特許第6876397号(P6876397)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6876397半導体メモリおよび半導体メモリの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6876397
(24)【登録日】2021年4月28日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】半導体メモリおよび半導体メモリの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20210517BHJP
   H01L 29/788 20060101ALI20210517BHJP
   H01L 29/792 20060101ALI20210517BHJP
   H01L 27/11558 20170101ALI20210517BHJP
【FI】
   H01L29/78 371
   H01L27/11558
【請求項の数】10
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-184438(P2016-184438)
(22)【出願日】2016年9月21日
(65)【公開番号】特開2018-49937(P2018-49937A)
(43)【公開日】2018年3月29日
【審査請求日】2019年8月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】村田 伸一
【審査官】 加藤 俊哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−149947(JP,A)
【文献】 特開2005−175411(JP,A)
【文献】 特開2015−128083(JP,A)
【文献】 特開2001−185633(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336
H01L 27/11558
H01L 29/788
H01L 29/792
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の導電型を有する第1の拡散層、前記第1の拡散層の表面に第1の絶縁膜を介して設けられた第1の導電層、前記第1の拡散層の表層部に設けられた前記第1の導電型を有する第2の拡散層、および前記第1の拡散層の表層部において前記第1の導電層に隣接し且つ前記第2の拡散層から離間して設けられた前記第1の導電型とは異なる第2の導電型の第3の拡散層を有する第1のキャパシタと、
前記第1の拡散層から離間して設けられた前記第1の導電型を有する第4の拡散層、前記第4の拡散層の表面に第2の絶縁膜を介して設けられ且つ前記第1の導電層に接続された第2の導電層、および前記第4の拡散層の表層部に設けられた前記第1の導電型を有する第5の拡散層、および前記第4の拡散層の表層部において前記第2の導電層に隣接し且つ前記第5の拡散層から離間して設けられた前記第2の導電型の第6の拡散層を有する第2のキャパシタと、
前記第1の導電層および前記第2の導電層に接続された第3の導電層をゲート電極として含み、前記ゲート電極を間に挟むように設けられたソースおよびドレインを構成する第1の導電型を有する第7の拡散層を含むトランジスタと、
を有し、
前記第1の導電層、前記第2の導電層および前記第3の導電層は、前記第1のキャパシタ、前記トランジスタ及び前記第2のキャパシタが並ぶ方向を長手方向とする単一のポリシリコン膜によって一体的に形成されており、
前記第2の拡散層、前記第7の拡散層及び前記第5の拡散層が、前記ポリシリコン膜の前記長手方向に沿ってこの順に並び、且つ前記ポリシリコン膜の前記長手方向に沿った辺に隣接して設けられており、前記第3の拡散層及び前記第6の拡散層が前記ポリシリコン膜の前記長手方向の端部において前記長手方向と交差する辺に隣接して設けられている
半導体メモリ。
【請求項2】
前記第2の拡散層、前記第3の拡散層、前記第5の拡散層および前記第6の拡散層にそれぞれ接続された導電体からなるコンタクトを更に含む
請求項1に記載の半導体メモリ。
【請求項3】
前記第2の拡散層は、前記第1の導電層に隣接して設けられ、
前記第5の拡散層は、前記第2の導電層に隣接して設けられている
請求項1または請求項2に記載の半導体メモリ。
【請求項4】
前記第2の拡散層および前記第3の拡散層の不純物濃度は、前記第1の拡散層の不純物濃度よりも高く、
前記第5の拡散層および前記第6の拡散層の不純物濃度は、前記第4の拡散層の不純物濃度よりも高い
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の半導体メモリ。
【請求項5】
前記ポリシリコン膜は、単一の導電型を有する
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の半導体メモリ。
【請求項6】
前記第1の導電層の面積は、前記第2の導電層の面積よりも大である
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の半導体メモリ。
【請求項7】
前記第1の導電層および前記第2の導電層は、それぞれ、複数の辺を有し、
前記第2の拡散層および前記第3の拡散層は、前記第1の導電層の互いに異なる辺に隣接して設けられ、
前記第5の拡散層および前記第6の拡散層は、前記第2の導電層の互いに異なる辺に隣接して設けられている
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の半導体メモリ。
