【文献】
高田 政幸ほか,地上ディジタル放送におけるOFDMシンボル長とスキャッタードパイロットによる伝送特性,映像情報メディア学会誌,1998年,第52巻,第11号,pp.1658〜1665
【文献】
地上デジタルテレビジョン放送の伝送方式 標準規格 ARIB STD−B31 2.2版,2014年 3月18日,pp.1〜88
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0022】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るOFDM送信装置10の構成例を示す図である。本実施形態に係るOFDM送信装置10は、送信側と受信側とがそれぞれ一本(単一)のアンテナで信号を送受信するSISO(Single Input Single Output)伝送方式によりOFDM信号を送信する送信装置である。
【0023】
OFDM送信装置10は、OFDM信号を送信する「移動」または「固定」のいずれかの伝送モードに応じて、パイロット信号で変調されるパイロットキャリアの配置パターンを選択し、選択した配置パターンに応じて、データキャリアの平均電力に対するパイロットキャリアのブースト値を切り替える。そして、OFDM送信装置10は、ブースト値に応じてブーストされたパイロットキャリアが選択された配置パターンに応じて配置されるとともに、選択された配置パターンおよびブースト値を示すTMCC信号で変調されるTMCCキャリアを含む伝送フレームを生成する。
【0024】
図1に示すOFDM送信装置10は、符号化回路11と、マッピング回路12と、フレーム構成回路(フレーム構成部)13と、IFFT回路14と、GI付加回路15と、周波数変換回路16と、制御回路(制御部)17とを備える。
【0025】
符号化回路11は、送信対象のデータ(TS:Transport Stream)が入力され、入力されたデータに対してエネルギー拡散、誤り訂正符号化およびインターリブなどの処理を行い、マッピング回路12に出力する。謝り訂正符号化としては、RS(Reed−Solomon)符号、畳込み符号、ターボ符号、LDPC(Low Density Parity Check)符号などのFEC(Forward Error Correction)による処理が行われる。
【0026】
マッピング回路12は、符号化回路11から出力されたデータを所定の変調方式によりマッピングし、マッピングしたデータをフレーム構成回路13に出力する。変調方式としては、BPSK(Binary Phase Shift Keying),QPSK(Quadrature Phase Shift Keying),16QAM(Quadrature Amplitude Modulation),64QAM,256QAM,1024QAM,4096QAMなどが用いられる。
【0027】
フレーム構成回路13は、パイロットキャリア、TMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control)キャリアなどを生成し、マッピング回路12から出力されたデータと併せて、事前に設定された配置パターンに従って配置して伝送フレーム(周波数領域のOFDM信号)を生成し、生成した伝送フレームをIFFT回路14に出力する。なお、フレーム構成回路13の構成の詳細は後述する。
【0028】
IFFT回路14は、フレーム構成回路13から出力された周波数領域のOFDM信号を逆高速フーリエ変換(IFFT:Inverse Fast Fourier Transform)して時間領域のOFDM信号を生成し、GI付加回路15に出力する。
【0029】
GI付加回路15は、IFFT回路14から出力された時間領域のOFDM信号に所定長のGIを付加し、GIを付加したOFDM信号を周波数変換回路16に出力する。
【0030】
周波数変換回路16は、GI付加回路15から出力されたGIが付加されたOFDM信号(ベースバンド信号)を所定周波数のRF(Radio Frequency)信号に変換する。このRF信号がアンテナを介して送信される。
【0031】
制御回路17は、符号化回路11におけるFECの方式や符号化率、マッピング回路12における変調方式、フレーム構成回路13で使用するフレームのパターン、IFFT回路14における逆高速フーリエ変換のFFTサンプリング数、GI付加回路15が付加するGIのGI長、周波数変換回路16で使用するチャンネルなどの選択に用いられる制御信号を各回路に出力する。
