(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する基板処理装置の洗浄方法および基板処理装置の洗浄システムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
<基板処理システムの洗浄処理の概要>
最初に、
図1を参照しながら、実施形態に係る基板処理システム1の洗浄処理の概要について説明する。
図1は、実施形態に係る基板処理システム1の洗浄処理の概要を示す図である。
【0011】
実施形態に係る基板処理システム1(
図2参照)では、乾燥処理ユニット17(
図2参照)において、
図1に示すように、複数のウェハに対して超臨界流体を用いた乾燥処理(S1)がくり返し行われる。かかる乾燥処理(S1)の詳細については後述する。
【0012】
ここで、実施形態に係る基板処理システム1の洗浄処理では、基板処理システム1の乾燥処理ユニット17において、くり返し行われる乾燥処理(S1)の合間に洗浄処理(S2)を行う。かかる洗浄処理(S2)は、洗浄用気体充填処理(S3)と、排気処理(S4)とを含む。
【0013】
洗浄用気体充填処理(S3)では、イソプロピルアルコール(Isopropyl Alcohol:以下、IPAと呼称する。)を乾燥処理ユニット17内に供給することにより、乾燥処理ユニット17内に気体状態のIPA(以下、「IPA気体」と呼称する。)を充填する。そして、充填されたIPA気体は、乾燥処理ユニット17内に充満し、乾燥処理ユニット17内に浮遊・付着したパーティクルを吸着する。
【0014】
つづいて行われる排気処理(S4)では、パーティクルを吸着したIPA気体を、ポンプなどを用いて乾燥処理ユニット17内から排気する。これにより、乾燥処理ユニット17内に浮遊・付着したパーティクルが、IPA気体とともに乾燥処理ユニット17の外部に排出される。
【0015】
すなわち、乾燥処理ユニット17内に浮遊・付着したパーティクルの数を、洗浄用気体充填処理(S3)と排気処理(S4)とにより低減することができる。したがって、実施形態に係る基板処理システム1の洗浄処理(S2)によれば、超臨界流体を用いた乾燥処理(S1)が行われる乾燥処理ユニット17内で、ウェハに多数のパーティクルが付着することを抑制することができる。
【0016】
<基板処理システムの概要>
つづいて、
図2を参照しながら、実施形態に係る基板処理システム1の概略構成について説明する。
図2は、実施形態に係る基板処理システム1の概略構成を示す図である。以下では、位置関係を明確にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする。
【0017】
図2に示すように、基板処理システム1は、搬入出ステーション2と、処理ステーション3とを備える。搬入出ステーション2と処理ステーション3とは隣接して設けられる。
【0018】
搬入出ステーション2は、キャリア載置部11と、搬送部12とを備える。キャリア載置部11には、複数枚の半導体ウェハW(以下ウェハW)を水平状態で収容する複数のキャリアCが載置される。
【0019】
搬送部12は、キャリア載置部11に隣接して設けられ、内部に基板搬送装置13と、受渡部14と、治具載置部21とを備える。基板搬送装置13は、ウェハWを保持するウェハ保持機構を備える。また、基板搬送装置13は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウェハ保持機構を用いてキャリアCと受渡部14との間でウェハWの搬送を行う。
【0020】
治具載置部21には、治具22が載置されている。ここで、上述の基板搬送装置13におけるウェハ保持機構は、治具22を保持する機能も備える。そして、基板搬送装置13は、ウェハ保持機構を用いて治具載置部21と受渡部14との間で治具22の搬送を行う。
【0021】
処理ステーション3は、搬送部12に隣接して設けられる。処理ステーション3は、搬送部15と、複数の洗浄処理ユニット16と、複数の乾燥処理ユニット17とを備える。複数の洗浄処理ユニット16と複数の乾燥処理ユニット17とは、搬送部15の両側に並べて設けられる。なお、
図2に示した洗浄処理ユニット16および乾燥処理ユニット17の配置や個数は一例であり、図示のものに限定されない。
【0022】
搬送部15は、内部に基板搬送装置18を備える。基板搬送装置18は、ウェハWや治具22を保持するウェハ保持機構を備える。また、基板搬送装置18は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウェハ保持機構を用いて受渡部14と、洗浄処理ユニット16と、乾燥処理ユニット17との間でウェハWまたは治具22の搬送を行う。
【0023】
洗浄処理ユニット16は、基板搬送装置18によって搬送されるウェハWに対して所定の洗浄処理を行う。洗浄処理ユニット16の構成例については後述する。
【0024】
乾燥処理ユニット17は、洗浄処理ユニット16によって洗浄処理されたウェハWに対し、上述した乾燥処理を行う。乾燥処理ユニット17の構成例については後述する。
【0025】
また、基板処理システム1は、制御装置4を備える。制御装置4は、たとえばコンピュータであり、制御部19と記憶部20とを備える。
【0026】
制御部19は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力ポートなどを有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。かかるマイクロコンピュータのCPUは、ROMに記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、後述する制御を実現する。
【0027】
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記録媒体に記録されていたものであって、その記録媒体から制御装置4の記憶部20にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記録媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
【0028】
記憶部20は、たとえば、RAM、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置によって実現される。
【0029】
上記のように構成された基板処理システム1では、まず、搬入出ステーション2の基板搬送装置13が、キャリア載置部11に載置されたキャリアCからウェハWを取り出し、取り出したウェハWを受渡部14に載置する。受渡部14に載置されたウェハWは、処理ステーション3の基板搬送装置18によって受渡部14から取り出されて、洗浄処理ユニット16へ搬入される。
【0030】
洗浄処理ユニット16へ搬入されたウェハWは、洗浄処理ユニット16によって洗浄処理が施された後、基板搬送装置18によって洗浄処理ユニット16から搬出される。洗浄処理ユニット16から搬出されたウェハWは、基板搬送装置18によって乾燥処理ユニット17へ搬入され、乾燥処理ユニット17によって乾燥処理が施される。
【0031】
乾燥処理ユニット17によって乾燥処理されたウェハWは、基板搬送装置18によって乾燥処理ユニット17から搬出され、受渡部14に載置される。そして、受渡部14に載置された処理済のウェハWは、基板搬送装置13によってキャリア載置部11のキャリアCへ戻される。
【0032】
<洗浄処理ユニットの概要>
次に、
図3を参照しながら、洗浄処理ユニット16の概略構成について説明する。
