(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来から、液体を移送するために様々なポンプが用いられており、このようなポンプとして、自吸式ポンプが知られている。自吸式ポンプは、ケーシング内部を液体で満たしておくだけで、ポンプ自身の運転によって吸込管内の空気を排出することが可能なポンプである。自吸式ポンプは、吸込管内の空気をケーシングの吐出口から排出する自吸運転を行い、その後に、液体のみを吐出口から排出する揚液運転を行う。
【0003】
図7は、自吸式ポンプを備えたポンプ装置の従来例を示す概略図である。
図7に示されるように、ポンプ装置は、自吸式ポンプ200と、自吸式ポンプ200を駆動する電動機203と、自吸式ポンプ200に接続された吸込管201および吐出管202と、自吸式ポンプ200の吐出し側に接続された排気管205とを備えている。吸込管201の先端は、井戸や貯水槽などの液体供給源内に位置している。自吸式ポンプ200は、地上に設置されており、吸込管201を通じて液体を汲み上げ、吐出管202を通じて建物や他の貯水槽に移送する。
【0004】
排気管205には空気抜き弁208が取り付けられている。この空気抜き弁208はユーザーによって操作される。自吸運転は次のようにして行われる。まず、呼び水を自吸式ポンプ200のケーシング内に注入する。自吸式ポンプ200内に水が存在する状態で自吸式ポンプ200の羽根車を回転させると、自吸式ポンプ200の吸込側には負圧が生じる。吸込管201内の空気は、負圧によって自吸式ポンプ200内に引き込まれ、さらに羽根車の回転によって空気は水と混合される。空気は、自吸式ポンプ200内の気液分離室で水から分離され、空気は少しずつ自吸式ポンプ200から吐き出される。吸込管201および自吸式ポンプ200のケーシングから全ての空気が排出されると、自吸式ポンプ200は、通常の揚液運転を行う。
【0005】
自吸運転中は、空気のみが自吸式ポンプ200から排出される。そこで、自吸運転中は空気を吐出管202から抜くために、空気抜き弁208が開かれる。具体的には、ユーザーは、自吸運転が開始される前に空気抜き弁208を開き、自吸運転が終わった時点で空気抜き弁208を閉じる。このような空気抜き弁208の操作により、空気は排気管205を通じて排気される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、空気抜き弁208を閉じるタイミングが遅れると、遅れた時間分だけ液体が排気管205を通って排出される。このような液体は、目的の場所まで移送されない無駄な液体であり、結果としてポンプ効率が低下してしまう。
【0008】
そこで、本発明は、自吸運転の完了を速やかに検出することができる自吸運転検出システムを提供することを目的とする。また、本発明は、そのような自吸運転検出システムを備えたポンプ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成するために、本発明の一態様は、自吸式ポンプの吸込圧力を測定する圧力測定器の計測値を受信する入力部と、前記圧力測定器によって測定された吸込圧力と、該吸込圧力の測定経過時間とに基づいて前記自吸式ポンプの自吸運転の完了を検出する制御部とを備え
、前記制御部が前記自吸運転の完了を検出する動作は、前記吸込圧力が一定となったことを検出する動作であることを特徴とする自吸運転検出システムである。
【0010】
本発明の一
参考例は、
自吸式ポンプの吸込圧力を測定する圧力測定器の計測値を受信する入力部と、前記圧力測定器によって測定された吸込圧力と、該吸込圧力の測定経過時間とに基づいて前記自吸式ポンプの自吸運転の完了を検出する制御部とを備え、前記制御部が前記自吸運転の完了を検出する動作は、前記吸込圧力の変化量がしきい値を超えたことを検出する動作であることを特徴とする
。
本発明の
一態様は、
自吸式ポンプの吸込圧力を測定する圧力測定器の計測値を受信する入力部と、前記圧力測定器によって測定された吸込圧力と、該吸込圧力の測定経過時間とに基づいて前記自吸式ポンプの自吸運転の完了を検出する制御部とを備え、前記制御部が前記自吸運転の完了を検出する動作は、前記計測値の変化量がしきい値を超えたことを検出した後に前記計測値が一定となったことを検出する動作であることを特徴とする
自吸運転検出システムである。
