特許第6876125号(P6876125)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サイマー リミテッド ライアビリティ カンパニーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6876125
(24)【登録日】2021年4月27日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】スペクトルフィーチャ制御装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20210517BHJP
   G02B 5/04 20060101ALI20210517BHJP
【FI】
   G03F7/20 505
   G03F7/20 502
   G02B5/04 C
【請求項の数】22
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2019-513789(P2019-513789)
(86)(22)【出願日】2017年10月4日
(65)【公表番号】特表2019-532335(P2019-532335A)
(43)【公表日】2019年11月7日
(86)【国際出願番号】US2017055161
(87)【国際公開番号】WO2018075246
(87)【国際公開日】20180426
【審査請求日】2019年5月8日
(31)【優先権主張番号】15/295,280
(32)【優先日】2016年10月17日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513192029
【氏名又は名称】サイマー リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】メイソン,エリック アンダース
【審査官】 冨士 健太
(56)【参考文献】
【文献】 特表2016−526697(JP,A)
【文献】 特開2011−249832(JP,A)
【文献】 特開2003−031881(JP,A)
【文献】 特開2003−051634(JP,A)
【文献】 特開2001−264688(JP,A)
【文献】 特開平02−276283(JP,A)
【文献】 特開平05−152666(JP,A)
【文献】 特開2008−098282(JP,A)
【文献】 特開2011−134828(JP,A)
【文献】 特開2013−070029(JP,A)
【文献】 特開2013−098239(JP,A)
【文献】 特開2013−179247(JP,A)
【文献】 特開2013−247240(JP,A)
【文献】 特開2014−170961(JP,A)
【文献】 特表2003−521129(JP,A)
【文献】 特表2008−522439(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/077661(WO,A1)
【文献】 国際公開第2015/187854(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0141464(US,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2012−0057249(KR,A)
【文献】 中国特許出願公開第101581866(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20−7/24、9/00−9/02
G02B 5/00−5/136
H01S 3/00−3/02、3/04−3/0959、3/098−
3/102、3/105−3/131、3/136−3/213、3/23−4/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス光ビームを生成するパルス光源用のスペクトルフィーチャ選択装置であって、
前記パルス光ビームと相互作用する分散光学素子と、
前記分散光学素子と前記パルス光源との間の前記パルス光ビームの経路における3つ以上の屈折光学素子と、
1つ又は複数の作動システムであって、各作動システムが、屈折光学素子と関連付けられるとともに、前記関連付けられた屈折光学素子を回転させることによって前記パルス光ビームのスペクトルフィーチャを調節するように構成され、前記作動システムの少なくとも1つが、回転軸の周りで関連付けられた屈折光学素子を回転させるように構成される高速アクチュエータを備えた高速作動システムであり、前記高速アクチュエータが、前記関連付けられた屈折光学素子の前記回転軸と平行なシャフト軸の周りを回転する回転シャフトを有する回転ステッパモータを備える、1つ又は複数の作動システムと、
前記1つ又は複数の作動システムに接続された制御システムであって、前記回転ステッパモータの前記回転シャフトを調節することによって、前記関連付けられた屈折光学素子をその回転軸の周りで回転させるために、信号を前記高速アクチュエータに送るように構成される、制御システムと、を備え、
前記パルス光ビーム経路が、前記装置のXY面内に位置し、
前記高速作動システムが、前記関連付けられた屈折光学素子に物理的に結合された二次アクチュエータも含み、
前記二次アクチュエータが、軸の周りで前記関連付けられた屈折光学素子を回転させるように構成され、
前記軸は、前記XY面内に位置し、前記関連付けられた屈折光学素子の斜辺の面内にも位置する、装置。
【請求項2】
前記高速アクチュエータが、前記分散光学素子から最も離れた前記屈折光学素子を回転させるように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記回転ステッパモータの前記回転シャフトが、前記装置のZ軸と平行である軸を有し、これにより、前記関連付けられた屈折光学素子を、前記装置の前記Z軸と平行なその回転軸の周りで回転させる、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記回転ステッパモータの前記回転シャフトの位置を検出する位置モニタをさらに備えた、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記制御システムが、前記位置モニタに接続され、かつ、前記位置モニタによって検出された前記回転シャフトの位置を受信して前記受信した位置が許容可能な位置範囲内になければ前記回転シャフトを調節するように構成される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記位置モニタが、光学回転エンコーダである、請求項4又は5に記載の装置。
【請求項7】
前記回転シャフトが、前記回転軸からずれた軸の周りで、前記高速アクチュエータと関連付けられた前記屈折光学素子を回転させるように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記シャフト軸が、約360°回転することによって、前記関連付けられた屈折光学素子を約360°回転させるように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記高速アクチュエータに関連付けられた前記屈折光学素子が、前記シャフト軸に固定して結合される、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記制御システムが、前記回転ステッパモータに接続された高速コントローラを備え、
前記回転シャフトの前記調節が、前記高速コントローラによって行われる、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記高速アクチュエータに関連付けられた前記屈折光学素子の前記回転が、前記分散光学素子と相互作用する前記パルス光ビームの拡大倍率の変化を生じさせ、前記パルス光ビームの前記拡大倍率の変化が、前記パルス光ビームの帯域幅の変化を生じさせ、前記高速アクチュエータに関連付けられた前記屈折光学素子の前記回転による帯域幅の範囲が、少なくとも250フェムトメートル(fm)である、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記回転シャフトの回転の一単位分の、前記高速アクチュエータに関連付けられた前記屈折光学素子の前記回転が、前記パルス光ビームの前記帯域幅を測定する帯域幅測定デバイスの解像度未満の量だけ、前記パルス光ビームの前記帯域幅を変化させる、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
回折光学素子から回折されたパルス光ビームが、前記回折光学素子に入射した前記パルス光ビームの経路に沿って進むように、前記分散光学素子は、リトロー配置の前記パルス光ビームと相互作用するように構成される前記回折光学素子である、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記屈折光学素子が、直角プリズムであり、前記パルス光ビームが各直角プリズムを通過する際に、前記パルス光ビームが、その伝搬方向と垂直な面に沿った横方向の幅の拡大倍率を変化させるように、前記直角プリズムを通して前記パルス光ビームが透過され、
前記分散光学素子から最も離れた前記直角プリズムが、前記複数の直角プリズムの内の最小の斜辺を有し、
前記分散光学素子により近い連続した直角プリズムのそれぞれが、前記分散光学素子からより離れた前記隣接する直角プリズムよりも大きいか又はそれと同じサイズの斜辺を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
パルス光ビームを生成するパルス光源用のスペクトルフィーチャ選択装置であって、前記装置が、
前記パルス光ビームと相互作用する分散光学素子と、
前記分散光学素子と前記パルス光源との間の前記パルス光ビームの経路における複数の屈折光学素子と、
複数の作動システムであって、各作動システムが、屈折光学素子と関連付けられ、かつ、前記関連付けられた屈折光学素子を回転させることによって前記パルス光ビームのスペクトルフィーチャを調節するように構成される、複数の作動システムと、
を備え、
前記作動システムの少なくとも1つが、前記装置の面と垂直なシャフト軸の周りで回転する回転シャフトを有する回転モータを備えた高速アクチュエータを備え、
前記高速アクチュエータに関連付けられた前記屈折光学素子が前記高速アクチュエータに取り付けられ、
前記屈折光学素子の質量中心は、前記シャフト軸からずれている、装置。
【請求項16】
