特許第6875441号(P6875441)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6875441炭化ケイ素含有結晶基板の処理方法、炭化ケイ素チップ、及び処理チャンバー
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6875441
(24)【登録日】2021年4月26日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】炭化ケイ素含有結晶基板の処理方法、炭化ケイ素チップ、及び処理チャンバー
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20210517BHJP
   H01L 21/306 20060101ALI20210517BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20210517BHJP
   C30B 29/36 20060101ALI20210517BHJP
   C30B 33/00 20060101ALI20210517BHJP
   C30B 33/12 20060101ALI20210517BHJP
   C30B 33/10 20060101ALI20210517BHJP
【FI】
   H01L21/302 102
   H01L21/306 B
   H01L21/78 S
   H01L21/78 B
   C30B29/36 A
   C30B33/00
   C30B33/12
   C30B33/10
【請求項の数】29
【外国語出願】
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2019-71272(P2019-71272)
(22)【出願日】2019年4月3日
(65)【公開番号】特開2019-186546(P2019-186546A)
(43)【公開日】2019年10月24日
【審査請求日】2019年4月10日
(31)【優先権主張番号】10 2018 107 922.2
(32)【優先日】2018年4月4日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501209070
【氏名又は名称】インフィネオン テクノロジーズ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】INFINEON TECHNOLOGIES AG
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ローズナー, ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】メナス, マルクス
(72)【発明者】
【氏名】シュトランツル, グートルーン
【審査官】 宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−068263(JP,A)
【文献】 特開2007−305646(JP,A)
【文献】 特開2005−333122(JP,A)
【文献】 特表平11−505666(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
C30B 29/36
C30B 33/00
C30B 33/10
C30B 33/12
H01L 21/301
H01L 21/306
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化ケイ素含有結晶基板の処理方法であって、
前記基板の表面を熱分解して前記炭化ケイ素含有結晶基板上にケイ素と炭素とを含有するデブリ層を生成すること;及び
前記ケイ素と炭素とを含有するデブリ層を除去すること;
を含み、
前記熱分解が前記表面に対してマイクロスパークエロージョンを行うことを含み、
前記熱分解及び前記除去が少なくとも1回繰り返される方法。
【請求項2】
前記熱分解が前記表面へエネルギー供給することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記エネルギーが約1J/cm〜10J/cm未満の範囲の強度で前記表面に供給される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記エネルギーが少なくとも1つのエネルギー供給装置を使用して前記表面に供給される、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記表面へ前記エネルギーを供給することが、前記炭化ケイ素含有結晶基板に対して少なくとも1つのエネルギー供給装置を動かすこと、又はその逆であることを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのエネルギー供給装置を前記動かすことが、前記炭化ケイ素含有結晶基板を横切って前記少なくとも1つのエネルギー供給装置を走査することとステッピングすることとの組み合わせを含み、その結果前記熱分解された表面が炭化ケイ素の熱分解されていない領域と隣接する熱分解された炭化ケイ素の1つ以上の領域を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記炭化ケイ素含有結晶基板が複数のチップを含む炭化ケイ素ウェハであり、
前記熱分解された炭化ケイ素の前記1つ以上の領域が前記複数のチップ間の所定の分離領域に位置する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1回繰り返すことが、前記熱分解及び前記除去によって前記炭化ケイ素含有結晶基板に形成される開口部が前記炭化ケイ素含有結晶基板を完全に貫通するまで前記熱分解及び前記除去を繰り返すことを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記熱分解が前記表面をレーザー光で照射することを含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記表面に対して前記マイクロスパークエロージョンを行うことが前記表面上に少なくとも1つのワイヤを配置することを含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記表面に対して前記マイクロスパークエロージョンを行うことが前記表面上に複数のワイヤを配置することを含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記複数のワイヤが格子として配置される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記炭化ケイ素含有結晶基板が複数のチップを含む炭化ケイ素ウェハであり、
前記複数のワイヤが前記複数のチップ間の所定の分離領域の上に配置される、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記ケイ素と炭素とを含有するデブリ層を前記除去することが前記デブリ層を除去することに適したエッチャントでエッチングすることを含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記エッチングがプラズマエッチング又はウェットエッチングを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記エッチャントがAr、O、及びSFを含むか、これらから構成されるか、又はこれらから本質的に構成される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記炭化ケイ素含有結晶基板が複数のチップを含む炭化ケイ素ウェハであり、前記ウェハが前記複数のチップの活性領域を含む前面及び前記前面とは反対側の裏面を有する、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記前面がキャリアに向くように前記キャリア上に前記ウェハを取り付けることであって、前記表面を前記熱分解すること及び前記ケイ素と炭素とを含有するデブリ層を前記除去することが前記ウェハの前記裏面で行われることを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記エッチャントから前記炭化ケイ素含有結晶基板の少なくとも1つの領域をマスクするように構成された前記炭化ケイ素含有結晶基板上の構造化マスク層を配置することを更に含む、請求項14〜16、並びに請求項14に従属する請求項17及び18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記構造化マスク層を前記配置することが、前記炭化ケイ素含有結晶基板上に非構造化マスク層を配置することと、レーザーを使用して前記非構造化マスク層を構造化することとを含み、
