特許第6875483号(P6875483)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ケーエルエー−テンカー コーポレイションの特許一覧

特許6875483計測標的の偏光測定及び対応する標的設計
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6875483
(24)【登録日】2021年4月26日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】計測標的の偏光測定及び対応する標的設計
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20210517BHJP
   G01J 4/04 20060101ALI20210517BHJP
   G03F 7/20 20060101ALN20210517BHJP
【FI】
   H01L21/66 J
   G01J4/04 A
   !G03F7/20 521
【請求項の数】42
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2019-186136(P2019-186136)
(22)【出願日】2019年10月9日
(62)【分割の表示】特願2016-524217(P2016-524217)の分割
【原出願日】2014年6月26日
(65)【公開番号】特開2020-74387(P2020-74387A)
(43)【公開日】2020年5月14日
【審査請求日】2019年11月8日
(31)【優先権主張番号】61/840,339
(32)【優先日】2013年6月27日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/916,018
(32)【優先日】2013年12月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アミット エラン
(72)【発明者】
【氏名】ロエブスキー バリー
(72)【発明者】
【氏名】ヒル アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】マナセン アムノン
(72)【発明者】
【氏名】アミール ヌリエル
(72)【発明者】
【氏名】レヴィンスキ ブラディミール
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルコビッチ ロイエ
【審査官】 小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0033215(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0002706(US,A1)
【文献】 特開2007−096292(JP,A)
【文献】 特表2004−508711(JP,A)
【文献】 特表2009−510770(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G01J 4/04
G03F 7/20
H01L 21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測標的要素を測定するためのシステムであって、
照明を生成する光源と、
前記光源からの前記照明を修正して選択された偏光の照明を形成するよう構成された一組の光学要素であって、前記選択された偏光の前記照明を計測標的要素に向けるよう構成され、前記計測標的要素から反射された照明を収集するよう構成された、一組の光学要素と、を備え、
前記計測標的要素は、セグメント化された標的構造とセグメント化された背景領域を含み、前記セグメント化された背景領域により、前記セグメント化された標的構造が、偏光下で前記セグメント化された背景領域に対して指定のコントラスト閾値を上回る第1のコントラストを有し、非偏光下で前記セグメント化された背景領域に対して前記指定のコントラスト閾値を下回る第2のコントラストを有し、
前記システムがさらに、
前記計測標的要素から反射された前記照明を測定するための検出器と、
少なくとも1つのコンピュータプロセッサと、を備え、
前記少なくとも1つのコンピュータプロセッサが、
前記セグメント化された標的構造と前記セグメント化された背景領域との間に第1のコントラストを生成するよう構成された第1の組の1以上の照明特徴を用いて前記計測標的要素の第1の組の測定値を取得し、
前記セグメント化された標的構造と前記セグメント化された背景領域との間に前記第1のコントラストとは異なる第2のコントラストを生成するよう構成された第2の組の1以上の照明特徴を用いて前記計測標的要素の第2の組の測定値を取得するよう構成されることを特徴とする計測標的要素を測定するためのシステム。
【請求項2】
前記少なくとも1つのコンピュータプロセッサがさらに、前記第1の組の測定値及び前記第2の組の測定値に基づいて前記計測標的要素の1以上の特徴を抽出するよう構成されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記計測標的要素の前記1以上の特徴が、光学オーバーレイ測定、線均一性測定、又は線縁部粗度測定のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第2の組の1以上の照明特徴を用いて前記計測標的要素の第2の組の測定値を取得することが、前記セグメント化された標的構造と前記セグメント化された背景領域との間のコントラストを向上させるために前記第1の組の1以上の照明特徴のうちの1以上の照明特徴を選択的に調整することを含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の組の1以上の照明特徴が偏光を含み、前記第2の組の1以上の照明特徴が、非偏光を含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1の組の1以上の照明特徴及び前記第2の組の1以上の照明特徴の少なくとも一方が、選択された偏光、選択された波長、又は選択された焦点のうちの少なくとも1つを有することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記セグメント化された標的構造が、第1のセグメント化方向及び第1のピッチを有し、前記セグメント化された背景領域が、第2のセグメント化方向及び第2のピッチを有することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記セグメント化された標的構造の1以上のセグメント化特徴及び前記セグメント化された背景領域の1以上のセグメント化特徴により、選択された偏光の光により照明された際に、前記セグメント化された標的構造と前記セグメント化された背景領域との間が選択されたコントラストレベルにされることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記セグメント化された標的構造の前記1以上のセグメント化特徴と前記セグメント化された背景領域の前記1以上のセグメント化特徴との間の差により、選択された偏光の光により照明された際に、前記セグメント化された標的構造と前記セグメント化された背景領域との間が前記選択されたコントラストレベルにされることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