【請求項8】
第1の導電型を有する第1の拡散層、前記第1の拡散層の表面に第1の絶縁膜を介して設けられた第1の導電層、前記第1の拡散層の表層部に設けられた前記第1の導電型を有する第2の拡散層、および前記第1の拡散層の表層部において前記第1の導電層に隣接し且つ前記第2の拡散層から離間して設けられた前記第1の導電型とは異なる第2の導電型の第3の拡散層を有する第1のキャパシタを形成する工程と、
前記第1の拡散層から離間して設けられた前記第1の導電型を有する第4の拡散層、前記第4の拡散層の表面に第2の絶縁膜を介して設けられ且つ前記第1の導電層に接続された第2の導電層、および前記第4の拡散層の表層部に設けられた前記第1の導電型を有する第5の拡散層、および前記第4の拡散層の表層部において前記第2の導電層に隣接し且つ前記第5の拡散層から離間して設けられた前記第2の導電型の第6の拡散層を有する第2のキャパシタを形成する工程と、
前記第1の導電層および前記第2の導電層に接続された第3の導電層をゲート電極として含み、前記ゲート電極を間に挟むように設けられたソースおよびドレインを構成する第1の導電型を有する第7の拡散層を含むトランジスタを形成する工程と、
を有し、
前記第1の導電層、前記第2の導電層および前記第3の導電層は、前記第1のキャパシタ、前記トランジスタ及び前記第2のキャパシタが並ぶ方向を長手方向とする単一のポリシリコン膜によって一体的に形成されており、
前記第2の拡散層、前記第7の拡散層及び前記第5の拡散層が、前記ポリシリコン膜の前記長手方向に沿ってこの順に並び、且つ前記ポリシリコン膜の前記長手方向に沿った辺に隣接して設けられており、前記第3の拡散層及び前記第6の拡散層が前記ポリシリコン膜の前記長手方向の端部において前記長手方向と交差する辺に隣接して設けられている
半導体メモリの製造方法。
【請求項9】
前記第1のキャパシタおよび前記第2のキャパシタを形成する工程は、
半導体基板の表層部に前記第1の拡散層および前記第4の拡散層を形成する工程と、
前記第1の拡散層および前記第4の拡散層の表面を含む前記半導体基板の表面に、前記第1の絶縁膜および前記第2の絶縁膜を構成するシリコン酸化膜を形成する工程と、
前記シリコン酸化膜の表面に前記第1の導電層、前記第2の導電層および前記第3の導電層を構成するポリシリコン膜を形成する工程と、
前記ポリシリコン膜をパターニングする工程と、
前記第1の拡散層および前記第の拡散層の表面に、それぞれ、前記第1の導電型を形成する不純物を注入して前記第2の拡散層および前記第5の拡散層を形成する工程と、
前記第1の拡散層および前記第の拡散層の表面に、それぞれ、前記第2の導電型を形成する不純物を注入して前記第3の拡散層および前記第6の拡散層を形成する工程と、
を含む請求項に記載の製造方法。
【請求項10】
前記第2の拡散層、前記第3の拡散層、前記第5の拡散層および前記第6の拡散層を形成する前に、前記ポリシリコン膜の全面に不純物を注入する工程を更に含む
請求項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体メモリおよび半導体メモリの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
不揮発性半導体メモリの一種として、記憶したデータを電気的に消去可能なEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)が知られている。EEPROMは、その特徴として、フローティングゲートと呼ばれる電気的に絶縁された浮遊電極層を有し、フローティングゲートにおける電荷の蓄積状態を変化させることでメモリ機能を実現する。
【0003】
一般的なEEPROMは、フローティングゲートをメモリセルのゲート(コントロールゲート)とは異なる専用の電極層によって実現する。例えば、フローティングゲートを構成するポリシリコン層と、コントロールゲートを構成するポリシリコン層とを重ねて配置するスタック型が代表的である。
【0004】
一方、フローティングゲートおよびコントロールゲートを単層のポリシリコン膜で構成したEEPROMも知られている。このタイプのEEPROMでは、メモリセルの単位面積は大きくなるものの低コストで製造することが可能である。従って、記憶容量が比較的小さいEEPROMにおいては、単層ポリシリコン構造のメモリセルを適用することで、コスト面で有利となる。
【0005】
フローティングゲートおよびコントロールゲートを単層のポリシリコン膜で構成した半導体メモリに関する技術として、例えば特許文献1には、第1のゲートとして機能する第1のプレートおよびNドープ領域に当接されたPドープ領域からなる第2のプレートを有するカップリングキャパシタと、第2のゲートを有する読み出しトランジスタと、第3のゲートとして機能する第3のプレートおよび第4のプレートを有するトンネルキャパシタと、を有する不揮発性メモリを備えた集積回路が記載されている。
【0006】
一方、特許文献2には、第1ウェルに内包されるようにそれぞれ配置された第2〜第4ウェルに平面的に重なるように第1方向に延在して配置された浮遊ゲート電極と、浮遊ゲート電極が第2ウェルに平面的に重なる第1位置に形成されたデータ書き込みおよび消去用の素子と、浮遊ゲート電極が第3ウェルに平面的に重なる第2位置に形成されたデータ読み出し用の電界効果トランジスタと、浮遊ゲート電極が第4ウェルに平面的に重なる第3位置に形成された容量素子とを有する不揮発性メモリセルが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6788574号明細書