前記レーザーが前記表面の前記熱分解のために更に使用される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記裏面がキャリアに向くように前記キャリア上に前記ウェハを取り付けることであって、前記表面を前記熱分解すること及び前記ケイ素と炭素とを含有するデブリ層を前記除去することが前記ウェハの前記前面で行われることを更に含む、請求項17又は請求項17に従属する請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記表面を前記熱分解すること及び前記ケイ素と炭素とを含有するデブリ層を前記除去することが共通の処理チャンバーの中で行われる、請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記熱分解が1μm〜10μmの厚さの前記ケイ素と炭素とを含有するデブリ層を生成するように構成される、請求項1〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
処理チャンバーであって、
炭化ケイ素含有結晶基板の表面を熱分解して前記炭化ケイ素含有結晶基板上にケイ素と炭素とを含有するデブリ層を生成するように構成されたエネルギー供給装置;及び
前記ケイ素と炭素とを含有するデブリ層を除去するように構成された除去装置;
を含み、前記熱分解が前記表面に対してマイクロスパークエロージョンを行うことを含み、前記熱分解及び前記除去を少なくとも1回繰り返すように更に構成される、処理チャンバー。
【請求項25】
前記処理チャンバーが、前記熱分解と前記除去との間に前記基板が前記処理チャンバーの中にとどまるように更に構成される、請求項24に記載の処理チャンバー。
【請求項26】
前記除去装置がエッチング装置である、請求項24又は25に記載の処理チャンバー。
【請求項27】
前記エネルギー供給装置が少なくとも1つのレーザー又はマイクロスパークエロージョン装置を含む、請求項24〜26のいずれか1項に記載の処理チャンバー。
【請求項28】
前記基板を前記熱分解のための位置から前記エッチングのための位置へ、及びその逆に移動させるように構成された可動性基板支持構造体を更に含む、請求項26、又は請求項26に従属する請求項27に記載の処理チャンバー。
【請求項29】
前記可動性基板支持構造体が、前記エネルギー供給装置が前記基板を横切って走査するために、前記熱分解中に前記基板を動かすように更に構成される、請求項28に記載の処理チャンバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
様々な実施形態は、概して、炭化ケイ素含有結晶基板の処理方法、炭化ケイ素チップ、及び処理チャンバーに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、例えばSiCショットキーダイオード又はMOSFETなどの最先端の炭化ケイ素(SiC)技術の生産のための薄化及びダイシング/事前組み立てプロセスは、SiC材料の高い機械的硬度によって厳しく制限される。例えば、最先端の機械的研削/ダイシングプロセス中に研磨用の機械材料を除去することは、SiC材料に著しい機械的損傷をもたらす場合がある。SiC系ダイオードの製造において現在使用される場合がある最先端のSiCレーザーダイシングでは、典型的な16パスのドライナノ秒パルスレーザープロセスは、グラファイト及び引張応力を受けたケイ素(Si)のデブリ層を形成する場合がある。このプロセスは遅い場合があり、そのため低い処理能力を有する。更に、SiCダイの3点破壊強さが著しく低下する場合がある。例えばClFエッチングガスを利用するSiCウェハの最新技術のプラズマダイシングは、現在、1μm/分未満の低いエッチング速度によって制限されており、これは非常に長いエッチング時間につながる恐れがある。更に、最大10μm〜15μmの金属厚の厚さを有する厚いメタルハードマスクがエッチングプロセスに必要とされる場合があり、これはプロセスを非常に費用がかかるものにする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
炭化ケイ素含有結晶基板の処理方法が提供される。この方法は、基板の表面を熱分解して炭化ケイ素含有結晶基板上にケイ素と炭素とを含有するデブリ層を生成すること、及びケイ素と炭素とを含有するデブリ層を除去することを含んでいてもよく、熱分解及び除去は少なくとも1回繰り返される。
【0004】
図面の中の同様の参照符号は、通常様々な図面全体で同じ部分を指す。図面は必ずしも縮尺比通りではなく、むしろ通常は本発明の原理を説明することに重点が置かれている。以降の説明では、以下の図面を参照しつつ本発明の様々な実施形態が説明される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1A】様々な実施形態による、炭化ケイ素含有結晶基板の処理方法の視覚化を示す。
図1B】様々な実施形態による、炭化ケイ素含有結晶基板の処理方法の視覚化を示す。
図1C】様々な実施形態による、炭化ケイ素含有結晶基板の処理方法の視覚化を示す。
図2A】様々な実施形態による、炭化ケイ素含有結晶基板の処理方法の視覚化を示す。
図2B】様々な実施形態による、炭化ケイ素含有結晶基板の処理方法の視覚化を示す。
図3-1】様々な実施形態による、炭化ケイ素含有結晶基板の2つの処理方法の視覚化を示す。
図3-2】様々な実施形態による、炭化ケイ素含有結晶基板の2つの処理方法の視覚化を示す。
図4A】様々な実施形態による処理チャンバーを示す。
図4B】様々な実施形態による処理チャンバーを示す。
図5】様々な実施形態による炭化ケイ素チップを示す。
図6】様々な実施形態による炭化ケイ素含有結晶基板の処理方法のプロセスフローを示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
定義
以下の詳細な説明は、例示の目的で、本発明を実施し得る具体的な細部及び実施形態を示す添付の図面を参照する。
【0007】
用語「例示的」は、本明細書では「実施例、例、又は実例としての役割を果たすこと」を意味するために使用される。「例示的」であるとして本明細書に記載されている任意の実施形態又は設計は、他の実施形態又は設計よりも好ましい又は有利であると必ずしも解釈されるべきではない。
【0008】
側面又は表面の「上に」形成される堆積された材料に関して用いられる「上」という言葉は、本明細書では、堆積された材料が「上に直接」、例えば暗示された側面又は表面と直接接触して、形成され得ることを意味するために用いられる場合がある。側面又は表面の「上に」形成される堆積された材料に関して用いられる「上」という言葉は、本明細書では、堆積された材料が暗示された側面又は表面「の上に間接的に」形成され、暗示された側又は表面と堆積された材料との間に1つ以上の追加的な層が配置され得ることを意味するために用いられる場合がある。
【0009】