図3は、洗浄処理ユニット16の構成を示す断面図である。洗浄処理ユニット16は、たとえば、スピン洗浄によりウェハWを1枚ずつ洗浄する枚葉式の洗浄処理ユニットとして構成される。
【0033】
図3に示すように、洗浄処理ユニット16は、処理空間を形成するアウターチャンバー23内に配置されたウェハ保持機構25にてウェハWをほぼ水平に保持し、このウェハ保持機構25を鉛直軸周りに回転させることによりウェハWを回転させる。そして、洗浄処理ユニット16は、回転するウェハWの上方にノズルアーム26を進入させ、かかるノズルアーム26の先端部に設けられた薬液ノズル26aから薬液やリンス液を予め定められた順に供給することにより、ウェハWの表面の洗浄処理を行う。
【0034】
また、洗浄処理ユニット16には、ウェハ保持機構25の内部にも薬液供給路25aが形成されている。そして、かかる薬液供給路25aから供給された薬液やリンス液によって、ウェハWの裏面洗浄が行われる。
【0035】
上述のウェハWの洗浄処理は、たとえば、最初にアルカリ性の薬液であるSC1液(アンモニアと過酸化水素水の混合液)によるパーティクルや有機性の汚染物質の除去が行われ、次に、リンス液である脱イオン水(DeIonized Water:以下、DIWと呼称する。)によるリンス洗浄が行われる。次に、酸性薬液である希フッ酸水溶液(Diluted HydroFluoric acid:以下、DHFと呼称する。)による自然酸化膜の除去が行われ、次に、DIWによるリンス洗浄が行われる。
【0036】
上述の各種薬液は、アウターチャンバー23や、アウターチャンバー23内に配置されるインナーカップ24に受け止められて、アウターチャンバー23の底部に設けられる排液口23aや、インナーカップ24の底部に設けられる排液口24aから排出される。さらに、アウターチャンバー23内の雰囲気は、アウターチャンバー23の底部に設けられる排気口23bから排気される。
【0037】
上述のウェハWのリンス処理の後には、ウェハ保持機構25を回転させながら、ウェハWの表面および裏面に液体状態のIPA(以下、「IPA液体」と呼称する。)を供給し、ウェハWの両面に残存しているDIWと置換する。その後、ウェハ保持機構25の回転を緩やかに停止する。
【0038】
こうして洗浄処理を終えたウェハWは、その表面にIPA液体71(
図7参照)が液盛りされた状態(ウェハW表面にIPA液体71の液膜が形成された状態)のまま、ウェハ保持機構25に設けられた不図示の受け渡し機構により基板搬送装置18に受け渡され、洗浄処理ユニット16より搬出される。
【0039】
ここで、ウェハWの表面に液盛りされたIPA液体71は、洗浄処理ユニット16から乾燥処理ユニット17へのウェハWの搬送中や、乾燥処理ユニット17への搬入動作中に、ウェハW表面の液体が蒸発(気化)することによってパターン倒れが発生することを防ぐ、乾燥防止用の液体として機能する。
【0040】
洗浄処理ユニット16での洗浄処理を終え、表面にIPA液体71が液盛りされたウェハWは、乾燥処理ユニット17に搬送される。そして、乾燥処理ユニット17内においてウェハW表面のIPA液体71にCO
2の超臨界流体70(
図7参照)を接触させることにより、かかるIPA液体71をCO
2の超臨界流体70に溶解させて除去し、ウェハWを乾燥する処理が行われる。
【0041】
<乾燥処理ユニットの概要>
以下においては、まず、乾燥処理ユニット17の構成について説明し、その後、乾燥処理ユニット17におけるシステム全体の構成について説明する。
図4は、乾燥処理ユニット17の構成を示す外観斜視図である。
【0042】
乾燥処理ユニット17は、本体31と、保持板32と、蓋部材33とを有する。筐体状の本体31には、ウェハWを搬入出するための開口部34が形成される。保持板32は、処理対象のウェハWを水平方向に保持する。蓋部材33は、かかる保持板32を支持するとともに、ウェハWを本体31内に搬入したときに、開口部34を密閉する。
【0043】
本体31は、たとえば直径300mmのウェハWを収容可能な処理空間が内部に形成された容器であり、その壁部には、供給ポート35A、35Bと排出ポート36とが設けられる。供給ポート35A、35Bと排出ポート36とは、それぞれ、乾燥処理ユニット17の上流側と下流側とに設けられる超臨界流体70(
図7参照)を流通させるための供給ラインに接続されている。かかる供給ラインの構成例については後述する。
【0044】
供給ポート35Aは、筐体状の本体31において、開口部34とは反対側の側面に接続されている。また、供給ポート35Bは、本体31の底面に接続されている。さらに、排出ポート36は、開口部34の下方側に接続されている。なお、
図4には2つの供給ポート35A、35Bと1つの排出ポート36が図示されているが、供給ポート35A、35Bや排出ポート36の数は特に限定されない。
【0045】
また、本体31の内部には、流体供給ヘッダー37A、37Bと、流体排出ヘッダー38とが設けられる。流体供給ヘッダー37A、37Bと流体排出ヘッダー38とは、いずれも多数の開孔が形成されている。
【0046】
流体供給ヘッダー37Aは、供給ポート35Aに接続され、筐体状の本体31内部において、開口部34とは反対側の側面に隣接して設けられる。また、流体供給ヘッダー37Aに形成される多数の開孔は、開口部34側を向いている。
【0047】
流体供給ヘッダー37Bは、供給ポート35Bに接続され、筐体状の本体31内部における底面の中央部に設けられる。また、流体供給ヘッダー37Bに形成される多数の開孔は、上方を向いている。
【0048】
流体排出ヘッダー38は、排出ポート36に接続され、筐体状の本体31内部において、開口部34側の側面に隣接するとともに、開口部34よりも下方に設けられる。また、流体排出ヘッダー38に形成される多数の開孔は、流体供給ヘッダー37A側を向いている。
【0049】
流体供給ヘッダー37A、37Bは、超臨界流体70を本体31内に供給する。また、流体排出ヘッダー38は、本体31内の超臨界流体70を本体31の外部に導いて排出する。なお、流体排出ヘッダー38を介して本体31の外部に排出される超臨界流体70には、ウェハWの表面から超臨界流体70に溶け込んだIPA液体71(
図7参照)が含まれる。
【0050】
上述のように配置される流体供給ヘッダー37A、37Bの開孔から本体31内に超臨界流体70が供給され、また流体排出ヘッダー38の開孔を介して超臨界流体70が本体31内から排出されることによって、本体31の内部には、ウェハWの周囲で所定の向きに流動する超臨界流体70の層流が形成される。
【0051】
かかる超臨界流体70の層流は、たとえば、流体供給ヘッダー37Aから、ウェハWの上方をウェハWの表面に沿って、開口部34の上部に向かって流れる。さらに、超臨界流体70の層流は、開口部34の上方で下方側に向きを変え、開口部34の近傍を通り、流体排出ヘッダー38に向かって流れる。
【0052】
かかる層流の例では、乾燥処理ユニット17の内部において、保持板32におけるウェハWと蓋部材33との間に不図示の開孔が形成され、かかる開孔を超臨界流体70の層流が通過する。
【0053】
なお、本体31内部への超臨界流体70の供給時と、本体31からの超臨界流体70の排出時とにウェハWに加えられうる負荷を軽減する観点からは、流体供給ヘッダーおよび流体排出ヘッダーは、それぞれ複数個設けられることが好ましい。
【0054】
乾燥処理ユニット17は、さらに、不図示の押圧機構を備える。かかる押圧機構は、本体31内部の処理空間内に供給された超臨界状態の超臨界流体70によってもたらされる内圧に抗して、本体31に向けて蓋部材33を押し付け、処理空間を密閉する機能を有する。また、かかる処理空間内に供給された超臨界流体70が所定の温度を保てるように、本体31の表面には、断熱材やテープヒータなどが設けられていてもよい。
