(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段は、前記大気モードを実行する場合、前記移載室の酸素濃度を計測する酸素濃度計を無効に設定し、前記吸気ダンパを開いて前記吸気ファンをオンに設定し、前記排気バルブを開いて前記排気ファンをオンに設定し、及び前記不活性ガス導入管のバルブを閉に設定することにより、前記移載室の雰囲気を大気雰囲気にするように制御する請求項1に記載の基板処理装置。
移載室で基板を基板保持具にチャージする工程と、前記基板がチャージされた状態で前記基板保持具を処理室にロードする工程と、前記処理室内で前記基板を処理した後、前記基板保持具を前記移載室にアンロードする工程と、前記基板保持具から前記基板をディスチャージする工程と、を有し、
前記ロードする工程及び/又は前記アンロードする工程では、前記移載室に大気を吸気する吸気口に連通する吸気ダンパ及び吸気ファンと、前記移載室に不活性ガスを供給する不活性ガス導入管のバルブと、前記移載室に設けられた排気ファン及び排気バルブのそれぞれを予め設定された内容に応じて制御することにより、前記移載室の雰囲気を大気雰囲気にする大気モードと、前記移載室の雰囲気を不活性ガス雰囲気にするパージモードのうちどちらか一方のモードを実行する半導体装置の製造方法であって、
前記パージモードを実行する場合、前記移載室の酸素濃度を計測する酸素濃度計を有効に設定し、前記吸気ダンパを閉じて前記吸気ファンをオフに設定し、前記排気バルブを閉じて前記排気ファンをオフに設定し、及び前記不活性ガス導入管のバルブを開に設定することにより、前記移載室の雰囲気を不活性ガス雰囲気にする半導体装置の製造方法。
移載室で基板を基板保持具にチャージする手順と、前記基板がチャージされた状態で前記基板保持具を処理室にロードする手順と、前記処理室内で前記基板を処理した後、前記基板保持具を前記移載室にアンロードする手順と、前記基板保持具から前記基板をディスチャージする手順と、をコンピュータにより基板処理装置に実行させるプログラムであって、
前記ロードする手順及び/又は前記アンロードする手順では、前記移載室に大気を吸気する吸気口に連通する吸気ダンパ及び吸気ファンと、前記移載室に不活性ガスを供給する不活性ガス導入管のバルブと、前記移載室に設けられた排気ファン及び排気バルブのそれぞれを予め設定された内容に応じて動作させることにより、前記移載室の雰囲気を大気雰囲気にする大気モードと、前記移載室の雰囲気を不活性ガス雰囲気にするパージモードのうちどちらか一方のモードを前記基板処理装置に実行させる手順を更に有し、
前記パージモードを実行させる手順では、前記移載室の酸素濃度を計測する酸素濃度計を有効に設定し、前記吸気ダンパを閉じて前記吸気ファンをオフに設定し、前記排気バルブを閉じて前記排気ファンをオフに設定し、及び前記不活性ガス導入管のバルブを開に設定することにより、前記移載室の雰囲気を不活性ガス雰囲気にするよう構成されているプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<本発明の一実施形態>
以下に本発明の一実施形態について説明する。
【0010】
(1)基板処理装置の構成
図1及び
図2に示すように、本実施の形態に係る基板処理装置10は、基板処理装置本体として用いられる筐体111を備えている。筐体111内では、シリコン等からなる基板としてのウエハ200を所定の枚数収容し、収容容器として用いられるウエハキャリアとしてフープ(FOUP、PODとも称される。以下ポッドという。)110が使用される。なお、
図1及び
図2において、後述するメンテナンス扉104側を装置前方、待機部126側を装置後方として定義し、他の図面においても装置に対する前後方向と説明する場合は、同一の定義によって説明を行う。同様に、装置前方に向かって右側を装置右側、装置前方に向かって左側を装置左側として定義し、説明を行う。
【0011】
筐体111の正面壁111aの正面前方部にはメンテナンス可能なように設けられた開口部としての正面メンテナンス口103が開設され、この正面メンテナンス口103を開閉する正面メンテナンス扉104がそれぞれ建て付けられている。筐体111の正面壁111aにはポッド搬入搬出口112が筐体111の内外を連通するように開設されており、ポッド搬入搬出口112はフロントシャッタ113によって開閉されるようになっている。ポッド搬入搬出口112の正面前方側には、搬入搬出部として用いられるロードポート114が設置されており、ロードポート114はポッド110が載置されて位置合わせするように構成されている。ポッド110はロードポート114上にOHT(Overhead Hoist Transport)等の図示しない工程内搬送装置によって搬入、搬出されるようになっている。
【0012】