前記高速アクチュエータが、前記関連付けられた屈折光学素子を前記オフセット軸周りで回転させ、及び線形に並進させる、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記高速アクチュエータが、
前記シャフト軸の場所で前記回転シャフトと機械的にリンクされた第1の領域と、
前記シャフト軸と垂直な方向に沿って前記シャフト軸からずれ、かつ、前記装置の前記面内に位置する第2の領域であって、前記第2の領域が前記シャフト軸によって交差されないようになっている、第2の領域と、
を有するレバーアームを備え、
前記高速アクチュエータに関連付けられた前記屈折光学素子が、前記第2の領域と機械的にリンクされる、請求項15に記載の装置。
【請求項18】
前記複数の作動システムに接続され、かつ、信号を各作動システムに送るように構成される制御システムをさらに備えた、請求項15に記載の装置。
【請求項19】
前記制御システムが、前記高速アクチュエータに信号を送ることによって、前記高速アクチュエータに関連付けられた前記屈折光学素子を回転及び並進させて、前記パルス光ビームのスペクトルフィーチャを調節するように構成される、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記高速アクチュエータに関連付けられた前記屈折光学素子が、約50ミリ秒以下の内に、前記オフセット軸の周りを15度回転するとともに安定した平衡位置に達するように構成される、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記スペクトルフィーチャが、前記パルス光ビームの帯域幅及び波長の1つ又は複数である、請求項15に記載の装置。
【請求項22】
前記高速アクチュエータによって制御される前記屈折光学素子が、反射防止コーティングを欠いている、請求項15に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の主題は、リソグラフィ露光装置に光を供給する光源から出力される光ビームの例えば帯域幅又は波長などのスペクトルフィーチャを制御する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体リソグラフィ(又はフォトリソグラフィ)において、集積回路(IC)の製造は、半導体(例えば、シリコン)基板(ウェーハとも呼ばれる)に対して行われる各種の物理的及び化学的プロセスを必要とする。フォトリソグラフィ露光装置又はスキャナは、所望のパターンを基板のターゲット部分に施す機械である。ウェーハは、ウェーハが、概ねスキャナの直交するX及びY方向によって定義される面に沿って延在するように、ステージに固定される。ウェーハは、深紫外線(DUV)領域内の波長を有する光ビームによって照射される。光ビームは、スキャナのZ方向と一致する軸方向に沿って進む。スキャナのZ方向は、横方向X−Y面と直交する。
【0003】
レーザなどの光源から出力される光ビームのスペクトルフィーチャ又は特性(例えば、帯域幅)の正確な知識は、多くの科学的及び工業的用途において重要である。例えば、光源帯域幅の正確な知識を使用することによって、深紫外線(DUV)光リソグラフィにおいて、最小フィーチャサイズ又はクリティカルディメンジョン(CD)の制御が可能となる。クリティカルディメンジョンは、半導体基板(ウェーハとも呼ばれる)上にプリントされるフィーチャサイズであり、及び従って、CDは、細かいサイズ制御を必要とし得る。光リソグラフィでは、基板は、光源によって生成された光ビームによって照射される。多くの場合、光源は、レーザ源であり、及び光ビームは、レーザビームである。
【発明の概要】
【0004】
幾つかの一般的態様において、光学システムは、光源と共に使用される。光学システムは、分散光学素子と、分散光学素子と光源との間の複数の屈折光学素子と、それぞれが屈折光学素子と関連付けられた複数の作動システムとを含む。作動システムの少なくとも1つは、回転軸の周りで関連付けられた屈折光学素子を360度回転させるように構成されたアクチュエータを含み、このアクチュエータは、シャフト軸の周りを回転するように構成された回転シャフトを備え、シャフト軸は、関連付けられた屈折光学素子の回転軸と平行であり、及びシャフト軸は、基底エネルギー状態が欠如している。
【0005】
幾つかの一般的態様において、スペクトルフィーチャ選択装置は、パルス光ビームを生成するパルス光源と共に使用される。スペクトルフィーチャ選択装置は、パルス光ビームと相互作用するように配置された分散光学素子と、分散光学素子とパルス光源との間のパルス光ビームの経路に配置された3つ以上の屈折光学素子と、1つ又は複数の作動システムであって、各作動システムが、屈折光学素子と関連付けられ、及び関連付けられた屈折光学素子を回転させることによって、パルス光ビームのスペクトルフィーチャを調節するように構成された、1つ又は複数の作動システムと、1つ又は複数の作動システムに接続された制御システムと、を含む。作動システムの少なくとも1つは、回転軸の周りで関連付けられた屈折光学素子を回転させるように構成された高速アクチュエータを含む高速作動システムである。高速アクチュエータは、関連付けられた屈折光学素子の回転軸と平行なシャフト軸の周りを回転する回転シャフトを有する回転ステッパモータを含む。制御システムは、回転ステッパモータの回転シャフトを調節することによって、関連付けられた屈折光学素子をその回転軸の周りで回転させるために、信号を高速アクチュエータに送るように構成される。
【0006】
実施は、以下のフィーチャの1つ又は複数を含み得る。例えば、高速アクチュエータは、分散光学素子から最も離れた屈折光学素子を回転させるように構成されてもよい。パルス光ビーム経路は、装置のXY面内に位置してもよく、及び回転ステッパモータの回転シャフトは、装置のZ軸と平行であることによって、関連付けられた屈折光学素子を、装置のZ軸と平行な、その回転軸の周りで回転させる軸を有していてもよい。
【0007】
高速作動システムは、関連付けられた屈折光学素子に物理的に結合された二次アクチュエータも含んでいてもよく、二次アクチュエータは、XY面内に位置し、及び関連付けられた屈折光学素子の斜辺の面内にも位置する軸の周りで、関連付けられた屈折光学素子を回転させるように構成される。
【0008】
装置は、回転ステッパモータの回転シャフトの位置を検出する位置モニタを含んでいてもよい。制御システムは、位置モニタに接続されてもよく、並びに、回転シャフトの検出位置を受信し、及び受信した検出位置が、許容可能な位置範囲内になければ、回転シャフトを調節するように構成されてもよい。位置モニタは、光学回転エンコーダであってもよい。回転シャフトは、回転軸からずれたオフセット軸の周りで、高速アクチュエータと関連付けられた屈折光学素子を回転させるように構成されてもよい。
【0009】
シャフト軸は、約360°回転することによって、関連付けられた屈折光学素子を約360°回転させるように構成されてもよい。
【0010】
高速アクチュエータに関連付けられた屈折光学素子が、シャフト軸に固定して結合されてもよい。
【0011】
制御システムは、回転ステッパモータに接続された高速コントローラを含んでいてもよく、回転シャフトの調節は、高速コントローラによって行われる。
【0012】
高速アクチュエータに関連付けられた屈折光学素子の回転は、分散光学素子と相互作用するパルス光ビームの拡大倍率の変化を生じさせてもよい。パルス光ビームの拡大倍率の変化は、パルス光ビームの帯域幅の変化を生じさせてもよい。高速アクチュエータに関連付けられた屈折光学素子の回転による帯域幅の範囲は、少なくとも250フェムトメートル(fm)であってもよい。回転シャフトの回転の一単位分の、高速アクチュエータに関連付けられた屈折光学素子の回転は、パルス光ビームの帯域幅を測定する帯域幅測定デバイスの解像度未満の量だけ、パルス光ビームの帯域幅を変化させてもよい。
【0013】
分散光学素子は、回折光学素子から回折されたパルス光ビームが、回折光学素子に入射したパルス光ビームの経路に沿って進むように、リトロー配置にパルス光ビームと相互作用するように配置された回折光学素子であってもよい。
【0014】
屈折光学素子は、直角プリズムであってもよく、 ルス光ビームが各直角プリズムを通過する際に、パルス光ビームが、その光学拡大倍率を変化させるように、直角プリズムを通してパルス光ビームが透過される。分散光学素子から最も離れた直角プリズムは、複数の直角プリズムの内の最小の斜辺を有していてもよく、及び分散光学素子により近い連続した直角プリズムのそれぞれは、分散光学素子からより離れた隣接する直角プリズムよりも大きい、又はそれと同じサイズの斜辺を有していてもよい。
【0015】
他の一般的態様において、スペクトルフィーチャ選択装置は、パルス光源によって生成されたパルス光ビームと相互作用するように配置された分散光学素子を含む。スペクトルフィーチャ選択装置は、分散光学素子とパルス光源との間のパルス光ビームの経路に配置された複数の屈折光学素子と、複数の作動システムと、を含む。各作動システムは、屈折光学素子と関連付けられ、及び関連付けられた屈折光学素子を回転させることによって、パルス光ビームのスペクトルフィーチャを調節するように構成される。作動システムの少なくとも1つは、装置の面と垂直なシャフト軸の周りで回転する回転シャフトを有する回転モータを含む高速アクチュエータを含む。屈折光学素子が、シャフト軸と平行であり、重心からずれ、及びシャフト軸からずれたオフセット軸の周りで回転するように、高速アクチュエータに関連付けられた屈折光学素子は、高速アクチュエータに取り付けられる。
【0016】
実施は、以下のフィーチャの1つ又は複数を含んでいてもよい。例えば、高速アクチュエータは、関連付けられた屈折光学素子をオフセット軸周りで回転させ、及び線形に並進させてもよい。高速アクチュエータは、シャフト軸の場所で回転シャフトと機械的にリンクされた第1の領域と、第2の領域がシャフト軸によって交差されないように、シャフト軸と垂直な方向に沿ってシャフト軸からずれ、及び装置の面内に位置する第2の領域と、を含むレバーアームを含んでいてもよい。高速アクチュエータに関連付けられた屈折光学素子は、第2の領域と機械的にリンクされる。
【0017】
装置は、複数の作動システムに接続され、及び信号を各作動システムに送るように構成された制御システムも含んでいてもよい。制御システムは、高速アクチュエータに信号を送ることによって、高速アクチュエータに関連付けられた屈折光学素子を回転及び並進させて、パルス光ビームのスペクトルフィーチャを調節するように構成されてもよい。高速アクチュエータに関連付けられた屈折光学素子は、約50ミリ秒以下の内に、オフセット軸の周りを15度回転し、及び安定した平衡位置に達するように構成されてもよい。