記セグメント化された標的構造の前記1以上のセグメント化特徴又は前記セグメント化された背景領域の前記1以上のセグメント化特徴の少なくとも一方が、セグメント化ピッチ、セグメントの限界寸法、セグメント化方向、又はセグメント化パターンのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記セグメント化された背景領域が、1以上の追加の層において前記セグメント化された標的構造内に形成され、これにより、前記セグメント化された背景領域が前記セグメント化された標的構造と重なることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記セグメント化された背景領域が前記セグメント化された標的構造から選択された距離だけ離れていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記選択された偏光が、線形偏光、円形偏光、s偏光、p偏光、又は変調偏光のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記計測標的要素から反射された前記照明からゼロ次回析パターンを除去するよう構成された干渉計をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記検出器がさらに、前記計測標的要素から反射された前記照明からの前記1以上のゼロ次回析パターンの除去の後に前記計測標的要素から反射された前記照明からの1以上の1次回析パターンを測定するよう構成されることを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
計測標的であって、
第1の層に形成された第1の計測標的要素であって、
第1のセグメント化方向及び第1のピッチを有し、第1の偏光活性を示す複数のセグメント化された標的構造と、
前記第1のセグメント化方向とは異なる第2のセグメント化方向及び前記第1のピッチとは異なる第2のピッチを有するセグメント化された背景領域であって、前記第1の偏光活性とは異なる第2の偏光活性を示し、前記セグメント化された背景領域と前記セグメント化された標的構造とが、前記第1のピッチ又は前記第2のピッチの少なくとも一方により、前記セグメント化された標的構造が、偏光下で前記セグメント化された背景領域に対して指定のコントラスト閾値を上回る第1のコントラストを有し、非偏光下で前記セグメント化された背景領域に対して前記指定のコントラスト閾値を下回る第2のコントラストを有するように形成された、セグメント化された背景領域と、
を含む第1の計測標的要素と、
第2の層に形成された第2の計測標的要素であって、複数の標的構造を有する第2の計測標的要素と、
を備え、
前記第1の計測標的要素と前記第2の計測標的要素とが少なくとも部分的に重なり、前記第1の計測標的要素の前記複数のセグメント化された標的構造と前記第2の計測標的要素の前記複数の標的構造とが重ならないことを特徴とする計測標的。
【請求項17】
前記第2の層に形成された前記第2の計測標的要素の前記複数の標的構造が、複数のセグメント化された標的構造を含むことを特徴とする請求項16に記載の計測標的。
【請求項18】
前記第2の計測標的要素の前記複数のセグメント化された標的構造が、前記第1のセグメント化方向と平行なセグメント化方向と、前記第1のピッチに相当するピッチと、を有することを特徴とする請求項17に記載の計測標的。
【請求項19】
前記第2の計測標的要素の前記複数のセグメント化された標的構造が、前記第1のセグメント化方向に垂直なセグメント化方向を有することを特徴とする請求項17に記載の計測標的。
【請求項20】
前記第2の層に形成された前記第2の計測標的要素の前記複数の標的構造が、複数のセグメント化されていない標的構造を含むことを特徴とする請求項16に記載の計測標的。
【請求項21】
前記第1のピッチが前記第2のピッチに垂直であることを特徴とする請求項16に記載の計測標的。
【請求項22】
前記複数のセグメント化された標的構造の1以上のセグメント化特徴及び前記セグメント化された背景領域の1以上のセグメント化特徴により、選択された偏光の光により照明された際に、前記複数のセグメント化された標的構造と前記セグメント化された背景領域との間が選択されたコントラストレベルにされることを特徴とする請求項16に記載の計測標的。
【請求項23】
前記選択された偏光が、線形偏光、円形偏光、s偏光、p偏光、又は変調偏光のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項22に記載の計測標的。
【請求項24】
前記複数のセグメント化された標的構造の前記1以上のセグメント化特徴又は前記セグメント化された背景領域の前記1以上のセグメント化特徴の少なくとも一方が、セグメント化ピッチ、セグメントの限界寸法、セグメント化方向、又はセグメント化パターンのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項22に記載の計測標的。
【請求項25】
前記第1の計測標的要素の前記複数のセグメント化された標的構造及び前記第1の計測標的要素の前記セグメント化された背景領域が、前記セグメント化された標的構造の各々と前記セグメント化された背景領域との間の境界により分離されていることを特徴とする請求項22に記載の計測標的。
【請求項26】
計測標的であって、
第1の層に形成された第1の計測標的要素を備え、
前記第1の計測標的要素が、
複数のセグメント化された標的構造であって、
前記計測標的の第1象限内の第1の部分組のセグメント化された標的構造であって、第1のセグメント化方向及び第1のピッチを有する第1の部分組のセグメント化された標的構造と、
前記計測標的の第2象限内の第2の部分組のセグメント化された標的構造であって、前記第1のセグメント化方向に垂直な第2のセグメント化方向を有する第2の部分組のセグメント化された標的構造と、
前記計測標的の第3象限内の第3の部分組のセグメント化された標的構造であって、前記第1のセグメント化方向と平行な第3のセグメント化方向を有する第3の部分組のセグメント化された標的構造と、
前記計測標的の第4象限内の第4の部分組のセグメント化された標的構造であって、前記第2のセグメント化方向と平行な第4のセグメント化方向を有する第4の部分組のセグメント化された標的構造と、を含む複数のセグメント化された標的構造と、
前記第1象限及び前記第3象限内において前記第1のセグメント化方向に垂直な第5のセグメント化方向を有し、前記第2象限及び前記第4象限内において前記第2のセグメント化方向に垂直な第6のセグメント化方向を有する、セグメント化された背景領域と、を含むことを特徴とする計測標的。
【請求項27】
前記第1の部分組のセグメント化された標的構造及び前記第3の部分組のセグメント化された標的構造が、前記第1のセグメント化方向及び前記第3のセグメント化方向に垂直な方向に沿って分離され、
前記第3の部分組のセグメント化された標的構造及び前記第4の部分組のセグメント化された標的構造が、前記第2のセグメント化方向及び前記第4のセグメント化方向に垂直な方向に沿って分離されていることを特徴とする請求項26に記載の計測標的。
【請求項28】
第2の層に形成された第2の計測標的要素をさらに含み、
前記第2の計測標的要素が複数の標的構造を備え、前記複数の標的構造が、
前記第5のセグメント化方向と平行な方向に沿って分離されている前記計測標的の前記第1象限内の第1の部分組の標的構造と、
