(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0011】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係るウエーハ加工システムを図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態1に係るウエーハ加工システムの構成例を示す斜視図である。
図2は、実施形態1に係るウエーハ加工システムの概略の構成を平面図である。
図3は、
図1に示されたウエーハ加工システムの加工対象のウエーハの一例を示す斜視図である。
【0012】
なお、以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。水平面内のX軸と平行な方向をX軸方向、水平面内においてX軸と直交するY軸と平行な方向をY軸方向、X軸及びY軸のそれぞれと直交するZ軸と平行な方向をZ軸方向とする。X軸及びY軸を含むXY平面は、水平面と平行である。XY平面と直交するZ軸方向は、鉛直方向である。
【0013】
[ウエーハ加工システム]
図1及び
図2に示す実施形態1に係るウエーハ加工システム1は、
図3に示すウエーハ201に加工を施す。ウエーハ201は、実施形態1ではシリコン、サファイア、ガリウムヒ素、LT(LiTaO
3:タンタル酸リチウム)、又はLN(LiNbO
3:ニオブ酸リチウム)などを基板202とする円板状の半導体ウエーハや光デバイスウエーハである。ウエーハ201は、
図3に示すように、交差する複数の分割予定ライン203によって区画された複数の領域にデバイス204が形成された表面205を備える。ウエーハ201は、表面205の裏側の裏面206が研削されて薄化された後、分割予定ライン203に沿って分割されることにより、IC(Integrated Circuit)又はLSI(Large Scale Integration)のようなデバイスチップに分割される。
【0014】
ウエーハ加工システム1は、
図1及び
図2に示すように、研削装置10と、レーザー加工装置20(
図2に示す)と、テープ貼着装置30と、第1のカセット載置部40と、第2のカセット載置部50と、搬送ユニット60と、制御手段である制御ユニット100とを含む。研削装置10と、テープ貼着装置30と、搬送ユニット60は、それぞれ、装置本体を収容するチャンバ2,3,4を備えている。
【0015】
(研削装置)
図4は、
図1に示されたウエーハ加工システムの研削装置により研削される状態のウエーハの斜視図である。
図5は、
図1に示されたウエーハ加工システムの研削装置の研削ユニットの要部を示す側面図である。
図6は、
図1に示されたウエーハ加工システムの研削装置の洗浄ユニットの要部を示す側面図である。
図7は、
図6に示された洗浄ユニットの変形例の要部を示す側面図である。
【0016】
研削装置10は、
図2に示すように、ウエーハ201の裏面206を研削し、ウエーハ201を薄化する研削ユニット11を備える。また、研削装置10は、ウエーハ201を着脱可能に保持するチャックテーブル12と、チャックテーブル12を移動するターンテーブル13と、ウエーハ201を位置合わせする位置合わせユニット14と、ウエーハ201を洗浄する洗浄ユニット15と、ウエーハ201を一時的に保持する仮置き部16と、ウエーハ201を搬送する搬送部17とを有する。
【0017】
研削ユニット11は、チャックテーブル12に保持されているウエーハ201を研削する。研削ユニット11は、
図4に示す表面205に保護テープ207が貼着されたウエーハ201の裏面206を研削してウエーハを薄化する。本実施形態において、研削ユニット11は、2つ設けられる。
【0018】
研削ユニット11は、
図5に示すように、スピンドルハウジング111と、スピンドルハウジング111に回転可能に支持されるスピンドル112と、スピンドル112の下端部に設けられZ軸と平行な回転軸を中心に回転可能な研削ホイール113と、研削ホイール113を回転させるための動力を発生するアクチュエータ114(
図2に示す)とを有する。研削ホイール113の下面に研削砥石115が配置される。研削砥石115は、チャックテーブル12に保持されているウエーハ201の裏面206と対向可能である。スピンドルハウジング111は、