【0018】
スペクトルフィーチャは、パルス光ビームの帯域幅及び波長の1つ又は複数であってもよい。高速アクチュエータによって制御される屈折光学素子は、反射防止コーティングを欠いていてもよい。
【0019】
他の一般的態様では、スペクトルフィーチャ選択装置は、リトロー配置にパルス光ビームと相互作用するように配置された回折光学素子を含み、パルス光ビームは、光源によって生成される。スペクトルフィーチャ選択装置は、4つ以上の直角プリズムの一セットも含み、 ルス光ビームが各直角プリズムを通過する際に、パルス光ビームが、その光学拡大倍率を変化させるように、4つ以上の直角プリズムの一セットを通してパルス光ビームが透過される。パルス光ビームは、ビーム経路に沿って進み、及びパルス光ビームの横方向の広がりが、各プリズムの斜辺のそれぞれの内側に含まれるように、各プリズムの斜辺と交差する横方向の広がりを有する。回折光学素子に最も近い直角プリズムは、セットの内の最大の長さを有する斜辺を有する。回折光学素子からより離れた連続する直角プリズムのそれぞれは、回折光学素子により近い隣接した直角プリズムの斜辺以下の長さを有する斜辺を有する。回折光学素子に最も近い直角プリズムは、その直角を回折光学素子から離れるように位置付けて配置される。回折光学素子から最も離れた直角プリズムと、回折光学素子と、の間の領域には、どのような反射光学素子もない。スペクトルフィーチャ選択装置は、少なくとも2つの作動システムも含み、各作動システムは、セットの直角プリズムと関連付けられ、及びパルス光ビームに対して、関連付けられた直角プリズムを回転させることによって、パルス光ビームのスペクトルフィーチャを調節するように構成される。
【0020】
実施は、以下のフィーチャの1つ又は複数を含んでいてもよい。例えば、回折光学素子から最も離れたプリズムは、作動システムと関連付けられてもよく、及び可動であってもよく、並びに、回折光学素子に二番目に近いプリズムは、作動システムと関連付けられてもよく、及び可動であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】パルス光ビームを生成するフォトリソグラフィシステムのブロック図であり、フォトリソグラフィシステムは、パルス光ビームの1つ又は複数のスペクトルフィーチャを調整するためのスペクトルフィーチャ選択装置を含む。
図2図1のフォトリソグラフィシステムによって生成されたパルス光ビームの例示的光学スペクトルのグラフである。
図3A図1のフォトリソグラフィシステムにおいて使用することができる例示的スペクトルフィーチャ選択装置のブロック図である。
図3B図3Aのスペクトルフィーチャ選択装置の屈折光学素子の1つを通るビーム拡大倍率及びビーム屈折角を示すブロック図である。
図4A図1のフォトリソグラフィシステムにおいて使用することができる例示的スペクトルフィーチャ選択装置のブロック図である。
図4B図4Aのスペクトルフィーチャ選択装置の例示的ビームエキスパンダの一部の側面図である。
図4C】ビームエキスパンダの調節を示す図4Bの例示的ビームエキスパンダの一部の上面図である。
図5A図1のフォトリソグラフィシステムにおいて使用することができる例示的スペクトルフィーチャ選択装置のブロック図である。
図5B図5Aのスペクトルフィーチャ選択装置の例示的ビームエキスパンダの一部の側面図である。
図5C】ビームエキスパンダの調節を示す図5Bの例示的ビームエキスパンダの一部の上面図である。
図6A図1のフォトリソグラフィシステムにおいて使用することができる例示的スペクトルフィーチャ選択装置のブロック図である。
図6B図6Aのスペクトルフィーチャ選択装置の例示的ビームエキスパンダの一部の側面図である。
図6C図6Aの例示的ビームエキスパンダの一部の上面図である。
図6D】ビームエキスパンダの調節を示す図6Bの例示的ビームエキスパンダの一部の側面図である。
図7図1のフォトリソグラフィシステムにおいて使用することができる例示的スペクトルフィーチャ選択装置のブロック図である。
図8図1のフォトリソグラフィシステムの例示的光源のブロック図である。
図9図1のフォトリソグラフィシステムの例示的制御システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1を参照して、フォトリソグラフィシステム100は、公称的には中心波長にあり、及びフォトリソグラフィ露光装置又はスキャナ115に誘導される波長を有するパルス光ビーム110を生成する照明システム150を含む。パルス光ビーム110は、スキャナ115に収容された基板又はウェーハ120上にマイクロ電子フィーチャのパターン形成を行うために使用される。照明システム150は、変更可能なパルス繰り返し率でパルス光ビーム110を生成する光源105を含む。照明システム150は、光源105及び照明システム150内の他のフィーチャと通信する制御システム185を含む。また、照明システム150は、照明システム150の動作及びパルス光ビーム110の態様を制御するために、スキャナ115と通信する。
【0023】
光ビーム110は、光ビーム110の態様を修正する光学素子を含んでいてもよいビーム準備システム112を通して誘導される。例えば、ビーム準備システム112は、反射及び/又は屈折光学素子、光パルス引伸ばし回路、並びに光アパーチャ(自動シャッタを含む)を含んでいてもよい。
【0024】
光ビーム110のパルスは、深紫外線(DUV)領域内の波長を中心とし、例えば、248ナノメートル(nm)又は193nmの波長を有する。ウェーハ120上にパターン形成されるマイクロ電子フィーチャのサイズは、パルス光ビーム110の波長によって決まり、より低い波長は、小さな最小フィーチャサイズ又はクリティカルディメンジョンをもたらす。パルス光ビーム110の波長が、248nm又は193nmである場合、マイクロ電子フィーチャの最小サイズは、例えば、50nm以下とすることができる。パルス光ビーム110の解析及び制御に使用される帯域幅は、図2に示されるような光学スペクトル200(又は発光スペクトル)の実際の瞬間帯域幅でもよい。光学スペクトル200は、光ビーム110の光エネルギー又はパワーが、どのように異なる波長(又は周波数)にわたって分布するかに関する情報を含有する。
【0025】
照明システム150は、スペクトルフィーチャ選択装置130を含む。スペクトルフィーチャ選択装置130は、光源105の第1の端部に設置されて、光源105によって生成された光ビーム110Aと相互作用する。光ビーム110Aは、光源105内の共振器の一端で生成されるビームであり、及び以下で説明するような主発振器によって生成されるシードビームでもよい。スペクトルフィーチャ選択装置130は、パルス光ビーム110Aの1つ又は複数のスペクトルフィーチャ(帯域幅又は波長など)を調整又は調節することによって、パルス光ビーム110のスペクトル特性を微調整するように構成される。
【0026】
図3Aを参照して、スペクトルフィーチャ選択装置130は、パルス光ビーム110Aと光学的に相互作用するように配置された光学フィーチャ又はコンポーネント300、305、310、315、320の一セット、並びにファームウェア及びソフトウェアの任意の組み合わせの形式で電子機器を含む制御モジュール350を含む。制御モジュール350は、各光学コンポーネント300、305、310、315、320に物理的に結合された1つ又は複数の作動システム300A、305A、310A、315A、320Aに接続される。装置130の光学コンポーネントは、格子でもよい分散光学素子300、及びプリズムでもよい屈折光学素子305、310、315、320の一セットから成るビームエキスパンダ301を含む。格子300は、光ビーム110Aを分散及び反射させるように設計された反射格子でもよく、それに応じて、格子300は、DUV領域内の波長を有するパルス光ビーム110Aと相互作用するのに適した材料から作られる。プリズム305、310、315、320のそれぞれは、光ビーム110Aがプリズムの本体を通過する際にそれを分散及び再誘導するように作用する透過プリズムである。各プリズムは、光ビーム110Aの波長の透過を許容する材料(例えば、フッ化カルシウムなど)で作られてもよい。
【0027】
プリズム320は、格子300から最も離れて位置し、プリズム305は、格子300に最も近く位置する。パルス光ビーム110Aは、アパーチャ355を通って装置130内に入り、並びに、その後、格子300の回折面302に衝突する前に、プリズム320、プリズム310、及びプリズム305をこの順番で通って進む。連続したプリズム320、315、310、305をビーム110Aが通過するごとに、光ビーム110Aは、光学的に拡大され、及び次の光学コンポーネントに向けて再誘導される(傾斜して屈折される)。光ビーム110Aは、格子300から回折及び反射されて、光ビーム110Aが装置130から出る際にアパーチャ355を通過する前に、プリズム305、プリズム310、プリズム315、及びプリズム320をこの順番で通って戻る。格子300から連続したプリズム305、310、315、320を通過するごとに、光ビーム110Aは、それがアパーチャ355に向けて進むにつれて光学的に圧縮される。
【0028】
図3Bを参照して、ビームエキスパンダ301のプリズムP(プリズム305、310、315、又は320の何れであってもよい)の回転は、光ビーム110Aが、その回転プリズムPの入射面H(P)に衝突する入射角を変化させる。また、2つの局所的光学品質、つまり、その回転プリズムPを通る光ビーム110Aの光学拡大倍率OM(P)及びビーム屈折角δ(P)は、その回転プリズムPの入射面H(P)に衝突する光ビーム110Aの入射角の関数である。プリズムPを通る光ビーム110Aの光学拡大倍率OM(P)は、そのプリズムPに入る光ビーム110Aの横方向幅Wi(P)に対する、そのプリズムPから出る光ビーム110Aの横方向幅Wo(P)の比率である。
【0029】
ビームエキスパンダ301内のプリズムPの1つ又は複数における光ビーム110Aの局所的光学拡大倍率OM(P)の変化は、ビームエキスパンダ301を通る光ビーム110Aの光学拡大倍率OM365の全体的な変化を生じさせる。ビームエキスパンダ301を通る光ビーム110Aの光学拡大倍率OM365は、ビームエキスパンダ301に入る光ビーム110Aの横方向幅Wiに対する、ビームエキスパンダ301から出る光ビーム110Aの横方向幅Woの比率である。
【0030】