前記第6のセグメント化方向と平行な方向に沿って分離されている前記計測標的の前記第2象限内の第2の部分組の標的構造と、
前記第5のセグメント化方向と平行な方向に沿って分離されている前記計測標的の前記第3象限内の第3の部分組の標的構造と、
前記第6のセグメント化方向と平行な方向に沿って分離されている前記計測標的の前記第4象限内の第4の部分組の標的構造と、を含み、
前記第1の計測標的要素と前記第2の計測標的要素とが少なくとも部分的に重なり、前記第1の計測標的要素の前記複数のセグメント化された標的構造と前記第2の計測標的要素の前記複数の標的構造とは重ならないことを特徴とする請求項26に記載の計測標的。
【請求項29】
前記複数のセグメント化された標的構造の1以上のセグメント化特徴及び前記セグメント化された背景領域の1以上のセグメント化特徴により、選択された偏光の光により照明された際に、前記複数のセグメント化された標的構造と前記セグメント化された背景領域との間が選択されたコントラストレベルにされることを特徴とする請求項26に記載の計測標的。
【請求項30】
前記選択された偏光が、線形偏光、円形偏光、s偏光、p偏光、又は変調偏光のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項29に記載の計測標的。
【請求項31】
前記複数のセグメント化された標的構造の前記1以上のセグメント化特徴又は前記セグメント化された背景領域の前記1以上のセグメント化特徴の少なくとも一方が、セグメント化ピッチ、セグメントの限界寸法、セグメント化方向、又はセグメント化パターンのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項29に記載の計測標的。
【請求項32】
前記第1の計測標的要素の前記複数のセグメント化された標的構造及び前記第1の計測標的要素の前記セグメント化された背景領域が、前記セグメント化された標的構造の各々と前記セグメント化された背景領域との間の境界により分離されていることを特徴とする請求項29に記載の計測標的。
【請求項33】
計測標的要素を測定する方法であって、
第1の組の1以上の照明特徴を含む照明によって前記計測標的要素を照明するステップであって、前記計測標的要素が、第1のセグメント化方向を有するセグメント化された標的構造と前記第1のセグメント化方向に垂直な第2のセグメント化方向を有するセグメント化された背景領域とを含み、前記セグメント化された背景領域のセグメント化ピッチ又は前記セグメント化された標的構造のセグメント化ピッチの少なくとも一方により、偏光下で指定のコントラスト閾値を上回る第1のコントラストが生じ、非偏光下で前記セグメント化された背景領域に対して前記指定のコントラスト閾値を下回る第2のコントラストが生じる、照明するステップと、
前記計測標的要素から反射された照明に基づいて前記計測標的要素の第1の組の計測値を取得するステップであって、前記照明が前記第1の組の1以上の照明特徴を含む、取得するステップと、
第2の組の1以上の照明特徴を含む照明によって前記計測標的要素を照明するステップと、
前記計測標的要素から反射された照明に基づいて前記計測標的要素の第2の組の測定値を取得するステップであって、前記照明が前記第2の組の1以上の照明特徴を含む、取得するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項34】
前記第1の組の測定値及び前記第2の組の測定値に基づいて前記計測標的要素の1以上の特徴を抽出するステップをさらに含むことを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記計測標的要素の前記1以上の特徴が、光学オーバーレイ測定、線均一性測定、又は線縁部粗度測定のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記計測標的要素の第2の組の測定値を取得するステップが、前記セグメント化された標的構造と前記セグメント化された背景領域との間のコントラストを向上させるために前記第1の組の1以上の照明特徴のうちの1以上の照明特徴を選択的に調整することを含むことを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記第1の組の1以上の照明特徴が偏光を含み、前記第2の組の1以上の照明特徴が非偏光を含むことを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項38】
前記セグメント化された標的構造の1以上のセグメント化特徴及び前記セグメント化された背景領域の1以上のセグメント化特徴により、選択された偏光の光により照明された際に、前記セグメント化された標的構造と前記セグメント化された背景領域との間が選択されたコントラストレベルにされることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項39】
前記セグメント化された標的構造の前記1以上のセグメント化特徴と前記セグメント化された背景領域の前記1以上のセグメント化特徴との間の差により、選択された偏光の光により照明された際に、前記セグメント化された標的構造と前記セグメント化された背景領域との間が前記選択されたコントラストレベルにされることを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記セグメント化された標的構造の前記1以上のセグメント化特徴又は前記セグメント化された背景領域の前記1以上のセグメント化特徴の少なくとも一方が、セグメント化ピッチ、セグメントの限界寸法、セグメント化方向、又はセグメント化パターンのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項41】
第1の組の1以上の照明特徴を含む照明によって前記計測標的要素を照明するステップが、線形偏光、円形偏光、s偏光、p偏光、又は変調偏光のうちの少なくとも1つである照明によって前記計測標的要素を照明することを含むことを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項42】
前記計測標的要素から反射された前記照明から1以上のゼロ次回析パターンを除去するステップをさらに含むことを特徴とする請求項38に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2013年6月27日に出願された米国仮特許出願第61/840,339号、及び2013年12月13日に出願された同第61/916,018号の利益を主張するものであり、それらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、計測の分野に関し、より具体的には、計測標的に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の考察
計測標的は、ウエハ製造ステップの質を示し、ウエハ上の構造の設計と実装との間の対応を定量化するパラメータの測定を可能にするように設計される。特定の構造としての計測標的は、デバイスの類似性及び光学測定可能性に対する必要性を最適化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7,528,941号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体製造設計規則への標的の整合性は、標的の正確な製造に寄与するが、標的の光学測定可能性を低減する場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、標的構造を、偏光下でその背景に対して指定のコントラスト閾値を上回る高コントラストを有する一方で、非偏光下でその背景に対して該指定のコントラスト閾値を下回る低コントラストを有するように設計することを含む、方法を提供する。
