特許第6875696号(P6875696)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6875696
(24)【登録日】2021年4月27日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】粉粒体の外部引き出し遮断装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 65/40 20060101AFI20210517BHJP
   B65D 90/54 20060101ALI20210517BHJP
【FI】
   B65G65/40 B
   B65D90/54 Z
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-250272(P2016-250272)
(22)【出願日】2016年12月24日
(65)【公開番号】特開2018-104112(P2018-104112A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2019年12月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】513087932
【氏名又は名称】アサヒ機装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000187079
【氏名又は名称】昭和産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092163
【弁理士】
【氏名又は名称】穴見 健策
(74)【代理人】
【識別番号】100136928
【弁理士】
【氏名又は名称】高宮 章
(72)【発明者】
【氏名】高橋 幸宏
(72)【発明者】
【氏名】田嶋 功
【審査官】 小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】 実開平05−065939(JP,U)
【文献】 実開昭60−008295(JP,U)
【文献】 実開昭58−109992(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 65/40
B65D 90/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯留装置の下端側に設けた排出部の排出口を、排出口の直下位置に向けて横方向直線状に進退移動するゲート板により開放、閉鎖して貯留装置内の粉粒体を排出、貯留するに際し、ゲート板の直線状進退移動に伴って粉粒体が外部に引き出されないように遮断する装置であり、
貯留装置の下端側に連結されゲート板の退出方向に沿って貯留装置の外部となる横方向に突設された支持フレームと、
貯留装置の外部側であって支持フレームに支持されて設けられ、上方からゲート板に向けて圧接付勢する遮断体と、
貯留装置の外部側であって支持フレームに支持されてゲート板の上面に密着するように上から下方向に向けて遮断体を圧接付勢する圧接付勢機構と、を含み、
圧接付勢機構は、支持フレームに取り付けられたL字支持台と、L字支持台に取り付けられた逆L字状部と、を含み、これらL字支持台と逆L字状部を介して貯留装置の外部でかつゲート板より上位置において遮断体を上下動調整自在かつ圧接付勢可能に支持することを特徴とする粉粒体の外部引き出し遮断装置。
【請求項2】
圧接付勢機構は、遮断体の下方への付勢力を調整する付勢力調整部を有することを特徴とする請求項1記載の粉粒体の外部引き出し遮断装置。
【請求項3】
遮断体は、粉粒体の退出方向移動を遮断するものであり、ゲート板の幅と同じかそれ以上の幅でゲート板を横切るように支持フレームに支持される可撓性を有するシール材を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の粉粒体の外部引き出し遮断装置。
【請求項4】
遮断体は、支持フレームに支持されゲート板の幅と同じかそれ以上の幅でゲート板を横切るように設けられた基板と、基板の下端よりさらに低位置に下端を位置させゲート板の幅と同じかそれ以上の幅で取り付けられたシール材と、を含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の粉粒体の外部引き出し遮断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒体の貯留装置の排出口部分の開閉に伴う粉粒体の外部引き出しを遮断する装置に係り、特に、貯留装置の排出口部分を横方向から進退するゲート板により開閉させる形式の貯留装置において粉粒体の外部引き出しを遮断する粉粒体の外部引き出し遮断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