図2に示す支持機構116に支持される。支持機構116は、スピンドルハウジング111をZ軸方向に移動可能に支持する。なお、実施形態において、2つの研削ユニット11のうちの一方は、研削ホイール113の研削砥石115が粗研削用の砥石である粗研削用の研削ユニットであり、他方は、研削ホイール113の研削砥石115が仕上げ研削用の砥石である仕上げ研削用の研削ユニットである。
【0019】
チャックテーブル12は、真空チャック機構を含み、ウエーハ201を着脱可能に保持する。ウエーハ201を保持するチャックテーブル12の保持面121は、XY平面と実質的に平行である。チャックテーブル12は、アクチュエータの作動により、Z軸と平行なテーブル回転軸を中心に回転可能である。
【0020】
チャックテーブル12は、表面205に保護テープ207が貼着されたウエーハ201を保持する。チャックテーブル12は、保持面121上にウエーハ201の表面205を保護テープ207を介して載置し、ウエーハ201の裏面206が上方を向くように、ウエーハ201を保持する。チャックテーブル12は、保護テープ207を介して、ウエーハ201を保持する。チャックテーブル12は、研削ユニット11の直下の研削位置に移動可能である。実施形態1において、チャックテーブル12は、3つ設けられる。
【0021】
ターンテーブル13は、複数のチャックテーブル12を支持する。ターンテーブル13は、アクチュエータの作動により、Z軸と平行なターン回転軸を中心に所定の角度(例えば120[°])で間欠的に回転する。ターンテーブル13が回転することにより、ターンテーブル13に支持されているチャックテーブル12が研削位置に移動する。実施形態1においては、3つのチャックテーブル12のうち2つのチャックテーブル12が、2つの研削ユニット11の直下の研削位置のそれぞれに配置されるように、研削ユニット11とチャックテーブル12との相対位置が定められている。また、2つのチャックテーブル12が研削位置に配置されている状態で、1つのチャックテーブル12は、ウエーハ201の搬入及び搬出が実施される搬出入位置に配置される。
【0022】
位置合わせユニット14は、ウエーハ201が仮置きされて、その中心位置合わせを行うためのテーブルである。位置合わせユニット14は、チャックテーブル12に搬入される前のウエーハ201が搬送ユニット60により載置される。搬送ユニット60によって位置合わせユニット14に搬入されたウエーハ201は、位置合わせユニット14で位置合わせがされた後、チャックテーブル12に搬入される。
【0023】
洗浄ユニット15は、チャックテーブル12から搬出されたウエーハ201を洗浄する。洗浄ユニット15は、
図6に示すように、ウエーハ201を保持し、かつZ軸方向と平行な軸心回りに回転されるスピンナーテーブル151と、スピンナーテーブル151に保持さたウエーハ201に洗浄液を供給する洗浄液供給ノズル152と、スピンナーテーブル151及び洗浄液供給ノズル152を収容する洗浄チャンバ153とを備える。
【0024】
スピンナーテーブル151は、真空チャック機構を含み、ウエーハ201を着脱可能に保持する。ウエーハ201を保持するスピンナーテーブル151の保持面154は、XY平面と実質的に平行である。洗浄液供給ノズル152は、洗浄液155を噴出するノズル156がスピンナーテーブル151に保持されたウエーハ201の裏面206と対向する
図6に示す位置と、裏面206上から退避する位置とに亘って揺動自在である。洗浄ユニット15は、スピンナーテーブル151に保護テープ207を介してウエーハ201の表面205を保持し、スピンナーテーブル151を軸心回りに回転させながら洗浄液供給ノズル152からウエーハ201の裏面206に洗浄液155を供給して、ウエーハ201を洗浄する。
【0025】
仮置き部16は、チャックテーブル12から搬出されかつ洗浄ユニット15に洗浄された後のウエーハ201を一時的に保持する。仮置き部16は、真空チャック機構を含み、ウエーハ201を着脱可能に保持する。研削が終了しチャックテーブル12から搬出されたウエーハ201は、洗浄ユニット15を経て、仮置き部16に載置された後、搬送ユニット60によって研削装置10から搬出される。
【0026】