【0007】
本発明のこれらの、追加の、及び/又は他の態様及び/又は利点が後続の詳細な説明に記載され、これらは恐らく詳細な説明から推察可能、かつ/又は本発明の実践によって学習可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明の実施形態をより良く理解するために、かつ、それがどのように実行に移され得るかを示すために、純粋に例として添付の図面がこれから参照され、この図面において、同様の番号は、全体を通して対応する要素又は部分を指定する。
【0009】
添付の図面は以下の通りである。
【0010】
図1A】先行技術による標的要素の高レベル概略図である。
図1B】先行技術による標的要素の高レベル概略図である。
図2】本発明のいくつかの実施形態による、計測標的要素の一部である、標的構造及びその背景の高レベル概略図である。
図3A】本発明のいくつかの実施形態による、偏光照明下でコントラストを有するように設計された標的の高レベル概略図である。
図3B】本発明のいくつかの実施形態による、偏光照明下でコントラストを有するように設計された標的の高レベル概略図である。
図3C】本発明のいくつかの実施形態による、偏光照明下でコントラストを有するように設計された標的の高レベル概略図である。
図4A】本発明のいくつかの実施形態による、標的におけるセグメント化修正の高レベル概略図である。
図4B】本発明のいくつかの実施形態による、標的におけるセグメント化修正の高レベル概略図である。
図4C】本発明のいくつかの実施形態による、偏光及び非偏光下での連続的な背景上及びセグメント化された背景上のセグメント化された標的構造の測定のシミュレーション結果の概略図であり、前者のはるかに良好なコントラストを示す。
図5A】本発明のいくつかの実施形態による、偏光による測定を利用することによってコントラストを維持するプロセス適合性標的設計の高レベル概略図である。
図5B】本発明のいくつかの実施形態による、偏光による測定を利用することによってコントラストを維持するプロセス適合性標的設計の高レベル概略図である。
図5C】本発明のいくつかの実施形態による、偏光による測定を利用することによってコントラストを維持するプロセス適合性標的設計の高レベル概略図である。
図5D】本発明のいくつかの実施形態による、偏光による測定を利用することによってコントラストを維持するプロセス適合性標的設計の高レベル概略図である。
図5D-1】本発明のいくつかの実施形態による、偏光による測定を利用することによってコントラストを維持するプロセス適合性標的設計の高レベル概略図である。
図5D-2】本発明のいくつかの実施形態による、偏光による測定を利用することによってコントラストを維持するプロセス適合性標的設計の高レベル概略図である。
図5E】本発明のいくつかの実施形態による、偏光による測定を利用することによってコントラストを維持するプロセス適合性標的設計の高レベル概略図である。
図5F】本発明のいくつかの実施形態による、偏光による測定を利用することによってコントラストを維持するプロセス適合性標的設計の高レベル概略図である。
図6A】本発明のいくつかの実施形態による、光学照明及び測定システムの高レベル概略図である。
図6B】本発明のいくつかの実施形態による、光学照明及び測定システムの高レベル概略図である。
図6C】本発明のいくつかの実施形態による、光学照明及び測定システムの高レベル概略図である。
図6D】本発明のいくつかの実施形態による、光学照明及び測定システムの高レベル概略図である。
図6E】本発明のいくつかの実施形態による、光学照明及び測定システムの高レベル概略図である。
図6F】本発明のいくつかの実施形態による、光学照明及び測定システムの高レベル概略図である。
図6G】本発明のいくつかの実施形態による、光学照明及び測定システムの高レベル概略図である。
図6H】本発明のいくつかの実施形態による、光学照明及び測定システムの高レベル概略図である。
図6I】本発明のいくつかの実施形態による、光学照明及び測定システムの高レベル概略図である。
図6J】本発明のいくつかの実施形態による、光学照明及び測定システムの高レベル概略図である。
図6K】本発明のいくつかの実施形態による、光学照明及び測定システムの高レベル概略図である。
図6L】本発明のいくつかの実施形態による、光学照明及び測定システムの高レベル概略図である。
図6M】本発明のいくつかの実施形態による、光学照明及び測定システムの高レベル概略図である。
図7】本発明のいくつかの実施形態による方法を示す高レベルフローチャートである。
図7-1】本発明のいくつかの実施形態による方法を示す高レベルフローチャートである。
図7-2】本発明のいくつかの実施形態による方法を示す高レベルフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
詳細な説明に先立ち、これ以降、使用されるであろう所定の用語の定義を記載することは有益であり得る。
【0012】
本願において使用される用語「計測標的」又は「標的」は、計測目的のために使用されるウエハ上に設計もしくは製造された構造として定義される。計測標的のための非限定的な例は、AIM(高度画像計測)、BiB(ボックスインボックス)、AIMid及びBLOSSOMなどの画像標的あるいはそれらの対応する変形例や代替例、並びに、SCOL(散乱計オーバーレイ)などの散乱計標的あるいはそれらの対応する変形例や代替例である。本願において、用語「標的要素」は、開示される原理に従って設計されるフル標的の一部を指すように使用される。したがって、任意の標的要素は、フル標的を設計するために即座に使用されてもよい。標的は、本願においてそれらの標的要素設計を単位として参照され、またそれらと互換的である。
【0013】
本願において使用される用語「標的構造」は、個々の標的エリア又はボックス、格子バーなどの、計測標的内の形体として定義される。標的構造は、フルであるか、又は空(ギャップ)であってもよく、またセグメント化されてもよく、すなわち、標的構造を累積的に構築する複数のより小さい形体を備えてもよい。標的及び/又は周期的構造は、標的構造を有すると称され、各「標的構造」は、その背景と区別される標的の形体である。「背景」は、(標的構造の上又は下の)同一又は異なる層上の標的構造に近接するウエハエリアである。本願において使用される用語「層」は、フォトリソグラフィープロセスにおいて、そのステップのいずれかで使用される層のいずれかとして定義される。本願において使用される用語「連続的な構造」、「空領域」、又は「フルバー」は、典型的なデバイス形体に対して大きい寸法を有する空領域又はフルバーなどの、連続的な標的構造として定義される。本説明の大部分はフル背景領域よりもむしろ空背景領域を参照しているが、類似の設計原理は、フル背景に適用可能であり、それぞれに設計される標的も、同様に開示される発明の一部であることに明確に留意されたい。
【0014】