上述した研削/ダイシングに起因する機械的損傷を軽減するために、最先端の複合プロセスでは超音波により支援される機械的ダイシング及び研削が使用されており、これは超音波振動による研削/ダイシングホイールのダイヤモンド粒子の改善された自生作用のため機械的損傷が減少する場合がある。しかしながら、研削/ダイシングに起因するSiCの表面近傍の機械的損傷は約10〜15%しか減少しない。
【0010】
エッチング速度を増加させるためのウェハチャックの加熱は、プラズマダイシング中の最先端技術である。これにより、ClFエッチングプロセスのためのエッチング時間を短縮することができる。しかしながら、このプラズマダイシングプロセスのためには、SiCに関して十分な選択性を得るために厚いメタルハードマスクが依然として必要とされる。厚いメタルハードマスクは製造に非常に費用が掛かり、またプラズマダイシング後の除去が大変である。
【0011】
様々な実施形態において、レーザー支援プラズマによる薄化及びダイシングは、段階的なSiCの除去を含み、この中でSiCはプラズマエッチングプロセスの前にSi及びCへと分解される。
【0012】
様々な実施形態においては、炭化ケイ素が溶融せずに表面がケイ素及び炭素へと熱分解するように、炭化ケイ素含有結晶基板の表面にエネルギーを供給することができ、これにより、例えば3C−SiCの形成がもたらされ得る。引き続き、ケイ素及び炭素は除去することができる。ケイ素及び炭化物を除去するために適したエッチャントは、厚いメタルハードマスクが必要とされないように、炭化シリコンに対して高いエッチング選択性を有することができる。様々な実施形態においては、マスクを完全に省略することさえも可能な場合がある。熱分解と除去の2段階プロセスは、少なくとも1回、例えば2回、3回、4回、又はそれ以上の回数、例えば、表面の位置で基材の望みの厚さが得られるまで繰り返すことができる。例えば開口部の形成のために、材料を除去するための2つの異なるプロセスを交互に行うことは、いくつかの点でシリコンに開口部を形成するために使用される公知のボッシュプロセスと同様の場合がある。
【0013】
炭化ケイ素基板は、多結晶又は単結晶の炭化ケイ素の(円形又は多角形、特には六角形の)円板、特に炭化ケイ素ウェハ、及び/又は(例えば円形又は多角形、特に六角形のベースの)プリズム形の炭化ケイ素インゴット(ブールとも呼ばれる)であってもよい。以降では既にデバイス構造を含んでいてもよい炭化ケイ素基板と関連して方法が説明される場合があるものの、この方法はデバイス構造を含まない炭化ケイ素インゴットを薄化する及び/又は研磨する及び/又はダイシングするためにも使用することができる。
【0014】
2段階プロセスは、例えば裏面から炭化ケイ素ウェハを薄化するなど、炭化ケイ素基板を薄くするために使用することができる。2段階プロセスは、例えば表面粗さを除去することにより、炭化ケイ素基板を研磨するために使用することもできる。主面全体又は表面の一部が薄くされてもよい。この場合、望まれる結果として得られる基板の厚さに到達した時に、エッチングの後に処理を停止することができる。
【0015】
2段階プロセスは、例えば、例えばウェハなどの炭化ケイ素基板を個々のチップへとダイシングするために使用することができる。その場合、処理は、例えばチップがダイシングされるまで繰り返されてもよい。つまり、基板の個々のチップ間の表面(いわゆる切り溝領域)は、切り溝領域で基板の厚さ全体が除去されるまで、2段階プロセスによって処理されてもよい。あるいは、熱分解及び除去の2段階プロセスの後に基板の厚さのわずかな部分を残してもよく、ダイシングプロセスは、例えば、基板がほとんど除去されたチップ間の基板を破壊することによって完了してもよい。
【0016】
様々な実施形態においては、炭化ケイ素含有結晶基板の表面にエネルギーを供給するためにレーザーを使用してもよい。基板のアニールのために使用されるレーザー照射量及びレーザーパルス持続時間は、例えば4H−又は6H−SiC母材からの3C−SiCの形成が全く起こらないように最適化することができる。レーザーアニールプロセスは、熱分解によってSi及びCの表面近傍のデブリ層(例えばレーザー処理あたり1〜5μmの厚さを有する)を生成し得る。
【0017】
レーザープロセスは、例えば、基板のダイシングのために切り溝領域に、及び/又は基板を薄くするために基板全体(例えばウェハ)の裏面に行うことができる。例えば、レーザーは、平行線に沿って基板の表面の少なくとも90%にわたって走査されてもよい。隣接する線の間の距離は、少なくとも10μm(又は少なくとも50μm又は少なくとも100μm)及び最大1mm(例えば最大500μm又は最大300μm)であってもよい。
【0018】
様々な実施形態においては、このレーザーアニールプロセスに続いて、C及びSiをそれぞれ除去するためのAr/O及びSFプラズマエッチングプロセスが行われてもよい。
【0019】
引き続き、エッチングプロセスの後に第2のレーザーアニールが行われてもよく、これは薄くされたSiC表面の上に第2のデブリ層を生成し得る。この層もまた、プラズマエッチングによって除去することができる。
【0020】
様々な実施形態においては、この一連のレーザーアニール及びプラズマエッチングは、薄化のための目標厚さに達するまで、及び/又は切り溝が基板(例えばダイ分離のためのウェハ)の底面までダイシングされるまで、繰り返すことができる。
【0021】
このプロセスの組み合わせを使用すると、厚いメタルハードマスクよりも安価であるSi及びCエッチングのための従来のハードマスクを使用する(あるいは更にはハードマスクを完全になくす)こと、並びに高い薄化及びダイシングのスループットのために大幅にエッチング速度を増加させることが可能な場合がある。
【0022】
薄化/ダイシング中に機械的磨耗が全く存在しないことは、薄化及びダイシングされたSiCチップにおける機械的損傷をなくすことができ、またSiCチップの機械的破壊強さの大幅な増加をもたらすことができる。バックエンド処理では、これにより、ロバストなダイピックアップ、ダイ取り付け、及び高いu.p.h(1時間あたりの単位)のスループットでのパッケージングを可能にすることができる。
【0023】
様々な実施形態においては、エネルギーは、例えばマイクロスパークエロージョン(=マイクロ放電加工)を使用するなどのレーザーを用いる以外の方法で基板に供給されてもよい。
【0024】
様々な実施形態においては、ケイ素及び炭素の除去は、例えばウェットエッチングを使用するなどのプラズマエッチング以外の方法で行われてもよい。
【0025】
図1A図1C図2A図2B、及び図3は、様々な実施形態による炭化ケイ素含有結晶基板102の処理方法の視覚化をそれぞれ示している。
【0026】
炭化ケイ素含有結晶質基板102は、炭化ケイ素(SiC)を含むか、これから構成されているか、これから本質的に構成されていてもよく、本明細書では略して基板102と呼ばれる場合がある。基板102は、例えば、純粋な又は本質的に純粋な炭化ケイ素の塊であってもよい。基板102は、例えば、複数のチップ102Cを含んでいてもよい炭化ケイ素ウェハであってもよい(例えば図1B図2B、及び図3(右列)を参照)。したがって、特にチップ102Cが形成される基板102の領域においては、基板102は、例えばドーピング材料、メタライゼーション、絶縁層などを含んでいてもよい。基板102は、例えば、炭化ケイ素と窒化ガリウムとの組み合わせ(例えば窒化ガリウムのベース基板上に成長した炭化ケイ素)であってもよい。
【0027】
図1A図2A、及び図3(左列)は、炭化ケイ素含有結晶基板102の薄化プロセスの様々な実施形態を示し、図1B図2B、及び図3(右列)は、炭化ケイ素ウェハ102のダイシング方法の様々な実施形態を示している。
【0028】
図1A及び図2Aに示されているように、基板102は初期厚さTsを有することができ、これは、例えば約80μm〜約700μm、典型的には例えば110μm〜380μmの範囲の炭化ケイ素ウェハ102の従来の初期厚さであってもよい。
【0029】