搬送部17は、位置合わせユニット14と搬出入位置のチャックテーブル12との間でウエーハ201を搬送する第1搬送アーム171と、搬出入位置のチャックテーブル12と洗浄ユニット15との間及び洗浄ユニット15と仮置き部16との間でウエーハ201を搬送する第2搬送アーム172とを有する。第1搬送アーム171の先端部及び第2搬送アーム172の先端部のそれぞれにウエーハ201を吸着保持する吸着パッドが設けられる。第1搬送アーム171は、位置合わせユニット14からウエーハ201を搬出して、チャックテーブル12に搬入する。第2搬送アーム172は、チャックテーブル12からウエーハ201を搬出して、洗浄ユニット15に搬入するとともに、洗浄ユニット15で洗浄されたウエーハ201を仮置き部16に載置する。こうして、第2搬送アーム172は、研削装置10にて研削後、研削装置10からレーザー加工装置20にウエーハ201を搬送する。
【0027】
(レーザー加工装置)
図8は、
図1に示されたウエーハ加工システムのレーザー加工装置を示す図である。レーザー加工装置20は、ウエーハ201の裏面206のデバイス204が形成されていない領域である
図4に示す外周余剰領域208にレーザーマーキングするレーザー光線照射ユニット21を備える。また、レーザー加工装置20は、レーザー光線照射ユニット21をX軸方向及びY軸方向に移動させる図示しない移動ユニットを備える。
【0028】
レーザー加工装置20は、研削装置10の研削ユニット11により研削され且つテープ貼着装置30によりダイシングテープ209(
図9に示す)が貼着される前にウエーハ201をレーザーマーキングする装置である。実施形態1において、レーザー加工装置20は、研削装置10の研削ユニット11により研削され且つ洗浄ユニット15により洗浄される直前のウエーハ201をレーザーマーキングする。
【0029】
レーザー加工装置20のレーザー光線照射ユニット21は、洗浄ユニット15の上方に配置されている。実施形態1において、レーザー光線照射ユニット21は、洗浄ユニット15のスピンナーテーブル151の保持面154の30cm程度上方に配置されている。
【0030】
レーザー光線照射ユニット21は、移動ユニットなどにより洗浄ユニット15のスピンナーテーブル151に保持されたウエーハ201の裏面206と対向する
図8に示す位置と、裏面206上から退避する位置とに亘って揺動自在である。レーザー光線照射ユニット21は、レーザー発振器で生成されたレーザー光線22をレンズで集光して、スピンナーテーブル151に保持されたウエーハ201に照射する。レーザー光線照射ユニット21は、移動ユニットによりX軸方向及びY軸方向に移動されながらウエーハ201に対して吸収性を有するレーザー光線22を照射し、裏面206の外周余剰領域208の表層にアブレーション加工を施して、レーザーマーキングする。実施形態1において、レーザー光線照射ユニット21は、ウエーハ201の品番、ロッド、及びロッド内の識別番号等を示す文字列を裏面206の外周余剰領域208に形成して、レーザーマーキングする。
【0031】
(テープ貼着装置)
図9は、
図1に示されたウエーハ加工システムのテープ貼着装置がウエーハの裏面にダイシングテープを貼着し保護テープを剥離する状態を示す斜視図である。
図10は、
図1に示されたウエーハ加工システムのテープ貼着装置により環状フレームが固定されたウエーハの斜視図である。
【0032】
テープ貼着装置30は、
図9に示すように、研削装置10で研削されたウエーハ201の裏面206にダイシングテープ209を貼着するとともに、ダイシングテープ209の外周縁に環状フレーム210を固定し、表面205から保護テープ207を剥離する装置である。テープ貼着装置30は、
図2に示すように、ウエーハ201を一時的に保持する仮置き部31と、ウエーハ201のアライメントを実施するアライメント部32と、フレームユニット形成手段33と、剥離手段34と、搬出されるウエーハ201を一時的に保持する搬出仮置き部35とを有する。
【0033】
仮置き部31は、フレームユニット形成手段33に搬入される前のウエーハ201を一時的に保持する。仮置き部31は、真空チャック機構を含み、ウエーハ201を着脱可能に保持する。搬送ユニット60によってテープ貼着装置30に搬入されたウエーハ201は、仮置き部31に載置された後、アライメント部32を経て、フレームユニット形成手段33及び剥離手段34に搬送される。