本願において使用される用語「計測測定」又は「測定」は、計測標的から情報を抽出するために使用されるいずれかの計測測定手順として定義される。例えば、計測測定は、標的の画像化、又は標的の散乱計測定であってもよい。計測測定の非限定的な例としては、オーバーレイ測定(画像又は散乱計)、限界寸法(CD)測定、並びに、焦点及び線量測定などが挙げられる。本願において使用される用語「オーバーレイ」は、(例えば、プロセス誤差によって)製造誤差を引き起こす可能性がある非意図的な構成要素を含み、それ故に計測測定の目的である、層間の遷移として定義される。本願において使用される用語「測定方向」は、標的構造が測定される方向、例えば、周期的構造が周期的である方向を指す。例えば、周期的構造としてのグリッドの測定方向は、そのグリッドを構築する標的要素(例えば、バー又はセグメント化されたバー)に垂直である。
【0015】
図面を詳細に具体的に参照すると、詳細な説明は、例として、かつ、本発明の好適な実施形態のみの説明の検討の目的のために示され、また、本発明の原理及び概念的な態様の最も有益で容易に理解される説明であると信じられるものを提供するために提示されることが強調される。この点において、本発明の基本的な理解のために必要とされる以上に詳細に本発明の構造的な詳細を示すことは意図されておらず、図面とともに理解される説明は、本発明のいくつかの形態が、どのように実際に具現化され得るかを当業者に明白にする。
【0016】
本発明の少なくとも1つの実施形態が詳細に説明される前に、本発明が、以下の説明に記載される又は図面に図示される構成要素の構築及び配列の詳細に対するその適用において限定されないことが理解されるべきである。本発明は、種々の方法で実践される、又は実行される他の実施形態に適用可能である。また、本願で利用される用語及び専門用語は、説明のためであり、限定的であるとみなされるべきではないことが理解されるべきである。
【0017】
標的構造を、偏光下でその背景に対して指定のコントラスト閾値を上回る高コントラストを有する一方で、非偏光下でその背景に対して該指定のコントラスト閾値を下回る低コントラストを有するように設計することを含む、標的、標的要素、及び標的設計方法が提供される。該標的は、デバイス形体スケールの詳細を有し、デバイス設計規則に適合するが、偏光照明を用いて測定されるときに光学コントラストを維持し、それ故に計測標的として効果的に使用され得る。設計の変形及びそれぞれの測定光学システムも同様に提供される。現在の光学オーバーレイ標的は、デバイスよりもはるかに大きい形体を含み、その結果、より多くのプロセス損害に悩まされているが、開示される標的は、偏光特性によるコントラストを提供し、よりプロセス適合性であり、それ故にデバイスオーバーレイをより正確に表す。コントラストを改善するためのさらなる技術も、下記に説明される。
【0018】
図1A及び図1Bは、先行技術による標的要素90の高レベル概略図である。現行の標的構造92は、連続的であり、フルである(図1A)か、又は空であり(図1B)、それらの背景91に対してコヒーレント(又はインコヒーレント)照明下で光学コントラストを呈して、画像計測(例えば、オーバーレイ測定)を可能にする。例えば、図1Aは、前の層内の背景91上の現在の層内の標的構造92を概略的に示し、標的要素92及び背景91は、どちらも連続的である。標的構造92は、1つの材料から主に作製されるエリアであってよく、背景91は、異なる材料から主に作製されるエリアであってよい。別の例では、図1Bは、セグメント化された、背景91と同一の層内のギャップとしての標的構造92を概略的に示す。背景セグメント化(「ダミー化(dummification)」と称される)は、標的要素90をよりプロセス適合性にするために適用され、セグメント化は通常、分解されていない様式で、すなわち、小さいピッチ(例えば、概ね50nmの大きさ)を使用して実行される。現行の連続的な標的構造92の典型的な寸法が1μmであるため、エッチング及び研磨などの製造プロセスは、プロセスに関連する製造誤差を招く傾向があり、それは、プロセスに強く影響を受けやすくする。それに加えて、画像標的は、デバイスを正確に表さない場合があり(例えば、測定されるオーバーレイは、実際のオーバーレイとは異なる場合がある)、さらには、散乱計標的は、実際のデバイス形体に対して大きすぎる標的構造を有する場合がある(例えば、それぞれ、数百nmに対して数十nm)。画像化において、必要とされるコントラストは、標的構造92とそれらの背景91との間の反射の差である、異なるエリアの「充填率」の差から生じる。したがって、標的構造92がプロセスに関連する誤差を克服するようにセグメント化される場合、それらの背景91に対するそれらのコントラストは衰退し、標的として有用ではない。
【0019】
図2は、本発明のいくつかの実施形態による、計測標的要素100の一部である標的構造110及びその背景120の高レベル概略図である。先行技術の標的要素90とは対照的に、開示される計測標的要素100は、セグメント化された標的構造110及びセグメント化された背景120を備え、偏光照明を使用してそれらを区別し、それによって、セグメント化の導入時のコントラストの衰退の問題を克服する。有利に、開示される発明は、反射特性の差よりもむしろ、異なるエリアの偏光活性の差を使用する。開示される設計原理は、任意の設計計測標的における任意の周期的又は非周期的標的要素100に適用され得る。
【0020】
開示される計測標的は、偏光下でその背景110に対して指定のコントラスト閾値を上回る高コントラストを有する一方で、非偏光下でその背景110に対して該指定のコントラスト閾値を下回る低コントラストを有するように配列される、少なくとも標的構造120を備える。指定のコントラスト閾値は、使用される光学機器によって付与されるか、又は光学機器を標的の仕様に対して調整することによって構成されてもよい。例えば、図2に示される例では、標的要素100は、標的構造120のセグメント化線に平行な偏光130を有する線形偏光を用いて照明され得る。標的構造120と背景110との間の反射差は、偏光照明とセグメント化形体との相互作用、及び測定される信号上のそれらのそれぞれの方向の影響から生じる。例えば、セグメント化ピッチ、セグメントの限界寸法、セグメント化方向、及びセグメント化パターンは、標的構造120と背景110との間で変動してもよい。
【0021】
ある実施形態では、標的構造120は、標的要素100の背景形体に垂直な形体を有する。標的構造120と背景110とのセグメント化形体間に、他の角度が設定されてもよい。例えば、要素及び/又は背景のいずれかのセグメント化は、斜めであってもよい。ある実施形態では、異なる偏光変更パターンが、標的構造120及び背景110に適用されてもよい。照明偏光は、線形であってはならないが、任意の他の特定の特徴(例えば、円形、変調されているなど)のものであってもよく、セグメント化形体は、それぞれ、標的構造120を背景110と区別することを可能にする方法で照明偏光を変化させることにおいて差を生じさせるように適合されてもよい。
【0022】
ある実施形態では、開示される発明は、標的構造120及び背景110の両方を微細なピッチでセグメント化することを可能にし、それは、デバイス形体に似るように選択され得る。かかる標的100は、先行技術の標的よりも良好にデバイス形体を表し、それ故により正確な測定を提供し、偏光照明を使用して依然として十分に測定可能であり、それ故に先行技術の標的のようには正確さ及びコントラストを損なわない。
【0023】