本発明の好ましい態様は、前記自吸式ポンプの始動時の吸込圧力が基準吸込圧力未満である場合は、前記制御部は自吸運転が行われていることを検出することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記制御部は、前記自吸運転の完了を示す信号を出力する出力部を有することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記信号を受信し、前記自吸運転の完了を表示する表示装置をさらに備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明の一態様は、自吸式ポンプと、上記自吸運転検出システムとを備えたポンプ装置である。
本発明の好ましい態様は、前記自吸式ポンプの吐出し側に接続された排気管と、前記排気管に取り付けられた自動弁とをさらに備え、前記制御部は、前記自吸運転の完了を検出した後に、前記排気管に取り付けられた前記自動弁を閉じることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記自吸式ポンプの吐出し側に接続された液体戻り管と、前記液体戻り管に取り付けられた自動弁とをさらに備え、前記制御部は、前記自吸運転の完了を検出した後に、前記液体戻り管に取り付けられた前記自動弁を閉じることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記自吸式ポンプを回転させる電動機と、前記電動機を変速可能とするインバータをさらに備え、前記制御部は前記インバータに指令を発して、前記自吸式ポンプが自吸運転を行っている間、前記電動機が前記自吸式ポンプを略最高回転速度で回転させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
自吸運転中は、空気の負圧が圧力測定器によって計測される。よって、自吸運転の開始後は、吸込圧力は自吸式ポンプの運転に伴って徐々に低下する。自吸運転が完了して揚液運転が開始されると、液体が自吸式ポンプ2内に吸引され、吸込圧力は急激に低下する。揚液運転が開始された後は、吸込圧力は実質的に一定に維持される。これは、揚液運転中の吸込圧力は、自吸式ポンプからの液体の吐き出し流量にかかわらず、液体供給源の液面と自吸式ポンプとの高低差に依存するからである。自吸式ポンプが運転している間、井戸や貯水槽などの液体供給源の液面位置は一定である。よって、揚液運転中の吸込圧力も一定である。
【0013】
本発明によれば、吸込圧力の変化に基づいて、自吸運転が完了したことが検出される。上述したように、自吸運転が完了すると、吸込圧力は急激に変化し、その後に一定となる。制御部は、この吸込圧力の特徴的な変化に基づいて自吸運転の完了を検出することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、自吸運転検出システムを備えたポンプ装置の一実施形態を示す模式図である。本実施形態に係るポンプ装置は、井戸や貯水槽などの水源から水を汲み上げて、水を建物内に移送する給水装置にポンプ装置が適用された例である。
【0016】
図1に示すように、ポンプ装置は、自吸式ポンプ2と、自吸式ポンプ2を駆動する電動機6と、自吸式ポンプ2の吐出し側に接続された排気管5とを備えている。自吸式ポンプ2の吸込口7には吸込管3が接続され、自吸式ポンプ2の吐出口8には吐出管4が接続される。吸込管3の先端は、井戸や貯水槽などの液体供給源内に位置している。本実施形態では、建物100内に設置された水栓(例えば蛇口)101が吐出管4に接続されている。自吸式ポンプ2は、地上に設置されており、吸込管3を通じて液体を汲み上げ、吐出管4を通じて建物100に移送する。自吸式ポンプ2は、液体供給源の液面よりも高い位置に設置されている。
【0017】
ポンプ装置は、自吸式ポンプ2の吸込圧力を測定する真空計11と、排気管5に取り付けられた手動弁13と、真空計11に接続された制御部20と、制御部20に接続された表示装置40とを備えている。真空計11は、自吸式ポンプ2の吸込側の流体(液体および/または空気)の圧力、すなわち自吸式ポンプ2の吸込圧力を測定するための圧力測定器である。自吸式ポンプ2の羽根車の吸込側であれば、真空計11の設置位置は特に限定されない。本実施形態では、一例として、真空計11は吸込管3に接続されており、真空計11は吸込管3内の流体(液体および/または空気)の圧力、すなわち吸込圧力を測定する。
【0018】
ここで、自吸式ポンプ2の運転中に吸込圧力を測定する場合は、真空計11は吸込管3、吸込口7、および吸込室31a(