穀物や飼料等の貯蔵用装置としてサイロが広く知られており、そのうち排出口部分を横方向から進退するゲート板により開閉させる形式の貯留装置が例えば特許文献1及び特許文献2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−244879号公報
【特許文献2】特開2015−224121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の貯蔵装置は、サイロの排出口を開閉する開閉手段としてメインゲートと気密ゲートを排出通路に上下2段に設置し、サイロ内を減圧、加圧させることで被収容物のブリッジを破壊させるものである。この特許文献1の貯蔵装置はメインゲートと気密ゲート間の閉鎖空間に被収容物としての粉粒体を侵入させないようにしてメインゲート開閉動作の円滑化を企図するものであるが、メインゲートの排出通路への横方向直線進退移動時、特に退出方向移動時にゲート板上に小径化した粉粒体や微粒子状の粉粒体を引き込んで外部に引き出してしまう問題があり、放置しておくと開閉手段の機器周辺全体に粉粒体が滞留し積層、汚損して環境を損なう問題があった。また、特許文献2は、貯留装置の排出口部分を横方向から進退する1つのゲート部(板)により開閉させ、さらに排出口近傍に突出部とパッキンとを囲周配置させ、貯留装置に粉粒体を貯留した状態で装置内を気密、非気密切り替えするものである。この特許文献2の装置では、パッキンと突出部との空隙内に粉粒体が入り込むことでゲート部とパッキンとの間に粉粒体が入り込むことを防止することを企図している。しかしながら、排出口近縁に円形の突出部を形成しさらにその突出部外縁に所要間隔を設けて円形のパッキンを取り付けただけでは、パッキンの弾性力が経時劣化で弱くなりゲート部とパッキンとの間に粉粒体が入りこむことを効果的に防止することができず、ゲート部の退出方向外部へ粉粒体が引き出されるおそれがある。また、サイロの下端側の排出口部分において、これらの突出部やパッキンを位置精度よくとりつける作業は容易ではないとともに、材料、取り付け作業コストが高いばかりでなくパッキンが摩耗した場合の交換作業も容易ではない、という問題があった。
【0005】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その一つの目的は、貯留装置の排出口近傍におけるゲート板移動に伴って粉粒体がゲート板から外部に引き出され、周辺に散乱して外部を汚損しないようにする粉粒体の外部引き出し遮断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、貯留装置2の下端側に設けた排出部12の排出口10を、排出口の直下位置に向けて横方向直線状に進退移動するゲート板16により開放、閉鎖して貯留装置内の粉粒体gを排出、貯留するに際し、ゲート板16の直線状進退移動に伴って粉粒体gが外部に引き出されないように遮断する装置であり、貯留装置2の下端側に連結されゲート板16の退出方向に沿って貯留装置2の外部となる横方向に突設された支持フレーム18と、貯留装置2の外部側であって支持フレーム18に支持されて設けられ、上方からゲート板16に向けて圧接付勢する遮断体50と、貯留装置2の外部側であって支持フレーム18に支持されてゲート板16の上面に密着するように上から下方向に向けて遮断体50を圧接付勢する圧接付勢機構52と、を含み、圧接付勢機構52は、支持フレーム18に取り付けられたL字支持台54と、L字支持台に取り付けられた逆L字状部58と、を含み、これらL字支持台54と逆L字状部58を介して貯留装置2の外部でかつゲート板16より上位置において遮断体50を上下動調整自在かつ圧接付勢可能に支持する粉粒体の外部引き出し遮断装置1から構成される。粉粒体の外部引き出し遮断装置は、貯留装置の排出口を横方向からゲート板を進退させて開閉する形式の貯留装置に適用される。排出口を含む排出部の外部側であってゲート板に圧接付勢する遮断体を設けることで、ゲート板上に遮断体を圧接させ、ゲート板上の粉粒体がゲート板の移動に追従して移動するのを防止する。
【0007】
圧接付勢機構52は、遮断体50の下方への付勢力を調整する付勢力調整部86を有するとよい。
【0008】