筐体111内の前後方向の略中央部における上部には、ポッド棚(収容棚)105が設置されている。ポッド棚105は垂直に立設される支持部116と、支持部116に対して例えば上中下段の各位置において垂直方向にそれぞれ独立して移動可能に保持された複数段の載置部117とを備えており、ポッド棚105は、複数段の載置部117にポッド110を複数個それぞれ載置した状態で保持するように構成されている。すなわち、ポッド棚105は、例えば2つのポッド110を一直線上に同一方向を向いて配置して垂直方向に複数段に複数個のポッド110を収容する。
【0013】
筐体111内におけるロードポート114とポッド棚105との間には、ポッド搬送装置(収容容器搬送機構)118が設置されている。ポッド搬送装置118は、ポッド110を保持したまま垂直方向に昇降可能な軸部としてのポッドエレベータ118aとポッド110を載置して水平方向に搬送する搬送部としてのポッド搬送部118bとで構成されており、ポッド搬送装置118はポッドエレベータ118aとポッド搬送部118bとの連続動作により、ロードポート114、ポッド棚105、ポッドオープナ121との間で、ポッド110を搬送するように構成されている。
【0014】
筐体111内の前後方向の略中央部における下部には、サブ筐体119が後端にわたって構築されている。サブ筐体119の正面壁119aにはウエハ200をサブ筐体119内に対して搬入搬出するためのウエハ搬入搬出口120が、例えば垂直方向に上下二段に並べられて開設されており、上下段のウエハ搬入搬出口120には一対のポッドオープナ121がそれぞれ設置されている。ポッドオープナ121はポッド110を載置する載置台122と、密閉部材として用いられるポッド110のキャップを着脱するキャップ着脱機構(不図示)とを備えている。ポッドオープナ121は載置台122に載置されたポッド110のキャップをキャップ着脱機構によって着脱することにより、ポッド110のウエハ出し入れ口を開閉するように構成されている。
【0015】
サブ筐体119はポッド搬送装置118やポッド棚105の設置空間から流体的に隔絶された移載室(予備室)124を構成している。ポッド搬送装置118やポッド棚105の設置空間と移載室124は、移載棚ゲートバルブ123を介して連接されている。
【0016】
移載棚ゲートバルブ123は、ウエハ搬入搬出口120を塞ぎ、移載室124を密閉空間にしている。つまり、キャップ着脱機構によりポッド110のウエハ出し入れ口が開閉され、移載棚ゲートバルブ123が開かれることにより、ポッド110からウエハ200の出し入れが可能となる。なお、移載棚ゲートバルブ123がキャップ着脱機構を兼ねてもよい。移載室124は、ウエハ200の搬送エリアとして、また、後述のボート(基板保持具)217のローディング、アンローディング空間として用いられる。
【0017】
移載室124の後側領域には、ボート217を収容して待機させる待機部126が構成されている。待機部126の上方には反応炉202が設けられ、反応炉202の下部は、炉口シャッタ(炉口開閉機構)147により開閉されるように構成される。反応炉202内には処理室201が形成される。
【0018】
<移載室>
次に移載室124内の構成について、
図3〜
図5に基づいて詳細に説明する。
【0019】
移載室124は、基板を処理する処理室201の減圧に対応する密閉容器となっている。移載室124は、移載棚ゲートバルブ123が閉じられた状態で移載室124の雰囲気を大気雰囲気にしたり、不活性ガス雰囲気にすることができるように構成されている。
図3は、基板処理装置10の上面断面図である。
図4(A)は、移載室124を大気雰囲気にする場合のサブ筐体119の装置右側の一部断面図であって、
図4(B)は、移載室124を大気雰囲気にする場合のサブ筐体119の装置左側の一部断面図である。
図5(A)は、移載室124を不活性ガス雰囲気にする場合のサブ筐体119の装置右側の一部断面図であって、
図5(B)は、移載室124を不活性ガス雰囲気にする場合のサブ筐体119の装置左側の一部断面図である。
【0020】
移載室124の前側領域にはウエハ移載機構125が設置されている。ウエハ移載機構125は、ウエハ200を水平方向に回転乃至直動可能なウエハ移載装置125aとウエハ移載装置125aを昇降させるためのウエハ移載装置エレベータ125bとで構成されている。これらのウエハ移載装置エレベータ125b及びウエハ移載装置125aの連続動作により、ウエハ移載装置125aのツイーザ125cをウエハ200の載置部として、ツイーザ125cによりボート217へのウエハ200の装填(チャージ)及び脱装(ディスチャージ)が実施される。
【0021】
また、移載室124の後側領域には、ボート217を昇降させるためのボートエレベータ115が設置される。ボートエレベータ115の昇降台に連結された連結具としてのエレベータアーム128には前記シールキャップ219が水平に据え付けられる。シールキャップ219はボート217を垂直に支持し、反応炉202の下部を開閉する蓋体として構成されている。このシールキャップ219は、ボートエレベータ115のエレベータアーム128に支持されている。
【0022】
