【文献】
小谷功 他,生薬の抗真菌性成分の研究(第1報) Rumex japonicus Houtt. ギシギシの根,生薬学雑誌,1977年,Vol.31,No.2,Pages.151-154
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記弱アルカリ処理は、炭酸水素ナトリウムと水とを混合して得られ、かつ、pH 8〜10である弱アルカリ性水溶液を用いた弱アルカリ処理である、請求項1に記載のネポジン含有ギシギシ抽出物の製造方法。
前記強アルカリ処理は、水酸化ナトリウムと水とを混合して得られ、かつ、pH 12〜14である強アルカリ性水溶液を用いた強アルカリ処理である、請求項1に記載のネポジン含有ギシギシ抽出物の製造方法。
前記中和処理は、酢酸及び塩酸からなる群から選ばれる酸成分と水とを混合して得られ、かつ、pH 1〜3である酸性水溶液を用いた中和処理である、請求項1に記載のネポジン含有ギシギシ抽出物の製造方法。
前記ネポジン含有ギシギシ抽出物は、20〜40wt%のネポジンを含有するネポジン含有ギシギシ抽出物である、請求項1に記載のネポジン含有ギシギシ抽出物の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ギシギシに含まれているネポジンは、特許文献1に記載されているような幾つもの薬理作用を有することから、医薬品や医薬部外品の有効成分としての需要が高まりつつある。そこで、ネポジンを含有する天然物の抽出物(以下、ネポジン含有抽出物という。)を効率的に製造する方法があれば、ネポジン含有抽出物を医薬品などの有効成分や添加物として利用することが一層期待される。
【0010】
しかし、非特許文献1及び2に記載の方法は、例えネポジン含有抽出物を得ることができる方法であったとしても、得られるネポジン含有抽出物はギシギシに由来する脂肪酸などの夾雑物を多量に含有するものであるという問題がある。また、ネポジンの高含有物とするためには、得られたネポジン含有抽出物を濃縮処理に供しなければならないところ、このような濃縮処理は抽出溶媒の量に応じて巨大な設備及び時間を要することから、工業的に実施することが困難であるという問題がある。
【0011】
そこで、本発明は、従来技術と比較して、工業的規模での実施が容易でありながら、ネポジンを高濃度で含有し、かつ、夾雑物の混入量が少ないネポジン含有抽出物を製造する方法を提供することを、発明が解決しようとする課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ギシギシを抽出処理に供することにより得たギシギシ粗抽出物を、加水処理及び/又は濃縮処理に供することにより、ネポジンを含有する固形物が得られることを見出した。また、この固形物を弱アルカリ処理し、さらに強アルカリ処理に供することで、ネポジン含有水溶液が得られ、さらにこのネポジン含有水溶液を中和処理に供することにより、最終的にネポジンを20〜40wt%という高濃度で含有しながら、脂肪酸といったギシギシ由来の夾雑物の混入が低減されたネポジン含有ギシギシ抽出物を製造することに成功した。本発明はこのような知見や成功例に基づいて完成された発明である。
【0013】
したがって、本発明の一態様によれば、以下の工程(1)〜(5)を含む、ネポジン含有ギシギシ抽出物の製造方法が提供される。
(1)ギシギシを、ネポジン可溶性溶媒を用いた抽出処理に供することにより、ギシギシ粗抽出物を得る工程
(2)前記ギシギシ粗抽出物を、加水処理及び/又は濃縮処理に供することにより、ギシギシ粗抽出物固形分を得る工程
(3)前記ギシギシ粗抽出物固形分を、弱アルカリ処理に供することにより、弱アルカリ不溶解物を得る工程
(4)前記弱アルカリ不溶解物を、強アルカリ処理に供することにより、強アルカリ溶解物を得る工程
(5)前記強アルカリ溶解物を、中和処理に供することにより、ネポジン含有ギシギシ抽出物を得る工程
【0014】
好ましくは、本発明の一態様の製造方法において、前記ネポジン可溶性溶媒が、20〜100%(v/v)エタノールである。
好ましくは、本発明の一態様の製造方法において、前記弱アルカリ処理は、pH 8〜10である弱アルカリ性水溶液を用いた弱アルカリ処理である。
好ましくは、本発明の一態様の製造方法において、前記弱アルカリ処理は、炭酸水素ナトリウムと水とを混合して得られ、かつ、pH 8〜10である弱アルカリ性水溶液を用いた弱アルカリ処理である。
好ましくは、本発明の一態様の製造方法において、前記強アルカリ処理は、pH 12〜14である強アルカリ性水溶液を用いた強アルカリ処理である。
好ましくは、本発明の一態様の製造方法において、前記強アルカリ処理は、水酸化ナトリウムと水とを混合して得られ、かつ、pH 12〜14である強アルカリ性水溶液を用いた強アルカリ処理である。