また、遮断体50は、粉粒体の退出方向移動を遮断するものであり、ゲート板16の幅と同じかそれ以上の幅でゲート板16を横切るように支持フレーム18に支持される可撓性を有するシール材68を含むとよい。
【0009】
また、遮断体50は、支持フレーム18に支持されゲート板16の幅と同じかそれ以上の幅でゲート板を横切るように設けられた基板66と、基板66の下端よりさらに低位置に下端を位置させゲート板16の幅と同じかそれ以上の幅で取り付けられたシール材68と、を含むとなおよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の粉粒体の外部引き出し遮断装置によれば、貯留装置の下端側に設けた排出部の排出口を、排出口の直下位置に向けて横方向直線状に進退移動するゲート板により開放、閉鎖して貯留装置内の粉粒体を排出、貯留するに際し、ゲート板の直線状進退移動に伴って粉粒体が外部に引き出されないように遮断する装置であり、排出口を含む排出部の外部側に設けられ、上方からゲート板に向けて圧接付勢する遮断体を含む構成であるから、サイロ等の貯留装置の排出口開閉のためのゲート板上に遮断体を圧接付勢させて密着保持させる結果、ゲート板を排出口の直下位置に向けて横方向直線状に進退移動させる際に粉粒体が外部に引き出されるのを確実に遮断することが可能である。さらに、サイロ本体外部での遮断装置の設置及びメンテナンス、交換作業を簡単かつ短時間に行える。また、作業コストも低廉に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】貯留装置の一部を同時に示した本発明の粉粒体の外部引き出し遮断装置の正面説明図である。
図2図1の平面説明図である。
図3図1の縦断面説明図である。
図4図1の粉粒体の外部引き出し遮断装置のゲート板退避状態位置の正面説明図である。
図5図1の粉粒体の外部引き出し遮断装置の一部省略右側面図である。
図6図1の粉粒体の外部引き出し遮断装置の遮断装置の拡大縦断面説明図である。
図7】外部引き出し遮断装置の概略斜視説明図である。
図8】シール材側を正面に見た遮断部の説明図である。
図9】遮断板の取付サポート側から見た遮断部の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下添付図面を参照しつつ本発明の粉粒体の外部引き出し遮断装置の一実施形態について説明する。
【0013】
本発明の粉粒体の外部引き出し遮断装置は、貯留装置の排出口部分を横方向から進退するゲート板により開閉させる形式の貯留装置に適用される。図1において、貯留装置2に本発明の粉粒体の外部引き出し遮断装置を設置した状態を示している。本発明の外部引き出し遮断装置の実施形態を説明するにあたり、まず、排出部の排出口部分を横方向から進退するゲート板により開閉させる形式の貯留装置について説明する。
【0014】
図1において、本実施形態の粉粒体の外部引き出し遮断装置1が設けられる貯留装置2は、図示しない脚柱、脚台などを介して地上に自立して設置されている。貯留装置2は、下端側に設けた排出部12の排出口10を、排出口の直下位置に向けて横方向直線状に進退移動するゲート板16により開放、閉鎖して貯留装置内の粉粒体を排出、貯留する。
【0015】
貯留装置2は、穀物等の被収容物を例えば一時貯蔵し必要に応じて払い出されるサイロであり、縦長方向に配置された筒部と筒部の下端から下方に向けて縮径するコニカル部2aを含む。穀物等の被収容物は個々の粒子や小さな粒径のものの他に微粒子あるいは粉体のものも含まれる。サイロには被収容物として穀物、その加工品、飼料、飼料原料、その他の粉粒体が収容される。貯留装置の上端側には図示しない被収容物の投入口が設けられ開閉手段で開閉される。なお、貯留装置2には被収容物を燻蒸するための燻蒸手段を設けることができる。また、被収容物のブリッジ破壊用のサイロ内減圧、加圧手段を設けてもよい。
【0016】
図1において、貯留装置のコニカル部2aの下端に直管状の短管部2bが形成されており、短管部2bの下部に他の直管状の接続筒部3が連通接続されている。短管部2bと接続筒部3はそれぞれの下端部及び上端部から横方向に張り出したフランジ部61において、図示しないボルト、ナット等の締結部材により連結されている。そして、接続筒部3の下端に円形の排出口10が設けられている。フランジ部61は、短管部2bの孔に対応する排出用の孔を中央に有する。
【0017】
接続筒部3はその下位のケーシング14に接続されて支持されている。接続筒部3の内部とケーシング14内部は連通しており、排出口10の開放時に接続筒部3内の排出通路5から貯留装置内の収容物gが排出される。ケーシング14は受け側のコンベア、運搬機、収納容器等に収容物を案内供給する。