【特許文献2】特開2007−110073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1に記載の半導体メモリにおいては、カップリングキャパシタを構成する第1のプレートの周囲にpドープ領域およびnドープ領域が設けられ、pドープ領域は、nドープ領域に当接されている。また、pドープ領域およびnドープ領域にはそれぞれコンタクトが接続されている。
【0009】
しかしながら、pドープ領域とnドープ領域とが当接している場合には、これらのドープ領域を形成する際に使用されるマスクのずれなどに起因して、図1に示すように、pドープ領域とnドープ領域とがオーバーラップした領域200にコンタクト210が形成されるおそれがある。比較的不純物濃度が高いpドープ領域とnドープ領域とがオーバーラップした領域200は、抵抗が大きく、領域200にコンタクト210が接続された場合には、メモリセルの応答性が低下するおそれがある。
【0010】
本発明は、上記した点に鑑みてなされたものであり、比較的高濃度のp型領域とn型領域とがオーラップする領域が生じにくい半導体メモリおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る半導体メモリは、第1の導電型を有する第1の拡散層、前記第1の拡散層の表面に第1の絶縁膜を介して設けられた第1の導電層、前記第1の拡散層の表層部に設けられた前記第1の導電型を有する第2の拡散層、および前記第1の拡散層の表層部において前記第1の導電層に隣接し且つ前記第2の拡散層から離間して設けられた前記第1の導電型とは異なる第2の導電型の第3の拡散層を有する第1のキャパシタと、前記第1の拡散層から離間して設けられた前記第1の導電型を有する第4の拡散層、前記第4の拡散層の表面に第2の絶縁膜を介して設けられ且つ前記第1の導電層に接続された第2の導電層、および前記第4の拡散層の表層部に設けられた前記第1の導電型を有する第5の拡散層、および前記第4の拡散層の表層部において前記第2の導電層に隣接し且つ前記第5の拡散層から離間して設けられた前記第2の導電型の第6の拡散層を有する第2のキャパシタと、前記第1の導電層および前記第2の導電層に接続された第3の導電層をゲート電極として含み、前記ゲート電極を間に挟むように設けられたソースおよびドレインを構成する第1の導電型を有する第7の拡散層を含むトランジスタと、を有し、前記第1の導電層、前記第2の導電層および前記第3の導電層は、前記第1のキャパシタ、前記トランジスタ及び前記第2のキャパシタが並ぶ方向を長手方向とする単一のポリシリコン膜によって一体的に形成されており、前記第2の拡散層、前記第7の拡散層及び前記第5の拡散層が、前記ポリシリコン膜の前記長手方向に沿ってこの順に並び、且つ前記ポリシリコン膜の前記長手方向に沿った辺に隣接して設けられており、前記第3の拡散層及び前記第6の拡散層が前記ポリシリコン膜の前記長手方向の端部において前記長手方向と交差する辺に隣接して設けられている。
【0012】
本発明に係る半導体メモリの製造方法は、第1の導電型を有する第1の拡散層、前記第1の拡散層の表面に第1の絶縁膜を介して設けられた第1の導電層、前記第1の拡散層の表層部に設けられた前記第1の導電型を有する第2の拡散層、および前記第1の拡散層の表層部において前記第1の導電層に隣接し且つ前記第2の拡散層から離間して設けられた前記第1の導電型とは異なる第2の導電型の第3の拡散層を有する第1のキャパシタを形成する工程と、前記第1の拡散層から離間して設けられた前記第1の導電型を有する第4の拡散層、前記第4の拡散層の表面に第2の絶縁膜を介して設けられ且つ前記第1の導電層に接続された第2の導電層、および前記第4の拡散層の表層部に設けられた前記第1の導電型を有する第5の拡散層、および前記第4の拡散層の表層部において前記第2の導電層に隣接し且つ前記第5の拡散層から離間して設けられた前記第2の導電型の第6の拡散層を有する第2のキャパシタを形成する工程と、前記第1の導電層および前記第2の導電層に接続された第3の導電層をゲート電極として含み、前記ゲート電極を間に挟むように設けられたソースおよびドレインを構成する第1の導電型を有する第7の拡散層含むトランジスタを形成する工程と、を有し、前記第1の導電層、前記第2の導電層および前記第3の導電層は、前記第1のキャパシタ、前記トランジスタ及び前記第2のキャパシタが並ぶ方向を長手方向とする単一のポリシリコン膜によって一体的に形成されており、前記第2の拡散層、前記第7の拡散層及び前記第5の拡散層が、前記ポリシリコン膜の前記長手方向に沿ってこの順に並び、且つ前記ポリシリコン膜の前記長手方向に沿った辺に隣接して設けられており、前記第3の拡散層及び前記第6の拡散層が前記ポリシリコン膜の前記長手方向の端部において前記長手方向と交差する辺に隣接して設けられている
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、比較的高濃度のp型領域とn型領域とがオーラップする領域が生じにくい半導体メモリおよびその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】Pドープ領域とNドープ領域とがオーバーラップした領域にコンタクトが形成された状態を示す断面図である。
図2】本発明の実施形態に係る半導体メモリを構成するメモリセルの平面図である。
図3A図2における3A−3A線に沿った断面図である。
図3B図2における3B−3B線に沿った断面図である。
図3C図2における3C−3C線に沿った断面図である。
図3D図2における3D−3D線に沿った断面図である。
図4A】本発明の実施形態に係る半導体メモリの製造方法を示す平面図である。