【0032】
次に、フレーム構成回路13の構成について説明する。
【0033】
図2は、フレーム構成回路13の構成例を示す図である。
【0034】
図2に示すフレーム構成回路13は、TMCC生成部131と、パイロットキャリア生成部132と、ブースト値乗算部133と、フレーム構成パターンメモリ134と、スイッチ135と、スイッチ制御部136とを備える。
【0035】
TMCC生成部131は、制御回路17から出力されるFFTサンプリング数、パイロット方式、ブースト値、フレームパターン情報、変調方式、FEC種別などの制御情報を符号化してTMCC信号を生成する。そして、TMCC生成部131は、例えば、BPSK変調方式の場合、生成したTMCC信号がQ軸上において1または−1に変調されるように、TMCCキャリアを生成し、スイッチ135に出力する。
【0036】
パイロットキャリア生成部132は、送信側および受信側で既知のパイロット信号を生成する。そして、パイロットキャリア生成部132は、例えば、BPSK変調方式の場合、生成したパイロット信号がI軸上において1または−1に変調されるように、パイロットキャリア(データ値としては1または−1)を生成し、ブースト値乗算部133に出力する。
【0037】
ブースト値乗算部133は、パイロットキャリア生成部132から出力されたパイロットキャリアに対して、制御回路17から出力される、実際にTSなどのデータを送るデータキャリアの平均電力に対する電力の比率(ブースト値)を乗算して(パイロットキャリアをブースト(増幅)して)、スイッチ135に出力する。
【0038】
フレーム構成パターンメモリ134には、伝送フレームに配置されるデータキャリア、パイロットキャリア、TMCCおよびAC(Auxiliary Channel)キャリアの位置情報などが定義された配置パターンが、事前に設定された伝送モード毎に格納されている。フレーム構成パターンメモリ134は、制御回路17から出力された伝送モードに応じた配置パターンを示すフレームパターン信号をスイッチ制御部136に出力する。
【0039】
スイッチ135は、スイッチ制御部136の制御に従い、送信対象のデータで変調されたデータキャリア、TMCC生成部131から出力されたTMCCキャリア、AC信号で変調されたACキャリアおよびブースト値乗算部133から出力されたパイロットキャリアを所定のキャリア配置位置に挿入した伝送フレームを構成し、IFFT回路14に出力する。
【0040】
スイッチ制御部136は、フレーム構成パターンメモリ134から出力されたフレームパターン信号に従ってスイッチ135を制御し、伝送フレームの所定のキャリア配置位置に挿入するキャリアを切り替える。
【0041】
次に、
図3を参照して本実施形態に係るOFDM受信装置20の構成について説明する。本実施形態に係るOFDM受信装置20は、SISO伝送方式により、
図1に示すOFDM送信装置10から送信されたOFDM信号を1本のアンテナで受信する受信装置である。
【0042】
図3に示すOFDM受信装置20は、周波数変換回路21と、GI除去回路22と、FFT回路23と、TMCC分離回路24(TMCC分離部)と、パイロットキャリア分離回路25(パイロットキャリア分離部)と、伝搬路応答推定回路26(伝搬路応答推定部)と、復号回路27と、デマッピング回路28と、誤り訂正復号回路29とを備える。
【0043】
周波数変換回路21は、
図1に示すOFDM送信装置10により送信されたOFDM信号(RF信号)をOFDM受信装置20のアンテナが受信すると、そのOFDM信号をベースバンド信号に変換して、GI除去回路22に出力する。
【0044】
GI除去回路22は、周波数変換回路21から出力されたOFDM信号内のGIを除去し、FFT回路23に出力する。
【0045】
FFT回路23は、GI除去回路22から出力されたOFDM信号を高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)して周波数領域のOFDM信号を生成し、TMCC分離回路24、パイロットキャリア分離回路25および復号回路27に出力する。
【0046】
TMCC分離回路24は、FFT回路23から出力された周波数領域のOFDM信号からTMCCキャリアを分離・復調してTMCC信号を取得し、取得したTMCC信号から制御情報を復号して、パイロットキャリア分離回路25、伝搬路応答推定回路26、復号回路27、デマッピング回路28および誤り訂正復号回路29に出力する。