図2参照)のうちのいずれかに接続されていればよい。また、自吸式ポンプ2の自吸運転中の吸込圧力は、空気の圧力を計測するため、吸込管3の上端以上の高さに配置するとよい。
【0019】
制御部20は、真空計11によって測定された吸込圧力と、該吸込圧力の測定経過時間とに基づいて自吸式ポンプ2の自吸運転の完了を検出するように構成されている。制御部20は、その内部に記憶装置21と、演算装置22、入力部25、出力部26を備えている。記憶装置21はハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)および/または、ROM、RAM、フラッシュメモリなどのメモリを備える。本実施形態では、演算装置22としては、CPU(Central Processing Unit)が使用される。記憶装置21にはプログラムが予め格納されており、演算装置22はプログラムに従って動作する。また、演算装置22は、CPUを用いずにリレーシーケンス等で構成してもよい。
【0020】
入力部25は、各種検出器や外部からの信号を入力し、記憶装置21と、演算装置22に送る。また、出力部26は、例えば、自吸運転の完了や各種警報などの記憶装置21のデータや演算装置22による演算結果を、外部に出力する。なお、入力部25及び出力部26は、デジタル信号、アナログ信号を用いて信号の入出力を行ってもよいし、通信(シリアル通信、パケット通信、各種無線通信)を用いて信号の入出力を行ってもよい。本実施形態では、入力部25は、自吸式ポンプ2の吸込圧力を測定する真空計(圧力測定器)11の計測値を受信する。また、出力部26は自吸式ポンプ2の自吸運転の完了を示す信号を出力する。
【0021】
制御部20は、真空計11から入力部25へ送られてくる吸込圧力の計測値を監視し、吸込圧力の変化に基づいて自吸式ポンプ2の自吸運転の完了を検出する。本実施形態では、制御部20が自吸運転の完了を検出する動作は、吸込圧力の変化量がしきい値を超えたことを検出する動作である。吸込圧力の変化量とは、単位時間当たりに変化した吸込圧力の量である。具体的には、制御部20は、自吸式ポンプ2を始動させ、その後、吸込圧力の変化量がしきい値を超えたことを検出することによって自吸運転の完了を検出する。しきい値は、制御部20の記憶装置21に予め格納されており、ユーザーにより変更可能としてもよい。
【0022】
図2は、自吸式ポンプ2の一実施形態を示す断面図である。自吸式ポンプ2は、ケーシング31と、ケーシング31内に配置された羽根車32を備えている。本実施形態では、羽根車32は遠心式羽根車である。羽根車32は、電動機6の回転軸6aに連結されている。ケーシング31は、吸込管3が接続された吸込口7と、吐出管4が接続された吐出口8を有している。ケーシング31は、その内部に、吸込室31aと、羽根車室31bと、ボリュート室31cと、気液分離室31dを有する。ボリュート室31cは羽根車室31bを囲んでいる。
【0023】
排気管5は、ケーシング31の吐出し側に接続されている。より具体的には、排気管5はケーシング31の上部に接続されている。排気管5とケーシング31との接続位置は、羽根車32よりも上方である。本実施形態では、排気管5はケーシング31の吐出口8の側部に接続されている。排気管5は吐出口8を通じて気液分離室31dに連通している。一実施形態では、排気管5は、気液分離室31dを形成するケーシング31の部位に接続されてもよい。
【0024】
気液分離室31dは羽根車室31bの下流に設けられており、羽根車32は羽根車室31bに収容されている。気液分離室31dは吐出口8に接続され、吐出口8は吐出管4に接続されている。空気および/または液体は、吐出口8を通ってケーシング31から排出される。吸込室31a内には、吸込口7を閉じる逆止弁37が配置されている。この逆止弁37は、自吸式ポンプ2の運転が停止したときに、ケーシング31内の液体が吸込管3に逆流することを防止し、自吸運転に必要な液体をケーシング31内に溜めておくことができる。
【0025】
自吸運転は次のようにして行われる。まず、呼び水をケーシング31内に注入する。ケーシング31内に水が存在する状態で羽根車32を回転させると、吸込室31a内には負圧が生じる。吸込管3内の空気は、負圧によって吸込室31a内に引き込まれ、さらに羽根車32の回転によって空気は水と混合される。空気は、気液分離室31d内で水から分離され、空気は少しずつケーシング31から吐き出される。吸込管3およびケーシング31から全ての空気が排出されると、自吸式ポンプ2は、自吸運転を終了して通常の揚液運転を行う。