【0034】
アライメント部32は、環状フレーム210に対するウエーハ201の位置合わせを実施する。アライメント部32は、ウエーハ201が載置されるアライメントテーブル321と、アライメントテーブル321に載置されたウエーハ201の中心位置を規定位置に合わせるための図示しない複数のアライメントピンとを有する。アライメントピンがウエーハ201の半径方向に移動して、ウエーハ201の位置合わせを実施する。
【0035】
フレームユニット形成手段33は、研削装置10で研削されたウエーハ201の裏面206にダイシングテープ209を貼着するとともに、ダイシングテープ209の外周縁に環状フレーム210を固定する。フレームユニット形成手段33は、ウエーハ201の周囲に環状フレーム210が配置された状態で、ウエーハ201の裏面206及び環状フレーム210にダイシングテープ209を貼着し、ダイシングテープ209を環状フレーム210に沿ってカットする。これにより、ダイシングテープ209の外周縁に環状フレーム210が固定される。ウエーハ201は、ダイシングテープ209を介して環状フレーム210に支持される。
【0036】
剥離手段34は、ウエーハ201の表面205に貼着された保護テープ207を剥離する。フレームユニット形成手段33においてダイシングテープ209を介して環状フレーム210に支持され、剥離手段34において保護テープ207が剥離されたウエーハ201は、搬出仮置き部35に搬送される。
【0037】
搬出仮置き部35は、剥離手段34により保護テープ207が剥離されたウエーハ201を一時的に保持する。搬出仮置き部35は、真空チャック機構を含み、ウエーハ201を着脱可能に保持する。
【0038】
(第1のカセット載置部)
第1のカセット載置部40は、
図4に示す表面205に保護テープ207が貼着されたウエーハ201を複数収容する第1のカセット41を載置する。実施形態1において、第1のカセット載置部40は、研削装置10とX軸方向に並ぶ位置に2つ設置される。
【0039】
(第2カセット載置部)
第2のカセット載置部50は、
図10に示すダイシングテープ209で環状フレーム210の開口に支持されたウエーハ201を複数収容する第2のカセット51を載置する。実施形態1において、第2のカセット載置部50は、テープ貼着装置30とX軸方向に並ぶ位置に1つ設置される。
【0040】
(搬送ユニット)
図11は、
図1に示されたウエーハ加工システムの搬送ユニットの装置間搬送ユニットの一例を模式的に示す側面図である。搬送ユニット60は、研削装置10、テープ貼着装置30、第1のカセット41、及び第2のカセット51の間でウエーハ201を搬送する。実施形態において、研削装置10とテープ貼着装置30とは、Y軸方向に間隔をあけて配置される。
【0041】
搬送ユニット60は、
図2に示すように、研削装置内搬送ユニット61と、前述した第2搬送アーム172と、装置間搬送ユニット62と、貼着装置内搬送ユニット63とを備える。
【0042】
研削装置内搬送ユニット61は、第1のカセット41から研削装置10にウエーハ201を搬送する。研削装置内搬送ユニット61は、第1のカセット41からウエーハ201を1枚取り出し、取り出したウエーハ201を研削装置10の位置合わせユニット14上に載置する。研削装置内搬送ユニット61は、第1のカセット載置部40と研削装置10の位置合わせユニット14との間に配置され、アーム611と、アーム611の先端部に設けられウエーハ201を保持するハンド612とを有する。研削装置内搬送ユニット61は、アーム611が作動することにより、ハンド612がX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向に移動する。
【0043】
装置間搬送ユニット62は、研削装置10からテープ貼着装置30にウエーハ201を搬送する。即ち、第2搬送アーム172と装置間搬送ユニット62は、レーザー加工装置20にてレーザーマーキングした後、レーザー加工装置20からテープ貼着装置30にウエーハ201を搬送する。装置間搬送ユニット62は、研削装置10とテープ貼着装置30との間に配置されたチャンバ4内に配置される。即ち、装置間搬送ユニット62は、研削装置10とテープ貼着装置30との間に配置される。装置間搬送ユニット62は、ウエーハ201を保持して搬送可能な