加えて、ビームエキスパンダ301内のプリズムPの1つ又は複数を通る局所的ビーム屈折角δ(P)の変化は、格子300の面302における光ビーム110Aの362の入射角の全体的な変化を生じさせる。
【0031】
光ビーム110Aの波長は、光ビーム110Aが格子300の回折面302に衝突する入射角362を変更することによって調節することができる。光ビーム110Aの帯域幅は、光ビーム110の光学拡大倍率365を変更することによって調節することができる。
【0032】
例えば、図3A図7に関して本明細書で説明するように、スペクトルフィーチャ選択装置130は、光ビーム110が、スキャナ115によってウェーハ120全体にわたりスキャンされている間に、パルス光ビーム110の帯域幅のより高速な調節を提供するように再設計される。スペクトルフィーチャ選択装置130は、光学コンポーネント300、305、310、315、320の1つ又は複数をより効果的及びより高速に回転させるための1つ又は複数の新しい作動システムを有して再設計することができる。
【0033】
例えば、スペクトルフィーチャ選択装置130は、プリズム320をより効果的及びより高速に回転させるための新しい作動システム320Aを含む。新しい作動システム320Aは、プリズム320が回転する速度を増加させるように設計することができる。具体的には、新しい作動システム320Aに取り付けられたプリズム320の回転軸は、新しい作動システム320Aの回転可能モータシャフト322Aと平行である。他の実施では、新しい作動システム320Aは、一端においてモータシャフト322Aと物理的にリンクされ、及び他端においてプリズム320と物理的にリンクされることによって、プリズム320を回転させるための追加の力を提供するアームを含むように設計することができる。このようにして、光ビーム110Aの光学拡大倍率OMは、プリズム320の回転に対して感度が高められる。
【0034】
図7に示すような一部の実施では、プリズム305は、帯域幅のより高速な調節を提供するために、ビームエキスパンダの従来の設計に対して反転される。これらの場合、帯域幅の変化は、プリズム320の比較的より小さな回転に伴って、比較的より速くなる(装置130の従来の設計と比較した場合)。プリズム320の単位回転当たりの光学拡大倍率の変化は、従来のスペクトルフィーチャ選択装置と比較して、再設計したスペクトルフィーチャ選択装置130において増大する。
【0035】
装置130は、光ビーム110Aが格子300の回折面302に衝突する入射角362を調節することによって、光源105の1つ又は複数の共振器内で生成される光ビーム110Aの波長を調節するように設計される。具体的には、これは、プリズム305、310、315、320及び格子300の1つ又は複数を回転させ、それによって、光ビーム110Aの入射角362を調節することによって行うことができる。
【0036】
また、光源105によって生成される光ビーム110Aの帯域幅は、光ビーム110Aの光学拡大倍率OM365を調節することによって調節される。従って、光ビーム110Aの帯域幅は、プリズム305、310、315、320の1つ又は複数を回転させることによって(これは、光ビーム110Aの光学拡大倍率365を変化させる)調節することができる。
【0037】
ある特定のプリズムPの回転が、そのプリズムPにおける、局所的ビーム屈折角δ(P)及び局所的光学拡大倍率OM(P)の両方の変化を生じさせるので、この設計において、波長及び帯域幅の制御が結合される。
【0038】
加えて、光ビーム110Aの帯域幅は、プリズム320の回転に対して比較的感度が高く、及びプリズム305の回転に対して比較的感度が低い。これは、プリズム320の回転による光ビーム110Aの局所的光学拡大倍率OM(320)の変化が、他のプリズム315、310、及び305におけるそれぞれの光学拡大倍率OM(315)、OM(310)、OM(305)の変化の積によって乗算されるためである(これらのプリズムが、回転プリズム320と、格子300との間に存在し、及び光ビーム110Aが、プリズム320を通過した後に、これらの他のプリズム315、310、305を通って進まなければならないためである)。一方、光ビーム110Aの波長は、プリズム305の回転に対して比較的感度が高く、及びプリズム320の回転に対して比較的感度が低い。
【0039】
例えば、光ビーム110Aの帯域幅を変更せずに波長を変更するためには、入射角362が、光学拡大倍率365を変更することなく変更されるべきである。これは、プリズム305を大きく回転させ、及びプリズム320を小さく回転させることによって達成することができる。波長を変更せずに帯域幅を変更するためには、光学拡大倍率365が、入射角362を変更することなく変更されるべきであり、並びに、これは、プリズム320を大きく回転させ、及びプリズム305を小さく回転させることによって達成することができる。
【0040】
制御モジュール350は、各光学コンポーネント300、305、310、315、320に物理的に結合された1つ又は複数の作動システム300A、305A、310A、315A、320Aに接続される。各光学コンポーネントに対して作動システムが示されているが、装置130の光学コンポーネントの幾つかは、静止状態を保つか、又は作動システムに物理的に結合されないことが可能である。例えば、一部の実施では、格子300は、静止状態を保ってもよく、並びにプリズム315は、静止状態を保ち、及び作動システムに物理的に結合されていなくてもよい。
【0041】
作動システム300A、305A、310A、315A、320Aのそれぞれは、それぞれの光学コンポーネントに接続されたアクチュエータを含む。光学コンポーネントの調節は、光ビーム110Aの特定のスペクトルフィーチャ(波長及び/又は帯域幅)の調節を生じさせる。制御モジュール350は、制御システム185から制御信号を受信し、この制御信号は、作動システムの1つ又は複数を動作させ、又は制御するための具体的なコマンドを含む。作動システムは、協働するように選択及び設計することができる。
【0042】
作動システム300A、305A、310A、315A、320Aの各アクチュエータは、それぞれの光学コンポーネントを移動させ、又は制御するための機械デバイスである。アクチュエータは、モジュール350からエネルギーを受け取り、及びそのエネルギーをそれぞれの光学コンポーネントに与えられるある種の動作に変換する。例えば、作動システムは、ビームエキスパンダのプリズムの1つ又は複数を回転させるための力デバイス及び回転ステージの何れか1つであってもよい。作動システムは、例えば、ステッパモータなどのモータ、バルブ、圧力制御デバイス、圧電デバイス、リニアモータ、油圧アクチュエータ、ボイスコイルなどを含んでいてもよい。
【0043】
格子300は、高ブレーズ角エシェル格子であってもよく、及び格子式を満たす入射角362で格子300に入射する光ビーム110Aが、反射(回折)される。格子式は、格子300のスペクトル次数と、回折波長(回折ビームの波長)と、格子300上への光ビーム110Aの入射角362と、格子300から離れるように回折される光ビーム110Aの出射角と、格子300上に入射する光ビーム110Aの垂直方向ダイバージェンスと、格子300の回折面の溝間隔と、の間の関係を提供する。また、格子300上への光ビーム110Aの入射角362が、格子300からの光ビーム110Aの出射角と等しいように格子300が使用される場合、格子300及びビームエキスパンダ(プリズム305、310、315、320)は、リトロー配置に配置され、及び格子300から反射される光ビーム110Aの波長は、リトロー波長である。格子300上に入射する光ビーム110Aの垂直方向ダイバージェンスがほぼゼロであると仮定することができる。公称波長を反射するためには、格子300は、公称波長が反射し返されて、ビームエキスパンダ(プリズム305、310、315、320)を通り、光源105で増幅されるように、格子300上に入射する光ビーム110Aに対してアライメントされる。次いで、リトロー波長は、格子300上への光ビーム110Aの入射角362を変化させることによって、光源105内の共振器の利得帯域幅全体にわたり調整することができる。
【0044】
プリズム305、310、315、320のそれぞれは、光ビーム110Aが通過する面内に光ビーム110Aが含まれるように、光ビーム110Aの横方向に沿って十分に広い。各プリズムは、アパーチャ355から格子300に向けた経路上で、光ビーム110Aを光学的に拡大し、及び従って、各プリズムは、プリズム320からプリズム305へと逐次的にサイズが大きくなる。従って、プリズム305は、プリズム310よりも大きく、プリズム310は、プリズム315よりも大きく、及びプリズム320は、最小のプリズムである。
【0045】
格子300から最も離れ、及びサイズが最小でもあるプリズム320は、作動システム320A上に(具体的には、プリズム320を回転させる回転シャフト322Aに対して)取り付けられ、及びこのような回転は、格子300に衝突する光ビーム110Aの光学拡大倍率を変化させ、それによって、装置130から出力される光ビーム110Aの帯域幅を修正する。作動システム320Aは、プリズム320が固定される回転シャフト322Aを含む回転ステッパモータを含むので、高速作動システム320Aとして設計される。回転シャフト322Aは、プリズム320の回転軸と平行な、そのシャフト軸の周りを回転する。また、作動システム320Aが回転ステッパモータを含むので、それは、機械的メモリが欠如しており、及びエネルギー基底状態も欠如している。回転シャフト322Aの各場所は、回転シャフト322Aの他の場所のそれぞれと同じエネルギー状態であり、及び回転シャフト322Aは、低電位エネルギーの好ましい休止場所が欠如している。
【0046】
システム320Aの回転ステッパモータは、回転シャフト322A、及び従ってプリズム320を高速に移動させるのに十分な速さであるべきである(これは、要求される時間枠の中で、光ビーム110Aのスペクトルフィーチャに対する調節を可能にするのに十分な速さを意味する)。一部の実施では、システム320Aの回転ステッパモータは、回転シャフト322Aの位置に関するフィードバックを提供するための光学回転エンコーダを有して構成される。また、回転ステッパモータは、高解像度位置コントローラであり、及び可変周波数駆動制御方法を使用するモータコントローラを用いて制御することができる。一例では、システム320Aの回転ステッパモータは、50ms足らずで回転シャフト322A及びプリズム320を15度移動させるのに十分な速さであり、並びに、光学回転エンコーダの精度は、50マイクロ度未満(例えば、30msで15度)とすることができる。可変周波数駆動制御方法の一例は、モータのステータ電流が、2つの直交するコンポーネント、すなわち、モータの磁束及びトルクによって制御されるベクトルモータ制御である。光学回転エンコーダは、ガラス又はスチールのキャリア基板につけられる目盛りとして知られる周期構造の測定基準を組み込んだ光学スキャンを用いるエンコーダであってもよい。幾つかの例では、光学回転エンコーダは、HEIDENHAINによって製造される。