サブ筐体119の後面壁(背面壁)119bには、開口部11が移載室124の内外を連通するように開設されており、開口部11は移載室ドア13によって開閉されるように構成されている。
【0023】
また、サブ筐体119の後面壁119bには、移載室124内に不活性ガス(パージガス)を供給する不活性ガス導入管(パージガス導入管)22が接続されている。不活性ガス導入管22は、大流量の不活性ガスを導入する不活性ガス導入管22aと不活性ガス導入管22aよりも小流量の不活性ガスを導入する不活性ガス導入管22bが接続されている。不活性ガス導入管22aと不活性ガス導入管22bには、開閉弁であるバルブ24a,24bがそれぞれ設けられている。つまり、移載室124には、バルブ24a,24bの開閉により、複数の流量パターンで不活性ガスを供給することができる。
【0024】
また、移載室124の右側領域上部であって、移載室124のウエハ移載装置エレベータ125b側及びボートエレベータ115側と反対側には、サブ筐体119の後面壁119bに形成された吸気口12に連通する吸気ダクト14が形成されている。吸気ダクト14は、吹出し口15に連通するように構成されている。吹出し口15には、クリーンユニット134が取り付けられている。クリーンユニット134は、8つの吸気ファン18とフィルタ20で構成されている。また、吸気ダクト14には、開閉弁である吸気ダンパ16が取り付けられている。
【0025】
つまり、吸気ダンパ16の開閉により、吸気口12から吸気された大気が吸気ダクト14、吹出し口15、クリーンユニット134を介して移載室124に供給されたり、供給が停止されたりする。すなわち、このクリーンユニット134を介して、吸気口12から吸気された大気が清浄化され、清浄化されたクリーンエア133が移載室124内に供給される。
【0026】
また、サブ筐体119の後面壁119bの移載室124の左側領域側には、移載室124内の雰囲気を筐体111外(サブ筐体119外)へ排気する排気ファン26と排気ダクト28が設けられている。排気ファン26は、上下方向に3つ設けられている。排気ダクト28には、開閉弁である排気バルブ30が設けられている。すなわち、この排気バルブ30の開閉により、排気ファン26、排気ダクト28を介して移載室124内の雰囲気が筐体111外へ排気されたり、排気が停止されたりする。
【0027】
ボートエレベータ115の上部には、移載室124内の不活性ガスを排気するガス排気口31が形成されている。ガス排気口31には、開閉のために開閉弁である排気バルブ32が設けられている。つまり、排気バルブ32の開閉により、不活性ガス導入管22から移載室124に導入された不活性ガスが、ウエハ移載装置125a、待機部126にあるボート217に流通された後、ガス排気口31を介して移載室124外に排気されたり、排気が停止されたりする。
【0028】
また、移載室124には、移載室124の酸素濃度を計測する酸素濃度計34が設けられている。
【0029】
<制御部の構成>
図6に示すように、制御部(制御手段)であるコントローラ121は、CPU(Central Processing Unit)121a、RAM(Random Access Memory)121b、記憶装置121c、I/Oポート121dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM121b、記憶装置121c、I/Oポート121dは、内部バス121eを介して、CPU121aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ121には、入出力装置122が接続されている。入出力装置122として、タッチパネル等の表示手段等が用いられる。
【0030】
記憶装置121cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置121c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、後述する成膜処理の手順や条件等が記載されたプロセスレシピ等が、読み出し可能に格納されている。プロセスレシピは、後述する成膜処理における各手順をコントローラ121に実行させ、所定の結果を得ることができるように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、プロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単に、プログラムともいう。また、プロセスレシピを、単に、レシピともいう。本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、レシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。RAM121bは、CPU121aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0031】