好ましくは、本発明の一態様の製造方法において、前記中和処理は、pH 1〜3である酸性水溶液を用いた中和処理である。
好ましくは、本発明の一態様の製造方法において、前記中和処理は、酢酸及び塩酸からなる群から選ばれる酸成分と水とを混合して得られ、かつ、pH 1〜3である酸性水溶液を用いた中和処理である。
好ましくは、本発明の一態様の製造方法において、前記ネポジン含有ギシギシ抽出物は、20〜40wt%のネポジンを含有するネポジン含有ギシギシ抽出物である。
【0015】
本発明の別の側面によれば、20〜40wt%のネポジンを含有し、かつ、60wt%以下の脂肪酸を含有する、ネポジン含有ギシギシ抽出物が提供される。
好ましくは、本発明の一態様のネポジン含有ギシギシ抽出物は、本発明の一態様の製造方法によって得られるネポジン含有ギシギシ抽出物である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様の製造方法によれば、原則として溶液添加と固液分離とによってなされ、簡便な工程からなる方法であることから、従来技術に比して、工業的規模での実施が容易である方法として、ネポジンを高濃度で含有し、かつ、ギシギシ由来の夾雑物の混入量が少ないネポジン含有ギシギシ抽出物を製造することが可能である。
【0017】
本発明の一態様のネポジン含有ギシギシ抽出物によれば、ネポジン含有ギシギシ抽出物それ自体又はネポジン含有ギシギシ抽出物から精製して得られる精製ネポジンを有効成分とした、多種多様な医薬品や医薬部外品を製造することができる。その際、本発明の一態様のネポジン含有ギシギシ抽出物又は精製ネポジンは、単独又は他の添加物と共に、医薬品用又は医薬部外品用の粉沫剤、顆粒剤、錠剤、液剤、ペースト剤、カプセル剤、ゲル剤などの種々の形態で提供され得る。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明の一態様の製造方法は、ギシギシ粗抽出物の固形分を弱アルカリ処理、強アルカリ処理及び中和処理に供することにより、ネポジンを高含有するギシギシ抽出物を製造する方法に関する。本発明の第1の態様は、少なくとも以下の工程(1)〜(5)を含む。
(1)ギシギシを、ネポジン可溶性溶媒を用いた抽出処理に供することにより、ギシギシ粗抽出物を得る工程
(2)前記ギシギシ粗抽出物を、加水処理及び/又は濃縮処理に供することにより、ギシギシ粗抽出物固形分を得る工程
(3)前記ギシギシ粗抽出物固形分を、弱アルカリ処理に供することにより、弱アルカリ不溶解物を得る工程
(4)前記弱アルカリ不溶解物を、強アルカリ処理に供することにより、強アルカリ溶解物を得る工程
(5)前記強アルカリ溶解物を、中和処理に供することにより、ネポジン含有ギシギシ抽出物を得る工程
【0020】
ギシギシは、通常知られているとおりのタデ科植物の一種であるギシギシであり、例えば、日本全土に分布する多年草であり、路傍や水田の畔などによく見られる雑草として知られている。ギシギシは、初夏に約1mの茎を伸ばして、ソバに似た花を鈴なりにつける植物としても知られている。ギシギシは、ネポジンを含有するものであれば特に限定されず、例えば、ギシギシ(
Rumex japonicus)、ナガバギシギシ(
R.crispus)、エゾノギシギシ(
R.obtusifolius)、カラフトノダイオウ(
R.gmelini)、キブネダイオウ(
R.nepalensis)、
R.hastatus、
R.alpinus、スイバ(
R.acetosa)、
R.cripus、
R.stenophyllus、
R.patientia、
R.chalepensis、
R.orientalisなどが挙げられる。
【0021】
ギシギシは、ネポジンを含有する植物であれば、ギシギシの近縁の植物を包含する。ギシギシの近縁の植物としては、例えば、タデ科植物と近縁の植物であるキキョウラン(
Dianella ensifolia)、
D.revoluta、
D.callicarpa、
D.nigra;ホソバキスゲ(
Hemerocallis minor);リュウゼツラン科植物である
Simethis bicolor Kunth;イソマツ科イソマツ属植物である
Limonium myrianthum;クロウメモドキ科植物である
Rhamnus prinoides、
R.wightii、
R.procumbens;ヤブコウジ科ツルマンリョウ属植物である
Myrsine africana;その他植物である
Maesopsis eminiiなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
ギシギシは、上記したタデ科植物又はタデ科植物と近縁の植物の1種又は2種以上であればよく、上記具体例として挙げた植物の交配種であってもよい。
