第1基準電圧生成回路32A及び第2基準電圧生成回路32Bの各々は、生成する基準電圧VREF1または基準電圧VREF2の電圧値に応じたBGR34A及びAMP36A、またはBGR34B及びAMP36Bを備えていればよい。
【0040】
しかしながら、例えば、自動車分野の機能安全規格であるISO26262の規定に準拠する場合等、同様の基準電圧VREFを生成する基準電圧生成回路を複数備えていることが必要となる場合がある。このような場合、本実施形態の半導体装置10のように、基準電圧VREF1を生成する第1基準電圧生成回路32Aと、基準電圧VREF1と同様の電圧値である基準電圧VREF2を生成する第2基準電圧生成回路32Bとを備えることが好ましい。
【0041】
また、本実施形態の半導体装置10では、第1基準電圧生成回路32A及び第2基準電圧生成回路32Bという2つの基準電圧生成回路を備える場合について説明したが、半導体装置10が3つ以上の基準電圧生成回路を備えていてもよいことは言うまでもない。この場合、半導体装置10が備える基準電圧生成回路の数にかかわらず、LPF42を設ける数は1つでよい。
【0042】
[第3実施形態]
上記各実施形態では、外部から入力される電源電圧VDDに基づいて基準電圧(VREF、または基準電圧VREF1及び基準電圧VREF2)を生成する半導体装置10について説明した。これに対して本実施形態の半導体装置10では、内部で電源電圧VDDを生成する場合について説明する。なお、本実施形態の半導体装置10は、第1実施形態の半導体装置10と同様の構成を含むため、同様の構成については詳細な説明を省略する。
【0043】
図4に、本実施形態の半導体装置10の一例の概略を表す構成図を示す。
図4に示すように、本実施形態の半導体装置10では、電源電圧VDDよりも高電圧である電源電圧VCCがLPF12を介して端子30に入力される。
【0044】
また、本実施形態の半導体装置10は、端子30とLPF42との間に、高耐圧のレギュレータ回路(以下、「REG」という)50を備えている。REG50は、端子30から入力された電源電圧VCCを電源電圧VDDに変換(生成)して出力する。REG50が生成した電源電圧VDDは、LPF42に供給されるとともに、端子52を介して半導体装置10の外部に出力される。本実施形態のREG50が本開示の変換回路の一例である。
【0045】
このように、本実施形態の半導体装置10にでは、LPF42がREG50に接続されており、端子30に替わり、REG50から電源電圧VDDが入力される他は、第1実施形態の半導体装置10と同様である。
【0046】
従って、第1実施形態の半導体装置10と同様に、本実施形態の半導体装置10によれば、電源電圧VDDが、LPF12とLPF42という2つのLPFを介して基準電圧生成回路32に入力されるため、基準電圧VREFにおいて、PSRR特性を向上させることができる。
【0047】
なお、
図4に示した半導体装置10では1つ基準電圧生成回路(基準電圧生成回路32)を備える場合について説明したが、第2実施形態と同様に、複数の基準電圧生成回路を備えていてもよいことは言うまでもない。この場合の一例として、
図5には、第1基準電圧生成回路32Aと第2基準電圧生成回路32Bとを備えた場合の本実施形態の半導体装置10の一例の概略を表す構成図を示す。
図5に示した半導体装置10は、
図4に示した本実施形態の半導体装置10と、上記第2実施形態の
図3に示した半導体装置10とを組み合わせたものである。
【0048】
図5に示した半導体装置10においても、上記
図4に示した半導体装置10と同様に、電源電圧VDDが、LPF12とLPF42という2つのLPFを介して第1基準電圧生成回路32A及び第2基準電圧生成回路32Bの各々に入力されるため、基準電圧VREF1及び基準電圧VREF2の各々において、PSRR特性を向上させることができる。
【0049】
[第4実施形態]
上記各実施形態の半導体装置10は、電池セルの電池電圧を測定することにより電池電圧の監視を行う電池電圧監視システムに適用することが好ましい。特に、上述したように、自動車等に用いられる電池セルの電池電圧を監視するシステムに、上記第3実施形態において
図5として示した半導体装置10を適用することが好ましいため、本実施形態では、
図5の半導体装置10を適用した電池監視システムについて
図6を参照して説明する。
【0050】
図6に示した半導体装置10を適用した電池監視システム60は、直列に接続された複数の電池セルVを備えたバッテリ61の、電池セルV各々の電池電圧を測定する機能を有する。なお、一例として
図6に示した電池監視システム60では、バッテリ61がn個(n=2)の電池セルV(Vn、Vn−1)を備えている場合を示しているが、バッテリ61が備える電池セルVの数は特に限定されるものではない。