ある実施形態では、標的構造120とそれらのそれぞれの背景110との間の境界領域におけるセグメント化線の端部は、偏光照明下で標的構造120と背景110との間のコントラストを制御及び強化するように製造される。ある実施形態では、標的構造120は、その背景形体から指定の範囲まで離間され得る(例えば、下記の図4Bを参照)。
【0024】
ある実施形態では、偏光下で標的構造120のその背景110に対するコントラストを維持又は強化するように、標的構造100の領域内に追加の層をさらに備える標的100が開示される。
【0025】
図3A図3Cは、本発明のいくつかの実施形態による、偏光照明下でコントラストを有するように設計された標的100の高レベル概略図である。層140、150(それぞれ、前及び現在の層、図3Aを参照)内のバーなどの標的構造から始まり、標的構造120及びそれらの背景110は、例えば、垂直にセグメント化されて、偏光照明下で照明されるときにコントラストを生じさせる。図3Bは、標的構造120及びそれらの背景110が、前の層140内でセグメント化される一方で、現在の層150内の背景110は、セグメント化されていないままである(現在の層内の標的構造120はセグメント化された状態である)例を概略的に示す。図3Cは、標的構造120及びそれらの背景110が前の層140及び現在の層150の両方においてセグメント化されている例を概略的に示す。図3Cにおいて、前の層140及び現在の層150は、層140、150が重なり合う標的要素100に加えて、別々に示される。前の層140における標的構造120のセグメント142及び前の層150における標的構造120のセグメント152は、同一又は異なる寸法及び特徴(ピッチ、端部構成など)を有してもよい。前の層140における背景110のセグメント141及び前の層150における背景110のセグメント152は、同一又は異なる寸法及び特徴(ピッチ、端部構成など)を有してもよい。さらに、異なる測定方向(例えば、x及びy)のセグメント化は、異なる特徴を有してもよい。
【0026】
ある実施形態では、標的100の一次(又はより高次の)回析パターンが、標的構造120とそれらの背景110との間のコントラストを強化するために測定され得る。一次SCOL(瞳面で)又は一次画像(視野平面で)の測定は、偏光照明から抽出される情報を強化し得る。ゼロ次回析パターンは、コントラストをさらに強化するために、干渉によって遮断又は除去され得る。
【0027】
図4A及び図4Bは、本発明のいくつかの実施形態による、標的100におけるセグメント化修正の高レベル概略図である。図4Bは、セグメントが相互に接続する図4Aに対して、標的構造120のセグメント化の背景110のセグメント化からの離間を概略的に示す。空間160は、偏光を用いた照明下で、それらの間のコントラストを改善し得る。空間160及び線端部の正確な構成は、シミュレーション又は実験的設定を使用して、コントラストをさらに強化するように実行され得る。標的構造120の及び背景110のセグメント化ピッチp1、p2は、等しくてもよく、又は異なっていてもよく、X及びY方向のセグメント化ピッチは、等しくてもよく、又は異なっていてもよい。
【0028】
ある実施形態では、空間160は、偏光照明を使用して、又は使用せずに測定可能となるように配列され得る。例えば、空間160は、概ね100nm幅の大きさであり得る。空間160は、偏光照明測定のためにコントラストをさらに強化するように構成され得る。
【0029】
ある実施形態では、偏光測定を使用することは、標的構造120及び/又は背景110のセグメント化を可能にし、それ故にそれらをよりプロセス適合性にする一方で、測定に非偏光照明の代わりに偏光を使用することは、セグメント化されていない標的構造120及び/又は背景110に対して、標的構造120と背景110との間のコントラストを維持するか、又はさらに強化する。
【0030】
例えば、図4Cは、偏光及び非偏光下での連続的な背景91(上記の図1Bに相当)上のセグメント化された標的構造92の測定のシミュレーション結果(AIM様標的に関する)の概略図であり、前者のはるかに良好なコントラストを示す。図4Cはさらに、セグメント化された背景110(図2に相当)上のセグメント化された標的構造120の偏光照明を用いた測定を示し、それは、非偏光照明下でコントラストを全く生み出さない。偏光測定は、標的構造120に関して、標的構造92よりも少ないコントラストを生じさせるが、それらは依然として、セグメント化されていない背景91上の標的構造92の測定よりも高いコントラストを生じさせ、後者よりもプロセス適合性であるという顕著な利点を有する。さらに、セグメント化ピッチの調整は、3つの背景ピッチp、p<p<pに関する様々なコントラストによって示される通り、測定条件に関するコントラストの調整を可能にする(示される事例では、ピッチが小さければ小さい程、偏光照明下でのコントラストは大きい)。さらに、コントラスト閾値が非偏光照明によって達成される値以下である場合、偏光測定のいずれかは、閾値を下回り、それ故に測定のための十分なコントラストを提供する。
【0031】
ある実施形態では、標的100の計測測定は、複数の取得技術によって異なる測定条件下で、例えば、異なる偏光方向(例えば、方向130に対して直角な偏光の結果を低減する)、スペクトル変動(色)、焦点変動、異なる開口数(NA)サイズなどのいずれかを使用して、実行され得る。偏光照明を用いたいくつかの測定は、複合画像における標的構造のコントラストを強化するために組み合わされ得る。例えば、測定間での焦点の変更、又は測定間での波長の変化は、偏光測定下のコントラストを強化する情報をさらに提供し得る。
【0032】
図5A図5Fは、本発明のいくつかの実施形態による、偏光による測定を利用することによってコントラストを維持するプロセス適合性標的設計100の高レベル概略図である。標的100内の異なるエリアの偏光活性の差は、反射特性の差の代わりに、又はそれに加えて、計測測定を抽出するために使用され得る。例えば、線形偏光は、材料及びセグメント化ピッチの偏光活性に応じて、水平な線を有するエリアを垂直な線を有するエリアと区別するために使用され得る。したがって、偏光を使用することは、測定される標的オーバーレイとデバイスオーバーレイとの対応を改善するために、概ねデバイス形体及び空間の大きさである寸法を有する形体及び中間空間を有する標的を設計することを可能にし得る。
【0033】
図5A図5Eは、前の層140、現在の層150、及び結果として得られる合成標的100を示すことによって、本発明に従って修正された一般的な標的設計を概略的に示す。いずれかの層内の標的構造は、数字120によって示される一方で、セグメント化された背景は、上記の通り数字110によって示される。本例は、特定の必要に応じて修正及び適合され得るセグメント化の詳細に関して非限定的であり、また正確な標的設計に関しても非限定的であるが、開示される設計原理の一般的な標的設計への実装を示す役割を果たす。
【0034】
図5A〜5Cは、2次元オーバーレイ測定を可能にする、AIMID様標的に関する代替的設計を概略的に示す。同様の原理が、BiB及びBlossom標的などの他の標的設計に適用され得る。非限定的な様式において、すべての3つの設計は前の層140において同一の背景セグメント化110及び標的セグメント化120を有するが、それらは、現在の層150内の標的120のセグメント化において異なり、それらは、前の層140の標的120のセグメント化に対して欠失している(図5B)か、平行である(図5A)か、又は垂直である(図5C)。明らかに、要素のいずれかの任意のセグメント化形体が必要に応じて修正されてもよく、両方向及び両構造のピッチが変動し得る。適切な測定条件(例えば、偏光の詳細、波長)が、標的構造120とそれらの背景110との間のコントラストを生じさせるように適用され得る。ある実施形態では、オーバーレイは、標的100の散乱計測定及びそれらの画像測定を可能にするために、層140、150の要素間に誘導され得る(例えば、図5Cの標的100内の標的構造120を参照)。