【0023】
ギシギシの部位は、ネポジンを含有する部位であれば特に限定されないが、ネポジンの単位質量あたりの含有量が多いことから根であることが好ましい。ギシギシは、根に加えて、茎、葉、花などの他の部位が混入したものであってもよい。
【0024】
ギシギシの具体的な例は、ギシギシ、カラフトノダイオウ、ナガバギシギシ、キブネダイオウ、エゾノギシギシ、
R.hastatus、
D.ensifolia、
D.callicarpa(
Liliaceae)、
D.nigra、ホソバキスゲ及び
Myrsine africanaの根;
R.prinoidesの葉;
R.wightiiの樹皮などである。このうち、ギシギシの根は、羊蹄の名で、生薬として使用されてきた実績があることから好ましい。ギシギシの根には、ネポジンに加えて、クリソファノール、エモジン、クリソファノーアンスロン、シュウ酸などが含まれ、抗菌作用や凝血作用などがあることが知られている。
【0025】
ギシギシは、収穫後直ちに本発明の一態様の製造方法に供することが好ましい。ギシギシを供するまでに時間を要する場合、ギシギシの変質を防ぐために低温貯蔵などの当業者が通常用いる貯蔵手段により貯蔵することが好ましい。
【0026】
ギシギシは、収穫した後に乾燥処理、粉砕処理、細片化処理又はこれらを組み合わせた処理といった前処理に供したものであってもよい。
【0027】
例えば、乾燥処理及び粉砕処理を組み合わせることにより、ギシギシを乾燥粉末化することができる。この際、乾燥処理及び粉砕処理は同時に行ってもよく、又はいずれを先に行ってもよいが、作業の簡便性から乾燥処理を先に行った後に粉砕処理を行うことが好ましい。
【0028】
乾燥処理は特に限定されないが、例えば、ギシギシの水分含量が10質量%(wt%)以下、好ましくは5wt%以下となるように乾燥する処理が挙げられる。乾燥処理は、例えば、天日で乾燥する方法、乾燥機を用いて熱風乾燥、温風乾燥、高圧蒸気乾燥、噴霧乾燥、減圧乾燥、流動乾燥、電磁波乾燥、凍結乾燥などの当業者に公知の任意の方法により行われ得る。加熱による乾燥は、例えば、30℃〜140℃、好ましくは40〜100℃にて加温によりギシギシやネポジンが変質しない温度及び時間で行われ得る。
【0029】
粉砕処理は特に限定されないが、例えば、クラッシャー、ミル、ブレンダー、石臼などの粉砕用の機器や器具などを用いて、当業者が通常使用する任意の方法により植物体を粉砕する処理が挙げられる。細片化処理は特に限定されないが、例えば、スライス、破砕、細断などの当業者が植物体を細片化する際に通常使用する方法を用いることができる。
【0030】
本発明の一態様の製造方法では、工程(1)として、収穫直後又は収穫後に貯蔵若しくは前処理したギシギシを、ネポジン可溶性溶媒を用いた抽出処理に供することにより、ギシギシ粗抽出物を得る。
【0031】
ネポジン可溶性である溶媒は、ネポジンを溶解することができる溶媒であれば特に限定されず、例えば、ネポジンに易溶性の溶媒、具体的にはエタノールや酢酸エチルなどの有機溶媒やこれらの有機溶媒と水との混合溶媒などが挙げられる。ネポジン可溶性である溶媒として、エタノールと水との混合溶媒を用いる場合、例えば、20〜100%(v/v)エタノールとすることが好ましい。エタノール濃度が20%(v/v)未満では抽出効率が悪い可能性がある。抽出効率に加えて、安全性及び工業化の観点からすれば、ネポジン可溶性である溶媒は、20〜80%(v/v)エタノールがより好ましく、20〜60%(v/v)エタノールがさらに好ましい。
【0032】
抽出処理の条件は、ギシギシ中のネポジンが溶媒に溶解するのに適した条件であれば特に限定されず、ギシギシの状態や使用量、ネポジン可溶性溶媒の種類や使用量に応じて適宜設定できる。抽出処理の条件は、例えば、ギシギシとネポジン可溶性溶媒とから得られる処理溶液を適宜サンプリングすることにより、該処理溶液中のネポジンの濃度を確認することにより決定することができる。
【0033】
抽出処理の具体的条件としては、ギシギシに対して2〜20質量倍の20〜100%(v/v)エタノールを用いて、10〜80℃、好ましくは室温〜60℃で、数時間〜数日間の条件で実施できるが、これに限定されない。ネポジン抽出液中のネポジンの回収率は特に限定されないが、原料であるギシギシに含まれるネポジンの想定含有量を基準に、50%以上であることが好ましい。
【0034】
工程(1)によって得られるギシギシ粗抽出物は、ギシギシに由来する一定量の固形分を含む。そこで、後段の工程(2)の処理効率の観点から、工程(1)によって得たギシギシ粗抽出物を、遠心分離やろ過などの通常知られている固液分離手段に供して、ギシギシの残渣を取り除いた液体成分として取得することが好ましい。
【0035】