図11に示す第1搬送ユニット64又は
図11に示す第2搬送ユニット65を有する。なお、実施形態1において、装置間搬送ユニット62は、
図2に示すように、第2搬送ユニット65を有するが、本発明では、第1搬送ユニット64を備えても良い。
【0044】
図11に示すように、第1搬送ユニット64は、チャンバ4の天井部に支持される。第1搬送ユニット64は、ウエーハ201を着脱可能に保持する吸着パッド641を有する。吸着パッド641は、ウエーハ201を吸着保持する保持面を有する。吸着パッド641の保持面は、下方を向く。吸着パッド641の保持面は、XY平面と実質的に平行である。吸着パッド641の保持面には真空吸引源と接続される吸引口が設けられる。吸着パッド641の保持面とウエーハ201とが接触した状態で真空吸引源が作動することにより、ウエーハ201は吸着パッド641に吸着保持される。真空吸引源の作動が停止されることにより、ウエーハ201は吸着パッド641から解放される。
【0045】
XY平面内における吸着パッド641の外形及び寸法と、ウエーハ201の外形及び寸法とは、実質的に同一である。吸着パッド641は、ウエーハ201の裏面206のほぼ全部を吸着保持することができる。
【0046】
また、第1搬送ユニット64は、Y軸方向に移動可能な移動テーブル642と、移動テーブル642に支持される可動アーム643とを有する。吸着パッド641は、可動アーム643の先端部に連結される。
【0047】
移動テーブル642は、移動機構644を介してチャンバ4の天井部に移動可能に支持される。移動テーブル642は、移動機構644によりY軸方向に移動する。移動機構644は、チャンバ4の天井部に設けられ移動テーブル642をY軸方向にガイドするガイド部材645と、移動テーブル642をY軸方向に移動するための動力を発生するアクチュエータ646とを有する。アクチュエータ646は、例えばリニアモータ又はボールねじ機構を含む。
【0048】
吸着パッド641は、移動機構644及び可動アーム643の作動により、Y軸方向及びZ軸方向に移動可能である。
【0049】
第2搬送ユニット65は、チャンバ4の側壁部に支持される。第2搬送ユニット65は、第1搬送ユニット64よりも下方側に設けられ、第1搬送ユニット64よりも下方で移動する。第2搬送ユニット65は、ウエーハ201を着脱可能に保持する吸着パッド651と、Y軸方向に移動可能な移動テーブル652と、移動テーブル652に支持される可動アーム653とを有する。吸着パッド651は、可動アーム653の先端部に連結される。
【0050】
移動テーブル652は、移動機構654を介してチャンバ4の側壁部に移動可能に支持される。移動テーブル652は、移動機構654によりY軸方向に移動する。移動機構654は、チャンバ4の側壁部に設けられ移動テーブル652をY軸方向にガイドするガイド部材655と、移動テーブル652をY軸方向に移動するための動力を発生するアクチュエータ656とを有する。アクチュエータ656は、例えばリニアモータ又はボールねじ機構を含む。
【0051】
吸着パッド651は、移動機構654及び可動アーム653の作動により、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向に移動可能である。
【0052】
このように、本実施形態において、第2搬送ユニット65は、第1搬送ユニット64の下方において、第1搬送ユニット64とは別に移動可能である。したがって、例えば、第1搬送ユニット64によるウエーハ201の搬送動作と並行して、第2搬送ユニット65によるウエーハ201の搬送動作を実行可能である。
【0053】
第1搬送ユニット64及び第2搬送ユニット65は、研削装置10の仮置き部16からテープ貼着装置30の仮置き部31にウエーハ201を搬送する。また、第1搬送ユニット64によるウエーハ201の搬送動作と並行して、第2搬送ユニット65はウエーハ201を搬送可能である。
【0054】