図4B】本発明の実施形態に係る半導体メモリの製造方法を示す平面図である。
図4C】本発明の実施形態に係る半導体メモリの製造方法を示す平面図である。
図4D】本発明の実施形態に係る半導体メモリの製造方法を示す平面図である。
図4E】本発明の実施形態に係る半導体メモリの製造方法を示す平面図である。
図5A】本発明の実施形態に係る半導体メモリの製造方法を示す断面図である。
図5B】本発明の実施形態に係る半導体メモリの製造方法を示す断面図である。
図5C】本発明の実施形態に係る半導体メモリの製造方法を示す断面図であり、図4Aにおける5C−5C線に沿った断面図である。
図5D】本発明の実施形態に係る半導体メモリの製造方法を示す断面図である。
図5E】本発明の実施形態に係る半導体メモリの製造方法を示す断面図である。
図5F】本発明の実施形態に係る半導体メモリの製造方法を示す断面図である。
図5G】本発明の実施形態に係る半導体メモリの製造方法を示す断面図であり、図4Bにおける5G−5G線に沿った断面図である。
図5H】本発明の実施形態に係る半導体メモリの製造方法を示す断面図であり、図4Cにおける5H−5H線に沿った断面図である。
図5I】本発明の実施形態に係る半導体メモリの製造方法を示す断面図であり、図4Dにおける5I−5I線に沿った断面図である。
図5J】本発明の実施形態に係る半導体メモリの製造方法を示す断面図であり、図4Eにおける5J−5J線に沿った断面図である。
図6】本発明の実施形態に係るメモリセルアレイの構成を示す平面図である。
図7】本発明の実施形態に係るメモリセルアレイの構成を示す平面図である。
図8】本発明の他の実施形態に係るメモリセルの平面図である。
図9】本発明の他の実施形態に係るメモリセルの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一または等価な構成要素および部分には同一の参照符号を付与している。
【0016】
図2は、本発明の実施形態に係る半導体メモリを構成するメモリセル10の平面図、図3A図3B図3Cおよび図3Dは、それぞれ、図2における3A−3A線、3B−3B線、3C−3C線および3D−3D線に沿った断面図である。
【0017】
メモリセル10は、フローティングゲートおよびコントロールゲートを単層のポリシリコン膜で構成したEEPROMを構成するものである。メモリセル10は、第1のキャパシタ20、第2のキャパシタ30およびトランジスタ40を含んで構成されている。第1のキャパシタ20の上部電極を構成する第1の導電層27、第2のキャパシタ30の上部電極を構成する第2の導電層37およびトランジスタ40のゲート電極47は、単一のポリシリコン膜50で一体的に形成されており、互いに接続されている。
【0018】
図3A図3Dに示すように、メモリセル10は、シリコン基板11と、シリコン基板11の表層部に形成されたp型の導電型を有する拡散層であるpウェル12を有する。図2に示すように、pウェル12の表層部には、互いに離間して設けられたn型の導電型を有する拡散層であるnウェル21および31が設けられている。第1のキャパシタ20はnウェル21上に設けられ、第2のキャパシタ30はnウェル31上に設けられている。
【0019】
図3Aおよび図3Bには、第1のキャパシタ20の断面構造が示されている。第1のキャパシタ20は、nウェル21と、nウェル21の表面に設けられたシリコン酸化膜60で構成される第1の絶縁膜26と、第1の絶縁膜26の表面に設けられた単層のポリシリコン膜50で構成される第1の導電層27と、を含んで構成されている。第1のキャパシタ20は、nウェル21の表層部において第1の導電層27に隣接して設けられたn型拡散層22aおよび22bを有する。第1のキャパシタ20は、更に、nウェル21の表層部において第1の導電層27に隣接して設けられたp型拡散層24を有する。n型拡散層22a、22bおよびp型拡散層24は、nウェル21における不純物濃度よりも高い不純物濃度を有する。
【0020】
本実施形態に係るメモリセル10においてn型拡散層22a、22bと、p型拡散層24は、互いに離間して配置されている。第1の導電層27は、複数の辺を有する略矩形形状を有しており、n型拡散層22aおよび22bは、第1の導電層27の互いに対向する辺に隣接して設けられている。また、n型拡散層22aおよび22bは、第1の導電層27の隣接する辺からはみ出さない位置および大きさで設けられている。一方、p型拡散層24は、第1の導電層27の、n型拡散層22aおよび22bがそれぞれ隣接する辺とは異なる辺に隣接して設けられている。また、p型拡散層24は、第1の導電層27の隣接する辺からはみ出さない位置および大きさで設けられている。
【0021】
n型拡散層22a、22bおよびp型拡散層24には、それぞれ、タングステン等の導電体で構成されるコンタクト23a、23bおよび25が接続されている。第1のキャパシタ20を構成するnウェル21の外周部は、例えば、STI(Shallow Trench Isolation)法によって形成されるSiO等の絶縁体で構成される素子分離膜28によって囲まれており、第1のキャパシタ20は、メモリセル10の他の構成要素である第2のキャパシタ30およびトランジスタ40から絶縁分離されている。
【0022】