【0026】
自吸運転中は、自吸式ポンプ2からは空気のみが排出される。そこで、空気をケーシング31から抜くために、自吸運転が開始される前にユーザーは手動弁13を開き、排気管5を通じてケーシング31の吐出側を大気に連通させる。本実施形態では、手動弁13は空気抜き弁として機能する。自吸運転中、空気は排気管5を通って排出される。制御部20は、吸込圧力の変化量がしきい値を超えたことを検出し、その後制御部20は自吸運転の完了が検出されたことを示す信号を出力部26から表示装置40に送信する。表示装置40はこの信号を受け取り、自吸式ポンプ2の自吸運転が完了したことを表示する。ユーザーは表示装置40の表示を確認し、手動弁13を閉じる。
【0027】
本実施形態によれば、自吸運転が完了したことが表示装置40に速やかに表示されるので、ユーザーは、表示装置40の表示に基づいて手動弁13を閉じることができる。結果として、自吸式ポンプ2で加圧された液体が排気管5を通じて排出されることを防止することができ、ポンプ効率が向上する。
【0028】
本実施形態に係るポンプ装置は、上述したように、自吸式ポンプ2の自吸運転の完了を検出することができる自吸運転検出システムを備えている。この自吸運転検出システムは、真空計(圧力測定器)11の測定値が入力される入力部25を備えた制御部20を少なくとも備える。一実施形態では、自吸運転検出システムは、真空計(圧力測定器)11と、制御部20と、表示装置40を備えてもよい。
【0029】
図3は、真空計11の計測値を示す図である。グラフの縦軸は真空計11の計測値であり、グラフの横軸は吸込圧力の測定開始後の経過時間、すなわち測定経過時間を表している。吸込管3内の液面高さは、真空計11によって測定された吸込圧力から換算することができる。より具体的には、吸込管3内の液面高さは、真空計11の計測値と、液体供給源の液面高さとから計算することができる。具体的には、
図3のP1′は、液体供給源の水面と真空計11の受圧部との高低差H(
図1参照)である。よって、高低差Hより真空計11の計測値を減算すれば、液体供給源の水面からの吸込管3内の液面高さを求めることができる。制御部20は、その記憶装置21内に吸込管3内の液面高さを求めるための計算式を予め格納している。制御部20の演算装置22は、真空計11から送られてくる吸込圧力の計測値を計算式に入力して、吸込管3内の液面高さを算出する。時間T0から時間T1の間は、真空計11の計測値が上昇するほど、吸込管3内の液面高さも上昇している。
【0030】
図3に示す時間T0は、自吸運転を開始した時点、すなわち自吸式ポンプ2を始動させた時点である。自吸運転中は、空気の負圧が真空計11によって計測される。よって、
図3に示すように、自吸運転の開始後、真空計11の計測値は徐々に上昇する。これは、自吸式ポンプ2の自吸運転に伴って、吸込管3内の空気の圧力、すなわち吸込圧力が徐々に低下する(吸込管3内の液面高さが徐々に上昇する)ことを意味する。自吸運転が完了する直前(時間T1の直前)、吸込管3内が液体で満たされると、真空計11の計測値は、液体供給源と真空計11の受圧部の高低差HであるP1′となり、次に自吸運転が完了して揚液運転が開始されると、吸込管3内の液体が自吸式ポンプ2内に吸引される液体の圧力値を計測するため、真空計11の計測値はP1′からP1へと急激に上昇(時間T1)する。よって、時間T1では、吸込圧力は急激に低下する。
【0031】
揚液運転が開始された後(T1以降)は、吸込圧力は実質的に一定に維持される。これは、揚液運転中の吸込圧力は、自吸式ポンプ2からの液体の吐き出し流量にかかわらず、液体供給源の液面と自吸式ポンプ2との高低差に依存するからである。通常、自吸式ポンプ2が運転している間、井戸や貯水槽などの液体供給源の液面位置は一定である。よって、揚液運転中の吸込圧力も一定である。
【0032】
本実施形態では、自吸運転が完了したこと、すなわち吸込管3および自吸式ポンプ2のケーシング31から空気が排除されたことを検出するために、制御部20は、真空計11によって測定された吸込圧力と測定経過時間とを監視し、吸込圧力の特徴的な変化を検出するように構成される。具体的には、制御部20は、吸込圧力の変化量を算出し、算出された変化量をしきい値と比較し、変化量がしきい値を超えたこと、すなわち自吸運転の完了を検出し、自吸運転の完了を示す信号を出力部26から表示装置40に送信するように構成されている。
【0033】