I/Oポート121dは、上述のポッド搬送装置118、ウエハ移載機構125、ボートエレベータ115、移載棚ゲートバルブ123、吸気ダンパ16、吸気ファン18、バルブ24a,24b、排気ファン26、排気バルブ30,32、酸素濃度計34等に接続されている。
【0032】
CPU121aは、記憶装置121cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置122からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置121cからレシピを読み出すように構成されている。CPU121aは、読み出したレシピの内容に沿うように、ポッド搬送装置118によるポッド110搬送動作、ウエハ移載機構125によるウエハ移載動作、ボートエレベータ115によるボート217の昇降動作、移載棚ゲートバルブ123の開閉動作、バルブ24a,24bの開閉動作、吸気ダンパ16の開閉動作、吸気ファン18、排気ファン26の動作、排気バルブ30,32の開閉動作、酸素濃度計34の有効、無効の設定動作、酸素濃度計34により検出された酸素濃度に基づくバルブ24a,24bの開閉動作、等を制御するように構成されている。
【0033】
コントローラ121は、外部記憶装置123に格納された上述のプログラムを、コンピュータにインストールすることにより構成することができる。外部記憶装置123は、例えば、HDD等の磁気ディスク、CD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリ等の半導体メモリ等を含む。記憶装置121cや外部記憶装置123は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成されている。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置121c単体のみを含む場合、外部記憶装置123単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。なお、コンピュータへのプログラムの提供は、外部記憶装置123を用いず、インターネットや専用回線等の通信手段を用いて行ってもよい。
【0034】
入出力装置122は、移載室124を大気雰囲気にする第1機能としての大気モードと、移載室124を不活性ガス雰囲気にする第2機能としてのパージモードとの切替えを行う設定画面を表示する。そして、この設定画面では、大気モードとパージモードの切替えを行うための切替手段である切替スイッチが表示されている。この切替スイッチのオンオフ状態を設定することにより、ユーザは、入出力装置122に表示された設定画面を介して大気モードとパージモードの切替えを行うことができるようになっている。
【0035】
また、記憶装置121cは、切替スイッチのオンオフ状態をパラメータ設定ファイルとして記憶している。
【0036】
また、CPU121aは、通常は、切替スイッチがオフ設定で、酸素濃度計34により検出された移載室124内の酸素濃度が例えば20ppm以下の不活性ガス雰囲気下で、ボートロード、ボートアンロードを実行する。しかし、上述した切替スイッチがオン設定の場合には、酸素濃度計34を無効にして移載室124内の酸素濃度の計測をしないように設定する。
【0037】
すなわち、切替スイッチがオフ設定の場合には、酸素濃度計34が有効にされ、移載室124内の酸素濃度が一定濃度であって例えば20ppm以下の不活性ガス雰囲気の状態で保持される。また、切替スイッチがオン設定の場合には、酸素濃度計34が無効にされ、移載室124内の不活性ガスの供給が停止されて、移載室124内は大気雰囲気の状態にされる。
【0038】
すなわち、このパージモードと大気モードとの切替えは、ボートロード時又は/及びボートアンロード時における切替スイッチのオンオフにより決定される。
【0039】
具体的には、CPU121aは、記憶装置121cから制御プログラムを読みだして実行し、ボートロード又は/及びボートアンロード実行前に、記憶装置121cに記憶されたパラメータ設定ファイルに応じて、吸気ダンパ16及び吸気ファン18と、不活性ガス導入管22のバルブ24a,24bと、排気ファン26及び排気バルブ30,32の設定内容によって制御することにより、後述するパージモードと大気モードのうちどちらか一方を選択して実行するように構成されている。すなわち、移載室124内の雰囲気を、
図4(A),(B)に示されているような大気雰囲気や、
図5(A),(B)に示されているような不活性ガス雰囲気のうちどちらか一方に、レシピ上で切替えることが可能な構成となっている。
【0040】
例えばボートロード又は/及びボートアンロード時にウエハ200に自然酸化膜を形成したくない場合等には、切替スイッチをオフ設定にしてパージモードを選択して実行し、ボートロード又は/及びボートアンロード時にウエハ200に意図的に自然酸化膜を形成してデバイスの特性を向上させたいような場合や、自然酸化膜の影響が小さい場合等には、切替スイッチをオン設定にして大気モードを選択して実行するようにすることができる。