文脈から何か別のことが意図されていることが明らかでない限り、「表面(a surface又はthe surface)」という用語(図中で102Sとして表示)は、以下で説明される2段階プロセスによって薄化される基板102の主面(の一部)を指すことが意図されている。
【0030】
基板102の薄化のためには、図1A図2A、及び図3(左列)に示されているように主面全体の上で、又は主面全体の一部の上で(図示せず、例えば基板102の端部が薄くされていないままか部分的にだけ薄くされている一方で主面の中央領域で)のいずれかで、基板102の表面102Sを熱分解することができる。熱分解は、結晶性炭化ケイ素中の共有結合が破壊されて結果としてケイ素及び炭素が形成されることを意味する場合がある。これは、例えば3C−SiCの形成をもたらし得る炭化ケイ素の溶融とは区別されるべきである。
【0031】
熱分解を達成するために、結晶性炭化ケイ素が露出している基板102の表面102Sにエネルギーを供給することができる。例えば、窒化ガリウムベースの基板を含む基板の場合、エネルギーは窒化ガリウムベースの基板とは反対側の炭化ケイ素が露出され得る表面に供給することができる。
【0032】
図1A図1B図1C、及び図3に示すように、エネルギーは少なくとも1つのレーザーによってレーザー光104として供給されてもよい。熱分解プロセスは、それぞれの図において1によって示されている。
【0033】
薄化される表面102S全体の照射は、例えば表面102Sの少なくとも一部分をレーザー光104で一度に照射しながら、基板102を横切って少なくとも1つのレーザーを走査することによって達成することができる。この場合、表面102Sを熱分解するために適したエネルギー量又は強度(以下参照)で表面102Sの各部分に供給するパターンで、レーザー光104の単一のビーム又はレーザー光104の複数のビームを走査することができる。
【0034】
様々な実施形態においては、少なくとも1つのレーザーのビームサイズを大きくし、結果として少なくとも1つのレーザーによって任意の所定の時間覆われる部分を大きくするために、ビームエキスパンダーを使用することができる。
【0035】
様々な実施形態においては、表面102S全体を同時に照射するために、(例えばビームの拡大と組み合わせて)複数のレーザーを使用することができる。その場合、基板102及び少なくとも1つのレーザーは、少なくとも熱分解中は静止していてもよい。
【0036】
様々な実施形態においては、(ビームの拡大あり又はなしで)複数のレーザーと走査との組み合わせを使用することができる。例えば、図1B及び図1Cに示されている実施形態では、基板102(例えば炭化ケイ素ウェハ102)を個々のチップ102Cへとダイシングするためのレーザー光104の3つのビームそれぞれは、個々のレーザーにより供給されてもよく、複数のレーザー(例えば3つのレーザー)は、ウェハ102のチップ102C間の切り溝領域に(例えば3つの)切り溝を形成するためにウェハ102を横切って走査されてもよい。図1B及び図1Cの実施形態における走査は、紙の面に入る方向及び紙の面から出る方向に行われてもよい。
【0037】
図1B又は図1Cの実施形態において単一のレーザーを使用する場合、レーザーは、切り溝領域の方向(例えば紙の面の中へ及び紙の面から外へ)に沿って走査されてもよく、また例えば1つの切り溝領域から次の切り溝領域へと、ウェハ102を照射することなく、又は少なくとも熱分解することなく、ステップされてもよい。
【0038】
基板102に対する少なくとも1つのレーザーの走査及び/又はステッピングは、様々な実施形態において、動作制御ユニットによって制御することができ、これは、基板102を動かすこと、少なくとも1つのレーザーを動かすこと、又はその両方を含んでいてもよい。基板102と少なくとも1つのレーザーの両方を動かす場合、動作制御ユニットは、望みの走査及び/又はステッピングパターンを得るために、基板102の動きとレーザーの動きを連動させるように構成されてもよい。
【0039】
様々な実施形態においては、本質的に点状(又は小さい円形)の形のレーザー光ビームを、高い位置決め精度と共に、本質的に望ましい方法で表面102Sを成形するために使用することができる。例えば、ハニカム構造の基板102上で熱分解を行ってもよく、本明細書に記載の2段階プロセスを基板全体にわたって継続すると、それによって六角形の主面を有するチップ102Cを形成することができる。通常、本質的に任意のそれらの主面の形状、例えば丸みを帯びた角を有する長方形、円形、楕円形、ひし形、又は星形の表面などを有するチップ102Cを形成することができる。
【0040】
基板102の薄化のみの場合も同様に、例えば六角形、円形、楕円形、ひし形、又は星形の開口部などの、任意の形状の領域を有する開口部を基板に形成することができる。
【0041】
「レーザーを動かす」は、より一般的な意味で、レーザー自体が静止していてもよい手法、及びレーザービームを動かすためにミラー及び/又はレンズなどの光学要素が動かされてもよい手法も含み得ることが理解されるべきである。
【0042】
様々な実施形態においては、図2A及び図2Bに示されているように、エネルギーはマイクロスパークエロージョン(=マイクロ放電加工)によって供給されてもよい。
【0043】
図2A及び図2Bに示されているように、装置の電極220Wを形成することができるマイクロスパークエロージョン装置の少なくとも1本のワイヤ220Wは、表面102Sに接触せずに表面102Sの上方に配置されてもよい。ワイヤ220W及び表面102S(必ずしもそうではないが、場合によっては基板102全体)は、極性液体、例えば水(図2A及び図2Bには示されていないが、例えば図4B参照)に浸漬されてもよい。
【0044】
マイクロスパークエロージョンデバイスの運転中にワイヤ220Wと基板102の表面102Sとの間にスパークが形成され、それにより表面102Sにエネルギーを供給することができる。
【0045】
様々な実施形態においては、単一のワイヤ220W(例えば図2Aに示す通り)又は複数のワイヤ(図2Bに示す通り)を表面の上に配置することができ、ワイヤ220Wは、表面102Sを熱分解するために基板102を横切って走査されてもよい。
【0046】
図1A〜1C及び図3との関係で上述した実施形態と同様に、表面102S全体の薄化は、例えば、任意の所定の時間に少なくとも1本のワイヤ220Wと表面102Sの少なくとも一部分との間にワイヤ220W当たり少なくとも1つのスパークを形成できるように、マイクロスパークエロージョン装置を作動させながら基板102を横切って少なくとも1つのワイヤ220Wを走査することによって行うことができる。その場合、少なくとも1本のワイヤ220Wは、表面102Sの熱分解に適したエネルギー量又は強度(下記参照)を表面102Sの各部分に供給するパターンで基板102を横切って走査されてもよい。
【0047】
様々な実施形態においては、少なくとも1つのワイヤ220Wは、表面102Sと平行な少なくとも1つの部分を含んでいてもよい。その場合、スパークは平行部分に沿って形成されてもよく、それによって例えば切り溝領域全体が同時に熱分解されてもよい。そのため、切り溝領域に沿ったワイヤ220Wの走査は省略されてもよい。
【0048】
複数のワイヤ220Wは、様々な実施形態においては、例えば所定の方向に沿って延びる各切り溝領域の上にワイヤ220Wが配置されるように、互いに平行に配置されてもよい。その場合、所定の方向に沿って延びる全ての切り溝領域は同時に熱分解されてもよい。例えば直交方向などの異なる方向に延びる切り溝領域の熱分解のためには、基板102を複数のワイヤに対して回転させてもよく、あるいはその逆も可能である。所定の方向に沿って延びる全ての切り溝領域を同時に熱分解する代わりに、複数の切り溝領域を同時に熱分解するための複数のワイヤ220Wの使用と、複数の更なる切り溝領域の熱分解のための更なる部分へのステッピングとの組み合わせを使用してもよい。
【0049】
様々な実施形態においては、2つの方向の切り溝領域を同時に熱分解するために、及び/又は任意的な多少の熱分解によって表面102Sを成形するために、格子形状の電極220Wが使用されてもよい。