本実施形態によれば、吸込圧力の変化量がしきい値を超えたことをトリガーとして自吸運転の完了を示す信号を出力部26から出力することによって表示装置40に自吸運転の完了を表示させることができる。よって、ユーザーは速やかに手動弁13を閉じることができる。結果として、自吸式ポンプ2で加圧された液体が排気管5を通じて排出されることを防止することができ、ポンプ効率が向上する。
【0034】
吸込管3内が液体で満たされている状態で自吸式ポンプ2が始動される場合は、揚水運転が行われる。一方、吸込管3内が水で満たされておらず空気がある場合は、自吸運転が行われる。より具体的には、
図3において、液体供給源の液面と真空計11との高低差Hを基準吸込圧力P1′とすると、自吸式ポンプ2の始動時もしくは始動直後の吸込圧力が基準吸込圧力P1′以上である場合は、揚水運転が行われる。一方、制御装置20は、自吸式ポンプ2の始動時の吸込圧力が基準吸込圧力P1′未満である場合は、自吸運転が行われると判断する。
【0035】
上記基準吸込圧力P1′は、液体供給源の液面と自吸式ポンプ2との高低差に依存して一意に決まる。制御部20は、自吸式ポンプ2の始動時(始動直後も含む)の吸込圧力が基準吸込圧力P1′未満である場合は、自吸運転が行われていることを検出し、自吸運転が行われていることを示す信号を出力する。表示装置40はこの信号を受け取り、自吸運転が行われていることを表示する。本実施形態によれば、ユーザーは表示装置40の表示を確認することにより、現在自吸運転が行われていることを認識することができる。
【0036】
図3に示すように、揚液運転中の吸込圧力は、自吸式ポンプ2からの液体の吐き出し流量にかかわらず、吸込圧力は一定に維持される(
図3の符号P1参照)。そこで、一実施形態では、制御部20は、吸込圧力の急激な低下を検出することに代えて、吸込圧力が一定となったことを検出してもよい。より具体的には、制御部20は、真空計11によって測定された吸込圧力を監視し、吸込圧力が所定の時間幅の間に一定に維持されたことを検出した後に、自吸運転が完了したことを示す信号を出力する。
【0037】
本明細書においては、吸込圧力が一定であることには、吸込圧力の変化量が0であることのみならず、本発明の技術分野において吸込圧力が実質的に一定とみなせる微小な変動も含む。この実施形態では、吸込圧力が所定の時間幅の間に一定に維持されたか否かは、所定の時間幅における吸込圧力の振れ幅が予め設定された管理値以内であるか否かに基づいて決定される。これら時間幅および管理値は、自吸式ポンプ2の構造に応じて適宜設定される。例えば、上記時間幅は5秒であり、上記管理値は−1kPaから1kPaの範囲内で設定される。
【0038】
吸込圧力を監視する理由は、上述したように、自吸運転が完了したときに吸込圧力は急激に変化し、その後は一定に維持されるからである。これに対して、吐出圧力は、自吸運転が完了した後は吐出流量に依存して変化する。例えば、吐出管4に接続されている水栓(例えば蛇口)101を開くと、吐出流量が上昇し、吐出圧力は低下する。言い換えれば、揚液運転中は、ユーザーの水の使用に応じて吐出圧力は変化する。本実施形態によれば、制御部20は、吸込圧力を監視するので、正確に自吸運転の完了を検出することができる。
【0039】
一実施形態では、制御部20は、吸込圧力の変化量がしきい値を超えたことを検出し、その後、吸込圧力が一定となったことを検出することによって、自吸運転の完了を検出してもよい。この実施形態によれば、制御部20は、より正確に自吸運転の完了を検出することができる。
【0040】
制御部20は、上述したように、真空計11の計測値である吸込圧力を液面高さに換算することができる。そこで、一実施形態では、制御部20は、液面高さを示す液面信号を出力部26から表示装置40に送信し、表示装置40は、液面信号を受けて液面高さを表示する。表示装置40は、建物100外に設置されてもよく、または建物100内に設置されてもよい。
【0041】
図3のグラフから分かるように、自吸運転が開始された時点T0から、自吸運転が完了する時点T1まで、ある程度の時間がかかる。ユーザーは、自吸式ポンプ2が始動しているにもかかわらず、液体が水栓(蛇口など)101から出てこないと、ポンプ装置が故障したと誤って判断することがある。この実施形態によれば、ユーザーは、表示装置40に示される現在の液面高さを目視することにより、ポンプ装置が正常に動いていることを認識することができる。
【0042】