【0041】
<大気モード(第1機能)>
大気モードを選択して実行する場合には、酸素濃度計34を無効に設定する。そして、不活性ガス導入管22のバルブ24a,24bを閉じ、不活性ガスの移載室124への導入を停止する。そして、
図4(A)及び
図4(B)に示されているように、吸気ダンパ16を開いて、吸気ファン18をオンに設定し、動作させる。つまり、吸気口12から吸気された大気が吸気ダクト14、吹出し口15、クリーンユニット134を介して移載室124内に取り込まれる。また、排気バルブ30を開いて、排気ファン26をオンに設定する。このとき、排気バルブ32を閉じている。すなわち、大気モードでは、排気ファン26、排気ダクト28を介して大気の吸排を行う。結果として、移載室124が大気で循環されて、筐体111外へ排出され、移載室124を大気雰囲気にすることができる。このようにすると、クリーンルーム内の大気が導入され、移載室124の雰囲気が大気雰囲気となる。
【0042】
<パージモード(第2機能)>
パージモードを選択して実行する場合には、酸素濃度計34を有効に設定する。そして、不活性ガス導入管22のバルブ24a又は/及びバルブ24bを開き、不活性ガス導入管22からパージガスを移載室124に導入する。そして、
図5(A)及び
図5(B)に示されているように、吸気ダンパ16を閉じて、吸気ファン18をオフに設定する。また、排気バルブ30を閉じて、排気ファン26をオフに設定し、排気バルブ32を開いて、パージガスを、ガス排気口31から排出する。これにより、移載室124にパージガスが循環され、移載室124を不活性雰囲気にすることができる。すなわち、移載室内の酸素濃度が低下して、移載室124内でのウエハ200表面の自然酸化が防止される。
【0043】
(2)基板処理工程
次に、上述した構成を用いた基板処理装置10の動作について
図7〜
図11に基づいて説明する。
尚、以下の説明において、基板処理装置10を構成する各部の動作は、コントローラ121により制御される。本実施形態によれば、ボートロード、アンロード時に、切替スイッチのオンオフを割り当てて大気モードとパージモードとを切替え制御することにより、レシピ上で下記パターン1〜4の4パターンの制御が可能となる。
【0044】
<パターン1>
パターン1では、ボートロード時の切替スイッチがオフ、ボートアンロード時の切替スイッチがオフに設定されている場合、すなわち移載室124内をボートロード時に不活性ガス雰囲気、ボートアンロード時に不活性ガス雰囲気とする場合を例にして説明する。
【0045】
図1及び
図2に示されているように、ポッド110がロードポート114に供給されると、ポッド搬入搬出口112がフロントシャッタ113によって開放され、ロードポート114の上のポッド110はポッド搬送装置118によって筐体111の内部へポッド搬入搬出口112から搬入される。搬入されたポッド110はポッド棚105の指定された載置部117へポッド搬送装置118によって自動的に搬送されて受け渡され、一時的に保管された後、ポッド棚105から一方のポッドオープナ121に搬送されて載置台122に移載されるか、もしくは直接ポッドオープナ121に搬送されて載置台122に移載される。この際、ポッドオープナ121のウエハ搬入搬出口120は移載棚ゲートバルブ123によって閉じられており、移載室124にはクリーンエア133が流通され、充満されている。
【0046】
載置台122に載置されたポッド110はその開口側端面がサブ筐体119の正面壁119aにおけるウエハ搬入搬出口120の開口縁辺部に押し付けられるとともに、ポッド110の開口部を閉塞しているキャップがキャップ着脱機構によって取り外され、ポッド110を開放する。
【0047】
図8(A)に示されるように、ポッド110がポッドオープナ121によって開放され、移載棚ゲートバルブ123が開かれると、
図8(B)に示されるように、ウエハ200はポッド110からウエハ移載装置125aのツイーザ125cによって排出され、移載室124の後方にある待機部126に待機しているボート217にチャージされる。ボート217に所定枚数のウエハ200を受け渡したウエハ移載装置125aはポッド110に戻り、次のウエハ200をボート217にチャージする。
【0048】
このとき、他方(下段または上段)のポッドオープナ121にはポッド棚105から別のポッド110がポッド搬送装置118によって搬送されて移載され、ポッドオープナ121によるポッド110の開放作業が同時に行われる。なお、
図8〜
図11においては、他方のポッドオープナ121の記載を省略している。
【0049】
図8(C)に示されるように、予め指定された枚数のウエハ200がボート217にチャージされると、
図8(D)に示されるように、移載棚ゲートバルブ123は閉じられる。上記
図8(A)〜
図8(D)の処理は、移載室124が大気雰囲気の状態で行われる。
【0050】