本発明の一態様の製造方法では、工程(2)として、工程(1)によって得られたギシギシ粗抽出物を、加水処理、濃縮処理又は加水処理及び濃縮処理に供することにより、ギシギシ粗抽出物固形分を得る。
【0036】
加水処理は、ギシギシ粗抽出物に水を加えることによりギシギシ粗抽出物における固形分が析出するような条件であれば特に限定されず、例えば、ギシギシ粗抽出物に対して0.1〜5倍、好ましくは0.2〜0.8倍の水とギシギシ粗抽出物とを接触させて、10〜30℃、好ましくは室温で、数分間〜数時間〜数日間、静置又は撹拌することにより実施できる。
【0037】
濃縮処理は、ギシギシ粗抽出物を通常知られる濃縮手段によってギシギシ粗抽出物における固形分が析出するような条件であれば特に限定されず、例えば、ギシギシ粗抽出物を減圧下又は低温下において、数分間〜数時間〜数日間静置することにより、ギシギシ粗抽出物における液体成分を揮散させることにより実施できる。濃縮の程度は特に限定されないが、例えば、1/2〜1/10程度にまで減容化すればよく、乾固状態になるまで液体成分を揮散させてもよい。
【0038】
加水処理及び濃縮処理はいずれか一方又は両方実施することができる。加水処理及び濃縮処理の順番や回数は特に限定されないが、例えば、加水処理の後に濃縮処理を実施することができる。加水処理及び/又は濃縮処理によって得られたギシギシ粗抽出物固形分は、そのままで、又は遠心分離やろ過などの通常知られている固液分離手段に供して得られる固形分として、後段の工程に使用される。ギシギシ粗抽出物固形分は、上述した乾燥処理や粉砕処理などに供してもよい。
【0039】
ギシギシ粗抽出物固形分におけるネポジン濃度(含有量)は特に限定されないが、例えば、ギシギシ粗抽出物固形分の湿質量あたり10wt%以上、好ましくは15wt%以上である。
【0040】
本発明の一態様の製造方法では、工程(3)として、工程(2)によって得られたギシギシ粗抽出物固形分を、弱アルカリ処理に供することにより、不溶性のネポジン含有成分として弱アルカリ不溶解物を得る。
【0041】
ギシギシ粗抽出物固形分を弱アルカリ処理することにより、ギシギシ粗抽出物固形分中の脂肪酸などの夾雑物成分を除去し、ネポジンを高濃度で含有する弱アルカリ不溶解物を得ることができる。
【0042】
弱アルカリは、ギシギシ粗抽出物固形分中の夾雑物を分解し、かつ、ネポジンを溶解しないものであれば特に限定されず、例えば、炭酸水素ナトリウム、アンモニア水、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウムなどの弱アルカリ成分を水などのネポジン不溶性溶媒に溶解して、pHを7.5〜11、好ましくは8〜10に設定した溶液であることが好ましく、pHを8〜10の間に設定した炭酸水素ナトリウム水溶液であることがより好ましい。弱アルカリ成分の使用濃度は、所定のpHになるような濃度であれば、特に限定されない。例えば、炭酸水素ナトリウム水溶液であれば、好ましくは0.01%〜10%(w/v)炭酸水素ナトリウム水溶液であり、より好ましくは0.05%〜0.5%(w/v)炭酸水素ナトリウム水溶液である。
【0043】
弱アルカリ処理は、ギシギシ粗抽出物固形分中の夾雑物を分解して、ネポジンを不溶性成分として析出し得る条件で実施すれば特に限定されず、例えば、ギシギシ粗抽出物固形分と弱アルカリ溶液とを接触させて、懸濁液が得られる程度にまで、10〜30℃、好ましくは室温で、数分間〜数時間〜数日間置くことにより実施できる。より短時間に懸濁液を得るために、ギシギシ粗抽出物固形分と弱アルカリとの混合物を撹拌や超音波などの通常知られている懸濁手段に供してもよい。
【0044】
弱アルカリ処理によって得られる弱アルカリ不溶解物は、液体成分を取り除いた状態、例えば、遠心分離やろ過などの通常知られている固液分離手段に供して得られる固形分として、後段の工程に使用される。弱アルカリ不溶解物は、上述した乾燥処理や粉砕処理などに供してもよい。
【0045】
本発明の一態様の製造方法では、工程(4)として、工程(3)によって得られた弱アルカリ不溶解物を、強アルカリ処理に供することにより、可溶性のネポジン含有成分として強アルカリ溶解物を得る。
【0046】
弱アルカリ不溶解物を強アルカリ処理することにより、弱アルカリ不溶解物中のネポジンを溶解して、ネポジンを高濃度で含有する強アルカリ溶解物を得ることができる。なお、弱アルカリ不溶物中には脂肪酸やアントラキノン類が含まれる傾向にある。
【0047】