【0047】
図4A及び4Bを参照して、第1の実施においては、スペクトルフィーチャ選択装置430が、格子400及び4つのプリズム405、410、415、420を有して設計される。格子400及び4つのプリズム405、410、415、420は、光ビーム110Aが装置430のアパーチャ455を通過した後に、光源105によって生成された光ビーム110Aと相互作用するように構成される。光ビーム110Aは、装置430のXY面内の経路に沿って、アパーチャ455から、プリズム420、プリズム415、プリズム410、プリズム405を通って進み、並びに次いで格子400から反射され、及びアパーチャ455を通って装置から出る前に、プリズム405、410、415、420を通って戻る。
【0048】
プリズム405、410、415、420は、パルス光ビーム110Aが各直角プリズムを通過する際に、パルス光ビーム110Aが、その光学拡大倍率を変化させるように、パルス光ビーム110Aが透過される直角プリズムである。分散光学素子400から最も離れた直角プリズム420は、複数の内で最小の斜辺を有し、及び分散光学素子400により近い各連続した直角プリズムは、分散光学素子からより離れた隣接する直角プリズムよりも大きい、又はそれと同じサイズの斜辺を有する。
【0049】
例えば、格子400に最も近いプリズム405はまた、サイズが最も大きく、例えば、その斜辺は、4つのプリズム405、410、415、420の内の最も大きな広がりを有する。格子400から最も離れたプリズム420はまた、サイズが最も小さく、例えば、その斜辺は、4つのプリズム405、410、415、420の内の最も小さな広がりを有する。隣接するプリズムが同じサイズであることが可能である。しかし、プリズム420、プリズム415、プリズム410、及びプリズム405を通って進むにつれて、光ビーム110Aが光学的に拡大され、並びに、結果として、光ビーム110Aが格子400に近づくにつれて、光ビーム110Aの横方向の広がりが拡大するので、格子400により近い各プリズムは、それに隣接するプリズムとサイズが少なくとも同じ又はそれよりも大きくあるべきである。光ビーム110Aの横方向の広がりは、光ビーム110Aの伝搬方向と垂直な面に沿った広がりである。そして、光ビーム110Aの伝搬方向は、装置430のXY面内にある。
【0050】
プリズム405は、装置430のZ軸と平行な軸の周りでプリズム405を回転させる作動システム405Aと物理的に結合され、プリズム410は、Z軸と平行な軸の周りでプリズム410を回転させる作動システム410Aと物理的に結合され、及びプリズム420は、高速作動システム420Aと物理的に結合される。高速作動システム420Aは、装置430のZ軸と平行な軸の周りでプリズム405を回転させるように構成される。
【0051】
高速作動システム420Aは、回転シャフト422A及び回転シャフト422Aに固定された回転板423Aを有する回転ステッパモータ421Aを含む。回転シャフト422A及び従って回転板423Aは、プリズム420の質量中心(回転軸APに対応する)と平行であり、及び装置430のZ軸とも平行なシャフト軸ARの周りを回転する。必須ではないが、プリズム420のシャフト軸ARは、XY面に沿ってプリズム420の質量中心(回転軸AP)と一致し、又はアライメントしてもよい。一部の実施では、プリズム420の質量中心(又は回転軸AP)は、XY面に沿ってシャフト軸ARからずれる。シャフト軸ARをプリズム420の質量中心からずらすことによって、プリズム420が回転する時はいつでも、格子400の面上のある特定の位置にあるように、光ビーム110Aの位置を調節することができる。
【0052】
プリズム420を回転板423Aに取り付けることによって、プリズム420は、シャフト422A及び回転板423Aがそれらのシャフト軸ARの周りを回転する際に、その回転軸APの周りを直接回転する。このようにして、(屈曲を使用して回転動作に変換される)線形に並進可能なシャフトを有する線形ステッパモータを使用するシステムと比較して、プリズム420の高速な回転又は制御が可能となる。シャフト422A(及び板423A)の回転ステップが、プリズム420の回転ステップと直接相関するので(いかなる線形動作を与えることなく)、回転ステッパモータ421Aは、光ビーム110A及び従って光ビーム110のスペクトルフィーチャ(帯域幅など)のより高速な調節を可能にする速度でプリズム420を回転させることができる。ステッパモータ421Aの回転設計は、プリズム420に対する従来のアクチュエータ上で見られた線形動作又は屈曲動作を用いることなく取り付けられたプリズム420に対して、純粋な回転動作を与える。また、回転シャフト422Aの使用は、線形ステッパモータに加えて屈曲設計を使用した従来のアクチュエータ(プリズム420は、屈曲から決定された角度の周りのみを回転可能である)とは異なり、プリズム420が360°完全に回転することを可能にする。一部の実施では、許容可能な範囲内に光ビーム110Aの帯域幅を調整するために、プリズム420は、15度回転されることが可能である。現在の帯域幅範囲要件では必須ではないが、プリズム420は、15度を超えて回転させることができる。
【0053】
一部の実施では、ステッパモータ421Aは、直接駆動ステッパモータであってもよい。直接駆動ステッパモータは、位置制御のために内蔵ステップモータの機能性を使用する従来の電磁モータである。動作のより高い解像度が必要とされる場合がある他の実施では、ステッパモータ421Aは、圧電モータ技術を使用することができる。
【0054】
ステッパモータ421Aは、プリズム420の高速な回転を提供するために可変周波数駆動制御方法を使用するモータコントローラを用いて制御される回転ステージであってもよい。
【0055】
上記で説明した通り、回転ステッパモータ421Aを使用する利点は、プリズム420の回転軸APが、回転シャフト422A及びシャフト軸ARとも平行であるため、プリズム420のより高速な回転を得ることである。従って、シャフト422Aの単位回転ごとに、プリズム420は、増分単位分だけ回転し、及びプリズム420は、回転シャフト422Aが回転可能な速さと同じ速さで回転する。一部の実施では、この構成の安定性を高め、及びプリズム420の安定性を高めるために、高速作動システム420Aは、回転ステッパモータ421Aの回転シャフト422Aの位置を検出するように構成された位置モニタ424Aを含む。回転シャフト422Aの測定位置と、回転シャフト422Aの期待又はターゲット位置との間のエラーは、プリズム420の位置のエラーと直接相関し、並びに、結果として、この測定を使用して、プリズム420の回転エラー(すなわち、実際の回転と、指令回転との間の差)を決定し、及び動作中にこのエラーを補正することができる。
【0056】
制御モジュール350は、回転シャフト422Aの位置の値を受信するために位置モニタ424Aに接続され、及び制御モジュール350は、制御モジュール350が、回転シャフト422Aの位置の測定値と、回転シャフト422Aの指令位置との間の差を決定し、及びこのエラーを減少させるためにどのように回転シャフト422Aを調節するのかも決定するための計算を行うことができるように、回転シャフト422Aの指令位置の保存値又は現在の値にアクセスすることもできる。例えば、制御モジュール350は、エラーを相殺するために、回転シャフト422Aの回転のサイズ及び回転の方向を決定することができる。代替的に、制御システム185が、この解析を行うことが可能である。
【0057】
位置モニタ424Aは、回転板423Aと一体的に構築された非常に高い解像度の光学回転エンコーダであってもよい。光学回転エンコーダは、不透明ライン及びパターンを有する内部コードディスクの回転に対して、光学センシング技術を使用する。例えば、板423Aは、発光ダイオードなどの光のビームで回転され(回転エンコーダの名はこれに由来する)、及び板423A上の印は、光の遮断及び遮断解除を行うシャッタとして機能する。内部フォトダイオード検出器は、交互の光ビームを感知し、及びエンコーダの電子機器は、次にエンコーダ424Aの出力を通して制御モジュール350に伝えられる電気信号へとパターンを変換する。
【0058】
一部の実施では、制御モジュール350は、回転ステッパモータ421Aを動作させるためだけの高速な内部専用コントローラを有して設計することができる。例えば、高速な内部専用コントローラは、エンコーダ424Aから高解像度位置データを受信することができ、並びに、シャフト422Aの位置を調節し、及びそれによってプリズム420の位置を調節するために、信号を回転ステッパモータ421Aに直接送ることができる。
【0059】
図4Cも参照して、照明システム150は、制御モジュール350とインタフェースをとる制御システム185の制御下で、光ビーム110Aの帯域幅などのスペクトルフィーチャを変更する。例えば、光ビーム110A及び光ビーム110の帯域幅を粗く及び広く制御するために、制御モジュール350は、第1の角度θ1(図4Cの左側)から第2の角度θ2(ここでは、Δθ=θ2−θ1)(図4Cの右側)へと回転シャフト422Aを回転させるために、信号を高速作動システム420Aの回転ステッパモータ421Aに送る。そして、シャフト422Aのこの角度変化は、シャフト422Aに固定された板423Aに直接与えられ、及びそれによって、板423Aに固定されたプリズム420にも与えられる。θ1からθ2へのプリズム420の回転は、OM1からOM2への格子400と相互作用するパルス光ビーム110Aの光学拡大倍率OM365の対応する変化を生じさせ、並びに、パルス光ビーム110Aの光学拡大倍率365のこの変化は、パルス光ビーム110A(及び光ビーム110も同様)の帯域幅の変化を生じさせる。この高速作動システム420Aを使用してプリズム420を回転させることによって達成することができる帯域幅の範囲は、広い範囲であることが可能であり、及び約100フェムトメートル(fm)〜約450fmとなることが可能である。達成可能な全帯域幅範囲は、少なくとも250fmであることが可能である。
【0060】