貼着装置内搬送ユニット63は、テープ貼着装置30の仮置き部31からアライメント部32、アライメント部32からフレームユニット形成手段33、フレームユニット形成手段33から剥離手段34、剥離手段34から搬出仮置き部35、テープ貼着装置30の搬出仮置き部35から第2のカセット51にウエーハ201を搬送する。即ち、貼着装置内搬送ユニット63は、テープ貼着装置30にてウエーハ201の裏面206にダイシングテープ209を貼着するとともにダイシングテープ209の外周縁に環状フレーム210を固定した後、テープ貼着装置30から第2のカセット51にウエーハ201を搬送する。
【0055】
(制御ユニット)
制御ユニット100は、ウエーハ加工システム1の構成要素である、研削装置10、レーザー加工装置20、テープ貼着装置30、及び搬送ユニット60を制御する。
【0056】
制御ユニット100は、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(Read Only Memory)又ストレージのような不揮発性メモリ及びRAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリを含む記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有するコンピュータである。演算処理装置は、記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、入出力インターフェース装置を介して、ウエーハ加工システム1を制御するための制御信号を出力して、制御ユニット100の機能を実現する。
【0057】
ウエーハ加工システム1は、搬送ユニット60の研削装置内搬送ユニット61によって第1のカセット41からウエーハ201を研削装置10の位置合わせユニット14に搬入し、位置合わせユニット14によってウエーハ201の位置合わせを行った後、第1搬送アーム282によって、ウエーハ201を搬出入位置に配置されているチャックテーブル12に搬入する。ウエーハ加工システム1は、ターンテーブル13を回転させて、搬出入位置に配置されているチャックテーブル12を研削位置に移動する。
【0058】
ウエーハ加工システム1は、研削位置に移動したチャックテーブル12に保持されているウエーハ201と研削ユニット11の研削砥石115とが接触させた状態で、
図5に示すように、チャックテーブル12の回転と並行して、研削ユニット11の研削ホイール113を軸心回りに回転する。これにより、ウエーハ加工システム1は、ウエーハ201の裏面206を研削し、ウエーハ201を薄化する。ウエーハ加工システム1は、2つの研削ユニット11によって粗研削と仕上げ研削とを順に実施し、ウエーハ201を薄化する。ウエーハ加工システム1は、ウエーハ201の研削を終了した後、ターンテーブル13を回転させることにより、研削位置に配置されているチャックテーブル12を搬出入位置に移動する。
【0059】
ウエーハ加工システム1は、第2搬送アーム172によって搬出入位置に配置されているチャックテーブル12から研削後のウエーハ201を搬出し、ウエーハ201を洗浄ユニット15のスピンナーテーブル151上に搬入する。ウエーハ加工システム1は、スピンナーテーブル151にウエーハ201を吸引保持し、
図8に示すように、レーザー光線照射ユニット21をウエーハ201の裏面206の外周余剰領域208に対向させた後、レーザー光線22を照射して、ウエーハ201をレーザーマーキングする。
【0060】
ウエーハ加工システム1は、レーザーマーキングが終了した後、レーザー光線照射ユニット21をウエーハ201の裏面206上から退避させ、
図6に示すように、洗浄液供給ノズル152をウエーハ201の裏面206に対向させた後、洗浄液155を供給して、ウエーハ201から研削時に発生した研削屑とともにレーザーマーキング時に発生したデブリを除去する。なお、実施形態1において、ウエーハ加工システム1は、レーザーマーキングが終了した後、レーザー光線照射ユニット21をウエーハ201の裏面206上から退避させて、ウエーハ201から研削時に発生した研削屑とともにレーザーマーキング時に発生したデブリを除去するが、本発明では、
図7に示すように、レーザー光線照射ユニット21をウエーハ201の裏面206上から退避させることなく、ウエーハ201から研削時に発生した研削屑とともにレーザーマーキング時に発生したデブリを除去しても良い。ウエーハ加工システム1は、レーザーマーキングして洗浄後のウエーハ201を第2搬送アーム172によって仮置き部16に搬送し、装置間搬送ユニット62の第2搬送ユニット65によってテープ貼着装置30の仮置き部31に搬入する。