図3Aおよび図3Cには、第2のキャパシタ30の断面構造が示されている。第2のキャパシタ30は、nウェル31と、nウェル31の表面に設けられたシリコン酸化膜60で構成される第2の絶縁膜36と、第2の絶縁膜36の表面に設けられた単層のポリシリコン膜50で構成される第2の導電層37と、を含んで構成されている。なお、第2の導電層27は、第1のキャパシタ20を構成する第1の導電層27と共通のポリシリコン膜50で構成されており、従って、第1の導電層27に電気的に接続されている。同様に、第2の絶縁膜36は、第1のキャパシタ20を構成する第1の絶縁膜26と共通のシリコン酸化膜60で構成されている。第2のキャパシタ30は、nウェル31の表層部において第2の導電層37に隣接して設けられたn型拡散層32aおよび32bを有する。第2のキャパシタ30は、更に、nウェル31の表層部において第1の導電層37に隣接して設けられたp型拡散層34を有する。n型拡散層32a、32bおよびp型拡散層34は、nウェル31における不純物濃度よりも高い不純物濃度を有する。
【0023】
本実施形態に係るメモリセル10においてn型拡散層32a、32bと、p型拡散層34は、互いに離間して配置されている。第2の導電層37は、複数の辺を有する略矩形形状を有しており、n型拡散層32aおよび32bは、第2の導電層37の互いに対向する辺に隣接して設けられている。また、n型拡散層32aおよび32bは、第2の導電層37の隣接する辺からはみ出さない位置および大きさで設けられている。一方、p型拡散層34は、第2の導電層37の、n型拡散層32aおよび32bがそれぞれ隣接する辺とは異なる辺に隣接して設けられている。また、p型拡散層34は、第2の導電層37の隣接する辺からはみ出さない位置および大きさで設けられている。
【0024】
n型拡散層32aおよびp型拡散層34には、それぞれ、タングステン等の導電体で構成されるコンタクト33aおよび35が接続されている。第2のキャパシタ30を構成するnウェル31の外周部は、例えば、STI法によって形成されるSiO等の絶縁体で構成される素子分離膜38によって囲まれており、第2のキャパシタ30は、メモリセル10の他の構成要素である第1のキャパシタ20およびトランジスタ40から絶縁分離されている。
【0025】
第1のキャパシタ20を構成する第1の導電層27の面積は、第2のキャパシタ30を構成する第2の導電層37の面積よりも大きい。従って、第1のキャパシタ20の静電容量は、第2のキャパシタ30の静電容量よりも大きい。
【0026】
図2に示すように、トランジスタ40は、第1のキャパシタ20と第2のキャパシタ30の間に設けられている。図3Dには、トランジスタ40の断面構造が示されている。トランジスタ40は、pウェル12と、pウェル12の表面に設けられたシリコン酸化膜60で構成されるゲート絶縁膜46と、ゲート絶縁膜46の表面に設けられた単層のポリシリコン膜50で構成されるゲート電極47と、pウェル12の表層部においてゲート電極47を間に挟むように設けられたn型の導電型を有するソース42aおよびドレイン42bと、を含んで構成されている。すなわち、トランジスタ40は、nチャネル型のMOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)の構成を有する。ゲート電極47は、第1のキャパシタ20を構成する第1の導電層27および第2のキャパシタ30を構成する第2の導電層37と共通のポリシリコン膜50で構成されており、従って、第1の導電層27および第2の導電層37に電気的に接続されている。すなわち、メモリセル10において、第1の導電層27、第2の導電層37およびゲート電極47は、単一のポリシリコン膜50によって一体的に形成されている。同様に、ゲート絶縁膜46は、第1のキャパシタ20を構成する第1の絶縁膜26および第2のキャパシタ30を構成する第2の絶縁膜36と共通のシリコン酸化膜60で構成されている。
【0027】
ソース42aおよびドレイン42bには、それぞれ、タングステン等の導電体で構成されるコンタクト43aおよび43bが接続されている。トランジスタ40の外周部は、例えば、STI法によって形成されるSiO等の絶縁体で構成される素子分離膜48によって囲まれており、トランジスタ40は、メモリセル10の他の構成要素である第1のキャパシタ20および第2のキャパシタ30から絶縁分離されている。
【0028】
メモリセル10において、第1の導電層27、第2の導電層37およびゲート電極47を構成するポリシリコン膜50は、フローティングゲートおよびコントロールゲートの双方の役割を担う。第1のキャパシタ20は、ポリシリコン膜50の電圧制御に用いられる。第2のキャパシタ30は、ポリシリコン膜50に対してトンネル現象による電子の注入および電子の引き抜きを行うデータ書き込みおよびデータ消去用のキャパシタである。トランジスタ40は、ポリシリコン膜50における電子の蓄積状態に応じた読み出し電流を流すデータ読み出し用のトランジスタである。
【0029】
ポリシリコン膜50に電子を注入する場合、第1のキャパシタ20を構成するnウェル21に正の高電圧を印加するとともに第2のキャパシタ30を構成するnウェル31に接地電位を印加する。nウェル21に対する電圧印加はn型拡散層22a、22bにそれぞれ接続されたコンタクト23a、23bを介して行い、nウェル31に対する電圧印加はn型拡散層32aにそれぞれ接続されたコンタクト33aを介して行う。
【0030】
上記したように、第1のキャパシタ20を構成する第1の導電層27の面積は、第2のキャパシタ30を構成する第2の導電層37の面積よりも大きい。従って、ポリシリコン膜50の電圧は、nウェル21に印加された電圧によって支配的に制御される。すなわち、ポリシリコン膜50の電圧は、nウェル21に印加された電圧に追従する。
【0031】
第1のキャパシタ20において、nウェル21に正の電圧を印加する場合、p型のキャリア供給源として機能するp型拡散層24にもnウェル21と同じ正の電圧を印加することが好ましい。p型拡散層24に正の電圧を印加することで、nウェル21の第1の導電層27の直下領域においてp型のチャネル形成が促進され、第1のキャパシタ20における、ポリシリコン膜50の電圧制御機能が良好に発揮される。p型拡散層24に対する電圧印加は、p型拡散層24に接続されたコンタクト25を介して行う。