強アルカリは、弱アルカリ不溶解物中のネポジンを溶解し得るものであれば特に限定されず、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどの強アルカリ成分を水などの溶媒に溶解して、pHを11.5〜14、好ましくは12〜14に設定した溶液であることが好ましく、pHを12〜14の間に設定した水酸化ナトリウム水溶液であることがより好ましい。強アルカリ成分の使用濃度は、所定のpHになるような濃度であれば、特に限定されない。例えば、水酸化ナトリウム水溶液であれば、好ましくは0.01%〜10%(w/v)水酸化ナトリウム水溶液であり、より好ましくは0.05%〜0.5%(w/v)水酸化ナトリウム水溶液である。
【0048】
強アルカリ処理は、弱アルカリ不溶解物中のネポジンを溶解して、ネポジン含有成分として強アルカリ溶解物を得る条件で実施すれば特に限定されず、例えば、弱アルカリ不溶解物と強アルカリ溶液とを接触させて、10〜30℃、好ましくは室温で、数分間〜数時間置くことにより実施できる。より短時間に強アルカリ溶解物を得るために、弱アルカリ不溶解物と強アルカリとの混合物を撹拌や超音波などの通常知られている溶解手段に供してもよい。
【0049】
強アルカリ処理によって得られる強アルカリ溶解物は、固形分を取り除いた状態、例えば、遠心分離やろ過などの通常知られている固液分離手段に供して得られる液体成分として、後段の工程に使用される。
【0050】
本発明の一態様の製造方法では、工程(5)として、工程(4)によって得られた強アルカリ溶解物を、中和処理に供することにより、強アルカリ溶解物を中和して、中性溶液に不溶性の固形分として、ネポジン含有ギシギシ抽出物を得る。
【0051】
中和処理は、例えば、強アルカリ溶解物を中性付近、好ましくはpH 6〜8付近にし得る酸を用いて実施し得る。酸は、通常中和処理に用いられる酸であれば特に限定されず、例えば、酢酸、塩酸、ギ酸、硫酸、リン酸などの無機酸及び有機酸などが挙げられるが、好ましくはpHが1〜3の酢酸及び塩酸である。酸は、水などのネポジン不溶性溶媒との混合物であってもよい。
【0052】
中和処理は、強アルカリ溶解物を中和して、ネポジンを不溶性成分として析出し得る条件で実施すれば特に限定されず、例えば、強アルカリ溶解物と酸とを接触させて、懸濁液が得られる程度にまで、10〜30℃、好ましくは室温で、数分間〜数時間〜数日間置くことにより実施できる。より短時間に懸濁液を得るために、強アルカリ溶解物と酸との混合物を撹拌や超音波などの通常知られている懸濁手段に供してもよい。
【0053】
中和処理によって得られるネポジン含有ギシギシ抽出物は、液体成分を取り除いた状態、例えば、遠心分離やろ過などの通常知られている固液分離手段に供して得られる固形分として得ることが好ましい。
【0054】
ネポジン含有ギシギシ抽出物は、例えば、経口用組成物又は外用組成物の原料として使用する場合には、水などで洗浄することが好ましい。ネポジン含有ギシギシ抽出物は、精製工程に供してもよい。例えば、採取及び水洗浄したネポジン含有ギシギシ抽出物とネポジン可溶性の溶媒とを混合したものを固液分離することによって、液体成分として不純物が低減されたネポジン含有ギシギシ抽出物を得ることができる。
【0055】
本発明の一態様の製造方法によって得られるネポジン含有ギシギシ抽出物は、従来技術と比較してネポジンを高濃度で含有するギシギシ由来組成物である。ネポジン含有ギシギシ抽出物におけるネポジン濃度(含有量)は特に限定されないが、例えば、ネポジン含有ギシギシ抽出物の乾燥質量あたり20wt%以上、好ましくは30wt%以上、より好ましくは40wt%以上である。また、ネポジン含有ギシギシ抽出物におけるネポジンの回収率は、例えば、ギシギシ粗抽出物固形分中のネポジン量に対して40%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上である。
【0056】
ネポジン含有抽出物における脂肪酸又はその複合体の量は、例えば、60wt%以下が好ましく、40wt%以下がより好ましく、約30wt%であることがさらに好ましい。また、ネポジン含有抽出物には副生成物が含まれていてもよく、ネポジン類縁体であるnakahaleneを1〜15wt%程度、好ましくは10wt%以下で含んでもよく、アントラキノン類であるemodin、chrysophanol、physcionなどを1〜10wt%程度、好ましくは8wt%以下で含んでもよい。
【0057】
本発明の一態様の製造方法は、本発明の課題を解決し得る限り、上記した工程の前段若しくは後段又は工程中に、種々の工程や操作を加入することができる。
【0058】
以下に、本発明の一態様の製造方法の具体的態様として、
図1を参照して、ギシギシの根を原料として、ネポジンを高濃度で含有するギシギシ抽出物を製造する方法を説明するが、本発明の一態様の製造方法は以下のものに限定されない。
【0059】