【0051】
電池セルVnの高電位側は端子70nに接続され、端子70nには、電池セルVnの高電位側の電圧が入力される。また、電池セルVnの低電位側、及び電池セルVn−1の低電位側は端子70n−1に接続され、端子70n−1には、電池セルVnの低電位側の電圧(電池セルVn−1の高電位側の電圧)が入力される。さらに、電池セルVn−1の低電位側は端子70n−2接続され、端子70n−2には、電池セルVn−1の低電位側の電圧が入力される。
【0052】
図6に示すように、本実施形態の電池監視システム60の端子30には、LPF12を介して、電池セルVnの高電位側の電圧が電源電圧VCCとして入力される。端子30に入力された電源電圧VCCは、REG50により電源電圧VDDに変換される。電源電圧VDDは、端子52から出力されるとともに、LPF42を介して、第1基準電圧生成回路32A及び第2基準電圧生成回路32Bに入力される。
【0053】
図6に示すように、本実施形態の電池監視システム60は、第1基準電圧生成回路32Aを備えたセル電圧測定回路62A、及び第2基準電圧生成回路32Bを備えたセル電圧測定回路62Bを備えている。
【0054】
セル電圧測定回路62Aは、電池セルVn−1及びVn各々の電池電圧を測定して測定結果を出力する。また、セル電圧測定回路62Bは、電池セルVn−1及びVn各々の電池電圧を測定して測定結果を出力する。このように、本実施形態の電池監視システム60では、各電池セルの電池電圧を測定するための測定経路を2つ備えている。
【0055】
なお、本実施形態の電池監視システム60では、外部に設けられたMCU(Microcontroller)80の制御により測定対象の電池セルVの電池電圧の測定を実行することにより、電池電圧の監視を行う。
【0056】
セル電圧測定回路62Aは、さらにセル選択スイッチ(以下、「セル選択SW」という)64A、アナログレベルシフタ66A、アナログデジタル変換器(以下、「A/D」という)68A、及び制御部69Aを備えている。また、セル電圧測定回路62Bは、さらに、セル選択SW64B、アナログレベルシフタ66B、A/D68B、及び制御部69Bを備えている。本実施形態のセル選択SW64A及びセル選択SW64Bが、本開示のセル選択部の一例である。
【0057】
このようにセル電圧測定回路62Aとセル電圧測定回路62Bとは、備えている基準電圧生成回路が第1基準電圧生成回路32Aであるか第2基準電圧生成回路32Bであるかのみが相違し、その他は同様であるため、以下では、セル電圧測定回路62Aについて構成及び動作を詳細に説明し、セル電圧測定回路62Bの構成及び動作の詳細な説明を省略する。
【0058】
本実施形態の制御部69Aは、セル電圧測定回路62Aから供給される電源電圧VDDにより駆動し、電池監視システム60のMCU80の制御に応じて、測定対象の電池電圧を測定するための制御信号を生成してセル選択SW64Aに出力する。なお、
図6では、繁雑になるのを避けるため、制御部69Aとセル選択SW64Aとを接続する信号線の記載を省略している。また、本実施形態の制御部69Aは、A/D68Aから入力された測定結果を図示を省略した通信部を介してMCU80に送信する。
【0059】
セル選択SW64Aは、端子70n−2〜70nに接続されており、端子70n−2〜70nの各々から電池セルVn、Vn−1に応じた電圧が入力される。セル選択SW64Aは、制御部69Aから入力される制御信号に応じて、セル選択SW64Aにより測定対象の電池セルVに応じた電圧を選択し、選択した電圧をアナログレベルシフタ66Bに出力する。例えば、セル選択SW64Aは、測定対象の電池セルが電池セルVnの場合、端子70nから入力される電圧と、端子70n−1から入力される電圧とを選択し、選択したこれらの電圧をアナログレベルシフタ66Aに出力する。
【0060】
アナログレベルシフタ66Aは、セル選択SW64Aから入力された電池セルVに応じた電圧の差分である差分電圧を、グランド電位を基準としたレベルで出力する。例えば、上記のように測定対象の電池セルが電池セルVnの場合、端子70nから入力される電圧と、端子70n−1から入力される電圧との差分である差分電圧をグランド電位を基準としたレベルで出力する。
【0061】
A/D68Aは、第1基準電圧生成回路32Aから供給される基準電圧VREF1を駆動電圧として駆動することにより、アナログレベルシフタ66Aから入力された差分電圧に応じたデジタル信号を生成して出力する。このデジタル信号が、測定対象の電池セルVの電池電圧の測定結果として、制御部69Bにより、図示を省略した通信部を介してMCU80に出力される。