【0032】
第2のキャパシタ30においては、ポリシリコン膜50にnウェル21への印加電圧に応じた正の高電圧が印加されることにより、第2の導電層37と接地電位が印加されたnウェル31との間に電位差が生じる。すなわち、第2のキャパシタ30の第2の絶縁膜36に高電圧が印加される。この電位差により、FNトンネル現象(Fowler-Nordheim Tunneling)が生じ、第2のキャパシタ30において、第2の導電層37に電子が注入される。すなわち、メモリセル10は、フローティングゲートとして機能するポリシリコン膜50に電子が蓄積されたプログラム状態となる。
【0033】
一方、ポリシリコン膜50に蓄積された電子を引き抜く場合、第1のキャパシタ20を構成するnウェル21に接地電位を印加するとともに第2のキャパシタ30を構成するnウェル31に正の高電圧を印加する。上記したように、ポリシリコン膜50の電圧は、nウェル21に印加された電圧に追従する。
【0034】
第2のキャパシタ30において、nウェル31に正の電圧を印加する場合、p型のキャリア供給源として機能するp型拡散層34にもnウェル31と同じ正の電圧を印加することが好ましい。p型拡散層34に正の電圧を印加することで、nウェル31の第2の導電層37の直下領域においてp型のチャネル形成が促進され、第2のキャパシタ30におけるトンネル効果を生じさせる機能が良好に発揮される。
【0035】
第2のキャパシタ30においては、接地電位近傍の電位を有する第2の導電層37と正の高電圧が印加されたnウェル31との間に電位差が生じる。この電位差により、FNトンネル現象が生じ、第2のキャパシタ30において、第2の導電層37(ポリシリコン膜50)に注入された電子が引き抜かれる。すなわち、メモリセル10は、フローティングゲートとして機能するポリシリコン膜50に蓄積された電子の量がプログラム状態における電子の量よりも少ない消去状態となる。
【0036】
プログラム状態においてはトランジスタ40のゲート閾値電圧が相対的に高くなり、消去状態においてはトランジスタ40のゲート閾値電圧が相対的に低くなる。トランジスタ40のゲート電極47をコントロールゲートとして機能させ、トランジスタ40に流れる電流を検出することで、プログラム状態か消去状態かを判定することができ、これによりメモリ機能が実現される。
【0037】
以下に、メモリセル10の製造方法について説明する。図4A図4Eおよび図5A図5Jは、それぞれ、メモリセル10の製造方法の一例を示す平面図および断面図である。なお、図5Cは、図4Aにおける5C−5C線に沿った断面図である。図5Gは、図4Bにおける5G−5G線に沿った断面図である。図5Hは、図4Cにおける5H−5H線に沿った断面図である。図5Iは、図4Dにおける5I−5I線に沿った断面図である。図5Jは、図4Eにおける5J−5J線に沿った断面図である。
【0038】
はじめに、イオン注入法によりシリコン基板11の表層部に、p型の導電型を有するpウェル12を形成する(図5A)。
【0039】
次に、STI法によりpウェル12の表層部にSiO等の絶縁体で構成される素子分離膜28、38および48を形成する。すなわち、pウェル12の表面にエッチングによりトレンチを形成し、このトレンチにCVD(Chemical Vapor Deposition)法によりSiO等の絶縁体を埋め込み、この絶縁体の表面をCMP(Chemical Mechanical Polishing)法により平坦化することで、素子分離膜28、38および48が形成される。素子分離膜28、38および48は、メモリセル10を構成する第1のキャパシタ20、第2のキャパシタ30およびトランジスタ40の外周を囲むように形成され、これらを相互に絶縁分離する(図5B)。
【0040】
次に、pウェル12の表面にレジスト膜300を形成し、フォトリソグラフィ技術を用いてレジスト膜300をパターニングする。その後、イオン注入法によりパターニングされたレジスト膜300を介してpウェル12の表面にヒ素またはリンを注入する。これにより、n型の導電型を有するnウェル21および31がpウェル12の表層部の互いに離間した位置に形成される(図4A図5C)。
【0041】
次に、熱酸化法によりpウェル12およびnウェル21、31の表面を一体的に覆うシリコン酸化膜60を形成する。シリコン酸化膜60は、第1のキャパシタ20を構成する第1の絶縁膜26、第2のキャパシタ30を構成する第2の絶縁膜36およびトランジスタ40のゲート絶縁膜46を構成する(図5D)。
【0042】
次に、CVD法によりシリコン酸化膜60の表面にポリシリコン膜50を形成する(図5E)。次に、イオン注入法により、ポリシリコン膜50の全面にリンまたはヒ素を注入する。これにより、ポリシリコン膜50の全体にn型の導電性が付与される(図5F)。
【0043】
次に、ポリシリコン膜50の表面にレジスト膜310を形成し、フォトリソグラフィ技術を用いてレジスト膜310をパターニングする。その後、レジスト膜310をマスクとして用いたエッチングにより、ポリシリコン膜50をパターニングする。ポリシリコン膜50によって、第1のキャパシタ20の第1の導電層27、第2のキャパシタ30の第2の導電層37およびトランジスタ40のゲート電極47が構成される(図4B図5G)。
【0044】