花茎が枯れる頃(7〜9月)に掘り上げたギシギシの根から細根を取り除いて日干しにし、充分に乾燥させる。乾燥したギシギシの根10を粉砕して、所定量を秤量したものに、ギシギシの根に対して2〜10質量倍のエタノールを加えて、室温で5〜15時間静置して、抽出処理30を実施し、固液分離手段によりギシギシ残渣20を取り除くことによって、ギシギシ粗抽出物11を得る。
【0060】
次いで、得られたギシギシ粗抽出物11に、ギシギシ粗抽出物11に対して0.2〜0.5倍の水を加え、次いで減圧濃縮に供することにより、加水処理及び濃縮処理31を実施し、固液分離手段によりギシギシ粗抽出物液体成分21を取り除くことにより、ギシギシ粗抽出物固形分12を得る。この際、加水処理及び濃縮処理31に代えて、加水処理のみ又は濃縮処理のみを実施してもよい。
【0061】
次いで、得られたギシギシ粗抽出物固形分12について、0.05〜1%(w/v)弱アルカリ水溶液(pH 8〜10)を用いて弱アルカリ処理32を実施し、固液分離手段により弱アルカリ溶解物22を取り除くことにより、弱アルカリ不溶解物13を得る。
【0062】
次いで、得られた弱アルカリ不溶解物13について、0.05〜1%(w/v)強アルカリ水溶液(pH 12〜14)を用いて強アルカリ処理33を実施し、固液分離手段により強アルカリ不溶解物23を取り除くことにより、強アルカリ溶解物14を得る。
【0063】
次いで、得られた強アルカリ溶解物14について、酸(pH 1〜3)を用いて、溶液のpHが7〜8になるように中和処理34を実施し、固液分離手段により中和溶液溶解物24を取り除くことにより、ネポジン含有ギシギシ抽出物15を得る。
【0064】
本発明の一態様の製造方法で製造されるネポジン含有ギシギシ抽出物は、別の態様として、本発明に包含され得る。本発明の一態様のネポジン含有ギシギシ抽出物は、本発明の一態様の製造方法で製造され、かつ、従来技術に比してネポジンを高濃度で含有するギシギシ由来組成物であれば特に限定されないが、例えば、経口用組成物又は外用組成物の原料として適用することによる製品製造の際のコストの点から、ネポジン含有ギシギシ抽出物の乾燥質量あたりのネポジンの含有量は、好ましくは20wt%以上であり、より好ましくは30wt%以上であり、さらに好ましくは40wt%以上である。
【0065】
本発明の一態様のネポジン含有ギシギシ抽出物の用途は特に限定されず、例えば、ネポジンが有する耐糖能改善作用、血中脂質濃度改善作用、メタボリックシンドローム改善作用といった、AMPKを活性化することにより諸症状を改善する薬理作用を期待して、飲食品や医薬品といった経口用組成物、化粧品といった外用組成物などの各組成物の原料又は該組成物そのものとして利用され得る。本発明の一態様のネポジン含有ギシギシ抽出物におけるネポジンの含有量は、後述する実施例に記載の方法によって測定され得る。
【0066】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の課題を解決し得る限り、本発明は種々の態様をとることができる。
【実施例】
【0067】
[例1.ネポジンの測定方法]
ネポジンの含有量(mg)は、カラムとしてCOSMOSIL 5C18−AR−2カラム及び移動相としてMeOH:H
2O=70:30 0.1%TFAを用いて、流速1ml/min、測定波長225.0nmに設定して、約11〜12分のリテンション・タイムを有するピークとして検量線法により測定した。
【0068】
[例2.ネポジン高含有ギシギシ生根抽出物の製造方法(1)]
エタノール 2.5Lの中にギシギシ(
R.japonicus)の生根 500gを加え、室温で、9時間静置して、ギシギシ根粗抽出物を得た。得られたギシギシ根粗抽出物をろ紙を用いて吸引ろ過して、ギシギシ根粗抽出液を得た。ギシギシ根粗抽出液の一部を減圧濃縮して得られたギシギシ根抽出液濃縮物におけるネポジン濃度は2.8wt%であった。
【0069】
ギシギシ根粗抽出液 2.5Lに水 1.0Lを加え、次いで減圧濃縮によりエタノールを除いたところ、ギシギシ根粗抽出液に含まれていた水不溶物が析出した。析出した水不溶物を遠心分離(40×100rpm、10分間)により分離及び回収したところ、水不溶物 3.0g(湿質量)を得た。また、この湿潤状態の水不溶物におけるネポジン濃度は18.8wt%であった。
【0070】
湿潤状態の水不溶物 101.1mgを、0.1%(w/v)炭酸水素ナトリウム水溶液 15mlに加えて、超音波を用いて懸濁させた。得られた懸濁物を、遠心分離(40×100rpm、10分間)により分離して、弱アルカリ溶解物を含む上清液(1)と、弱アルカリ不溶物を含む沈殿物(1)とを得た。得られた沈殿物(1)に、0.1%(w/v)水酸化ナトリウム水溶液 15mlを加えて1時間撹拌処理し、次いで遠心分離(40×100rpm、10分間)により分離して、強アルカリ溶解物を含む上清液(2)と、強アルカリ不溶物を含む沈殿物(2)とを得た。得られた上清液(2)に酢酸 1mlを加えて軽く振り混ぜることにより固形分を析出させ、次いで遠心分離(40×100rpm、20分間)により分離して、酸溶解物を含む上清液(3)と、酸不溶物を含む沈殿物(3)とを得た。得られた沈殿物(3) 25.8mgにおけるネポジンの含有量は13.1mgであり、沈殿物(3)におけるネポジンの乾燥質量濃度は50.8wt%であった。