【0055】
次に、
図5を参照しながら、乾燥処理ユニット17のシステム全体の構成について説明する。
図5は、乾燥処理ユニット17のシステム全体の構成例を示す図である。
【0056】
かかるシステム全体において、乾燥処理ユニット17よりも上流側には流体供給源51が設けられており、乾燥処理ユニット17において超臨界流体70(
図7参照)を流通させるための供給ラインには、流体供給源51から超臨界流体70が供給される。流体供給源51には、たとえば、CO
2の超臨界流体70を発生させるための原料CO
2が貯蔵される。
【0057】
また、流体供給源51と乾燥処理ユニット17との間には、上流側から下流側に向かって、バルブ52aと、オリフィス55aと、フィルタ57と、バルブ52bとが順次設けられる。なお、ここでいう上流側および下流側の用語は、供給ラインにおける超臨界流体70の流れ方向を基準とする。
【0058】
バルブ52aは、流体供給源51からの超臨界流体70の供給のオンおよびオフを調整するバルブであり、開状態では下流側の供給ラインに超臨界流体70を流し、閉状態では下流側の供給ラインに超臨界流体70を流さない。たとえば、バルブ52aが開状態にある場合、16〜20MPa程度の高圧の超臨界流体70が、流体供給源51からバルブ52aを介して供給ラインに供給される。
【0059】
オリフィス55aは、流体供給源51から供給される超臨界流体70の圧力を調整する機能を有する。オリフィス55aは、たとえば、かかるオリフィス55aよりも下流側の供給ラインに、16MPa程度に圧力が調整された超臨界流体70を流通させることができる。
【0060】
フィルタ57は、オリフィス55aから送られてくる超臨界流体70に含まれる異物を取り除き、クリーンな超臨界流体70を下流側に流す。
【0061】
バルブ52bは、乾燥処理ユニット17への超臨界流体70の供給のオンおよびオフを調整するバルブである。バルブ52bから乾燥処理ユニット17に接続される供給ラインは、
図4に示した供給ポート35Aに接続され、バルブ52bを流れる超臨界流体70は、供給ポート35Aと流体供給ヘッダー37Aとを介して、本体31内部に供給される。
【0062】
なお、
図5に示す乾燥処理ユニット17のシステム全体では、フィルタ57とバルブ52bとの間で供給ラインが分岐している。具体的には、フィルタ57とバルブ52bとの間の供給ラインからは、バルブ52cとオリフィス55bとを介して乾燥処理ユニット17に接続される供給ラインと、バルブ52dとチェックバルブ58aとを介してパージ装置62に接続される供給ラインとが分岐して延在する。
【0063】
バルブ52cとオリフィス55bとを介して乾燥処理ユニット17に接続される供給ラインは、乾燥処理ユニット17への超臨界流体70の供給のための補助的な流路である。かかる供給ラインは、
図4に示した供給ポート35Bに接続され、バルブ52cを流れる超臨界流体70は、供給ポート35Bと流体供給ヘッダー37Bとを介して、本体31内部に供給される。
【0064】
バルブ52dとチェックバルブ58aとを介してパージ装置62に接続される供給ラインは、窒素などの不活性ガスを乾燥処理ユニット17に供給するための流路であり、たとえば、流体供給源51から乾燥処理ユニット17に対する超臨界流体70の供給が停止している間に活用される。
【0065】
たとえば、乾燥処理ユニット17を不活性ガスで満たして清浄な状態を保つ場合には、バルブ52dとバルブ52bとが開状態に制御され、パージ装置62から供給ラインに送られた不活性ガスはチェックバルブ58aと、バルブ52dと、バルブ52bとを介して乾燥処理ユニット17に供給される。
【0066】
乾燥処理ユニット17のシステム全体において、乾燥処理ユニット17よりも下流側には、バルブ52eと、排気調整バルブ59と、バルブ52fとが、上流側から下流側に向かって順次設けられる。
【0067】
バルブ52eは、乾燥処理ユニット17からの超臨界流体70の排出のオンおよびオフを調整するバルブである。乾燥処理ユニット17から超臨界流体70を排出する場合にはバルブ52eが開状態に制御され、乾燥処理ユニット17から超臨界流体70を排出しない場合にはバルブ52eが閉状態に制御される。
【0068】
なお、乾燥処理ユニット17とバルブ52eとの間に延在する供給ラインは、排出ポート36に接続され、乾燥処理ユニット17の本体31内部の超臨界流体70は、
図4に示した流体排出ヘッダー38と排出ポート36とを介して、バルブ52eに向かって送られる。
【0069】
排気調整バルブ59は、乾燥処理ユニット17からの超臨界流体70の排出量を調整するバルブであり、たとえば背圧弁によって構成することができる。排気調整バルブ59の開度は、本体31内部からの超臨界流体70の所望の排出量に応じて、制御装置4の制御下で適応的に調整される。
【0070】
バルブ52fは、乾燥処理ユニット17からの超臨界流体70の外部への排出のオンおよびオフを調整するバルブである。超臨界流体70を外部に排出する場合にはバルブ52fが開状態に制御され、超臨界流体70を排出しない場合にはバルブ52fが閉状態に制御される。なお、バルブ52fの下流側には、排気調整ニードルバルブ61aとチェックバルブ58bとが設けられる。
【0071】
排気調整ニードルバルブ61aは、バルブ52fを介して送られてくる超臨界流体70の外部への排出量を調整するバルブであり、排気調整ニードルバルブ61aの開度は超臨界流体70の所望の排出量に応じて調整される。チェックバルブ58bは、排出される超臨界流体70の逆流を防ぐ弁であり、超臨界流体70を確実に外部に排出する機能を有する。
【0072】
なお、
図5に示す乾燥処理ユニット17では、排気調整バルブ59とバルブ52fとの間で供給ラインが分岐している。具体的には、排気調整バルブ59とバルブ52fとの間の供給ラインからは、バルブ52gを介して外部に接続される供給ラインと、バルブ52hを介して外部に接続される供給ラインとが分岐して延在する。
【0073】
バルブ52gとバルブ52hとは、バルブ52fと同様に、超臨界流体70の外部への排出のオンおよびオフを調整するバルブである。バルブ52gの下流側には、排気調整ニードルバルブ61bとチェックバルブ58cとが設けられ、超臨界流体70の排出量の調整と超臨界流体70の逆流防止とが行われる。バルブ52hの下流側にはチェックバルブ58dが設けられ、超臨界流体70の逆流防止が行われる。
【0074】
そして、乾燥処理ユニット17から超臨界流体70を排出する場合、バルブ52fと、バルブ52gと、バルブ52hとのうちの1以上のバルブが開状態に制御される。ここで、乾燥処理ユニット17のシステム全体において、超臨界流体70の外部への排出を複数のバルブ(バルブ52f、52g、52h)を介して行うことにより、超臨界流体70の外部への排出量を細かく制御することができる。
【0075】
また、上述の供給ラインの様々な箇所には、超臨界流体70の圧力を検出する圧力センサと、超臨界流体70の温度を検出する温度センサとが設置される。
図5に示す例では、バルブ52aとオリフィス55aとの間には圧力センサ53aと温度センサ54aとが設けられ、オリフィス55aとフィルタ57との間には圧力センサ53bと温度センサ54bとが設けられる。
【0076】
また、フィルタ57とバルブ52bとの間には圧力センサ53cが設けられ、バルブ52bと乾燥処理ユニット17との間には温度センサ54cが設けられ、オリフィス55bと乾燥処理ユニット17との間には温度センサ54dが設けられ、乾燥処理ユニット17には温度センサ54eが設けられる。
【0077】