なお、上述したT1は、自吸式ポンプ2の性能と、液体供給源との真空計11の受圧部の高低差Hによって決まる。ここで、吸込管3の一部に亀裂または穴があると、そこから空気を吸ってしまって、自吸式ポンプ2が運転されていても、吸込管3内の高さは上昇しないことがある。そこで、一実施形態では、自吸式ポンプ2が始動してからT1より長い所定の監視時間が経過するまでに、制御部20が吸込圧力が急激に低下したこと、および/または吸込圧力が一定となったことを検出しなかった場合には、制御部20は自吸運転時間超過の警報を発してもよい。上記所定の監視時間は、例えば、制御部20は警報信号を出力部26から表示装置40に送信し、表示装置40に警報を表示させてもよい。
【0043】
図4は、ポンプ装置の他の実施形態を示す模式図である。特に説明しない構成および動作は、
図1乃至
図3を参照して説明した上記実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。本実施形態では、上述した手動弁13に代えて、自動弁14が排気管5に取り付けられている。自動弁14は、排気管5内の流路を開閉することができる弁体、および該弁体を駆動するアクチュエータを備えた弁である。自動弁14の例としては、電動機を備えた電動弁、電磁石を備えた電磁弁、エアシリンダを備えたエアオペレートバルブが挙げられる。自動弁14は、信号線を介して制御部20の出力部26に接続されている。
【0044】
自吸運転中は、自吸式ポンプ2からは空気のみが排出される。そこで、空気を吐出管4から抜くために、自吸運転中、制御部20は自動弁14を開いた状態に維持する。より具体的には、制御部20は出力部26にて自動弁14を開き、その後制御部20は電動機6を作動させて自吸式ポンプ2を始動させる。自吸運転中、空気は排気管5を通って排出される。やがて、制御部20は、吸込圧力の変化量がしきい値を超えたことを検出し、その後制御部20は自動弁14を閉じる。具体的には、制御部20は、吸込圧力の変化量を算出し、算出された変化量をしきい値と比較し、変化量がしきい値を超えたこと、すなわち自吸運転の完了を検出し、その後出力部26から自動弁14に指令を発して自動弁14を閉じるように構成されている。本実施形態では、自動弁14は空気抜き弁として機能する。
【0045】
本実施形態によれば、制御部20は、吸込圧力の変化量がしきい値を超えたことをトリガーとして出力部26から自動弁14を閉じる。よって、自吸運転が完了した後に速やかに自動弁14が閉じられる。結果として、自吸式ポンプ2で加圧された液体が排気管5を通じて排出されることを防止することができ、ポンプ効率が向上する。
【0046】
先に述べた実施形態のように、制御部20は、吸込圧力の急激な低下を検出することに代えて、吸込圧力が一定となったことを検出してもよい。より具体的には、制御部20は、真空計11によって測定された吸込圧力を監視し、吸込圧力が所定の時間幅の間に一定に維持されたことを検出した後に自動弁14に指令を発して自動弁14を閉じるように構成されてもよい。さらに一実施形態では、制御部20は、吸込圧力の変化量がしきい値を超えたことを検出し、その後、吸込圧力が一定となったことを検出することによって、自吸運転の完了を検出してもよい。この実施形態によれば、制御部20は、より正確に自吸運転の完了を検出することができる。
【0047】
図5は、ポンプ装置のさらに他の実施形態を示す模式図である。特に説明しない構成および動作は、
図1乃至
図3を参照して説明した上記実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
【0048】
ポンプ装置は、電動機6を変速可能とするインバータ45と、吐出圧力を測定する圧力センサ46をさらに備えている。インバータ45は信号線を介して制御部20に接続されており、インバータ45の動作(すなわち電動機6および自吸式ポンプ2の回転速度)は制御部20によって制御される。圧力センサ46は、自吸式ポンプ2の吐出し側、より具体的には吐出口8の側部に接続されている。圧力センサ46は吐出管4に接続されてもよい。圧力センサ46は、自吸式ポンプ2の吐出し側の流体の圧力、すなわち吐出圧力を測定する。圧力センサ46は信号線を介して制御部20に接続されており、吐出圧力の計測値は制御部20に送信されるようになっている。
【0049】