【0047】
パイロットキャリア分離回路25は、TMCC分離回路24から出力された制御情報(フレームパターン情報)を用いて、FFT回路23から出力された周波数領域のOFDM信号からパイロットキャリアを分離(抽出)し、受信パイロットキャリアとして伝搬路応答推定回路26に出力する。
【0048】
伝搬路応答推定回路26は、パイロットキャリア分離回路25から出力された受信パイロットキャリアと、TMCC分離回路24から出力された制御情報(ブースト値)とを用いて伝搬路応答を推定し、復号回路27に出力する。
【0049】
なお、ブースト値は、OFDM送信装置10とOFDM受信装置20とで共通して、フレームパターン情報などに関連付けておいてもよい。この場合、TMCC信号にブースト値を含める必要が無くなり、TMCC信号に重畳する情報を削減することができる。また、用いるブースト値を限定しておき、データキャリアの平均電力とパイロットキャリアの平均電力との比較により、ブースト値を特定するようにしてもよい。
【0050】
復号回路27は、TMCC分離回路24から出力された制御情報、および、伝搬路応答推定回路26から出力された伝搬路応答を用いて、FFT回路23から出力されたOFDM信号のうちキャリアを復号し、復号後のデータをデマッピング回路28に出力する。
【0051】
デマッピング回路28は、TMCC分離回路24から出力された制御情報(変調方式)に基づき、復号回路27から出力されたデータをデマッピングし、誤り訂正復号回路29に出力する。
【0052】
誤り訂正復号回路29は、TMCC分離回路24から出力された制御情報を用いて、デマッピング回路28から出力されたデータに対して、送信側に対応した、デインタリーブ、誤り訂正符号の復号、エネルギー逆拡散などの処理を行い、元のデータ(TS)を出力する。
【0053】
本実施形態における伝送モードの一例を表1に示す。表1では、運用状況が「移動」である場合、および、運用状況が「固定」である場合を示している。運用状況が「固定」である場合とは、無線局(OFDM送信装置10、OFDM受信装置20)間を固定で運用することを想定した場合であり、この場合を以下では、伝送モードが「固定」であると呼ぶ。また、運用状況が「移動」である場合とは、OFDM送信装置10、OFDM受信装置20の少なくとも一方が移動して運用することを想定した場合であり、この場合を以下では、伝送モードが「移動」であると呼ぶ。
【0055】
以下では、表1の各項目について説明する。
【0056】
FFTポイント数およびFFTサンプリング周波数は、
図1に示すIFFT回路14におけるIFFTおよび
図3に示すFFT回路23におけるFFTに用いるパラメータである。FFTサンプリング周波数一定でFFTポイント数を大きくすると、OFDM信号の有効シンボル長が長くなり、GI長を固定とすると、伝送シンボル全体に占めるGIの割合が小さくなり、伝送容量が増大する。一方で、伝搬路応答の時間変化が大きい移動受信環境では、1シンボル内でのチャネル変動の影響のためシンボル長は短い方が有利であり、小さなFFTポイント数が望ましい。
【0057】
パイロット方式について、CP(Continual Pilot)方式は、ある特定のキャリアについてシンボル方向(時間方向)に連続してパイロットキャリアを配置する方式である。等化する1シンボルにおけるパイロットキャリアで伝搬路応答を推定することができるので、伝搬路応答の時間変化が大きい移動受信に有利である。SP(Scattered Pilot)方式は、ある特定のキャリア、シンボルにパイロットキャリアを分散して(時間方向および周波数方向にパイロットキャリアを分散して)配置する方式である。等化するシンボルの前後のシンボルを含む複数のシンボルをため込んで伝搬路応答を推定するため、CP方式と比べ、パイロットキャリアを間引くことができ、伝送効率を上げることができる。ただし、シンボルをため込んで処理するため、SP方式は、伝搬路応答の時間変化が大きい受信環境では、CP方式と比べて特性が劣化する(非特許文献5参照)。
【0058】
表1における伝送モード毎の伝送フレームの例を
図4および
図5に示す。
図4は、伝送モードが「移動」である場合の伝送フレームを示し、
図5は、伝送モードが「固定」である場合の伝送フレームを示す。
【0059】