さらに、乾燥処理ユニット17とバルブ52eとの間には圧力センサ53dと温度センサ54fとが設けられ、排気調整バルブ59とバルブ52fとの間には圧力センサ53eと温度センサ54gとが設けられる。
【0078】
また、乾燥処理ユニット17において超臨界流体70が流れる任意の箇所には、ヒータHが設けられる。
図5に示す例では、乾燥処理ユニット17よりも上流側の供給ラインであるバルブ52aとオリフィス55aとの間、オリフィス55aとフィルタ57との間、フィルタ57とバルブ52bとの間、およびバルブ52bと乾燥処理ユニット17との間にヒータHが設けられる。
【0079】
一方で、乾燥処理ユニット17や、乾燥処理ユニット17よりも下流側の供給ラインを含む他の箇所にヒータHが設けられていてもよい。すなわち、流体供給源51から供給される超臨界流体70が外部に排出されるまでの全流路においてヒータHが設けられていてもよい。
【0080】
実施形態では、乾燥処理ユニット17に供給する超臨界流体70の温度を調整する観点から、少なくとも乾燥処理ユニット17よりも上流側を流れる超臨界流体70の温度を調整することができる箇所にヒータHが設けられていることが好ましい。
【0081】
図6は、制御装置4の機能構成を示すブロック図である。上述のように、制御装置4は、制御部19と記憶部20とを備える。制御装置4は、
図5に示す各種要素から計測信号を受信するとともに、
図5に示す各種要素に制御指示信号を送信する。
【0082】
制御装置4は、たとえば、圧力センサ53a〜53eと、温度センサ54a〜54gとの計測結果を受信するとともに、バルブ52a〜52hと、排気調整バルブ59と、排気調整ニードルバルブ61a、61bとに制御指示信号を送信する。なお、制御装置4が送受信可能な信号は特に限定されない。
【0083】
<超臨界流体を用いた乾燥処理の概要>
次に、超臨界流体70を用いたIPA液体71の乾燥処理の概要について説明する。
図7は、IPA液体71の乾燥メカニズムを説明するための図であり、ウェハWが有するパターンPを簡略的に示した拡大断面図である。
【0084】
乾燥処理ユニット17においてCO
2の超臨界流体70が乾燥処理ユニット17の本体31内部に導入された当初は、
図7(a)に示すように、パターンPの間にはIPA液体71のみが充填されている。
【0085】
かかるパターンPの間のIPA液体71は、CO
2の超臨界流体70と接触することで、徐々にCO
2の超臨界流体70に溶解し、
図7(b)に示すように徐々に超臨界流体70と置き換わる。このとき、パターンPの間には、IPA液体71とCO
2の超臨界流体70とのほかに、IPA液体71とCO
2の超臨界流体70とが混合した状態の混合流体70aが存在する。
【0086】
さらに、パターンPの間でIPA液体71からCO
2の超臨界流体70への置換が進行するにしたがって、パターンPの間からはIPA液体71が除去され、最終的には
図7(c)に示すように、CO
2の超臨界流体70のみによってパターンPの間が満たされる。
【0087】
パターンPの間からIPA液体71が除去された後に、本体31内の圧力を大気圧まで下げることによって、
図7(d)に示すように、CO
2の超臨界流体70は超臨界状態から気体状態に変化し、パターンPの間は気体のみによって占められる。このようにしてパターンPの間のIPA液体71は除去され、ウェハWの乾燥処理が完了する。
【0088】
ここで、超臨界流体70は、液体(たとえばIPA液体71)と比べて粘度が小さく、また液体を溶解する能力も高いことに加え、超臨界流体70と平衡状態にある液体や気体との間で界面が存在しない。これにより、上述の超臨界流体70を用いた乾燥処理では、表面張力の影響を受けることなく液体を乾燥させることができることから、パターンPのパターン倒れを抑制することができる。
【0089】
一方で、ここまで説明した基板処理システム1におけるCO
2の超臨界流体70を用いた乾燥処理において、同じ乾燥処理ユニット17内で複数のウェハWをくり返し乾燥させた際に、ウェハWに多数のパーティクルが付着する場合がある。
【0090】
かかるパーティクルは、
図5に示した流体供給源51に貯蔵される原料CO
2の中に流体の状態で保持される水分や油分が、フィルタ57を通過した後、何らかの理由により乾燥処理ユニット17内でミスト化し、乾燥処理ユニット17内に浮遊・付着しているものと考えられる。そして、付着した多数のパーティクルにより、ウェハWの歩留まりが低下してしまう恐れがある。
【0091】
そこで、実施形態に係る基板処理システム1の洗浄処理によれば、乾燥処理ユニット17に所定の洗浄処理を行うことにより、かかるパーティクルの数を低減することができる。
【0092】
<基板処理システムの洗浄処理の詳細>
つづいて、
図8A〜
図8Cを参照しながら、実施形態に係る基板処理システム1の洗浄処理の詳細について説明する。実施形態に係る基板処理システム1の洗浄処理では、最初に、洗浄用液体搬入処理が行われる。
図8Aは、実施形態に係る洗浄用液体搬入処理の概要を示す図である。
【0093】
なお、
図8A〜
図8Cでは、
図5に示した乾燥処理ユニット17のシステム全体において、制御部19により開状態と閉状態とが制御可能であるバルブ52a〜52hと、排気調整バルブ59と、排気調整ニードルバルブ61a、61bとを記載するとともに、かかる各バルブが開状態の場合は「O」を、閉状態の場合は「S」を各バルブに隣接して記載する。
【0094】
また、もし仮に排気調整バルブ59または排気調整ニードルバルブ61a、61bが、完全な閉状態にすることができないバルブである場合には、以降の説明で「S」と示す状態であったとしても、完全な閉状態にしなくともよい。
【0095】
図8Aに示すように、洗浄用液体搬入処理では、IPA液体71を液盛りした治具22を、乾燥処理ユニット17の内部に搬入する。かかる洗浄用液体搬入処理までの具体的な処理は以下の通りである。
【0096】
まず、
図2に示した搬入出ステーション2の基板搬送装置13が、治具載置部21に載置された治具22を取り出し、取り出した治具22を受渡部14に載置する。受渡部14に載置された治具22は、処理ステーション3の基板搬送装置18によって受渡部14から取り出されて、洗浄処理ユニット16へ搬入される。
【0097】
洗浄処理ユニット16へ搬入された治具22は、洗浄処理ユニット16によってIPA液体71の液盛り処理が行われる。具体的には、洗浄処理ユニット16は、
図3に示したウェハ保持機構25に保持された治具22の上方にノズルアーム26を進入させ、その先端部に設けられた薬液ノズル26aからIPA液体71を所定の量供給することにより、治具22への液盛り処理を行う。
【0098】
かかる液盛り処理を終えた治具22は、その表面にIPA液体71が液盛りされた状態のまま、
図2に示した基板搬送装置18に受け渡され、洗浄処理ユニット16より搬出される。洗浄処理ユニット16から搬出された治具22は、基板搬送装置18によって乾燥処理ユニット17へ搬入される。かかる処理により、
図8Aに示すように、IPA液体71が液盛りされた治具22が、乾燥処理ユニット17の内部に搬入(すなわち、洗浄用液体搬入処理)される。
【0099】
なお、
図8Aに示すように、洗浄用液体搬入処理の際には、バルブ52a〜52hと、排気調整バルブ59と、排気調整ニードルバルブ61a、61bとは、すべて閉状態に制御される。
【0100】
実施形態に係る基板処理システム1の洗浄処理では、洗浄用液体搬入処理につづいて、洗浄用液体気化処理が行われる。
図8Bは、実施形態に係る洗浄用液体気化処理の概要を示す図である。
【0101】