制御部20の記憶装置21には、吐出圧力の計測値に基づいて自吸式ポンプ2の運転を制御するためのプログラムが予め格納されている。このプログラムは、自吸式ポンプ2の吐出圧力が目標圧力と一致するように自吸式ポンプ2の回転速度を制御する吐出圧力一定制御や、目標圧力を適切に変化させることにより蛇口などの水栓101における水圧を一定に制御する推定末端圧力一定制御を演算装置(CPU)22に実行させる。揚液運転中の自吸式ポンプ2は、吐出圧力一定制御または推定末端圧力一定制御に従って制御部20によって制御される。
【0050】
さらに、制御部20は、自吸運転中の自吸式ポンプ2を制御するように構成されている。すなわち、制御部20の記憶装置21には、自吸運転中の自吸式ポンプ2を制御するためのプログラムが予め格納されている。このプログラムは、自吸運転の間は、自吸式ポンプ2を略最高回転速度で運転させる高速運転制御を演算装置(CPU)22に実行させる。
【0051】
制御部20は、インバータ45に指令を発して、少なくとも自吸運転の間は、電動機6に自吸式ポンプ2を略最高回転速度で運転させる。一実施形態では、自吸式ポンプ2が始動してから、吸込圧力の変化量がしきい値を超えたことが検出されるまで、自吸式ポンプ2は略最高回転速度で運転される。他の実施形態では、自吸式ポンプ2が始動してから、吸込圧力が一定になったことが検出されるまで、自吸式ポンプ2は略最高回転速度で運転される。
【0052】
吸込圧力が急激に低下したこと、および/または吸込圧力が一定となったことが検出された後は、制御部20は、運転制御モードを、高速運転制御から吐出圧力一定制御または推定末端圧力一定制御に切り替える。揚液運転中は、自吸式ポンプ2の運転は、吐出圧力一定制御または推定末端圧力一定制御に従って制御される。
【0053】
この実施形態によれば、自吸運転中は自吸式ポンプ2が略最高回転速度で回転するので、自吸運転を速やかに完了させることができる。また、自吸運転中は、羽根車32の回転によって空気と水を攪拌するのみで揚液運転に比較して負荷が軽いので、略最高回転速度で回転し速やかに自吸運転を完了させ、揚液運転中は自吸式ポンプ2は、水量に応じた吐出圧力一定制御または推定末端圧力一定制御にて運転されることにより、省エネルギー化を図ることができる。なお、
図4に示す実施形態は、
図5に示す実施形態にも適用できる。
【0054】
図6は、自吸式ポンプ2の他の実施形態を示す断面図である。
図2に示す実施形態に係る自吸式ポンプ2と同じ構成には同じ符号を付して、その重複する説明を省略する。羽根車32の背面シュラウド32aとケーシング31との間には戻り室51が形成されている。気液分離室31dと戻り室51は、液体戻り管52を通じて連通している。液体戻り管52の両端はケーシング31に接続されている。より具体的には、液体戻り管52の一端は気液分離室31dに接続され、液体戻り管52の他端は戻り室51に接続されている。羽根車32の背面シュラウド32aには、噴射口55が羽根車32の外周に向かって斜めに形成されている。
【0055】
自動弁14を開いて自吸式ポンプ2の運転を開始すると、吸込管3内の空気が吸込口7を通って吸込室31a内に吸引される。空気はさらに羽根車32からボリュート室31cを通って気液分離室31dに入る。空気は液体から分離して吐出口8に向かって上昇し、吐出管4を通って吐出される。気液分離室31dで空気を分離した高圧の液体は液体戻り管52を通って戻り室51に入り、噴射口55から羽根車32内に噴出する。この液体の噴流は、エゼクタにおける噴出液と同じ作用でケーシング31の吸込口7から空気を吸引する。液体と空気は羽根車32の回転により混合され、ボリュート室31cを通って気液分離室31dに入る。空気は液体から分離して吐出管4を通って吐出され、液体は液体戻り管52を通って戻り室51に入り、噴射口55により羽根車32内に噴出する。このような動作を繰り返しながら自吸運転が行われる。
【0056】
自動弁14は液体戻り管52に取り付けられており、自動弁14の動作は制御部20の出力部26の出力信号によって制御される。制御部20は、吸込圧力が急激に低下したこと、および/または吸込圧力が一定となったことを検出し、その後出力部26より自動弁14を閉じる信号を出力する。一実施形態では、自動弁14に代えて手動弁を液体戻り管52に取り付けてもよい。この場合は、制御部20は、吸込圧力が急激に低下したこと、および/または吸込圧力が一定となったことを検出し、自吸運転が完了したことを示す信号を出力部26から表示装置40に送信し、表示装置40は自吸運転が完了したことを表示する。
【0057】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。