【0050】
様々な実施形態においては、ワイヤ(電極)220Wは、平行部分なしで配置されてもよく、代わりに表面102Sに対して本質的に垂直な部分を含んでもよい。これは、それに応じて基板102を横切ってワイヤ220Wを走査することにより複雑なパターンで表面102Sを成形することを可能にすることができる。
【0051】
表面102Sに供給されるエネルギーは、約1J/cm〜10J/cm未満の範囲内、例えば約2J/cm〜約5J/cmの強度を有し得る。この量でのエネルギーの供給は、炭化ケイ素の溶融や反応が起こらないことではなく、むしろ炭化ケイ素の熱分解を確実に達成することができる。レーザーエネルギーは、連続的に、又は例えばナノ秒、ピコ秒、若しくはフェムト秒の持続時間を有するパルスで、付与することができる。
【0052】
表面102Sに供給されるエネルギーを調整するために、エネルギー供給装置及び/又は基板102及び/又はそれらの相対位置及び/又は相互作用のいくつかのパラメータを考慮する必要がある場合がある。例えば、レーザーの場合、レーザービームのエネルギー、ビーム幅、レーザー光104の波長、レーザーパルス幅、走査速度(該当する場合)、基板の吸収係数などを考慮する必要がある場合がある。例えば、マイクロスパークエロージョンの場合、電極220Wに供給される電圧、電極の形状、表面102Sまでの距離などを考慮する必要がある場合がある。
【0053】
熱分解によって形成されたケイ素及び炭素のデブリを含む(例えば、これらから構成される、又は本質的にこれらから構成される)熱分解層102Pは、様々な実施形態においては、約1μm〜約10μm、例えば約3μm〜約7μm、例えば約5μmの範囲の厚さを有し得る。
【0054】
様々な実施形態においては、図中で「2」により示されているように、熱分解に続いて、熱分解によって形成されたケイ素と炭素とを含むデブリ102Pを除去することができる。
【0055】
除去は、様々な実施形態において、ケイ素及び炭素のデブリ102Pのエッチングを含み得る。エッチングのためには、デブリ層102Pを除去するために適したエッチャントを使用することができる。
【0056】
エッチングは、例えば、プラズマエッチングプロセス又はウェットエッチングプロセス、例えば、スピンエッチングプロセスであってもよい。
【0057】
プラズマエッチングの場合、エッチャントは、例えば、Ar、O、及びSFを含むか、これらから構成されるか、これらから本質的に構成されていてもよい。
【0058】
ウェットエッチングの場合、エッチャントは、例えば、HSO、HF、HNO、及びHPOの組み合わせを例えば含むか、これらから構成されるか、これらから本質的に構成されていてもよく、これらは例えばスピンエッチングプロセスを使用して塗布されてもよい。
【0059】
表面102Sの熱分解及びそれに続くケイ素と炭素とを含有するデブリの除去は、1プロセスサイクル108、又は略してサイクルと呼ばれる場合がある。そのため、第1のサイクルは108_1、第2のサイクルは108_2などと表示される場合がある。図1A図1C図2A、及び図2Bを参照のこと。
【0060】
デブリを除去した後、基板102の主面の新しい部分を露出させることができ、それによって第2の熱分解プロセスで熱分解される新しい表面102Sを形成することができる。第2の熱分解プロセスからのケイ素と炭素とを含有するデブリ102Pは、第2の除去プロセスで除去されてもよく、それによって第2のサイクル108_2が完了する。
【0061】
様々な実施形態においては、実行されるサイクル108の数は、除去される材料の厚さに応じて調整することができる。以下の例では、1サイクルで約5μmの基板102が除去されると推定されている。例えば、約380μmの初期厚さを有するウェハ102を約110μmの厚さまで薄くする(したがって約270μm除去する)場合、およそ54サイクル必要とされるであろう。380μmの厚さを有するウェハ102のダイシングは、例えばおよそ76サイクル必要とし、約110μmの厚さを有するウェハのダイシングは、約22サイクル必要とするであろう。サイクル108当たりより多くの基板102材料が除去される場合、より少ないサイクル108が必要とされるであろう。したがって、サイクル108当たりに除去される基板102の材料が少ない場合には、より多くのサイクル108が必要とされるであろう。
【0062】
様々な実施形態においては、エネルギーが表面102Sに供給される位置を微調整することの実現性(一般的には、これはレーザーとマイクロスパークエロージョン装置の両方に当てはまる場合がある)のため、及びデブリ102Pの除去に適する可能性があるエッチャントが炭化ケイ素に対して大きなエッチング選択性を有する可能性があるため、炭化ケイ素基板102の構造化のために構造化マスク114を使用することはもはや用いられないであろう。
【0063】
しかしながら、様々な実施形態においては、例えばチップ102Cの活性領域を含み得るウェハ102をその前面側からダイシングする場合、活性領域はマスク114によって保護することができる。他の場合は、例えばチップ102Cの裏面メタライゼーションを保護すること(例えばMOSFET及びダイオードについては、(ハード)マスク114は、プラズマダイシングの前に構造化された裏面メタライゼーションの上に存在しなければならない場合がある)及び/又はより低いエッチング選択性を有し結果としてケイ素と炭素とを含有するデブリ102Pの除去中に炭化ケイ素も部分的にエッチングする可能性があるエッチャントを使用すること、を含み得る。
【0064】
そのため、様々な実施形態において、構造化マスク114を基板102の上に(例えばエッチャントにさらされ得る基板102の面上に)形成することができる。構造化マスク114は、熱分解される表面102Sが露出され得るように構造化することができる。基板102の少なくともその面上の他の領域は、構造化マスク114によって覆われていてもよい。
【0065】
様々な実施形態においては、構造化マスク114は、公知のフォトリソグラフィプロセスによって基板102上に形成することができる。様々な実施形態においては、構造化マスク114は、例えば窒化ケイ素などのマスク材料の層を基板102上に形成し、引き続きレーザー(例えば熱分解のために使用されるレーザー)を使用してマスク114を構造化することによって形成することができる。
【0066】
構造化マスクを用いる場合には、例えば図1C及び図3(右列)に示されているように、マスク114は、様々な実施形態において、薄化/ダイシングサイクル108の完了後に除去することができる。様々な実施形態においては、マスク114は、基板102上(例えばダイシング処理により形成された複数のチップ102Cのそれぞれの上)に残っていてもよい。マスク114は、例えば基板102(例えばチップ102C)の安定化のために、又はダイ取り付けプロセスのために、機能することができる。
【0067】
マスク114を除去する場合、サイクル108の完了後にマスク除去プロセス(図3、右列参照)を行うことができる。マスク除去プロセスは、当該技術分野で公知のように、例えばプラズマエッチング又はウェットエッチングを使用して行うことができる。マスク除去は、様々な実施形態においては、熱分解及び除去プロセスと同じ処理チャンバー内で行ってもよい。
【0068】
様々な実施形態においては、薄化/ダイシングされた基板102の更なる処理は、当該技術分野において公知の薄化/ダイシングされた基板102と同様であってもよい。例えば、図3(右列)に示されているように、構造化プロセスによって複数のダイシングされたチップ102Cへとダイシングされたウェハ102は、構造化中に(ガラス)キャリア110に取り付けられてもよく、また構造化後にチップキャリアテープ330に積層されてもよい。
【0069】
上述した2段階プロセスは、レーザー支援プラズマによる薄化及びダイシング方法とみなすことができる。
【0070】