図8Bに示すように、洗浄用液体気化処理では、治具22に液盛りされたIPA液体71を気化(蒸発)させる。そして、かかる気化により発生するIPA気体72を、乾燥処理ユニット17の内部に充填する。これにより、IPA気体72を乾燥処理ユニット17の内部に充満させる。すなわち、IPA気体72を乾燥処理ユニット17の内部で飽和させる。そして、IPA気体72を乾燥処理ユニット17の内部に充満させた状態で、所定の時間待機させる。
【0102】
かかる洗浄用液体気化処理により、乾燥処理ユニット17内に充満したIPA気体72は、乾燥処理ユニット17内に浮遊・付着したパーティクルを吸着する。
【0103】
洗浄用液体気化処理は、乾燥処理ユニット17内にIPA気体72が充満し、浮遊・付着したパーティクルを吸着するのに十分な程度の時間行われる。かかる洗浄用液体気化処理は、たとえば、超臨界流体70を用いたウェハWの乾燥処理における通常ランニングの時間よりも長い時間行われる。
【0104】
ここで、通常ランニングの時間とは、
図7に示したように、ウェハWの表面に液盛りされたIPA液体71が乾燥処理ユニット17内に搬送されてから、かかるIPA液体71がCO
2の超臨界流体70と接触するまでの時間(たとえば、10(秒)程度)のことである。換言すると、通常ランニングの時間とは、ウェハWの表面に液盛りされたIPA液体71が、ウェハWの表面において部分的にも乾燥しない時間のことである。
【0105】
洗浄用液体気化処理は、たとえば、10(分)以上行うとよい。これにより、乾燥処理ユニット17内に充満したIPA気体72は、乾燥処理ユニット17内に浮遊・付着したパーティクルを十分に吸着することができる。
【0106】
また、洗浄用液体気化処理において、治具22に液盛りされたIPA液体71を気化(蒸発)させる手法としては、たとえば、治具22を100(℃)程度に昇温すればよい。また、乾燥処理ユニット17全体を100(℃)程度に昇温してもよい。これらの手法により、沸点が82.4(℃)であるIPA液体71を効率的に気化(蒸発)させることができる。
【0107】
さらに、洗浄用液体気化処理において、治具22や乾燥処理ユニット17全体を100(℃)以上に昇温してもよい。このように、さらに高い温度に昇温させることにより、乾燥処理ユニット17内でIPA液体71を短時間で飽和させることができることから、洗浄用液体気化処理を短時間で完了させることができる。
【0108】
なお、
図8Bに示すように、洗浄用液体気化処理の際には、バルブ52a〜52hと、排気調整バルブ59と、排気調整ニードルバルブ61a、61bとは、すべて閉状態に制御される。
【0109】
実施形態に係る基板処理システム1の洗浄処理では、洗浄用液体気化処理につづいて、排気処理が行われる。
図8Cは、実施形態に係る排気処理の概要を示す図である。
【0110】
かかる排気処理では、制御装置4の制御部19が、
図8Cに示すように、乾燥処理ユニット17の下流側にあるバルブ52eと、排気調整バルブ59と、バルブ52fと、排気調整ニードルバルブ61aとを、閉状態から開状態に変更する。これにより、乾燥処理ユニット17内に浮遊・付着するパーティクルを吸着したIPA気体72を、乾燥処理ユニット17の外部に排気する。
【0111】
すなわち、乾燥処理ユニット17内に浮遊・付着したパーティクルを、IPA気体72とともに除去することができる。したがって、乾燥処理ユニット17内に浮遊・付着したパーティクルの数を低減することができることから、乾燥処理ユニット17内でウェハWに超臨界流体70を用いた乾燥処理を行う際に、ウェハWに多数のパーティクルが付着することを抑制することができる。
【0112】
実施形態に係る基板処理システム1の洗浄処理は、乾燥処理ユニット17に追加の配管やバルブなどを設置することなく、基板処理システム1の内部に治具載置部21と治具22とを設置するだけで実現することができる。したがって、実施形態によれば、低コストで乾燥処理ユニット17の洗浄処理を実施することができる。
【0113】
また、実施形態に係る基板処理システム1の洗浄処理においては、超臨界流体70によるウェハWの乾燥処理において用いられる有機溶剤と同じ種類の有機溶剤(IPA液体71)を、洗浄処理にも用いている。
【0114】
ここで、もし仮に、ウェハWの乾燥処理において用いられる有機溶剤と異なる種類の有機溶剤を洗浄処理に用いた場合、超臨界流体70によるウェハWの乾燥処理において、かかる異なる種類の有機溶剤が不純物として作用する恐れがある。したがって、洗浄処理と乾燥処理とで異なる種類の有機溶剤を用いた場合、ウェハWの乾燥処理に悪影響を与える恐れがある。
【0115】
しかしながら、実施形態に係る基板処理システム1の洗浄処理では、ウェハWの乾燥処理に用いられる有機溶剤と同じ種類の有機溶剤を洗浄処理に用いていることから、ウェハWの乾燥処理に悪影響を与える恐れがない。したがって、ウェハWの乾燥処理に用いられる有機溶剤と同じ種類の有機溶剤を洗浄処理に用いることにより、ウェハWの乾燥処理を安定して実施することができる。
【0116】
実施形態に係る基板処理システム1の洗浄処理は、たとえば、それぞれの乾燥処理ユニット17において、パーティクルカウンタにより乾燥処理を行ったウェハWでのパーティクルの数を随時計測し、計測されたパーティクルの数が所定の数以上になった際に実施すればよい。
【0117】
また、実施形態に係る基板処理システム1の洗浄処理は、たとえば、それぞれの乾燥処理ユニット17において、ウェハWに乾燥処理を行った累計時間が所定の時間以上になった際に行ってもよいし、乾燥処理を行ったウェハWの累計枚数が所定の枚数以上になった際に行ってもよい。
【0118】
なお、
図8Cにおいては、バルブ52eと、排気調整バルブ59と、バルブ52fと、排気調整ニードルバルブ61aとを、閉状態から開状態に変更した例について示したが、乾燥処理ユニット17の下流側にあるバルブ52g、52hや排気調整ニードルバルブ61bなどを開状態にして、IPA気体72を乾燥処理ユニット17の外部に排気してもよい。
【0119】
つづいて、実施形態に係る基板処理システム1の洗浄処理で用いられる治具22の一例について、
図9Aおよび
図9Bを用いて説明する。
図9Aは、実施形態に係る治具22の一例を示す斜視図であり、
図9Bは、
図9AのA−A線断面図である。
【0120】
図9Aおよび
図9Bに示すように、治具22は、円板部22aと、輪形部22bとを有する。
【0121】
円板部22aは、ウェハWと略同一の径および厚さを有する。これにより、基板処理システム1において、ウェハWの搬送に用いられる基板搬送装置13や受渡部14、基板搬送装置18を用いて治具22を搬送することができるとともに、ウェハWを処理する洗浄処理ユニット16や乾燥処理ユニット17に治具22を搬入することができる。
【0122】
なお、基板処理システム1で複数種類の径や厚さを有するウェハWを取り扱うことができる場合、円板部22aは、基板処理システム1で取り扱うことのできる複数種類のうち1種類のウェハWと略同一の径および厚さを有していればよい。
【0123】
輪形部22bは、円板部22aにおける表側の主面から、輪形状に突出する部位である。そして、円板部22aと輪形部22bとにより、円板部22aの表側の主面に凹部22cが形成される。かかる凹部22cを円板部22aの表側の主面に形成することにより、凹部22cを形成しない場合に比べ、治具22の表面に液盛りできるIPA液体71の量を増やすことができる。したがって、乾燥処理ユニット17内にIPA気体72を充満させるのに十分な量のIPA液体71を、乾燥処理ユニット17内に搬入することができる。
【0124】
輪形部22bは、円板部22aの縁22dから所定の距離以上離して設けられる。これにより、基板処理システム1において、基板搬送装置13や受渡部14、基板搬送装置18を用いて治具22を搬送する際に、円板部22aの縁22dを把持して搬送することができる。
【0125】