【0061】
ウエーハ加工システム1は、貼着装置内搬送ユニット63によってウエーハ201をアライメント部32、フレームユニット形成手段33、剥離手段34、搬出仮置き部35に順に搬送し、ウエーハ201の裏面206にダイシングテープ209を貼着し、ダイシングテープ209の外周縁に環状フレーム210を貼着するとともに、保護テープ207を剥離する。ウエーハ加工システム1は、
図10に示す環状フレーム210の開口に支持されたウエーハ201を第2のカセット51内に収容する。こうして、ウエーハ加工システム1は、研削装置10の研削ユニット11からレーザー加工装置20を介してテープ貼着装置30のフレームユニット形成手段33にウエーハ201を搬送する搬送ユニット60を備える。また、ウエーハ加工システム1は、研削装置10の研削ユニット11からレーザー加工装置20を介してテープ貼着装置30のフレームユニット形成手段33にウエーハ201を搬送する搬送ユニット60を備えるので、研削装置10、レーザー加工装置20、テープ貼着装置30が共通の搬送ユニット60により一体化している。
【0062】
実施形態1に係るウエーハ加工システム1は、研削装置10の研削ユニット11からレーザー加工装置20を介してテープ貼着装置30のフレームユニット形成手段33にウエーハ201を搬送する搬送ユニット60を備えるので、研削装置10からテープ貼着装置30にオペレータがウエーハ201を搬送する必要がなくなる。また、ウエーハ加工システム1は、研削装置10の研削ユニット11からレーザー加工装置20を介してテープ貼着装置30のフレームユニット形成手段33にウエーハ201を搬送する搬送ユニット60を備えて、研削装置10、レーザー加工装置20、テープ貼着装置30が共通の搬送ユニット60により一体化しているので、装置10,20,30間のウエーハ201の受け渡しに要する時間が短縮できるという効果がある。その結果、ウエーハ加工システム1は、ウエーハ201の搬送にかかる所要時間を抑制できる。
【0063】
また、ウエーハ加工システム1は、研削装置10からテープ貼着装置30にオペレータがウエーハ201を搬送する必要がなくなり、装置間搬送ユニット62が吸着パッド641,651を備える第1及び第2搬送ユニット64,65を備えて、一連の工程が一体化されているので、カセットを使う搬送をウエーハ201の不要としている。この結果、ウエーハ加工システム1は、搬送中にウエーハ201に与える衝撃を抑制でき、研削装置10により薄化された機械的に脆いウエーハ201が破損することを抑制することができる。また、ウエーハ加工システム1は、搬送ユニット60が第1のカセット41から第2のカセット51にウエーハ201を搬送して、一連の工程が一体化されているので、ウエーハ201の搬送先を誤ることを抑制することができる。
【0064】
また、実施形態1に係るウエーハ加工システム1は、レーザー加工装置20のレーザー光線照射ユニット21を洗浄ユニット15のスピンナーテーブル151の上方に配置し、レーザーマーキング後のウエーハ201を洗浄ユニット15で洗浄する。その結果、ウエーハ加工システム1は、レーザーマーキングにより生じるデブリをウエーハ201から除去することができる。
【0065】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2に係るウエーハ加工システムを図面に基づいて説明する。
図12は、実施形態2に係るウエーハ加工システムの概略の構成を平面図である。
図12は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0066】
実施形態2に係るウエーハ加工システム1−2は、レーザー加工装置20−2及び装置間搬送ユニット62の構成が実施形態1と異なる以外、実施形態1と同じ構成である。実施形態2に係るウエーハ加工システム1−2のレーザー加工装置20−2は、チャンバ4内に配置されている。実施形態2に係るウエーハ加工システム1−2のレーザー加工装置20−2は、レーザー光線照射ユニット21に加え、ウエーハ201を保護テープ207を介して吸引保持するチャックテーブル23を備える。
【0067】