プロセスは、研削後のダイシングにおける裏面「研削」のためにも薄化の代わりに使用される、研削後のレーザー支援プラズマダイシング(LAPDAG)のために使用されてもよい(「研削」という用語は、基板が実際に機械的に研削されていなくても、ここでは標準的な用語との整合性のために使用される)。例えば、研削は、図1A図2A、及び/又は図3(左列)に示されているような薄化プロセスを使用して行うことができ、その後のダイシングは、図1B図1C図2B、又は図3(右列)に示されているようなダイシングプロセスを使用して行うことができる。当然、基板102の研削を従来通りに行い、ダイシングのためだけに様々な実施形態によるプロセスを使用することも可能であり、又はその逆も可能であろう。
【0071】
様々な実施形態による2段階プロセスは、研削後プラズマダイシング(PDAG)プロセスだけでなく、SiCウェハ102の「研削前」プラズマダイシング(PDBG)のためにも適用することができる。この場合、図1C又は図3(右列)に示されているようなダイシングプロセスは、チップ102Cの活性領域を含むその前面からのウェハ102の不完全なダイシング、及びそれに続く例えば図1A図2A、及び/又は図3(左列)に示されているような様々な実施形態による薄化プロセスを使用する裏面からの薄化(「研削」)のために使用されてもよい。
【0072】
様々な実施形態においては、様々な実施形態によるプロセスを使用することの利点は、基板102の裏面のトラックを研削することを回避できることである場合がある。同様に、炭化ケイ素基板102の裏面は、(例えば引張)応力及び転位(すなわち結晶内の転位領域)がないようにすることができる。
【0073】
各サイクル108の継続時間は、熱分解の継続時間及び除去の継続時間に依存してもよい。
【0074】
熱分解の継続時間は、様々な実施形態において、走査/ステッピングの要件に依存してもよく、これは表面102S全体がある単一の位置で熱分解される静止熱分解については約1秒からの範囲であってもよく、走査及び/又はステッピングを含む複雑なパターン及び/又は広い表面102Sについては約30分以上であってもよい。
【0075】
除去プロセスの継続時間は、例えばエッチングやプロセスなどの選択された除去、選択されたエッチャント、並びに基板102及び/又はエッチャントの温度に依存してもよい。通常、ケイ素と炭素とを含有するデブリのエッチングは、最新技術による炭化ケイ素エッチングプロセスよりも約1桁速い場合がある。除去プロセスの継続時間は、例えば、約15秒から約2分の範囲であってもよい。
【0076】
様々な実施形態においては、各サイクル108の継続時間は、熱分解プロセスと除去プロセスとの間の移送時間(つまり、行われているプロセスが終了した後に、後続のプロセスのために基板102を準備するために要する時間)に更に依存してもよい。
【0077】
様々な実施形態においては、熱分解と除去の両方のプロセスを共通の処理チャンバー400内で行うことができる。様々な実施形態による例示的な処理チャンバーがそれぞれ図4A及び図4Bに示されている。移送時間は、同じ処理チャンバー400内で両方のプロセスを行うことによって最小化することができ、これはプロセス間の基板の除去をもはや用いられないものとするであろう。
【0078】
それぞれの処理チャンバー(図4Aの400、400a、及び図4Bの400、400b)は、炭化ケイ素含有結晶基板の表面を熱分解して炭化ケイ素含有結晶基板上にケイ素と炭素とを含有するデブリ層を生成するように構成されたエネルギー供給装置を含んでいてもよい。
【0079】
図4において、エネルギー供給装置は、例えば静止又は走査型マルチビームレーザーアレイなどの、少なくとも1つのレーザー438を含み、これは基板102を1つ以上のレーザービーム104で照射するように構成されていてもよい。少なくとも1つのレーザー438は、処理チャンバー400のハウジング446の外側に配置されていてもよく、レーザー光104は、図4Aに示されているように、窓448を通ってハウジング446に入ることができる。あるいは、少なくとも1つのレーザー448はハウジング446内に配置されていてもよい。
【0080】
図4Bにおいては、エネルギー供給装置は、例えば少なくとも1本のワイヤ220Wなどの少なくとも1つの電極220Wを含む放電加工(EDM)装置220を含む。EDM装置220は、例えば、少なくとも1つの電極220Wと表面102Sとの間に形成されるスパークによって基板102にエネルギーを供給し、それによって表面102Sを熱分解するように構成されていてもよい走査型マイクロEDM電極アレイの静止型であってもよい。少なくとも1つの電極220Wは、図4Bに示されているように、少なくとも表面102Sと共に、場合によっては基板102全体と共に、例えば脱イオン水などの極性液体中に配置されていてもよい。
【0081】
それぞれの処理チャンバー(図4Aの400、400a、及び図4Bの400、400b)は、ケイ素と炭素とを含有するデブリ層102Pを除去するように構成された除去装置を更に含んでいてもよい(図4A及び図4Bでは、基板は、熱分解プロセスの開始時及びデブリ除去プロセスの終了後についてそれぞれ示されており、そのためデブリ102Pは図4A及び図4Bには示されていないが、図1A〜1C、図2A図2B、及び図3を比較のこと)。
【0082】
図4では、除去装置は、エッチングイオンを含むプラズマを含むかそれから構成されるエッチャント106を基板102に向けるように構成されたプラズマエッチング装置である。プラズマエッチング装置は、例えばエッチングイオン106を供給する接地電極442とRF電源444(これは基板102に容量結合していてもよい)とを含んでいてもよい。様々な実施形態において、電源444は、処理チャンバー400aのハウジング446の外側に配置されていてもよい。あるいは、電源444は、ハウジング446の内側に配置されていてもよい。
【0083】
図4Bでは、除去装置は、液体エッチャント452を基板102に向けるように構成されたウェットエッチング装置である。ウェットエッチング装置はウェットスピンエッチング装置であってもよい。つまり、液体エッチャント452は、例えば基板102が取り付けられているウェハチャック440を回転させるなど基板102を回転させることによって、基板102から除去することができる。図4Bに示されているように、遠心力によって、液体エッチャント452はラジアル方向に除去され得る。
【0084】
様々な実施形態において、処理チャンバー400は、熱分解及び除去を少なくとも1回繰り返すように更に構成されてもよい。処理チャンバー400は、例えば、サイクル数108を測定するため並びに/又は基板102が除去される領域における基板102の初期厚さ及び/若しくはその時点での厚さを測定するための進行制御ユニット(図示せず)を使用して構成されてもよい。最終目標厚さを達成するためには、基板102を処理するために少なくとも2つのサイクル108が必要とされる場合がある(最終厚さTfはここでは示されていないが、図1A及び図2Aの薄化プロセスについて視覚化されている)。進行制御ユニットは、基板102の処理を停止する(例えば測定された厚さが最終厚さと一致したために、及び/又は所定のサイクル数が実行されたために、例えば最終厚さTfに達したと判断された場合に処理チャンバー400が更なるサイクル108を実行することを停止する)ように構成されていてもよい。
【0085】
様々な実施形態において、処理チャンバー400は、熱分解と除去との間に基板102が処理チャンバー400の中にとどまるように構成されてもよい。
【0086】
様々な実施形態において、処理チャンバー400は、基板102を熱分解のための位置からエッチングのための位置へ、及びその逆に移動させるように構成された可動性基板支持構造体440を含んでいてもよい。
【0087】
可動性基板支持構造体440は、エネルギー供給装置が基板を横切って走査するために、熱分解中に基板102を動かすように更に構成されていてもよい。
【0088】