そして、ボートロード実行前に(ステップS10)、ボートロード時の切替スイッチがオンか否かが判定される(ステップS11)。パターン1のように、ボートロード時の切替スイッチがオフである場合には(ステップ11においてNo)、上述したパージモードが選択されて(ステップS13)、移載室124は、不活性ガス雰囲気の状態に切り替えられる。そして、炉口シャッタ147によって閉じられていた処理炉202の下端部が、
図8(E)に示されるように、開放される。続いて、ウエハ200群を保持したボート217はシールキャップ219がボートエレベータ115によって上昇されることにより、処理室201へ搬入(ボートロード)される。このように、移載室124が不活性ガス雰囲気の状態でボートロードを行うことで、成膜前に自然酸化膜が形成されるのを抑制することができる。
【0051】
ボートロード後は、
図8(F)に示されるように、移載室124が不活性ガス雰囲気に置換された状態で炉口シャッタ147が閉じられ、処理室201にてウエハ200に成膜処理(基板処理)が実施される。
【0052】
そして、成膜処理が終了すると、ボートアンロード実行前に(ステップS14)、ボートアンロード時の切替スイッチがオンか否かが判定される(ステップS15)。パターン1のように、ボートアンロード時の切替スイッチがオフである場合には(ステップ15においてNo)、上述したパージモードが選択されて(ステップS17)、移載室124が不活性ガス雰囲気の状態で、
図8(G)に示されるように、炉口シャッタ147が開放されて、ボート217は処理室201から移載室124へ搬出(ボートアンロード)される。このように、移載室124が不活性ガス雰囲気の状態でボートアンロードを行うことで、成膜後に自然酸化膜が形成されるのを抑制することができる。
【0053】
そして、
図8(H)に示されるように、ボートアンロード後に炉口シャッタ147が閉じられると、ウエハ200の冷却中は、移載室124を不活性ガス雰囲気の状態にして自然酸化膜を抑制する。そして、ウエハ200が冷却されたら大気戻しを行う。すなわち、排気バルブ32を開いて、パージガスを、ガス排気口31から排出する。大気戻しは、移載室124に不活性ガスが充満している環境下では、酸素濃度低下による酸欠等により人体に影響があるために行われる。
【0054】
そして、酸素濃度計34により移載室124の酸素濃度が人体に影響がない例えば18.5%以上になったら、
図8(I)に示されるように、移載棚ゲートバルブ123を開き、
図8(J)に示されるように、ボート217からポッド110にウエハ200が払い出され(ディスチャージ)、
図8(K)に示されるように、ウエハ200及びポッド110は筐体111の外部へ搬出される。その後、未処理のウエハ200が収容された別のポッド110が搬送され、上述した処理が行われる。
【0055】
<パターン2>
パターン2では、ボートロード時の切替スイッチがオン、ボートアンロード時の切替スイッチがオフに設定されている場合、すなわちボートロード時に大気雰囲気、ボートアンロード時に不活性ガス雰囲気とする場合を
図9に基づいて説明する。なお、以下において、上述したパターン1と同様の部分は説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0056】
パターン2では、
図9(A)〜
図9(C)に示されるように、移載室124が大気雰囲気の状態で、予め指定された枚数のウエハ200がボート217にチャージされると、ボートロード実行前に(ステップS10)、ボートロード時の切替スイッチがオンか否かが判定される(ステップS11)。パターン2のように、ボートロード時の切替スイッチがオンである場合には(ステップ11においてYes)、
図9(D)に示されるように、移載棚ゲートバルブ123が開かれた状態で、上述した大気モードが選択され(ステップS12)、移載室124は、大気雰囲気の状態にされる。そして、炉口シャッタ147によって閉じられていた処理炉202の下端部が、開放され、ウエハ200群を保持したボート217はシールキャップ219がボートエレベータ115によって上昇されることにより、処理炉202内へ搬入される。つまり、移載棚ゲートバルブ123が開のまま、大気雰囲気の状態でボート217が移載室124から処理室201に搬送される。このように、移載室124が大気雰囲気の状態でボートロードを行うことで、成膜前に自然酸化膜を意図的に生成させ、生産されるデバイスの特性を変化させることができる。
【0057】
ボートロード後は、
図9(E)に示されるように、炉口シャッタ147と移載棚ゲートバルブ123が閉じられ、処理室201にてウエハ200に成膜処理(基板処理)が実施される。そして、ボートアンロード実行前に切替スイッチがオンか否かが判定される(ステップS15)。パターン2のように、ボートアンロード時の切替スイッチがオフである場合には(ステップS15においてNo)、上述したパージモードが選択されて(ステップS17)、移載室124は大気モードからパージモードに切り替えられる。すなわち、