回転シャフト422Aの回転の一単位分の高速作動システム420Aと関連付けられたプリズム420の回転は、パルス光ビーム110の帯域幅を測定する帯域幅測定デバイス(例えば、以下で説明するメトロロジシステム170の一部として)の解像度よりも低い量だけ、パルス光ビーム110Aの帯域幅を変化させる。プリズム420は、そのような帯域幅の変化を達成するために、最大15度まで回転させることができる。実際には、プリズム420の回転量は、装置430の他のコンポーネントの光学的レイアウトによってのみ制約される。例えば、大きすぎる回転は、非常に大きいため光ビーム110Aが次のプリズム415上に衝突しない量を光ビーム110Aが変位させられる可能性がある。一部の実施では、許容可能な範囲内に光ビーム110Aの帯域幅を調整するために、プリズム420は、光ビーム110Aが他のプリズム405、410、又は415の何れかを放棄するリスクなしに、15度回転されることが可能である。現在の帯域幅範囲要件では必須ではないが、プリズム420は、15度を超えて回転させることができる。
【0061】
図4Aを再び参照して、プリズム410は、プリズム410を回転させる作動システム410Aに取り付けることができ、及びこのようなプリズム410の回転は、光ビーム110Aの波長の細かい制御を提供することができる。作動システム410Aは、圧電モータを用いて制御される回転ステッパモータを含んでいてもよい。圧電モータは、線形又は回転動作を生じさせるために、材料が、音響又は超音波振動を生じさせる逆圧電効果を利用して動作する。
【0062】
一部の実施では、格子400により近く、及びプリズム420のサイズよりも大きい、又はそれと等しいサイズを有する次のプリズム415は、空間に固定することができる。格子400により近い次のプリズム410は、プリズム415のサイズよりも大きい、又はそれと等しいサイズを有する。
【0063】
格子410に最も近いプリズム405は、プリズム410のサイズよりも大きい、又はそれと等しいサイズを有する(プリズム405は、ビームエキスパンダの最大のプリズムである)。プリズム405は、プリズム405を回転させる作動システム405Aに取り付けることができ、及びこのようなプリズム405の回転は、光ビーム110Aの波長の粗い制御を提供することができる。例えば、プリズム405は、約193.2ナノメートル(nm)から約193.5nmへと光ビーム110A(及び結果として光ビーム110)の波長を調整するために、1〜2度回転させることができる。一部の実施では、作動システム405Aは、プリズム405が固定される取り付け面(板423Aなど)、及び取り付け面を回転させるモータシャフトを含む回転ステッパモータを含む。作動システム405Aのモータは、従来の線形ステッパモータ及び屈曲の組み合わせの設計よりも50倍速い圧電モータであってもよい。作動システム420Aと同様に、作動システム405Aは、制御システム185又は制御モジュール350に対して角度位置フィードバックを提供する光学回転エンコーダを含んでいてもよい。
【0064】
図5A及び5Bを参照して、スペクトルフィーチャ選択装置530の別の実施では、高速作動システム520Aは、格子500から最も離れたビームエキスパンダのプリズム520をシャフト軸ARの周りで回転(R)させるように設計される。
【0065】
装置530は、シャフト軸ARの場所で、回転板523Aと機械的にリンクされた第1の領域540Aを有する拡張アーム525Aを含む。拡張アーム525Aは、第2の領域545Aが、シャフト軸ARによって交差されないように、XY面内の方向に沿って(及び結果として、シャフト軸ARと垂直な方向に沿って)シャフト軸ARからずれた第2の領域545Aを有する。プリズム520は、第2の領域545Aに機械的にリンクされる。
【0066】
プリズム520の質量中心(プリズム軸AP)及びシャフト軸ARの両方が、装置530のZ軸と平行を保つが、プリズム520の質量中心は、シャフト軸ARからずれている。シャフト軸ARの周りの角度Δθ分の拡張アーム525Aの回転は、プリズム520に対して、複合的な動き、すなわち、シャフト軸ARの周りのXY面内の角度Δθ(図5Cを参照)分のプリズム520の回転R、及び装置530のXY面内に位置する方向に沿ったプリズム520に対する線形並進Tを与える。図5Cの例では、プリズム520は、第1の角度θ1から第2の角度θ2へと回転(R)され、及びXY面における第1の位置Pos1からXY面における第2の位置Pos2へと並進(T)される。
【0067】
プリズム520に対する線形並進Tは、それによって、格子500の面502の長軸501と平行な方向に沿って、光ビーム110Aを並進させる。長軸501は、装置530のXY面にも沿って位置する。光ビーム110Aのこの並進を行うことによって、可能な光学拡大倍率OMの範囲の下端で、格子500のどのエリア又は領域が照明されるかを制御することが可能である。また、格子500及び格子の面502は、不均一であり、つまり、格子500の面502の一部の領域は、格子500の面502の他の領域と比べて、光ビーム110Aの波面に異なる変化を与え、及び面502の一部の領域は、面502の他の領域と比べて、光ビーム110Aの波面に対してより多くのディストーションを与える。制御システム185(又は制御モジュール350)は、高速作動システム520Aを制御することによって、プリズム520に対する線形並進Tの調節及び長軸501に沿った光ビーム110Aの並進の調節を行って、格子500の面502の非均一性を利用し、及び格子面502の一端付近の格子面502のより高いディストーション領域を照明することによって、単に光学拡大倍率を下げることによる効果が達成すると想定されるよりも高くスペクトル帯域幅を引き上げることができる。
【0068】
加えて、プリズム520に対する線形並進Tは、光ビーム110Aの場所に対するプリズム520の回転中に、プリズム520の斜辺H(図5Cを参照)も並進させる。従って、斜辺Hに対する並進は、装置530の動作中に、斜辺Hの新しい領域を光ビーム110Aに露光させる。装置530の寿命にわたり、プリズム520は、その回転範囲の一端から他端へと回転され、及びより多くの領域が光ビーム110Aに露光され、これは、光ビーム110Aによるプリズム520に与えられるダメージの量を低減する。
【0069】
装置430と同様に、スペクトルフィーチャ選択装置530は、格子500も含み、及びビームエキスパンダは、プリズム520と格子500との間に、光ビーム110Aの経路に沿って位置するプリズム505、510、515を含む。格子500及び4つのプリズム505、510、515、520は、光ビーム110Aが装置530のアパーチャ555を通過した後に、光源105によって生成された光ビーム110Aと相互作用するように構成される。光ビーム110Aは、装置530のXY面内の経路に沿って、アパーチャ555から、プリズム520、プリズム515、プリズム510、プリズム505を通って進み、並びに次いで格子500から反射され、及びアパーチャ555を通って装置530から出る前に、連続したプリズム505、510、515、520を通って戻る。
【0070】
図6A〜6Dを参照して、他の実施では、高速作動システム620Aが、高速作動システム520Aと似ているが、追加の二次アクチュエータ660Aを有して設計される。二次アクチュエータ660Aは、格子600から最も離れたプリズム620と物理的に結合される。二次アクチュエータ660Aは、XY面内に位置し、及びプリズム620の斜辺Hの面内にも位置する軸AHの周りでプリズム620を回転させるように構成される。
【0071】
一部の実施では、必須ではないが、二次アクチュエータ660Aは、制御モジュール350(又は制御システム185)によって制御される。二次アクチュエータ660Aは、制御モジュール350又は制御システム185によって制御されない手動のネジ及び屈曲設計であってもよい。例えば、アクチュエータ660Aは、システム620Aが使用される前に設定されてもよく、又はシステム620Aの使用の合間に手動で周期的に変更することができる。
【0072】
従って、プリズム620は、プリズム615、610、605及び格子600のそれぞれを通る光ビーム110Aの経路をより良く維持するために、光ビーム110Aがプリズム620に入る場所及びプリズム620の斜辺Hに対するより優れた制御を可能にするように、XY面内に位置する軸AHの周りを回転することができる。具体的には、軸AHの周りのプリズム620の回転は、光ビーム110Aがより細かく調節されることを可能にする。例えば、プリズム620は、プリズム620がAP又はAR軸の周りで回転したとしても、格子600からの逆反射(すなわち、回折)光ビーム110Aが、XY面内にとどまり、及び装置630のZ軸に沿って変位されないことを確実にするために、軸AHの周りを回転することができる。AP又はAR軸がZ軸と完全にはアライメントされない場合には、このZ軸調節を有することが有益である。加えて、拡張アーム625Aは、カンチレバーであり、並びに、拡張アーム625Aは、垂れ下がる、又はZ軸に沿ってそれが軸AHの周りでたわみ、及び二次アクチュエータ660Aを使用して、このたわみを相殺することができるように移動することができるので、AH軸の周りでプリズム620を回転させることが有益となり得る。
【0073】
図7を参照して、別の実施では、スペクトルフィーチャ選択装置730が、分散光学素子(格子など)700、及び光ビーム110Aがアパーチャ755から格子700に向けて進むにつれて、光ビーム110Aを光学的に拡大するように構成された3つ以上の屈折光学素子を含むビームエキスパンダを有して設計される。この例におけるビームエキスパンダは、上記で説明した通り、パルス光ビーム110Aが各直角プリズムを通過する際に、パルス光ビーム110Aが、光学拡大倍率を変更するようにパルス光ビーム110Aが透過される4つの直角プリズム705、710、715、720を含む。格子700に最も近いプリズム705は、ビームエキスパンダのプリズムの斜辺の内の最大の長さを有する斜辺705Hを有する。プリズム705よりも格子700から離れた、連続する直角プリズムのそれぞれは、格子700により近い隣接する直角プリズムの斜辺Hよりも小さい、又はそれと等しい長さを有する斜辺710H、715H、720Hを有する。
【0074】
格子700に最も近い直角プリズム705は、その直角αを格子700から離れるように位置付けて配置される。これは、その直角が格子400に向けて、又はその隣に位置付けられる図4Aの装置430のプリズム405と比較することができる。また、直角プリズム705と格子700との間の領域707には、その他の光学素子がない。プリズム705と格子700との間に、光学素子(反射光学素子又は屈折光学素子など)が存在しない。従って、光ビーム110Aは、その他の光学素子を通過することなく、プリズム705と格子700との間を進む。