レーザーとプラズマエッチング装置との組み合わせが図4Aに示されており、マイクロスパークエロージョン装置とウェットエッチング装置との組み合わせが図4Bに示されているものの、処理チャンバー400は、様々な実施形態において、エネルギー供給装置としてのレーザー及び除去装置としてのウェットエッチング装置を含んでいてもよいこと、あるいは様々な実施形態において、エネルギー供給装置としてのマイクロスパークエロージョン装置及び除去装置としてのプラズマエッチング装置を含んでいてもよいことが理解されるであろう。
【0089】
図5は、様々な実施形態による炭化ケイ素チップ102Cを示す。
【0090】
炭化ケイ素チップ102Cは、ウェハ102を複数の炭化ケイ素チップ102Cへとダイシングするための上述した炭化ケイ素含有結晶基板102の処理方法を使用して、炭化ケイ素ウェハ102から形成することができる。
【0091】
炭化ケイ素チップ102Cは、第1の主面102S1、反対側の第2の主面102S2、及び第1の主面102S1と第2の主面102S2とを接続する側面102Uとを含んでいてもよく、側面102Uは第1の主面102S1及び/又は第2の主面102S2と本質的に直交している。側面102Uの少なくとも一部は、第1の主面102S1から第2の主面102S2に向かう方向に起伏のある形状を有していてもよい。
【0092】
起伏形状は、基板102にダイシング切り溝を形成するために使用される、熱分解プロセス及び除去プロセスを含む、上述した2段階プロセスによって形成されてもよい。
【0093】
起伏のある側面102Uは、第1の主面102S1及び/又は第2の主面102S2に対して本質的に平行に延びる複数の突起部Pを有していてもよい。複数の突起部のうちの隣接する突起部間の距離は、約1μm〜約10μmの範囲内、例えば約3μm〜約7μmの範囲、例えば約5μmであってもよい。距離は、熱分解プロセスによって達成される熱分解層102Pの厚さに依存し得る。各サイクルにおいて厚さが本質的に一定である場合、突起部Pは規則的な距離を有してもよい。あるいは、隣接する突起部P間の距離は様々であってもよい。
【0094】
様々な実施形態において、処理パラメータが異なるサイクル間でどの程度一定に保たれるかに応じて、起伏のあるパターンは規則的(非常に一定)であっても不規則的(あまり一定でない)であってもよい。
【0095】
従来技術では、プラズマエッチングされた炭化ケイ素チップの側面は典型的には傾斜しており、ソーにより切断された炭化ケイ素チップの側面は通常少なくとも部分的に損傷を受ける一方で、熱分解と除去の交互のプロセスは、ボッシュプロセスと同様に、本質的に垂直な側面102U(すなわち第1の主面102S1及び/又は第2の主面102S2に対して本質的に直角)の形成を可能にし得る。
【0096】
チップ102Cの側面102Uは、更に、(例えば引張)応力及び多結晶構造がない場合がある。
【0097】
図6は、様々な実施形態による炭化ケイ素含有結晶基板の処理方法のプロセスフロー600を示す。
【0098】
この方法は、基板の表面を熱分解して炭化ケイ素含有結晶基板上にケイ素と炭素とを含有するデブリ層を生成すること(610中)と、ケイ素と炭素とを含有するデブリ層を除去することとを含んでいてもよく、熱分解及び除去は少なくとも1回繰り返される(620中)。
【0099】
様々な例を以降で説明する。
【0100】
例1は、炭化ケイ素含有結晶基板の処理方法である。この方法は、基板の表面を熱分解して炭化ケイ素含有結晶基板上にケイ素と炭素とを含有するデブリ層を生成すること、及びケイ素と炭素とを含有するデブリ層を除去することを含んでいてもよく、熱分解及び除去は少なくとも1回繰り返される。
【0101】
例2では、熱分解が表面へエネルギー供給することを例1の主題が任意選択的に含んでいてもよい。
【0102】
例3では、エネルギーが約1J/cm〜10J/cm未満の範囲の強度で表面に供給されることを例1又は2の主題が任意選択的に含んでいてもよい。
【0103】
例4では、エネルギーが約2J/cm〜約5J/cm未満の範囲の強度で表面に供給されることを例2又は3の主題が任意選択的に含んでいてもよい。
【0104】
例5では、エネルギーが少なくとも1つのエネルギー供給装置を使用して表面に供給されることを例2〜5のいずれかの主題が任意選択的に含んでいてもよい。
【0105】
例6では、表面へのエネルギーの供給が、炭化ケイ素含有結晶基板に対して少なくとも1つのエネルギー供給装置を動かすこと、又はその逆であることを例5の主題が任意選択的に含んでいてもよい。
【0106】
例7では、少なくとも1つのエネルギー供給装置を動かすことが、炭化ケイ素含有結晶基板を横切って少なくとも1つのエネルギー供給装置を走査し、その結果熱分解された表面が連続領域を形成することを例6の主題が任意選択的に含んでいてもよい。
【0107】
例8では、連続領域が炭化ケイ素含有結晶基板の完全な主面であることを例7の主題が任意選択的に含んでいてもよい。
【0108】
例9では、少なくとも1つのエネルギー供給装置を動かすことが、炭化ケイ素含有結晶基板を横切って少なくとも1つのエネルギー供給装置を走査することとステッピングすることとの組み合わせを含み、その結果熱分解された表面が炭化ケイ素の熱分解されていない領域と隣接する熱分解された炭化ケイ素の1つ以上の領域を含むことを例6の主題が任意選択的に含んでいてもよい。
【0109】
例10では、炭化ケイ素含有結晶基板が複数のチップを含む炭化ケイ素ウェハであること、及び熱分解された炭化ケイ素の1つ以上の領域が複数のチップ間の所定の分離領域に位置することを例9の主題が任意選択的に含んでいてもよい。
【0110】
例11では、少なくとも1回繰り返すことが、熱分解及び除去によって炭化ケイ素含有結晶基板に形成される開口部が炭化ケイ素含有結晶基板を完全に貫通するまで熱分解及び除去を繰り返すことを含むことを例1〜7、9、又は10の主題が任意選択的に含んでいてもよい。
【0111】
例12では、熱分解が表面をレーザー光で照射することを含むことを例1〜11のいずれかの主題が任意選択的に含んでいてもよい。
【0112】
例13では、エネルギー供給装置が少なくとも1つのレーザーを含むことを例5〜12のいずれかの主題が任意選択的に含んでいてもよい。
【0113】
例14では、炭化ケイ素含有結晶基板が複数のチップを含む炭化ケイ素ウェハであり、少なくとも1つのレーザーが複数のチップ間の所定の分離領域を照射するように構成されていることを例13の主題が任意選択的に含んでいてもよい。
【0114】
例15では、少なくとも1つのレーザーが、炭化ケイ素含有結晶基板を同時に熱分解するように構成された複数のレーザーを含むことを例13又は14の主題が任意選択的に含んでいてもよい。
【0115】
例16では、少なくとも1つのレーザーが複数のレーザーを含み、複数のレーザーのそれぞれが所定の分離領域の異なる分離領域を照射するように構成されていることを例14の主題が任意選択的に含んでいてもよい。
【0116】
例17では、熱分解が表面に対してマイクロスパークエロージョンを行うことを含むことを例1〜11のいずれかの主題が任意選択的に含んでいてもよい。
【0117】
例18では、表面に対してマイクロスパークエロージョンを行うことが表面上に少なくとも1つのワイヤを配置することを含むことを例17のいずれかの主題が任意選択的に含んでいてもよい。
【0118】
例19では、表面に対してマイクロスパークエロージョンを行うことが表面上に複数のワイヤを配置することを含むことを例17の主題が任意選択的に含んでいてもよい。
【0119】
例20では、複数のワイヤが互いに平行に配置されていることを例19の主題が任意選択的に含んでいてもよい。
【0120】
例21では、複数のワイヤが格子として配置されていることを例19の主題が任意選択的に含んでいてもよい。
【0121】
例22では、炭化ケイ素含有結晶基板が複数のチップを含む炭化ケイ素ウェハであり、複数のワイヤが複数のチップ間の所定の分離領域の上に配置されていることを例19〜21のいずれかの主題が任意選択的に含んでいてもよい。
【0122】