図9(F)に示されるように、移載室124を大気雰囲気の状態から不活性ガス雰囲気の状態に置換する。
【0058】
そして、成膜処理が終了すると、移載室124を不活性ガス雰囲気にした状態で、
図9(G)に示されるように、炉口シャッタ147が開放されて、ボート217は処理室201から移載室124へ搬出される。このように、移載室124が不活性ガス雰囲気の状態でボートアンロードを行うことで、成膜後に自然酸化膜が形成されるのを抑制することができる。
【0059】
そして、ボートアンロード後は、
図9(H)に示されるように、炉口シャッタ147が閉じられると、排気バルブ32が開かれて、ガス排気口31を介して不活性ガスが排気されて大気戻しを行う。
【0060】
そして、酸素濃度計34により移載室124の酸素濃度が18.5%以上になったら、
図9(I)に示されるように、移載棚ゲートバルブ123を開き、
図9(J)に示されるように、ボート217からポッド110にウエハ200を払い出され(ディスチャージ)、
図9(K)に示されるように、ウエハ200及びポッド110は筐体の外部へ搬出される。
【0061】
<パターン3>
パターン3では、ボートロード時の切替スイッチがオフ、ボートアンロード時の切替スイッチがオンに設定されている場合、すなわちボートロード時に不活性ガス雰囲気、ボートアンロード時に大気雰囲気とする場合を
図10に基づいて説明する。
【0062】
図10(A)〜
図10(D)は、上述したパターン1の
図8(A)〜
図8(D)と同様である。そして、ボートロード実行前に(ステップS10)、ボートロード時の切替スイッチがオンか否かが判定され(ステップS11)、パターン3のように、ボートロード時の切替スイッチがオフである場合には(ステップ11においてNo)、上述したパージモードが選択されて(ステップS13)、移載室124は、不活性ガス雰囲気の状態に切り替えられる。そして、炉口シャッタ147によって閉じられていた処理炉202の下端部が、
図10(E)に示されるように、開放される。続いて、ウエハ200群を保持したボート217はシールキャップ219がボートエレベータ115によって上昇されることにより、処理室201へ搬入される。このように、移載室124が不活性ガス雰囲気の状態でボートロードを行うことで、成膜前に自然酸化膜が形成されるのを抑制することができる。
【0063】
ボートロード後は、
図10(F)に示されるように、移載室124が不活性ガス雰囲気下に置換された状態で炉口シャッタ147が閉じられ、処理室201にてウエハ200に成膜処理(基板処理)が実施される。
【0064】
そして、成膜処理が終了すると、ボートアンロード実行前に(ステップS14)、ボートアンロード時の切替スイッチがオンか否かが判定される(ステップS15)。パターン3のように、ボートアンロード時の切替スイッチがオンである場合には(ステップ15においてYes)、上述した大気モードが選択されて(ステップS16)、移載室124はパージモードから大気モードに切り替えられる。すなわち、移載室124は、不活性ガス雰囲気の状態から大気雰囲気の状態に置換される。そして、
図10(G)に示されるように、炉口シャッタ147が開放されて、ボート217は処理室201から移載室124へ搬出される。このように、移載室124が大気雰囲気の状態でボートアンロードを行うことで、成膜後に自然酸化膜を意図的に生成させ、生産されるデバイスの特性を変化させることができる。
【0065】
そして、ボートアンロード後は、
図10(H)に示されるように、炉口シャッタ147が閉じられて大気戻しを行う。
【0066】
そして、酸素濃度計34により移載室124の酸素濃度が18.5%以上になったら、
図10(I)に示されるように、移載棚ゲートバルブ123を開き、
図10(J)に示されるように、ボート217からポッド110にウエハ200が払い出され(ディスチャージ)、
図10(K)に示されるように、ウエハ200及びポッド110は筐体111の外部へ搬出される。その後、未処理のウエハ200が収容された別のポッド110が搬送され、上述した処理が行われる。
【0067】
<パターン4>
パターン4では、ボートロード時の切替スイッチがオン、ボートアンロード時の切替スイッチがオンに設定されている場合、すなわちボートロード時もボートアンロード時も大気雰囲気とする場合を
図11に基づいて説明する。
【0068】
パターン4では、
図11(A)〜
図11(C)に示されるように、予め指定された枚数のウエハ200がボート217にチャージされると、ボートロード実行前に(ステップS10)、ボートロード時の切替スイッチがオンか否かが判定される(ステップS11)。パターン4のように、ボートロード時の切替スイッチがオンである場合には(ステップ11においてYes)、
図11(D)に示されるように、移載棚ゲートバルブ123が開かれた状態で、上述した大気モードが選択される(ステップS12)。そして、炉口シャッタ147によって閉じられていた処理炉202の下端部が、開放され、ウエハ200群を保持したボート217はシールキャップ219がボートエレベータ115によって上昇されることにより、処理炉202内へ搬入(ボートロード)される。すなわち、移載棚ゲートバルブ123が開のまま、大気雰囲気の状態でボート217が移載室124から処理室201に搬送される。