図4に示す伝送フレームにおいては、キャリア方向(周波数方向)のパイロットキャリアの挿入間隔と、シンボル方向(時間方向)のパイロットキャリアの挿入間隔との積Nftは8である。また、
図5に示す伝送フレームにおいては、キャリア方向(周波数方向)のパイロットキャリアの挿入間隔と、シンボル方向(時間方向)のパイロットキャリアの挿入間隔との積Nftは128である。それぞれの伝送モードにおいて、OFDM送信装置10とOFDM受信装置20とをガウス雑音下で用いた場合のブースト値に対するBER(Bit Error Rate)特性のシミュレーション結果を
図6に示す。
【0060】
図6に示すように、伝送モードが「移動」である場合には、ブースト値が1.5付近でBERが最小となり、伝送モードが「固定」である場合には、ブースト値が2.6付近でBERが最小となっている。したがって、制御回路17は、OFDM信号の伝送モードに応じて、パイロットキャリアの配置パターン(例えば、SP方式またはCP方式)を選択し、選択したパイロットキャリアの配置パターンに応じてブースト値を切り替えてブースト値乗算部133に出力すればよい。
【0061】
以上により、伝送モードに応じてパイロットキャリアの挿入間隔を設定することができ、また、その挿入間隔に応じたブースト値をパイロットキャリアに乗算することができる。その結果、必要最小限のパイロットキャリア数を設定し、データキャリア数を増加させることができるので、伝送効率の向上を図ることができ、また、パイロットキャリアの挿入間隔に応じた最適なブースト値を用いることで、所要C/Nの低減を図ることができる。
【0062】
なお、伝送モードは、上述した例に限られるものではない。伝送モードとしては、例えば、FFTサンプリング周波数が20.45MHzであり、FFTポイント数が2048であり、GI比が1/8である伝送モード(第1の伝送モード)がある。第1の伝送モードの場合、制御回路17は、例えば、パイロットキャリアを、キャリア方向(周波数方向)に8キャリアに1回挿入する配置パターン(
図4に示す配置パターン)を選択し、選択した配置パターンに応じたブースト値に切り替える。
【0063】
また、伝送モードとしては、例えば、FFTサンプリング周波数が20.45MHzであり、FFTポイント数が2048であり、GI比が1/8であり、パイロットキャリアの間引きを行う伝送モード(第2の伝送モード)がある。第2の伝送モードの場合、制御回路17は、例えば、パイロットキャリアを、シンボル方向(時間方向)にt(tは2以上の整数)回に1回挿入し、キャリア方向(周波数方向)にk(8≦k≦8×t、かつ、kは整数)キャリアに1回挿入する配置パターンを選択する。
【0064】
また、伝送モードとしては、例えば、FFTサンプリング周波数が20.45MHzであり、FFTポイント数が8192であり、GI比が1/32である伝送モード(第3の伝送モード)がある。第3の伝送モードの場合、制御回路17は、例えば、パイロットキャリアを、キャリア方向(周波数方向)に32キャリアに1回挿入する配置パターンを選択する。
【0065】
また、伝送モードとしては、例えば、FFTサンプリング周波数が20.45MHzであり、FFTポイント数が8192であり、GI比が1/32であり、パイロットキャリアの間引きを行う伝送モード(第4の伝送モード)がある。第4の伝送モードの場合、制御回路17は、例えば、パイロットキャリアを、シンボル方向(時間方向)にt(tは2以上の整数)回に1回挿入し、キャリア方向(周波数方向)にj(32≦j≦32×t、かつ、jは整数)キャリアに1回挿入する配置パターン(
図5に示す配置パターン)を選択する。
【0066】
なお、表1では、FFTポイント数が8192であり、GI比が1/32である伝送モードは、運用状況が「固定」である場合(OFDM送信装置10およびOFDM受信装置20が固定されている場合)の伝送モードとして説明したが、これに限られるものではない。伝搬状況「移動」である場合の伝送モードとして、FFTポイント数が8192であり、GI比が1/32である伝送モードが選択されることもある。
【0067】
(第2の実施形態)
図7は、本発明の第2の実施形態に係るOFDM送信装置30の構成例を示す図である。本実施形態に係るOFDM送信装置30は、複数のアンテナ(
図7では2本のアンテナ)で信号を送受信するMIMO(Multi Input Multi Output)伝送方式によりOFDM信号を送信する送信装置である。なお、