例23では、複数のワイヤが表面を同時に熱分解するように構成されていることを例19〜22のいずれかの主題が任意選択的に含んでいてもよい。
【0123】
例24では、ケイ素と炭素とを含有するデブリ層の除去がデブリ層の除去に適したエッチャントでエッチングすることを例1〜23のいずれかの主題が任意選択的に含んでいてもよい。
【0124】
例25では、エッチングがプラズマエッチング又はウェットエッチングを含むことを例24の主題が任意選択的に含んでいてもよい。
【0125】
例26では、エッチャントがAr、O、及びSFを含むか、これらから構成されるか、又はこれらから本質的に構成されることを例24又は25の主題が任意選択的に含んでいてもよい。
【0126】
例27では、エッチャントが例えばHSO、HF、HNO、及びHPOの混合物を含むか、これらから構成されるか、これらから本質的に構成されることを例24又は25の主題が任意選択的に含んでいてもよい。
【0127】
例28では、炭化ケイ素含有結晶基板が複数のチップを含む炭化ケイ素ウェハであり、ウェハが複数のチップの活性領域を含む前面及び前面とは反対側の裏面を有することを例1〜27のいずれかの主題が任意選択的に含んでいてもよい。
【0128】
例29では、前面がキャリアに向くようにキャリア上にウェハを取り付けることであって、表面の熱分解及びケイ素と炭素とを含有するデブリ層の除去がウェハの裏面で行われることを例28の主題が任意選択的に更に含んでいてもよい。
【0129】
例30では、エッチャントから炭化ケイ素含有結晶基板の少なくとも1つの領域をマスクするように構成された炭化ケイ素含有結晶基板上の構造化マスク層を配置することを例1〜29のいずれかの主題が任意選択的に更に含んでいてもよい。
【0130】
例31では、構造化マスク層を配置することが、炭化ケイ素含有結晶基板上に非構造化マスク層を配置することと、レーザーを使用して非構造化マスク層を構造化することとを含むことを例30の主題が任意選択的に含んでいてもよい。
【0131】
例32では、レーザーが表面を熱分解するために更に使用されることを例31の主題が任意選択的に含んでいてもよい。
【0132】
例33では、裏面がキャリアに向くようにキャリア上にウェハを取り付けることであって、表面の熱分解及びケイ素と炭素とを含有するデブリ層の除去がウェハの前面で行われることを含むことを例28及び30の主題が任意選択的に更に含んでいてもよい。
【0133】
例34では、表面の熱分解及びケイ素と炭素とを含有するデブリ層の除去が共通の処理チャンバーの中で行われることを例1〜33のいずれかの主題が任意選択的に含んでいてもよい。
【0134】
例35では、熱分解が1μm〜10μmの厚さのケイ素と炭素とを含有するデブリ層を生成するように構成されることを例1〜34のいずれかの主題が任意選択的に含んでいてもよい。
【0135】
例36では、熱分解が3μm〜7μmの厚さ、例えば約5μmの厚さを有するケイ素と炭素とを含有するデブリ層を生成するように構成されることを例35の主題が任意選択的に含んでいてもよい。
【0136】
例37は処理チャンバーである。処理チャンバーは、炭化ケイ素含有結晶基板の表面を熱分解して炭化ケイ素含有結晶基板上にケイ素と炭素とを含有するデブリ層を生成するように構成されたエネルギー供給装置と、ケイ素と炭素とを含有するデブリ層を除去するように構成された除去装置とを含んでいてもよく、処理チャンバーは、熱分解及び除去を少なくとも1回繰り返すように更に構成される。
【0137】
例38では、処理チャンバーが熱分解と除去との間に基板が処理チャンバーの中にとどまるように更に構成されていることを例37の主題が任意選択的に含んでいてもよい。
【0138】
例39では、除去装置がエッチング装置であることを例37又は38の主題が任意選択的に含んでいてもよい。
【0139】
例40では、エネルギー供給装置が少なくとも1つのレーザー又はマイクロスパークエロージョン装置を含むことを例37〜39のいずれかの主題が任意選択的に含んでいてもよい。
【0140】
例41では、基板を熱分解のための位置からエッチングのための位置へ、及びその逆に移動させるように構成された可動性基板支持構造体を例37〜40のいずれかの主題が任意選択的に更に含んでいてもよい。
【0141】
例42では、可動性基板支持構造体が、エネルギー供給装置が基板を横切って走査するために、熱分解中に基板を動かすように更に構成されることを例41の主題が任意選択的に含んでいてもよい。
【0142】
例43では、エネルギーの供給が可動性であり基板を横切って走査するために熱分解中に動かされるように構成されていること、又は除去装置が可動性でありエッチング中に動かされるように構成されていることを例37〜42のいずれかの主題が任意選択的に含んでいてもよい。
【0143】
例44では、エネルギーの供給が可動性であり基板を横切って走査するために熱分解中に動かされるように構成されていること、及び除去装置が可動性でありエッチング中に動かされるように構成されていることを例37〜42のいずれかの主題が任意選択的に含んでいてもよい。
【0144】
例45では、全ての可動性装置のそれぞれの動き、すなわち可動性基板支持体のみの動き、又は可動性基板支持体の動きと可動性エネルギー供給装置の動き、又は可動性基板支持体の動きと可動性除去装置の動き、又は可動性エネルギー供給装置の動きと可動性除去装置の動き、又は可動性基板支持体の動きと可動性エネルギー供給装置の動きと可動性除去装置の動きを制御するように構成された動作制御ユニットを例37〜44のいずれかの主題が任意選択的に更に含んでいてもよい。
【0145】
例46では、動作制御ユニットが可動性基板支持体の動きをエネルギー供給装置の動きと連動させるように、及び/又は可動性基板支持体の動きを除去装置の動きと連動させるように構成されていることを例45の主題が任意選択的に含んでいてもよい。
【0146】
例47は炭化ケイ素チップである。炭化ケイ素チップは、第1の主面、反対側の第2の主面、及び第1の主面と第2の主面とを接続する側面とを含んでいてもよく、側面は第1の主面及び/又は第2の主面と本質的に直交しており、側面の少なくとも一部は、第1の主面から第2の主面に向かう方向に起伏のある形状を有する。
【0147】
例48では、起伏のある側面が第1の主面及び/又は第2の主面に対して本質的に平行に延びる複数の突起部を有することを例47の主題が任意選択的に含んでいてもよい。
【0148】
例49では、複数の突起部のうちの隣接する突起部間の距離が約1μm〜約10μm、例えば約3μm〜約7μmの範囲、例えば約5μmであることを例48の主題が任意選択的に含んでいてもよい。
【0149】
例50では、各突起部とその隣接する突起部との間の距離が同じであることを例49の主題が任意選択的に含んでいてもよい。
【0150】
本発明を特定の実施形態を参照しつ具体的に示して説明してきたが、添付の請求項によって規定される本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなくその中で形態及び詳細の様々な変更を行い得ることは当業者に理解されるべきである。したがって、本発明の範囲は添付の請求項によって示され、そのため請求項と均等の意味及び範囲内にある全ての変更は包含されることが意図されている。
【符号の説明】
【0151】
102 基板
102C チップ
102P デブリ層
102S1 第1の主面
102S2 第2の主面
102U 側面
104 レーザー光
106 エッチャント
108_1 第1のサイクル
108_2 第2のサイクル
110 キャリア
114 マスク
220 EDM装置
330 チップキャリアテープ
400、400a、400b 処理チャンバー
440 可動性基板支持構造体
442 接地電極
444 RF電源
446 ハウジング
448 窓
452 液体エッチャント
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3-1】
図3-2】
図4A
図4B
図5
図6