つづいて、実施形態に係る治具22の別の例について、
図9Cを用いて説明する。
図9Cは、実施形態に係る治具の別の例を示す断面図であり、
図9Bに対応する図面である。
【0126】
図9Cに示すように、治具22Aは、円板部22aにおける表側の主面のうち、輪形部22bの内側の表面に曲面状の凹み22eが形成されている。かかる凹み22eを形成することにより、凹部22cに液盛りできるIPA液体71の量をさらに増やすことができる。
【0127】
したがって、治具22Aによれば、乾燥処理ユニット17内にIPA気体72を充満させるのにさらに十分な量のIPA液体71を、乾燥処理ユニット17内に搬入することができる。
【0128】
なお、
図9Cにおいては、曲面状の凹み22eを形成する例について示しているが、凹み22eの形状は曲面状に限られない。たとえば、円板部22aにおける表側の主面のうち、輪形部22bの内側の表面を輪形部22bの外側の表面よりも平坦状に全体的に低くしてもよい。
【0129】
また、
図2では、治具22を基板処理システム1に1つ設けた例について示したが、基板処理システム1に治具22を複数設けてもよい。これにより、複数の乾燥処理ユニット17において並行して洗浄処理を行うことができることから、乾燥処理ユニット17を早期にウェハWの乾燥処理に復帰させることができる。
【0130】
なお、上述のように治具22を基板処理システム1に複数設ける場合、搬送部12に治具載置部21を複数設けてもよいし、治具22を複数搭載できるキャリアを搬送部12に設けてもよい。
【0131】
図10は、実施形態に係る基板処理システム1の洗浄処理における処理手順を示すフローチャートである。なお、
図10に示す基板処理システム1の洗浄処理は、制御装置4の記憶部20に格納されているプログラムを制御部19が読み出すとともに、読み出した命令に基づいて制御部19が洗浄処理ユニット16や乾燥処理ユニット17などを制御することにより実行される。
【0132】
図10に示すように、まず、基板搬送装置18(
図2参照)は、洗浄処理ユニット16に治具22を搬入する。治具22は、輪形部22bを上方に向けた状態でウェハ保持機構25(
図3参照)に保持される。その後、制御部19は、洗浄処理ユニット16を制御して、治具22に対しIPA液体71の液盛り処理を行う(S101)。
【0133】
液盛り処理では、まず、ウェハ保持機構25に保持された治具22の上方にノズルアーム26を進入させる。その後、ノズルアーム26の先端部に設けられた薬液ノズル26aからIPA液体71を所定の量供給する。かかる所定の量は、たとえば、IPA液体71から生じるIPA気体72で、乾燥処理ユニット17の内部を充満させるのに十分な量である。
【0134】
つづいて、基板搬送装置18は、液盛り処理された治具22を洗浄処理ユニット16から搬出し、乾燥処理ユニット17内に搬入する洗浄用液体搬入処理を行う(S102)。洗浄用液体搬入処理では、まず、液盛り処理された治具22が保持板32(
図4参照)に保持される。その後、保持板32と蓋部材33とが、液盛り処理された治具22とともに本体31の内部に収容され、蓋部材33により開口部34が密閉される。
【0135】
つづいて、乾燥処理ユニット17では、洗浄用液体気化処理が行われる(S103)。洗浄用液体気化処理では、まず、治具22に液盛りされたIPA液体71が気化される。かかる気化処理は、たとえば、治具22や乾燥処理ユニット17本体を100(℃)程度に昇温することにより行う。
【0136】
その後、乾燥処理ユニット17内にIPA気体72を充満させて、IPA気体72が充満された状態で所定の時間待機させる。ここで、乾燥処理ユニット17内にIPA気体72を充満させ、その状態で待機させる時間の合計は、たとえば、30(分)以上である。これにより、乾燥処理ユニット17内に充満したIPA気体72は、乾燥処理ユニット17内に浮遊・付着したパーティクルを吸着する。
【0137】
つづいて、乾燥処理ユニット17では、排気処理が行われる(S104)。排気処理では、制御部19が、乾燥処理ユニット17の下流側にあるバルブ52eと、排気調整バルブ59と、バルブ52fと、排気調整ニードルバルブ61aとを制御して、かかる各バルブを閉状態から開状態に変更する。これにより、乾燥処理ユニット17内に浮遊・付着したパーティクルを吸着したIPA気体72を、乾燥処理ユニット17の外部に排気する。
【0138】
その後、乾燥処理ユニット17では、治具搬出処理が行われる(ステップS105)。治具搬出処理では、まず、開状態であるバルブ52eと、排気調整バルブ59と、バルブ52fと、排気調整ニードルバルブ61aとを閉状態に変更した後、パージ装置62などを用いて、乾燥処理ユニット17の内部を大気圧に解放する。
【0139】
その後、基板搬送装置18を用いて治具22を乾燥処理ユニット17から搬出する。かかる治具搬出処理が完了すると、乾燥処理ユニット17に対しての洗浄処理が完了する。
【0140】
なお、
図10に示した処理手順を、一度の洗浄処理において、くり返し実施してもよい。かかる処理手順を一度の洗浄処理においてくり返し実施することにより、乾燥処理ユニット17内に浮遊・付着したパーティクルの数をさらに低減することができる。
【0141】
ここまで示した実施形態では、治具22に液盛り処理を行い、かかる治具22を乾燥処理ユニット17に搬入することにより洗浄処理を行っていたが、液盛りされる部材は治具22に限られない。たとえば、ウェハWの表面にIPA液体71を液盛り処理して、液盛り処理されたウェハWを乾燥処理ユニット17に搬入することにより、乾燥処理ユニット17の洗浄処理を行ってもよい。
【0142】
<変形例>
以降においては、実施形態に係る基板処理システム1の洗浄処理の各種変形例について説明する。まずは、
図11A、
図11Bおよび
図12を参照しながら、洗浄処理の変形例1について説明する。
【0143】
図11Aは、実施形態の変形例1に係る洗浄用気体注入処理の概要を示す図である。
図11Aに示すように、変形例1において、乾燥処理ユニット17は、バルブ52iを介してIPA気体供給源63に接続されている。かかるIPA気体供給源63には、IPA気体72が貯蔵される。また、バルブ52iは、その他のバルブと同様に制御装置4の制御部19により制御可能である。
【0144】
そして、変形例1では、洗浄用気体注入処理により、IPA気体72を乾燥処理ユニット17の内部に注入する。具体的には、制御装置4の制御部19が、
図11Aに示すように、バルブ52a〜52hと、排気調整バルブ59と、排気調整ニードルバルブ61a、61bとをすべて閉状態に制御する一方で、バルブ52iを開状態に制御する。かかる制御により、IPA気体供給源63からバルブ52iを介して、IPA気体72を乾燥処理ユニット17の内部に注入する。
【0145】
この洗浄用気体注入処理により、IPA気体72を乾燥処理ユニット17の内部に充填し、IPA気体72を乾燥処理ユニット17の内部に充満させる。かかる洗浄用気体注入処理により、乾燥処理ユニット17内に充満したIPA気体72は、乾燥処理ユニット17内に浮遊・付着したパーティクルを吸着する。
【0146】
すなわち、変形例1における洗浄用気体注入処理は、実施形態における洗浄用液体気化処理に相当する処理である。したがって、洗浄用気体注入処理を行う時間などは、実施形態における洗浄用液体気化処理と同様の条件を用いることができる。
【0147】
変形例1では、洗浄用気体注入処理につづいて、排気処理が行われる。
図11Bは、実施形態の変形例1に係る排気処理の概要を示す図である。
【0148】
かかる排気処理では、制御装置4の制御部19が、