【0018】
後述するように、この排出口10を開閉するように横方向から水平方向に進退移動するゲート板16が設けられている。ゲート板16は、排出口10となる接続筒部3の下端からわずかに下位となる位置で擦切り状に横方向に進退移動する。
【0019】
図1、2において、接続筒部3とケーシング14部分を平面視(図2)で囲周するように矩形枠体からなる支持フレーム18が貯留装置に連結して架設されている。具体的には、短管部2bに連結する接続筒部3が補強支持用スカート部63や図示しない連結部材を介して基台7に連結されており、この基台7の下部が支持フレーム18の上端側に連結されて、排出口10と数ミリメートルから数十ミリメートル程度の間隙を設けた下位側でゲート板16が水平移動し得るようになっている。なお、支持フレーム18は、必ずしもサイロ本体に連結しなくとも別の支持機構により支持させたものでもよい。
【0020】
支持フレーム18は、排出口10を開閉するゲート板16並びに、後述するゲート板の開閉装置20を支持する。支持フレーム18は、図2において、4つの側壁19A、19A、19B、19Bを含む長矩形状の枠体から形成されており、該枠体の1つの端部寄り側でケーシング14が貫通するように配置されてケーシング14に固定されている。支持フレーム18は、他端部側が横方向に突設して片持ち支持状に組み付けられ、ケーシング14に支持されている。
【0021】
ゲート板16は、排出口10を開放、閉鎖して貯留装置内の粉粒体gを排出、貯留すべく挿入用間隙4に横方向直線状に進退移動する。ゲート板16は長方形状で形成されており、進入端位置では排出口10の直下位置にあって、排出口10を全閉とし、排出口10の下位から後退した退避位置では排出口10を全開させる。ゲート板16は、支持フレーム18の例えば幅方向両端下面側位置その他の複数位置に、転動体や支持サポートなどが設けられて横方向移動が円滑に案内支持される。また、支持フレームの内壁に接続して挿入口4を有する挿入板(図示せず)が設けられ、該挿入口4をゲート板16が挿通した状態でゲート板16が配置されて横方向進退移動を安定的に行う。ゲート板16は支持フレーム18内部に配置されている。
【0022】
図1、2、4において、支持フレーム18にはゲート開閉機構24が設けられている。ゲート開閉機構24は、ゲート板送り装置26と、駆動モータ28とを含む。図5において、ゲート板送り装置26は、ゲート板16の両端下位に設けられたベアリングなどの案内部30、30と、ゲート板の幅方向中央下部に取り付けられたラック32と、ラック32にギヤ咬合するピニオン34と、ピニオン34の軸孔を嵌挿し両端を支持フレーム18の幅方向端壁から突設させたシャフト36と、シャフト突設端部に設けられたスプロケット38と、を含む。なお、39は、シャフト位置固定用のフランジユニットである。図1〜3において、駆動モータ28とスプロケット38間に調帯された伝達チェーン40を介して駆動モータ28の駆動力によりゲート板16が排出口10に対して横方向直線状に進退移動する。
【0023】
本発明において、一つの特徴的なことは、貯留装置の排出部の外部側に粉粒体の外部引き出しを遮断する粉粒体の外部引き出し遮断装置1を設けたことである。本実施形態において、粉粒体の外部引き出し遮断装置1は、排出口10を含む排出部12の外部側に設けられ、上方から下方のゲート板16に向けて圧接付勢する遮断体50を含む。粉粒体の外部引き出し遮断装置1は、排出口の外部側であって、ゲート板の直線移動方向と直交するようにゲート板上に対向して配置されている。
【0024】
図6,7において、遮断装置1は、排出口10を含む排出部12の外部側であって上方から下位のゲート板16に向けて遮断体50を圧接付勢することによりゲート板の直線状進退移動に伴って貯留装置内の粉粒体が外部に引き出され散乱するのを防止する。
【0025】
遮断装置1は、遮断体50と、圧接付勢機構52と、を含む。遮断体50は、ゲート板16の上方から縦方向にゲート板に向けて圧接付勢される。これによってゲート板上の粉粒体がそれ以上ゲート板の後退方向に移動するのを遮断する。図6において、遮断体50は、圧接付勢機構52により常時ゲート板上面に圧接付勢されている。遮断体50を常時ゲート板上面に向けて強制的に圧接付勢力を付与しているので、粉粒体を確実に遮断し止めることができる。
【0026】
図1、2、7において、ケーシング14近傍にゲート板の直線移動方向と直交方向に遮断体50が設けられている。支持フレーム18の両長辺壁に直交状に跨るように圧接付勢機構52が設けられ、この圧接付勢機構52に支持されて遮断体50がゲート板16に圧接付勢される。