図7において、
図1と同様の構成については、同じ符号を付し、説明を省略する。
【0068】
図7に示すOFDM送信装置30は、符号化回路11と、マッピング回路12と、分割回路31と、フレーム構成回路13a,13bと、IFFT回路14a,14bと、GI付加回路15a,15bと、周波数変換回路16a,16bと、制御回路32とを有する。フレーム構成回路13a、IFFT回路14a、GI付加回路15aおよび周波数変換回路16aが一方のアンテナに対応して設けられ、フレーム構成回路13b、IFFT回路14b、GI付加回路15bおよび周波数変換回路16bが他方のアンテナに対応して設けられている。なお、フレーム構成回路13a,13b、IFFT回路14a,14b、GI付加回路15a,15b、周波数変換回路16a,16bはそれぞれ、第1の実施形態における、フレーム構成回路13、IFFT回路14、GI付加回路15、周波数変換回路16に対応するものであるため、説明を省略する。
【0069】
分割回路31は、マッピング回路12から出力されたデータを2分割して(OFDM送信装置30が備えるアンテナの本数分に分割して)、各アンテナに対応して設けられたフレーム構成回路13a,13bに出力する。
【0070】
制御回路32は、制御回路17と同様に、制御信号を各回路(符号化回路11、マッピング回路12、フレーム構成回路13a,13b、IFFT回路14a,14b、GI付加回路15a,15bおよび周波数変換回路16a,16b)に出力する。
【0071】
図8は、本発明の第2の実施形態に係るOFDM受信装置40の構成例を示す図である。本実施形態に係るOFDM受信装置40は、MIMO伝送方式により、
図7に示すOFDM送信装置30から送信されたOFDM信号を複数のアンテナ(
図8では2本のアンテナ)で受信する受信装置である。なお、
図8において、
図3と同様の構成については、同じ符号を付し、説明を省略する。
【0072】
図8に示すOFDM受信装置40は、周波数変換回路21a,21bと、GI除去回路22a,22bと、FFT回路23a,23bと、TMCC分離回路24a,24bと、パイロットキャリア分離回路25a,25bと、伝搬路応答推定回路41と、MIMO検出回路42と、デマッピング回路28と、誤り訂正復号回路29とを備える。周波数変換回路21a、GI除去回路22a、FFT回路23a、TMCC分離回路24aおよびパイロットキャリア分離回路25aが一方のアンテナに対応して設けられ、周波数変換回路21b、GI除去回路22b、FFT回路23b、TMCC分離回路24bおよびパイロットキャリア分離回路25bが他方のアンテナに対応して設けられている。なお、周波数変換回路21a,21b、GI除去回路22a,22b、FFT回路23a,23b、TMCC分離回路24a,24bおよびパイロットキャリア分離回路25a,25bはそれぞれ、第1の実施形態における、周波数変換回路21、GI除去回路22、FFT回路23、TMCC分離回路24およびパイロットキャリア分離回路25に対応するものであるため、説明を省略する。
【0073】
伝搬路応答推定回路41は、パイロットキャリア分離回路25a,25bそれぞれから受信パイロットキャリアが入力され、入力された受信パイロットキャリアを用いて、OFDM送信装置30が備えるアンテナと、OFDM受信装置40が備えるアンテナとの間の全ての伝搬路応答を推定し、MIMO検出回路42に出力する。
【0074】
MIMO検出回路42は、伝搬路応答推定回路41から出力された伝搬路応答を用いて、FFT回路23a,23bから出力された周波数領域のOFDM信号の波形等化およびMIMO分離を行い、デマッピング回路28に出力する。
【0075】
本実施形態における伝送モードの一例を表2に示す。表2では、運用状況が「固定」である場合(伝送モードが「固定」である場合)および運用状況が「移動」(伝送モードが「移動」である場合)である場合を示している。
【0077】
表2に示すように、伝送モードが「固定」である場合も、「移動」である場合も、各項目(FFTポイント数、パイロット方式、ガードインターバル比)は、第1の実施形態と同じである。表2における伝送モード毎の伝送フレームの例を
図9および
図10に示す。
図9は、伝送モードが「移動」である場合の伝送フレームを示し、
図10は、伝送モードが「固定」である場合の伝送フレームを示す。
【0078】