図11Bに示すように、開状態のバルブ52iを閉状態に変更するとともに、乾燥処理ユニット17の下流側にあるバルブ52eと、排気調整バルブ59と、バルブ52fと、排気調整ニードルバルブ61aとを、閉状態から開状態に変更する。
【0149】
これにより、乾燥処理ユニット17内に浮遊・付着したパーティクルを吸着したIPA気体72を、乾燥処理ユニット17の外部に排気する。したがって、乾燥処理ユニット17内に浮遊・付着したパーティクルを、IPA気体72とともに除去することができる。
【0150】
すなわち、変形例1における排気処理は、実施形態における排気処理に相当する処理である。したがって、変形例1における排気処理の各種条件は、実施形態における排気処理と同様の条件を用いることができる。
【0151】
変形例1では、治具22の液盛り処理や搬入処理を行うことなく、IPA気体72を乾燥処理ユニット17内部に充填することができる。すなわち、治具22の液盛り処理や搬入処理を省略することができることから、乾燥処理ユニット17の洗浄処理にかかる時間を短くすることができる。したがって、変形例1によれば、乾燥処理ユニット17を早期にウェハWの乾燥処理に復帰させることができる。
【0152】
図12は、実施形態の変形例1に係る基板処理システム1の洗浄処理における処理手順を示すフローチャートである。
【0153】
図12に示すように、まず、乾燥処理ユニット17において、洗浄用気体注入処理が行われる(S201)。洗浄用気体注入処理では、まず、制御部19が、バルブ52a〜52hと、排気調整バルブ59と、排気調整ニードルバルブ61a、61bとをすべて閉状態に制御する。その後、制御部19がバルブ52iを開状態に制御して、IPA気体供給源63からバルブ52iを介して、IPA気体72を乾燥処理ユニット17の内部に注入する。
【0154】
その後、乾燥処理ユニット17内にIPA気体72を充満させて、IPA気体72が充満された状態で所定の時間待機させる。ここで、乾燥処理ユニット17内にIPA気体72を充満させ、その状態で待機させる時間の合計は、たとえば、30(分)以上である。これにより、乾燥処理ユニット17内に充満したIPA気体72は、乾燥処理ユニット17内に浮遊・付着したパーティクルを吸着する。
【0155】
なお、この際、バルブ52iは開状態を維持していてもよいし、所定の量のIPA気体72を注入した後、バルブ52iを閉状態に変更してもよい。
【0156】
なお、IPA気体72を乾燥処理ユニット17の内部に注入する場合は、これに限ることはなく、例えば、最初の数秒の間バルブ52a、52fと、排気調整バルブ59と、排気調整ニードルバルブ61aを開状態に制御し、かつ、バルブ52iを開状態に制御し、IPA気体供給源63からバルブ52iを介して、IPA気体72を乾燥処理ユニット17の内部に注入し、その後、バルブ52a、52fと、排気調整バルブ59と、排気調整ニードルバルブ61aを閉状態に制御し、ひきつづきIPA気体供給源63からバルブ52iを介して、IPA気体72を乾燥処理ユニット17の内部に注入するようにしてもよい。これにより、IPA気体72を乾燥処理ユニット17の内部に注入する時間を短縮することができる。
【0157】
つづいて、乾燥処理ユニット17では、排気処理が行われる(S202)。排気処理では、制御部19がバルブ52iを閉状態に制御する。その後、制御部19が、乾燥処理ユニット17の下流側にあるバルブ52eと、排気調整バルブ59と、バルブ52fと、排気調整ニードルバルブ61aとを制御して、上述の各バルブを閉状態から開状態に変更する。これにより、乾燥処理ユニット17内に浮遊・付着したパーティクルを吸着したIPA気体72を、乾燥処理ユニット17の外部に排気する。
【0158】
その後、開状態であるバルブ52eと、排気調整バルブ59と、バルブ52fと、排気調整ニードルバルブ61aとを閉状態に変更すると、変形例1に係る洗浄処理が完了する。
【0160】
図13Aは、実施形態の変形例2に係る洗浄用液体注入処理の概要を示す図である。
図13Aに示すように、変形例2において、乾燥処理ユニット17は、バルブ52iを介してIPA液体供給源64に接続されている。かかるIPA液体供給源64には、IPA液体71が貯蔵される。また、バルブ52iは、その他のバルブと同様に制御装置4の制御部19により制御可能である。
【0161】
そして、変形例2では、洗浄用液体注入処理により、IPA液体71を乾燥処理ユニット17の内部に注入する。具体的には、制御装置4の制御部19が、
図13Aに示すように、バルブ52a〜52hと、排気調整バルブ59と、排気調整ニードルバルブ61a、61bとをすべて閉状態に制御する一方で、バルブ52iを開状態に制御する。かかる制御により、IPA液体供給源64からバルブ52iを介して、IPA液体71を乾燥処理ユニット17の内部に注入する。
【0162】
すなわち、変形例2における洗浄用液体注入処理は、実施形態における液盛り処理および洗浄用液体搬入処理に相当する処理である。したがって、洗浄用液体注入処理においてIPA液体71を注入する量などは、実施形態における液盛り処理や洗浄用液体搬入処理と同様の条件を用いることができる。
【0163】
変形例2では、洗浄用液体注入処理につづいて、洗浄用液体気化処理が行われる。
図13Bは、実施形態の変形例2に係る洗浄用液体気化処理の概要を示す図である。
【0164】
図13Bに示すように、洗浄用液体気化処理では、制御装置4の制御部19が、開状態のバルブ52iを閉状態に変更するとともに、乾燥処理ユニット17内部に注入されたIPA液体71を気化(蒸発)させる。そして、かかる気化により発生するIPA気体72を、乾燥処理ユニット17の内部に充填する。これにより、IPA気体72を乾燥処理ユニット17の内部に充満させる。
【0165】
かかる洗浄用液体気化処理により、乾燥処理ユニット17内に充満したIPA気体72は、乾燥処理ユニット17内に浮遊・付着したパーティクルを吸着する。すなわち、変形例2における洗浄用液体気化処理は、実施形態における洗浄用液体気化処理に相当する処理である。したがって、変形例2における洗浄用気体注入処理の各種条件は、実施形態における洗浄用液体気化処理と同様の条件を用いることができる。
【0166】
変形例2では、洗浄用液体気化処理につづいて、排気処理が行われる。
図13Cは、実施形態の変形例2に係る排気処理の概要を示す図である。
【0167】
かかる排気処理では、制御装置4の制御部19が、
図13Cに示すように、乾燥処理ユニット17の下流側にあるバルブ52eと、排気調整バルブ59と、バルブ52fと、排気調整ニードルバルブ61aとを、閉状態から開状態に変更する。
【0168】
これにより、乾燥処理ユニット17内に浮遊・付着したパーティクルを吸着したIPA気体72を、乾燥処理ユニット17の外部に排気する。したがって、乾燥処理ユニット17内に浮遊・付着したパーティクルを、IPA気体72とともに除去することができる。
【0169】
すなわち、変形例2における排気処理は、実施形態における排気処理に相当する処理である。したがって、変形例2における排気処理の各種条件は、実施形態における排気処理と同様の条件を用いることができる。
【0170】
変形例2では、治具22の搬入処理を行うことなく、IPA液体71を乾燥処理ユニット17内部に注入することができる。すなわち、治具22の搬入処理を省略することができることから、乾燥処理ユニット17の洗浄処理にかかる時間を短くすることができる。したがって、変形例2によれば、乾燥処理ユニット17を早期にウェハWの乾燥処理に復帰させることができる。
【0171】
図14は、実施形態の変形例2に係る基板処理システム1の洗浄処理における処理手順を示すフローチャートである。
【0172】