【0027】
図6,7において、圧接付勢機構52は、支持フレーム18の両長辺壁に直交状に跨って取り付けられたL字支持台54と、L字支持台に支持されて上部に遮断体50の支持片56を有して立ち上がる逆L字状部58と、遮断体50を下方のゲート板16側に圧接付勢する付勢部材60と、を含む。実施形態において、L字支持台54、逆L字状部58は金具である。本実施形態において、逆L字状部58は、L字支持台54の横方向複数か所に溶接等で立ち上げ固定された中間板62と、中間板62に連係して立ち上げ接続された逆L字部材64と、を含む。逆L字状部58の支持片56は逆L字部材64の縦板部から直角水平方向に延設する横板部からなり、該支持片56には後述する遮断体50の軸棒70が挿通される孔74が設けられている。
【0028】
図6、7において、遮断体50は、基板66と、基板に固定されたシール材68とを含む。基板66は、常時ゲート板16上面に圧接方向に付勢される。基板66は、シール材68を支持する。基板66は、ゲート板16の幅と同じかそれ以上の幅で設けられている。実施形態において、基板66は、長矩形板から形成されている。シール材68は、支持フレーム18と協してそれ以上の粉粒体の退出方向移動を遮断する。なお、基板66を設けずにシール材68の内部に芯材等を設け、該芯材を支持フレーム18側から直接支持させてシール材のみで粉粒体を遮断させるようにしてもよい。
【0029】
図8,9において、シール材68は、基板66と略同じ横幅の長矩形であり数ミリメートルから数センチメートル程度の厚みの厚いシート状体で構成されている。シール材としては、例えば不織布が用いられる。本実施形態では、シール材としてフェルトが用いられている。フェルトは、表面が毛質でありながら本体は強度と可撓性を保持する。化学繊維を薄く板状に圧縮して作るものがある。また、動物の毛を用いたものであってもよい。シール材は不織布以外でもプラスチック、ゴムの板材、ジェル状合成樹脂の板状成形体等で、強度と可撓性を保持する素材でもよいし、これらを組み合わせて製作したものでもよい。シール材68は、基板66の下端よりさらに低位置に下端を位置させ、ビス等の脱着固定部材67により基板66に面合わせ状態で取り付けられる。したがって、基板66の上下動に伴い、シール材68も同様に上下動する。シール材68の下端は基板66の下端よりさらに低位置に配置されているので、常時はゲート板16に圧接されてゲート板の微小な上下振動に追従して粉粒体を遮断し移動阻止する。シール材の下端を強く圧接させるとこの部分が湾曲し、ゲート板16上面に強く密接し、粉粒体の外部散乱を確実に防止することができる。なお、圧接度合は使用により適宜の圧接力を調整設定することができる。
【0030】
図6,7において、基板66の上端部の長さ方向数か所に該上端部から板面に沿ってねじ軸からなる軸棒70が上方に突設されている。さらに、基板66と軸棒70の連結部分となる軸棒70の基部に受座72が固定されている。そして、軸棒70は受座72と支持片56との間に押しばねスプリングからなる付勢部材60を介装させた状態で支持片56の孔74を挿通している。付勢部材60は、この実施形態に限らずダンパー装置、ゴム、組合せスプリング機構などを用いることができる。支持片56の孔74を挿通した軸棒70の突設端側に受ナット76が螺合されている。受ナット76は、基板66に固定された軸棒70と、支持片56との係合位置で支持片56を受けてそのときのスプリングの付勢力で遮断体50の下端をゲート板16の上面に圧接させる。受ナット76の螺進退調整でスプリングの付勢力を強弱調整することができる。
【0031】
また、本実施形態において、L字支持台54に固定立設された中間板62に縦長の長孔78が設けられている。また、逆L字部材64の縦板部に螺子孔80が設けられ、これらの長孔78と螺子孔80に螺合挿嵌するボルト82及びナット84により中間板62と逆L字部材64の縦板部が連結され、これによって、逆L字状部58が支持片56を上位に配置させた状態で長孔に沿って上下動可能にL字支持台54に支持される。これによって逆L字状部58は、L字支持台54によって上下動調整可能とされ、支持片56の任意の位置で固定される。なお、85は、支持フレーム18に取り付けられ遮断体50のシール材68に面を当接し遮断体50を間に挟んでL字支持台54と対向して取り付けられたL字受部である。
【0032】