【0069】
ボートロード後は、
図11(E)に示されるように、炉口シャッタ147が閉じられ、処理室201にてウエハ200に成膜処理(基板処理)が実施される。
【0070】
そして、成膜処理が終了すると、ボートアンロード実行前に(ステップS14)、ボートアンロード時の切替スイッチがオンか否かが判定される(ステップS15)。パターン4のように、ボートアンロード時の切替スイッチがオンである場合には(ステップS15においてYes)、上述した大気モードが選択されて(ステップS16)、移載室124を大気雰囲気にした状態で、
図11(F)に示されるように、炉口シャッタ147が開放されて、ボート217は処理室201から移載室124へ搬出(ボートアンロード)される。このように、移載室124が大気雰囲気の状態でボートロード及びボートアンロードを行うことで、成膜前と成膜後に自然酸化膜を意図的に生成させ、生産されるデバイスの特性を変化させることができる。
【0071】
そして、ボートアンロード後は、
図11(G)に示されるように、炉口シャッタ147が閉じられ、ボート217からポッド110にウエハ200を払い出され(ディスチャージ)、
図11(H)に示されるように、ウエハ200及びポッド110は筐体の外部へ搬出される。
【0072】
パターン4は、通常のオープン炉として運用することが可能な構成となっている。すなわち、オープン炉であっても、本実施形態におけるレシピにおける切替スイッチを切り替えて用いることが可能である。
【0073】
(3)本実施形態による効果
本実施形態によれば、移載室の雰囲気をプロセスの種別や形成される膜種によって変更することが可能となる。また、自然酸化膜を形成させるか否かの選択も可能となる。
【0074】
<他の実施形態>
以上、本発明の実施形態を具体的に説明した。しかしながら、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0075】
上記実施形態では、大気モードを選択して実行する場合には、酸素濃度計34を無効に設定し、不活性ガス導入管22のバルブ24a,24bを閉じ、不活性ガスの移載室124への導入を停止する例について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、大気モードで、酸素濃度計34を無効に設定しないで、不活性ガス導入管22のバルブ24a又は/及びバルブ24bを開いて、不活性ガスを供給することにより、ウエハ200上に形成される自然酸化膜の量(膜厚)を制御するようにしてもよい。
【0076】
また、基板処理に用いられるレシピは、処理内容に応じて個別に用意し、電気通信回線や外部記憶装置123を介して記憶装置121c内に格納しておくことが好ましい。そして、基板処理を開始する際、CPU121aが、記憶装置121c内に格納された複数のレシピの中から、処理内容に応じて適正なレシピを適宜選択することが好ましい。これにより、1台の基板処理装置で様々な膜種、組成比、膜質、膜厚の膜を、再現性よく形成することが可能となる。また、オペレータの負担を低減でき、操作ミスを回避しつつ、基板処理を迅速に開始できるようになる。
【0077】
上述のレシピは、新たに作成する場合に限らず、例えば、基板処理装置に既にインストールされていた既存のレシピを変更することで用意してもよい。レシピを変更する場合は、変更後のレシピを、電気通信回線や当該レシピを記録した記録媒体を介して、基板処理装置にインストールしてもよい。また、既存の基板処理装置が備える入出力装置122を操作し、基板処理装置に既にインストールされていた既存のレシピを直接変更してもよい。
【0078】
上述の実施形態では、一度に複数枚の基板を処理するバッチ式の基板処理装置を用いて膜を形成する例について説明した。本発明は上述の実施形態に限定されず、例えば、一度に1枚または数枚の基板を処理する枚葉式の基板処理装置を用いて膜を形成する場合にも、好適に適用できる。また、上述の実施形態では、ホットウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて膜を形成する例について説明した。本発明は上述の実施形態に限定されず、コールドウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて膜を形成する場合にも、好適に適用できる。
【0079】
これらの基板処理装置を用いる場合においても、上述の実施形態と同様な処理手順、処理条件にて成膜処理を行うことができ、上述の実施形態と同様の効果が得られる。
【0080】
また、上述の実施形態は、適宜組み合わせて用いることができる。このときの処理手順、処理条件は、例えば、上述の実施形態の処理手順、処理条件と同様とすることができる。