MIMO伝送方式では、OFDM送信装置30が備える2本のアンテナのうちの一方のアンテナ(送信系統1)から送信するパイロットキャリアと、他方のアンテナ(送信系統2)から送信するパイロットキャリアとを区別する必要がある。そのため、CP方式では、
図9に示すように、OFDM送信装置30は、送信系統2のパイロットキャリアの位相を反転させる。また、OFDM受信装置40は、送信系統1および送信系統2に対する伝搬路応答を2シンボルの和と差とで推定する。SP方式では、
図10に示すように、OFDM送信装置30は、偶数シンボルで送信系統1のみにパイロットキャリアを割り当て、奇数シンボルで送信系統2のみにパイロットキャリアを割り当てる。OFDM受信装置40は、シンボル毎に送信系統1および送信系統2に対する伝搬路応答を推定する。
【0079】
図9に示す伝送フレームにおいては、キャリア方向(周波数方向)のパイロットキャリアの挿入間隔と、シンボル方向(時間方向)のパイロットキャリアの挿入間隔との積Nftは8である。また、
図10に示す伝送フレームにおいては、キャリア方向(周波数方向)のパイロットキャリアの挿入間隔と、シンボル方向(時間方向)のパイロットキャリアの挿入間隔との積Nftは128である。それぞれの伝送モードにおいて、OFDM送信装置30とOFDM受信装置40とをガウス雑音下で用いた場合のブースト値に対するBER特性のシミュレーション結果を
図11に示す。
【0080】
図11に示すように、伝送モードが「移動」である場合には、ブースト値が1.5付近でBERが最小となり、伝送モードが「固定」である場合には、ブースト値が2.9付近でBERが最小となっている。したがって、制御回路32は、OFDM信号の伝送モードに応じて、パイロットキャリアの配置パターン(例えば、SP方式またはCP方式)を選択し、選択したパイロットキャリアの配置パターンに応じてブースト値を切り替えて、フレーム構成回路13a,13bが備えるブースト値乗算部133に出力すればよい。
【0081】
こうすることで、MIMO伝送方式の場合にも、伝送モードに応じてパイロットキャリアの最大挿入間隔を設定することでき、また、その挿入間隔に応じたブースト値をパイロットキャリアに乗算することができる。その結果、必要最小限のパイロットキャリア数を設定し、データキャリア数を増加させることができるので、伝送効率の向上を図ることができ、また、パイロットキャリアの挿入間隔に応じた最適なブースト値を用いることで、所要C/Nの低減を図ることができる。
【0082】
なお、伝送モードは、上述した例に限られるものではなく、本実施形態においても、上述した第1から第4の伝送モードを用いることができる。
【0083】
なお、本実施形態では、OFDM送信装置10,30およびOFDM受信装置20,40の構成および動作について説明したが、本発明はこれに限られず、OFDM送信装置10,30におけるOFDM信号を送信するための方法、OFDM受信装置20,40におけるOFDM信号を受信するための方法として構成されてもよい。
【0084】
また、実施形態では特に触れていないが、OFDM送信装置10,30およびOFDM受信装置20,40が行う各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。また、プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD−ROMやDVD−ROMなどの記録媒体であってもよい。
【0085】
あるいは、OFDM送信装置10,30およびOFDM受信装置20,40が行う各処理を実行するためのプログラムは記憶するメモリおよびメモリに記憶されたプログラムを実行するプロセッサによって構成され、OFDM送信装置10,30およびOFDM受信装置20,40に搭載されるチップが提供されてもよい。
【0086】
本発明を図面および実施形態に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形または修正を行うことが容易であることに注意されたい。したがって、これらの変形または修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各ブロックなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数のブロックを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。