【0062】
このように、上記各実施形態の半導体装置10を電池監視システム60に適用することによってコストの上昇や、電池監視システム60全体の回路規模の増大を抑制しつつ、PSRR特性を向上させることができる。特に、上記ISO26262の規定に準拠する場合等、同様の基準電圧VREFを生成する基準電圧生成回路32を備える場合、基準電圧生成回路32の数にかかわらずLPF42を1つ設ければよいため、コストの上昇や、電池監視システム60全体の回路規模の増大をより抑制しつつ、PSRR特性を向上させることができる。
【0063】
以上説明したように、上記各実施形態の半導体装置10では、電源電圧VDDまたは電源電圧VCCから変換された電源電圧VDDが、LPF12とLPF42という2つのLPFを介して基準電圧生成回路32に入力される。従って、上記各実施形態の半導体装置10によれば、電源電圧VDDに重畳するノイズを2段階で遮断することができるため、PSRR特性、特に中間の周波数領域のPSRR特性を向上させることができる。
【0064】
上述した
図8に示した従来技術の半導体装置100では、中間の周波数領域のPSRR特性を向上させるためには、外部に設けられた容量素子147の容量値を大きくしなくてはならなかった。一方、上記各実施形態の半導体装置10では、LPF42の時定数に応じて、PSRR特性が向上する。ここで、LPF42の容量素子46の容量値は、従来技術の半導体装置100に接続される容量素子147の容量値よりも比較的小さくてよい。そのため、上記各実施形態の半導体装置10によれば、従来技術の半導体装置100に比べて、コストを抑制するとともに、回路全体の規模が増大するのを抑制することができる。
【0065】
また、従来の半導体装置100において、複数の基準電圧生成回路を備えようとする場合、基準電圧生成回路毎に容量素子147が必要となる。そのため、コスト及び回路全体の規模のいずれも、半導体装置100が備える基準電圧生成回路の数に応じて上昇する。一方、上記第2の実施形態の
図3に示した半導体装置10や第3の実施形態の
図5に示した半導体装置10では、1つのLPF42を備えることにより、複数の基準電圧生成回路(
図3、及び
図5では、第1基準電圧生成回路32A及び第2基準電圧生成回路32Bの2つ)の各々に対してPSRR特性を向上させることができる。そのため、上記各実施形態の半導体装置10によれば、従来技術の半導体装置100に比べて、飛躍的にコストを抑制するとともに、回路全体の規模が増大するのを抑制することができる。
【0066】
また、上記各実施形態の半導体装置10では、PSRR特性を向上させるために、LPF42の時定数を大きくする場合、抵抗素子44の抵抗値及び容量素子46の容量値の少なくとも一方を大きくすればよい。そのため、上記各実施形態の半導体装置10では、抵抗素子44の抵抗値及び容量素子46の容量値のいずれを大きくするか、各々どのような値にするかは、抵抗素子44による電源電圧VDDの電圧降下や、容量素子46にかかるコスト、及び回路規模等に応じて適宜選択することができる。
【0067】
なお、一般に、上記各実施形態の半導体装置10と異なり、LPF12のみを用いてPSRR特性を向上させようとした場合、LPF12の時定数を大きくすることになる。この場合、抵抗素子20の抵抗値及び容量素子22の容量値の少なくとも一方を大きくすることになる。抵抗素子20の抵抗値を大きくした場合、電源電圧VDDの電圧降下が大きくなる。一方、容量素子22の容量値を大きくした場合、一般的に、コストが比較的上昇する。従って、LPF12のみにより、半導体装置10のPSRR特性を向上させることはあまり好ましくない場合が多い。
【0068】
これに対して上記各実施形態の半導体装置10によれば、LPF42がLPF12の補助として機能してPSRR特性を向上させるため、上述した抵抗素子20による電圧降下の問題や、容量素子22によるコストの上昇等を抑制することができる。
【0069】
なお、上記各実施形態では、LPF42の容量素子46が半導体装置10の外部に設けられており、内部に設けられた抵抗素子44と端子38を介して接続される場合について説明したが
図7に示すように、容量素子46を半導体装置10内に設けてもよい。この場合、
図7に示した半導体装置10は、上記各実施形態の半導体装置10と異なり端子38を備えておらず、端子38を介さずに抵抗素子44と容量素子46とが接続されている。
【0070】
また、その他の上記各実施の形態で説明した半導体装置10及び電池監視システム60の構成及び動作は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更可能であることはいうまでもない。