【0075】
図4Aに示すレイアウトから図7に示すレイアウトへとプリズム705をこのように反転させることによって、プリズム720の回転の単位ごとに、光ビーム110Aの光学拡大倍率365のより大きな変化を得ることが可能であり、並びに結果として、光ビーム110A(及び光ビーム110)の帯域幅のより高速な調節を可能にする。この実施では、光ビーム110Aの帯域幅を調節するために、プリズム720及び710が、互いに連動して回転することによって、広い範囲の光学拡大倍率が得られる。具体的には、プリズム720及びプリズム710が互いに連動して回転する場合、光学拡大倍率は、13倍の低値から75倍の高値まで(これは、図4Aのレイアウトにおいて可能な範囲よりも広い)調節することができる。装置730のレイアウトは、2つのプリズム720、710が互いに連動して回転する際に、光ビーム110Aの帯域幅を調節するための最速の方法を提供する。装置730は、図4Aの装置430とは異なる全体構成を有し、及び照明システム150の他のコンポーネント(光源105など)の再設計又は再構成を必要とするだろう。
【0076】
次に、図1図8及び図9を参照して、フォトリソグラフィシステム100の他の態様に関する説明を行う。
【0077】
図1に示すように、制御システム185は、パルス光源105及びスペクトルフィーチャ選択装置130に動作可能に接続される。そして、スキャナ115は、制御システム185及びスキャナ115内のコンポーネントに動作可能に接続されたリソグラフィコントローラ140を含む。
【0078】
パルス光ビーム110のパルス繰り返し率は、光ビーム110のパルスが光源105によって生成される率である。従って、例えば、パルス光ビーム110の繰り返し率は、1/Δtであり、Δtは、パルス間の時間である。制御システム185は、一般に、パルス光ビームが、スキャナ115においてウェーハ120を露光させている時に、パルス光ビームの繰り返し率を修正することを含む、パルス光ビーム110が生成される繰り返し率の制御を行うように構成される。
【0079】
一部の実施では、スキャナ115が、コントローラ140及び制御システム185によって、繰り返し率、帯域幅若しくは波長などのスペクトルフィーチャ、及び/又はドーズを制御するように、スキャナ115は、光源105を(コントローラ140と制御システム185との間の通信により)トリガして、パルス光ビーム110を生成する。例えば、コントローラ140は、ある特定の許容可能な率の範囲内に光ビーム110の繰り返し率を維持するために、信号を制御システム185に送る。スキャナ115は、一般に、光ビーム110のパルスバーストごとに、繰り返し率を一定に維持する。光ビーム110のパルスバーストは、ウェーハ120上の露光フィールドに対応することができる。露光フィールドは、スキャナ115内の露光スリット又はウィンドウの一スキャンで露光されるウェーハ120のエリアである。パルスバーストは、例えば、10〜500個のパルスの範囲を含んでもよい。
【0080】
クリティカルディメンジョン(CD)は、システム100によってウェーハ120上にプリントすることができる最小のフィーチャサイズである。CDは、光ビーム110の波長によって決まる。ウェーハ120上、及びシステム100によって露光される他のウェーハ上にプリントされるマイクロ電子フィーチャの均一なCDを維持するために、光ビーム110の中心波長は、期待若しくはターゲット中心波長に、又はターゲット波長付近の波長範囲内にとどまるべきである。従って、ターゲット中心波長に、又はターゲット中心波長に関する許容可能な波長範囲内に、中心波長を維持することに加えて、光ビーム110の帯域幅(光ビーム110の波長範囲)を許容可能な帯域幅範囲内に維持することが望ましい。
【0081】
光ビーム110の帯域幅を許容可能な範囲に維持するために、又は光ビーム110の帯域幅を調節するために、制御システム185は、パルス光ビーム110の帯域幅の調節量を決定するように構成される。加えて、制御システム185は、パルス光ビーム110がウェーハ120を露光しているときに、装置130の少なくとも1つの光学コンポーネント(例えば、プリズム320)を動かすことによって、決定された調節量だけパルス光ビーム110の帯域幅を変更し、それによって、パルス光ビーム110のパルス繰り返し率の修正によって引き起こされる帯域幅の変動を補償するために、信号をスペクトルフィーチャ選択装置130に送るように構成される。
【0082】
パルス光ビーム110の帯域幅は、任意の2つのパルスバーストの合間に変更することができる。また、帯域幅が第1の値から第2の値へと変更され、及び第2の値で安定するのにかかる時間は、パルスバースト間の時間未満であるべきである。例えば、バースト間の期間が50ミリ秒(ms)である場合、帯域幅を第1の値から第2の値へと変更し、及び第2の値で安定するための合計時間は、50ms未満であるべきである。制御システム185及びスペクトルフィーチャ選択装置130は、以下に詳細に説明するように、このような帯域幅の高速変化を可能にするように設計される。
【0083】
スキャナ115のコントローラ140は、ウェーハ120全体にわたりスキャンされているパルス光ビーム110の態様(帯域幅又は繰り返し率など)を調節又は修正するために、信号を制御システム185に送る。制御システム185に送られた信号は、パルス光源105に送られた電気信号又は装置130に送られた電気信号を制御システム185に修正させることができる。例えば、パルス光源105が、ガスレーザ増幅器を含む場合、電気信号は、パルス光源105の1つ又は複数のガス放電チャンバ内の電極にパルス電流を提供する。
【0084】
図1を再び参照して、ウェーハ120は、ウェーハ120を保持するように構築され、並びに、特定のパラメータに従って、及びコントローラ140の制御下で、ウェーハ120を正確に位置決めするように構成されたポジショナに接続されたウェーハテーブル上に設置される。
【0085】
フォトリソグラフィシステム100は、光ビーム110の1つ又は複数のスペクトルフィーチャ(帯域幅又は波長など)を測定するサブシステムを含んでいてもよいメトロロジシステム170も含んでいてもよい。動作中にフォトリソグラフィシステム100に加えられる様々な擾乱により、ウェーハ120における光ビーム110のスペクトルフィーチャ(帯域幅又は波長など)の値は、所望のスペクトルフィーチャ(すなわち、スキャナ115が期待するスペクトルフィーチャ)と対応又は一致しない場合がある。従って、オペレータ又は自動システム(例えば、フィードバックコントローラ)が、測定又は推定帯域幅を使用して、光源105の特性を調節し、及び光ビーム110の光学スペクトルを調節することができるように、光ビーム110のスペクトルフィーチャ(特性帯域幅など)が、動作中に、光学スペクトルからメトリック値を推定することによって測定又は推定される。メトロロジシステム170のサブシステムは、この光学スペクトルに基づいて、光ビーム110のスペクトルフィーチャ(帯域幅及び/又は波長など)を測定する。
【0086】
メトロロジシステム170は、光源105とスキャナ115との間の経路に設置されたビーム分離デバイスから再誘導された光ビーム110の一部を受ける。ビーム分離デバイスは、光ビーム110の第1の部分又は割合をメトロロジシステム170内に誘導し、及び光ビーム110の第2の部分又は割合をスキャナ115に向けて誘導する。一部の実施では、光ビーム110の大部分は、第2の部分において、スキャナ115に向けて誘導される。例えば、ビーム分離デバイスは、光ビーム110のわずか(例えば、1〜2%)をメトロロジシステム170内に誘導する。ビーム分離デバイスは、例えば、ビームスプリッタであってもよい。
【0087】
スキャナ115は、例えば、1つ又は複数のコンデンサレンズ、マスク、及び対物構成を有する光学構成を含む。マスクは、光ビーム110の光軸に沿って、又は光軸と垂直な面内でなど、1つ又は複数の方向に沿って移動可能である。対物構成は、投影レンズを含み、及びマスクからウェーハ120上のフォトレジストへとイメージ転写を生じさせることが可能である。イルミネータシステムは、マスクに衝突する光ビーム110の角度範囲を調節する。イルミネータシステムはまた、マスク全体にわたり、光ビーム110の強度分布を均等にする(均一にする)。
【0088】
スキャナ115は、数あるフィーチャの中でも、リソグラフィコントローラ140、空調デバイス、及び様々な電気コンポーネント用の電源を含んでいてもよい。光ビーム110のパルスの繰り返し率を制御すること(上記で説明)に加え、リソグラフィコントローラ140は、どのようにウェーハ120上で層がプリントされるかを制御する。リソグラフィコントローラ140は、プロセスレシピなどの情報を保存するメモリを含み、及び以下により十分に説明するように、どの繰り返し率が使用され得るか、又は好ましいかに関する情報も保存してもよい。
【0089】
ウェーハ120は、光ビーム110によって照射される。プロセスプログラム又はレシピは、ウェーハ120に対する露光の長さ、使用されるマスク、及び露光に影響を与える他のファクタを決定する。リソグラフィ中に、上記で説明した通り、光ビーム110の複数のパルスが、ウェーハ120の同じエリアを照明することによって、照明ドーズを構成する。同じエリアを照明する光ビーム110のパルスの数Nは、露光ウィンドウ又はスリットと呼ばれる場合があり、及びスリットのサイズは、マスクの前に設置された露光スリットによって制御することができる。一部の実施では、Nの値は、数十の、例えば、10〜100個のパルスである。他の実施では、Nの数は、100個のパルスを超え、例えば、100〜500個のパルスである。
【0090】
マスク、対物構成、及びウェーハ120の1つ又は複数は、露光フィールド全体にわたり露光ウィンドウをスキャンするために、露光中に互いに対して移動させることができる。露光フィールドは、露光スリット又はウィンドウの一スキャンで露光されるウェーハ120のエリアである。
【0091】