【0071】
したがって、最終生成物として、50.8wt%のネポジンを含有する、ネポジン高含有ギシギシ根抽出物を得ることができた。また、上記湿潤状態の水不溶物 101.1mg(ネポジン濃度は18.8wt%)中のネポジン含有量は19mgであったことから、最終的に得られたネポジン高含有ギシギシ根抽出物について、中間生成物である上記湿潤状態の水不溶物に対して、68.9%のネポジンを回収することができた。
【0072】
[例3.ネポジン高含有ギシギシ生根抽出物の製造方法(2)]
エタノール 1Lの中にギシギシ(
R.japonicus)の生根 500gを加え、室温で、8時間静置して、ギシギシ根粗抽出物を得た。得られたギシギシ根粗抽出物をダイヤフラムポンプ及びろ過瓶を用いて吸引ろ過して、ギシギシ根粗抽出液を得た。
【0073】
ギシギシ根粗抽出液が200mL程度になるまで減圧濃縮したところ、固形分が析出した。析出した固形分を遠心分離(4,500rpm、30分間)により分離及び回収した。
【0074】
得られた固形分を、0.1%(w/v)炭酸水素ナトリウム水溶液 150mlに加えて撹拌処理をすることにより、懸濁物を得た。得られた懸濁物を遠心分離(4,000rpm、10分間)して分離することにより、上清液(1)と沈殿物(1)とを得た。得られた沈殿物(1)を0.1%(w/v)水酸化ナトリウム水溶液 150mlに加えて撹拌処理し、次いで遠心分離(4,000rpm、30分間)により分離して、上清液(2)と沈殿物(2)とを得た。得られた上清液(2)に酢酸 適量を加えて中和することにより固形分を析出させ、次いで遠心分離(4,000rpm、10分間)により分離して、上清液(3)と沈殿物(3)とを得た。得られた沈殿物(3)を乾燥させたところ、沈殿物(3)の乾燥物の量は556mgであった。また、沈殿物(3)の乾燥物のネポジンの濃度は41.4wt%であった。
【0075】
したがって、最終生成物として、41.4wt%のネポジンを含有する、ネポジン高含有ギシギシ根抽出物を得ることができた。
【0076】
[例4.ネポジン高含有ギシギシ生根抽出物の製造方法(3)]
エタノール 1Lの中にエゾノギシギシ(
R.obtusifolius)の生根 500gを加え、室温で、8時間静置して、ギシギシ根粗抽出物を得た。得られたギシギシ根粗抽出物をダイヤフラムポンプ及びろ過瓶を用いて吸引ろ過して、ギシギシ根粗抽出液を得た。
【0077】
ギシギシ根粗抽出液に水 500mlを加え、300mL程度になるまで減圧濃縮したところ、固形分が析出した。析出した固形分を遠心分離(7,500rpm、10分間)により分離及び回収した。
【0078】
得られた固形分を、0.1%(w/v)炭酸水素ナトリウム水溶液 100mlに加えて撹拌処理をすることにより、懸濁物を得た。得られた懸濁物を遠心分離(7,500rpm、10分間)して分離することにより、上清液(1)と沈殿物(1)とを得た。得られた沈殿物(1)を0.1%(w/v)水酸化ナトリウム水溶液 200mlに加えて撹拌処理し、次いで遠心分離(7,500rpm、10分間)により分離して、上清液(2)と沈殿物(2)とを得た。得られた上清液(2)に酢酸 適量を加えて中和することにより固形分を析出させ、次いで遠心分離(7,500rpm、10分間)により分離して、上清液(3)と沈殿物(3)とを得た。得られた沈殿物(3)を乾燥させたところ、沈殿物(3)の乾燥物の量は241.3mgであった。また、沈殿物(3)の乾燥物のネポジンの濃度は40.5wt%であった。結果を表1に示す。
【0079】
【表1】
※エゾノギシギシ根粗抽出液の重量は溶液の一部を濃縮して算出。
【0080】
したがって、最終生成物として、40.5wt%のネポジンを含有する、ネポジン高含有ギシギシ根抽出物を得ることができた。
【0081】
[例5.ネポジン高含有ギシギシ乾燥根抽出物の製造方法(1)]
エゾノギシギシ(
R.obtusifolius)の根を熱風により40℃で8時間乾燥してエゾノギシギシ乾燥根を得た。次いで、エタノール 1Lの中にエゾノギシギシの乾燥根 170gを加え、室温で、8時間静置して、ギシギシ根粗抽出物を得た。得られたギシギシ根粗抽出物をダイヤフラムポンプ及びろ過瓶を用いて吸引ろ過して、ギシギシ根粗抽出液を得た。
【0082】
ギシギシ根粗抽出液に水 500mLを加え、300mL程度になるまで減圧濃縮したところ、固形分が析出した。析出した固形分を遠心分離(7,500rpm、10分間)により分離及び回収した。