【0035】
図5D図5D−1、及び図5D−2は、2つの1次元オーバーレイ測定を可能にするAIM様標的に関するセグメント化された設計を概略的に示す。図5Eは、散乱計測定を可能にする散乱計標的に関するセグメント化された設計を概略的に示す。図5Fは、上記の設計のいずれにも適用可能であり得る、拡大された形体を有するセグメント化された設計を概略的に示す。図5D図5D−1、図5D−2、及び図5Eは、かかるそれぞれの標的への開示される設計原理の適用の単一の例を単に表し、上記に開示されるガイドラインに従う種々の可能な設計はすべて、本明細書に開示されるものと見なされる。示される事例では、前の層140内の背景110及び標的構造120が垂直にセグメント化される一方で、現在の層150内の標的構造は、連続的である(すなわち、フル又はギャップバー)。セグメント化は、前の層140内の背景110及び標的構造120のセグメント化に対して異なる配向で、現在の層150内の背景及び標的構造の一方又は両方に適用され得る。前の層140内の相対的なセグメント化配向背景110及び標的構造120もまた、修正されてもよく、測定条件(例えば、偏光の詳細、波長)は、それに従って調整されてもよい。
【0036】
図5Fを参照すると、背景110及び標的構造120のセグメント化形体間の距離dは、特定の特徴(波長、偏光の種類及び方向など)を有する偏光を使用した標的構造120に関連付けられる測定を最適化するように選択され得る。
【0037】
異なる配向を有する標的構造120と背景110との間の境界線の反射は、線端部の品質及び特徴、線縁部の粗度、並びに線間の距離に強く依存し得る。図5Fに示される1つに類似の標的100が、これらのパラメータを定量化及び観察するために使用され得る。例えば、側壁角(SWA)は、距離dを示し得、例えば、同一のSWAが、すべての線に関する同一の距離を示し得る一方で、線のSWAの差は、パターン配置エラー又は線端部及び縁部の品質における大きな変動の兆候として使用され得る。ある実施形態では、距離dは、数ナノメートルの小さい範囲内で平行線に沿って(設計によって)変動し得る。かかる小さい変化の下では、側壁角は、距離dの変化に比例するはずであり、かかる比例挙動からの逸脱は、リソグラフィープロセスの品質を示すために使用され得、また、パターン化はデバイススケールであるため、従属SWA(d)は、デバイスの品質の直接的な兆候として使用され得る。ある実施形態では、距離dの意図的な変動は、観察及び制御の目的のために、スキャナ焦点及び線量変動に対する標的の感度を強化するために光学CD標的に使用され得る。ある実施形態では、偏光パラメータは、異なる偏光パラメータに対する異なる標的応答から追加の情報を抽出するために変化され得る。
【0038】
図6A図6Mは、本発明のいくつかの実施形態による、光学照明及び測定システム200の高レベル概略図である。すべての図において、非偏光源70は、対象77を介してウエハ75上の標的100の偏光照明を提供するように修正される。レンズ79を介して検出器80(CCDカメラなど)に方向付けられる収集された照明は、該照明と同様に、又は異なって偏光され得る。
【0039】
例えば、図6Aは、それぞれのアーム内で2つの種類の偏光(例えば、s及びp偏光)を取り扱うために、それぞれ、シャッター220、230及び鏡225、235を有する偏光ビームスプリッタ(PBS)210の使用を概略的に示す。結果として得られる照明ビームは、2つのアームからビームスプリッタ240を介して組み合わされ、ビームスプリッタ78を介して測定の光学軸に伝導される。この構成では、照明ビームの偏光は、シャッター220、230によって制御される。別の例では、図6Bは、照明ビーム偏光を修正するために使用されるアクチュエータ250に関連付けられる回転又は並進板255内に組み込まれ得る偏光子220、230を制御することによる、照明偏光の実装を示す。
【0040】
図6C及び図6Dは、干渉計260を使用して照明ビーム偏光を制御し、ゼロ次パターンを測定から除去する、光学システム200の高レベル概略図である。照明は、供給源70からレンズ72を介し、ビームスプリッタ78を介して干渉計260に提供され、該干渉計260は、ゼロ次要素構成要素の相殺的干渉を生じさせるために使用される、焦点化又は非焦点化光学要素(それぞれ、図6C、6Dの262、263)及び鏡261を備え得る(鏡261は周期的構造を欠き、それ故にゼロ次の照明のみを反射する)。照明ビームは、例えば、図6A、6Bに従って、又は別の方法で、さらに偏光され得る。
【0041】
図6Eは、米国特許第7,528,941号に教示される原理に従って設計された物理的なゼロ次ブロッカ270を概略的に示す。これに関して、光学構成標的100は周期的でなければならず、照明波長及び標的ピッチは、(レンズ274によって焦点化された後の)瞳面275における反射される順序間に空間的分離を作成するように選択される。ゼロ次は、幾何学的に遮断される(測定ビームの中央部分は、瞳面275後に遮断されることに留意されたい−矢印は遮断される領域に描かれる)。照明ビームは、例えば、図6A図6Bに従って、又は別の方法で、さらに偏光され得る。
【0042】
図6F図6Jは、本発明のいくつかの実施形態による、偏光を使用して標的100を測定するための可変リターダ偏光子280を有する光学システムの高レベル概略図である。図6F〜6Hは、反射(収集)ビームが可変リターダ偏光子280によって偏光される実施形態を概略的に示し、図6I図6Jは、入射ビームが可変リターダ偏光子280によって偏光される実施形態を概略的に示す。構成要素及び光学要素(供給源70、レンズ72、ビームスプリッタ78、対象77、ウエハ75、レンズ79、及び検出器80)の表記は、図6A図6E内の表記と同様であり、数字79Aは、瞳面における開口を示す。図6Fは、画像測定に使用され得る光学システムを示し、図6G図6Hは、散乱計測定に使用され得る光学システムを示す。図6I及び図6Jは、それぞれ、画像測定及び散乱計測定に使用され得る光学システムを示す。
【0043】
図6K図6Mは、本発明のいくつかの実施形態による、偏光を使用して標的100を測定するための可変リターダ偏光子280を有する光学システムの高レベル概略図である。図6K及び6Lは、例えば、それぞれ、s偏光及びp偏光70A、70Bなどの2つの種類の偏光をもたらす、偏光照明のための供給源を概略的に示す。図6Kは、シャッター220、230(図6Aの通り)を有する偏光ビームスプリッタ(PBS)210の使用を示し、図6Lは、シャッター220、230の代わりに可変リターダ偏光子280の使用を示し、どちらの場合も、異なった偏光が、それぞれの連結器及び線維70A、70Bを介して図6Mに概略的に示される測定部品に送達される。図6Mは、それぞれの供給源70A、70Bからのs及びp偏光ビームが、それぞれのレンズ72A、72B、s及びpアポダイザ73A、73B、それぞれの鏡225、235を介してPBS240A、240Bに送達され、該PBS240A、240Bは、偏光ビームをビームスプリッタ78内及び標的100上に導入し、反射ビームをそれぞれのs及びp検出器80A、80Bに送達する、測定部品を概略的に示す。