図8を参照して、例示的光源805は、光ビーム110としてパルスレーザビームを生成するパルスレーザ源である。光源805は、シード光ビーム110Aをパワー増幅器(PA)810に提供する主発振器(MO)800を含む二段レーザシステムである。主発振器800は、一般的に、増幅が起こる利得媒体、及び光共振器などの光フィードバック機構を含む。パワー増幅器810は、一般的に、主発振器800からのシードレーザビームでシードされた際に増幅が起こる利得媒体を含む。パワー増幅器810が、再生リング共振器として設計される場合、それは、パワーリング増幅器(PRA)と呼ばれ、及びこの場合、十分な光フィードバックをリング設計から提供することができる。スペクトルフィーチャ選択装置130は、主発振器800から光ビーム110Aを受けることにより、比較的低出力パルスエネルギーで、光ビーム110Aの中心波長及び帯域幅などのスペクトルパラメータの微調整を可能にする。パワー増幅器810は、主発振器800から光ビーム110Aを受け、及びこの出力を増幅して、フォトリソグラフィで使用するための出力に必要なパワーを得る。
【0092】
主発振器800は、2つの細長い電極を有する放電チャンバ、利得媒体として機能するレーザガス、及び電極間でガスを循環させるファンを含む。レーザ共振器は、シード光ビーム110Aをパワー増幅器810に出力するために、放電チャンバの一方の側のスペクトルフィーチャ選択装置130と、放電チャンバの第2の側の出力カップラ815と、の間に形成される。
【0093】
光源805は、出力カップラ815から出力を受信する線中心解析モジュール(LAM)820、並びにビームのサイズ及び/又は形状を必要に応じて修正する1つ又は複数のビーム修正光学システム825も含んでいてもよい。線中心解析モジュール820は、シード光ビームの波長(例えば、中心波長)を測定するために使用することができるメトロロジシステム170内のある種の測定システムの一例である。
【0094】
パワー増幅器810は、パワー増幅器放電チャンバを含み、及びそれが再生リング増幅器である場合には、パワー増幅器は、光ビームを放電チャンバ内に反射し返すことにより、循環経路を形成するビームリフレクタ又はビーム転向デバイス830も含む。パワー増幅器放電チャンバは、一対の細長い電極、利得媒体として機能するレーザガス、及び電極間でガスを循環させるためのファンを含む。シード光ビーム110Aは、パワー増幅器810を繰り返し通過することによって増幅される。ビーム修正光学システム825は、出力光ビーム110を形成するために、シード光ビーム110Aのカップリングを行い、及びパワー増幅器から増幅放射の一部のデカップリングを行う方法(例えば、部分的に反射するミラー)を提供する。
【0095】
主発振器800及びパワー増幅器810の放電チャンバに使用されるレーザガスは、必要とされる波長及び帯域幅付近でレーザビームを生成するのに適した任意のガスでよい。例えば、レーザガスは、約193nmの波長で発光するフッ化アルゴン(ArF)、又は約248nmの波長で発光するフッ化クリプトン(KrF)でもよい。
【0096】
線中心解析モジュール820は、主発振器800の出力(光ビーム110A)の波長をモニタリングする。線中心解析モジュール820は、光源805内の他の場所に設置されてもよく、又はそれは、光源805の出力に設置されてもよい。
【0097】
図9を参照して、本明細書に記載するシステム及び方法の態様に関係する制御システム185に関する詳細を提供する。制御システム185は、図9に示されない他のフィーチャを含んでいてもよい。一般に、制御システム185は、デジタル電子回路、コンピュータハードウェア、ファームウェア、及びソフトウェアの1つ又は複数を含む。
【0098】
制御システム185は、リードオンリーメモリ及び/又はランダムアクセスメモリでもよいメモリ900を含む。コンピュータプログラム命令及びデータをタンジブルに具現化するのに適したストレージデバイスには、一例として、EPROM、EEPROM、及びフラッシュメモリデバイスなどの半導体メモリデバイス;内部ハードディスク及びリムーバブルディスクなどの磁気ディスク;光磁気ディスク;並びにCD−ROMディスクを含む、あらゆる形態の不揮発性メモリが含まれる。制御システム185は、1つ又は複数の入力デバイス905(キーボード、タッチスクリーン、マイクロホン、マウス、ハンドヘルド入力デバイスなど)、及び1つ又は複数の出力デバイス910(スピーカ又はモニタなど)も含んでいてもよい。
【0099】
制御システム185は、1つ又は複数のプログラマブルプロセッサ915、及びプログラマブルプロセッサ(プロセッサ915など)による実行のために機械可読ストレージデバイスで有形的に具現化された1つ又は複数のコンピュータプログラム920を含む。1つ又は複数のプログラマブルプロセッサ915はそれぞれ、入力データを処理し、及び適切な出力を生成することによって所望の機能を行うための命令プログラムを実行することができる。一般に、プロセッサ915は、メモリ900から命令及びデータを受信する。上記の何れも、特別に設計されたASIC(特定用途向け集積回路)によって補足されてもよく、又はそれらに組み込まれてもよい。
【0100】
制御システム185は、数あるコンポーネントの中でも、スペクトルフィーチャ解析モジュール925、リソグラフィ解析モジュール930、決定モジュール935、光源作動モジュール950、リソグラフィ作動モジュール955、及びビーム準備作動モジュール960を含む。これらのモジュールのそれぞれは、プロセッサ915などの1つ又は複数のプロセッサによって実行されるコンピュータプログラムの一セットであってもよい。また、モジュール925、930、935、950、955、960の何れも、メモリ900内に保存されたデータにアクセスすることができる。
【0101】
スペクトルフィーチャ解析モジュール925は、メトロロジシステム170から出力を受信する。リソグラフィ解析モジュール930は、スキャナ115のリソグラフィコントローラ140から情報を受信する。決定モジュール935は、解析モジュール(モジュール925及び930など)から出力を受信し、並びに解析モジュールからの出力に基づいて、どの1つ又は複数の作動モジュールが起動される必要があるかを決定する。光源作動モジュール950は、光源105及びスペクトルフィーチャ選択装置130の1つ又は複数に接続される。リソグラフィ作動モジュール955は、スキャナ115、及び具体的にはリソグラフィコントローラ140に接続される。ビーム準備作動モジュール960は、ビーム準備システム112の1つ又は複数のコンポーネントに接続される。
【0102】
少数のモジュールのみを図9に示すが、制御システム185は、他のモジュールを含むことが可能である。加えて、制御システム185は、全てのコンポーネントが同一場所に配置されているように見えるボックスとして示されているが、制御システム185は、互いに物理的に離れたコンポーネントから構成されることが可能である。例えば、光源作動モジュール950は、光源105又はスペクトルフィーチャ選択装置130と物理的に同一場所に配置されてもよい。
【0103】
一般に、制御システム185は、メトロロジシステム170から、光ビーム110に関する少なくとも一部の情報を受信し、及びスペクトルフィーチャ解析モジュール925は、スキャナ115に供給された光ビーム110の1つ又は複数のスペクトルフィーチャ(例えば、帯域幅)の調節方法を決定するために、上記情報に対して解析を行う。この決定に基づいて、制御システム185は、制御モジュール350を介して光源105の動作を制御するために、信号をスペクトルフィーチャ選択装置130及び/又は光源105に送る。
【0104】
一般に、スペクトルフィーチャ解析モジュール925は、光ビーム110の1つ又は複数のスペクトルフィーチャ(例えば、波長及び/又は帯域幅)を推定するために必要な解析の全てを行う。スペクトルフィーチャ解析モジュール925の出力は、スペクトルフィーチャの推定値である。
【0105】
スペクトルフィーチャ解析モジュール925は、推定スペクトルフィーチャを受信するために接続され、及びスペクトルフィーチャターゲット値を受信するためにも接続された比較ブロックを含む。一般に、比較ブロックは、スペクトルフィーチャターゲット値と推定値との間の差を表すスペクトルフィーチャエラー値を出力する。決定モジュール935は、スペクトルフィーチャエラー値を受信し、及びスペクトルフィーチャを調節するためにシステム100の補正を生じさせる最良の方法を決定する。従って、決定モジュール935は、スペクトルフィーチャエラー値に基づいて、スペクトルフィーチャ選択装置130(又は光源105)の調節方法を決定する光源作動モジュール950に信号を送る。光源作動モジュール950の出力は、スペクトルフィーチャ選択装置130に送られるアクチュエータコマンドの一セットを含む。例えば、光源作動モジュール950は、装置330内で作動システムに接続される制御モジュール350にコマンドを送る。
【0106】
制御システム185は、光源105を所与の繰り返し率で動作させる。より具体的には、スキャナ115は、パルスごとに(すなわち、パルスベースで)、トリガ信号を光源105に送り、及びこれらのトリガ信号間の時間間隔は、任意でもよいが、スキャナ115がトリガ信号を一定の間隔で送る場合には、これらの信号の率は、繰り返し率である。繰り返し率は、スキャナ115によって要求された率であってもよい。
【0107】
パワー増幅器810によって生成されるパルスの繰り返し率は、スキャナ115内のコントローラ140からの命令下で、主発振器800が制御システム185によって制御される繰り返し率によって決定される。パワー増幅器810から出力されるパルスの繰り返し率は、スキャナ115が見た繰り返し率である。
【0108】
プリズム320(又はプリズム420、520、620、720)は、粗く、広範囲で、遅い帯域幅制御に使用することができる。一方、帯域幅は、MO800内の電極の起動と、PRA810と、の間のタイミング差を制御することによって、細かく及び狭い範囲で、並びにより高速に制御することができる。
【0109】
他の実施は、以下の請求項の範囲内である。
【0110】
例えば、他の実施では、プリズム315は、プリズム315を回転させる、それ自体の作動システム315Aに取り付けられ、並びに、このような回転は、格子300に衝突する光ビーム110Aの入射角を変更し、及び光ビーム110Aの波長の細かい制御を提供するために使用することができる。作動システム315Aは、アクチュエータとして圧電回転ステージを含んでいてもよい。これらの他の実施では、プリズム310は、光ビーム110Aの帯域幅の細かい制御を提供する作動システム310Aに取り付けられてもよい。このような作動システム310Aは、アクチュエータとして、ステッパモータ回転ステージを含んでいてもよい。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8
図9