チャックテーブル23は、ウエーハ201を着脱可能に保持する保持面231を有する。チャックテーブル23の保持面231は、XY平面と実質的に平行である。チャックテーブル23は、真空チャック機構を含む。チャックテーブル23の保持面231には真空吸引源と接続される吸引口が複数設けられる。チャックテーブル23の保持面231にウエーハ201が載置された状態で真空吸引源が作動することにより、ウエーハ201はチャックテーブル23に吸着保持される。真空吸引源の作動が停止されることにより、ウエーハ201はチャックテーブル23から解放される。
【0068】
レーザー光線照射ユニット21は、チャックテーブル23に保持されているウエーハ201にレーザー光線22を照射して、ウエーハ201をレーザーマーキングする。また、レーザー光線照射ユニット21は、装置間搬送ユニット62によりチャックテーブル23にウエーハ201が搬入及び搬出される際には、
図12中の点線で示すように、チャックテーブル23の保持面231上から退避する。実施形態2に係るウエーハ加工システム1−2の装置間搬送ユニット62は、
図12に示すように、第1搬送ユニット64を備える。
【0069】
実施形態2に係るウエーハ加工システム1−2は、装置間搬送ユニット62によって研削装置10の仮置き部16から研削後のウエーハ201をレーザー加工装置20−2のチャックテーブル23に搬入する。実施形態2に係るウエーハ加工システム1−2は、レーザー加工装置20−2によってレーザーマーキングしたウエーハ201を装置間搬送ユニット62によってチャックテーブル23からテープ貼着装置30の仮置き部31に搬入する。
【0070】
実施形態2に係るウエーハ加工システム1−2は、研削装置10の研削ユニット11からレーザー加工装置20−2を介してテープ貼着装置30のフレームユニット形成手段33にウエーハ201を搬送する搬送ユニット60を備えるので、実施形態1と同様に、ウエーハ201の搬送にかかる所要時間を抑制できる。
【0071】
〔実施形態3〕
本発明の実施形態3に係るウエーハ加工システムを図面に基づいて説明する。
図13は、実施形態3に係るウエーハ加工システムの概略の構成を平面図である。
図13は、実施形態2と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0072】
実施形態3に係るウエーハ加工システム1−3は、レーザー加工装置20−3及び搬送ユニット60−3の構成が実施形態1と異なる以外、実施形態2と同じ構成である。実施形態3に係るウエーハ加工システム1−3のレーザー加工装置20−3は、研削装置10とテープ貼着装置30との間で、かつ装置間搬送ユニット62とX軸方向に並ぶ位置に配置されている。
【0073】
実施形態3に係るウエーハ加工システム1−3のレーザー加工装置20−3は、レーザー光線照射ユニット21とチャックテーブル23とに加え、ウエーハ201を一時的に保持する仮置き部24を有する。仮置き部24は、レーザーマーキング前のウエーハ201を一時的に保持する。
【0074】
また、実施形態3に係るウエーハ加工システム1−3の搬送ユニット60−3の装置間搬送ユニット62は、レーザーマーキング前のウエーハ201を仮置き部24に搬送し、仮置き部24からレーザーマーキング前のウエーハ201をチャックテーブル23に搬送するとともに、チャックテーブル23からレーザーマーキング後のウエーハ201をテープ貼着装置30の仮置き部31に搬入する。
【0075】
実施形態3に係るウエーハ加工システム1−3は、装置間搬送ユニット62によって研削後のウエーハ201を仮置き部24、チャックテーブル23に順に搬入する。実施形態3に係るウエーハ加工システム1−3は、レーザー加工装置20−3によってレーザーマーキングしたウエーハ201を装置間搬送ユニット62によってテープ貼着装置30の仮置き部31に搬入する。
【0076】
実施形態3に係るウエーハ加工システム1−3は、研削装置10の研削ユニット11からレーザー加工装置20−3を介してテープ貼着装置30のフレームユニット形成手段33にウエーハ201を搬送する搬送ユニット60−3を備えるので、実施形態1と同様に、ウエーハ201の搬送にかかる所要時間を抑制できる。
【0077】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。