【0044】
有利に、コントラストが、異なる材料の充填率の差というよりもむしろ、又は異なる材料の充填率の差に加えて、異なる偏光特性から生じる開示される光学計測標的は、完全にプロセス適合性となるように設計され得、またデバイスパラメータ(例えば、限界寸法及びピッチに関する)に従って設計され得る。異なる構成の照明及び/又は収集ビームの偏光は、開示される標的のコントラストを強化するために使用され得る。偏光を用いた標的及び測定は、光学オーバーレイ計測を使用したデバイス様形体の線端部の均一性及び線縁部の粗度の概算をさらに促進し得る。さらに、配向線空間又は異なる配向線の組み合わせの各群は、例えば、スキャナ焦点及び線量の観察又は制御のために、OCD用途のための標的として使用され得る。
【0045】
図7図7−1、及び図7−2は、本発明のいくつかの実施形態による方法300を示す高レベルフローチャートである。方法300は、その順序にかかわらず、以下の段階のいずれかなどの、標的100を設計、製造、及び/又は測定するための段階を含み得る。方法300の段階は、少なくとも1つのコンピュータプロセッサによって少なくとも部分的に実行され得る(段階370)。ある実施形態は、コンピュータ可読プログラムが共に具現化されたコンピュータ可読記憶媒体を備えるコンピュータプログラム製品を含む。コンピュータ可読プログラムは、少なくとも部分的に、方法300の段階のいずれかを実行するように構成され得る。開示される発明は、方法300の段階に従って設計及び製造される標的設計ファイル及び標的、並びに開示される計測標的のいずれかの計測測定を含む。
【0046】
方法300は、標的構造を、偏光下でその背景に対して指定のコントラスト閾値を上回る高コントラストを有する一方で、非偏光下でその背景に対して該指定のコントラスト閾値を下回る低コントラストを有するように設計することを含む(段階310)。方法300は、標的構造を、標的構造の背景形体に垂直な形体を有するように構成することをさらに含み得る(段階320)。方法300は、標的構造を、その製造プロセスに対して完全にプロセス適合性となり、それ故に偏光照明の使用によりコントラストを維持しながら、プロセス適合性を達成するように設計することを含む(段階325)。
【0047】
ある実施形態では、方法300は、偏光下で標的構造のその背景に対するコントラストを維持(段階330)又は強化する(段階340)ように、標的構造の領域内に追加の層を設計することをさらに含み得る。ある実施形態では、方法300は、コントラストを強化するようにセグメント化ピッチを選択することをさらに含む(段階345)。方法300は、標的構造をその背景形体から指定の範囲まで離間させることをさらに含み得る(段階350)。ある実施形態では、方法300は、場合より異なる照明特徴(偏光、波長、焦点など)を有する、2つ以上の測定を使用して、コントラストを強化し、測定の比較から追加の情報を抽出することをさらに含む(段階355)。標的100の、及び/又は方法300に従う、それぞれの計測測定も、同様に本開示の一部である。方法300は、標的構造を、様々な照明条件下で繰り返し測定することと、複数の測定から追加の測定データを抽出することと、を含み得、計測測定は、様々な照明条件下でのそれぞれの複数の測定及び抽出される追加の測定データを含み得る。
【0048】
方法300は、設計された標的構造(段階375)及びそれぞれの標的設計ファイルを製造することを含み得る。かかる設計ファイルも、本開示の一部である。方法300は、任意の標的種類を、プロセス適合性となるように、かつ偏光照明下でコントラストを呈するように適合することをさらに含み得る(段階365)。
【0049】
ある実施形態では、方法300は偏光下で標的構造をその背景と区別するように測定すること(段階380)と、場合により、各層の測定条件を調節して、標的構造コントラストとその背景との間のコントラストを強化すること(段階360)と、をさらに含み得る。測定すること380は、連結された偏光子、測定の光路内の代替偏光子、干渉計、可変リターダ偏光子(照明及び/もしくは収集ビームに適用される)、瞳面及び/もしくは偏光源におけるゼロ次ブロッカ、又はそれらの組み合わせのいずれかを使用して実行され得る(段階390)。
【0050】
有利に、開示される発明は、コントラストが、異なる材料の充填率の差というよりもむしろ(又はそれに加えて)異なる偏光特性から生じる、光学計測標的100を提供する。それぞれの方法300は、かかる標的の設計原理のためのガイドラインを提供する。光学計測標的は、デバイスパラメータ(例えば、限界寸法及びピッチに関する)に従って完全に設計されることによって、完全にプロセス適合性となるように設計され得る。開示される発明は、偏光及び/又はゼロ次遮断及び又は/ゼロ次相殺的干渉を使用してかかる標的を測定することが可能な光学システムをさらに提供する。照明及び/又は収集ビームの偏光は、標的構造のコントラストを強化するために、異なる構成で実装され得る。
【0051】
上記の記載において、実施形態は、本発明の実施例又は実装例である。「1つの実施形態」、「実施形態」、「ある実施形態」、又は「いくつかの実施形態」の種々の外観は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指す必要はない。
【0052】
本発明の種々の形体は単一の実施形態の文脈において記載されてもよいが、形体も、別々に、又はいずれかの適切な組み合わせにおいて提供されてもよい。反対に、本発明は、明確にするために別個の実施形態の文脈において本願に記載されてもよいが、本発明はまた、単一の実施形態に実装されてもよい。
【0053】
本発明のある実施形態は、上記に開示された異なる実施形態からの形体を含んでもよく、ある実施形態は、上記に開示された他の実施形態からの要素を組み込んでもよい。特定の実施形態の文脈における、文脈における本発明の要素の開示は、特定の実施形態のみで使用されるようにそれらを限定すると受け止められるべきではない。
【0054】
さらに、本発明が、種々の方法で実行され得る又は実践され得ることと、本発明が、上記の記載で概略が説明されているものではないある実施形態に実装され得ることとが理解されるべきである。
【0055】
本発明は、それらの図、又は対応する記載に限定されない。例えば、フローは必ずしも、各図示されたボックス又は状態を通じて移動する必要はない、又は図示され記載された通りの順番で移動する必要はない。
【0056】
本願で使用される技術用語及び科学用語の意味は、別段の指定がない限り、本発明が属する技術の分野における通常の知識を有する者によって一般に理解されるべきである。
【0057】
本発明は、限られた数の実施形態について記載されているが、これらは本発明の範囲に対する限定であると解釈されるべきではなく、むしろ、好適な実施形態のうちのいくつかの例示として解釈されるべきである。他の考えられる変形、修正、及び適用も、本発明の範囲内である。したがって、本発明の範囲は、このように記載されたものによって限定されるべきではなく、むしろ添付の特許請求の範囲及びそれらの法的均等物によって限定されるべきである。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図5D
図5D-1】
図5D-2】
図5E
図5F
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図6H
図6I
図6J
図6K
図6L
図6M
図7
図7-1】
図7-2】