【0083】
得られた固形分を、0.1%(w/v)炭酸水素ナトリウム水溶液 100mlに加えて撹拌処理をすることにより、懸濁物を得た。得られた懸濁物を遠心分離(7,500rpm、10分間)して分離することにより、上清液(1)と沈殿物(1)とを得た。得られた沈殿物(1)を0.1%(w/v)水酸化ナトリウム水溶液 200mlに加えて撹拌処理し、次いで遠心分離(7,500rpm、10分間)により分離して、上清液(2)と沈殿物(2)とを得た。得られた上清液(2)に酢酸 適量を加えて中和することにより固形分を析出させ、次いで遠心分離(7,500rpm、10分間)により分離して、上清液(3)と沈殿物(3)とを得た。得られた沈殿物(3)を乾燥させたところ、沈殿物(3)の乾燥物の量は128.4mgであった。また、沈殿物(3)の乾燥物のネポジンの濃度は22.7wt%であった。結果を表2に示す。
【0084】
【表2】
※エゾノギシギシ根粗抽出液の重量は溶液の一部を濃縮して算出。
【0085】
したがって、最終生成物として、22.7wt%のネポジンを含有する、ネポジン高含有ギシギシ根抽出物を得ることができた。
【0086】
[例6.ギシギシ乾燥物の抽出評価]
ギシギシ(
R.japonicus)の低温真空乾燥物 50gを100%エタノール、80%エタノール又は60%エタノール 500mlのいずれかにより、室温で抽出した。下記表3に抽出物重量、含有率及び含有量を示す。
【0087】
【表3】
【0088】
表3が示すとおり、エタノール濃度が高いほど、ギシギシ乾燥根抽出物におけるネポジン含有率が高かった。
【0089】
ギシギシ根(湿潤) 50gを100%エタノールにより、室温、40℃、60℃又は80℃で抽出した。下記表4に抽出物重量、含有率及び含有量を示す。
【0090】
【表4】
【0091】
表4が示すとおり、室温〜60℃において、ギシギシ生根抽出物におけるネポジン含有率が高かった。
【0092】
[例7.ネポジン高含有ギシギシ乾燥根抽出物の製造方法(2)]
エゾノギシギシ(
R.obtusifolius)の根 500gを、ガーデンシュレッダ(「GS−2010」、RYOBI社)で切断し、次いで40℃で24時間温風乾燥を行ない、100gの乾燥ギシギシ根を得た。次いで、エタノール 1Lの中に乾燥ギシギシ根を加え、室温で、8時間静置して、ギシギシ根粗抽出物を得た。得られたギシギシ根粗抽出物をダイヤフラムポンプ及びろ過瓶を用いて吸引ろ過して、ギシギシ根粗抽出液を得た。
【0093】
ギシギシ根粗抽出液に水 500mLを加え、300mL程度になるまで減圧濃縮したところ、固形分が析出した。析出した固形分を遠心分離(7,500rpm、10分間)により分離及び回収した。
【0094】
得られた固形分を、0.1%(w/v)炭酸水素ナトリウム水溶液 100mlに加えて撹拌処理をすることにより、懸濁物を得た。得られた懸濁物を遠心分離(7,500rpm、10分間)して分離することにより、上清液(1)と沈殿物(1)とを得た。得られた沈殿物(1)を0.1%(w/v)水酸化ナトリウム水溶液 200mlに加えて撹拌処理し、次いで遠心分離(7,500rpm、10分間)により分離して、上清液(2)と沈殿物(2)とを得た。得られた上清液(2)に酢酸 適量を加えて中和することにより固形分を析出させ、次いで遠心分離(7,500rpm、10分間)により分離して、上清液(3)と沈殿物(3)とを得た。得られた沈殿物(3)を乾燥させたところ、沈殿物(3)の乾燥物の量は52mgであった。また、沈殿物(3)の乾燥物のネポジンの濃度は39.6wt%であった。結果を表5に示す。
【0095】
【表5】
※エゾノギシギシ根粗抽出液の重量は溶液の一部を濃縮して算出。
【0096】
したがって、最終生成物として、39.6wt%のネポジンを含有する、ネポジン高含有ギシギシ根抽出物を得ることができた。
【0097】
ネポジン高含有ギシギシ根抽出物における副成分を同定したところ、脂肪酸複合体は約30%含まれており、その中には下記式(2)に示すネポジンの類縁体(8%;nakahalene)及びアントラキノン類(5%;emodin、chrysophanol、physcion)が含まれていた。
【0098】
【化2】
(2)
【0099】
以上のようにして、エタノールを用いて抽出したギシギシ根エタノール粗抽出物の固形分をさらに水、弱アルカリ、強アルカリ及び酸で処理することにより、ネポジンを高濃度に含有するネポジン高含有ギシギシ根抽出物を得た。得られたネポジン高含有ギシギシ根抽出物は、従前のギシギシ根エタノール粗抽出物よりも数倍高い濃度でネポジンを含有することから、天然物由来のネポジン含有物として有用であり、かつ、ネポジンを経済的有利に製造する際に有用である。