図14に示すように、まず、乾燥処理ユニット17において、洗浄用液体注入処理が行われる(S301)。洗浄用液体注入処理では、まず、バルブ52a〜52hと、排気調整バルブ59と、排気調整ニードルバルブ61a、61bとをすべて閉状態に制御する。
【0173】
その後、バルブ52iを開状態に制御して、IPA液体供給源64からバルブ52iを介して、IPA液体71を乾燥処理ユニット17の内部に所定の量注入する。かかる所定の量は、たとえば、IPA液体71から生じるIPA気体72で、乾燥処理ユニット17の内部を充満させるのに十分な量である。
【0174】
つづいて、乾燥処理ユニット17では、洗浄用液体気化処理が行われる(S302)。洗浄用液体気化処理では、まず、乾燥処理ユニット17の内部に注入されたIPA液体71が気化される。かかる気化処理は、たとえば、乾燥処理ユニット17本体を100(℃)程度に昇温することにより行う。
【0175】
その後、乾燥処理ユニット17内にIPA気体72を充満させて、IPA気体72が充満された状態で所定の時間待機させる。ここで、乾燥処理ユニット17内にIPA気体72を充満させ、その状態で待機させる時間の合計は、たとえば、30(分)以上である。これにより、乾燥処理ユニット17内に充満したIPA気体72は、乾燥処理ユニット17内に浮遊・付着したパーティクルを吸着する。
【0176】
なお、洗浄用液体注入処理において、所定の量のIPA液体71を注入した後バルブ52iを閉状態に変更してもよいし、洗浄用液体注入処理から洗浄用液体気化処理にかけて、バルブ52iの開状態を維持していてもよい。
【0177】
つづいて、乾燥処理ユニット17では、排気処理が行われる(S303)。排気処理では、制御部19がバルブ52iを閉状態に制御する。その後、制御部19が、乾燥処理ユニット17の下流側にあるバルブ52eと、排気調整バルブ59と、バルブ52fと、排気調整ニードルバルブ61aとを制御して、上述の各バルブを閉状態から開状態に変更する。これにより、乾燥処理ユニット17内に浮遊・付着したパーティクルを吸着したIPA気体72を、乾燥処理ユニット17の外部に排気する。
【0178】
その後、開状態であるバルブ52eと、排気調整バルブ59と、バルブ52fと、排気調整ニードルバルブ61aとを閉状態に変更すると、変形例2に係る洗浄処理が完了する。
【実施例】
【0179】
以下、実施形態に係る基板処理システム1の洗浄処理を具体的に実施した。
【0180】
まず、CO
2の超臨界流体70を用いた乾燥処理をくり返し実施した基板処理システム1において、洗浄処理の直前に乾燥処理を施したウェハWに付着したパーティクルの数をパーティクルカウンタで計測したところ、大きさが30(nm)以上のパーティクルが19310(個)計測された。
【0181】
次に、かかる基板処理システム1において、実施形態に係る洗浄処理を実施した。かかる洗浄処理では、洗浄用液体気化処理において、乾燥処理ユニット17の本体31の温度を直前の乾燥処理において昇温した100℃程度に維持し、洗浄用液体気化処理を3分程度実施した。そして、
図10に示した洗浄処理における処理手順をくり返し実施して、合計で3時間程度、洗浄処理を行った。
【0182】
次に、上述した洗浄処理を行った直後に、CO
2の超臨界流体70を用いた乾燥処理をウェハWに実施し、かかるウェハWに付着したパーティクルの数をパーティクルカウンタで計測したところ、大きさが30(nm)以上のパーティクルは2533(個)計測された。
【0183】
上述のように、洗浄処理を行う直前と、洗浄処理を行った直後とでウェハWに付着するパーティクルの数を比較することにより、実施形態に係る基板処理システム1の洗浄処理は、ウェハWに付着するパーティクルの数を低減させることができることがわかる。
【0184】
実施形態に係る基板処理装置の洗浄方法は、液体により表面が濡れた状態の基板(ウェハW)を超臨界流体70と接触させて、基板(ウェハW)を乾燥させる乾燥処理(S1)が行われる基板処理装置(乾燥処理ユニット17)の洗浄方法であって、洗浄用気体充填工程(S3)と、排気工程(S4)とを含む。洗浄用気体充填工程(S3)は、イソプロピルアルコールを含有する洗浄用気体(IPA気体72)を基板処理装置(乾燥処理ユニット17)の内部に充填する。排気工程(S4)は、洗浄用気体充填工程(S3)の後に、基板処理装置(乾燥処理ユニット17)の内部から洗浄用気体(IPA気体72)を排気する。これにより、超臨界流体70を用いてウェハWを乾燥させる場合に、ウェハWに多数のパーティクルが付着することを抑制することができる。
【0185】
また、実施形態に係る基板処理装置の洗浄方法において、液体は、イソプロピルアルコールを含有する。これにより、ウェハWの乾燥処理を安定して実施することができる。
【0186】
また、実施形態に係る基板処理装置の洗浄方法において、洗浄用気体充填工程(S3)は、イソプロピルアルコールを含有する洗浄用液体(IPA液体71)が液盛りされた治具22(22A)を基板処理装置(乾燥処理ユニット17)の内部に搬入する洗浄用液体搬入工程(S102)と、洗浄用液体搬入工程(S102)の後に、基板処理装置(乾燥処理ユニット17)の内部で洗浄用液体(IPA液体71)を気化させる洗浄用液体気化工程(S103)とを含む。これにより、低コストで基板処理システム1の洗浄処理を実施することができる。
【0187】
また、実施形態に係る基板処理装置の洗浄方法において、治具22(22A)は、基板(ウェハW)と略同一の径および厚さを有する円板部22aと、円板部22aの主面から輪形状に突出する輪形部22bとを含む。これにより、乾燥処理ユニット17内にIPA気体72を充満させるのに十分な量のIPA液体71を、乾燥処理ユニット17内に搬入することができる。
【0188】
また、実施形態に係る基板処理装置の洗浄方法において、洗浄用気体充填工程(S3)は、所定の注入経路を介して洗浄用気体(IPA気体72)を基板処理装置(乾燥処理ユニット17)の内部に注入する洗浄用気体注入工程(S201)を含む。これにより、基板処理システム1を早期にウェハWの乾燥処理(S1)に復帰させることができる。
【0189】
また、実施形態に係る基板処理装置の洗浄方法において、洗浄用気体充填工程(S3)は、所定の注入経路を介してイソプロピルアルコールを含有する洗浄用液体(IPA液体71)を基板処理装置(乾燥処理ユニット17)の内部に注入する洗浄用液体注入工程(S301)と、洗浄用液体注入工程(S301)の後に、基板処理装置(乾燥処理ユニット17)の内部で洗浄用液体(IPA液体71)を気化させる洗浄用液体気化工程(S302)とを含む。これにより、基板処理システム1を早期にウェハWの乾燥処理(S1)に復帰させることができる。
【0190】
また、実施形態に係る基板処理装置の洗浄方法において、超臨界流体70は、二酸化炭素を含有する超臨界流体である。これにより、ウェハWにおけるパターン倒れの発生を抑えつつウェハW表面を乾燥させることができる。
【0191】
また、実施形態に係る基板処理装置の洗浄システムは、液体により表面が濡れた状態の基板(ウェハW)を超臨界流体70と接触させて、基板(ウェハW)を乾燥させる乾燥処理が行われる基板処理装置(乾燥処理ユニット17)の洗浄システムであって、洗浄用気体充填部と、排気部とを含む。洗浄用気体充填部は、イソプロピルアルコールを含有する洗浄用気体(IPA気体72)を基板処理装置(乾燥処理ユニット17)の内部に充填する。排気部は、基板処理装置(乾燥処理ユニット17)の内部から洗浄用気体(IPA気体72)を排気する。これにより、超臨界流体70を用いてウェハWを乾燥させる場合に、ウェハWに多数のパーティクルが付着することを抑制することができる。
【0192】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。