次に、上記の各工程を経たシリコン基板11の表面にレジスト膜320を形成し、フォトリソグラフィ技術を用いてレジスト膜320をパターニングする。その後、イオン注入法によりパターニングされたレジスト膜320を介してnウェル21および31の表面にヒ素またはリンを注入する。このイオン注入において、レジスト膜320、第1の導電層27、第2の導電層37およびゲート電極47がマスクとして機能する。これにより、nウェル21の表層部において第1の導電層27に隣接してn型拡散層22aおよび22bが形成され、nウェル31の表層部において第2の導電層37に隣接してn型拡散層32aおよび32bが形成され、pウェル12の表層部においてゲート電極47に隣接してn型のソース42aおよびドレイン42bが形成される(図4C図5H)。
【0045】
次に、上記の各工程を経たシリコン基板11の表面にレジスト膜330を形成し、フォトリソグラフィ技術を用いてレジスト膜330をパターニングする。その後、イオン注入法によりパターニングされたレジスト膜330を介してnウェル21および31の表面にボロンを注入する。このイオン注入において、レジスト膜330、第1の導電層27および第2の導電層37がマスクとして機能する。これにより、nウェル21の表層部において第1の導電層27に隣接してp型拡散層24が形成され、nウェル31の表層部において第2の導電層37に隣接してp型拡散層34が形成される(図4D図5I)。
【0046】
次に、CVD法により上記の各工程を経たシリコン基板11の表面にSiO等の絶縁体で構成される絶縁膜(図示せず)を形成し、この絶縁膜にコンタクトホールを形成する。その後、CVD法によりタングステン等の導電体によってコンタクトホールを埋める。これにより、n型拡散層22a、22bおよび32aにそれぞれ接続されたコンタクト23a、23bおよび33aが形成され、p型拡散層24および34にそれぞれ接続されたコンタクト25および35が形成され、ソース42aおよびドレイン42bにそれぞれ接続されたコンタクト43aおよび43bが形成される(図4E図5J)。
【0047】
図6および図7は、それぞれ、複数のメモリセル10を含んで構成されるメモリセルアレイ100Aおよび100Bのレイアウトの一例を示す平面図である。メモリセルアレイ100Aおよび100Bにおいて、複数のメモリセル10の各々は、隣接する他のメモリセル10とnウェル21、31、n型拡散層22a、22b、p型拡散層24、34を共有するように構成されている。これにより、メモリセルアレイの面積を縮小する効果が期待できる。図7に示すメモリセルアレイ100Bにおいては、複数のメモリセル10の各々は、隣接する他のメモリセル10と、第2のキャパシタ30におけるn型拡散層32a、32bおよびp型拡散層34も共有する構成とされており、更なる面積の縮小効果が期待できる。
【0048】
以上のように、本発明の実施形態に係るメモリセル10において、第1のキャパシタ20は、nウェル21の表層部において第1の導電層27に隣接して設けられたn型拡散層22a、22bと、nウェル21の表層部において第1の導電層27に隣接し且つn型拡散層22a、22bから離間して設けられたp型拡散層24と、を有する。このように、比較的不純物濃度が高いn型拡散層22a、22bおよびp型拡散層24を、互いに離間して配置することで、マスクずれ等に起因して、n型拡散層22a、22bとp型拡散層24とがオーバーラップする領域が生じるリスクを低減することができる。さらに、n型拡散層22a、22bとp型拡散層24とが第1の導電層27の互いに異なる辺に隣接して設けられているので、n型拡散層22a、22bとp型拡散層24とがオーバーラップする領域が生じるリスクをほぼゼロとすることができる。これにより、n型拡散層22a、22bおよびp型拡散層24にそれぞれ接続されるコンタクト23a、23bおよび25が、図1に示すようなn型拡散層とp型拡散層とがオーバーラップする領域200に接続されるリスクを低減することができ、マスクずれに起因するメモリ性能の低下を防止することができる。
【0049】
第2のキャパシタ30は、第1のキャパシタ20と同様であり、nウェル31の表層部において第2の導電層37に隣接して設けられたn型拡散層32a、32bと、nウェル31の表層部において第2の導電層37に隣接し且つn型拡散層32a、32bから離間して設けられたp型拡散層34と、を有する。このように比較的不純物濃度が高いn型拡散層32a、32bおよびp型拡散層34を、互いに離間して配置することで、マスクずれ等に起因して、n型拡散層32a、32bとp型拡散層34とがオーバーラップする領域が生じるリスクを低減することができる。さらに、n型拡散層32a、32bとp型拡散層34とが第2の導電層37の互いに異なる辺に隣接して設けられているので、n型拡散層32a、32bとp型拡散層34とがオーバーラップする領域が生じるリスクをほぼゼロとすることができる。これにより、n型拡散層32a、32bおよびp型拡散層34にそれぞれ接続されるコンタクト33aおよび35が、図1に示すようなn型拡散層とp型拡散層がオーバーラップする領域200に接続されるリスクを低減することができ、マスクずれに起因するメモリ性能の低下を防止することができる。
【0050】
また、第1のキャパシタ20において、n型拡散層22a、22bおよびp型拡散層24は、第1の導電層27の隣接する辺からはみ出さない位置および大きさで設けられている。これにより、n型拡散層22a、22bおよびp型拡散層24を形成する際のマスクずれによる第1のキャパシタ20の静電容量の変動を小さくすることができる。
【0051】
同様に、第2のキャパシタ30において、n型拡散層32a、32bおよびp型拡散層34は、第2の導電層37の隣接する辺からはみ出さない位置および大きさで設けられている。これにより、n型拡散層32a、32bおよびp型拡散層34を形成する際のマスクずれによる第2のキャパシタ30の静電容量の変動を小さくすることができる。