本実施形態において、圧接付勢機構52は、さらに付勢力調整部86を含む。付勢力調整部86は遮断体50の下方に向けた付勢力を調整する手段であり、本実施形態において、軸棒70及び上記の受ナット76を含む。付勢力調整部86を設けることで、遮断体50のゲート板上面に向けた圧接付勢力を調整することができ、具体的な設置現場のゲート板上面の粗さ状態や、ゲート板の移動速度、その他の周辺機器等の状況に応じて最適な遮断体による粉粒体の遮断状態を形成することができる。
【0033】
実施形態において、遮断装置1は、排出口10の直近位置でかつゲート板の移動軌跡上の排出口接線位置にゲート板の移動方向と略直交方向のゲート板上に設置してある。排出口10の直近位置に遮断装置1を設けることで粉粒体が外部に引き出されるおそれがあるストローク幅をできるだけ短くすることができる。なお、遮断装置1のゲート板進退方向の設置位置は実施形態のように必ずしも排出口の直近位置に限らず、ゲート板のより後退方向位置に設置してもよい。
【0034】
図1、2、7において、貯留装置の排出口10に連通するゲート板16の上部空隙16Aを外部から遮蔽し閉鎖して粉粒体を上方に飛散させないようにする着脱閉鎖蓋90が設けられている。着脱閉鎖蓋90は、貯留装置2の排出部12と遮断装置本体1Aとの間のゲート板上の空間16Aを閉鎖するように排出部12と支持フレーム18と遮断装置本体の上部空間を覆う。遮断装置本体1Aは基板66とシール材68を含む。具体的には、着脱閉鎖蓋90は、貯留装置2の基台7と遮断装置1のL字受部85との間に密接介装される。着脱閉鎖蓋90は、支持フレーム18などにボルト締結されて着脱可能に取り付けられる。これによって、ゲート板の上部空隙を外部から遮蔽閉鎖して粉粒体を上方に飛散させないようにするとともに、遮断装置のメンテナンスを容易に行える。
【0035】
次に、本実施形態の装置の作用について説明する。図1〜3において、ゲート板16は、排出口10の下部にあって平面視(図2)で該排出口10を囲む位置にあるとき、排出口10は閉鎖されている。開閉装置20を介してゲート板16が横移動後退し、図4の退避位置にあるときには、ゲート板16は排出口10を開放している。
【0036】
このとき、遮断装置1の遮断体50は、圧接付勢機構52に支持されてゲート板上面に密着するように圧接付勢される。この際、付勢力調整部86により遮断体50下端部のゲート板16上面への圧接付勢力を適宜調整する。遮断体50は基板66の下端より下位にその下端部を突設させたフェルト等のシール材68を有しており、表面が毛質でありながら強度と可撓性を保持するからゲート板16の表面に密着するだけでゲート板が横方向に移動しても粉粒体をゲート板上で止めることができる。また、ある程度強い付勢力でゲート板状に圧接しても弾力性で湾曲して確実に粉粒体を止めて遮断体50から後方への移動を遮断する。これによって、図1〜3の排出口閉鎖状態からゲート板16が後退移動するとき、排出口部分のパッキンから漏れ出た小型や微粒子状の粉粒体は遮断体50に止められて遮断される。なお、シール材の交換はボルト等の取り外し、取り付けで簡単に交換することができる。したがって、メンテナンスが簡単で材料や維持コストも安価である。また、遮断装置1は、サイロ本体から外部に位置して設けてあるから、着脱閉鎖蓋を外して内部点検可能であり、メンテナンスを簡単に行える。なお、ゲート板16が排出口10の直下に向けて進出移動し、完全に排出口10を遮蔽する位置まで移動すると、ゲート板に押された粉粒体は下方に落下しケーシング14内に収容される。
【0037】
以上説明した本発明の粉粒体の外部引き出し遮断装置は、上記した実施形態のみの構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の本質を逸脱しない範囲において、他の実施形態を用いるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の粉粒体の外部引き出し遮断装置は、穀物、飼料等の粉粒体用サイロに限らず、その他の粉粒体の貯留装置用について利用できる。
【符号の説明】
【0039】
g 粉粒体
1 粉粒体の外部引き出し遮断装置
2 貯留装置
3 接続筒部
4 挿入口
5 排出通路
10 排出口
12 排出部
14 ケーシング
16 ゲート板
16A ゲート板上の上部空隙
18 支持フレーム
24 ゲート開閉機構
50 遮断体
52 圧接付勢機構
54 L字支持台
56 支持片
60 付勢部材
62 中間板
64 逆L字部材
66 基板
68 シール材
86 付勢力調整部
90 着脱閉鎖蓋
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9