【0052】
本実施形態に係るメモリセル10においては、第1のキャパシタ30と第2のキャパシタ20との静電容量比によってポリシリコン膜50の電圧を制御しFNトンネル現象を生じさせている。従って、第1のキャパシタ20および第2のキャパシタ30の静電容量の変動を抑え、静電容量の精度を確保しておくことが重要である。
【0053】
本実施形態に係るメモリセル10の製造方法によれば、ポリシリコン膜50の成膜後、n型拡散層22a、22b、32a、32bおよびp型拡散層24および34を形成する前に、ポリシリコン膜50の全面に不純物が注入され、これにより、ポリシリコン膜50の全体に単一の導電性が付与される(図5F参照)。このように、ポリシリコン膜50の全体に予め導電性を付与しておくおことで、その後に実施されるn型拡散層22a、22b、32a、32bおよびp型拡散層24および34を形成するためのイオン注入に伴ってポリシリコン膜50の導電型が部分的に変化することを抑制できる。ポリシリコン膜50においてp型の領域とn型の領域とが混在した場合には、ポリシリコン膜50内にpn接合が形成され、ポリシリコン膜50のキャパシタ電極またはゲート電極としての機能に支障をきたす。ポリシリコン膜50の全体に予め導電性を付与しておくおことで、その後にイオン注入が実施された場合でも、ポリシリコン膜50は単一の導電型を維持することができ、ポリシリコン膜50内におけるpn接合の形成を回避することができる。
【0054】
なお、本実施形態に係るメモリセル10は、以下のように改変することも可能である。すなわち、図8に示すメモリセル10Aのように、図2に示すメモリセル10の構成に対して、n型拡散層22a、22bとp型拡散層24の配置を入れ替え、n型拡散層32a、32bとp型拡散層34の配置を入れ替えてもよい。図8に示すメモリセル10Aによれば、ポリシリコン膜50の長手方向(第1のキャパシタ20、トランジスタ40および第2のキャパシタ30が並ぶ方向)に沿って、p型領域(p型拡散層24)、n型領域(ソース42aおよびドレイン42b)およびp型領域(p型拡散層34)がこの順で並ぶ構成となる。このように、ポリシリコン膜50の長手方向に沿って、p型領域とn型領域とが交互に配置される場合には、上記したように、ポリシリコン膜50の全体に予め導電性を付与しておくことが、ポリシリコン膜50内におけるpn接合の形成を回避する上で特に有効となる。一方、図2に示すメモリセル10の構成によれば、ポリシリコン膜50の長手方向に沿って、n型領域(n型拡散層22a、22b)、n型領域(ソース42aおよびドレイン42b)およびn型領域(n型拡散層32a、32b)がこの順で並ぶ構成となる。このように、ポリシリコン膜50の長手方向に沿って、同一の導電型を有する領域が連続する場合には、ポリシリコン膜50内にpn接合が形成されることはないので、ポリシリコン膜50の全体に予め導電性を付与しておく工程(図5F参照)を省略することが可能である。
【0055】
また、上記の実施形態では、n型拡散層22a、22bを第1の導電層27に隣接して設け、n型拡散層32a、32bを第2の導電層37に隣接して設ける場合を例示したが、図9に示すメモリセル10Bのように、n型拡散層22を第1の導電層27から離間して設け、n型拡散層32を第2の導電層37から離間して設けることも可能である。
【0056】
また、本実施形態においては、第1の導電層27、第2の導電層37およびゲート電極47をポリシリコン膜で構成する場合を例示したが、導電性を有する他の材料で構成することも可能である。また、本実施形態においては、第1の絶縁膜26、第2の絶縁膜36およびゲート絶縁膜46をシリコン酸化膜で構成する場合を例示したが、絶縁性を有する他の材料で構成することも可能である。
【0057】
なお、nウェル21は本発明における第1の拡散層の一例である。n型拡散層22a、22bは本発明における第2の拡散層の一例である。p型拡散層24は本発明における第3の拡散層の一例である。第1の絶縁膜26は、本発明における第1の絶縁膜の一例である。第1の導電層27は、本発明における第1の導電層の一例である。第1のキャパシタ20は本発明における第1のキャパシタの一例である。nウェル31は本発明における第4の拡散層の一例である。n型拡散層32a、32bは本発明における第5の拡散層の一例である。p型拡散層34は本発明における第6の拡散層の一例である。第2の絶縁膜36は、本発明における第2の絶縁膜の一例である。第2の導電層37は、本発明における第2の導電層の一例である。第2のキャパシタ30は本発明における第2のキャパシタの一例である。ゲート電極47は、本発明における第3の導電層の一例である。トランジスタ40は、本発明におけるトランジスタの一例である。
【符号の説明】
【0058】
10、10A、10B メモリセル
11 シリコン基板
20 第1のキャパシタ
21 nウェル
22a、22b n型拡散層
23a、23b、25 コンタクト
24 p型拡散層
26 第1の絶縁膜
27 第1の導電層
30 第2のキャパシタ
31 nウェル
32a、32b n型拡散層
33a、35 コンタクト
34 p型拡散層
36 第2の絶縁膜
37 第2の導電層
40 トランジスタ
42a ソース
43a、43b コンタクト
42b ドレイン
46 ゲート絶縁膜
47 ゲート電極
50 ポリシリコン膜
60 シリコン酸化膜
100A、100B メモリセルアレイ
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図5I
図5J
図6
図7
図8
図9